JP2003201352A - 高分子電解質膜、該高分子電解質膜を備える膜電極構造体及び該膜電極構造体を備える固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、該高分子電解質膜を備える膜電極構造体及び該膜電極構造体を備える固体高分子型燃料電池

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JP2003201352A JP2002001707A JP2002001707A JP2003201352A JP 2003201352 A JP2003201352 A JP 2003201352A JP 2002001707 A JP2002001707 A JP 2002001707A JP 2002001707 A JP2002001707 A JP 2002001707A JP 2003201352 A JP2003201352 A JP 2003201352A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐酸化性と、従来と同等の耐熱性とを備
える高分子電解質膜、該高分子電解質膜を備える膜電極
構造体及び該膜電極構造体を備える固体高分子型燃料電
池を提供する。 【解決手段】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する
重合体のスルホン化物と、酸化防止剤とを含む高分子電
解質膜1である。該酸化防止剤は複数のフェノール基を
有し、かつ、フェノール基の酸素原子を除いて炭素原子
及び水素原子のみから構成される。主鎖及び/または側
鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン化物からなる高
分子電解質膜4と、高分子電解質膜4を挟持する1対の
緩衝層5,5とからなる複合高分子電解質膜6である。
緩衝層5はイオン導伝性物質と酸化防止剤とを含む。酸
化防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノー
ル基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから
構成される。1対の緩衝層5,5の合計の厚さが高分子
電解質膜4の厚さよりも小である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子電解質膜、
該高分子電解質膜を備える膜電極構造体及び該膜電極構
造体を備える固体高分子型燃料電池に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】石油資源が枯渇化する一方、化石燃料の
消費による地球温暖化等の環境問題が深刻化している。
そこで、二酸化炭素の発生を伴わないクリーンな電動機
用電力源として燃料電池が注目され、広範に開発されて
いる。また、一部では前記燃料電池が実用化され始めて
いる。前記燃料電池を自動車等に搭載する場合には、高
電圧と大電流とが得やすいことから、高分子電解質膜を
用いる固体高分子型燃料電池が好適に用いられる。
【0003】前記固体高分子型燃料電池に用いる膜電極
構造体として、白金等の触媒がカーボンブラック等の触
媒担体に担持されイオン導伝性高分子バインダーにより
一体化されることにより形成されている一対の電極触媒
層を備え、両電極触媒層の間にイオン導伝可能な高分子
電解質膜を挟持した構造のものが知られている。前記膜
電極構造体は、各電極触媒層の上に拡散層を積層し、さ
らにガス通路を兼ねたセパレータを積層することによ
り、固体高分子型燃料電池を構成することができる。
【0004】前記固体高分子型燃料電池では、一方の電
極触媒層を燃料極として前記拡散層を介して水素、メタ
ノール等の還元性ガスを導入すると共に、他方の電極触
媒層を酸素極として前記拡散層を介して空気、酸素等の
酸化性ガスを導入する。このようにすると、燃料極側で
は、前記電極触媒層に含まれる触媒の作用により、前記
還元性ガスからプロトン及び電子が生成し、前記プロト
ンは前記高分子電解質膜を介して、前記酸素極側の電極
触媒層に移動する。そして、前記プロトンは、前記酸素
極側の電極触媒層で、前記電極触媒層に含まれる触媒の
作用により、該酸素極に導入される前記酸化性ガス及び
電子と反応して水を生成する。従って、前記燃料極と酸
素極とを導線により接続することにより、前記燃料極で
生成した電子を前記酸素極に送る回路が形成され、電流
を取り出すことができる。
【0005】従来、前記高分子電解質膜として、パーフ
ルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(例えば、デ
ュポン社製ナフィオン(商品名))が広く利用されてい
る。前記パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合
物は、スルホン化されていることにより優れたプロトン
導伝性を備え、しかもフッ素樹脂としての耐薬品性とを
併せ備えているが、非常に高価であるという問題があ
る。
【0006】そこで、前記パーフルオロアルキレンスル
ホン酸高分子化合物に代わる廉価な高分子電解質膜材料
として、例えば、主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有
する重合体のスルホン化物を用いることが検討されてい
る。ところが、前記重合体のスルホン化物は、前記固体
高分子型燃料電池に用いた場合に十分な耐酸化性が得ら
れないという問題がある。
【0007】十分な耐酸化性が得られない理由として、
前記固体高分子型燃料電池の前記酸素極側の電極触媒層
で水が生成する際に発生する、・HO2ラジカル、・O
Hラジカル等のラジカルの作用が考えられる。前記ラジ
カルが発生すると、該ラジカルは前記主鎖及び/または
側鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン化物からなる
高分子電解質膜を攻撃し、高分子鎖を切断する連鎖反応
を引き起こす。この結果、前記高分子電解質膜が劣化
し、耐酸化性が低くなるものと考えられる。
【0008】前記ラジカルによる前記高分子電解質膜の
劣化を防止するために、前記ラジカルを捕捉する作用を
有する酸化防止剤を前記高分子電解質膜に添加すること
が考えられる。前記酸化防止剤としては、例えば、複数
のフェノール基を備える化合物を挙げることができる。
【0009】しかしながら、前記酸化防止剤を前記高分
子電解質膜に添加しても、前記酸化防止剤の種類によっ
ては前記高分子電解質膜の劣化を防止できないことがあ
り、また酸化防止剤を添加しないときよりも耐熱性が低
下することがあるとの不都合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、優れた耐酸化性と、従来と同等の耐熱性
とを備える高分子電解質膜、該高分子電解質膜を備える
膜電極構造体及び該膜電極構造体を備える固体高分子型
燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記主鎖
及び/または側鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン
化物からなる高分子電解質膜に、前記ラジカルを捕捉す
る作用を有する酸化防止剤を添加したときに、該高分子
電解質膜の劣化を防止できなかったり、耐熱性が低下す
る場合がある理由について鋭意検討した。
【0012】この結果、前記酸化防止剤が分子構造中
