JP2003201867A5 - - Google Patents

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JP2003201867A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 エンジンのスロットル装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルボディと、
前記スロットルボディに回転可能に取り付けられたスロットルシャフトと、
前記スロットルシャフトに設けられたスロットル弁と、
前記スロットルボディに収容されたモータと、
前記スロットル弁の全閉位置を設定する全閉位置設定機構と、
前記モータが非通電時の前記スロットル弁のイニシャル開度位置を前記全閉位置より大きく設定するイニシャル開度設定機構と、
前記モータの出力を前記スロットルシャフトに減速して伝える減速ギヤと、
を備えたエンジンのスロットル装置であって、
前記イニシャル開度設定機構は、
前記スロットルシャフトに回転可能に嵌合された嵌合部材と、
前記嵌合部材を前記スロットル弁の閉方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記嵌合部材が前記スロットル弁のイニシャル開度位置よりも閉方向に回転するのを阻むように前記スロットルボディに設けたストッパと、
前記スロットルシャフトに固定された部材と、
前記嵌合部材と前記スロットルシャフトに固定された部材とが互いに係合するよう付勢する第2の付勢手段とを備え、
前記モータから前記減速ギヤを介してモータ出力が伝えられる前記スロットルシャフトには、前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より開き側に位置するときに、前記第1の付勢手段による閉じ方向の付勢力が作用し、前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より閉じ側に位置するときに、前記第2の付勢手段による開方向の付勢力が作用し、
これにより前記イニシャル開度位置を跨いで前記スロットルシャフトが回転する場合には、前記イニシャル開度位置で前記スロットルシャフトに作用する前記第1と前記第2の付勢手段による前記スロットルシャフトに作用する付勢力の方向が切替わることで、前記スロットルシャフトに作用する付勢力にトルク段差が生じるような構成とされ、
前記スロットル弁の開度が前記イニシャル開度位置より開き側に前記モータにより操作されるときに、前記モータから前記減速ギヤを介して前記スロットルシャフトに伝えられるトルクと前記第1の付勢手段により前記スロットルシャフトに作用するトルクとがバランスすることにより前記スロットル弁の開度が制御されるように前記モータが制御され、
前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より閉じ側に前記モータにより操作される場合には、前記モータは前記第2の付勢手段の付勢力に抗するように制御され、
前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より開き側で開閉するとき、前記スロットルシャフトに固定された部材が前記嵌合部材と係合することで前記嵌合部材が前記スロットルシャフトと一体的に回転する構成としたことを特徴とするエンジンのスロットル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンのスロットル装置において、
前記スロットルボディに前記モータを収容するモータケース部を設け、前記モータケース部に前記モータと前記スロットルシャフトとが並行配置となるように前記モータを収容し、
前記減速ギヤは、前記モータシャフトに設けたモータギヤと前記スロットルシャフトに取り付けられたスロットルギヤと前記両ギヤの間に設けられた中間ギヤとで構成されており、
前記スロットルギヤは、前記モータギヤよりスロットルボディ側に配置されていることを特徴とするエンジンのスロットル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエンジンのスロットル装置において、
前記中間ギヤを支持するシャフトがスロットルボディにより支持されており、
前記中間ギヤは径の大きい第1の中間ギヤと径の小さい第2の中間ギヤからなり、
前記第2の中間ギヤが前記第1の中間ギヤより前記スロットルボディ側に配置されており、前記第1の中間ギヤと前記モータギヤが噛み合い、さらに前記第2の中間ギヤが前記スロットルギヤに噛み合うように構成されており、これにより前記モータの出力は減速されて前記第1の中間ギヤに伝達され、前記第1の中間ギヤと一体に回転する前記第2の中間ギヤに伝達され、前記第2の中間ギヤからさらに減速されて前記スロットルギヤに伝達されるように構成されていることを特徴とするエンジンのスロットル装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエンジンのスロットル装置において、
前記全閉位置設定機構は全閉位置調整ねじを有しており、前記スロットルギヤが前記全閉位置調整ねじに当接することで全閉開度が設定される構造であることを特徴とするエンジンのスロットル装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエンジンのスロットル装置において、
前記スロットルギヤは扇形の形状であることを特徴とするエンジンのスロットル装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのスロットル弁を電気的なアクチュエータにより開度制御するスロットル装置に係り、さらに詳細には、エンジンキースイッチをオフした時のスロットル弁のイニシャル開度をスロットル弁の全閉位置より大きく設定する機構を備えたスロットル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりエンジンのスロットル弁を電気的なアクチュエータにより駆動制御する電子スロットル制御方式では、エンジンキーオフ時(換言すればスロットルアクチュエータ用のモータの非通電時)のスロットル弁のイニシャル開度(本文中ではスロットルイニシャル開度と称することもある)を全閉位置(暖機後の定常アイドル開度)より大きくする技術が提案されている。
