JP2003201174A - 積層型圧電体セラミック素子およびそれを用いた積層型圧電体電子部品 - Google Patents

積層型圧電体セラミック素子およびそれを用いた積層型圧電体電子部品

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JP2003201174A JP2002091697A JP2002091697A JP2003201174A JP 2003201174 A JP2003201174 A JP 2003201174A JP 2002091697 A JP2002091697 A JP 2002091697A JP 2002091697 A JP2002091697 A JP 2002091697A JP 2003201174 A JP2003201174 A JP 2003201174A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層構造に違いがあっても、機械的品質係数
Qmの変化を抑制できる積層型圧電体セラミック素子を
提供する。 【解決手段】 内部電極層を有する圧電体セラミック素
子に用いる圧電体セラミックが、ペロブスカイト型結晶
構造を有し、かつPb,Zr,およびTiの元素と、C
r元素と、Na,K,Ca,Ba,Sr,La,Nd,
Bi,Co,Ni,Mg,Cr,Sn,Nb,Sb,T
a,Wから選ばれる少なくとも1種の元素と、不可避不
純物として含まれる元素とで構成され、この圧電体セラ
ミックの平衡状態に対する電荷のずれをζ=[(A3
1)+{(2×B6)+B5−B 3−(2×B2)}]×
e(C)(Bサイト元素の総数1に対し、A1:Aサイ
トの1価元素モル比、A3:Aサイトの3価元素モル
比、B2:Bサイトの2価元素モル比、B3:Bサイトの
3価元素モル比、B5:Bサイトの5価元素モル比、
6:Bサイトの6価元素モル比)と定義したとき、C
rを含む場合は0.017≦ζ/e≦0.028、C
o,Ni,Mgを含む場合は0.008≦ζ/e≦0.
017とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電体セラ
ミック素子、特に内部電極と圧電体セラミック層とを一
体焼成することによって得る積層型圧電体セラミック素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクチュエータやトランス等
に用いられる圧電体には、チタン酸ジルコン酸鉛(以
下、PZTとする)を主成分とする圧電体セラミックが
広く知られており、その構造として、この圧電体セラミ
ック内に内部電極を埋設して積層型圧電体セラミック素
子とするものがある。
【0003】このようなPZTを主成分とする圧電体セ
ラミックとしては、圧電特性改善のために、Pbの一部
をCa,Sr,Baで置換したり、PbTiO3−Pb
ZrO3−Pb(Co1/21/2)O3,PbTiO3−P
bZrO3−Pb(Mg1/3Nb2/3)O3となるような3
成分系の複合ペロブスカイト型酸化物がよく用いられて
いる。また、PZTを主成分とする圧電体セラミックを
積層するときに用いられる内部電極としては、Agまた
はAg−Pd合金が用いられている。
【0004】一般的に上記積層型圧電体セラミック素子
を作製するにあたっては、まず仮焼粉末からなる圧電体
セラミック材料とバインダーとを混合し、得られたスラ
リーをシート状に成形してグリーンシートとする。次
に、このグリーンシート上に所望のパターンとなるよう
に内部電極ペーストを印刷し、これらを圧着した後、グ
リーンシートと内部電極ペーストとを一体焼成するとい
う方法が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように圧電体セラミック材料と内部電極とを一体焼成さ
せて積層型圧電体セラミック素子を得ると、積層体の層
数や1層あたりの厚さ等の積層構造の違いによって、特
に機械的品質係数Qmが変化するという問題があった。
【0006】本発明の目的は、積層体の層数や1層あた
りの厚さ等といった積層構造に違いがあっても、機械的
