JP2003198302A - 圧電振動片の製造方法及び圧電振動片を利用した圧電デバイスと、この圧電デバイスを利用した携帯電話装置及び圧電デバイスを利用した電子機器 - Google Patents
圧電振動片の製造方法及び圧電振動片を利用した圧電デバイスと、この圧電デバイスを利用した携帯電話装置及び圧電デバイスを利用した電子機器Info
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Abstract
溝の深さを正確に形成でき、品質の高い圧電振動片を歩
留り良く製造することができる圧電振動片の製造方法を
提供すること。 【解決手段】圧電材料で形成され、基部と、この基部か
ら平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片の各
振動腕の圧電材料をハーフエッチングして、長手方向に
延びる長溝を形成し、圧電振動片を製造するための製造
方法であって、前記ハーフエッチング工程として、第1
のハーフエッチング工程(ST21)を行って、溝深さ
を測定し(ST24)、この測定結果に基づいて、第2
のハーフエッチング工程として追加のハーフエッチング
(ST26)を行い、前記第2のハーフエッチング工程
の前に、前記第1のハーフエッチングで形成した溝の表
面に、水の膜を形成する処理(ST25)を行う。
Description
ケージに内蔵した圧電デバイスと、これに利用される圧
電振動片の製造方法の改良及び圧電振動片を使用した携
帯電話や電子機器に関する。
イブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等
の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、あるいは
ページングシステム等の移動体通信機器において装置の
小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電デバ
イスも小型薄型化が要求されている。また、それととも
に、装置の回路基板に表面実装が可能な表面実装タイプ
の圧電デバイスが求められている。図10及び図11
は、このような圧電デバイスの構成例を示す概略図であ
り、図10は、圧電デバイスの構成を示す概略平面図、
図11は、図10の圧電デバイスのA−A線概略断面図
である。
バイス1は、パッケージ6の内部に、圧電振動片2を収
容している。この圧電振動片2は、例えば水晶基板を利
用して形成されている。この圧電振動片2は、パッケー
ジ6の電極部に接合される基部11と、この基部11か
ら平行に延びる一対の振動腕4,5を有する音叉型に形
成されている。そして、各振動腕4,5の表裏面(図1
1の上面及び下面)には、それぞれ長溝12,12が形
成されており、圧電振動片2の表面には、図示しない駆
動用の金属電極が形成されている。
ートを積層して内側に所定の内部空間Sを形成するよう
にし、その全体が矩形状に形成されている。この内部空
間Sにおいて、パッケージ6の内側の底部には、導電性
の接着剤7等を介して、上述した圧電振動片2の基部1
1の引出し電極(図示せず)が電極部3,3上に接合固
定されている。そして、この引出し電極は、上述した図
示しない駆動用の金属電極と、それぞれ一体に連続して
形成されている。また、圧電振動片2の先端部は自由端
とされている。パッケージ6の開放された上端には、低
融点ガラス等のロウ材8を介して、ガラス製の蓋体9が
接合されることにより、封止されている。
ており、外部からの駆動電圧が、電極部3と導電性接着
剤7及び引出し電極を介して、圧電振動片2に伝えられ
る。これにより、圧電振動片2の図示しない励振電極か
らの電圧が圧電材料に伝えられることで、一対の振動腕
4,5が屈曲振動を生じ、所定の周波数で振動する。こ
の振動周波数を外部に取り出すことによって、所定の周
波数の出力を得ることができるようになっている。
圧電デバイス1に使用されている圧電振動片2は、その
音叉型の外形形状を所定の薄板状の圧電材料から形成
し、さらに、長溝12,12を設ける必要があり、全体
として複雑な形状であり、特に、小さな振動腕4,5の
上面と下面に、それぞれ長溝12,12を精度よく形成
する必要があり、その製造方法については、種々検討が
なされている。
圧電振動片2の製造工程の一例を図10のB−B線に沿
った切断端面で示す工程図である。図12において、先
ず、圧電振動片2を形成するための圧電材料の薄板13
を用意する。この圧電材料の基板である薄板13は、例
えば、水晶ウエハ等から所定の切断と研磨の工程を経て
得ることができる。この圧電材料の薄板13の上に、先
ず、耐食膜としてクロム層14と、その表面に被覆され
る金被膜層15とが形成される(図12(a))。
6を塗布する(図12(b))。そして、圧電振動片2
の音叉型の外形形状に沿ったマスクを当てて、圧電振動