に、フェノール基に含まれる以外のO原子、或いはN、
S、P等の非共有電子対を有する原子を備え、前記重合
体のスルホン化物が電子吸引性基等の前記非共有電子対
と反応しやすい部分を備える場合に、前記重合体のスル
ホン化物からなる高分子電解質膜が劣化し、或いは耐熱
性が低下することが判明した。すなわち、この場合には
前記ラジカルは前記酸化防止剤に捕捉されるものの、該
酸化防止剤自体が前記重合体のスルホン化物と反応し
て、該重合体のスルホン化物の劣化を引き起こすものと
考えられる。
【0013】そこで、本発明者等は、前記ラジカルを捕
捉する作用を有する酸化防止剤として、複数のフェノー
ル基を有し、かつ、フェノール基の酸素原子を除いて炭
素原子及び水素原子のみから構成される化合物を用いる
ことに想到し、本発明に到達した。
【0014】前記目的を達成するために、本発明の第1
の態様の高分子電解質膜は、主鎖及び/または側鎖に芳
香族基を有する重合体のスルホン化物と、酸化防止剤と
を含む高分子電解質膜であって、該酸化防止剤は複数の
フェノール基を有し、かつ、フェノール基の酸素原子を
除いて炭素原子及び水素原子のみから構成される化合物
であることを特徴とする。
【0015】前記高分子電解質膜は、前記酸化防止剤を
含むので、固体高分子型燃料電池に用いたときに、該燃
料電池の前記酸素極側の電極触媒層で生成する、・HO
2ラジカル、・OHラジカル等のラジカルを該酸化防止
剤が捕捉する。従って、前記ラジカルとの反応による前
記高分子電解質膜の劣化を防止することができる。
【0016】また、前記酸化防止剤は、フェノール基の
酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから構成さ
れており、分子構造中にフェノール基に含まれる以外の
O原子或いはN、S、P等の非共有電子対を有する原子
を備えていない。従って、前記高分子電解質膜が前記非
共有電子対と反応しやすい部分を備えていても、前記酸
化防止剤との反応による劣化、耐熱性の低下を防止する
ことができる。
【0017】この結果、前記高分子電解質膜によれば、
優れた耐酸化性と、従来と同等の耐熱性とを得ることが
できる。
【0018】前記高分子電解質膜を形成する重合体のス
ルホン化物は、主鎖及び/または側鎖に芳香族基を備え
ており、前記酸化防止剤もまた芳香族基であるフェノー
ル基を備えている。従って、前記酸化防止剤は、前記重
合体のスルホン化物に対して優れた親和性を備えてお
り、前記重合体のスルホン化物に対して比較的に多量に
配合することができる。
【0019】そこで、前記高分子電解質膜は、前記スル
ホン化物100重量部に対して、前記酸化防止剤を0.
1〜10重量部の範囲で含むことを特徴とする。前記酸
化防止剤の含有量が0.1重量部未満では、前記ラジカ
ルを捕捉する効果を得ることができない。また、前記酸
化防止剤の含有量が10重量部を超えるときには、該酸
化防止剤が前記高分子電解質膜から溶出し、該高分子電
解質膜を固体高分子型燃料電池に用いたときに導電率が
低下する。
【0020】また、前記高分子電解質膜において、前記
酸化防止剤は、融点が150℃以上であることを特徴と
する。前記酸化防止剤の融点が150℃未満であると、
前記高分子電解質膜を固体高分子型燃料電池に用いたと
きに、該燃料電池の運転中の高温環境下で、該酸化防止
剤が溶出することがある。
【0021】また、本発明の第2の態様の高分子電解質
膜は、主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する重合体
のスルホン化物からなる高分子電解質膜と、該高分子電
解質膜を挟持する1対の緩衝層とからなる複合高分子電
解質膜であって、該緩衝層はイオン導伝性物質と酸化防
止剤とを含み、該酸化防止剤は複数のフェノール基を有
し、かつ、フェノール基の酸素原子を除いて炭素原子及
び水素原子のみから構成される化合物であり、前記1対
の緩衝層の合計の厚さが該高分子電解質膜の厚さよりも
小であることを特徴とする。
【0022】本発明では、前記構成を備える第2の態様
の高分子電解質膜によっても、第1の態様の高分子電解
質膜と同等の効果を得ることができ、前記重合体のスル
ホン化物からなる高分子電解質膜の前記ラジカルとの反
応による劣化を防止することができる。このとき、前記
1対の緩衝層の合計厚さは前記高分子電解質膜の厚さよ
りも小であるので、本発明の第1の態様の高分子電解質
膜に比較して前記酸化防止剤の含有量を低減することが
できる。
【0023】前記緩衝層に用いるイオン導伝性物質は、
主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する重合体のスル
ホン化物であっても、パーフルオロアルキレンスルホン
酸高分子化合物であってもよい。
【0024】前記イオン導伝性物質が、主鎖及び/また
は側鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン化物である
場合には、前記緩衝層は該イオン導伝性物質100重量
部に対して0.1〜10重量部の範囲で前記酸化防止剤
を含むことを特徴とする。前記酸化防止剤の含有量が
0.1重量部未満では、前記ラジカルを捕捉する効果を
得ることができない。また、前記酸化防止剤の含有量が
10重量部を超えるときには、該酸化防止剤が前記緩衝
層から溶出し、前記複合高分子電解質膜を固体高分子型
燃料電池に用いたときに導電率が低下する。
【0025】また、前記イオン導伝性物質が、前記パー
フルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物である場合
には、該パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合
物自体が優れた化学安定性を備えており、前記高分子電
解質膜を保護する作用を得ることができる。そこで、こ
の場合には、前記緩衝層に含まれる前記酸化防止剤を減
量することができ、前記緩衝層は、前記イオン導伝性物
質100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で
前記酸化防止剤を含むことを特徴とする。
【0026】前記複合高分子電解質膜は、前記緩衝層が
前記酸化防止剤を含むことにより、本発明の第1の態様
の高分子電解質膜に比較して、さらに前記酸化防止剤の
含有量を低減することができる。前記酸化防止剤の含有
量が0.01重量部未満では、前記ラジカルを捕捉する
効果を得ることができない。また、前記酸化防止剤を5
重量部を超えて含有してもそれ以上の効果は望めない。
【0027】一方、前記パーフルオロアルキレンスルホ
ン酸高分子化合物は、前述のように優れた化学安定性を
備えているので、どのような酸化防止剤を含有しても、
該酸化防止剤との反応による劣化、耐熱性の低下を起こ
すことがない。しかし、前記酸化防止剤は、前記緩衝層
から前記主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する重合
体のスルホン化物からなる高分子電解質膜に移行するこ
とがある。従って、前記イオン導伝性物質として前記パ
ーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物を用いる
場合にも、前記酸化防止剤は複数のフェノール基を有
し、かつ、フェノール基の酸素原子を除いて炭素原子及
び水素原子のみから構成されるものを用いることが好ま
しい。
【0028】前記各態様の高分子電解質膜では、前記酸