【0003】
このようなイニシャル開度設定の理由は、一つに、補助空気通路(スロットル弁をバイパスする空気通路)を設けることなくしてエンジン始動時の暖機前運転(冷寒始動)の燃焼に必要な空気流量確保が挙げられる。なお、アイドリング時には、暖機されるにつれてスロットル弁は、イニシャル開度から全閉位置(通常のアイドル開度)まで絞り込まれていく制御がなされる。
【0004】
イニシャル開度は、その他に、スロットル制御系が万一故障した場合であっても自力走行(リンプホーム)確保或いはエンスト防止の空気流量確保、スロットル弁が粘性物質や氷等でスロットルボディ内壁に固着するのを防止する等の要求に応えるものである。
【0005】
例えば、特許出願公表平2−500677号公報では、スロットル弁を閉じ方向に付勢するリターンスプリング(第1の付勢手段)と、リターンスプリングに抗してスロットル弁を開方向に付勢する対抗ばね(第2の付勢手段;イニシャル開度用スプリング)の力関係を、スロットルイニシャル開度位置で後者の対抗ばねの力をリターンスプリングより大きくし、エンジンキースイッチのオフ時には、この対抗ばねの自由端がイニシャル開度位置でストッパに係止するようにしてスロットルイニシャル開度が保持されるように設定してある。
【0006】
また、特開平3−271528号公報では、スロットルシャフトの一端を支持するスロットルボディ側壁のボス部にリリーフレバーの構成要素であるスリーブ(支持部材)を回転方向にフリーの状態で嵌合し、このリリーフレバーをリターンスプリング(第1の付勢手段)によりスロットル弁の閉方向に付勢し、一方、スロットルシャフトにスロットルレバーを固定し、このスロットルレバーにリリーフレバーをリターンスプリングのばね力により係合させ、モータの非通電時には、上記レバー同士の係合とリターンスプリングの力でスロットル弁を所定位置(スロットル弁の全閉位置より開度の大きい位置)でストッパにより停止させ、且つこの位置で第2の付勢手段を用いてスロットルレバーをスロットル弁の開方向に付勢してスロットルイニシャル開度を保持している。
【0007】
特開平4−203219号公報では、スロットルシャフトの一端に該シャフトと交わる形でレバーを固定し、このレバーの一端にリターンスプリング(第1の付勢手段)によりスロットル弁を閉方向に付勢する力を与え、レバーの他端に第2の付勢手段によりスロットル弁をスロットル全閉付近で開方向に付勢する力を与えるようにしてある。この第2の付勢手段の力を所定開度以下(スロットルイニシャル開度以下)では、第1の付勢手段の力より大きくすることで、スロットルイニシャル開度を保持するようにしてある。
【0008】
これらの従来例では、スロットル弁の開度制御を行う場合には、制御系から送られる制御信号に基づきモータの駆動制御により行われ、スロットルイニシャル開度よりスロットル開度を小さくしようとする場合には、モータによる駆動トルクが第2の付勢手段に抗してスロットル弁の閉方向に働くことで行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この種のイニシャル開度設定機構は、例えば、特開平3−271528号公報のように、スロットルシャフトの一端側の軸回りにリリーフレバーや、これと係合するスロットルレバー,第1,第2の付勢手段,ストッパ等を配置すれば、部品の集約化を図れるものの、従来方式は、リリーフレバーの要素となるスリーブ(支持部材)がスロットルボディ側壁のボス部に嵌合されているため、上記スリーブがスロットル開度制御時にスロットルシャフトの回転に追従して動作すると、ボス部外周を摺動するために、スリーブ・ボス部間にフリクションが発生する構造となっている。フリクションは、リターンスプリングやモータ駆動の負担となるために、できるだけ低減することが望まれる。
【0010】
また、スロットル弁を閉方向に付勢する第1の付勢手段(リターンスプリング)とスロットル弁を開方向に付勢する第2の付勢手段(イニシャル開度用スプリング)は、スロットルイニシャル開度位置で余力を持たすために、いずれのスロットルシャフトの軸トルクT1,T2(T1は第1の付勢手段により与えられるイニシャル開度位置でのスロットル弁閉方向の軸トルク,T2は第2の付勢手段により与えられるイニシャル開度位置でのスロットル弁開方向の軸トルク)共に、
【0011】
[数1]
T1>Mf×Ge+Vf, T2>Mf×Ge+Vf
(ここで、Mf;モータ静止摩擦トルク、Ge;減速比、Vf;スロットル弁を開かせるためのスロットルシャフト上での必要トルク)の関係を満足させるのが一般的な考えであった(なお、特許出願公表平2−500677号、特開平4−203219号では、スロットル全閉近くの所定開度以下ではT1<T2を成立させ,一方、特開平3−271528号では、イニシャル開度ストッパで第1付勢手段(リターンスプリング)の力を受け止めるために、スロットルイニシャル開度位置では、T2の力をT1に拘束されないで設定可能であるため、T1≧T2の成立も可能な構造であるが、いずれにせよ、これらは、上記数1式を前提として成立させているものである)。
【0012】
ところで、T1はスロットル弁を閉じる方向の軸トルク、T2はスロットル弁を開く方向の軸トルクであるため(ここではT1を正方向の向き、T2を負方向の向きとする)、第1,第2の付勢手段によるスロットル軸トルクはスロットルイニシャル開度位置を境に急変する軸トルク段差T1−(−T2)が発生する。この軸トルク段差が大きいほど、スロットル開度制御が行ないにくくなるために、スロットル制御精度を高めるためにも、軸トルク段差を極力小さくすることが好ましい。
【0013】
本発明は以上のような諸々の点に鑑みてなされ、その目的は、基本的には、スロットル弁のイニシャル開度設定機構の搭載上の合理性を高めることで、機構上のフリクションの低減,付勢手段の特性改善(例えば、リターンスプリング等のばね特性の改善)を図ることにより、スロットルアクチュエータ駆動の負担の軽減、スロットル制御動作の安定化を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
スロットルボディと、
前記スロットルボディに回転可能に取り付けられたスロットルシャフトと、
前記スロットルシャフトに設けられたスロットル弁と、
前記スロットルボディに収容されたモータと、
前記スロットル弁の全閉位置を設定する全閉位置設定機構と、