片2を形成するためにエッチングにより除かれる箇所に
対応したレジストを感光させ(図12(c))、レジス
トの感光部を除去する(図12(d))。
ロム層14と、金被膜層15とを、所定のエッチング液
により、それぞれ除去し(図12(e))、レジスト1
6を剥離する(図12(f))。これにより、圧電材料
の薄板13の表面で、振動腕と対応して材料が残される
部分にだけ、クロム層14と、金被膜層15とでなる耐
食膜が形成される。次に、図13(g)に示すように、
全面に再度レジスト17を塗布し、圧電振動片2の振動
腕4,5の各上面と下面とに形成される合計4つの長溝
12の形状に沿ったマスクを当てて、長溝12を形成す
るためにエッチングにより除かれる箇所に対応したレジ
スト17bを感光させる(図13(h))。この時、同
時に振動腕4,5以外の箇所のレジスト17aも感光さ
れる。そして、レジストの感光部17a,17bを除去
する(図13(i))。
ることにより、露出した圧電材料13をエッチングして
圧電振動片2の外形を形成し(図13(j))、次に、
長溝12の部分を形成する。ここで、圧電材料13が水
晶である場合には、エッチング液として、例えば、フッ
酸及びフッ化アンモニウムの混合液が使用される。
して、レジスト17から露出された金被膜層15aの箇
所と、その下のクロム層14の対応した箇所を、それぞ
れエッチングにより除去する(図13(k))。この状
態で、長溝12を形成すべき箇所の圧電材料が露出する
から、対応するエッチング液を用いて、この部分をハー
フエッチングする(図13(l))。最後に、レジスト
17と金被膜層15、その下のクロム層14をそれぞれ
除去することで、振動腕4,5の表裏両面に、長溝1
2,12,12,12がそれぞれ形成される(図13
(m))。
12のハーフエッチング工程の処理を、さらに詳しく説
明するためのフロー図である。長溝12を形成する箇所
に対応して、レジスト17から露出された金被膜層15
aの箇所と、その下のクロム層14の対応した箇所が、
それぞれエッチングにより除去されているから、長溝1
2を形成すべき箇所の圧電材料が露出している。この露
出箇所4a,4b,5a,5b(図13(k)参照)に
ついて、先ず、第1のハーフエッチングを行う(ST1
1)。次いで、エッチング液を水で洗い流して(ST1
2)、スピンナーにかけて乾燥させる(ST13)。
成された溝の深さを測定し(ST14)、その測定結果
に対応して、エッチング時間等を決めて、追加のハーフ
エッチングとして、第2のハーフエッチングを行う(S
T15)。第2のハーフエッチング後、エッチング液を
水で流し(ST16)、スピンナーにかけて乾燥させ
(ST17)、再度、形成した溝の深さを測定する(S
T18)。測定結果が所定値に収まっていれば、エッチ
ング工程を終了する(ST19)。その後、表面に所定
の電極膜を形成することにより、圧電振動片2が完成さ
れる。
た圧電振動片2の各振動腕4,5に形成された長溝1
2,12の不良例を示している。上述の工程において、
各ハーフエッチングを行う場合に、エッチングすべき圧
電材料の表面に、部分的に気泡が付着していると、エッ
チング液に浸漬しても、気泡が付着した箇所は、エッチ
ング液に十分接触することができない。このため、部分
的にエッチングが不十分になってしまい、長溝12,1
2の形状が不均一になったり(図15(a))、長溝1
2,12の深さが不十分となったりする(図15
(b))という欠点があった。
されたものであり、音叉型の圧電振動片の各振動腕に形
成される長溝の深さを正確に形成でき、品質の高い圧電
振動片を歩留り良く製造することができる圧電振動片の
製造方法と、このような圧電振動片を利用した圧電デバ
イス及び、この圧電デバイスを利用した携帯電話装置及
び電子機器を提供することを目的とする。
の発明によれば、圧電材料で形成され、基部と、この基
部から平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片
の各振動腕の圧電材料をハーフエッチングして、長手方
向に延びる長溝を形成し、圧電振動片を製造するための
製造方法であって、前記ハーフエッチング工程として、
第1のハーフエッチング工程を行って、溝深さを測定
し、この測定結果に基づいて、第2のハーフエッチング
工程として追加のハーフエッチングを行い、前記第2の
ハーフエッチング工程の前に、前記第1のハーフエッチ
ングで形成した溝の表面に、水の膜を形成する処理を行
う、圧電振動片の製造方法により、達成される。
ッチングを行う前に、前記第1のハーフエッチングで形
成した溝の表面に、水の膜を形成している。このため、
水の膜が形成された箇所には、気泡が付着しないので、
エッチング液に浸漬したとき、気泡が圧電材料とエッチ
ング液との間に残って、エッチング作用を妨げることが
ない。すなわち、水の膜が予め形成されている箇所は、
エッチング液との濡れ性がよく、良好なエッチングが進