化防止剤として、例えば、1,1,3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−
メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼンからなる群から選択される1種の化
合物を用いることができる。
【0029】本発明の膜電極構造体は、前記いずれかの
態様の高分子電解質膜と、該高分子電解質膜を挟持する
電極とを備えることを特徴とし、本発明の固体高分子型
燃料電池は該膜電極構造体を備えることを特徴とする。
【0030】本発明の膜電極構造体または固体高分子型
燃料電池は、前記いずれかの態様の高分子電解質膜を備
えているので、優れた耐酸化性と、従来と同等の耐熱性
とを得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は本発明の第1の実施形態の膜電極構造体の構成を示
す説明的断面図であり、図2は第2の実施形態の膜電極
構造体の構成を示す説明的断面図、図3は第1の実施形
態に用いる高分子電解質膜の重量低下率と破断伸び低下
率とを酸化防止剤を含まない高分子電解質膜と比較する
ヒストグラム、図4は第1の実施形態に用いる高分子電
解質膜における酸化防止剤の添加量と導電率との関係を
示すグラフ、図5は第1の実施形態に用いる高分子電解
質膜における酸化防止剤の添加量と重量低下率との関係
を示すグラフ、図6、図7は第1の実施形態に用いる高
分子電解質膜の重量低下率と破断伸び低下率とを他の酸
化防止剤を含む高分子電解質膜と比較するヒストグラ
ム、図8は第2の実施形態に用いる高分子電解質膜にお
ける酸化防止剤の添加量と重量低下率との関係を第1の
実施形態に用いる高分子電解質膜と比較するグラフであ
る。
【0032】本発明の第1の実施形態の膜電極構造体
は、図1示のように、高分子電解質膜1と、高分子電解
質膜1を挟持する1対の電極触媒層2,2と、両電極触
媒層2,2の上に積層された1対の拡散層3,3とから
なる。
【0033】高分子電解質膜1は、主鎖及び/または側
鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン化物と、酸化防
止剤とからなる。前記主鎖及び/または側鎖に芳香族基
を有する重合体としては、例えば、次式(1)で表され
るポリエーテルエーテルケトン、または次式(2)で示
される2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシフェ
ノキシ)ベンゾフェノンと、次式(3)で示される2,
2−ビス〔4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノ
キシ}フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパンとを、所定の重合比で重合させて得られ
る次式(4)の含フッ素共重合体等を挙げることができ
る。
【0034】
【化1】
【0035】前記重合体のスルホン化物は、前記重合体
に濃硫酸を加え、スルホン酸基を0.5〜3.0ミリグ
ラム当量/gの範囲で含むようにスルホン化することに
より得ることができる。前記スルホン化物は、含有する
スルホン酸基の量が0.5ミリグラム当量/g未満であ
るときには十分なイオン導伝性を得ることができない。
また、含有するスルホン酸基の量が3.0ミリグラム当
量/gを超えると十分な靱性が得られず、後述の膜電極
構造体を構成する際に取り扱いが難しくなる。
【0036】前記酸化防止剤は、複数のフェノール基を
有し、かつフェノール基の酸素原子を除いて炭素原子及
び水素原子のみから構成される化合物である。前記酸化
防止剤としては、例えば、次式(5)で表される1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
−ブチルフェニル)ブタン、次式(6)で表される4,
4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフ
ェノール)、次式(7)で表される1,3,5−トリメ
チル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ベンゼン等を挙げることができ
る。
【0037】
【化2】
【0038】高分子電解質膜1を製造するときは、ま
ず、前式(1)または(4)で表される重合体のスルホ
ン化物を、N−メチルピロリドン等の溶媒に溶解して高
分子電解質溶液とする。次に、前記高分子電解質溶液
に、前記重合体のスルホン化物100重量部に対し、前
式(5)〜(7)で表される酸化防止剤のいずれか1種
を0.1〜10重量部の範囲で溶解する。そして、得ら
れた溶液からキャスト法により成膜し、オーブンにて乾
燥する。このようにすることにより、例えば、乾燥膜厚
50μmの高分子電解質膜1を得ることができる。
【0039】電極触媒層2は、触媒粒子と含フッ素イオ
ン導伝性高分子バインダーとからなる触媒ペーストを拡
散層3上に触媒含有量が所定の量(例えば、0.5mg
/cm2)となるようにスクリーン印刷し、乾燥させる
ことにより形成される。前記触媒粒子は、カーボンブラ
ック(ファーネスブラック)に白金粒子を所定の重量比
(例えば、カーボンブラック:白金=1:1)で担持さ
せることにより作成される。また、前記触媒ペースト
は、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物
(例えば、デュポン社製ナフィオン(商品名))等の含
フッ素イオン導伝性高分子バインダー溶液に、前記触媒
粒子を所定の重量比(例えば、触媒粒子:バインダー溶
液=1:1)で均一に分散させることにより調製され
る。
【0040】前記拡散層3は、下地層とカーボンペーパ
ーとからなる。前記下地層は、カーボンブラックとポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを所定の重
量比(例えば、カーボンブラック:PTFE粒子=4:
6)で混合し、得られた混合物をエチレングリコール等
の溶媒に均一に分散させたスラリーを前記カーボンペー
パーの片面に塗布、乾燥させることにより形成される。
【0041】拡散層3上にスクリーン印刷された前記触
媒ペーストは、例えば60℃で10分間の乾燥を行い、
次いで120℃で60分間の減圧乾燥を行うことにより
乾燥される。
【0042】図1示の膜電極構造体は、前記1対の電極
触媒層2と拡散層3とにより、電極触媒層2側で高分子
電解質膜1を挟持し、ホットプレスを行うことにより得
ることができる。前記ホットプレスは、例えば80℃、
5MPaで2分間の一次ホットプレスを行い、次いで1
60℃、4MPaで1分間の二次ホットプレスを行う。
【0043】次に、本発明の第2の実施形態の膜電極構
造体は、図1示の高分子電解質膜1に替えて、図2示の
ように、高分子電解質膜4が1対の緩衝層5,5に挟持
された複合高分子膜5を備えること以外は、第1の実施
形態の膜電極構造体と全く同一の構成を備えている。
【0044】高分子電解質膜4は、主鎖及び/または側
鎖に芳香族基を有する重合体のスルホン化物からなり、
酸化防止剤を含んでいない。前記主鎖及び/または側鎖
に芳香族基を有する重合体としては、例えば、第1の実
施形態の膜電極構造体と同一の前式(1)で表されるポ
リエーテルエーテルケトン、または前式(4)で表され
る含フッ素共重合体等を挙げることができる。前記重合
体のスルホン化物は、第1の実施形態の場合と全く同一
にして得ることができる。
