JP2003198250A - 発振回路およびこれを用いた電子機器 - Google Patents
発振回路およびこれを用いた電子機器Info
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Abstract
善した発振回路を得る。 【解決手段】 発振回路において、増幅器と、所定の共
振周波数を有するSAW共振子と、入力信号の位相を所
定量ずらした出力信号として出力する移相回路と、イン
ダクタンス素子と容量素子から成るタンク回路と、によ
って正帰還発振ループを構成し、タンク回路と並列に負
の温度特性を有するNTCサーミスタを接続する。ま
た、発振回路において、タンク回路の容量素子に、SA
W共振子の二次周波数温度特性を補正する容量温度特性
を有する容量素子を用いる。
Description
れを用いた電子機器に関し、特にSAW共振子の発振周
波数の温度特性を補正した発振回路および電子機器に関
する。
振器の出力信号に基づいて通信データの送受信が行われ
る。このため、通信速度の高速化の要請から、発振器に
は、高周波帯域で安定して発振すること(周波数安定
度が高いこと)、通信機器の実用温度範囲において安
定して発振すること(温度補償されていること)が望ま
れている。
て、SAW(Surface Acoustic Wa
ve)共振子が注目されている。SAW共振子は、弾性
体の表面付近にエネルギーが集中して伝播する性質を利
用した共振子である。具体的には、SAW共振子は、圧
電基板上にすだれ状の電極が配置され、各電極で励振さ
れた表面波を反射させて定在波を発生することによっ
て、共振子として機能する。
いて高周波を発振する発振器には様々な問題がある。図
17は、従来の電圧制御型SAW発振回路(Volta
ge Controlled SAW Oscilla
tor:VCSO)の回路図であり、図18は、このV
CSOに出力バッファを加えた構成を示すブロック図で
ある。このVCSOは、バリキャップダイオードCvに
印加する制御電圧Vcを可変制御することによって、リ
アクタンスを可変させて発振ループの位相条件を変化さ
せ、これにより、所望の発振周波数Fを得ることができ
るようにした回路である。
プダイオード容量の温度特性、特に、低逆電圧(容量値
大)において変動が大きいことや、能動素子の温度−
位相特性や、コイル,キャパシタ等受動部リアクタン
ス値の温度特性の影響から、温度によってVCSOの発
振周波数だけでなく、制御電圧Vc−発振周波数Fの特
性が大きく変わってしまうという問題があった。
振周波数Fの温度特性を示すように、高温(例えば85
℃)になると発振周波数Fが大きく変化しまう場合があ
った。さらに、図20にVCSOの制御電圧Vc−発振
周波数Fの特性を示すように、特に、高温と低温の場合
とで、制御電圧Vc−発振周波数Fの特性の変化が著し
かった。このことは高温域での制御電圧Vcの制御が、
他の温度域での制御の場合と大きく異なるため、制御が
煩雑になるという問題を生じさせていた。
SAW共振子の直列共振周波数Fr付近を境にして、発
振周波数Fが高い領域、即ち、制御電圧Vcが大きいと
きは周波数変化の感度は小さく、発振周波数Fが低い領
域、即ち、制御電圧Vcが小さいときは周波数変化の感
度は大きい、という特性になっていた。特に、この特性
は、伸長コイルを使用してリアクタンス変化量に対する
周波数可変感度を拡大した場合に顕著である。このた
め、発振周波数Fが高い場合と低い場合とでは制御電圧
Vcの可変量が大きく異なり、このことも制御が煩雑に
なるという問題を生じさせていた。
御電圧Vc−発振周波数Fの特性がある温度範囲で大き
く変わってしまうため、このVCSOを、光ネットワー
ク通信機器の周波数を同期させるPLL回路の一部を形
成し基準クロック源として用いる場合、上記PLL回路
を設計する上で、全温度域で適切なループ帯域に設計で
きないという問題があった。
回路には、図22に示すように、抵抗101〜104、
