JP2003199851A - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブヘッドの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス加工によりスコアラインを形成した場
合においても、スコアラインのエッジ部の角度を鋭くす
ることのできる、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供
する。 【解決手段】 プレス加工により前記フェース3にスコ
アライン10を設けた後、機械加工により前記フェース3
を平面とした。あるいは、プレス加工により前記フェー
ス3にスコアライン10を設けた後、プレス加工により前
記フェース3を平面とした。スコアライン10のエッジ部
をフェース3面上に設けることができるとともに、スコ
アライン10のエッジ部の角度が鋭くできるので、ボール
がこのエッジ部に引っ掛かりやすくなり、ボールに効果
的にスピンをかけることのできるゴルフクラブヘッドを
製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェースにスコア
ラインを有するゴルフクラブヘッドの製造方法に関す
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】ゴルフクラブヘッドの
フェースには、スコアラインと称される複数の溝が施さ
れている。このスコアラインは、ゴルフクラブがボール
にスピンをかける性能、いわゆるスピン性能を左右す
る。
【0003】ゴルフクラブは、通常、ウッド、アイアン
およびパターの3種類に分類される。そして、例えばア
イアンの場合、ロフト角の小さい(例えば20度乃至3
0度)アイアンはロングアイアンと称せられ、ロフト角
の大きい(例えば40度乃至50度)アイアンは、ショ
ートアイアンと称せられ、通常ロングアイアンからショ
ートアイアンに向かって1、2、3、…、9、PW(ピ
ッチングウェッジ)、SW(サンドウェッジ)等の番号
や記号がつけられている。
【0004】この中で、特にPW(ピッチングウェッ
ジ)、SW(サンドウェッジ)等のショートアイアンに
おいては、プロや上級者からスピン性能が高いものが好
まれている。これは、ロフト角が大きくなるほどボール
の飛距離が短くなり、ロフト角が大きいアイアンを用い
る場面ではプレイヤーがボールの到達目標として狙うエ
リアも狭くなるが、この場合、余計なランを出さずに打
撃したボールの着地点の近くにボールを止めた方が有利
であるからである。また、プロの試合では、グリーンを
ボールが速く転がるように設定されているため、特にボ
ールにスピンをかけてボールを着地点の近くに止める必
要がある。
【0005】ところで、従来の鍛造製法によるゴルフク
ラブヘッドの製造工程においては、スコアラインは通
常、線型と呼ばれる金型を用いたプレス加工により形成
されていた。このスコアラインを形成するための金型の
パンチ側には、スコアラインに対応した数条の線状の凸
部が設けられており、ゴルフクラブヘッドのフェース面
にこの金型をプレスすることによりスコアラインを形成
する。その後、研磨することによりヘッドが仕上げられ
ていた。
【0006】しかし、プレス加工によりスコアラインを
形成する場合、スコアラインの溝と溝の間の本来平面で
あるあるべき部分までも、スコアライン形成時の塑性変
形の影響を受けて凸状に湾曲してしまっていた。このた
め、スコアラインのエッジ部がフェース面からゴルフク
ラブヘッドの内側へ窪んだ位置になってしまうととも
に、スコアラインのエッジ部の角度も鈍くなり、丸みを
帯びてしまっていた。そして、ボールの打撃時には、ボ
ールがスコアラインのエッジ部に引っ掛かることによっ
てボールにスピンがかかるが、スコアラインのエッジ部
が内側へ窪んで丸みを帯びるている場合はスピンがかか
りにくいため、ボールの着地点の近くにボールを止めに
くくなるといった問題があった。
【0007】そこで、本発明は前記問題を解決し、プレ
ス加工によりスコアラインを形成した場合においても、
スコアラインのエッジ部の角度を鋭くすることのでき
る、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、正面
にフェースを、一側にシャフト取付部を備えたゴルフク
ラブヘッドの製造方法において、プレス加工により前記