【0045】また、高分子電解質膜4は、前記重合体の
スルホン化物を、N−メチルピロリドン等の溶媒に溶解
して高分子電解質溶液とし、該高分子電解質溶液からキ
ャスト法により成膜し、オーブンにて乾燥することによ
り、例えば、乾燥膜厚50μmの膜として得ることがで
きる。
【0046】緩衝層5は、イオン導伝性物質と酸化防止
剤とからなる。前記イオン導伝性物質としては、高分子
電解質膜4と同一の主鎖及び/または側鎖に芳香族基を
有する重合体のスルホン化物を用いてもよく、パーフル
オロアルキレンスルホン酸高分子化合物(例えば、デュ
ポン社製ナフィオン(商品名))を用いてもよい。ま
た、前記酸化防止剤としては、第1の実施形態に用いた
ものと同一の前式(5)〜(7)で表される化合物のい
ずれか1種を用いることができる。
【0047】前記緩衝層5を製造するときは、まず、前
記イオン導伝性物質を、N−メチルピロリドン等の溶媒
に溶解する。次に、前記イオン導伝性物質の溶液に、前
記イオン導伝性物質100重量部に対し、前式(5)〜
(7)で表される酸化防止剤のいずれか1種を0.01
〜6重量部の範囲で溶解する。そして、得られた溶液か
らキャスト法により成膜し、オーブンにて乾燥する。こ
のようにすることにより、例えば、乾燥膜厚3μmの緩
衝層5をを得ることができる。
【0048】前記複合高分子電解質膜6は、前記1対の
緩衝層5により、高分子電解質膜4を挟持し、例えば、
150℃、2.5MPaで1分間のホットプレスを行う
ことにより得ることができる。
【0049】尚、緩衝層5は、高分子電解質膜4の両面
から、前記酸化防止剤を所定の厚さに浸透させることに
より形成するようにしてもよい。
【0050】また、図2示の膜電極構造体は、前記1対
の電極触媒層2と拡散層3とにより、電極触媒層2側で
複合高分子電解質膜6を挟持し、第1の実施形態の場合
と全く同一にしてホットプレスを行うことにより得るこ
とができる。
【0051】図1または図2に示す膜電極構造体は、拡
散層3,3の上にさらにガス通路を兼ねるセパレータを
積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成する
ことができる。
【0052】次に、本実施形態の実施例と比較例とを示
す。
【0053】
【実施例1】本実施例では、まず、前式(1)で表され
るポリエーテルエーテルケトン(VICTREX社製、
380P(グレード名))に濃硫酸を加え、スルホン酸
基を1.9ミリグラム当量/gの範囲で含むようにスル
ホン化して、該ポリエーテルエーテルケトンのスルホン
化物を調製した。次に、前記ポリエーテルエーテルケト
ンのスルホン化物を、N−メチルピロリドンに溶解して
高分子電解質溶液とした。次に、該高分子電解質溶液
に、前記ポリエーテルエーテルケトンのスルホン化物1
00重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表さ
れる1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−t−ブチルフェニル)ブタン(m.p.186
℃)を1重量部溶解した。そして、前記酸化防止剤を溶
解した高分子電解質溶液からキャスト法により成膜し、
オーブンにて乾燥することにより、乾燥膜厚50μmの
高分子電解質膜を得た。
【0054】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、酸化防止剤の溶出の有無、耐酸化性、耐熱性を評価
した。
【0055】前記高分子電解質膜は、酸化防止剤が溶出
すると表面に白斑が現れるので、膜の外観を目視で観察
し、酸化防止剤溶出の有無を確認した。
【0056】前記耐酸化性は、H223%、Fe20p
pmを含む水溶液(フェントン試薬)を液温50℃と
し、該水溶液中に前記高分子電解質膜を8時間浸漬した
後の該高分子電解質膜の重量低下率(%)として測定し
た。該重量低下率は、前記高分子電解質膜がフェントン
試薬に酸化されて前記水溶液中に溶解した量を示し、数
値が小さいほど耐酸化性が高いことを意味する。
【0057】前記耐熱性は、前記高分子電解質膜を15
0℃の雰囲気下に5時間放置し、さらに23℃、相対湿
度50%の環境下に2時間放置する処理を行った後の引
張試験による破断伸びの低下率(%)として算出した。
前記引張試験は、JIS K7127に準じて行った。
【0058】前記高分子電解質膜は、加熱されると高分
子鎖間に架橋が形成され、脆くなる。従って、前記破断
伸びの低下率(%)は、数値が小さいほど耐熱性が高い
ことを意味する。
【0059】また、前記高分子電解質膜は加熱により劣
化が進むと色が変化するので、該高分子電解質膜の色の
変化を目視で観察し、劣化の有無を判定した。
【0060】結果を表1に示す。また、重量低下率
(%)と破断伸びの低下率(%)とを図3に示す。
【0061】
【比較例1】本比較例では、前記酸化防止剤を全く用い
なかった以外は、実施例1と全く同一にして乾燥膜厚5
0μmの高分子電解質膜を得た。
【0062】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図3に示す。
【0063】
【実施例2】本実施例では、実施例1のポリエーテルエ
ーテルケトンのスルホン化物に替えて、式(4)で表さ
れる含フッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化
物を用いた以外は、実施例1と全く同一にして乾燥膜厚
50μmの高分子電解質膜を得た。
【0064】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図3に示す。
【0065】次に、本実施例の高分子電解質膜の導電率
を測定した。前記導電率は、前記高分子電解質膜を2枚
の白金電極で挟持し、温度85℃、相対湿度90%の条
件下、交流2端子法(周波数10kHz)で測定した。
前記酸化防止剤の添加量と、前記導電率との関係を図4
に示す。
【0066】
【比較例2】本比較例では、前記酸化防止剤を全く用い
なかった以外は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚5
0μmの高分子電解質膜を得た。
【0067】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図3に示す。また、前記酸化防止剤の添加量と、重量低
下率(%)との関係を図5に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1、図3から、式(5)で表される酸化
防止剤を用いる実施例1,2の高分子電解質膜は、前記
酸化防止剤を全く用いない場合(比較例1,2)に比較
して、重量低下率が小さく、優れた耐酸化性を示すこと
が明らかである。また、式(5)で表される酸化防止剤
を用いる実施例1,2の高分子電解質膜は、前記酸化防
止剤を全く用いない場合(比較例1,2)と略同等の耐
熱性を備えていることが明らかである。
【0070】尚、実施例1の高分子電解質膜は、比較例
2の高分子電解質膜に比較して、重量低下率が大きく、
耐酸化性に劣るように見える。しかし、これは、実施例
1、比較例1の高分子電解質膜が前式(1)で表される
ポリエーテルエーテルケトンのスルホン化物であるのに
対し、実施例2、比較例2の高分子電解質膜が前式
(4)で表される含フッ素共重合体のスルホン化物であ
るという、高分子電解質の化学種の相違によるものであ
る。
【0071】
