JP2006049263A - 固体高分子型燃料電池用電解質、固体高分子型燃料電池、固体高分子型燃料電池システム及び燃料電池車両 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電解質、固体高分子型燃料電池、固体高分子型燃料電池システム及び燃料電池車両 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体高分子型燃料電池の正極において過酸化水素が発生しても、電解質膜の性能を長期にわたって維持できる固体高分子型燃料電池用電解質を提供する。
【解決手段】 ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、固体高分子型燃料電池用電解質、固体高分子型燃料電池、固体高分子型燃料電池システム及び燃料電池車両に関する。
昨今のエネルギー資源問題、CO排出に伴う地球温暖化問題の解決する手段として、燃料電池技術が注目されている。燃料電池は電池内で水素、メタノール、又はその他の炭化水素等の燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものである。このため、燃料電池は、火力発電、自動車などの内燃機関において燃料の燃焼によるNOやSOなどの発生がなく、クリーンな電気エネルギー源として着目されている。
燃料電池にはいくつかの種類がある。中でも固体高分子型燃料電池(PEFC)が最も注目され開発が進められている。PEFCは、(1)低温作動性であるため起動・停止が容易、(2)理論電圧や理論変換効率が高い、(3)電解質に液相が存在しないためセル構造が縦型などの柔軟な設計が可能である、(4)イオン交換膜/電極界面では三相界面の制御により電流を多く取り出せることができ高出力密度が得られる、などの様々な利点を有している。
しかし、PEFCは最も注目されているにも拘らず、未だ多くの課題が山積みされている。中でも高分子電解質膜の技術は最重要課題の一つである。現在、最も広く使われている電解質膜であり、米国デュポン社から市販されているナフィオン(登録商標)膜に代表されるパーフルオロスルホン酸系ポリマーは、燃料電池の正極(空気極)で発生する活性酸素に対して耐性をもつ膜として開発された経緯がある。しかし、長期に渡る耐久試験において、まだ十分な耐性があるとは言えない状況である(非特許文献1参照。)。
燃料電池の作動原理は、負極(燃料極)でのH酸化と、正極での分子状酸素(O)の4電子還元による水の生成という2つの電気化学的過程から成り立っている。しかしながら、実際の燃料電池では、これらの反応の他に副反応が同時に起こっている。その代表的なものは、正極におけるOの2電子還元による過酸化水素(H)の生成である。過酸化水素は酸化力は弱いが、安定していて寿命が長い。過酸化水素は以下に示す反応式(1)、(2)に従って分解し、この際にヒドロキシラジカル、ヒドロペルオキシラジカルラジカルなどのラジカルが生成する。
→2・OH ・・・式(1)
→・H+・OOH ・・・式(2)
ここに示した式(1)及び(2)の反応は、金属イオン(例えばFe2+、Cu2+など)の存在下ではハーバーワイス(Haber-Weiss)反応となる。ハーバーワイス反応では、過酸化水素は金属イオンなどの触媒作用によりヒドロキシラジカル(・OH)に変化する。ヒドロキシラジカルは、活性酸素の中で最も反応性に富み、酸化力が非常に強いことが知られている。なお、金属イオンが鉄イオンの場合には、ハーバーワイス反応は下式(3)に示すフェントン反応として知られている。
Fe2++H→Fe3++OH- +・OH ・・・式(3)
このように、電解質膜中に金属イオンが混入すると、電解質膜の中で、ハーバーワイス反応により過酸化水素がヒドロキシラジカルへと変化し、このヒドロキシラジカルにより電解質膜が劣化するおそれがある(非特許文献1参照。)。
そこで、過酸化水素のラジカル化を阻止する方法として、金属酸化物(例えば、酸化マンガン、酸化コバルトなど。)を電解質膜中に分散配合させることによって過酸化水素を接触分解する方法や、過酸化物安定化剤(例えば、スズ化合物など。)を電解質膜中に分散配合させることによって、過酸化水素のラジカル化を阻止する方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、過酸化物ラジカルをトラップして不活性化する化合物(例えば、フェノール性水酸基を有する化合物。)を電解質膜に配合する方法が提案されている(特許文献1、及び特許文献2参照。)。
特開2001−118591号公報(第4、5頁) 特開2000−223135号公報(第3頁) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 委託先 京都大学工学研究科,「平成13年度成果報告書、固体高分子形燃料電池の研究開発、固体高分子形燃料電池の劣化要因に関する研究、劣化要因に関する基礎研究(1)電極触媒/電解質界面の劣化要因」,平成14年3月,p.13、24
しかしながら、金属酸化物やスズ化合物は水に溶解しないため、金属酸化物やスズ化合物を微粒子化したとしても均一に電解質膜中に分散させることは困難である。また、スズ化合物が分解した場合、酸性を示す電解質膜内に金属がカチオンとして溶出してハーバーワイス反応が起こる可能性があり、活性酸素の発生が促進される可能性がある。
また、金属酸化物などの触媒によって過酸化水素を分解する際には、接触分解による。すなわち、過酸化水素は触媒近傍でなければ起こらない。このため、触媒から離れた過酸化水素を分解することができない。
さらに、過酸化物ラジカルをトラップして不活性化する場合には、発生したラジカルのモル濃度と当量のラジカル不活性化化合物が必要である。そして、この化合物は再生されないため、ラジカルをトラップする度にラジカル不活性化化合物が必要となり、長期に渡って過酸化物を消費することが困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、第1の発明である固体高分子型燃料電池用電解質は、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有することを要旨とする。
また、第2の発明である固体高分子型燃料電池は、上記第1の発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質のうち少なくともいずれか一つを用いたことを要旨とする。
更に、第3の発明である固体高分子型燃料電池システムは、上記第2の発明に係る固体高分子型燃料電池を備えることを要旨とする。
そして、第4の発明である燃料電池車両は、上記第3の発明に係る固体高分子型燃料電池システムが搭載されていることを要旨とする。
第1の発明によれば、固体高分子型燃料電池用電解質中に含まれた化合物が触媒として作用し、活性酸素を分解する。また、この化合物は、活性酸素を分解した後に化合物の酸化還元サイクルにより元の型に戻るため、何度も利用することができる。このため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。
第2の発明によれば、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池を実現することが可能となる。
第3の発明によれば、長時間にわたり性能が維持された固体高分子型燃料電池システムを実現することができる。
第4の発明によれば、長時間連続運転に耐えうる燃料電池車両を実現することができる。
以下、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質、固体高分子型燃料電池、固体高分子型燃料電池システム及び燃料電池車両の詳細を実施の形態に基づいて説明する。
まず、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質は、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有することを特徴とする。
正常な燃料電池の系全体の反応は、下式(4)、(5)に示す通りである。
2H+O→2HO ・・・式(4)
+O→H ・・・式(5)