行するので、予め計算したエッチング時間に対応したエ
ッチング深さの溝を精密に形成することができる。
て、前記第1のハーフエッチング工程の前に、前記圧電
振動片を形成するための圧電材料の表面に、水の膜を形
成する処理を行うことを特徴とする。請求項2の構成に
よれば、追加ハーフエッチングの際だけでなく、第1の
ハーフエッチングに先行して、エッチングすべき箇所に
水の膜が形成されるから、第1のハーフエッチングの際
にも、正確なエッチング深さを実現できる。
ずれかの構成において、前記溝の表面、または前記圧電
材料の表面に、水の膜を形成する処理が、水の膜を形成
すべき部分に、純水をかけることにより行われることを
特徴とする。請求項3の構成によれば、水の膜を形成す
る処理が、水の膜を形成すべき部分に、純水をかけるこ
とにより行われるようにすると、製造工程において、純
水を噴射するシャワー等を増設するだけの簡単な付加設
備により実現できる。
ずれかの構成において、前記溝の表面、または前記圧電
材料の表面に、水の膜を形成する処理は、水の膜を形成
すべき材料を純水に浸漬させることにより行われること
を特徴とする。請求項4の構成によれば、水の膜を形成
する処理が、水の膜を形成すべき材料を純水に浸漬させ
ることにより行われるようにすると、製造工程に備えら
れている洗浄用の純水槽をそのまま利用して実現でき
る。
て、前記第1及び第2のハーフエッチング工程が、圧電
材料でなるウエハ状の基板を用いて形成される複数の前
記圧電振動片に対応して、複数の箇所で同時に行われる
工程であって、前記ウエハ状の基板を、複数枚が互いに
間隔を詰めて並べて、保持手段に保持された状態で、こ
の保持手段を純水に浸漬されることにより、前記水の膜
を形成する処理が行われるようにしたことを特徴とす
る。請求項5の構成によれば、ウエハ状の基板を、複数
枚が互いに間隔を詰めて並べて、保持手段に保持された
状態で、純水に浸漬させることにより、水の膜を形成す
る処理が、一度に多数枚のウエハ状基板に関して、実現
できるので、製造効率が向上する。
圧電材料で形成され、基部と、この基部から平行に延び
る一対の振動腕とを備える圧電振動片の各振動腕の圧電
材料がハーフエッチングされて、長手方向に延びる長溝
が形成されるようにした圧電振動片を有する圧電デバイ
スであって、前記圧電振動片の前記長溝が、溝を形成す
るための少なくとも2度のハーフエッチング工程と、こ
れらハーフエッチング工程の間で、前記溝を形成すべき
箇所の表面に、水の膜を形成する処理とを含んで形成さ
れている、圧電デバイスにより、達成される。
圧電材料で形成され、基部と、この基部から平行に延び
る一対の振動腕とを備える圧電振動片の各振動腕の圧電
材料がハーフエッチングされて、長手方向に延びる長溝
が形成されるようにした圧電振動片を有する圧電デバイ
スを利用した携帯電話装置であって、前記圧電振動片の
前記長溝が、溝を形成するための少なくとも2度のハー
フエッチング工程と、これらハーフエッチング工程の間
で、前記長溝の表面に、水の膜を形成する処理とを含ん
で形成されている、圧電デバイスにより、制御用のクロ
ック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成
される。
圧電材料で形成され、基部と、この基部から平行に延び
る一対の振動腕とを備える圧電振動片の各振動腕の圧電
材料がハーフエッチングされて、長手方向に延びる長溝
が形成されるようにした圧電振動片を有する圧電デバイ
スを利用した電子機器であって、前記圧電振動片の前記
長溝が、溝を形成するための少なくとも2度のハーフエ
ッチング工程と、これらハーフエッチング工程の間で、
前記長溝の表面に、水の膜を形成する処理とを含んで形
成されている、圧電デバイスにより、制御用のクロック
信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
第1の実施の形態を示しており、図1はその概略平面
図、図2は図1のC−C線概略断面図である。これらの
図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成し
た例を示しており、圧電デバイス30は、パッケージ3
6内に圧電振動片32を収容している。パッケージ36
は、例えば、セラミックグリーンシートを積層して焼結
した酸化アルミニウム質焼結体等の基板で、浅い箱状に
形成されている。各積層基板(図示せず)は、その内側
に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所
定の内部空間Sを形成するようにされている。
て左端部付近において、内部空間Sに露出して底部を構
成するベースとなる積層基板には、Au及びNiメッキ
が施された電極部31,31が設けられている。この電
極部31,31は、外部と接続されて、駆動電圧を供給
するものである。この各電極部31,31の上に導電性
