JP2003201255A - アルツハイマー病予防および治療剤 - Google Patents

アルツハイマー病予防および治療剤

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JP2003201255A
JP2003201255A JP2002045313A JP2002045313A JP2003201255A JP 2003201255 A JP2003201255 A JP 2003201255A JP 2002045313 A JP2002045313 A JP 2002045313A JP 2002045313 A JP2002045313 A JP 2002045313A JP 2003201255 A JP2003201255 A JP 2003201255A
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alzheimer
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disease
oxidase inhibitor
preventive
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JP2002045313A
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Seio Nishimoto
征央 西本
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なアルツハイマー病予防および治療剤を
提供することである。 【解決手段】 アロプリノール、オキシプリノール及び
下記一般式で表わされるピラゾロトリアジン誘導体及び
/又はその塩からなる群より選ばれるキサンチンオキシ
ダーゼ阻害剤と、NADPHオキシダーゼ阻害剤(例え
ばアポシニン)及び/又はカスパーゼ阻害剤(例えばア
セチル−L−アスパルチル−L−グルタミル−L−バリ
ル−L−アスパルト−1−アール)とを有効成分として
含有するアルツハイマー病予防および治療剤である。 【化3】 〔式中、R1、R2およびnは明細書に記載の通りであ
る。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルツハイマー病
の予防および治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】時代は21世紀に突入し、老年者人口は
増加の一途をたどり、老年性痴呆症やアルツハイマー病
が増々大きな社会問題となっている。アルツハイマー病
は、加齢に伴い脳が変性して起こる疾患で、全く家族歴
がない孤発性とよばれるタイプ(約9割)と、家族集積
性のみられる家族性と呼ばれるタイプ(約1割)に分け
られる。いずれにしても、発症により、記憶障害、判断
障害、失語、失行、人格障害などの症状が現れ、更にて
んかん等の神経症状が加わり、最後には寝たきりとなっ
て死に至る。
【0003】近年、アルツハイマー病の詳しい病態や発
症メカニズムについて、かなり研究が進み、ある種の遺
伝子の異常がアルツハイマー病発症原因の一つであるこ
とが明らかになってきた。しかしながら、アルツハイマ
ー病の絶対的な予防、治療方法については、いまだ有効
なものが見出されていないのが現状で、特に薬物として
は、脳機能改善薬が対症療法的に用いられているに過ぎ
ず、それとて劇的な予防効果や症状改善は期待できな
い。
【0004】このように、アルツハイマー病を確実に予
防しまたその進行を抑える画期的な薬剤の出現が、斯界
で要望されている現状にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題 】本発明の目的は、上
記斯界の要望に合致する新しいアルツハイマー病予防お
よび治療剤を提供することにある。 本発明者らは、上
記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、痛風の治療
剤として用いられているキサンチンオキシダーゼ阻害剤
が、NADPHオキシダーゼ阻害剤及び/又はカスパー
ゼ阻害剤と併用することにより、驚くべきことに、痛風
とは全く別のアルツハイマー病の予防及び治療効果を発
揮することを見出し、ここに本発明を完成するに至っ
た。
【0006】
【課題を解決するための手段 】即ち本発明のアルツハ
イマー病予防および治療剤は、キサンチンオキシダーゼ
阻害剤と、NADPHオキシダーゼ阻害剤及び/又はカ
スパーゼ阻害剤とを有効成分として含有することを特徴
とする。
【0007】
【発明の実施形態】以下、本発明のアルツハイマー病予
防および治療剤を詳細に説明する。
【0008】<キサンチンオキシダーゼ阻害剤>キサン
チンオキシダーゼ阻害剤としては、従来、抗痛風剤とし
て汎用されているアロプリノール、その類縁体であるオ
キシプリノール及び下記一般式(1)で表わされる化合
物〔特開昭64−79184号公報参照〕及び/又はその塩か
らなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく用いら
れる。
【0009】一般式 :
【化2】 〔式中R1は水素原子、低級アルキル基又は低級アルコ
キシ基を、R2は水素原子又は水酸基を、nは0、1又
は2をそれぞれ示す。〕
【0010】上記一般式(1)において、R1で示され
る低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げら
れる。また、低級アルコキシ基としては、例えばメトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ
基等の炭素数1〜6のアルキコキシ基が挙げられる。
【0011】キサンチンオキシダーゼ阻害剤として上記
一般式(1)の化合物を用いる場合、そのうち好ましい
化合物は、nが1である化合物が挙げられる。該化合物
は、硫黄原子を不斉中心とする光学活性体が存在し、そ
のうち(−)体が、アルツハイマー病予防および治療剤
の有効成分として好適である。特にそのナトリウム塩