品質係数Qmの変化を抑制できる積層型圧電体セラミッ
ク素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような目
的に鑑みてなされたものである。本願第1の発明の積層
型圧電体セラミック素子は、圧電体セラミック層と、内
部電極層とが積層されてなる積層型圧電体セラミック素
子であって、前記圧電体セラミック層が、ABO3で表
されるペロブスカイト型結晶構造を有し、かつAサイト
に含有されるPb元素と、Bサイトに含有されるZr元
素およびTi元素と、Bサイトに含有される3価元素と
してのCr元素と、Aサイトの1価元素としてのNa,
Kのうち少なくとも1種、Aサイトの2価元素としての
Ca,Ba,Srのうち少なくとも1種、Aサイトの3
価元素としてのLa,Nd,Biのうち少なくとも1
種、Bサイトの4価元素としてのSn、Bサイトの5価
元素としてのNb,Sb,Taのうち少なくとも1種、
およびBサイトの6価元素としてのWから選ばれる少な
くとも1種の元素とを含有する圧電体セラミックからな
り、前記圧電体セラミックにおいて、Aサイトを2価、
Bサイトを4価としたときの平衡状態に対する電荷のず
れを ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−B3}]×
e(C) ただし、Bサイト元素の総数を1としたとき、A1:前
記Aサイトの1価元素の総モル比、A3:前記Aサイト
の3価元素の総モル比、B3:前記Bサイトの3価元素
の総モル比、B5:前記Bサイトの5価元素の総モル
比、B6:前記Bサイトの6価元素の総モル比、e:素
電荷(1.60×10-19(C))と定義したとき、ζ
/eが、0.017≦ζ/e≦0.028であることを
特徴とする。
【0008】上記のような組成にすることによって、積
層構造に違いがあっても、機械的品質係数Qmの変化率
を35%以内に抑制できる。
【0009】また、本願第2の発明の積層型圧電体セラ
ミック素子は、第1の発明の積層型圧電体セラミック素
子におけるζ/eが、0.021≦ζ/e≦0.028
であることを特徴とする。
【0010】上記のような組成にすることによって、積
層構造に違いがあっても、機械的品質係数Qmの変化率
をさらに25%以内に抑制できる。
【0011】また、本願第3の発明の積層型圧電体セラ
ミック素子は、圧電体セラミック層と、内部電極層とが
積層されてなる積層型圧電体セラミック素子であって、
前記圧電体セラミック層が、ABO3で表されるペロブ
スカイト型結晶構造を有し、かつ Aサイトに含有され
るPb元素と、Bサイトに含有されるZr元素およびT
i元素と、Bサイトに含有される2価元素としてのC
o,Ni,Mgのうち少なくとも1種の元素と、Aサイ
トの1価元素としてのNa,Kのうち少なくとも1種、
Aサイトの2価元素としてのCa,Ba,Srのうち少
なくとも1種、Aサイトの3価元素としてのLa,N
d,Biのうち少なくとも1種、Bサイトの4価元素と
してのSn、Bサイトの5価元素としてのNb,Sb,
Taのうち少なくとも1種、およびBサイトの6価元素
としてのW、から選ばれる少なくとも1種の元素と含有
する圧電体セラミックからなり、前記圧電体セラミック
において、Aサイトを2価、Bサイトを4価としたとき
の平衡状態に対する電荷のずれを ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−(2×
2)}]×e(C) ただし、Bサイト元素の総数を1としたとき、A1:前
記Aサイトの1価元素の総モル比、A3:前記Aサイト
の3価元素の総モル比、B2:前記Bサイトの2価元素
の総モル比、B5:前記Bサイトの5価元素の総モル
比、B6:前記Bサイトの6価元素の総モル比、e:素
電荷(1.60×10-19(C))と定義したとき、ζ
/eが、0.008≦ζ/e≦0.017であることを
特徴とする。
【0012】上記のような組成にすることによって、積
層構造に違いがあっても、機械的品質係数Qmの変化率
を35%以内に抑制できる。
【0013】また、本願第4の発明の積層型圧電体セラ