接着剤43,43が塗布され、この導電性接着剤43,
43の上に圧電振動片32の基部51が載置されて、導
電性接着剤43,43が硬化されるようになっている。
43,43と触れる部分には、駆動電圧を伝えるための
引出電極(図示せず)が形成されており、これにより、
圧電振動片32は、駆動用電極がパッケージ36側の電
極部31,31と導電性接着剤43,43を介して、電
気的に接続されている。
ており、水晶以外にもタンタル酸リチウム,ニオブ酸リ
チウム等の圧電材料を利用することができる。本実施形
態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な
性能を得るために、特に図示する形状とされている。す
なわち、圧電振動片32は、例えば、その全長が2mm
ないし3mm程度とされており、極めて小さな部品であ
る。この圧電振動片32は、パッケージ36側と後述す
るようにして固定される基部51と、この基部51の一
端部において、好ましくは、部分的に両側から縮幅する
ことで、括れるようにして設けられた切り欠き部53,
53と、この切り欠き部53,53より幅広く形成され
た領域である拡幅部52,52とを有している。さら
に、圧電振動片32は、この拡幅部52,52を基端と
して、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延
びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉
のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用
されている。
腕34,35には、図1に示されているように、その長
さ方向に沿って、長溝45,46が形成されている。長
溝45,46は、振動腕34,35の幅方向の中心と、
これら長溝45,46の幅方向の中心が、一致するよう
に位置合わせして構成されている。各長溝45,46
は、同じ構造で、図2には、振動腕34の長溝45,4
5の厚み方向の構造が示されている。図示されているよ
うに、長溝45,45は、振動腕34の上面と下面にそ
れぞれ形成されている。各長溝45,45は、振動腕3
4の厚みを薄くすることにより形成されており、後述す
るハーフエッチングで形成される。このように、圧電振
動片32では、各振動腕34,35に長溝45,46を
設けて、図示しない電極を形成することで、より高い振
動性能を得ることができる。
融点ガラス等のロウ材33を介して、蓋体39が接合さ
れることにより、封止されている。蓋体39は、外部か
らレーザ光Lを照射して、圧電振動片32上に電極膜の
一部を蒸散させることによって周波数調整を行うため
に、光を透過する材料,例えば、ガラスで形成されてい
る。
近には、パッケージ36を構成する2枚の積層基板(図
示せず)に連続する貫通孔37a,37bを形成するこ
とにより、開口37が設けられている。この開口37を
構成する2つの貫通孔のうち、パッケージ内部に開口す
る第1の孔37aに対して、第2の孔である外側の貫通
孔37bは、より大きな内径を備えるようにされてい
る。これにより、開口37は段つき開口とされており、
好ましくは、第2の孔である貫通孔37bの段部と、貫
通孔37aの孔内周面には金属が被覆されている。
32を固定した後で、開口37には、金属製封止材38
が充填されることにより、パッケージ36内を気密状態
に封止する。その後、透明な蓋体39を介して、外部か
らレーザ光Lを圧電振動片32の図示しない金属被膜に
照射し、その一部を蒸散させることにより、質量削減方
式の周波数調整を行うことができるようにされている。
材38としては、例えば、金(Au)と錫(Sn)によ
る合金が用いられ、第2の孔37bの段部と、貫通孔3
7aの内周面の金属被覆部には、ニッケルメッキによる
下地層の上に金メッキを被覆した構成が適している。
6を構成する積層基板の最下層の基板には、図において
右端部付近に孔を形成することにより、この積層基板の
厚みに対応した凹部42が形成されている。この凹部4
2は、圧電振動片32の自由端32bの下方に位置して
いる。これにより、本実施形態では、パッケージ36に
外部から衝撃が加わった場合に、圧電振動片32の自由
端32bが、矢印E方向に変位して振れた場合において
も、パッケージ36の内側底面と当接されることを有効
に防止されるようになっている。
の製造方法について、詳しく説明する。本実施形態の圧
電振動片32の製造方法は、ハーフエッチング工程を除
き、図12及び図13で説明した工程と共通である。す
なわち、特に、圧電振動片32の外形をエッチングする
ために、圧電振動片の外形に対応した耐食膜を形成する
までの工程(図12の工程に相当)は同一であるから、
重複する説明は省略し、既に説明した図13の工程に対
応した工程から説明する。すなわち、本実施形態の製造
工程を示す図3は、既に説明した図13の工程に対応し