サーミスタなどの感熱抵抗体105、106から構成さ
れる温度補償回路107を備え、温度補償回路107が
周囲温度に応じてバリキャップダイオード109に印加
する制御電圧を変化させ、発振周波数をほぼ一定に維持
する温度補償型SAW発振回路(Temperatur
e Compensated SAW Oscilla
tor:TCSO)100がある。しかしながら、この
TCSO100は、温度補償回路を有するため、回路規
模が大きく、小型化が困難な問題があった。なお、図2
2に示すTCSO100の温度補償回路107以外の構
成は、SAW共振子110、コンデンサ108、11
1、112、118、抵抗113、114、116、ト
ランジスタ115、ツェナダイオード117である。
償する方法の他に、SAW共振子の負荷容量として所定
の容量温度特性を有する容量素子(コンデンサ)を用い
ることによって、SAW共振子の周波数温度特性を補正
する方法がある。以下、容量温度特性を有する容量素子
を用いてSAW共振子の周波数温度特性を補正する方法
を説明する。
特性を示す図である。この図に示すように、SAW共振
子の発振周波数の温度特性は、負の二次曲線でほぼ表す
ことができ、ある温度T0(以下、「周波数頂点温度T
0」という。)で発振周波数が最も高くなり、それより
温度が変わると発振周波数が低くなる特性を有してい
る。一方、SAW共振子の発振周波数と負荷容量との間
には反比例の関係があり、負荷容量が減少すれば発振周
波数が上昇することとなる。
有する容量素子は、図24に示すように、周波数頂点温
度T0の時に最大容量となる容量温度特性を有する容量
素子を使用する。これによって、図25に示すように、
SAW共振子の発振周波数の温度特性が周波数頂点温度
T0を中心とする狭い温度範囲ではあるが、かかる温度
範囲で発振周波数をほぼ一定周波数に補正することが可
能である。
度T0を中心とする狭い温度範囲でしか周波数を一定に
維持できないため、周波数頂点温度T0から離れた高温
および低温の温度では周波数が大きく変わってしまうと
いう問題があった。
問題を解決するためになされたものであり、広い温度範
囲、特に高温域での温度特性を改善した発振回路、この
発振回路を用いた電子機器を提供することを目的として
いる。
め、本発明は、増幅器と、所定の共振周波数を有するS
AW共振子と、入力信号の位相を所定量ずらした出力信
号として出力する移相回路と、インダクタンス素子と容
量素子から成るタンク回路と、によって正帰還発振ルー
プを構成し、前記タンク回路と並列に負の温度特性を有
するNTCサーミスタを接続したことを特徴とする発振
回路を提供する。
ンク回路の高温域での位相補正量を大きくするように作
用するので、帰還型のVCSOの周波数の温度特性が改
善され、周囲の環境が高温になったとしても、周波数の
安定した発振回路が得られるという効果を有する。
子及び非反転入力端子を有し、前記反転入力端子及び前
記非反転入力端子のうちいずれか一方にバイアス電圧が
入力され、他方が前記正帰還発振ループの入力端として
機能する差動増幅器であってもよい。
差動増幅器の反転及び非反転入力端子の間に接続される
ことを特徴とする。
度特性を有する振動子と、前記振動子を発振させる帰還
増幅回路と、所望の周波数近傍において周波数選択性を
持たせたタンク回路とを有する発振回路において、タン
ク回路を構成する容量素子のいずれか1つ以上の容量素
子は、振動子の二次周波数温度特性を補正する容量温度
特性を有することを特徴とする発振回路を提供する。
容量素子の容量変化が与える振動子の周波数変化量は、
他の容量素子の容量変化が与える振動子の周波数変化量
に比して格段に大きいので、タンク回路を構成する容量
素子が振動子の二次周波数温度特性を補正する容量温度
特性を有することによって、振動子の二次周波数温度特
性を広い温度範囲で補正することができる。
容量素子のいずれか1つ以上の容量素子は、前記振動子
の最大発振周波数が得られる温度近傍で最大容量となる