式(4)は酸素の4電子還元、式(5)は酸素の2電子還元である。式(4)、(5)の反応は競争反応として同時に進行する。
ここで、式(4)は、下式(6)で示される正極主反応と、下式(7)で示される負極反応との素反応の和である。なお、Eは標準酸化還元電位(Normal Hydrogen Electrode;NHE)で表している。
+4H+4e→2HO E=1.23[V] ・・・式(6)
→2H+2e=0.00[V] ・・・式(7)
同様に、式(5)は、下式(8)で示される正極副反応と、上式(7)で示される負極反応との素反応の和である。
+2H+2e→H=0.68[V] ・・・式(8)
熱力学的には、酸化還元電位の高い物質が酸化剤として働き、酸化還元電位の低い物質が還元剤として働く。そして、系全体のΔE(酸化還元電位の差)が正の値のときに反応が進む。
上式(5)発生した過酸化水素は、下式(9)〜(11)に示す反応で消失すると考えられている。
+H2→2HO ・・・ 式(9)
+2H+2e→2HO E=1.77[V] ・・・式(10)
2H→2HO+O ・・・式(11)
式(9)は、正極において、過酸化水素が負極から電解質膜を通ってクロスオーバーしてくるH2により水に還元される場合を示している。式(10)は、過酸化水素が正極で水素イオンと電子を受け取り、水に還元される場合を示している。式(11)は、2分子の過酸化水素が反応し、一方の過酸化水素が酸化剤として働き、もう一方の過酸化水素が還元剤として働いて水と酸素を発生させる反応を示している。なお、過酸化水素は上式(10)及び下式(12)に示すように過酸化水素よりも酸化還元電位の高い物質に対しては還元剤として働く一方、過酸化水素よりも酸化還元電位の低い物質に対しては酸化剤として働くことが知られている。
→O+2H+2e=0.68[V] ・・・式(12)
ここで、式(9)は、式(10)で示される素反応と、式(7)で示される素反応との和である。式(11)は、式(10)で示される素反応と、式(12)で示される素反応との和である。
次に、燃料電池がFe2+イオンで汚染された場合考える。正極で発生した過酸化水素は、Fe2+を触媒としたフェントン反応により、ヒドロキシラジカルへと変化する。
Fe2++H→Fe3++OH-+・OH ・・・式(3)
このヒドロキシラジカルの酸化還元電位は2.85[V]であり、極めて高い酸化力を有している。ヒドロキシラジカルは、下式(13)に示すように、水素イオンを酸化することで消失する。
・OH+H+e→HO E=2.85[V] ・・・式(13)
しかしながら、燃料電池の起動停止などに伴い水素(水素イオン)供給不足が生じると、ヒドロキシラジカルは極めて高い酸化力を有しているため、本来酸化されることのないナフィオン(登録商標)膜のC−F結合を切断する場合がある。そこで、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質は、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有するため、この化合物が触媒として作用し、活性酸素である過酸化水素及びヒドロキシラジカルを分解する。このため、ヒドロキシラジカルは電解質膜を酸化することなく、電解質膜中に含まれている化合物の触媒作用により消失する。また、この触媒作用を有する化合物は、活性酸素を分解した後に化合物の酸化還元サイクルにより元の還元型に戻るため、何度も利用することができる。このため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。
ここで、この触媒として作用する化合物の一例として、可逆的な酸化還元サイクルを有するN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)をあげ、NHPIを燃料電池反応系内に導入した場合を示す。NHPIは酸化されるとPINO(フタルイミド−N−オキシル)となる。NHPI及びPINOは、1.34[V]の酸化還元電位を有している。
NHPI→PINO+H+e=1.34[V] ・・・式(14)
PINO+H+e→NHPI E=1.34[V] ・・・式(15)
式(10)及び式(13)で示すように、過酸化水素及びフェントン反応で発生したヒドロキシラジカルの酸化還元電位は、NHPIの酸化還元電位より高い。このため、NHPIが存在すると、還元剤であるNHPIの触媒作用により過酸化水素またはヒドロキシラジカルは水に還元される。この場合、下式(16)、(17)に示すように、NHPIはドロキシラジカル又は過酸化水素によりNHPIはPINOへと酸化される。
・OH+NHPI→HO+PINO ・・・式(16)
+2NHPI→2HO+2PINO ・・・式(17)
式(16)は、式(13)で示される素反応と、式(14)で示される素反応との和である。式(17)は、式(10)で示される素反応と、式(15)で示される素反応との和である。
NHPIの酸化型であるPINOは、下式(18)、(19)及び式(15)に示すように、酸化剤となって水素イオン、水素、あるいは過酸化水素を酸化することでNHPIに還元される。
2PINO+H→2NHPI ・・・式(18)
PINO+H+e →NHPI E=1.34[V] ・・・式(15)
2PINO+H→2NHPI+O ・・・式(19)
式(18)は、式(15)で示される素反応と、式(7)で示される素反応との和である。式(19)は、式(15)で示される素反応と、式(12)で示される素反応との和である。PINOの酸化還元電位は1.34[V]であり、熱力学的にナフィオン(登録商標)膜のC−F結合を切断するほど高くはない。このため、PINOによって電解質膜が酸化されることはない。
ここで、図1に、ヒドロキシラジカル、酸素、過酸化水素、水素、NHPI及びPINOの酸化還元電位を示す。この図の右欄は還元剤の酸化半反応式を示し、左欄は酸化剤の還元半反応式を示す。縦軸は酸化還元電位を示し、上に行くほど酸化還元電位が高くなっている。つまり、上に位置するほど酸化力が強く酸化され難いことを示している。そして、下に位置するほど酸化力が弱く酸化され易いことを示している。なお、半反応式の後の括弧内に示されている数値は、酸化剤又は還元剤として作用する化合物の酸化還元電位である。また、丸の中の数値は、上記した式の番号を示す。なお、酸化還元電位はpHや温度によって影響を受けるため、図1では標準水素電極(NHE)に補正して標準酸化還元電位を記載している。
このように、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質では、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有するため、化合物が触媒として作用し、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などの活性酸素を分解する。このため、ヒドロキシラジカルや過酸化水素によって電解質膜のC−F結合は切断されず、電解質膜の劣化を防ぐことができる。また、この化合物は、活性酸素を分解した後に化合物の酸化還元サイクルにより元の還元型に戻るため、何度も利用することができる。このため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。
なお、ここでは触媒として作用する化合物の一例としてNHPIを示したが、ヒドロキシラジカルのみの消失を目的とした場合は、0.68[V]〜2.85[V]の範囲に標準酸化還元電位を持つ化合物であることが好ましい。また、ヒドロキシラジカル及び過酸化水素の双方の消失を目的とする場合には、この化合物は、過酸化水素が酸化剤として働く酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働くことが必要であるため、この化合物の標準酸化還元電位は0.68[V]〜1.77[V]の範囲にあることが好ましい。
さらに、この化合物の酸化体及び還元体が、比較的安定な化合物であればより好ましい。なお、各化合物の実際の酸化還元電位(Real Hydrogen Electrode;RHE)はpH、温度などの諸条件によって変化するので、それに合わせた範囲のものを用いることが好ましい。ただし、電極に用いられている白金への被毒を考慮すると、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質に用いる化合物は、炭素、水素、酸素及び窒素のみで構成された有機化合物であることが好ましい。