ており、図1の切断線D−Dに沿って断面で示した工程
図である。
応して材料が残される部分にだけ、クロム層64と、金
被膜層65とでなる耐食膜が形成される。次に、図3
(g)に示すように、全面にレジスト67を塗布し、圧
電振動片32の振動腕34,35の各上面と下面とに形
成される合計4つの長溝45,45,46,46の形状
に沿ったマスクを当てて、これら長溝を形成するために
エッチングにより除かれる箇所に対応したレジスト67
bを感光させる(図3(h))。この時、同時に振動腕
34,35以外の箇所のレジスト67aも感光される。
そして、レジストの感光部67a,67bを除去する
(図3(i))。
ることにより、露出した圧電材料63をエッチングして
圧電振動片32の外形を形成し(図3(j))、次に、
長溝45,46の部分を形成する。すなわち、長溝を形
成する箇所に対応して、レジスト67から露出された金
被膜層65aの箇所と、その下のクロム層64の対応し
た箇所を、それぞれエッチングにより除去する(図3
(k))。この状態で、長溝を形成すべき箇所の圧電材
料が露出するから、対応するエッチング液を用いて、こ
の部分をハーフエッチングする(図3(l))。最後
に、レジスト67と金被膜層65、その下のクロム層6
4をそれぞれ除去することで、振動腕34,35の表裏
両面に、長溝45,45,46,46がそれぞれ形成さ
れる(図3(m))。
エッチング及びハーフエッチング作業を行うための保持
手段の例を示している。この保持手段70は、製品スタ
ンドであり、略長方形の向かい合う側壁75,75を平
行にして、所定の間隔を保持するように、両端部が端部
枠体76,76により結合されている。これら側壁7
5,75は、一方向に長い形状であり、側壁75,75
の間には、所定間隔毎に、支持枠73,73が形成され
ている。
リット74,74が、互いに短い間隔をおいて、複数ま
たは多数形成されている。各スリット74,74には、
図4に示すように、それぞれ、圧電材料の基板63が収
容されるようになっている。ここで、圧電材料の基板6
3は、例えば、水晶ウエハであり、この製造工程によっ
て、ひとつの基板63に多数の圧電振動片32が同時に
形成されるようになっている。すなわち、圧電材料の基
板63は、正方形もしくは長方形の薄い水晶基板であ
り、この基板上に、縦横に多数の圧電振動片32を位置
取りして、同時に形成することができる。すなわち、各
圧電振動片32は、ひとつの基板63上に、一方向に並
ぶ各列に関して、それぞれ複数の圧電振動片32が同時
に形成されるようになっている。また、保持手段70に
は、上下の開口72,72、端部の開口77,77が形
成されていることにより、後述する処理において、液体
がこれらの開口を通って自由に内部を通過できるように
なっている。
バスケット81を用いた処理設備の説明図である。本実
施形態の製造工程の処理設備では、例えば、2つの処理
層85,86が設けられている。処理層85は、例え
ば、エッチング層で、圧電材料の基板63の種類に適合
したエッチング液が収容されている。この実施形態で
は、圧電材料の基板63は、水晶であるから、例えば、
所定濃度のフッ酸及びフッ化アンモニウムの混合液が収
容されている。処理層86は、洗浄層であり、本実施形
態では、例えば、純水が収容されている。処理層は2層
に限らず、さらに、例えば、界面活性剤を収容したリン
ス層等を付加してもよい。また、本実施形態の製造工程
では、洗浄層86に純水を満たしているが、純水はシャ
ワー設備により、供給するようにしてもよい。
入れることが出来、少なくとも、内部に液体が侵入しや
すい形態とされ、本実施形態では、カゴ状に形成されて
いる。バスケット81には、把手82等の支持手段を設
け、把手82には、これに適合した形態の掛止手段とし
てのフック83が掛止されるようになっている。フック
83は、上方で支持されて、矢印F方向に昇降できると
ともに、矢印Gに沿った処理工程の方向に移動されるよ
うになっている。これにより、保持手段70を収容した
バスケット81は、エッチング層85に浸漬された後、
フック83により、上昇されて、矢印F方向に移動し、
洗浄層86内に浸漬されるようになっている。
5,46のハーフエッチング工程の処理を、さらに詳し
く説明するためのフロー図である。長溝45,46を形
成する箇所に対応して、レジスト67から露出された金
被膜層65aの箇所と、その下のクロム層64の対応し
た箇所が、それぞれエッチングにより除去されているか
ら、長溝45を形成すべき箇所の圧電材料が露出してい
る。この露出箇所64a,64b,65a,65b(図
3(k)参照)について、先ず、第1のハーフエッチン
グ工程として、第1のハーフエッチングを行う(ST2
1)。
フッ酸及びフッ化アンモニウムの混合液を用いて、エッ
チングレートとして、1.40μ/分にその濃度等を調
整し、液温度を摂氏64.5度(開始温度)から65.