ミック素子は、第3の発明の積層型圧電体セラミック素
子におけるζ/eが、0.012≦ζ/e≦0.017
であることを特徴とする。
【0014】上記のような組成にすることによって、積
層構造に違いがあっても、機械的品質係数Qmの変化率
をさらに25%以内に抑制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の積層型圧電体セラ
ミック素子について説明する。本発明の積層型圧電体セ
ラミック素子は、圧電体セラミック層と、内部電極層
と、外部電極とからなる。内部電極層は圧電体セラミッ
ク層に埋設されており、積層型圧電体セラミック素子の
側面ないしは端面に引き出されている。なお、異なる極
性に接続される内部電極をそれぞれ異なる面に引き出し
てもよいし、同一面上に引き出してもよい。後者の場
合、外部電極は同一面上に2つ電気的に独立するように
形成されることになる。外部電極は積層型圧電体セラミ
ック素子の端面ないし側面に形成され、内部電極と電気
的に接続されている。外部電極の形状および形成位置
は、その電子部品の実装形態に合わせて決定されればよ
く、特に限定されるものではない。
【0016】本発明の積層型圧電体セラミック素子にお
ける圧電体セラミック層を構成する圧電体セラミック
は、PbTiO3−PbZrO3を主成分としており、ペ
ロブスカイト型結晶構造を有している。なお、A/Bは
化学量論比である1に限定するものではなく、必要に応
じて適宜変動させることができるが、0.97〜1.0
3とすることが好ましい。また、このうちAサイトにあ
たるPbは、1価元素としてのNa,K、3価元素とし
てのLa,Nd,Biから選ばれる元素で置換してもよ
い。
【0017】また、BサイトにあたるZr,Tiは、2
価元素としてのCo,Ni,Mgもしくは3価元素とし
てのCrの元素で置換されているほか、4価元素として
のSn、5価元素としてのNb,Sb,Ta、6価元素
としてのWから選ばれる元素で置換してもよい。ただ
し、積層構造の違いによる機械的品質係数(Qm)の変
化率を35%以下に抑えるために、3価元素としてのC
rを含んで置換した場合は、Aサイトを2価、Bサイト
を4価として考えたときのζ/eが0.017〜0.0
28となるように、2価元素としてのCo,Ni,Mg
を含んで置換した場合は、Aサイトを2価、Bサイトを
4価として考えたときのζ/eが0.008〜0.01
7となるように置換しなければならない。また、上記範
囲にあって、Bサイトの5価元素としてSbを含まない
場合は、上記機械的品質係数(Qm)の変化率が25%
にまで抑えることができる。
【0018】さらに、前者においてζ/eが0.021
〜0.028の範囲にある場合、後者においてζ/eが
0.012〜0.017の範囲にある場合は、例えBサ
イトの5価元素としてSbを含んでいたとしても、積層
構造の違いによる機械的品質係数(Qm)の変化率が2
5%以下に抑えられ、さらに好ましい。なお、ここでい
う電荷のずれζとは、上記元素群の間における電荷のず
れを指し、平衡状態とはこの電荷のずれζ=0の状態を
指す。すなわち、上記元素群以外の元素が添加されてい
たとしても、上記元素群以外の元素は、本発明の効果に
直接関係しないものなので、電荷のずれζに影響を及ぼ
す元素として考えないものとする。
【0019】また、圧電体セラミックには、一般的にM
n,Fe等の元素が添加されたり、Si,Al,Cl等
の不可避不純物が含まれたりするが、これらの元素は、
電気機械結合係数等の圧電特性に悪影響を与えない程度
に含有していても構わない。なお、ここでいう不可避不
純物とは、一体焼成によって圧電体セラミック層に拡散
した内部電極構成元素およびその含有量が圧電セラミッ
ク全体の200ppm未満の元素を指す。
【0020】本発明の積層型圧電体セラミック素子にお
ける内部電極層は、圧電体セラミック層間に埋設されて
おり、圧電体セラミックと一体的に焼結されてなる。ま
た、その組成はAg、Pd、Pt、Ag−Pd合金、A
g−Pt合金等が挙げられる。なお、Agの融点は約9
60℃と低いため、セラミックの組成によってはセラミ