は、水溶性が良好であるため、製剤的に有利である。該
光学活性体及びその塩は、例えば特開平3−16308
2号公報記載の方法により製造することができる。
【0012】更に、上記一般式(1)で表される化合物
のアルカリ金属塩を用いる場合、水不溶性高分子化合物
と水溶性高分子とを配合することにより、該化合物のバ
イオアベイラビリティーをより向上させることができる
(特開平6-16572号公報参照)。
【0013】尚、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として
用いられるアロプリノール、オキシプリノール、並びに
上記一般式(1)で表わされるピラゾロトリアジン誘導
体の塩としては、通常の薬理的に許容される塩、例えば
上記したナトリウム塩や、カリウム塩等のアルカリ金属
塩や、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、マレ
イン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、ベンゼンスルホン
酸塩等の酸付加塩等を例示できる。
【0014】本発明において有効成分として利用するキ
サンチンオキシダーゼ阻害剤は、抗痛風剤として用いら
れることが従来知られているのみで、これ以外の薬理用
途についての知見は、上記一般式(1)で表されるピラ
ゾロトリアジン誘導体の虚血再灌流障害の改善効果(特
開平3−157385号)以外は皆無である。そして、
キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、NADPHオキシダ
ーゼ阻害剤及び/又はカスパーゼ阻害剤との併用により
極めて優れたアルツハイマー病予防および治療作用を有
しアルツハイマー病予防および治療剤として有効である
という事実は、本発明者らが初めて見出した新知見であ
る。
【0015】<NADPH(還元型ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチドリン酸)オキシダーゼ阻害剤>NA
DPHオキシダーゼ阻害剤とは、活性酸素生成に関与す
る酵素の阻害剤で、炎症、癌等の活性酸素が関与すると
考えられている疾患の治療剤として有望である。しか
し、それ単独でのアルツハイマー病予防および治療効果
は期待できないものである。
【0016】NADPHオキシダーゼ阻害剤としては、
例えばアポシニン(APOCYNINE)、ジフェニレ
ンヨードニウム、スタウロスポリン等を挙げることがで
きる。これらの使用割合は、特に限定されず、用いる薬
剤の種類により適宜決定させるが、一般にキサンチンオ
キシダーゼ阻害剤に対し0.1モル%〜106倍モル
量、好ましくは0.1モル%〜105倍モル量程度とす
ることができる。
【0017】<カスパーゼ阻害剤>カスパーゼ阻害剤と
は、細胞死(アポトーシス)の際に細胞内で特異的に活
性化される蛋白質分解酵素であるカスパーゼを阻害する
もので、脳卒中の改善剤等として有用であるが、それ単
独でのアルツハイマー病予防および治療効果は、期待で
きないものである。
【0018】カスパーゼ阻害剤としては、例えばアセチ
ル−L−アスパルチル−L−グルタミル−L−バリル−
L−アスパルト−1−アール(DEVD)、ニトロフル
ルビプロフェン(Nitroflurbiprofen)、IDN−53
70等の、公知の阻害剤をいずれも採用することができ
る。これらの使用割合も同様に、特に限定されず、用い
る薬剤の種類により適宜決定させるが、一般にキサンチ
ンオキシダーゼ阻害剤に対し0.1モル%〜106倍モ
ル量、好ましくは0.1モル%〜105倍モル量程度と
することができる。
【0019】本発明のアルツハイマー病予防および治療
剤は、通常、上記有効成分化合物と共に製剤担体を用い
て一般的な医薬製剤組成物の形態とされ実用される。該
製剤担体としては製剤の使用形態に応じて、通常使用さ
れる充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活
性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を例示でき、こ
れらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使
用される。本発明アルツハイマー病予防および治療剤の
上記医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治
療目的に応じて選択でき、その代表的なものとしては錠
剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセ
ル剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
【0020】錠剤の形態に成形するに際しては、上記製
剤担体として例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブド
ウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結
晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウム等の賦形剤、
水、エタノール、プロパノール、単シロツプ、ブドウ糖
液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロー
スカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
ス、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン
末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウ
ム等の崩壊剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノ
グリセリド等の界面活性剤、白糖、ステアリン、カカオ
バター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウ
ム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリ
セリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリ
ン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製
タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリ
コール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応
じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被
包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重
錠、多層錠とすることができる。
【0021】丸剤の形態に成形するに際しては、製剤担
体として例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、
硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴ
ム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合
剤、ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
坐剤の形態に成形するに際しては、製剤担体として例え
ばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコー
ル、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グ
リセライド等を使用できる。カプセル剤は常法に従い通
常本発明の有効成分化合物を上記で例示した各種の製剤
担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等
に充填して調製される。
【0022】本発明のアルツハイマー病予防および治療
剤が液剤、乳剤、懸濁剤等の注射剤として調製される場
合、之等は殺菌され且つ血液と等張であるのが好まし
く、之等の形態に成形するに際しては、希釈剤として例
えば水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレン
グリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポ
リオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル類等を使用できる。尚、
この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブ
ドウ糖あるいはグリセリンを本発明アルツハイマー病予
防および治療剤中に含有させてもよく、また通常の溶解
補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に、
本発明アルツハイマー病予防および治療剤中には、必要
に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他
の医薬品を含有させることもできる。
【0023】本発明のアルツハイマー病予防および治療
剤中に含有されるべき有効成分の量は、特に限定されず
広範囲に適宜選択されるが、通常全医薬製剤組成物中に
約0.5〜50重量%程度含有される量とするのがよい。本
発明アルツハイマー病予防および治療剤の投与方法は特
に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他
の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば錠
剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤
は経口投与される。注射剤は単独で又はブドウ糖、アミ
ノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必
要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投
与される。
【0024】本発明アルツハイマー病予防および治療剤
の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件等に
より適宜選択されるが、通常有効成分の合計量が1日成
人1人当たり約0.1〜1000mg程度とするのがよく、該製
剤は1日に1〜4回に分けて投与することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため本発
明アルツハイマー病予防および治療剤の製剤例を実施例
として挙げ、次いで薬理試験例を挙げる。
【0026】実施例1 ・(−)−4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4−
フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ[1,5−a ]
−1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩 30g ・アポシニン 30g ・アビセル(商標名、旭化成社製)40g ・コーンスターチ 30g ・ステアリン酸マグネシウム 2g ・TC−5(商標名、信越化学工業社製ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース) 5g ・ポリエチレングリコール−6000 1g ・水 47g ・エタノール 47g
【0027】(−)−4−ヒドロキシ−8−(3−メト
キシ−4−フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ
[1,5−a ]−1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩、ア