0度(終了温度)として、25分間ハーフエッチングす
ることによって、36μ程度の平均深さの溝を形成す
る。次いで、エッチング液を水で洗い流して(ST2
2)、スピンナーにかけて乾燥させる(ST23)。次
に、圧電材料の基板63の複数の箇所において、形成さ
れた溝の深さを計測し、上述の平均深さを達成している
か否かを測定する(ST24)。
た溝の表面に、水の膜を形成する処理を行う。この水の
膜を形成する処理には、種々の方法があるが、ST24
の測定を行った圧電材料の基板63を保持手段70に収
容して、バスケット81に移し、図6に示すようにし
て、純水の収容された処理層である洗浄層86に浸漬し
て行ってもよい。また、特定の処理層を用いないで、純
水を工程上に配置したシャワー(図示せず)から噴射し
て、圧電材料の基板63に注ぐようにしてもよい。さら
に、好ましくは、第1のハーフエッチングで形成した溝
の表面に、水の膜を形成する処理を行った後で、他の処
理層(図示せず)に、所定の界面活性剤を収容してリン
ス槽を設けておき、このリンス槽に、水の膜を形成する
処理を行った後の圧電材料の基板63を浸漬してもよ
い。
0に収容した状態で、これらが収容されたバスケット8
1をエッチング槽85に浸漬させ、例えば、エッチング
レートを1.46μ/分として、開始液温摂氏65.0
度、終了液温64.1度として約4分間程度かけて、第
2のハーフエッチング工程に相当するハーフエッチング
処理を行う(ST26)。
ば、バスケット81を洗浄槽86に移して、エッチング
液を水で流し(ST27)、スピンナーにかけて乾燥さ
せ(ST28)、再度、形成した溝の深さを測定する
(ST29)。測定結果が所定値に収まっていれば、エ
ッチング工程を終了する(ST30)。その後、表面に
所定の電極膜を形成することにより、圧電振動片32が
完成される。
は、圧電振動片32の各振動腕34,35に形成する長
溝をエッチングする場合に、第2のハーフエッチング工
程である追加のハーフエッチングを行う前に、第1のハ
ーフエッチング工程で形成した溝の表面に、水の膜を形
成している。このため、水の膜が形成された箇所には、
気泡が付着しないので、エッチング液に浸漬したとき、
気泡が圧電材料とエッチング液との間に残って、エッチ
ング作用を妨げることがない。すなわち、水の膜が予め
形成されている箇所は、エッチング液との濡れ性がよ
く、良好なエッチングが進行するので、予め計算したエ
ッチング時間に対応したエッチング深さの溝を精密に形
成することができる。
エッチング工程に先行して、圧電材料63の表面に、水
の膜を形成する処理を行っているが、これに限らず、第
1のハーフエッチング工程に先行して、エッチングすべ
き箇所に水の膜を形成することもできる。この場合は、
第1のハーフエッチング工程においても、正確なエッチ
ング深さを実現できる。さらに、圧電材料63の表面の
エッチングすべき箇所に水の膜を形成する処理は、純水
をかけることにより行われるようにすると、製造工程
に、純水を噴射するシャワー等を増設するだけの簡単な
付加設備により実現できる。
形成すべき材料を純水に浸漬させることにより行われる
ようにすると、図6で説明したように、製造工程に普通
に備えられている洗浄用の純水槽をそのまま利用して実
現できる。さらにまた、圧電材料でなるウエハ状の基板
63を複数枚もしくは多数枚収容できる図4のような保
持手段70を利用すれば、ウエハ状の基板63を、複数
枚が互いに間隔を詰めて並べて、保持手段に保持された
状態で、純水に浸漬させることができる。このため、水
の膜を形成する処理が、一度に多数枚のウエハ状基板6
3に関して実現できるので、製造効率が向上する。
法で、長溝を形成した場合と、本実施形態の方法で長溝
を形成した場合の不良率の比較をした表であり、図7
(a)が図12ないし図14の方法の場合、図7(b)
が本実施形態の方法の場合である。比較して判明するよ
うに、図7(a)では、基板13の各列に関して、表面
と裏面(図11における圧電振動片2の上面と下面に相
当)のいずれかで、複数の製品の長溝12が、狙い値で
ある43μの溝深さを達成できなかった。これに対し
て、図7(b)が本実施形態の方法の場合では、長溝4
5,46で、不良が発生している例はない。
施形態の構成を示す概略断面図である。図において、圧
電デバイス100は、圧電振動片32を用いて、圧電発
振器を形成した例を示しており、第1の実施の形態と同
一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複
した説明は省略し、相違点を中心に説明する。
1の実施形態のパッケージ36よりも多くのセラミック
シートの積層基板を用いて製造されている。これによ
り、パッケージ101には、図8に示すように、増えた
分の積層基板を利用して中央付近に凹部102が形成さ
れており、その内側底部には、図示しない電極が設けら
れている。この電極上には、集積回路103が実装され
ている。集積回路103は、所定の分周回路等を構成し
ていて、圧電振動片32の駆動電極と電気的に接続さ
れ、集積回路103から出力された駆動電圧が圧電振動