ックの焼結温度の方が高くなってしまう。したがって、
より融点の高いAg−Pd合金を用いることが好まし
い。
【0021】
【実施例】以下、本発明の積層型圧電体セラミック素子
および積層型圧電体セラミック電子部品について、さら
に具体的に説明する。 (実施例1)まず、出発原料として以下のものを準備し
た。 (1)PbO,ZrO2,TiO2(主成分) (2)Na2O,K2O(Aサイトに入る1価元素の化合
物) (3)CaCO3,BaCO3,SrCO3(Aサイトに
入る2価元素の化合物) (4)La23,Nd23,Bi23(Aサイトに入る
3価元素の化合物) (5)Cr23(Bサイトに入る3価元素の化合物) (6)SnO2(Bサイトに入る4価元素の化合物) (7)Nb25,Sb23,Ta25(Bサイトに入る
5価元素の化合物) (8)WO3(Bサイトに入る6価元素の化合物) これらを一般式(I)において、表1〜4に示すように
各出発原料を秤量し、圧電体材料とした。 (Pbvαw)(ZrxTiyβz)O3・・・(I) (αはAサイトに入るPb以外の元素、βはBサイトに
入るZr,Ti以外の元素、 x+y+z=1) それぞれの圧電体材料について、純水を添加してボール
ミルにより湿式混合した後、脱水、乾燥させて混合粉末
とした。
【0022】次に、得られた混合粉末を800〜100
0℃で仮焼し、仮焼粉末を得た。得られた仮焼粉末に、
バインダー、分散剤、界面活性剤、消泡剤、および純水
等を加えて混合し、スラリー状とした後、ドクターブレ
ード法にてグリーンシートとした。
【0023】得られたグリーンシートに、内部電極用金
属粉末としてAg:Pd=70:30のAg−Pd合金
を含む内部電極ペーストを所望のパターンとなるように
スクリーン印刷したものを積み重ねて圧着し、積層体と
した。なお、内部電極3層、内部電極間距離180μm
としたもの(積層体1)と、内部電極2層、電極間距離
370μmとしたもの(積層体2)の2種類を作製し
た。次に、得られた積層体を1080〜1200℃で焼
成し、焼結体を得た。この焼結体の両主面を研磨し、電
極を形成した後、60〜150℃の絶縁オイル中で分極
処理を施した。この後、150〜280℃の熱処理を加
え、底面が15mm×15mmの正方形となるようにカ
ットして、積層型圧電体セラミック素子とした。なお、
それぞれの試料における電荷のずれζを以下の式によっ
て算出し、ζ/eを表1,2に示した。 ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−B3}]×
e(C) Bサイト元素の総数を1としたとき A1:Aサイトの1価元素の総モル比 A3:Aサイトの3価元素の総モル比 B3:Bサイトの3価元素の総モル比 B5:Bサイトの5価元素の総モル比 B6:Bサイトの6価元素の総モル比 e:素電荷(1.60×10-19(C)) 上記のようにして得られた積層型圧電体セラミック素子
の機械的品質係数Qmをインピーダンスアナライザによ
って測定し、積層体1および積層体2の機械的品質係数
Qmを比べ、変化率(%)を算出した。なお、機械的品
質係数Qmの変化率は以下の式に基づき算出した。
【0024】
【式1】
【0025】その結果を表3,4に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】表1〜4に示すように、上記元素を用いて
作製した積層型圧電体セラミック素子は、その組み合わ
せや組成比に関係なく、ζ/eが0.017〜0.02
8の範囲にあるものは、2種類の積層体間における機械
的品質係数Qmの変化率が35%以内であることがわか
る。
【0031】また、ζ/eが0.021〜0.028の
範囲にあるものは、さらに上記機械的品質係数Qmの変
化率が25%以下を満足していることがわかる。
【0032】一方、試料番号1,6,20のように、ζ
/eが0.017より小さい場合、すなわち平衡状態に
対する電荷のずれが小さすぎる場合は、2種類の積層体
間における機械的品質係数Qmの変化率が35%より大
きくなるため好ましくない。また、試料番号5,10,
25のように、ζ/eが0.028より大きい場合、す
