JP2003206180A - 窒化ケイ素質セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素質セラミックスおよびその製造方法

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JP2003206180A
JP2003206180A JP2002006819A JP2002006819A JP2003206180A JP 2003206180 A JP2003206180 A JP 2003206180A JP 2002006819 A JP2002006819 A JP 2002006819A JP 2002006819 A JP2002006819 A JP 2002006819A JP 2003206180 A JP2003206180 A JP 2003206180A
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powder
heat treatment
temperature
nitride ceramics
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Tomomasa Miyanaga
倫正 宮永
Osamu Komura
修 小村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度に優れた、大型の窒化
ケイ素質セラミックスとその製造方法を得る。 【解決手段】 金属Si粉末に、焼結助剤を添加
混合し、マイクロ波加熱により1次〜3次熱処理するこ
とにより金属Si粉末をその表面に特定の粒界相を形成
させた後、窒化反応させ、さらに緻密化することによっ
て、機械的強度に優れた大型の窒化ケイ素質セラミック
スを得る。1次熱処理においては、不活性ガスを含む窒
素雰囲気とし、2次と3次の熱処理では、主に窒素雰囲
気とする。得られる窒化ケイ素質セラミックスは、相対
密度が95%以上の緻密質あるいは、相対密度が70%
以下の連続した開気孔を有する大型のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部品、OA
機器をはじめとする各種装置の構造部材、または放熱材
料や低誘電基板などの電子部品、さらには各種フィルタ
材料として有用であり、特に低コストで製造可能な反応
焼結法を用いた大型形状で高強度な窒化ケイ素質セラミ
ックスおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素質セラミックスは、一般の金
属材料に比べて軽量であり、また他のセラミックス材料
に比べて耐熱性、耐摩耗性、機械的強度、靭性等の点で
優れており、各種構造材料として用いる場合に極めてバ
ランスのとれた材料である。このため、従来から自動車
のエンジン部品やOA機器をはじめとする各種装置の構
造部品としての応用が進められている。また、近年では
比較的高い熱伝導率を利用した放熱材料や低誘電率基板
などの各種電子部品、さらには独自の微細構造を応用し
た各種多孔質フィルタ材料としても応用が進められてい
る。
【0003】窒化ケイ素質セラミックスの製造方法は主
に2種類の方法がある。その一つは、Si粉末を
原料とし、これに焼結助剤を添加して焼結する方法であ
る。また他の一つは、Si粉末を原料とし、これに窒化
促進剤等を添加して窒化反応焼結する方法である。この
うち窒化反応焼結する方法は、原料粉末として安価なS
i粉末を用い、さらに焼結時の収縮が小さく変形が少な
いので最終加工での取り代が少なくできるため、原料費
および加工費が安くできるので、Si粉末を原料
とする方法よりは工業的に有利である。
【0004】しかし、窒化反応焼結法は、金属SiをN
ガス等で直接窒化する方法であるので、目的とする製
品のサイズが比較的大型の場合、窒素が内部まで充分に
拡散せず、中央部は未反応のSiが残存するという問題
があった。また、量産レベルで窒化処理をおこなう場合
においても、内部まで窒素が拡散しない、あるいは窒化
反応の反応熱(3Si+2N→Si+193k
J(1400℃))によって素材温度が急激に上昇する
ことがあり、このため未窒化Siや溶融塊Siが焼結体
の内部に残留し、たとえば充分な機械的強度が得られな
いという問題があった。また、フィルター用途など独自