ポシニン、アビセル、コーンスターチ及びステアリン酸
マグネシウムを混合研磨後、糖衣R8mmのキネで打錠し
た。得られた錠剤をTC−5、ポリエチレングリコール−
6000、水及びエタノールからなるフィルムコーティング
剤被覆を行ない、1錠当り上記有効成分をそれぞれ30mg
ずつ含有するフィルムコーティング錠を製造した。
【0028】実施例2 ・(−)−4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4−
フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ[1,5−a ]
−1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩 50g ・DEVD 50g ・結晶セルロース(日本薬局方品) 104g ・コーンスターチ(日本薬局方品) 92g ・タルク(日本薬局方品) 2g ・ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g (全 量 300g)
【0029】有効成分としての(−)−4−ヒドロキシ
−8−(3−メトキシ−4−フェニルスルフィニルフェ
ニル)ピラゾロ[1,5−a ]−1,3,5−トリアジン・ナ
トリウム塩及びDEVDを、1カプセル当りそれぞれ50
mgずつ含有する硬質ゼラチンカプセル(1000個)を、上
記処方により調製した。即ち、各成分を細かく粉末に
し、均一混合物となるように充分混和後、所望の寸法を
有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、本発明
カプセル剤を調製した。
【0030】実施例3 (−)−4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4−フ
ェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ[1,5−a ]−
1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩に代えて、アロプリ
ノール10gを用いた他は、実施例1と同様にして、フィ
ルムコーティング錠を製造した。
【0031】実施例4 (−)−4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4−フ
ェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ[1,5−a ]−
1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩に代えて、オキシプ
リノール10gを用いた他は、実施例2と同様にして、カ
プセル剤を調製した。
【0032】薬理試験例1 (1)モデル細胞の調製 (a)神経細胞の調製 ラット13日目胚初代培養ニューロンとマウス神経芽腫
のハイブリッド細胞であるF11細胞[Science,272,13
49(1996)]を、18%ウシ胎児血清および抗生物質を含
むHamF−12培地(ギブコ社製)で培養した。上記
細胞に、文献記載の方法[J. Biol. Chem.,275,34541(2
000)]に基づき、共発現ベクターpVgRXR(インビトロジ
ェン社製)を導入し、それに続くゼオシン(インビトロ
ジェン社製)選択により、目的cDNAの発現調整物質
であるエクダイソンの受容体EcRと、その感受性を上
げるためのレチノイドX受容体の両方を安定に過剰発現
するF11/EcR細胞を樹立した。 (b)プラスミドの調製 プレセニリン2(PS2)の変異体N141I−PS2
のcDNA(LucianoD'Adamio博士より寄贈[Science,2
74,1710(1996)])を含むEcoRI−XbaI断片を
用いて、エクダイソン誘導型プラスミドであるpIND(イ
ンビトロジェン社製)を組替え、病態モデル遺伝子を含
むプラスミド(pIND-N141I-PS2)を調製した。また、野
生型プレセニリン2(PS2)のcDNA(P. St-Geor
ge Hyslop博士より寄贈)を用いて、同様にして健常モ
デル遺伝子を含むプラスミド(pIND-wt-PS2)を調製し
た。 (c)モデル細胞の調製 上記(a)で得たF11/EcR細胞を、6ウェルプレー
トに7×104/ウェルで播き、18%ウシ胎児血清を
含むHamF−12培地(HF−18%;ギブコ社製)
で12〜16時間培養し、次に上記(b)で調製した各プ
ラスミドを、リポフェクション試薬としてリポフェクタ
ミン(ギブコ社製)を用い、文献記載のリポフェクショ
ン法[EMBO J.,15,3769(1996)]によりトランスフェク
トし、更にHF−18%中12〜16時間培養し、病態
モデル細胞及び健常モデル細胞を得た。
【0033】(2)エクダイソン処理による細胞死の誘
導 上記(c)で得た各細胞を、被検薬の存在又は非存在下に
10%ウシ胎児血清を含むHamF−12培地(HF−
10%;ギブコ社製)中で2時間培養し、次にエクダイ
ソン(商品名ポナステロン;ギブコ社製)(エタノール
溶液)を培地に添加し、72時間培養後の細胞の死亡率
をトリパンブルー排除アッセイ[J. Biol. Chem., 275,
34541(2000)]により測定した。また、対照としてエク
ダイソンの代わりにエタノールのみを添加した例を設け
た。尚、各例の被検薬の組み合わせは、表1に示す通り
である。表中、括弧内の数値は各被検薬の培地への添加
量を示す。
【表1】 結果を図1〜3に示す。
【0034】(3)結果について (a)対照例 健常細胞も病態細胞も、エクダイソン処理を行わなけれ
ば、細胞死の率はおよそ10%程度である(図1の対照
例1,2)。エクダイソン処理を行った場合、病態細胞
は低発現レベルでも細胞死の率が増加し、エクダイソン
濃度10μMで約60%が死滅した(図1の対照例
4)。一方、健常細胞は、エクダイソン濃度が10μM
を越えると、細胞死の率が濃度依存的に増加したが、そ
の率は病態細胞よりも低レベルであった(図1の対照例
3)。 (b)比較例 キサンチンオキシダーゼ阻害剤のみを添加した場合は、
病態細胞の細胞死の率は薬剤非添加の場合と変わらず、