前記モータが非通電時の前記スロットル弁のイニシャル開度位置を前記全閉位置より大きく設定するイニシャル開度設定機構と、
前記モータの出力を前記スロットルシャフトに減速して伝える減速ギヤと、
を備えたエンジンのスロットル装置であって、
前記イニシャル開度設定機構は、
前記スロットルシャフトに回転可能に嵌合された嵌合部材と、
前記嵌合部材を前記スロットル弁の閉方向に付勢する第1の付勢手段と、
前記嵌合部材が前記スロットル弁のイニシャル開度位置よりも閉方向に回転するのを阻むように前記スロットルボディに設けたストッパと、
前記スロットルシャフトに固定された部材と、
前記嵌合部材と前記スロットルシャフトに固定された部材とが互いに係合するよう付勢する第2の付勢手段とを備え、
前記モータから前記減速ギヤを介してモータ出力が伝えられる前記スロットルシャフトには、前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より開き側に位置するときに、前記第1の付勢手段による閉じ方向の付勢力が作用し、前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より閉じ側に位置するときに、前記第2の付勢手段による開方向の付勢力が作用し、
これにより前記イニシャル開度位置を跨いで前記スロットルシャフトが回転する場合には、前記イニシャル開度位置で前記スロットルシャフトに作用する前記第1と前記第2の付勢手段による前記スロットルシャフトに作用する付勢力の方向が切替わることで、前記スロットルシャフトに作用する付勢力にトルク段差が生じるような構成とされ、
前記スロットル弁の開度が前記イニシャル開度位置より開き側に前記モータにより操作されるときに、前記モータから前記減速ギヤを介して前記スロットルシャフトに伝えられるトルクと前記第1の付勢手段により前記スロットルシャフトに作用するトルクとがバランスすることにより前記スロットル弁の開度が制御されるように前記モータが制御され、
前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より閉じ側に前記モータにより操作される場合には、前記モータは前記第2の付勢手段の付勢力に抗するように制御され、
前記スロットル弁が前記イニシャル開度位置より開き側で開閉するとき、前記スロットルシャフトに固定された部材が前記嵌合部材と係合することで前記嵌合部材が前記スロットルシャフトと一体的に回転する構成としたことを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、エンジンキースイッチオフ状態(モータ非通電時)には、第1の付勢手段の力(閉弁力)が前記嵌合部材,スロットルシャフト固定の係合部材を介してスロットルシャフトに与えられ、前記嵌合部材がスロットルイニシャル開度位置でストッパに係止し、さらに、第2の付勢手段の力(開弁力)がスロットルシャフトに作用することで、スロットル弁は全閉位置より開度を大きくしたイニシャル開度位置に保持される。
【0016】
また、スロットルイニシャル開度以上の領域で、モータによりスロットル弁を開度制御する場合には、通常は嵌合部材がスロットルシャフトに乗った状態でスロットルシャフトと一体的に動作するので、スロットシャフト・嵌合部材間にはほとんどフリクションが発生しない。そのため、第1の付勢手段の力(ばね荷重)を小さくし、ひいては要求されるスロットル軸トルクT1の軽減を図ることで、モータ駆動の負担を小さくする。さらに、スロットル軸トルクのスロットルイニシャル開度位置を境にして発生する軸段差トルクT1−(−T2)も小さくすることで、スロットル駆動制御の安定性を高める。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0018】
図1は第1の実施形態に係わるスロットル装置を示す縦断面図、図2はそのA方向矢視図、図3は分解斜視図、図4は要部断面図である。
【0019】
これらの図において、スロットルボディ15は、例えばアルミダイカスト製であり、内部に吸気通路(ボア)30が形成される。スロットルボディ15には、吸気通路30と直交してスロットルシャフト18が貫通し軸受28,29を介して回転自在に支持され、スロットルシャフト18に吸気通路30内の吸入空気量を制御するスロットル弁24が固着される。26はエンジン冷却水をスロットルボディ1に通すパイプであり、スロットルボディ26をエンジン冷却水温度に管理する。
【0020】
スロットルボディ15の側壁のうちスロットルシャフト18と直交する左右の側壁面には、一方側の面に軸受29及びシール32を収容する軸受収容部15Cと、電子スロットル制御系の駆動用のギヤ群を収容するケース部15Aとがボディ15と一体に形成され、その反対側の面に軸受28及びシール31を収容する軸受収容部15Dと、リンプホーム機構及びスロットル弁のイニシャル開度設定機構を収容するケース部15Bとが配設してある。
【0021】
リンプホーム機構は、電子スロットル(アクチュエータやその制御系)が故障した場合に、機械的なアクセル機構で応急的な自力走行を可能にするためのものである。イニシャル開度設定機構は、エンジンキーをオフにした時(モータ非通電時)のスロットル弁24のイニシャル開度を設定するためのものである。スロットル弁のイニシャル開度は、例えば5°(±0.2°)に設定され、スロットル弁の全閉位置の開度(スロットル弁全閉位置とは、アイドル空気流量を確保し得る開度に相当する)より大きく設定される。このリンプホーム機構及びイニシャル開度設定機構の構成については後述する。イニシャル開度を設定する理由については既述したので省略する。
【0022】
ギヤ群収容ケース部15Aは、ねじ止めにより脱着可能なカバー21により被われて、内部20にスロットル駆動系のギヤ11,9A,9B,10等を収容する。一方、ケース部15Bはアクセルレバー1,1′やアクセルシャフト34,アクセルポジションセンサ13等を備えたねじ止めにより脱着可能なカバー22により被われる。
【0023】
アクセルカバー22は、カバー22を貫通するアクセルシャフト34を軸受93,94を介して支持するボス部90を有し、アクセルシャフト34の一端にアクセルワイヤ結合部33付きの第1のアクセルレバー1が固定配置してある。
【0024】