なわち平衡状態に対する電荷のずれが大きすぎる場合
は、圧電体セラミック自体が焼結しにくくなるため好ま
しくない。
【0033】また、本発明の範囲内であるものの、ζ/
eが0.021〜0.028の範囲から外れている試料
番号2,7,21については、Sbを含んでいない試料
番号2を除き、2種類の積層体間における機械的品質係
数Qmの変化率が25%より大きくなっている。 (実施例2)まず、出発原料として以下のものを準備し
た。 (1)PbO,ZrO2,TiO2(主成分) (2)Na2O,K2O(Aサイトに入る1価元素の化合
物) (3)CaCO3,BaCO3,SrCO3(Aサイトに
入る2価元素の化合物) (4)La23,Nd23,Bi23(Aサイトに入る
3価元素の化合物) (5)CoCO3,NiO,Mg(OH)2(Bサイトに
入る2価元素の化合物) (6)SnO2(Bサイトに入る4価元素の化合物) (7)Nb25,Sb23,Ta25(Bサイトに入る
5価元素の化合物) (8)WO3(Bサイトに入る6価元素の化合物) 以下、実施例1と同様にして、2種類の積層型圧電体セ
ラミック素子を得た。なお、それぞれの試料における電
荷のずれζを以下の式を用いて算出し、ζ/eを表5,
6に示した。 ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−(2×
2)}]×e(C) Bサイト元素の総数を1としたとき A1:Aサイトの1価元素の総モル比 A3:Aサイトの3価元素の総モル比 B2:Bサイトの2価元素の総モル比 B5:Bサイトの5価元素の総モル比 B6:Bサイトの6価元素の総モル比 e:素電荷(1.60×10-19(C)) 次に、得られた積層型圧電体セラミック素子の機械的品
質係数Qmおよび機械的品質係数Qmの変化率を実施例
1と同様に測定、算出した。その結果を表7,8に示
す。
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】表5〜8に示すように、上記元素を用いて
作製した積層型圧電体セラミック素子は、その組み合わ
せや組成比に関係なく、ζ/eが0.008〜0.01
7の範囲にあるものは、2種類の積層体間における機械
的品質係数Qmの変化率が35%以内であることがわか
る。
【0039】また、ζ/eが0.012〜0.017の
範囲にあるものは、さらに機械的品質係数Qmの変化率
が25%以下を満足していることがわかる。
【0040】一方、試料番号49,54,68のよう
に、ζ/eが0.012より小さい場合、すなわち平衡
状態に対する電荷のずれが小さすぎる場合は、2種類の
積層体間における機械的品質係数Qmの変化率が35%
より大きくなるため好ましくない。また、試料番号5
3,58,73,80のように、ζ/eが0.017よ
り大きい場合、すなわち平衡状態に対する電荷のずれが
大きすぎる場合は、圧電体セラミック自体が焼結しにく
くなるため好ましくない。
【0041】また、本発明の範囲内であるものの、請求
項4の範囲から外れている試料番号50,55,69に
ついては、Sbを含んでいない試料番号50を除き、2
種類の積層体間における機械的品質係数Qmの変化率が
25%より大きくなっている。
【0042】
【発明の効果】本発明の積層型圧電体セラミック素子
は、圧電体セラミック層を構成する圧電体セラミックに
Cr元素を含有し、圧電体セラミック層が有している電
荷のずれをζとしたとき、ζ/eを平衡状態から0.0
17〜0.028分ドナー側にずらした組成となってい
るため、積層構造の違いによる機械的品質係数Qmの変
化率を35%以下にできる。
【0043】また、上記ζ/eを平衡状態から0.02
1〜0.028分ドナー側にずらした組成とすること
で、積層構造の違いによる機械的品質係数Qmの変化率
を25%以下にできる。
【0044】また、本発明の積層型圧電体セラミック素
子は、圧電体セラミック層を構成する圧電体セラミック
にCo,NiまたはMgのうち少なくとも1種の元素を
含有し、圧電体セラミック層が有している電荷のずれを
ζとしたとき、ζ/eが平衡状態から0.008〜0.