フェースにスコアラインを設けた後、機械加工により前
記フェースを平面としたことを特徴とするゴルフクラブ
ヘッドの製造方法である。
【0009】この請求項1の構成によれば、機械加工に
よりフェースを平面とすることにより、プレス加工によ
りスコアラインを形成した場合においてもスコアライン
のエッジ部をフェース面上に設けることができるととも
に、スコアラインのエッジ部の角度が鋭くできるので、
ボールがこのエッジ部に引っ掛かりやすくなり、ボール
に効果的にスピンをかけることのできるゴルフクラブヘ
ッドを製造できる。
【0010】請求項2の発明は、正面にフェースを、一
側にシャフト取付部を備えたゴルフクラブヘッドの製造
方法において、プレス加工により前記フェースにスコア
ラインを設けた後、プレス加工により前記フェースを平
面としたことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方
法である。
【0011】この請求項2の構成によれば、プレス加工
によりフェースを平面とすることにより、プレス加工に
よりスコアラインを形成した場合においてもスコアライ
ンのエッジ部の角度が鋭くできるので、ボールがこのエ
ッジ部に引っ掛かりやすくなり、ボールに効果的にスピ
ンをかけることのできるゴルフクラブヘッドを製造でき
る。
【0012】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を添付図面
を参照し、アイアン型ゴルフクラブヘッドを例にとって
説明する。図1乃至図3に示すように、ヘッド1とシャ
フト2によりゴルフクラブが形成される。ヘッド1は、
S20Cなどの低炭素鋼、ステンレス鋼、チタン系合金
などの金属材料からなり、正面には打球面たるフェース
3、下部にはソール4、一側にはヒール5が設けられる
とともに、このヒール5の上部にはシャフト2を連結す
るシャフト取付部6、上部にはトップ7、さらに他側に
はトウ8がそれぞれ形成されている。さらに、ヘッド1
の背面には、フェース3にほぼ対向するようにキャビテ
ィ9が形成されている。
【0013】フェース3には、スコアライン10が横方向
に複数形成されている。このスコアライン10は断面がV
形、U形または台形等となっており、線型と呼ばれる金
型を用いたプレス加工によりフェース3の表面に凹部と
して形成された溝である。また、ソール4には、番手表
示11が形成されている。この番手表示11は刻印を用いた
プレス加工によりソール4の表面に凹部として形成され
たものである。さらに、ヘッド1の背面において、トッ
プ4及びキャビティ9には、それぞれロゴマーク12,13
が形成されている。これらロゴマーク12,13も刻印を用
いたプレス加工によりトップ4の背面側及びキャビティ
9内部の背面側の表面に凹部として形成されたものであ
る。
【0014】つぎに、ヘッド1の製造方法の第1実施例
について説明する。原材料工程は、S20Cなどの低炭
素鋼、ステンレス鋼、チタン系合金などの金属材料から
なる丸棒(図示せず)を所定長さに切断して原材料たる
丸棒素材を形成する。次に、この丸棒素材を加熱し、熱
間鍛造工程によりヘッド本体を形成する。この鍛造工程
では、一度の加工でヘッド1を形成することは難しいの
で、詳細にはロール加工、荒打ち、中打ち、仕上げ打ち
と複数回に分けて鍛造を行なうことで、ヘッドの素材を
少しずつ段階的に塑性変形させて伸ばし、最終形状に近
づけていく。
【0015】つぎに、鍛造工程で生じたヘッド本体のバ
リを除去するとともに、ヘッド本体を切削加工する。こ
の切削加工は、最終製品のヘッド1やキャビティ9の形
状やデザインに応じて、適宜選択して行なう。詳細には
バイトによる加工、フライス削り等を行なう。
【0016】そして、この後に仕上げ工程を行なう。仕
上げ工程は、表面磨き、シャフト取付部6の軸心にシャ
フト2の下端が装着する孔を形成するための穴あけ、リ
ーマ加工を行ない、プレス加工機を用いてフェースライ
ン10、番手表示11、ロゴマーク12,13をそれぞれ形成す
る。
【0017】スコアライン10は、線型と呼ばれる金型を
用いたプレス加工により形成するが、このスコアライン
10を形成するための金型のパンチ側には、スコアライン
10に対応した数条の線状の凸部が設けられており、ヘッ
ド1のフェース3面にこの金型をプレスすることにより
スコアライン10を形成する。このスコアライン10は、ゴ
ルフのルールに適合するように、深さが0.45〜0.