片32に与えられるようになっている。
振動片32は、上述の製造方法により形成されている。
これにより、これらの構成に基づく共通の作用効果を発
揮することができる。このように、本発明は、圧電振動
子に限らず、図8のような圧電発振器やフィルタ等、そ
の名称に係わらず、パッケージ内に圧電振動片を収容し
て、蓋体により封止する構成のあらゆる圧電デバイスに
適用できる。
圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタ
ル式携帯電話装置の概略構成を示す図である。図におい
て、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び
受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備え
ており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続さ
れた制御部としての集積回路等でなるコントローラ30
1を備えている。
及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力の
ための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RA
M,ROM等でなる情報記憶手段303の制御を行うよ
うになっている。このため、コントローラ301には、
例えば、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力
周波数をコントローラ301に内蔵された所定の分周回
路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック
信号として利用するようにされている。このコントロー
ラ301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバ
イス30単体でなくても、圧電デバイス30と、所定の
分周回路等とを組み合わせた発振器である図8のような
圧電デバイス100であってもよい。
水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水
晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続
されている。これにより、コントローラ301からの基
本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、
温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部3
07及び受信部306に与えられるようになっている。
300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧
電デバイスを利用することにより、音叉型の圧電振動片
32の各振動腕34,35に形成される長溝45,46
が正確に形成されているので、高精度の振動性能を備
え、正確に動作させることができ、圧電デバイスの性能
が向上し、正確なクロック信号を生成することができ
る。
また、各実施形態の各構成はこれらを適宜相互に組み合
わせたり、その一部を省略し、図示しない他の構成と組
み合わせることができる。
叉型の圧電振動片の各振動腕に形成される長溝の深さを
正確に形成でき、品質の高い圧電振動片を歩留り良く製
造することができる圧電振動片の製造方法と、このよう
な圧電振動片を利用した圧電デバイス及び、この圧電デ
バイスを利用した携帯電話装置及び電子機器を提供する
ことができる。
す概略平面図。
の一部について、図1の切断線D−Dに沿って断面で示
した工程図。
で使用する圧電材料の基板を保持する保持手段の形成例
を示す概略斜視図。
におけるハーフエッチング工程のフローチャート。
スケットを浸漬する処理槽を備えた設備の説明図。
を形成した場合と、本実施形態の方法で長溝を形成した
場合の不良率の比較をした表であり、(a)は、図12
ないし図14の方法の場合、(b)は、本実施形態の方
法の場合。
略断面図。
用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置
の概略構成を示す図。
図。
方法として検討されている製造工程について、図10の
切断線B−Bに沿って断面で示した工程図。
方法として検討されている製造工程について、図10の
切断線B−Bに沿って断面で示した工程図。
動片の製造工程におけるハーフエッチング工程のフロー
チャート。
動片の製造工程により、部分的にエッチングが不十分に
なった例を示す図で、(a)は長溝の形状が不均一にな
った例、(b)は長溝の深さが不十分となった例。
32・・・圧電振動片、36,101・・・パッケー
ジ、、39・・・蓋体、43・・・導電性接着剤、4
5,46・・・長溝、63・・・圧電材料の基板、64
・・・クロム層、65・・・金被覆層
Claims (8)
- 【請求項1】 圧電材料で形成され、基部と、この基部