ボス部90外周にスプリング支持部材91が嵌装してある。アクセルシャフト34の他端はカバー22内に導入されて、このシャフト34の他端に第2のアクセルレバー(カムレバー)1´が固定配置される。これらのレバー1,1´の固定配置はアクセルシャフト34の両端に配設した締め付けナット35,92とシャフト34の段差部との間の挾持を利用して行われる。
【0025】
スプリング支持部材91の外周には、コイル形の捩じればねで構成したアクセル用リターンスプリング8が装着される。リターンスプリング8は、一端が第1のアクセルレバー1側に接続され、他端がカバー22側に接続され、アクセルシャフト34,アクセルレバー1,1´を閉方向に付勢する。アクセルレバー1,1´は、アクセルペダルを踏み込むことでワイヤ44を介してリターンスプリング8の力に抗して開方向に回転する。
【0026】
ただし、スロットルシャフト18をモータ12により電動回転させている場合には、カム形のアクセルレバー1´はスロットルシャフト18に動力を伝達することはない。95はシール部材である。
【0027】
スロットルボディ15の側壁の一部(図1では下部)にはモータケース部15Eがスロットルシャフト18と平行配置の態様で設けられ、モータケース部15Eに電子スロットル用のアクチュエータとなるモータ12が収容される。モータ12は、直流モータ,ステッピングモータ等が使用される。
【0028】
モータケース部15Eの内周はテーパ形状を呈して、モータ12を挿入し易くし、ケース部15Eの奥端に弾性部材27を介在させ、ケース開口部にモータ止め板96を配置し、ねじ97の締め付けで、弾性部材27及び止め板96がモータ12を挾持している。
【0029】
モータ12のシャフト12Aに設けたモータギヤ(ピニオンギヤ)11が中間ギヤ9Aと噛み合う。中間ギヤ9Aはモータギヤ11よりギヤ比を大きくして減速及びトルク増大の機能を成し、この増大された回転トルクがさらに中間ギヤ9,スロットルギヤ10を介してスロットルシャフト18に伝達される。
【0030】
中間ギヤ9A,9Bは一体型で、スロットルシャフト18と平行配置のギヤ支持用シャフト25に回転可能にフリーに嵌合されている。このギヤ支持用シャフト25は、一端がスロットボディ15の側壁の穴部98に圧入で支持され、中間ギヤ9が該シャフト25より外れないよう、ナイロンワッシャ100を介してカバー21で押さえている。
【0031】
スロットルギヤ10はスロットルシャフト18の一端にナット23の締め付けにより固着されている。スロットルギヤ10は、一例として図3に示すような扇形ギヤを使用し、スロットル弁の閉方向に回転していくと、最終的にはその一辺がスロットルボディ15の側壁に設けたスロットル全閉位置調整ねじ(アイドル開度調整ねじ;第1のストッパ)7に当接することで、スロットルシャフト18のそれ以上の閉方向の回転を規制し、スロットル弁24の全閉位置を決定するようにしてある。スロットル弁全閉位置は、暖機後のアイドル空気流量を確保し得る最小開度に設定される。
【0032】
本実施形態のスロットル装置は、電子スロットル方式を採用するため、スロットル制御系の駆動用モータ12が正常に作動している限り、モータ12の動力で上記ギヤ機構を介してスロットルシャフト18に回転トルクが与えられる。
【0033】
モータ12へは、図示されないスロットルコントロールモジュール(TCM)から駆動電流が供給される。TCMは上記駆動電流指令値を次のようにして作成する。すなわち、アクセルポジションセンサ(図5に示すアクセルペダル53の踏み込み量を検出するもので、以下、アクセルセンサと称することもある)13からのアクセルポジション信号及びスロットルポジションセンサ(以下、スロットルセンサと称することもある)からのスロットル開度信号やエンジン回転数,スリップ信号等を入力して、通常のエンジン運転制御やトラクション制御等に運転形態に応じたものを作成する。
【0034】
スロットル制御系が正常に作動している限りは、アクセルペダル53からの機械的動力がスロットルシャフト18に伝わらないようにするため、スロットルシャフト18とアクセルシャフト34とは別体でオフセット配設してあり、スロットルシャフト18,アクセルシャフト34間にリンプホーム機構の要素となるアクセルレバー1´とレバー2とを介在させている。
【0035】
ここで、リンプホーム機構及びイニシャル開度設定機構について説明する。これらの機構は、本例では、スロットルボディ15を挾んでスロットル駆動系のギヤ機構を設けた側と反対側に配置してある。
【0036】
イニシャル開度設定機構は、スロットルシャフト18の一端に該シャフトに対して回転可能に嵌合されたレバー2〔特許請求の範囲中に記載のレバーA或いはリターンレバーに相当し、以下レバー(A)2とする〕付きスリーブ42と、レバー(A)2付きスリーブ42をスロットル弁24の閉方向に付勢するリターンスプリング(第1の付勢手段)4と、スロットルシャフト18の一端に固定されリターンスプリング4のばね力により前記レバー(A)2と係合可能なレバー3〔特許請求の範囲中に記載のレバーB或いはスロットルレバーに相当し、以下レバー(B)3とする〕と、モータの非通電時(エンジンキースイッチオフ時)にレバー(A)2付きスリーブ42をイニシャル開度位置で閉じ方向の回転を阻むイニシャル開度調整ねじ(第2のストッパ)6と、スロットルシャフト18にイニシャル開度を保つための開弁力を付与するイニシャル開度用スプリング(第2の付勢手段)5とで構成される。
【0037】
これらの要素の具体的な実装構造を図3,図4により説明する。
【0038】
図3に示すように、スロットルシャフト18は、少なくとも一端が平行な2面を有する扁平形状を呈し、このシャフト18一端にスペーサ50がシャフト段差部18´にあてがわれるようにして挿入され、次いでワッシャ51が挿入された後、イニシャル開度用スプリング5付きチップ38が係合状態で挿入され、次いでナイロンワッシャ43の後にレバー(A)2付きスリーブ42がスリーブ45を介して遊嵌され、さらにレバー(B)3がスロットルシャフト18に係合状態で挿入され、最後にワッシャ46を介してナット47が締め付けてある。
【0039】
図4(a)に示すように、スリーブ(第1のスリーブ)45は、ナット47の締め付けにより一端がチップ38に当接し、他端がレバー(B)3に当接することで、スロットルシャフト18外周に固定される。ナット47の締め付け力はレバー(B)3,スリーブ45,チップ38に与えられ、スリーブ45外周に嵌合したレバー(A)2付きのスリーブ(第2のスリーブ)42には、締め付け力が加わらないようにして、スリーブ42のスロットルシャフト18及びスリーブ45に対する相対回転を可能にしている。
