JP2003204188A - 耐熱性電磁シールド材 - Google Patents

耐熱性電磁シールド材

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JP2003204188A
JP2003204188A JP2002003071A JP2002003071A JP2003204188A JP 2003204188 A JP2003204188 A JP 2003204188A JP 2002003071 A JP2002003071 A JP 2002003071A JP 2002003071 A JP2002003071 A JP 2002003071A JP 2003204188 A JP2003204188 A JP 2003204188A
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Akihiro Umeda
章広 梅田
Shigeki Kawase
茂樹 河瀬
Naoko Ubukawa
直子 生川
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 調理面が300度近くに上昇することがある
電磁誘導加熱調理器においても使用できる電磁シールド
材を提供する。 【解決手段】 バーマロイ合金等の軟磁性の非晶質合金
粉末を含有した無機の酸化ケイ素を電磁シールド材7と
し、これを成形して、電磁誘導加熱調理器のガラス部材
の表面に処理する。軟磁性粉末を含有させる成形体の主
成分を無機の酸化ケイ素にして、耐熱性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導を利用し
た業務用機器および家庭用機器の内部あるいは表面に形
成された電磁シールド材で、特に、電磁誘導加熱調理器
のように、発熱によって高温となる部材に使用できる耐
熱性の電磁シールド材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子あるいは電気機器を使用する際に発
生する電磁波の漏洩を防止する目的で電磁シールド材が
用いられている。シールドだけを考えれば、合金板や鋼
板も効果がある。しかし、厚い板であれば、板材内部に
流れる渦電流によって電磁シールド材自体が発熱する問
題がある。発熱を抑えるために、例えば特開平6-232587
号公報では、磁性体を樹脂の中に分散させて、薄いシー
ト状に成形するものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、磁性体に粉末を使用していることから電磁シー
ルド材自体の発熱は防止できるものの、樹脂に用いてい
るため、高温での使用ができないという問題があった。
例えば、電磁誘導によって加熱する調理器の場合、調理
面は300℃近くに上昇することがあり、この条件下では
ほとんどの樹脂が溶解あるいは分解してしまう。
【0004】本発明は、前記従来の課題を解決するもの
で、無機成分である酸化ケイ素を用い、その成形体中に
軟磁性粉末を混合させることによって耐熱性を向上させ
た電磁シールド材を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために、本発明の電磁シールド材は、無機成分である
酸化ケイ素を主成分としたものである。酸化ケイ素の成
形体は500℃でも安定であるため、これに磁性粉末を混
合して成形した電磁シールド材は耐熱性が向上する。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、酸化ケ
イ素を主成分とする成形体であって、前記成形体に軟磁
性粉末が含有されたことを特徴とするものである。無機
成分である酸化ケイ素の成形体は500℃でも安定である
ため、それと軟磁性粉末とを混合することによって電磁
シールド材の耐熱性を向上させることができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、軟磁性粉末を含
有した成形体が形成された後、前記成形体上にアルキル
シラン化合物を主成分とした薄膜が形成されたことを特
徴とするものである。酸化ケイ素を主成分とした成形体
の表面には、多数のシラノール基が現れている。このシ
ラノール基とアルキルシラン化合物が脱水反応すること
によって、化学的に結合した薄膜が形成される。この薄
膜は表面に配向したアルキル基によって不活性となり、
汚れ成分のような有機物が付着し難くなる。したがっ
て、本発明によって、電磁シールド材の耐熱性を向上さ