【実施例3】本実施例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン6重量部を用いた以外
は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分
子電解質膜を得た。
【0072】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
また、前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)と
の関係を図5に示す。
【0073】また、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例2と全く同一にして導電率を測定した。前記
酸化防止剤の添加量と、前記導電率との関係を図4に示
す。
【0074】
【実施例4】本実施例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン0.4重量部を用いた以
外は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高
分子電解質膜を得た。
【0075】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
また、前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)と
の関係を図5に示す。
【0076】また、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例2と全く同一にして導電率を測定した。前記
酸化防止剤の添加量と、前記導電率との関係を図4に示
す。
【0077】
【比較例3】本比較例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン0.005重量部を用い
た以外は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μm
の高分子電解質膜を得た。
【0078】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
また、前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)と
の関係を図5に示す。
【0079】
【比較例4】本比較例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン20重量部を用いた以外
は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分
子電解質膜を得た。
【0080】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
また、前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)と
の関係を図5に示す。
【0081】また、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例2と全く同一にして導電率を測定した。前記
酸化防止剤の添加量と、前記導電率との関係を図4に示
す。
【0082】
【表2】
【0083】表2、図4,5から、前式(4)で表され
る含フッ素共重合体のスルホン化物100重量部に対
し、式(5)で表される酸化防止剤を0.1〜10重量
部の範囲で含む実施例2(表2に再掲した),3,4の
高分子電解質膜は、耐酸化性、導電率に優れ、前記酸化
防止剤を全く用いない場合(比較例2)と略同等の耐熱
性を備えており、しかも前記酸化防止剤の溶出もないこ
とが明らかである。
【0084】かかる実施例2〜4の高分子電解質膜に対
し、前式(4)で表される含フッ素共重合体のスルホン
化物100重量部に対し、式(5)で表される酸化防止
剤を0.1重量部未満の0.005重量部含む比較例3
の高分子電解質膜は、表2、図5から耐酸化性が酸化防
止剤を全く含まない比較例2(表2に再掲した)の場合
と略同等であり、殆ど耐酸化性を得ることができないこ
とが明らかである。
【0085】また、前式(4)で表される含フッ素共重
合体のスルホン化物100重量部に対し、式(5)で表
される酸化防止剤を10重量部を超えて20重量部含む
比較例4の高分子電解質膜は、表2から、耐酸化性には
優れているものの、前記酸化防止剤が溶出することが明
らかである。かかる比較例4の高分子電解質膜は、図4
から、実施例2〜4の高分子電解質膜に対し、著しく導
電率が劣ることが明らかである。
【0086】
【実施例5】本実施例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、前式(6)で表される4,4’−
ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノー
ル)(m.p.210℃)を用いた以外は、実施例2と
全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分子電解質膜を得
た。
【0087】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
【0088】
【実施例6】本実施例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、前式(7)で表される1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(m.p.24
4℃)を用いた以外は、実施例2と全く同一にして乾燥
膜厚50μmの高分子電解質膜を得た。
【0089】次に、本実施例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】前式(6)で表される4,4’−ブチリデ
ンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、前
式(7)で表される1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼンは、前式(5)で表される1,1,3−
トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチル
フェニル)ブタンと同様に、複数のフェノール基を有
し、かつフェノール基の酸素原子を除いて炭素原子及び
水素原子のみから構成される化合物である。
【0092】この結果、表3から明らかなように、酸化
防止剤として前式(6)、(7)の化合物を用いる実施
例5,6の高分子電解質膜によれば、酸化防止剤として
前式(5)の化合物を用いる実施例2の高分子電解質膜
(表3に再掲する)と略同等の耐酸化性、耐熱性を得る
ことができることが明らかである。
【0093】
【比較例5】本比較例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、次式(8)で表されるビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト(m.p.86℃)を用いた以外は、実施例2と全く
同一にして乾燥膜厚50μmの高分子電解質膜を得た。
次式(8)で表される酸化防止剤は、分子構造中に全く
フェノール基を含まず、しかもN原子、O原子を含んで
いる。
【0094】
【化3】
【0095】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図6に示す。