このように、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質は、電解質膜の劣化を抑制できるため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。
なお、上記化合物は、下記の一般式(I)
Figure 2006049263
(式中、R1及びR2は同一又は異なる任意の置換基を、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される化合物であることが好ましく、更には、R1及びR2は互いに結合して二重結合、芳香環、又は非芳香族性の環を形成していることが好ましい。
さらに、この化合物が、下記の一般式(II)
Figure 2006049263
(式中環Yは、二重結合を有する又は芳香族性若しくは非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
上記した化合物を電解質膜内に共存させることにより、下式(20)、(21)に示す素反応が進む。そして、ヒドロキシラジカルや過酸化水素が電解質膜内に進入した場合にのみ、上記化合物がN−オキシルラジカル(>NO・)を供給し、効率的にヒドロキシラジカルや過酸化水素を水へと還元して電解質膜の酸化を抑制する。
>NOH+・OH →>NO・+HO ・・・式(20)
2(>NOH)+H→2(>NO・)+2HO ・・・式(21)
また、水素供給により発生したN−オキシルラジカルは、下式(22)〜(24)に示す素反応により、水素または過酸化水素から水素イオンを引き抜き、元のヒドロキシイミド(>NOH)の形に回復する。
2(>NO・)+H→ 2(>NOH) ・・・式(22)
>NO・+H+e→>NOH ・・・式(23)
2(>NO・)+H→2(>NOH)+O ・・・式(24)
図2に、ヒドロキシイミド基を有する化合物の代表例としてN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を、また、NHPIがラジカル化したNHPIの酸化型としてフタル酸イミドN−オキシル(PINO)を示し、NHPIのヒドロキシイミド基とPINOのN−オキシルラジカルとの間でサイクルがまわることにより、長期に渡りヒドロキシラジカルや過酸化水素を消失させるメカニズムを表す。すなわち、NHPIは、ヒドロキシラジカルまたは過酸化水素に対して還元剤として作用し、ヒドロキシラジカルまたは過酸化水素を水へ還元する。一方、PINOは、過酸化水素に対して酸化剤として作用して、過酸化水素を酸素へと酸化する。このようにして、NHPIがPINOとの間で酸化還元サイクルがまわると同時に、過酸化酸素やヒドロキシラジカルが消失する。
また、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質が有する化合物は、過酸化水素を還元及び酸化により消失するにあたり、水素ラジカル(水素原子)の出入りが関与する。この水素ラジカルの出入りにより、過酸化水素分解時に発生するヒドロキシラジカルがこの化合物から離れた箇所に存在する場合であってもヒドロキシラジカルを消失させる。図3にこのメカニズムを示す。図3に示すように、例えばこのような化合物としてNHPIを使用した場合に、NHPIと水分子との間で水素ラジカルを交換して運ぶグローサス・メカニズム(Grotthuss Mechanism)が起こる。このように水分子に水素ラジカルを供給しながら還元反応を進めるため、NHPIとヒドロキシラジカルとが離れている場合であってもヒドロキシラジカルを消失させる触媒反応が進み、ヒドロキシラジカルを消失させることが可能となる。このため、電解質膜内の広い範囲に存在するヒドロキシラジカルを消失させることが可能となる。
このような触媒作用を有する化合物を選択するにあたり重要なことは、化合物の安定性、耐久性、耐熱性及び電解質膜への溶解性である。特に、化合物の安定性及び耐久性は、燃料電池を長期にわたって使用する場合において、また、活性酸素を消失し続ける意味において最も重要である。また、燃料電池の定常状態の運転温度を80〜90[℃]、将来電解質膜の耐熱性が向上することを考慮すると、電解質膜は120[℃]ほどの温度下であっても十分耐えうる耐熱性を有する必要がある。また、この化合物を電解質膜へ均一に溶解するためには難溶でもかまわないが、水に対して溶解することが必要である。水に対して不溶となると電解質膜内で析出して水素ラジカルの出入りが不可能となり、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などの活性酸素を消失させる効果(触媒機能)を失うことになる。
さらに、上記化合物は、下記の一般式(III)
Figure 2006049263
(式中、R3及びR4は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることが好ましい。
また、一般式(III)で表される化合物において、置換基R3及びR4のうちハロゲン原子は、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素があげられる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基があげられる。好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルキル基があげられる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などがあげられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などがあげられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基があげられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基があげられる。好ましくはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、より好ましくは炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基があげられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基があげられる。
なお、置換基R3及びR4は、同一であっても又は異なっていてもよい。また、上記一般式(III)で示される化合物において、R3及びR4は互いに結合して二重結合又は芳香環若しくは非芳香族性の環を形成していてもよい。そのうち、芳香環、又は非芳香族性の環は、5〜12員環のうちいずれか一種類の環を形成していることが好ましく、より好ましくは6〜10員環程度であり、この環は複素環又は縮合複素環であってもよいが炭化水素環であることが好ましい。
このような環としては、例えば、例えばシクロヘキサン環に代表されるシクロアルカン環、シクロヘキセン環に代表されるシクロアルケン環などの非芳香族性炭化水素環、5−ノルボルネン環に代表される橋かけ式炭化水素環など非芳香族性橋かけ環、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環が含まれる。なお、これらの環は、置換基を有していても良い。
さらに、一般式(III)で示される化合物は、特に化合物の安定性、耐久性、電解質膜への溶解性の観点から、下記式(IVa)〜(IVf)で示される化合物
Figure 2006049263
(式中、R3〜R6は同一又は異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の整数を表す。)であることがより好ましい。