【0040】
図4に示すようにスリーブ42の内面に、例えばふっ素系樹脂コーティングのような固体潤滑部材(ドライベアリング)52を施してある。
【0041】
レバー(A)2は、図3に示すように腕部2A〜2Dを有し、中央の取付穴2Eがスリーブ(嵌合部材)42外周に挿通されて加締めにより金属製のスリーブ42と一体化されている。
【0042】
レバー(A)2の腕部2Aがレバー(B)3と係合可能とし、腕部2Bの一部となる突起(ロールピン)2B′がアクセルレバー(カムレバー)1′と係合可能とし、腕部2Cの一部となる突起2C′にイニシャル開度用スプリング5の一端5Aが係止(接続)し、腕部2Dがスロットルボディ18の側壁に設けたイニシャル開度調整ねじ(ストッパ)6と係合可能に設定してある。イニシャル開度用スプリング5の他端5Bはチップ38と接続されている。
【0043】
本例ではリターンスプリング4,イニシャル開度用スプリング5のいずれも渦巻ばねを使用する。
【0044】
リターンスプリング4は、一端4Bがスリーブ42に、他端4Aがスロットルボディ15側壁に設けたピン37に係止しており、リターンスプリング4のばね力を受けてレバー(A)2の腕部2Aがレバー(B)3に係合する。この係合により、リターンスプリング4がスロットルシャフト18ひいてはスロットル弁24を閉じ方向に付勢する。
【0045】
ここで、本実施形態の動作例を図5の原理図及び図6,7を参照しながら説明する。
【0046】
リターンスプリング4の閉じ方向の力により、エンジンのキーオフ時(モータ非通電時)には、レバー(A)2がレバー(B)3を介してスロットルシャフト18を閉じ方向に付勢して、スロットル弁24がイニシャル開度に相当する位置まで戻される。イニシャル開度位置で、レバー(A)2は腕部2Dがストッパ6に当接し、それ以上の閉方向の回転が阻まれる。
【0047】
ストッパ6の存在により、リターンスプリング4のばね力をスロットル弁のイニシャル開度θ2から全閉位置までは効かせず、この全閉位置付近(全閉〜イニシャル開度θ2の間)では、既述したイニシャル開度用スプリング5を効かせる(スロットルシャフト18に開弁力を付与する)ことで、スロットル弁24のイニシャル開度が保たれる。
【0048】
イニシャル開度位置におけるリターンスプリング4の閉方向の付勢力P1とイニシャル開度用スプリング5の開方向の付勢力P2はP1≧P2、換言すればP1による閉方向の軸トルクT1とP2による開方向の軸トルクT2とがT1≧T2となるように成立させている。
【0049】
このイニシャル開度を保つことで、寒冷時の暖機前運転であってもスロットル弁が万一氷着していてもエンジン始動に必要な空気流量を確保することができる。
【0050】
スロットル弁24を全閉位置に制御する場合(暖機後のアイドル運転を行なう場合)には、アイドル制御指令値に基づくモータ12の動力でスロットルシャフト18をイニシャル開度用スプリング5のばね力に抗して閉方向に回転させる。
この時、イニシャル開度〜全閉位置の範囲では、レバー(B)3が図5の破線3′に示すようにレバー(A)2からの係合を離脱してスロットルシャフト18と一体に弁閉動作する。
【0051】
イニシャル開度θ2以上の範囲でスロットル弁24を開度(開閉)制御する場合には、通常の運転状態では、モータ12の動力をギヤ機構9〜11を介してスロットルシャフト18に伝達し、この力とリターンスプリング4のばね力とのバランスにより制御される。この時,レバー(A)2とレバー(B)3とは係合して、レバー(A)2付きスリーブ42は、スリーブ45を介してスロットルシャフト18に乗りながら該シャフト18と一体的に回転する。
【0052】
トラクション制御の状態にある時、例えばスリップが生じて、運転者がアクセルペダル53を目一杯踏んでおり、アクセルレバー1′の回動変位が大きく、一方、TCMの指令によりスリップ防止のためにモータ12がスロットル弁24を閉じ方向に制御する場合には、レバー(A)2は戻り過程でアクセルレバー1′に係止してそれ以上の閉方向の回転を阻止される。このような状態が生じても、レバー(B)3がレバー(A)2から離脱してスロットルシャフト18と共に一体にイニシャル開度用スプリング5の力に抗して閉方向に回転して、スロットル弁24の閉方向制御(トラクション制御)が支障なく行われる。
【0053】
トラクション制御を行なっている場合、上記のようなレバー(A)2がアクセルレバー1´と係止する状態が生じると、リターンスプリング4のばね力がレバー(A)2を通してアクセルレバー1′に衝撃となって加わる現象(キックバック現象)が生じる。
【0054】
このキックバックは、アクセルペダル53を踏み込んでアクセルシャフト34が図6(a)に示すようにθ1以上〔θ1はアクセルペダルの踏み込みによりアクセルシャフト34が回動してアクセルレバー1´がリンプホーム時にスロットルシャフト18側のレバー(A)2と係合可能な状態となる角度である〕になると生じるが、縦軸をスロットル開度,横軸をアクセル開度(アクセルシャフトの回転角度)としたカム特性の傾きが小さくなるほど、トラクション制御(特にキックバックが生じる状況)の場合にリターンスプリングのばね荷重の小さい位置でこのばね力をアクセルレバー1´が受けることになるのでキックバックを小さくできる。
【0055】
ただし、リンプホーム時の自力走行に必要なアクセル開度θ3を確保する必要があるので、アクセルレバー1´のカム形状を利用して、図6(a)の破線に示すように、上記のカム特性(スロットル開度−アクセル開度特性)の途中だけを直線勾配よりも小さくなる非線形特性にした。
【0056】
本例では、図6(b)に示すようにθ1=30°、θ2(イニシャル開度)=5°、リンプホームに必要なスロットル開度θ3(リンプホームに必要なスロットル開度)=7°に設定した。
【0057】
スリーブ42はスロットル弁24のイニシャル開度θ2〜全閉位置までは、スリーブ45上を相対回転し、また、上記のようにトラクション制御の場合にも、スリーブ45上を相対回転することもあり得る。その摺動によるフリクションを固体潤滑部材52により低減させている。
【0058】
リンプホーム機構は次のように動作する。
【0059】