せるだけでなく、汚れの付着を防止できる。
【0008】請求項3に記載の発明は、絶縁性の軟磁性
粉末を混合したものである。絶縁性の軟磁性粉末は電磁
シールド材の電気抵抗を大きくするため、電磁シールド
材の渦電流を生じ難くする。すなわち、これを酸化ケイ
素の成形体に混合させることによって、耐熱性を向上さ
せた電磁シールド材のシールド効果を向上させることが
できる。
【0009】請求項4に記載の発明は、成形体が、金属
アルコキシドの重縮合反応によって形成したものであ
る。酸化ケイ素を主成分とした形成体に軟磁性粉末を混
入させる場合、800℃以上の溶融ガラスに混入させるよ
り、本発明の金属アルコキシドの重縮合物を用いた方
法、いわゆるゾル−ゲル法を用いた方が、常温で成形す
ることができる。すなわち、耐熱性を向上させた電磁シ
ールド材を手軽に形成させることができる。
【0010】請求項5〜6に記載の発明は、軟磁性粉末
が非晶質合金粉末であり、その非晶質粉末が少なくとも
パーマロイ合金またはセンダスト合金であるものであ
る。これらの軟磁性粉末は、高透磁率であるために高い
電磁遮蔽効果があり、低保磁力であるためにヒステリシ
ル損が小さい。すなわち本発明によって、耐熱性を向上
させた電磁シールド材のシールド効果を向上させること
ができる。
【0011】請求項7に記載の発明は、アルキルシラン
化合物が、パーフルオロアルキルアルコキシシランであ
る。フッ化炭素基はメチル基よりもさらに表面エネルギ
ーが小さいため、フッ化炭素基で覆われた表面はさらに
汚れが付着し難い。したがって、本発明により、電磁シ
ールド材の耐熱性を向上させるだけでなく、汚れの付着
の防止効果を向上させることができる。
【0012】請求項8に記載の発明は、電磁誘導加熱調
理器のガラス部材の表面に処理したことを特徴とするも
のである。電磁誘導加熱調理器の一例であるIHクッキ
ングヒーターの斜視図を図1に、断面図を図2に示す。
図1、図2において、電磁誘導加熱調理器1の天面に備
えたトッププレート2の想定据付部3に置いた鍋等の被
加熱調理器具5は、誘導加熱コイル6によって発生する
磁束により加熱される。そして図2では、被加熱調理器
具5以外に電磁波が漏洩するのを防ぐために、トッププ
レート2の想定据付部3以外の表面に電磁シールド材7
が処理されている。この構成の場合、加熱された鍋から
伝わる熱によって、トッププレートも加熱される。しか
し、本発明によれば、熱によって劣化しない電磁シール
ド材であるため、加熱中でも電磁波の漏洩を防止するこ
とができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0014】(実施例1)1000mlのビーカーに、平均粒
系5μmのFe系軟磁性合金粉末300g、テトラエトキシシラ
ン200g、エタノール200gを混合する。次に、エタノール
200g、水50g、塩酸5gによって予め調整した溶液を混合
溶液に攪拌しながら滴下し、1時間さらに攪拌してシリ
カゾル液を得た。次に、300mm×300mmの平板で厚さ4mm
のガラス板をシリカゾル液面に対して垂直になるように
ゆっくり浸漬させる。約10秒後、ガラス板を2.0mm/sの
速度で引き上げた。これを室温で約60分乾燥後、100℃
で10分間、続いて300℃で20分間焼成して、所望の成形
体を得た。
【0015】(実施例2)1000mlのビーカーに、平均粒
系5μmのFe系軟磁性合金粉末200g、平均粒系9μmの絶縁
性Mn-Znフェライト粉末100g、テトラエトキシシラン200
g、エタノール200gを混合する。次に、エタノール200
g、水50g、塩酸5gによって予め調整した溶液を混合溶液
に攪拌しながら滴下し、1時間さらに攪拌してシリカゾ
ル液を得た。次に、300mm×300mmの平板で厚さ4mmのガ
ラス板をシリカゾル液面に対して垂直になるようにゆっ
くり浸漬させる。約10秒後、ガラス板を2.0mm/sの速度
で引き上げた。これを室温で約60分乾燥後、100℃で10
分間、続いて300℃で20分間焼成して、所望の成形体を
得た。
【0016】(実施例3)1000mlのビーカーに、平均粒
系5μmのFe系軟磁性合金粉末300g、テトラエトキシシラ
ン200g、エタノール200gを混合する。次に、エタノール
200g、水50g、塩酸5gによって予め調整した溶液を混合
溶液に攪拌しながら滴下し、1時間さらに攪拌してシリ
カゾル液を得た。次に、300mm×300mmの平板で厚さ4mm
のガラス板をシリカゾル液面に対して垂直になるように
ゆっくり浸漬させる。約10秒後、ガラス板を2.0mm/sの