置換基R3〜R6において、アルキル基には前述のアルキル基と同様のアルキル基のうち特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には前術と同様のアルコキシ基のうち特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれ、アルコキシカルボニル基には前術と同様のアルコキシカルボニル基のうち特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
また、アシル基としては、前述と同様のアシル基のうち特に炭素数1〜6程度のアシル基があげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子があげられる。なお、置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
さらに、より好ましいイミド化合物の形態としては、化合物の入手性、合成の容易性、コストの観点から、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド及びN,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物であることが好ましく、この化合物を触媒として電解質膜中に共存させて用いることができる。
なお、これらのイミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミン(NHOH)とを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製することができる。
また、一般式(II)で示される化合物が、6員環のN−置換環状イミド骨格を有する下記の一般式(V)
Figure 2006049263
(式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。R1〜R6は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表す。また、R1〜R6のうち少なくとも二つが互いに結合して二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。この環のうち少なくとも一つがN−置換環状イミド基を有していても良い。)で示される化合物でも良い。N−置換環状イミド骨格において、5員環よりも6員環の方が加水分解が遅く、耐加水分解性が高い。このため、N−置換環状イミド骨格を有する化合物が6員環の環状イミドの場合には、より耐久性能が維持される。
なお、アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基があげられる。好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルキル基があげられる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などがあげられ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などがあげられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、より好ましくは炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基があげられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基があげられる。好ましくはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、より好ましくは炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基があげられる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基があげられる。
また、上記一般式(V)で示される化合物において、R1〜R6のうち少なくとも2つが互いに結合して二重結合又は芳香環若しくは非芳香族性の環を形成していてもよい。そのうち、芳香環又は非芳香族性の環は、5〜12員環のうちいずれか一種類の環を形成していることが好ましく、より好ましくは6〜10員環程度であり、この環は複素環又は縮合複素環であってもよい。このような環としては、例えば、シクロヘキサン環に代表されるシクロアルカン環、シクロヘキセン環などのシクロアルケン環などの非芳香族性炭化水素環、5−ノルボルネン環に代表される橋かけ式炭化水素環など非芳香族性橋かけ環、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環が含まれる。なお、これらの環は、置換基を有していても良い。
ここで、一般式(V)で表される化合物の一例として、R1〜R6が全て水素原子であり、可逆的な酸化還元サイクルを有するN−ヒドロキグルタル酸イミド(NHGI)をあげ、NHGIを燃料電池反応系内に導入した場合を示す。NHGIは酸化されるとグルタル酸イミドN−オキシル(GINO)となる。NHGI及びGINOは、1.39[V]の酸化還元電位を有している。
NHGI→GINO+H+e=1.39[V] ・・・式(25)
GINO+H+e→NHGI E=1.39[V] ・・・式(26)
式(10)及び式(13)で示すように、過酸化水素及びフェントン反応で発生したヒドロキシラジカルの酸化還元電位は、NHGIの酸化還元電位より高い。このため、NHGIが存在すると、NHPIの触媒作用により過酸化水素またはヒドロキシラジカルは水に還元される。この場合、下式(27)、(28)に示すように、NHGIは還元剤として働き、ヒドロキシラジカルや過酸化水素によりNHGIはGINOへと酸化される。
・OH+NHGI→HO+GINO ・・・式(27)
+2NHGI→2HO+2GINO ・・・式(28)
式(27)は、式(13)で示される素反応と、式(25)で示される素反応との和である。式(28)は、式(10)で示される素反応と、式(26)で示される素反応との和である。
NHGIの酸化型であるGINOは、下式(29)、(30)及び式(26)に示すように、酸化剤となって水素イオン、水素、あるいは過酸化水素を酸化することでNHGIに還元される。
2GINO+H→2NHGI ・・・式(29)
GINO+H+e →NHGI E=1.39[V] ・・・式(26)
2GINO+H→2NHGI+O ・・・式(30)
式(29)は、式(26)で示される素反応と、式(7)で示される素反応との和である。式(30)は、式(26)で示される素反応と、式(12)で示される素反応との和である。GINOの酸化還元電位は1.39[V]であり、熱力学的にナフィオン(登録商標)膜のC−F結合を切断するほど高くはない。このため、GINOによって電解質膜が酸化されることはない。
このように、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質では、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する6員環のN−置換環状イミド骨格を有する化合物を有するため、この化合物が触媒として作用し、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などの活性酸素を分解する。このため、ヒドロキシラジカルや過酸化水素によって電解質膜のC−F結合は切断されず、電解質膜の劣化を防ぐことができる。また、この化合物は、活性酸素を分解した後に化合物の酸化還元サイクルにより元の型に戻るため、何度も利用することができる。このため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。
なお、ここでは触媒として作用する化合物の一例としてNHGIを示したが、上記した酸化還元のメカニズムは、ヒドロキシラジカルのみの消失を目的とした場合は、0.68[V]〜2.85[V]の範囲に標準酸化還元電位を持つ化合物であることが好ましい。また、ヒドロキシラジカル及び過酸化水素の双方の消失を目的とする場合には、この化合物は、過酸化水素が酸化剤として働く酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働くことが必要であるため、この化合物の標準酸化還元電位は0.68[V]〜1.77[V]の範囲にあることが好ましい。