017分ドナー側にずらした組成となっているため、積
層構造の違いによる機械的品質係数Qmの変化率を35
%以下にできる。
【0045】また、上記ζ/eを平衡状態から0.01
2〜0.017分ドナー側にずらした組成とすること
で、積層構造の違いによる機械的品質係数Qmの変化率
を25%以下にできる。
フロントページの続き (72)発明者 木村 雅典 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA03 AA04 AA05 AA06 AA07 AA09 AA11 AA12 AA14 AA15 AA16 AA18 AA22 AA23 AA31 AA32 AA34 AA35 BA10 CA08 GA01 GA04 GA06 GA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体セラミック層と、内部電極層とが
    積層されてなる積層型圧電体セラミック素子であって、 前記圧電体セラミック層が、ABO3で表されるペロブ
    スカイト型結晶構造を有し、かつAサイトに含有される
    Pb元素と、 Bサイトに含有されるZr元素およびTi元素と、 Bサイトに含有される3価元素としてのCr元素と、 Aサイトの1価元素としてのNa,Kのうち少なくとも
    1種、Aサイトの2価元素としてのCa,Ba,Srの
    うち少なくとも1種、Aサイトの3価元素としてのL
    a,Nd,Biのうち少なくとも1種、Bサイトの4価
    元素としてのSn、Bサイトの5価元素としてのNb,
    Sb,Taのうち少なくとも1種、およびBサイトの6
    価元素としてのW、から選ばれる少なくとも1種の元素
    と、を含有する圧電体セラミックからなり、 前記圧電体セラミックにおいて、Aサイトを2価、Bサ
    イトを4価としたときの平衡状態に対する電荷のずれを ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−B3}]×
    e(C) ただし、Bサイト元素の総数を1としたとき A1:前記Aサイトの1価元素の総モル比 A3:前記Aサイトの3価元素の総モル比 B3:前記Bサイトの3価元素の総モル比 B5:前記Bサイトの5価元素の総モル比 B6:前記Bサイトの6価元素の総モル比 e:素電荷(1.60×10-19(C)) と定義したとき、ζ/eが、 0.017≦ζ/e≦0.028 であることを特徴とする積層型圧電体セラミック素子。
  2. 【請求項2】 前記ζ/eが、 0.021≦ζ/e≦0.028 であることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電体
    セラミック素子。
  3. 【請求項3】 圧電体セラミック層と、内部電極層とが
    積層されてなる積層型圧電体セラミック素子であって、 前記圧電体セラミック層が、ABO3で表されるペロブ
    スカイト型結晶構造を有し、かつAサイトに含有される
    Pb元素と、 Bサイトに含有されるZr元素およびTi元素と、 Bサイトに含有される2価元素としてのCo,Ni,M
    gのうち少なくとも1種の元素と、 Aサイトの1価元素としてのNa,Kのうち少なくとも
    1種、Aサイトの2価元素としてのCa,Ba,Srの
    うち少なくとも1種、Aサイトの3価元素としてのL
    a,Nd,Biのうち少なくとも1種、Bサイトの4価
    元素としてのSn、Bサイトの5価元素としてのNb,
    Sb,Taのうち少なくとも1種、およびBサイトの6
    価元素としてのW、から選ばれる少なくとも1種の元素
    と、を含有する圧電体セラミックからなり、 前記圧電体セラミックにおいて、Aサイトを2価、Bサ
    イトを4価としたときの平衡状態に対する電荷のずれζ
    を ζ=[(A3−A1)+{(2×B6)+B5−(2×
    2)}]×e(C) ただし、Bサイト元素の総数を1としたとき A1:前記Aサイトの1価元素の総モル比 A3:前記Aサイトの3価元素の総モル比 B2:前記Bサイトの2価元素の総モル比 B5:前記Bサイトの5価元素の総モル比 B6:前記Bサイトの6価元素の総モル比 e:素電荷(1.60×10-19(C)) と定義したとき、ζ/eが、 0.008≦ζ/e≦0.017 であることを特徴とする積層型圧電体セラミック素子。
  4. 【請求項4】 前記ζ/eが、 0.012≦ζ≦0.017 であることを特徴とする請求項3に記載の積層型圧電体
    セラミック素子。
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