速度で引き上げた。これを室温で約60分乾燥後、100℃
で10分間、続いて300℃で20分間焼成した。自然冷却
後、組成がCH3(CH2)7C2H4Si(OCH3)3のアルキルシラン化
合物を1%溶解したイソプロピルアルコール溶液に浸漬
後、1.5mm/sの速度で引き上げた。これを100℃で20分間
乾燥して所望の成形体を得た。
【0017】(実施例4)1000mlのビーカーに、平均粒
系5μmのFe系軟磁性合金粉末300g、テトラエトキシシラ
ン200g、エタノール200gを混合する。次に、エタノール
200g、水50g、塩酸5gによって予め調整した溶液を混合
溶液に攪拌しながら滴下し、1時間さらに攪拌してシリ
カゾル液を得た。次に、300mm×300mmの平板で厚さ4mm
のガラス板をシリカゾル液面に対して垂直になるように
ゆっくり浸漬させる。約10秒後、ガラス板を2.0mm/sの
速度で引き上げた。これを室温で約60分乾燥後、100℃
で10分間、続いて300℃で20分間焼成した。自然冷却
後、組成がCF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3のパーフルオロアル
キルアルコキシシラン化合物を1%溶解したイソプロピル
アルコール溶液に浸漬後、1.5mm/sの速度で引き上げ
た。これを100℃で20分間乾燥して所望の成形体を得
た。
【0018】(比較例1)1000mlのビーカーに、テトラ
エトキシシラン200g、エタノール200gを混合する。次
に、エタノール200g、水50g、塩酸5gによって予め調整
した溶液を混合溶液に攪拌しながら滴下し、1時間さら
に攪拌してシリカゾル液を得た。次に、300mm×300mmの
平板で厚さ4mmのガラス板をシリカゾル液面に対して垂
直になるようにゆっくり浸漬させる。約10秒後、ガラス
板を2.0mm/sの速度で引き上げた。これを室温で約60分
乾燥後、100℃で10分間、続いて300℃で20分間焼成し
て、所望の成形体を得た。
【0019】(比較例2)平均粒系5μmのFe系軟磁性合
金粉末と塩化ビニル樹脂を7:3の割合で混合し、二本
ロールを用いて混練した後、混練物をプレスして3mm厚
の成形体を得た。
【0020】以上の、実施例1〜4に使用した金属アル
コキシドは、テトラエトキシシランの他、テトラメトキ
シシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラターシ
ャリーブトキシシラン等のテトラアルコキシシランや、
テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ
イソプロポキシチタン、テトラターシャリーブトキシチ
タン等のテトラアルコキシチタン、テトラメトキシジル
コニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプ
ロポキシジルコニウム、テトラターシャリーブトキシジ
ルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム、トリエ
トキシアルミニウム、トリメトキシアルミニウム、トリ
イソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウ
ム等のトリアルコキシアルミニウム、ブトキシイットリ
ウム等のトリアルコキシイットリウム、およびペンタプ
ロポキシタンタル等のペンタアルコシキタンタルのいず
れか1種類か、あるいは2種類以上を組み合わせたもの
でも良い。
【0021】また、実施例3に使用したアルキルシラン
化合物は、トリメチルメトキシシランまたはトリメチル
エトキシシラン(以下メトキシがエトキシであってもよ
い)、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシ
ラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン等のアルキルシラン化合物であり、実施例4
に使用したパーフルオロアルキルアルコキシシランは、
前記のアルキル基のいくつかがフッ化炭素基に置換され
たものである。例えば、CF3(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)
5(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF
2)7(CH2)2SiCH3(OCH3)2、CF3(CF2)3(CH2)2Si(OCH3)3、C