さらに、この化合物の酸化体及び還元体が、比較的安定な化合物であればより好ましい。なお、各化合物の実際の酸化還元電位(Real Hydrogen Electrode;RHE)はpH、温度などの諸条件によって変化するので、それに合わせた範囲のものを用いることが好ましい。ただし、電極に用いられている白金への被毒を考慮すると、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質に用いる化合物は、炭素、水素、酸素及び窒素のみで構成された有機化合物であることが好ましい。
また、一般式(V)で示される化合物は、特に化合物の安定性、耐久性、電解質膜への溶解性の観点から、下記一般式(VIa)又は(VIb)
Figure 2006049263
(式中、R7〜R12は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を表す。)で示される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(V)、(VIa)又は(VIb)で示される化合物が、N−ヒドロキシグルタル酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸イミド及びN,N’,N’’−トリヒドロキシイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物(6員イミド環)であることが好ましい。
6員環の環状イミドは、慣用のイミド化反応、例えば、対応する6員環の酸無水物とヒドロキシルアミンNHOHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製することができる。この6員環の環状イミドは、5員環の環状イミドと同様に、電解質膜内に共存させることにより、式(25)、(26)に示す素反応が進む。そして、ヒドロキシラジカルや過酸化水素が電解質膜内に進入した場合にのみ、6員イミド環が水素ラジカルを供給し、効率的に過酸化水素を還元して電解質膜の酸化を抑制する。
>NOH+・OH →>NO・+HO ・・・式(31)
2(>NOH)+H→2(>NO・)+2HO ・・・式(32)
また、水素供給により発生したN−オキシルラジカル(>NO・)は、下式(33)〜(35)に示す素反応により、水素または過酸化水素から水素イオンを引き抜き、元のヒドロキシイミド(>NOH)の形に回復する。
2(>NO・)+H→ 2(>NOH) ・・・式(33)
>NO・+H+e→>NOH ・・・式(34)
2(>NO・)+H→2(>NOH)+O ・・・式(35)
図4に、ヒドロキシイミド基を有する化合物の代表例としてN−ヒドロキグルタル酸イミド(NHGI)を、また、NHGIがラジカル化したNHGIの酸化型としてグルタル酸イミドN−オキシル(GINO)を示し、NHGIのヒドロキシイミド基と、GINOのN−オキシルラジカルとの間でサイクルが回ることにより、長期に渡りヒドロキシラジカルや過酸化水素を消失させるメカニズムを表す。すなわち、NHGIは、ヒドロキシラジカルまたは過酸化水素に対して還元剤として作用し、ヒドロキシラジカルまたは過酸化水素を水へ還元する。一方、GINOは過酸化水素に対して酸化剤として作用して、過酸化水素を酸素へと酸化する。このようにして、NHGIがGINOとの間で酸化還元サイクルがまわると同時に、過酸化酸素やヒドロキシラジカルが消失する。
また、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質が有する6員環を有するイミド化合物は、過酸化水素を還元及び酸化により消失するにあたり、水素ラジカル(水素原子)の出入りが関与する。この水素ラジカルの出入りにより、過酸化水素分解時に発生するヒドロキシラジカルがこの化合物から離れた箇所に存在する場合であってもヒドロキシラジカルを消失させる。このメカニズムは図3に示すメカニズムと同様であり、NHGIと水分子との間で水素ラジカルを交換して運ぶグローサス・メカニズムが起こる。このため、NHGIとヒドロキシラジカルが離れている場合であってもヒドロキシラジカルを消失させる触媒反応が進み、ヒドロキシラジカルを消失させることが可能となる。このため、電解質膜内の広い範囲に存在するヒドロキシラジカルを消失させることが可能となる。
このような触媒作用を有する化合物を選択するにあたり重要なことは、化合物の安定性、耐久性、耐熱性及び電解質膜への溶解性である。特に、化合物の安定性及び耐久性は、燃料電池を長期にわたって使用する場合において、また、活性酸素を消失し続ける意味において最も重要である。また、燃料電池の定常状態の運転温度を80〜90[℃]、将来電解質膜の耐熱性が向上することを考慮すると、電解質膜は120[℃]位であっても十分耐えうる耐熱性を有する必要がある。また、この6員環のイミド化合物を電解質膜へ均一に溶解するためには難溶でもかまわないが、水に対して溶解することが必要である。水に対して不溶となると電解質膜内で析出して水素ラジカルの出入りが不可能となり、ヒドロキシラジカルや過酸化水素などの活性酸素を消失させる効果(触媒機能)を失うことになる。
このように、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池用電解質では、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有するため、この化合物が触媒として作用し、活性酸素を分解する。このため、ヒドロキシラジカルや過酸化水素によって電解質膜のC−F結合は切断されず、電解質膜の劣化を防ぐことができる。また、この化合物は、活性酸素を分解した後に化合物の酸化還元サイクルにより元の型に戻るため、何度も利用することができる。このため、耐久性能が維持された固体高分子型燃料電池用電解質を実現することが可能となる。さらに、この化合物が6員環の環状イミドの場合には、5員環の場合と比較して加水分解が遅く、耐加水分解性が高い。このため、6員環の環状イミドの場合には、より耐久性能が維持される。
以下、実施例1〜実施例22及び比較例1、比較例2により本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。これらの実施例は、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質の有効性を調べたものであり、異なる原料にて調整した固体高分子型燃料電池用電解質の例を示したものである。
<試料の調製>
(実施例1)
デュポン社のナフィオン(登録商標)117膜(厚さ175[μm])を1[cm]角に切り出して用いた。ナフィオン(登録商標)膜の前処理は、NEDO PEFC R&Dプロジェクト標準処理に従い、3[%]過酸化水素水中で1[時間]煮沸した後、蒸留水中1[時間]煮沸し、続いて、1[M]硫酸水溶液中で1[時間]煮沸し、最後に蒸留水中で1[時間]煮沸の順に行った。
次に、前処理を施したナフィオン(登録商標)膜に活性酸素を消失させるために触媒(活性酸素消失触媒)としてNHPIを0.5[mM]加えた後、30[%]過酸化水素水(和光純薬特級)を超純水で希釈して調整した10[%]過酸化水素10[cm]中に80[℃]で12[時間]浸漬し、評価に用いた。
(実施例2)
過酸化水素耐久試験において劣化を促進する目的で、前処理を施したナフィオン(登録商標)膜を100[mM]のFeSO水溶液に一晩以上浸漬した後、蒸留水中で15[分間]超音波洗浄を用い、膜に付着したイオンを取り除くことにより、ナフィオン(登録商標)の対イオンをHからFe2+に交換した。なお、試薬は、和光純薬特級FeSO・7HOを用いた。
次に、イオン交換したナフィオン(登録商標)膜に、実施例1と同様に活性酸素消失触媒としてNHPIを0.5[mM]加えた後、30[%]過酸化水素水(和光純薬特級)を超純水で希釈して調整した10[%]過酸化水素10[cm]中に80[℃]で12[時間]浸漬し、評価に用いた。
(実施例3)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシマレイン酸イミド水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例3とした。