細胞死は全く抑制されなかった(図2の比較例1)。ま
た、NADPHオキシダーゼ阻害剤またはカスパーゼ阻
害剤単独でも、エクダイソン濃度が10μMを越える
と、細胞死の率が急激に増加し、40μMでは薬剤非添
加の場合と同等までに至った(図1及び図3の比較例2
〜3)。 (c)本発明 薬剤の組合わせにより、細胞死の率は薬剤非添加の健常
細胞と同レベルまで抑えられた(図2及び図3)。尚、
図示しないが、上記化合物I(100nM)とアポシニン(30
0μM)の組合わせでも、上記本発明1及び2と同様の細
胞死抑制効果が見られた。
【0035】薬理試験例2 薬理試験例2のモデル細胞の調製において、変異体N1
41I−PS2のcDNAに代えて、M239V−PS
2のcDNA(J.Biol.Chem.,272(12),7977(1997)に記
載の方法に準じて作成)を使用した以外は、前記薬理試
験例1と同様にして細胞死の測定試験を行った。尚、各
例の被検薬の組み合わせは、表2に示す通りである。表
中、括弧内の数値は各被検薬の培地への添加量を示す。
【表2】 結果を図4〜5に示す。
【0036】図4〜5から、薬理試験例1と同様に、キ
サンチンオキシダーゼ阻害剤とNADPHオキシダーゼ
阻害剤またはカスパーゼ阻害剤とを組合わせて使用する
ことにより、細胞死の率が抑制されることが確認され
た。
【0037】薬理試験例3 病態モデル細胞として、M239V−PS2のcDNA
を組み込んだpcDNAプラスミドベクターを、F11
細胞に直接トランスフェクトしたものを用い、HamF
−12培地中で72時間培養後、細胞の死亡率を前記薬
理試験1と同様にして測定した。尚、対照としてF11
細胞そのものを用いた。各例の被検薬の組み合わせは、
表3に示す通りである。表中、括弧内の数値は各被検薬
の培地への添加量を示す。
【表3】 結果を図6に示す。図6から、上記薬理試験1,2と同
様に、キサンチンオキシダーゼ阻害剤とNADPHオキ
シダーゼ阻害剤またはカスパーゼ阻害剤とを組合わせて
使用することにより、細胞死の率が抑制されることが確
認された。また、化合物Iは、DEVD(100μM)
存在下において、3nMの低濃度から高い細胞死抑制効
果が認められることが判明した。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】薬理試験例1における対照例および比較例につ
いてのエクダイソン添加量(またはエタノール添加量)と
細胞死との関係を示すグラフである。
【図2】薬理試験例1における対照例、比較例および本
発明1についてのエクダイソン添加量(またはエタノー
ル添加量)と細胞死との関係を示すグラフである。
【図3】薬理試験例1における対照例、比較例および本
発明2についてのエクダイソン添加量(またはエタノー
ル添加量)と細胞死との関係を示すグラフである。
【図4】薬理試験例2における対照例、比較例および本
発明1についてのエクダイソン添加量(またはエタノー
ル添加量)と細胞死との関係を示すグラフである。
【図5】薬理試験例2における対照例、比較例および本
発明2についてのエクダイソン添加量(またはエタノー
ル添加量)と細胞死との関係を示すグラフである。
【図6】薬理試験例3における対照例、比較例および本
発明の細胞死を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 A61P 43/00 111 43/00 111 121 121 C07D 487/04 141 // C07D 487/04 141 143 143 A61K 37/02 Fターム(参考) 4C050 AA01 BB05 CC07 CC08 EE04 FF01 FF05 GG03 HH01 4C084 AA02 AA20 BA01 BA08 BA16 CA62 DC32 MA02 ZA161 ZA962 ZC202 ZC751 4C086 AA01 AA02 CB05 CB06 MA02 MA04 MA08 MA10 NA14 ZA16 ZA96 ZC20 ZC75 4C206 AA01 AA02 CB19 MA02 MA04 MA11 MA17 NA14 ZA16 ZA96 ZC20 ZC75

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キサンチンオキシダーゼ阻害剤と、NAD
    PHオキシダーゼ阻害剤及び/又はカスパーゼ阻害剤と
    を有効成分として含有することを特徴とするアルツハイ
    マー病予防および治療剤。
  2. 【請求項2】キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、アロプ
    リノール、オキシプリノール及び一般式: 【化1】 〔式中、R1は水素原子、低級アルキル基又は低級アル
    コキシ基を、R2は水素原子又は水酸基を、nは0、1
    又は2をそれぞれ示す。〕で表わされるピラゾロトリア
    ジン誘導体及び/又はその塩からなる群より選ばれる請
    求項1に記載のアルツハイマー病予防および治療剤。
  3. 【請求項3】キサンチンオキシダーゼ阻害剤として、上
    記一般式の化合物のうち、n=1の誘導体及び/又はそ
    の塩を用いる請求項2に記載のアルツハイマー病予防お
    よび治療剤。
  4. 【請求項4】上記一般式の化合物が(−)体である請求
    項3に記載のアルツハイマー病予防および治療剤。
  5. 【請求項5】上記一般式の化合物がナトリウム塩である
    請求項4に記載のアルツハイマー病予防および治療剤。
  6. 【請求項6】NADPHオキシダーゼ阻害剤としてアポ
    シニンを含有する請求項1〜5のいずれかに記載のアル
    ツハイマー病予防および治療剤。
  7. 【請求項7】カスパーゼ阻害剤としてアセチル−L−ア
    スパルチル−L−グルタミル−L−バリル−L−アスパ
    ルト−1−アールを含有する請求項1〜5のいずれかに
    記載のアルツハイマー病予防および治療剤。
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