50mmとなるように形成するのが好ましい。本実施例
においては、プレス加工により深さ0.65〜0.70
mmのスコアライン10を形成し、その後の機械加工とし
ての平面フライス加工により、フェース3面を均一に
0.2mm削って平坦にすることで、スコアライン10の
深さを0.45〜0.50mmとした。
【0018】この機械加工後のスコアライン10に直交す
る方向におけるフェース3面の断面は図4(A)に示す
とおりであった。図4(C)に示す従来例のスコアライ
ン形成後のフェース面の機械加工を行わないものは、フ
ェース面の平面であるべき部分が凸状の湾曲形状となっ
ており、スコアラインのエッジ部(矢印)がフェース面
から離れた位置にあるが、これと比較して、図4(A)
に示す本実施例における断面はフェース3面が平坦にな
っており、スコアライン10のエッジ部(矢印)がほぼフ
ェース3面上にあるとともに、エッジ部の角度が鋭く形
成されていることが確認された。
【0019】その後、ヘッド1の表面を研磨し、鍍金加
工、サンドブラスト、色入れ等を行ないヘッド1を仕上
げる。
【0020】以上のように、上記実施例では、正面にフ
ェース3を、一側にシャフト取付部6を備えたゴルフク
ラブヘッドの製造方法において、プレス加工により前記
フェース3にスコアライン10を設けた後、機械加工によ
り前記フェース3を平面としたものである。
【0021】したがって、機械加工によりフェース3を
平面とすることにより、プレス加工によりスコアライン
10を形成した場合においてもスコアライン10のエッジ部
をフェース3面上に設けることができるとともに、スコ
アライン10のエッジ部の角度が鋭くできるので、ボール
がこのエッジ部に引っ掛かりやすくなり、ボールに効果
的にスピンをかけることのできるゴルフクラブヘッドを
製造できる。また、従来の加工工程に機械加工を追加し
ただけなので、設備投資などによるコストアップを最小
限に抑え、ボールに効果的にスピンをかけることのでき
る高性能なゴルフクラブヘッドを安価に提供することが
できる。
【0022】つぎに、ヘッド1の製造方法の第2実施例
について説明する。原材料工程は、S20Cなどの低炭
素鋼、ステンレス鋼、チタン系合金などの金属材料から
なる丸棒(図示せず)を所定長さに切断して原材料たる
丸棒素材を形成する。次に、この丸棒素材を加熱し、熱
間鍛造工程によりヘッド本体を形成する。この鍛造工程
では、一度の加工でヘッド1を形成することは難しいの
で、詳細にはロール加工、荒打ち、中打ち、仕上げ打ち
と複数回に分けて鍛造を行なうことで、ヘッドの素材を
少しずつ段階的に塑性変形させて伸ばし、最終形状に近
づけていく。
【0023】つぎに、鍛造工程で生じたヘッド本体のバ
リを除去するとともに、ヘッド本体を切削加工する。こ
の切削加工は、最終製品のヘッド1やキャビティ9の形
状やデザインに応じて、適宜選択して行なう。詳細には
バイトによる加工、フライス削り等を行なう。
【0024】そして、この後に仕上げ工程を行なう。仕
上げ工程は、表面磨き、シャフト取付部6の軸心にシャ
フト2の下端が装着する孔を形成するための穴あけ、リ
ーマ加工を行ない、プレス加工機を用いてフェースライ
ン10、番手表示11、ロゴマーク12,13をそれぞれ形成す
る。
【0025】スコアライン10は、線型と呼ばれる金型を
用いたプレス加工により形成するが、このスコアライン
10を形成するための金型のパンチ側には、スコアライン
10に対応した数条の線状の凸部が設けられており、ヘッ
ド1のフェース3面にこの金型をプレスすることにより
スコアライン10を形成する。このスコアライン10は、ゴ
ルフのルールに適合するように、深さが0.45〜0.