スロットル制御系やモータ12の故障時には、リターンスプリング4のばね力でスロットル弁24がイニシャル開度位置まで戻される。この状態で、アクセルペダル53をθ1以上踏み込むと、アクセルシャフト34のスロットルシャフト18に対する相対回転によりアクセルレバー1のカムループ1´Aがレバー(A)2に係合し、レバー(A)2を図5の一点鎖線に示すように、スロットル弁の開方向に回動させる。スロットルシャフト18及びレバー(B)3は、イニシャル開度用スプリング5の力でレバー(A)2の開方向の回動に追従し、スロットル弁24が開き、アクセルペダルによる自力走行(リンプホーム)が可能になる。
【0060】
この場合、リンプホームの動作を保証するために、リターンスプリング4の付勢力P1による軸トルクT1については、少なくともイニシャル開度θ2〜スロットル全開位置で下記式の条件を満足すること、イニシャル開度用スプリング5の付勢力P2による軸トルクT2については、少なくともスロットル全閉位置〜リターンホーム走行領域までは、下記の条件を満足させることが必要となる。
【0061】
[数2]
T1>Mf×Ge+Vf
T2>Mf×Ge+Vf
の条件を満たすことが必要となる。
【0062】
本実施形態の効果は次の通りである。
【0063】
a.スロットルシャフト駆動に使用されるレバー(A)2付きスリーブ42は、イニシャル開度〜スロットル全開位置の大部分の開度領域で例外的な場合(トラクション制御でアクセルペダルを目一杯踏んだ状態でスロットル弁をモータで絞り込んだ時)を除いて、スロットルシャフト18に乗った状態でスリーブ45と一体的に回転するので、スリーブ42・スリーブ45間のフリクションをほとんどなくすことができる。
【0064】
したがって、リターンスプリングの力P1を小さくし、ひいては要求されるスロットルシャフト18の軸トルクT1を軽減し、モータ駆動の負担を小さくする。さらに、スロットル軸トルクのスロットルイニシャル開度位置を境にして発生する軸段差トルクT1−(−T2)も小さくすることで、スロットル駆動制御の安定性を高める。
【0065】
b.イニシャル開度設定機構の構成要素となる部品〔スペーサ50、ワッシャ51、イニシャル開度用スプリング5付きチップ38、スリーブ45、リターンスプリング4及びレバー(A)2付きスリーブ42、レバー(B)3等〕は順次スロットルシャフト18に挿入し、ナット締め付けだけで組立可能なので、実装作業の合理化を図ることができる。
【0066】
c.イニシャル開度設定機構,リンプホーム機構,スロットルセンサ13,アクセルセンサ14,ケース部15Bのカバー22等を集約的に配置し、しかも、その機構部品の一部について共通化を図ることで、部品点数及び構造の合理化を図り、装置の小形化を可能にする。また、リターンスプリング4,イニシャル開度用スプリング5に渦巻ばねを使用するので、より一層の装置のコンパクト化を図り得る。
【0067】
なお、渦巻ばねを使用した場合には、ばね定数の小さいものを設計し易く、モータ12の負担軽減を助長する。
【0068】
d.全閉位置設定機構のストッパ(アイドル開度調整用のねじ)7とイニシャル開度設定機構のストッパ(イニシャル開度調整ねじ)6とがいずれも開度を自在に設定でき、しかも、双方のストッパがスロットルボディ側壁の互いに反対側の面に設けていることから、側壁の向きやギヤ機構,イニシャル開度機構の存在から両者のストッパを容易に迷うことなく識別することができ、両者のストッパの誤認をなくして、調整の誤りを防止できる。
【0069】
また、減速ギヤ機構のうち扇形ギヤ10の一辺に全閉位置設定機構のストッパ(アイドル開度調整ねじ)7を当接可能にすることで、スロットルシャフト側のストッパ係止部材としてギヤの一部を兼用できる。
【0070】
e.リンプホーム機構とイニシャル開度機構を混在させても、トラクション制御時にリンプホーム機構によってスロットルシャフトの動作が邪魔されることなくスムーズに行うことができる。
【0071】
また、リンプホーム機構のアクセルレバー1´の特性を図6(a)の破線に示すような非線形特性とすることで、トラクション制御時のキックバックの発生を抑制することができる。
【0072】
次に図8〜図10により第2の実施形態について説明する。図8は第2実施形態の縦断面図、図9はその要部分解斜視図、図10は要部断面図である。
【0073】
本実施形態と第1の実施形態の原理構成は同様であり、異なる点は、その使用部品の一部を変更した点にあり、ここでは、この相違点だけを述べる。なお、図中、図1と同一符号は同一要素を示す(以下の図面でも同様である)。
【0074】
本例では、リターンスプリング及びイニシャル開度用スプリングについては、前者をコイル形の捩じれスプリング63を使用し、後者をコイル形の捩じれスプリング64を使用する。
【0075】
スロットルシャフト18の一端には、レバー(B)3の他に符号3´で示すもう一つのレバーB´〔以下、レバー(B´)3´と称する〕が固定配置され、これらの固定レバー3,3′の間にナット47の締め付けでシャフト18に固定されたスリーブ45が配置され、スリーブ45外周にレバー(A)2付きスリーブ42がスリーブ45に対して回転可能に嵌合されている。
【0076】
スロットルシャフト18上のスリーブ42の外周には、軸方向に2分割されたフランジ付きスプリングホルダー61,62が回転方向にフリーな状態で配置される。
【0077】
スプリングホルダー61,62には、図10に示すようにスリーブ42外周に嵌合する内筒部61A,62A及びスプリングセット空間を内側,外側の2つに仕切る外筒部61B,62Bを有し、本実施例では、内側のセット空間にリターンスプリング63が配置され、外側のセット空間にイニシャル開度用スプリング64が配置される。
【0078】
また、スプリングホルダー61,62には、図9に示すように内側配置のリターンスプリング63の端部63A,63Bを外部に引き出すための切欠き(ばね端引出部)67,68が形成してある。このうち、リターンスプリング63の一端63Aは切欠き68を通してスロットルボディ15側壁に設けたピン37に係止し、他端63Bは切欠き67を通してレバー(A)2の腕部2Dに係止する。
【0079】
外側配置のイニシャル開度用スプリング64の一端64Aはスロットルシャフト18に固定のレバー(B´)3´に係止し、他端64Bはレバー(A)2の腕部2Dに係止する。
【0080】
本実施形態では、リターンスプリング63によりレバー(A)2の腕部2Aがスロットルシャフト18に固定されたレバー(B)3に係合して、スロットルシャフト18がスロットル弁24の閉じ方向に付勢される。レバー(A)2がイニシャル開度調整ねじ6の当接してそれ以上の閉方向の回転を阻まれることは、第1の実施形態と同様である。