から平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片の
各振動腕の圧電材料をハーフエッチングして、長手方向
に延びる長溝を形成し、圧電振動片を製造するための製
造方法であって、 前記ハーフエッチング工程として、 第1のハーフエッチング工程を行って、溝深さを測定
し、 この測定結果に基づいて、第2のハーフエッチング工程
として追加のハーフエッチングを行い、 前記第2のハーフエッチング工程の前に、前記第1のハ
ーフエッチングで形成した溝の表面に、水の膜を形成す
る処理を行うことを特徴とする、圧電振動片の製造方
法。 - 【請求項2】 前記第1のハーフエッチング工程の前
に、前記圧電振動片を形成するための圧電材料の表面
に、水の膜を形成する処理を行うことを特徴とする、請
求項1に記載の圧電振動片の製造方法。 - 【請求項3】 前記溝の表面、または前記圧電材料の表
面に、水の膜を形成する処理が、水の膜を形成すべき部
分に、純水をかけることにより行われることを特徴とす
る、請求項1または2に記載の圧電振動片の製造方法。 - 【請求項4】 前記溝の表面、または前記圧電材料の表
面に、水の膜を形成する処理は、水の膜を形成すべき材
料を純水に浸漬させることにより行われることを特徴と
する、請求項1または2に記載の圧電振動片の製造方
法。 - 【請求項5】 前記第1及び第2のハーフエッチング工
程が、圧電材料でなるウエハ状の基板を用いて形成され
る複数の前記圧電振動片に対応して、複数の箇所で同時
に行われる工程であって、 前記ウエハ状の基板を、複数枚が互いに間隔を詰めて並
べて、保持手段に保持された状態で、この保持手段を純
水に浸漬されることにより、前記水の膜を形成する処理
が行われるようにしたことを特徴とする、請求項4に記
載の圧電振動片の製造方法。 - 【請求項6】 圧電材料で形成され、基部と、この基部
から平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片の
各振動腕の圧電材料がハーフエッチングされて、長手方
向に延びる長溝が形成されるようにした圧電振動片を有
する圧電デバイスであって前記圧電振動片の前記長溝
が、 溝を形成するための少なくとも2度のハーフエッチング
工程と、これらハーフエッチング工程の間で、前記溝を
形成すべき箇所の表面に、水の膜を形成する処理とを含
んで形成されていることを特徴とする、圧電デバイス。 - 【請求項7】 圧電材料で形成され、基部と、この基部
から平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片の
各振動腕の圧電材料がハーフエッチングされて、長手方
向に延びる長溝が形成されるようにした圧電振動片を有
する圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、 前記圧電振動片の前記長溝が、 溝を形成するための少なくとも2度のハーフエッチング
工程と、これらハーフエッチング工程の間で、前記溝を
形成すべき箇所の表面に、水の膜を形成する処理とを含
んで形成されている、圧電デバイスにより、制御用のク
ロック信号を得るようにしたことを特徴とする、携帯電
話装置。 - 【請求項8】 圧電材料で形成され、基部と、この基部
から平行に延びる一対の振動腕とを備える圧電振動片の
各振動腕の圧電材料がハーフエッチングされて、長手方
向に延びる長溝が形成されるようにした圧電振動片を有
する圧電デバイスを利用した電子機器であって、 前記圧電振動片の前記長溝が、 溝を形成するための少なくとも2度のハーフエッチング
工程と、これらハーフエッチング工程の間で、前記溝を
形成すべき箇所の表面に、水の膜を形成する処理とを含
んで形成されている、圧電デバイスにより、制御用のク
ロック信号を得るようにしたことを特徴とする、電子機
器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001398528A JP3985520B2 (ja) | 2001-12-27 | 2001-12-27 | 圧電振動片の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008072081A (ja) * | 2006-03-22 | 2008-03-27 | Ngk Insulators Ltd | 圧電/電歪素子の製造方法 |
JP2015088963A (ja) * | 2013-10-31 | 2015-05-07 | セイコーエプソン株式会社 | 振動片の製造方法、振動子、電子機器、および移動体 |
JP2016103741A (ja) * | 2014-11-28 | 2016-06-02 | シチズンファインデバイス株式会社 | 圧電振動子の製造方法 |
-
2001
- 2001-12-27 JP JP2001398528A patent/JP3985520B2/ja not_active Expired - Fee Related
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