の微細構造を利用する用途では、連続した開気孔が得ら
れなくなるという問題が発生する。つまり、窒化反応焼
結法は、製造コストの面では優位であるが、目的とする
製品の形状やサイズに制限があり、工業的なレベルでの
実用化に課題があった。
【0005】反応焼結法によって比較的大型な窒化ケイ
素焼結体を得る方法として、例えば、特開平10−13
0059号公報には、厚み5mm以下の窒化ケイ素焼結
体を積層し、大型の窒化ケイ素焼結体を得る方法が開示
されている。しかし、この方法は、高純度な窒化ケイ素
焼結体を得る方法であり、積層しているために機械的強
度が劣り、また工業的には機械的強度のバラツキが大き
いという問題があった。また、積層するために特殊な工
程が必要であり、生産性や反応焼結法のコストメリット
を低下させていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように窒化反応
焼結法は、製造コストの面では優位であるが、目的とす
る製品の形状や大きさに制限があるという問題があっ
た。そこで、本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものである。すなわち、本発明は、従来に比較し
て安価に且つ寸法選択の自由度の高い製造方法により、
比較的大きなサイズまでの窒化ケイ素質セラミックス焼
結体とその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化ケイ素質セ
ラミックスは、粒界相の主相がRESi
たはRE10(SiOで示される酸窒化物あ
るいは酸窒化ケイ素化合物結晶相であり、相対密度が9
5%以上である。また、相対密度が70%以下である。
ここで、REはランタノイド系希土類元素のことであ
る。本発明の窒化ケイ素質セラミックスは前記REとし
て、Y、Yb、Sm、Er、Nd、Gdから選ばれる少
なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。緻密
質で機械的強度の高い窒化ケイ素質セラミックスを得る
場合には、さらに、Al、Mg、Caから選ばれる少な
くとも1種の化合物も含有することが好ましい。
【0008】また、本発明では、Si粉末の表面または
Si粉末の成形体の粒界に、RESiまた
はRE10(SiOで示される酸窒化物ある
いは酸窒化ケイ素化合物結晶相を熱処理により形成した
後、前記粉末または成形体を前記熱処理温度より高温で
さらに熱処理することにより、窒化ケイ素質セラミック
スを得ることができる。
【0009】また、本発明の窒化ケイ素質セラミックス
は、金属Si粉末とY、Yb、Sm、Er、Nd、Gd
から選ばれる少なくとも1種の化合物を金属Si粉末に
対して0.2〜2.5mol%とを含む成形体を作製し
た後、窒素を含有する雰囲気中で熱処理を行う製造方法
によって得ることができる。また、前記成形体をマイク
ロ波またはミリ波照射下で熱処理することが好ましい。
さらに、緻密化を促進して相対密度を95%以上とする
ためには、Al、MgあるいはCaの化合物を0.1〜
1.5mol%添加することが好ましい。
【0010】前記成形体の熱処理は、800〜1000
℃の温度で1次熱処理を行い、次いで1200〜140
0℃の温度で2次熱処理を行い、次いで1400〜19
00℃の温度で3次熱処理を行う手順で実施されること
が好ましい。
【0011】前記1次熱処理の雰囲気は、不活性ガスを
含有する窒素雰囲気とすることが好ましい。また、2次
と3次の熱処理においては、主に窒素を含む雰囲気とす
ることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の窒化ケイ素質セラミック
スについて、その製造方法も絡めて以下詳述する。本発
明の窒化ケイ素質セラミックスは、市販の金属Si粉末
を粉砕して粒度調整を行う工程と、該粒度調整を施した
金属Si粉末と焼結助剤粉末とを準備する工程と、これ
らの粉末を混合し混合粉末とする工程と、同混合粉末を
成形し成形体とする工程と、同成形体を窒素と不活性ガ
スの存在する雰囲気下で熱処理し、粒界相として、RE
SiまたはRE10(SiO
示される酸窒化物あるいは酸窒化ケイ素化合物結晶相を
形成するとともに粒径約0.5μm以下の極微細な金属
Si粉末を見かけ上消失させる工程(1次熱処理工程)
と、窒素の存在する雰囲気下で熱処理し、金属Siを窒
化させて窒化ケイ素とする工程(2次熱処理工程)と、