【0081】
イニシャル開度用スプリング64は、レバー(B´)3´を介してスロットルシャフト18に全閉位置付近でイニシャル開度を保持できるよう開弁方向に付勢する。
【0082】
なお、分割されたスプリングホルダー61,62は、上記したスプリング63,64の力を軸方向に受けてレバー3,3´に圧接する。
【0083】
本実施例によれば、第1実施形態同様の効果に加えて次のような効果を奏する。
【0084】
f.スプリングホルダー61,62を軸方向に2つに分割し、且つ、ホルダー61,62に仕切壁(外筒部)62A,62Bを有することにより、リターンスプリング63,イニシャル開度用スプリング64を干渉させることなく内側,外側の2重配置構造として、部品の集約化を図りつつ容易にスプリングホルダーに装着できる。
【0085】
g.また、内側がリターンスプリング63、外側がイニシャル開度用スプリング64にすることで、内側配置のリターンスプリング63の方がコイル径を小さくしてばね定数を小さくできるので、ばね特性(縦軸がばね荷重−横軸がスロットル弁の開度)をできるだけ横ばいにすることができ、その結果、スロットル駆動アクチュエータの負担軽減を図れる。
【0086】
なお、リターンスプリング63を外側配置,イニシャル開度用スプリング64を内側配置にしてもよい。
【0087】
次に図11,図12により第3の実施形態について説明する。
【0088】
図11は第3実施形態の要部断面図、図12はその分解斜視部である。なお、図11,図12には、図示していないが、第1,第2実施形態で用いたスロットルボディの吸気通路30,スロットル弁24の取付け構造,ギヤ機構9A,9B,10,11やアクセルカバー22のアクセルシャフト34,レバー1,1´の取付け構造等は前の実施形態同様である。
【0089】
本実施形態は、リターンスプリング,イニシャル開度用スプリングの一方をコイル形の捩じればねとし、他方をうず巻ばねとする。ここではコイル形捩じればねによるリターンスプリング63と、渦巻ばねによるイニシャル開度用スプリング5を使用する。
【0090】
また、レバー(A)2付きのスリーブを今までのスリーブ42に代わりスリーブ70を使用する。
【0091】
スリーブ70は、レバー(A)2の他に、図11(a),(b)に示すように、スリーブ45に回転可能に嵌合される内筒部70Aとその外側に配置される外筒部70Bとで構成される。
【0092】
内筒部70Aは外筒部70Bより筒長を短くして、その筒長の短くなった分のスリーブ70内部空間を利用してイニシャル開度用スプリング5をチップ38を介してスロットルシャフト18上にセットし、その一端5Aを図12に示すようにホルダー70に設けた切欠き70Cに係止させている(他端5Bは、チップ38に係止する)。
【0093】
スリーブ70の外筒部70Bには軸方向に2分割されたスプリングホルダー71,72が嵌装される。
【0094】
リターンスプリング63は、スプリングホルダー71,72に支持されて、その一端63Aがホルダー72に設けた切欠き72Aを通してスロットルボディ15のピン37に係止し、他端63Bがレバー(A)2の腕部2Dに係止する。
【0095】
本実施形態も第1実施形態同様の効果を奏し、さらに、次のような効果を奏する。
【0096】
h.リターンスプリングとイニシャル開度用スプリングとにコイル形の捩じればね,渦巻ばねの異なるタイプのばねを使用した場合であっても、それらのばねを一つのスリーブに集約配置でき、装置のコンパクト化を図れる。
【0097】
図13は第4の実施形態の分解斜視図、図14はその要部断面図である。
【0098】
本実施形態は、リターンスプリング,イニシャル開度用スプリングの一方を渦巻ばねとし、他方を引っ張りばねとしたタイプであり、イニシャル開度設定機構について、本実施例ではボディのコンパクト化を図り、スロットル駆動系のギヤ機構側に配置したものである。ギヤ機構については、スロットルギヤ10のみを図示し、ギヤ9A,9B,11については図示省略した。
【0099】
本例では、図13に示すように、スロットルシャフト18のギヤ機構側の一端にスロットルギヤ10に次いでレバー(B)3を固定配置し、次いでワッシャ51,リターンスプリング4及びレバー(A)2付きのスリーブ42,ワッシャ51′,スリーブ45を挿入し、ナット23で締め付ける。リターンスプリング4は渦巻ばねを使用する。イニシャル開度用スプリングについては、後述するように引っ張りばねを使用する。
【0100】
既述した各実施形態と同様にスリーブ45はナット23の締め付けとスロットルシャフト段差18′との相互作用でスロットルシャフト18上に固定されており、このスリーブ45外周にスリーブ42がスリーブ45及びシャフト18に対して回転可能に嵌合される。
【0101】
リターンスプリング4は一端4Aが図14(a)に示すようにスロットルボディ15に固定配置したピン37に係止し、他端がスリーブ42に係止して、スリーブ42及びレバー(A)2をスロットル弁の閉じ方向に付勢している。
【0102】
一方、レバー(B)3は、その腕部3Aが上記のレバー(A)2の腕部2Aと係合可能とし、腕部3Bにイニシャル開度用スプリング85の一端85Bが係止する。イニシャル開度スプリング85は、一端がレバー(A)2の腕部2Cに係止し、他端がレバー(B)3の腕部3Bに係止する。
【0103】
本実施形態においても、イニシャル開度設定動作については、既述した実施形態同様で、エンジンキーオフ時には、リターンスプリング4のばね力がレバー(A)2,レバー(B)3の係合を介してスロットルシャフト18に伝達され、イニシャル開度位置でレバー(A)2の腕部2Dが調整ねじ6に当接し、この時のイニシャル開度用スプリング85の力でスロットル弁のイニシャル開度が保持される。
【0104】
この位置からモータ(スロットルアクチュエータ)をイニシャル開度用スプリング85の引っ張り力に抗して閉じ方向に駆動させれば、調整ねじ7の位置でスロットル弁の全閉制御がなされる。
【0105】
スロットルセンサ14も、このギヤ機構側のスロットルボディ側壁面に配置してある。
【0106】
本実施形態でも、基本的には、既述の各実施形態同様の効果を奏し得るが、さらに次のような効果を奏する。
【0107】