(実施例4)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシマレイン酸イミド水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例4とした。
(実施例5)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシコハク酸イミド水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例5とした。
(実施例6)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシマレイン酸イミド水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例6とした。
(実施例7)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシトリメリット酸イミド水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例7とした。
(実施例8)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシトリメリット酸イミド水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例8とした。
(実施例9)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例9とした。
(実施例10)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミドの水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例10とした。
(実施例11)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシグルタル酸イミド(NHGI)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例11とした。
(実施例12)
活性酸素消失触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシグルタル酸イミド(NHGI)水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例12とした。
(実施例13)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(NHNDI)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例13とした。
(実施例14)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(NHNDI)水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例14とした。
(実施例15)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド(NHDDI)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例15とした。
(実施例16)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド(NHDDI)水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例16とした。
(実施例17)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸イミド(NHNTI)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例17とした。
(実施例18)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸イミド(NHNTI)水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例18とした。
(実施例19)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸イミド(NHDTI)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例19とした。
(実施例20)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸イミド(NHDTI)水溶液を用い、実施例2と同様の処理を施したものを実施例20とした。
(実施例21)
活性酸素失活触媒として、NHPI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’,N’’−トリヒドロキシイソシアヌル酸(THICA)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例21とした。
(実施例22)
活性酸素失活触媒として、NHGI水溶液の代わりに0.5[mM]のN,N’,N’’−トリヒドロキシイソシアヌル酸(THICA)水溶液を用い、実施例1と同様の処理を施したものを実施例22とした。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で前処理を施したナフィオン(登録商標)膜にNHPIを加えていないものを、比較例1とした。
(比較例2)
実施例2と同様の方法でイオン交換したナフィオン(登録商標)膜にNHPIを加えていないものを、比較例2とした。
ここで、上記方法にて処理したナフィオン(登録商標)膜は、以下に示す方法によって評価した。
<過酸化水素耐久試験>
上記方法にて処理したナフィオン(登録商標)膜の色の変化を目視により観察した。
<膜の劣化解析>
膜の劣化解析は、ナフィオン(登録商標)膜の分解に伴い発生するフッ化物イオン濃度を測定することにより行った。フッ化物イオンの検出は、上記方法にて調整した試料溶液を超純水で10倍に希釈し、希釈後の溶液をイオンクロマトグラフで測定することにより行った。イオンクロマトグラフは、ダイオネック社製(機種名:DX−AQ)を用いた。
<活性酸素消失触媒の安定性試験>
活性酸素消失触媒であるNHPI及びNHGIの安定性試験は、1[mM]に調整したNHPI水溶液とNHGI水溶液をそれぞれビーカーに入れて80[℃]に保ち、24[時間]毎にサンプリングして液体クロマトグラフにかけた。そして、得られたクロマトグラムのピーク面積より、NHPI及びNHGIの濃度を測定した。
下表1、表2に実施例1〜22、比較例1及び比較例2におけるナフィオン(登録商標)膜の対イオン型、触媒の種類、フッ化物イオン濃度及び膜の色変化を示す。
Figure 2006049263
Figure 2006049263
実施例1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21及び比較例1の結果より、H型のナフィオン(登録商標)膜ではNHPIやNHGIなどの活性酸素消失触媒の有無に関係なく、過酸化水素水で12[時間]処理してもフッ化物イオンはほとんど検出されず、ナフィオン(登録商標)膜の劣化は進行していないことが分かった。これに対して、比較例2に示すようにFe2+型のナフィオン(登録商標)膜では、12[時間]処理後にフッ化物イオンが検出され、膜の劣化が進行することが分かった。
また、実施例2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22と比較例2の比較から分かるように、NHPIやNHGIなどの活性酸素消失触媒の有無により検出されたフッ化物イオンに10倍以上の差がみられ、NHPIやNHGIなどの活性酸素消失触媒の存在により、ナフィオン(登録商標)膜の分解が抑制されることが分かった。