窒素の存在する雰囲下で熱処理し、緻密化を促進し相対
密度を95%以上の緻密な窒化ケイ素質セラミックス焼
結体とするかあるいは多孔化を促進して相対密度70%
以下で連続した開気孔の多い窒化ケイ素質セラミックス
焼結体とする工程(3次熱処理工程)とを含む方法によ
って得られる。
【0013】金属Si粉末は、市販の高純度Si粉末を
用いることができる。しかし、金属Si粉末の表面に
は、自然酸化膜やその後の熱処理により熱酸化膜が形成
される。これらの酸化膜の量によって形成される粒界相
の組成が著しく変化するので、金属Si粉末中の酸素量
や該酸素量に依存した粒界相の組成の制御は重要であ
る。酸素量は、金属酸化物(SiO)に換算して、
0.2mol%以上、1.5mol%以下の範囲のもの
を選択することが望ましい。
【0014】市販の金属Si粉末の平均粒径は、入手の
し易さと価格の面から通常10μm程度以上である。本
発明においては、該市販の金属Si粉末を粉砕してその
平均粒径が10μm以下、好ましくは5μm以下、より
好ましくは1.5μmになるようにすることが望まし
い。
【0015】粉砕は、既存のボールミル等の方法で行う
ことができる。このとき、カップリング剤等の酸化抑制
剤、あるいはフェノール樹脂等の還元剤を添加した水溶
媒中で行うことが、工業的な面(コスト)で好ましい。
粉砕後の金属Siの酸素量は、1.5mol%以下にな
るように酸化抑制剤の量や出発原料のSi粉末の粒度や
ボールミル時間を調整することが好ましい。
【0016】粉砕後の金属Siの平均粒径が10μmを
越えると、個々の金属Si粉末を窒化するのに長時間を
要するので経済的ではない。従って、10μm以下がよ
く、好ましくは5μm以下、より好ましくは1.5μm
以下である。特に、平均粒径が1.5μm以下にまで微
細に粉砕した粉末は、不可避的に極微細な粒子も含有す
ることになり、該極微細な粒子は反応焼結の工程におい
て急速反応を引き起こし急激な発熱現象を引き起こし
て、焼結体の特性に重大な影響を与えるので、後述する
粒度調整工程が必要である。
【0017】前記粉砕した金属Si粉末に焼結助剤とし
てY、Yb、Sm、Er、Nd、Gdから選ばれる少な
くとも1種の酸化物、酸窒化物またはケイ化物などの化
合物を添加する。より好ましくは、YbまたはSmの酸
化物である。添加量は、金属Si粉末に対して0.2m
ol%以上2.5mol%以下添加することが好まし
い。0.2mol%未満や2.5mol%を越えると、
目的とする粒界相が得られにくくなるので、前記約0.
5μm以下の粒径の金属Si粉末を見かけ上消失させる
粒度調整ができなくなり、また窒化反応が進みにくくな
り、本発明の目的である大型で機械的強度に優れた窒化
ケイ素焼結体を得ることができない。
【0018】さらに、緻密化を促進する添加剤として、
Al、MgあるいはCaの酸化物、窒化物、酸窒化物等
の化合物粉末を0.1〜1.5mol%添加することが
好ましい。従来、金属Siの窒化促進剤として知られて
いるFeなどのFe系化合物等比較的低温で液相
を生成する元素やその化合物は、本発明の場合、後述す
る粒度調整が充分に行われないことに加えて、成形体の
空孔率を低下させるので、窒化反応工程における窒素ガ
スの拡散経路を狭くすることになり、目的とする相対密
度が95%以上あるいは相対密度が70%以下の大型の
窒化ケイ素質焼結体の作成が困難となる。
【0019】また、前記焼結助剤や添加剤の平均粒径
は、0.1μm以上、1μm以下が好ましい。0.1μ
m未満では、凝集等が生じやすくなるので取扱が困難と
なり、また1μm以上では、金属Si粉末の窒化反応が
進行しにくくなる。また、金属Si粉末の表面の酸化膜
が反応を妨げる場合は、上記焼結助剤や緻密化促進剤に
加えて、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属あるい
はそれら金属の酸化物を第3の焼結助剤として添加する
ことが好ましい。第3の焼結助剤の添加量は0.1mo
l%以上1.5mol%以下が好ましく、その平均粒径
は、0.1μm以上2μm以下が好ましい。
【0020】金属Si粉末と焼結助剤および必要に応じ
て緻密化促進剤並びに有機バインダーを添加して、既存
のボールミルや超音波混合などの方法により、混合す
る。混合後、乾燥させる。その後、所定の形状に成形
し、成形体を得る。成形は、通常の乾式プレス成形法、