容量温度特性を有することを特徴とする。これにより、
高温もしくは低温の温度域において、温度補償が過補償
もしくは補償不足になる場合を回避でき、最大の温度補
償効果を得ることができる。
らに、当該発振回路の位相条件を満足させるために、正
帰還発振ループに流れる基準信号の位相を所定量変化さ
せて出力する移相回路を有するようにしてもよい。これ
により、簡易に発振回路の位相条件を満足させることが
できる。
部信号により移相量を調節することができる構成として
もよい。これにより、外部信号(例えば制御電圧Vc)
によって、上記発振回路の発振周波数を任意に微調整す
ることが可能となる。
Lラインレシーバを用いた差動増幅器であることが高速
動作および消費電力低減の点から好ましい。
り、周囲温度に影響されず、特に、高温域において使用
可能な電子機器、例えば、安定して光ネットワークを介
したデータ授受を行うことができる光インターフェース
モジュールを提供することができる。
発明の実施形態について説明する。
CSOにタンク回路を接続することによって構成され
る。図1は、この発振回路1Aの具体的な構成の一例を
示すブロック図である。発振回路1Aは、増幅器11、
12と、後述する発振ループ内における移相量を調整す
る移相回路13Aと、SAW共振子14と、タンク回路
15とから構成される。そして、増幅器11、移相回路
13A、SAW共振子14およびタンク回路15により
正帰還発振ループが形成されている。
とによって、所望の周波数に選択的に利得を与えるもの
である。すなわち、タンク回路15は、SAW共振子1
4による基準発振信号から周波数f0を有する信号SQ
を選択して増幅器11に供給する。
件を満足させるための位相調整を行うもので、入力した
制御電圧Vcに応じて出力信号SQの位相の移相量を調
整する。
号SQを所定レベルに増幅して出力する。ここで、増幅
器11は、発振を持続するために正帰還発振ループの利
得が1以上になるように利得が設定される。また、増幅
器12は、正帰還発振ループおよび出力間の影響を低減
するために設けられたものであり、省略することも可能
である。
容量素子Cdと、インダクタンス素子Ldと、NTC
(Negative Temperature Coefficient)サーミスタRT
とを並列接続した構成を採り、一端が正帰還発振ループ
に接続され、他端が接地される。以下、このタンク回路
15について説明する。
値Rの温度特性を示すように、温度が高いほど抵抗値が
低くなる負の温度特性を有している。なお、この図にお
いて、縦軸(抵抗値R)はLOGスケールである。
ミスタRTの抵抗値Rを変化させた場合の各々の周波数
−伝達位相特性を示す図である。同図に矢印にて示すよ
うに、周波数−伝達位相特性は、抵抗値Rが小さいほ
ど、このタンク回路15の共振周波数FAを中心に左回
りに回転したような特性に変化する。言い換えれば、抵
抗値Rが小さいほど、周波数−伝達位相特性は平坦な特
性に近づき、周波数変化に対する位相伝達量の変化が小
さくなる。
周波数FAより高い任意の周波数F1(図3参照)での
温度−伝達位相特性を示す図である。図4に示すよう
に、タンク回路15は、温度が低い場合は温度変化によ
る伝達位相の変化量は小さいのに対し、温度が高い場合
は温度変化による伝達位相の変化量が大きくなる。すな
わち、このタンク回路15は、周波数が高い領域、具体
的には、共振周波数FAより周波数が高い領域では、温
度が低い場合に比して、温度が高い場合の伝達位相の変
化量が大きい、という特性を有することとなる。
VCSOでは、発振周波数Fが高い領域、即ち、制御電
圧Vcが大きいときは周波数変化の感度は小さく、発振
周波数Fが低い領域、即ち、制御電圧Vcが小さいとき
は周波数変化の感度は大きくなっていたのに対し、本実
施形態に係る発振回路1Aは、タンク回路15によって
周波数が高い領域での伝達位相の変化量を大きくするこ
とができるため、発振周波数Fが高い場合でも周波数変