i.スロットル駆動系のギヤ機構とイニシャル開度機構とを集約配置することができる。ギヤ機構とリターンスプリング,イニシャル開度用スプリングとをシャフト18の近い位置に配置したので、互いに作用し合う反対方向のトルクの軽減を図り得る。
【0108】
図15は本発明の第5実施形態を示す断面図である。本実施形態は、リンプホーム機構を設置しないタイプ(いわゆるフル電制タイプ)であり、アクセルシャフト,アクセルレバー,アクセルセンサについては、スロットルボディ外に別設置している(アクセル機構は、アクセルポジションに関する信号を発生させるために用い、直接、スロットル弁を開閉操作するのに関与するわけでないため、別設定が可能)。
【0109】
本例でも、スロットルシャフト一端のスロットル駆動系のギヤ機構側にイニシャル開度機構を配置している。リターンスプリング,イニシャル開度用スプリングについては、第1実施形態とほゞ同様の実装構造である。
【0110】
スロットルシャフト一端には、スロットルギヤ11,レバー(B)3が固定配置され、次いでイニシャル開度用スプリング5付きチップ38が固定配置され、次いでスリーブ45を介してリターンスプリング4及びレバー(A)2付きスリーブ42が嵌合され、ナット47により締め付けられる。スリーブ42は、スリーブ45上を回転可能である。
【0111】
リターンスプリング4は一端4Aがスロットルボディ15側のピン37に係止し、他端がスリーブ42に係止する。
【0112】
レバーB(3)の腕部3Aは、イニシャル開度用スプリング5,リターンスプ
リング4を超えてレバー(A)2と係合可能にしてある。
【0113】
イニシャル開度用スプリング5の一端5AがレバーB(3)の腕部3Aに係止し、他端がチップ38に係止する。本例では、イニシャル開度用調整ねじ6及び全閉位置調整ねじ7が図示省略されているが、これらは、スロットルボディ15と一体のケース部15に配置してある。イニシャル開度動作については、その原理は既述した各実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0114】
本実施形態では、リンプホーム動作以外の効果は既述した各実施形態とほゞ同様であり、さらに、第4実施例のiの効果に加えて次のような効果を奏する。
【0115】
j.本例では、イニシャル開度設定用のストッパの位置でのスロットル軸トルク特性T1(換言するばP1特性),T2(換言するばP2特性)を次のように設定する。
【0116】
[数3]
T1≧Mf×Ge+Vf
T2≦Mf×Ge+Vf
このように設定することで、T1,T2のスロットル軸トルク特性を極力小さくしてスロットルイニシャル開度位置付近のスロットル軸トルク段差T1−(−T2)を小さくできるので、スロットル駆動制御の安定化を図り得る。なお、T2<Mf×Ge+Vfの場合には、図16に示すように第2の付勢手段のT2が幾分だけ犠牲になってスロットルイニシャル開度位置に設定誤差が生じるが、この誤差は車両側より要求される冷寒始動の燃焼に必要な空気流量が確保できれば、スロットルイニシャル開度の所期の目的を達成できる。
【0117】
k.さらに、本例では、スロットルボディ15を挾んで、その一方側に減速ギヤ機構及びイニシャル開度設定機構を配置し、他方側にスロットルポジションセンサ14を配置して成る。
【0118】
上記構成によれば、ギヤ機構とスロットルポジションセンサ14とがスロットルボディ15を介して隔離配置される。一般にギヤ機構等の機械的な摺動部(例えば金属間摺動部)より摩耗粉が生じやすいが、上記の隔離配置構造により摩耗粉がスロットルポジションセンサ14に侵入するのを防ぎ、スロットルポジションセンサの性能劣化を防止できる。
【0119】
また、モータ側ケーシング15A内にギヤ機構と共にスロットルイニシャル開度設定機構を集約することで、部品の集約化を図りスロットル装置全体の小形化を図れる。さらに、スロットルポジションセンサ14をできるだけスロットルボディのセンタ寄りに配置でき、その結果、スロットルシャフトの振れや曲りの影響を排除して出力特性の変動を少なくすることができる。
【0120】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スロットル弁のイニシャル開度設定機構或いは必要に応じてその他の機構(例えばリンプホーム機構)も含めて、部品を集約化,合理化を図ることでこれらの機構の搭載性の向上を図りつつ、従来よりも、機構上のフリクションの低減,付勢手段の特性改善(例えば、リターンスプリング等のばね特性の改善)を図ることにより、スロットルアクチュエータ駆動の負担の軽減、スロットル制御動作の安定化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】
図1のA方向矢視図。
【図3】
上記第1の実施形態の斜視図。
【図4】
上記第1の実施形態の要部断面図。
【図5】
本発明の動作原理を示す説明図。
【図6】
上記第1の実施形態のリンプホーム特性を示す説明図。
【図7】
本発明の動作原理におけるスロットル軸トルク特性を示す説明図。
【図8】
本発明の第2の実施形態を示す断面図。
【図9】
上記第2の実施形態を示す分解斜視図。
【図10】
上記第2の実施形態を示す要部断面図。
【図11】
本発明の第3の実施形態を示す要部断面図。
【図12】
上記第3の実施形態の分解斜視図。
【図13】
本発明の第4の実施形態を示す分解斜視図。
【図14】
上記第4の実施形態を示す要部断面図。
【図15】
本発明の第5の実施形態を示す断面図。
【図16】
第5の実施形態のスロットル軸トルク特性の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1,1´…アクセルレバー、2…レバーA(リターンレバー)、3…レバーB(スロットルレバー)、4…第1の付勢手段(リターンスプリング)、5…第2の付勢手段(イニシャル開度用スプリング)、6…イニシャル開度調整ねじ(第2のストッパ)、7…スロットル全閉位置調整ねじ(第1のストッパ)、8…アクセルスプリング、9A,9B、10,11…ギヤ機構、12…モータ(スロットルアクチュエータ)、13…アクセルセンサ、14…スロットルセンサ、15…スロットルボディ、18…スロットルシャフト、24…スロットル弁、42…スリーブ(第2のスリーブ)、45…スリーブ(第2のスリーブ)、47…ナット。
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