押し出し成形法、ドクターブレード成形法および射出成
形法のような公知の成形法を用いることができ、所望す
る形状に合わせて品質上・生産上最も望ましい成形方法
を選べばよい。なお成形に先立ち混合後の混合粉末を顆
粒状に造粒し、予めその嵩密度を高め、成形性を高める
こともできる。前記有機バインダーは、成形性をさらに
向上させる場合に添加するものである。
【0021】前記成形体を窒素と不活性ガスを含有する
雰囲気ガス中で熱処理することにより、特定の粒界相を
形成するとともに極微細な金属Si粉末を見かけ上消失
させた後、金属Siの窒化反応を進行させ、さらに緻密
化を促進するための熱処理を施すことにより、比較的大
型の窒化ケイ素質セラミックスを得ることができる。
【0022】1次熱処理は、カーボンヒーター炉等で行
うことができる。前記成形体を800℃以上、1000
℃以下の温度で、熱処理を行う。熱処理時の雰囲気は、
20vol%以上の不活性ガスを含有する窒素雰囲気が
好ましい。この前処理において、ランタノイド系希土類
元素をREと表記して、RE10(SiO
たはRESiで示される粒界相を形成する
ことが必要である。REはY,Yb,Sm,Er,Nb
あるいはGdから選ばれる少なくとも1種類であること
が好ましい。該粒界相を形成しない場合には、約0.5
μm以下の金属Si粉末を消失させるという粒度調整が
できなくなるので、本発明の大型で機械的強度に優れた
窒化ケイ素質セラミックスを得ることが困難となる。従
って、このような粒界相を形成するために、焼結助剤の
組成や原料粉末の酸素量や熱処理条件を調整する。
【0023】1次熱処理温度が800℃未満では、前記
粒界相が形成されない。また、1000℃を越える温度
にすると前記粒界相の形成が不十分なまま金属Siの窒
化反応が開始されるので、目的とする窒化珪素セラミッ
クスを得ることが難しくなる。粒界相は、RE10(S
iOが特に好ましい。
【0024】1次熱処理の雰囲気は、不活性ガスを含有
する窒素雰囲気が好ましい。不活性ガスは、20vol
%以上、60vol%以下含有させることが好ましい。
不活性ガスを前記量を含有させることによって、800
〜1000℃の温度範囲で前記粒界相を形成することが
できる。不活性ガスは、例えばHe、Ar、Neなどが
あげられる。
【0025】さらに、1次熱処理温度を800〜100
0℃とすることにより、前記粒界相を形成するととも
に、前記極微細な金属Si粒子が固相拡散し、相互に結
合して前記極微細な金属Si粒子が消失し、見かけ上均
一な平均粒径の成形体とすることができる。前記粒界相
はこのような金属Siの固相拡散を助長するものと考え
られる。この様に、極微細な金属Si粒子を消失させ、
均一な粒径とすることによって以下の工程での窒化反応
の速度を一定にすることができ、反応熱による急速な温
度上昇を抑制することが可能となる。
【0026】2次熱処理である窒化反応処理は、N
たはNHを含有する雰囲気中、1200℃以上の温度
で行う。雰囲気には、NまたはNHの他にHやH
eを同時に入れてもよい。加熱は、カーボン炉等を用い
てもよいが、金属Si粉末の拡散、窒化を促進するため
に、マイクロ波あるいはミリ波を用いた熱処理が好まし
い。特に20GHz以上の周波数のマイクロ波を照射し
て加熱すると、金属Si粉末の外殻に形成される金属窒
化物(Si)への金属の拡散をより促進すること
ができるので、金属Si粉末の窒化が促進されるので好
ましい。2次熱処理温度が、1200℃未満では金属粉
末の窒化反応の進行が遅くなり、経済的ではない。ま
た、1400℃以下の温度が好ましい。1400℃を越
える温度では未窒化Siが溶融し、溶融塊として焼結体
中に残存することになるので好ましくない。
【0027】また、2次熱処理における最高温度までの
昇温は、2段階以上に分けて階段状に昇温するのが好ま
しい。これは、金属の窒化反応は発熱反応であるので、
一度に最終焼結温度まで昇温すると、自らの発熱によっ
て温度が金属の融点を超え、金属の溶融が発生するため
である。金属の溶融が発生すると、未反応の溶融塊とな
り粗大な空孔が発生したり、成形体から溶出したりする
ので窒化ケイ素質セラミックスの機械的、電気的特性の
劣化を引き起こす。なお、熱処理時の雰囲気圧力に限定
はないが、1気圧(101kPa)以上5気圧(507
kPa)以下が好ましい。
【0028】前述した1次熱処理によって、前記粒界相