【0096】
【比較例6】本比較例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、次式(9)で表される含イオウ化
合物(m.p.23℃以下)を用いた以外は、実施例2
と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分子電解質膜を
得た。次式(9)で表される酸化防止剤は、分子構造中
に全くフェノール基を含まず、しかもS原子、O原子を
含んでいる。
【0097】
【化4】
【0098】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図6に示す。
【0099】
【比較例7】本比較例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、次式(10)で表される含リン化
合物(m.p.165℃)を用いた以外は、実施例2と
全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分子電解質膜を得
た。次式(10)で表される酸化防止剤は、分子構造中
に全くフェノール基を含まず、しかもP原子、O原子を
含んでいる。
【0100】
【化5】
【0101】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図6に示す。
【0102】
【比較例8】本比較例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、次式(11)で表されるトリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレート(m.p.221℃)を用いた以外
は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分
子電解質膜を得た。次式(11)で表される酸化防止剤
は、分子構造中に複数のフェノール基を含むが、フェノ
ール基以外にもO原子を含み、さらにN原子を含んでい
る。
【0103】
【化6】
【0104】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図6に示す。
【0105】
【比較例9】本比較例では、酸化防止剤として、実施例
2で用いた前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタンに替えて、次式(12)で表されるテトラキ
ス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕メタン
(m.p.115℃)を用いた以外は、実施例2と全く
同一にして乾燥膜厚50μmの高分子電解質膜を得た。
次式(12)で表される酸化防止剤は、分子構造中に複
数のフェノール基を含むが、フェノール基以外にもO原
子を含んでいる。
【0106】
【化7】
【0107】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図6に示す。
【0108】
【表4】
【0109】表4、図6から、分子構造中に全くフェノ
ール基を含まず、しかもN原子、O原子を含む酸化防止
剤を用いる比較例5の高分子電解質膜、分子構造中に複
数のフェノール基を含むが、フェノール基以外にもO原
子を含み、さらにN原子を含む酸化防止剤を用いる比較
例8の高分子電解質膜、分子構造中に複数のフェノール
基を含むが、フェノール基以外にもO原子を含む比較例
9の高分子電解質膜によれば、実施例2の高分子電解質
膜(表4に再掲する)に対し、耐酸化性については略同
等であるが、耐熱性について著しく劣ることが明らかで
ある。
【0110】また、表4、図6から、分子構造中に全く
フェノール基を含まず、しかもS原子、O原子を含む比
較例6の高分子電解質膜によれば、実施例2の高分子電
解質膜に対し、耐酸化性、耐熱性について著しく劣るこ
とが明らかである。
【0111】さらに、表4、図6から、分子構造中に全
くフェノール基を含まず、しかもP原子、O原子を含む
比較例7の高分子電解質膜によれば、実施例2の高分子
電解質膜に対し、耐熱性については略同等であるが、耐
酸化性について著しく劣ることが明らかである。
【0112】
【比較例10】本比較例では、前式(4)で表される含
フッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物10
0重量部に対し、酸化防止剤として前式(11)で表さ
れるトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)−イソシアヌレート6重量部を用いた以外
は、実施例2と全く同一にして乾燥膜厚50μmの高分
子電解質膜を得た。
【0113】次に、本比較例の高分子電解質膜につい
て、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の有
無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表5に示す。
また、重量低下率(%)と破断伸びの低下率(%)とを
図7に示す。
【0114】
【表5】
【0115】表5、図7から、前式(4)で表される含
フッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物10
0重量部に対し、酸化防止剤として前式(11)で表さ
れるトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)−イソシアヌレート6重量部を用いた本比
較例の高分子電解質膜は、酸化防止剤として前式(5)
で表される1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン6重量部を用
いた実施例3の高分子電解質膜(表5に再掲する)に対
して、耐酸化性については略同等であるが、耐熱性につ
いて著しく劣ることが明らかである。
【0116】
【実施例7】本実施例では、まず、実施例で用いたもの
と同一の前式(4)で表される含フッ素共重合体(n:
m=1:1)のスルホン化物を、N−メチルピロリドン
に溶解して高分子電解質溶液とし、該高分子電解質溶液
からキャスト法により成膜し、オーブンにて乾燥するこ
とにより、乾燥膜厚50μmの第1の高分子電解質膜を
得た。
【0117】次に、前記高分子電解質溶液に、前記含フ
ッ素共重合体のスルホン化物100重量部に対し、酸化
防止剤として前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタン1重量部を溶解した。そして、前記酸化防止
剤を溶解した高分子電解質溶液からキャスト法により成
膜し、オーブンにて乾燥することにより、乾燥膜厚3μ
mの第2の高分子電解質膜を2枚得た。
【0118】次に、前記第2の高分子電解質膜を緩衝層
とし、該緩衝層で前記第1の高分子電解質膜で挟持し、
150℃、2.5MPaで1分間のホットプレスを行う
ことにより複合高分子電解質膜Aを得た。
【0119】次に、本実施例の複合高分子電解質膜Aに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0120】
【実施例8】本実施例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン0.4重量部を用いて乾
燥膜厚3μmの第2の高分子電解質膜2枚を得たた以外
は、実施例7と全く同一にして、前記第1の高分子電解