F3(CF2)7(CH2)2SiCl3等の炭素数が1〜20のシラン化合物
である。
【0022】以上、実施例によって作製した成形体を用
いて、下記の<漏洩磁束試験>と<油汚れの拭き取り試
験>を行った。
【0023】<漏洩磁束試験>図3は電磁誘導加熱調理
器の漏洩磁束の測定方法を示す構成図である。調理器の
内部にはコイル電源8を備えた加熱コイル6が内臓され
ており、その上側はトッププレート2が設置されてい
る。トッププレートの1/3の面積は実施例1〜4および
比較例1、2によって電磁シールド材7で覆われてい
る。電磁シールド材7の切れ目が縁となるように被加熱
調理器5を設置し、被加熱調理器5にはサラダ油を半分
まで入れてから加熱する。また、電磁シールド材7には
温度センサー9が、その上方にはガウスメータの検知端
10が設置されている。該検知端10にはガウスメータ
11が接続されている。以上の設置が完了した時点で加
熱コイルの電源を入れて、20分後の磁気強度と温度を測
定した。その結果を(表1)に示す。
【0024】
【表1】
【0025】<油汚れの拭き取り試験>実施例3、4お
よび比較例1上にサラダ油を1ml程度滴下する。次に、2
50℃の雰囲気下に静置して20分間焼き付けを行う。その
後、脱脂綿で200g/cm2の加重をかけて拭う。以上を一回
として、目視によって汚れが拭き取れなくなるまで試験
を続ける。最初の焼き付け油が拭き取れなかった場合は
0回とする。以上のような回数をもって汚れの付着し難
さの指標とした。その結果を(表2)に示す。
【0026】
【表2】
【0027】(表1)より、実施例1、2の電磁シール
ド材は、高温でも劣化することなく磁束の透過を抑える
ことができた。
【0028】また、(表1)、(表2)より、実施例
3、4の電磁シールド材は、高温でも劣化することなく
磁束の透過を防止することができ、さらに付着した汚れ
を容易に拭き取ることができる。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、数百度
程度の高温時でも使用可能で電磁波の漏洩を防止した耐
熱性の電磁シールド材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例におけるIHクッキングヒーターの斜視
【図2】本発明における耐熱性電磁シールド材を用いた
IHクッキングヒーターの断面図
【図3】本発明の実施例における<漏洩磁束試験>を示
すブロック図
【符号の説明】
1 電磁誘導加熱調理器 7 電磁シールド材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 生川 直子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K051 AB13 AD27 CD42 CD44 5E321 AA23 BB23 BB25 BB33 BB53 BB55 GG05 GH01 GH10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ケイ素を主成分とする成形体であっ
    て、前記成形体に軟磁性粉末が含有されたことを特徴と
    する耐熱性電磁シールド材。
  2. 【請求項2】 軟磁性粉末を含有した成形体が形成され
    た後、前記成形体上にアルキルシラン化合物を主成分と
    した薄膜が形成されたことを特徴とする耐熱性電磁シー
    ルド材。
  3. 【請求項3】 絶縁性の軟磁性粉末を混合した請求項1
    または2に記載の耐熱性電磁シールド材。
  4. 【請求項4】 成形体が、金属アルコキシドの重縮合反
    応によって形成されたことを特徴とする請求項1または
    2に記載の耐熱性電磁シールド材。
  5. 【請求項5】 軟磁性粉末が、非晶質合金粉末である請
    求項1または2に記載の耐熱性電磁シールド材。
  6. 【請求項6】 非晶質合金粉末が、少なくともパーマロ
    イ合金またはセンダスト合金である請求項5記載の耐熱
    性電磁シールド材。
  7. 【請求項7】 アルキルシラン化合物が、パーフルオロ
    アルキルアルコキシシランである請求項2記載の耐熱性
    電磁シールド材。
  8. 【請求項8】 電磁誘導加熱調理器のガラス部材の表面
    に処理したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の耐熱性電磁シールド材。
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