を形成し、極微細なSi粒子を消失させ均一な粒度とす
る粒度調整を行うことにより、2次熱処理での窒化反応
速度を一定に制御し、反応熱による発熱を抑制できると
ともに、成形体の内部にまで、窒素ガスの拡散経路を確
保することができるので、本発明の大型品の作製が5〜
10時間という短時間で可能となる。
【0029】3次熱処理は、実質的に窒素雰囲気中、1
400〜1900℃の温度範囲で行う。1400℃未満
では緻密化あるいは粒成長が実質的に進行しないので好
ましくない。また、1900℃を越える温度にすると、
窒化ケイ素の分解が始まるので本発明の窒化ケイ素質セ
ラミックスを得られなくなる。
【0030】以上のようにして得られる本発明の窒化ケ
イ素質セラミックスは、反応熱によるSiの溶融を抑制
し、成形体の中央部の金属Si粉末までを直接窒化でき
るので、大型品の作成が可能となる。作製した大型品の
窒化ケイ素質セラミックスは、相対密度が95%以上で
あり、機械的特性や、電気的特性に優れたものとするこ
とができる。また、連続した開気孔が30%以上すなわ
ち相対密度が70%以下である窒化ケイ素質セラミック
スである。
【0031】また、窒化反応が成形体の内部まで均一に
進行しているので、遊離Siの存在量が0.001〜3
wt%であって、その存在分布がσ(標準偏差)/M
(平均値)<1とすることができるので、肉厚5mm以
上の大型品であっても特性が良好であり、バラツキが少
ない窒化ケイ素質焼結体を得ることができる。また、本
発明の窒化ケイ素質セラミックスの機械的特性として、
3点曲げによる抗折強度は、相対密度が95%以上の場
合は、700MPa以上であり、優れた電気的、機械的
特性を有する多孔質窒化ケイ素セラミックスである。ま
た、相対密度が70%以下の場合の3点曲げによる抗折
強度は100MPa以上であり、連続した開気孔が30
%以上である。
【0032】
【実施例】実施例1 平均粒径10μmの市販の金属Si粉末を水を溶媒とし
て12時間ボールミル粉砕を行い、平均粒径1.2μm
の金属Si粉末を得た。このとき、酸化抑制剤として、
オクチルトリエトキシシランを4wt%添加した。該平
均粒径1.2μmのSi粉末と焼結助剤として、平均粒
径0.8μmの表1に記載の金属酸化物粉末をSi粉末
に対し1.0mol%を準備した。さらに緻密化促進剤
として平均粒径1μmのCaO粉末をSi粉末に対し
0.8mol%準備した。焼結助剤と促進添加剤の各粉
末はいずれも市販のものである。尚、Si粉末表面の酸
素量は、前記粉砕後、不活性ガス融解、赤外線検出法で
測定し、SiO換算で0.7mol%であることを予
め確認した。準備した各粉末を、エチルアルコールを溶
媒として、24時間超音波混合した。混合後、自然乾燥
し、乾式プレスを用いて、φ100x100mmと5x
7x45mmのサイズに成形した。
【0033】この成形体を大気圧の30vol%のHe
を含む窒素雰囲気中(30vol%He−70vol%
)で周波数28GHzのマイクロ波加熱により、9
00℃で2時間保持した。その後、雰囲気を大気圧の窒
素雰囲気にした後、1200℃で3時間保持した後、1
400℃に昇温して3時間保持した。2段階で昇温した
理由は、シリコンの窒化反応が、1400℃において発
熱反応(Si+2/3N=1/3Si+64k
J)であるので、一度に1400℃まで昇温すると自ら
の発熱によって、温度が1400℃以上になりSiの溶
融などが発生したためである。
【0034】次いで、窒素雰囲気を維持したまま、18
00℃に昇温して2時間保持した。自然冷却後、3x4
x40mmのサイズに平面研削盤を用いて仕上げ加工し
た。なお、φ100x100mmの成形体から得られた
焼結体は、切断機等を用いて、焼結体のほぼ中心部から
切り出して前記3x4x40mmのサイズに仕上げた。
これらの仕上加工した焼結体を用いて、次のようにして
各特性を測定した。尚、焼結体は、XPSによって、金
属Siは0.1wt%残存していることを確認した。
【0035】相対密度は、焼結体の寸法と重量から見か
けの密度を算出し、また理論密度を焼結助剤の添加量か
ら混合則により計算して求め、次の式から求めた。(見
かけ密度/理論密度)x100(%)。
【0036】機械的特性として、JIS R 1601
に規定された強度試験片形状に仕上げ、3点曲げ強度を
同規定に基づいて測定した。これらの結果を表1に示
す。
【0037】
【表1】 *印は比較例