質膜が前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)で挟持され
た複合高分子電解質膜Aを得た。
【0121】次に、本実施例の複合高分子電解質膜Aに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0122】
【実施例9】本実施例では、前式(4)で表される含フ
ッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物100
重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表される
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−t−ブチルフェニル)ブタン6重量部を用いて乾燥膜
厚3μmの第2の高分子電解質膜2枚を得たた以外は、
実施例7と全く同一にして、前記第1の高分子電解質膜
が前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)で挟持された複
合高分子電解質膜Aを得た。
【0123】次に、本実施例の複合高分子電解質膜Aに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0124】
【比較例11】本比較例では、前式(4)で表される含
フッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物10
0重量部に対し、酸化防止剤として前式(5)で表され
る1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−
5−t−ブチルフェニル)ブタン0.005重量部を用
いて乾燥膜厚3μmの第2の高分子電解質膜2枚を得た
た以外は、実施例7と全く同一にして、前記第1の高分
子電解質膜が前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)で挟
持された複合高分子電解質膜Aを得た。
【0125】次に、本比較例の複合高分子電解質膜Aに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0126】
【実施例10】本実施例では、前式(4)で表される含
フッ素共重合体(n:m=1:1)のスルホン化物に替
えて、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物
(デュポン社製ナフィオン(商品名))を用いて、乾燥
膜厚3μmの第2の高分子電解質膜2枚を得たた以外
は、実施例7と全く同一にして、前記第1の高分子電解
質膜が前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)で挟持され
た複合高分子電解質膜Bを得た。
【0127】次に、本実施例の複合高分子電解質膜Bに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0128】
【実施例11】本実施例では、前記パーフルオロアルキ
レンスルホン酸高分子化合物100重量部に対し、酸化
防止剤として前式(5)で表される1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタン0.03重量部を用いて乾燥膜厚3μmの第
2の高分子電解質膜2枚を得たた以外は、実施例7と全
く同一にして、前記第1の高分子電解質膜が前記緩衝層
(第2の高分子電解質膜)で挟持された複合高分子電解
質膜Bを得た。
【0129】次に、本実施例の複合高分子電解質膜Bに
ついて、実施例1と全く同一にして酸化防止剤の溶出の
有無、耐酸化性、耐熱性を評価した。結果を表6に示
す。また、前記緩衝層(第2の高分子電解質膜)に対す
る前記酸化防止剤の添加量と、重量低下率(%)との関
係を図8に示す。
【0130】
【表6】
【0131】表6、図8から、緩衝層(第2の高分子電
解質膜)を構成するイオン導伝性物質が第1の高分子電
解質膜と同一の前式(4)で表される含フッ素共重合体
のスルホン化物であり、該緩衝層が前式(4)で表され
る含フッ素共重合体のスルホン化物100重量部に対し
前式(5)で表される酸化防止剤を0.4〜6重量部の
範囲で含む実施例7〜9の複合高分子電解質膜Aは、耐
酸化性、導電率に優れ、しかも前記酸化防止剤の溶出も
ないことが明らかであり、実施例2〜4の高分子電解質
膜(図8に再掲する)と同等の耐酸化性を備えているこ
とが明らかである。
【0132】かかる実施例7〜9の複合高分子電解質膜
Aに対し、前記緩衝層が前式(4)で表される含フッ素
共重合体のスルホン化物100重量部に対し式(5)で
表される酸化防止剤を0.1重量部未満の0.005重
量部含む比較例11の複合高分子電解質膜Aは、耐酸化
性において著しく劣ることが明らかである。
【0133】また、前記実施例7〜9の複合高分子電解
質膜Aでは、酸化防止剤を全く含まない第1の高分子電
解質膜の膜厚が50μmであることに対し、酸化防止剤
を含む緩衝層(第2の高分子電解質膜)の膜厚が3μm
であることから、実施例2〜4の高分子電解質膜に対し
て、前記酸化防止剤の含有量が著しく低減されているこ
とが明らかである。
【0134】また、表6、図8から、緩衝層(第2の高
分子電解質膜)を構成するイオン導伝性物質が前記パー
フルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物である実施
例10,11の複合高分子電解質膜Bによれば、前記実
施例7〜9の複合高分子電解質膜Aに対してさらに優れ
た耐酸化性を得ることができることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の膜電極構造体の構成
を示す説明的断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態の膜電極構造体の構成
を示す説明的断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に用いる高分子電解質
膜の重量低下率と破断伸び低下率とを酸化防止剤を含ま
ない高分子電解質膜と比較するヒストグラム。
【図4】本発明の第1の実施形態に用いる高分子電解質
膜における酸化防止剤の添加量と導電率との関係を示す
グラフ。
【図5】本発明の第1の実施形態に用いる高分子電解質
膜における酸化防止剤の添加量と重量低下率との関係を
示すグラフ。
【図6】本発明の第1の実施形態に用いる高分子電解質
膜の重量低下率と破断伸び低下率とを他の酸化防止剤を
含む高分子電解質膜と比較するヒストグラム。
【図7】本発明の第1の実施形態に用いる高分子電解質
膜の重量低下率と破断伸び低下率とを他の酸化防止剤を
含む高分子電解質膜と比較するヒストグラム。
【図8】本発明の第2の実施形態に用いる高分子電解質
膜における酸化防止剤の添加量と重量低下率との関係を
第1の実施形態に用いる高分子電解質膜と比較するグラ
フ。
【符号の説明】
1,4…高分子電解質膜、 2…電極、 5…緩衝層、
6…複合高分子電解質膜。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/02 H01M 8/02 P 8/10 8/10 (72)発明者 浅野 洋一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA51 AA78 AC11 AE05 AH15 FA05 FB01 FC01 FD05 4J002 CH091 EJ036 EJ046 FD076 GD00 5G301 CA30 CD01 CE10 5H026 AA06 CX05 EE18 HH03 HH05 HH08