50mmとなるように形成するのが好ましい。本実施例
においては、プレス加工により深さ0.45〜0.50
mmのスコアライン10を形成し、その後のプレス加工に
より、平坦な型をフェース3面にプレスしてフェース3
面を平坦にした。
【0026】この機械加工後のスコアライン10に直交す
る方向におけるフェース3面の断面は図4(B)に示す
とおりであった。図4(C)に示す従来例のスコアライ
ン形成後のフェース面の機械加工を行わないものは、フ
ェース面の平面であるべき部分が凸状の湾曲形状となっ
ており、スコアラインのエッジ部(矢印)がフェース面
から離れた位置にあるが、これと比較して、図4(B)
に示す本実施例における断面はフェース3面が平坦にな
っており、スコアライン10のエッジ部(矢印)がほぼフ
ェース3面上にあるとともに、エッジ部の角度が鋭く形
成されていることが確認された。
【0027】その後、ヘッド1の表面を研磨し、鍍金加
工、サンドブラスト、色入れ等を行ないヘッド1を仕上
げる。
【0028】以上のように、上記実施例では、正面にフ
ェース3を、一側にシャフト取付部6を備えたゴルフク
ラブヘッドの製造方法において、プレス加工により前記
フェース3にスコアライン10を設けた後、プレス加工に
より前記フェース3を平面としたものである。
【0029】したがって、プレス加工によりフェース3
を平面とすることにより、プレス加工によりスコアライ
ン10を形成した場合においてもスコアライン10のエッジ
部をフェース3面上に設けることができるとともに、ス
コアライン10のエッジ部の角度が鋭くできるので、ボー
ルがこのエッジ部に引っ掛かりやすくなり、ボールに効
果的にスピンをかけることのできるゴルフクラブヘッド
を製造できる。また、従来の加工工程にプレス加工を追
加しただけなので、設備投資などによるコストアップを
最小限に抑え、ボールに効果的にスピンをかけることの
できる高性能なゴルフクラブヘッドを安価に提供するこ
とができる。
【0030】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形
実施が可能である。例えば、本実施例では熱間鍛造の場
合を例にとって説明したが、これに限らず、冷間鍛造や
冷間プレス、または鋳造などであっても良い。また、ゴ
ルフクラブヘッド1もアイアンに限らず、金属製のウッ
ドやパターであっても良い。
【0031】
【発明の効果】請求項1の発明は、正面にフェースを、
一側にシャフト取付部を備えたゴルフクラブヘッドの製
造方法において、プレス加工により前記フェースにスコ
アラインを設けた後、機械加工により前記フェースを平
面としたことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方
法であり、機械加工によりフェースを平面とすることに
より、プレス加工によりスコアラインを形成した場合に
おいてもスコアラインのエッジ部をフェース面上に設け
ることができるとともに、スコアラインのエッジ部の角
度が鋭くできるので、ボールがこのエッジ部に引っ掛か
りやすくなり、ボールに効果的にスピンをかけることの
できるゴルフクラブヘッドを製造できる。
【0032】請求項2の発明は、正面にフェースを、一
側にシャフト取付部を備えたゴルフクラブヘッドの製造
方法において、プレス加工により前記フェースにスコア
ラインを設けた後、プレス加工により前記フェースを平
面としたことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方
法であり、プレス加工によりフェースを平面とすること
により、プレス加工によりスコアラインを形成した場合
においてもスコアラインのエッジ部の角度が鋭くできる
ので、ボールがこのエッジ部に引っ掛かりやすくなり、
ボールに効果的にスピンをかけることのできるゴルフク
ラブヘッドを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの
正面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの
背面図である。
【図3】本発明の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの
底面図である。
【図4】本発明の実施形態を示すゴルフクラブヘッドの
スコアラインの断面の従来例との比較図である。
【符号の説明】
1 ヘッド 3 フェース 6 シャフト取付部 10 スコアライン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正面にフェースを、一側にシャフト取付
    部を備えたゴルフクラブヘッドの製造方法において、プ
    レス加工により前記フェースにスコアラインを設けた
    後、機械加工により前記フェースを平面としたことを特
    徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 正面にフェースを、一側にシャフト取付
    部を備えたゴルフクラブヘッドの製造方法において、プ
    レス加工により前記フェースにスコアラインを設けた
    後、プレス加工により前記フェースを平面としたことを
    特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
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