【0038】表1からわかるように、本発明の窒化ケイ
素質セラミックスは、相対密度が95%以上であり、機
械的強度が高い。特に抗折試験片の寸法に近い成形体寸
法である5x7x45mmの素材寸法の強度と、大きな
寸法であるφ100x100mmの素材の中心部の強度
を比較すると、ほとんど差がないことが判る。
【0039】実施例2 実施例1と同様にして平均粒径1.2μmのSi粉末を
準備した。焼結助剤として、平均粒径0.8μmのSm
粉末をSi粉末に対し1.0mol%を、また緻
密化促進剤として、平均粒径1μmのCaO粉末をSi
粉末に対して0.8mol%を準備した。焼結助剤と緻
密化促進剤の各粉末はいずれも市販のものである。尚、
Si粉末表面の酸素量は、不活性ガス融解、赤外線検出
法で測定し、SiO換算で0.7mol%であること
を予め確認した。準備した各粉末を、実施例1と同様の
方法で、混合、成形を行った。成形体の寸法は、φ10
0x100mmだけとした。その後、30vol%のH
eを含有するN(30vol%He−70vol%N
)雰囲気中で、表2に記載の温度で1次熱処理を行っ
た。その後、雰囲気を大気圧の窒素雰囲気にした後、1
200℃に昇温し3時間保持した後、1400℃に昇温
して3時間保持した。さらに、1800℃に昇温して2
時間保持した後、自然冷却後、実施例1と同様に焼結体
の中心部から抗折試験片を切り出し、仕上加工を行っ
た。
【0040】各焼結体の機械的特性として、JIS R
1601に規定された強度試験片形状に仕上げ、3点
曲げ強度を同規定に基づいて測定した。また、焼結体中
の粒界相をX線回折により、同定した。これらの結果
を、表2に示す。なお、各焼結体は、X線回折によっ
て、金属Siは0.1wt%残存していることを確認し
た。
【0041】
【表2】 *印は比較例
【0042】表2から判るように、本願発明の1次熱処
理温度を800〜1000℃の範囲にすることにより、
目的の粒界相を得ることができ、その結果機械的強度の
高い窒化ケイ素質セラミックスを得ることができること
が判る。なお、No11の粒界相はSmのみで、
化合物相はなかった。
【0043】実施例2のNo12のサンプルと同じ組
成、条件で窒化ケイ素質セラミックスを作製するとき
に、1次熱処理時の雰囲気を100%窒素とした場合
は、粒界相はSmSiとなり、その抗折強
度は550MPaであった。また、同様に、1次熱処理
時の雰囲気を2vol%He−98vol%Nとした
場合には、粒界相はSm10(SiOとSm
SiONが混在しており、その抗折強度は700MP
aであった。さらに、同様に雰囲気を60vol%He
−40vol%Nとした場合は、粒界相がSmSiO
Nのみとなり、抗折強度は600MPaであった。
【0044】この様に、1次熱処理時の雰囲気によっ
て、形成される粒界相が異なってきてその機械的強度に
影響を及ぼすので、1次熱処理時の雰囲気は、20vo
l%以上の不活性ガスを含む窒素雰囲気にすることが必
要である。不活性ガスの含有量が多くなると、目的とす
る粒界相が形成されなくなるので、その含有量は60v
ol%未満が好ましい。なお、本実施例では、不活性ガ
スとしてヘリウム(He)を用いたが、アルゴン(A
r)でも同様であることを確認した。
【0045】実施例3 実施例1と同様にして平均粒径1.2μmのSi粉末を
準備した。焼結助剤として、平均粒径0.8μmのYb
粉末をSi粉末に対し1.0mol%を用意し
た。焼結助剤粉末は市販のものである。尚、Si粉末表
面の酸素量は、不活性ガス融解、赤外線検出法で測定
し、SiO換算で0.7mol%であることを予め確
認した。準備した各粉末を、実施例1と同様の方法で、
混合、成形を行った。なお、成形体は、実施例1と同様
に2種類とした。その後、30vol%のHeを含有す
るN(30vol%He−70vol%N)雰囲気
中で、900℃の温度で1次熱処理を行った。その後、
雰囲気を大気圧の窒素雰囲気にした後、1200℃に昇
温し3時間保持した後、1400℃に昇温して3時間保
持した。さらに、1800℃に昇温して2時間保持した
後、自然冷却後、実施例1と同様に焼結体の中心部から
抗折試験片を切り出し、仕上加工を行った。
【0046】各焼結体の機械的特性として、JIS R
1601に規定された強度試験片形状に仕上げ、3点
曲げ強度を同規定に基づいて測定した。なお、各焼結体
は、X線回折によって、金属Siは0.1wt%残存し
ていることを確認した。