さらに、Fe2+型のナフィオン(登録商標)膜はほとんど透明であるが、比較例2では過酸化水素水で12[時間]処理した後に膜が褐色に変化し、対イオンがFe2+がFe3+に酸化しており、フェントン反応が起こったことが示唆された。これに対し、NHPIやNHGIなどの活性酸素消失触媒が存在する実施例2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22では、Fe2+が存在するにも拘わらず、色の変化は確認されず、フェントン反応が抑制されていることが分かった。
また、過酸化水素水で12[時間]の加熱処理を施している間には、NHPIを入れた実施例1、実施例2のサンプル瓶からは比較例1、比較例2と比較するとより多くの気泡が発生しており、過酸化水素の分解が促進されていることも目視で確認できた。なお、今回の結果より、活性酸素失活触媒の種類により発生するフッ化物イオンの量に大きな差はみられなかった。
<酸化還元電位>
実施例に用いる化合物の酸化還元電位は、作用極にグラッシーカーボン、対極に白金、参照極に飽和カロメル電極(SCE)を用い、電解液に1[M]硫酸を用いて測定した。代表例としてNHPIのサイクリックボルタモグラムを図5に示す。本条件(SCE)におけるNHPIの酸化還元電位は1.10[V](SCE)付近に存在するが、図1、特許請求の範囲、及び明細書中では、各物質の酸化還元電位と合わせるために下式(36)に示す式により標準電位E(NHE)に補正して表示する。
(NHE)=E(SCE)+ 0.24[V] ・・・式(36)
この電位により、NHPIは、可逆的に酸化剤(水素受容体)又は還元剤(水素供与体)として機能する化合物であり、ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物であることが示され、電位的にも過酸化水素を消失する機能を有していることが示された。なお、NHGIのサイクリックボルタモグラムより、NHGIの酸化還元電位は1.15 [V] (SCE)付近に存在することがわかった。
次に、実施例2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22及び比較例2により得られた膜をそれぞれ電解質膜とし、白金担持カーボンを電極とした燃料電池単セルを作成し、起動停止の繰り返し耐久試験を実施した。得られた電解質膜のアソード、カソードとなる面に白金担持カーボン(Cabot 社製 20wt%Pt/Vulcan XC-72)を1[mg/cm]となるように塗布して膜−電極接合体(MEA)を作製した。そして、作製したMEAを単セルの中に組み込み、PEFC用単セルとして評価に用いた。なお、単セルは5[cm]単セルとした。
ここで、起動停止繰り返し実験は、以下の方法にて行った。
<起動停止繰り返し耐久試験>
アノードガスとして70[℃]加湿水素ガス(大気圧)を、カソードガスとして70[℃]加湿酸素ガス(大気圧)を70[℃]に保った単セルに供給し、開回路状態で30[分]保持した後、試験を開始した。
試験は、単セルに流速300[dm/分]のガスを流し、放電開回路状態から電流密度を増加させ、端子電圧が0.3[V]以下になるまで放電を行った。そして、端子電圧が0.3[V]以下になった後、再び開回路状態として5[分]間保持した。この操作を繰り返し行い、1[mA/cm]の電流密度で発電したときの電圧が0.4[V]以下になった回数をもって耐久性能を比較した。なお、耐久試験を促進するため、ナフィオン(登録商標)膜はいずれもFe2+型に置換したもの(実施例2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22及び比較例2)を用いた。
図6に、作製した燃料電池単セルの起動停止繰り返し耐久試験の電流−電圧曲線の初期値と、耐久後の電流−電圧曲線のグラフを示す。このグラフにおいて、1[mA/cm]の電流密度で発電したときの電圧が0.4[V]以下になった回数を判断基準とし、耐久試験後の電解質膜の劣化度合いの判定した。また、下表3に、実施例2,4,6,8,10及び比較例2におけるナフィオン(登録商標)膜の対イオン型、触媒の種類、起動停止繰り返し回数を示す。
Figure 2006049263
比較例2に示すように、活性酸素消失触媒の存在しないものは、起動停止繰り返し回数が70回で、1[mA/cm]の電流密度で発電したときの電圧が0.4[V]以下に低下した。これに対し、活性酸素消失触媒を添加したものはいずれも起動停止繰り返し回数500回以上で電圧が0.4[V]以下となり、活性酸素消失触媒を添加したことにより電解質膜の劣化が抑制されていることが判明した。さらに、活性酸素消失触媒が6員環タイプである実施例12,14,16,18,20,22では、いずれも起動停止繰り返し回数600回以上で電圧が0.4[V]以下となり、5員環タイプである実施例2,4,6,8,10よりも電解質膜の劣化が抑制され、耐久性に優れていることがわかった。これは、6員環タイプのイミド化合物は、5員環タイプより耐加水分解性も良好で安定であるため、5員環タイプのイミド化合物に比べて起動停止回数が増えていると考えられた。図7に活性酸素消失触媒であるNHPI及びNHGIの安定性試験の結果のグラフを示す。図7に示されるように、5員環タイプであるNHPIは下式(37)に示す加水分解により経時で濃度が下がり、96時間後のNHPIの濃度は約0.6[mM]に減少していた。
Figure 2006049263
これに対し、6員環タイプであるNHGIもNHPIと同様に下式(38)に示す加水分解により経時で濃度が下がるが、96時間後のNHGIの濃度は約0.9[mM]であった。
Figure 2006049263
このように、6員環タイプのイミド化合物も5員環タイプと同様に加水分解は起こるが、5員環タイプと比較すると加水分解反応が遅いため、耐加水分解性が良好で安定であることがわかった。中でも実施例22の活性酸素消失触媒としてTHICAを用いた場合には、起動停止繰り返し回数850回で電圧が0.4[V]以下となり、特に耐久性に優れていることが分かった。THICAは、分子量が小さく、さらに分子内にヒドロキシイミド基を三つ有するため、より活性酸素を消失する触媒作用に優れているため良好な耐久性を示したと考えられた。
以上示したように、現在最も広く使われている電解質膜であるナフィオン(登録商標)膜に代表されるパーフルオロスルホン酸系ポリマーは、燃料電池の正極で発生する活性酸素により十分な耐性があるとは言えない状況であったが、上記化合物を触媒として含有させた電解質膜を使用することにより、水素ラジカルの出入りが繰り返し可能となるため、長期に渡り活性酸素を消失させる効果を有する。このように、酸化触媒(活性酸素消失触媒)を用いることにより、固体高分子型燃料電池の正極において過酸化水素が発生しても、電解質膜の性能を長期にわたって維持でき、電解質膜の劣化を抑制することが可能となり、燃料電池の耐久性能が向上可能となった。
なお、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質は、固体高分子型燃料電池の電解質膜として使用することができる。この場合、プロトン伝導型の高分子電解質膜を用いる燃料電池であれば燃料の種類に限定されることはなく、水素型固体高分子燃料電池、ダイレクトメタノール型固体高分子燃料電池、ダイレクト炭化水素型固体高分子燃料電池等のいずれの燃料電池に用いることが可能である。
また、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導型の高分子電解質膜を用いる燃料電池システムに用いることが可能であり、その用途としては、燃料電池車両に限定されることは無く、燃料電池コージェネレーション発電システム、燃料電池家電機器、燃料電池携帯機器、燃料電池輸送用機器に適用することが可能である。
以上、本実施の形態の形態について説明したが、上記の実施の形態の開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