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する
    重合体のスルホン化物と、酸化防止剤とを含む高分子電
    解質膜であって、該酸化防止剤は複数のフェノール基を
    有し、かつ、フェノール基の酸素原子を除いて炭素原子
    及び水素原子のみから構成される化合物であることを特
    徴とする高分子電解質膜。
  2. 【請求項2】前記酸化防止剤は、1,1,3−トリス
    (2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
    ル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチ
    ル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル
    −2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒド
    ロキシベンジル)ベンゼンからなる群から選択される1
    種の化合物であることを特徴とする請求項1記載の高分
    子電解質膜。
  3. 【請求項3】前記スルホン化物100重量部に対して、
    前記酸化防止剤を0.1〜10重量部の範囲で含むこと
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の高分子電解
    質膜。
  4. 【請求項4】前記酸化防止剤は融点が150℃以上であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1
    項記載の高分子電解質膜。
  5. 【請求項5】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する
    重合体のスルホン化物と、酸化防止剤とを含み、該酸化
    防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノール
    基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから構
    成される化合物である高分子電解質膜と、該高分子電解
    質膜を挟持する1対の電極とを備えることを特徴とする
    膜電極構造体。
  6. 【請求項6】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する
    重合体のスルホン化物と、酸化防止剤とを含み、該酸化
    防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノール
    基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから構
    成される化合物である高分子電解質膜と、該高分子電解
    質膜を挟持する1対の電極とを備える膜電極構造体を備
    えることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  7. 【請求項7】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する
    重合体のスルホン化物からなる高分子電解質膜と、該高
    分子電解質膜を挟持する1対の緩衝層とからなる複合高
    分子電解質膜であって、 該緩衝層はイオン導伝性物質と酸化防止剤とを含み、該
    酸化防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノ
    ール基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみか
    ら構成される化合物であり、前記1対の緩衝層の合計の
    厚さが該高分子電解質膜の厚さよりも小であることを特
    徴とする複合高分子電解質膜。
  8. 【請求項8】前記酸化防止剤は、1,1,3−トリス
    (2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
    ル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチ
    ル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル
    −2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒド
    ロキシベンジル)ベンゼンからなる群から選択される1
    種の化合物であることを特徴とする請求項7記載の高分
    子電解質膜。
  9. 【請求項9】前記緩衝層は、前記イオン導伝性物質が主
    鎖及び/または側鎖に芳香族基を有する重合体のスルホ
    ン化物であり、該イオン導伝性物質100重量部に対し
    て、前記酸化防止剤を0.1〜10重量部の範囲で含む
    ことを特徴とする請求項7または請求項8記載の複合高
    分子電解質膜。
  10. 【請求項10】前記緩衝層は、前記イオン導伝性物質が
    パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物であ
    り、該イオン導伝性物質100重量部に対して、前記酸
    化防止剤を0.01〜5重量部の範囲で含むことを特徴
    とする請求項7または請求項8記載の複合高分子電解質
    膜。
  11. 【請求項11】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有す
    る重合体のスルホン化物からなる高分子電解質膜と、該
    高分子電解質膜を挟持する1対の緩衝層とからなり、該
    緩衝層はイオン導伝性物質と酸化防止剤とを含み、該酸
    化防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノー
    ル基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから
    構成される化合物であり、前記1対の緩衝層の合計の厚
    さが該高分子電解質膜の厚さよりも小である複合高分子
    電解質膜と、該複合高分子電解質膜を挟持する1対の電
    極とを備えることを特徴とする膜電極構造体。
  12. 【請求項12】主鎖及び/または側鎖に芳香族基を有す
    る重合体のスルホン化物からなる高分子電解質膜と、該
    高分子電解質膜を挟持する1対の緩衝層とからなり、該
    緩衝層はイオン導伝性物質と酸化防止剤とを含み、該酸
    化防止剤は複数のフェノール基を有し、かつ、フェノー
    ル基の酸素原子を除いて炭素原子及び水素原子のみから
    構成される化合物であり、前記1対の緩衝層の合計の厚
    さが該高分子電解質膜の厚さよりも小である複合高分子
    電解質膜と、該複合高分子電解質膜を挟持する1対の電
    極とを備える膜電極構造体を備えることを特徴とする固
    体高分子型燃料電池。
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