【0047】得られた焼結体の相対密度はいずれも50
%であった。抗折強度は、5x7mmの成形体からのも
のは、250MPaであり、φ100mmの中心部のも
のは、230MPaであった。また、得られた焼結体の
断面組織を観察したところ、気孔が焼結体の中心部から
表面まで連続していた。また、焼結体のSi粒子
は、六角柱状であり、そのアスペクト比は、3〜4であ
った。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、機械的強度の高い大型
の窒化ケイ素質セラミックスを得ることができる。本発
明の窒化ケイ素質セラミックスは相対密度が95%以上
であり、機械的特性に優れているので、ピストンピン等
の大型形状の安価な自動車部品などに用いることができ
る。また、相対密度が70%以下で連続した開気孔を有
するので、半導体製造装置用フィルターなどに用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の1次熱処理後のSi粉末の断面の模
式図である。
【符号の説明】
1 金属Si粉末粒子 2 粒界相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA03 BA06 BA07 BA08 BA09 BA32 BA62 BA73 BA77 BB03 BB06 BB07 BB08 BB09 BB32 BB51 BC45 BC48 BC52 BC54 BC57 BD03 BD11 BD23 BE26

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒界相が主にRESiまた
    はRE10(SiOで示される酸窒化物ある
    いは酸窒化ケイ素化合物結晶相であり、相対密度が95
    %以上であることを特徴とする窒化ケイ素質セラミック
    ス。
  2. 【請求項2】 粒界相が主にRESiまた
    はRE10(SiOで示される酸窒化物ある
    いは酸窒化ケイ素化合物結晶相であり、相対密度が70
    %以下であることを特徴とする窒化ケイ素質セラミック
    ス。
  3. 【請求項3】 Y、Yb、Sm、Er、Nd、Gdから
    選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴
    とする請求項1または2に記載の窒化ケイ素質セラミッ
    クス。
  4. 【請求項4】 Y、Yb、Sm、Er、Nd、Gdから
    選ばれる少なくとも1種の化合物と、Al、Mg、Ca
    から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有すること
    を特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素質セラミック
    ス。
  5. 【請求項5】 Si粉末の表面またはSi粉末の成形体
    の粒界に、RESi またはRE10(Si
    で示される酸窒化物あるいは酸窒化ケイ素
    化合物結晶相を熱処理によって形成した後、前記粉末又
    は成形体を前記熱処理温度より高温で熱処理することを
    特徴とする窒化ケイ素質セラミックスの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱処理をマイクロ波あるいはミリ波
    照射下で行うことを特徴とする請求項5記載の窒化ケイ
    素質セラミックスの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記Si粉末あるいはSi粉末の成形体
    を800〜1000℃の温度で1次熱処理を行い、次い
    で1200〜1400℃の温度で2次熱処理を行い、次
    いで1400〜1900℃の温度で3次熱処理を行うこ
    とを特徴とする請求項5に記載の窒化ケイ素質セラミッ
    クスの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記1次熱処理における雰囲気が、不活
    性ガスを含有する窒素雰囲気であることを特徴とする請
    求項7に記載の窒化ケイ素質セラミックスの製造方法。
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