ヒドロキシラジカル、酸素、過酸化水素、水素、NHPI及びPINOの酸化還元電位を示す説明図である。 NHPIによる活性酸素消失メカニズムを表す説明図である。 グローサス・メカニズムによるヒドロキシラジカル還元メカニズムを示す説明図である。 NHGIによる活性酸素消失メカニズムを表す説明図である。 NHPIの電極反応におけるサイクリックボルタモグラムである。 作製した燃料電池単セルの起動停止繰り返し耐久試験の電流−電圧曲線の初期値と、耐久後の電流−電圧曲線を示すグラフである。 NHPI及びNHGIの安定性試験の結果のグラフである。

Claims (20)

  1. ヒドロキシラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する化合物を有することを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質。
  2. 前記化合物の標準酸化還元電位が、0.68[V]〜2.85[V]の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  3. 前記化合物は、過酸化水素が酸化剤として働く酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、過酸化水素が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働くことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された固体高分子型燃料電池用電解質。
  4. 前記化合物の標準酸化還元電位が、0.68[V]〜1.77[V]の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  5. 前記化合物が、下記の一般式(I)
    Figure 2006049263
    (式中、R1及びR2は同一又は異なる任意の置換基を、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された固体高分子型燃料電池用電解質。
  6. 前記一般式(I)において、R1及びR2は互いに結合して二重結合、芳香環、又は非芳香族性の環を形成していること特徴とする請求項5に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  7. 前記一般式(I)で示される化合物が、下記の一般式(II)
    Figure 2006049263
    (式中環Yは、二重結合を有する又は芳香族性若しくは非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を表す。)で示されるイミド化合物であることを特徴とする請求項6に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  8. 前記一般式(II)で示される化合物が、下記の一般式(III)
    Figure 2006049263
    (式中、R3及びR4は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を、nは1〜3の整数を表す。)で示されるイミド化合物であることを特徴とする請求項7に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  9. 前記一般式(III)において、R3及びR4は互いに結合して二重結合、芳香環、又は非芳香族性の環を形成していること特徴とする請求項8に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  10. 前記一般式(III)において、R3及びR4が互いに結合して芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環のうちいずれか一種類の環を形成していることを特徴とする請求項8に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  11. 前記一般式(III)において、R3及びR4が互いに結合して、シクロアルカン、シクロアルケン、橋かけ式炭化水素環、芳香環、及びそれらの置換体からなる群から選択さる少なくとも一種を形成していることを特徴とする請求項8に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  12. 前記一般式(III)で示される化合物が、下記式(IVa)〜(IVf)
    Figure 2006049263
    (式中、R3〜R6は同一又は異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で示される化合物からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載された固体高分子型燃料電池用電解質。
  13. 前記一般式(III)で示される化合物が、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド及びN,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドからなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物であることを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載された固体高分子型燃料電池用電解質。
  14. 前記一般式(II)で示される化合物が、下記の一般式(V)
    Figure 2006049263
    (式中、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を表す。R1〜R6は同一又は異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を表す。また、R1〜R6のうち少なくとも二つが互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。この環のうち少なくとも一つがN−置換環状イミド基を有していても良い。)で示される化合物であることを特徴とする請求項7に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  15. 前記一般式(V)で示される化合物が、下記式(VIa)又は(VIb)
    Figure 2006049263
    (式中、R7〜R12は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基を表す。)で示される化合物であることを特徴とする請求項14に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  16. 前記一般式(V)、(VIa)、又は(VIb)で示される化合物が、N−ヒドロキシグルタル酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸イミド及びN,N’,N’’−トリヒドロキシイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも一種のイミド化合物であることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の固体高分子型燃料電池用電解質。
  17. 請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の固体高分子型燃料電池用電解質を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  18. 前記固体高分子型燃料電池が水素型、ダイレクトメタノール型、及びダイレクト炭化水素型の中から選択されるいずれか一種であることを特徴とする請求項17に記載の固体高分子型燃料電池。
  19. 請求項17又は請求項18に記載の固体高分子型燃料電池を備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池システム。
  20. 請求項19に記載の固体高分子型燃料電池システムが搭載されていることを特徴とする燃料電池車両。
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