化の感度を大きくすることができる。
圧Vc−発振周波数Fの特性を示すように、発振回路1
Aは、温度が高くても制御電圧Vcに対する周波数変化
の感度を他の温度域の場合とほぼ同じにすることができ
る。また、上述したように、温度と制御電圧Vcとが一
定の場合には、NTCサーミスタRTの抵抗値Rを小さ
くするほど、周波数変化に対する位相伝達量の変化を小
さくできるため(図3参照)、図6に発振回路1Aの発
振周波数Fの温度特性を示すように、広い温度範囲で発
振周波数Fの温度変化を低減することができる。特に、
図19に示した従来の温度特性と比較して、高温域での
温度変化を大幅に低減することが可能となる。
態に係る発振回路1Aによれば、NTCサーミスタRT
を並列接続したタンク回路15を用いたことによって、
広い温度範囲、特に高温域での制御電圧Vc−発振周波
数Fの特性を改善でき、かつ、発振周波数Fの温度変化
を低減することができる。
プの位相調整は、タンク回路15の容量素子Cdのキャ
パシタの電極をレーザートリミング等によって容量値を
調整することによって行うことが可能である。
限らず、様々な発振回路に適用可能である。例えば、図
7は、移相回路13Aに電圧制御型移相回路を適用する
ことによって、移相量を電圧制御できるようにした発振
回路1Bに本発明を適用した場合のブロック図である。
還発振ループにおける各回路および素子の位置は任意に
入れ替え可能である。例えば、図8に示すように、正帰
還発振ループ内において、SAW共振子14とタンク回
路15とを入れ替えてもよい。
る発振回路1Aと大きく異なる点は、ECL(エミッタ
結合論理)ラインレシーバを用いた差動増幅器(以下、
ECL差動増幅器という。)を使用している点である。
以下、第1実施形態に係る発振回路1Aと同一の構成に
ついては同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略す
る。
の構成を示すブロック図である。発振回路2Aは、EC
L差動増幅器21〜23と、スイッチ回路24と、移相
量を調整する移相回路13Bと、SAW共振子14と、
タンク回路15とから構成される。また、ECL差動増
幅器21の反転入力端子D12には、外部からバイアス
電圧VBBが供給される。そして、ECL差動増幅器2
1、23、スイッチ回路24、移相回路13B、SAW
共振子14およびタンク回路15により正帰還発振ルー
プが形成されている。
幅器21の反転入力端子D12に供給し、正帰還発振ル
ープを非反転入力端子D11に接続する構成としたが、
バイアス電圧VBBをECL差動増幅器21の非反転入
力端子D11に供給し、正帰還発振ループを反転入力端
子D12と接続してもよい。
力および反転出力の差動出力を有する差動増幅器であ
り、低消費電力で、かつ、高周波発振器のような高速動
作が必要な回路に適し、得られた出力信号をECL差動
増幅器21〜23で用いられる電気レベルに変換するた
めに用いられる。
回路15と同様の構成であるが、ECL差動増幅器21
の非反転入力端子D11および反転入力端子D12の間
に接続される点が異なる。
準信号SQがタンク回路15を介して非反転入力端子D
11と反転入力端子D12に供給され、また、反転入力
端子D12にはさらにバイアス電圧VBBが供給され
る。これにより、ECL差動増幅器21は、各入力端子
D11、D12に入力された信号を差動増幅することに
よって、非反転出力端子Q11から基準信号SQを所定
レベルに増幅して出力するとともに、反転出力端子Q1
2から基準信号SQを所定レベルに増幅した信号であっ
て、位相が180度異なる信号を出力する。
器21の各出力端子Q11およびQ12から出力された
信号が、ECL差動増幅器23の非反転入力端子D31
と反転入力端子D32にそれぞれ供給されることによ
り、非反転出力端子Q31から基準信号SQを所定レベ
ルに増幅した信号SQ1を出力すると共に、反転出力端
子Q32から基準信号SQを所定レベルに増幅した信号
であって、位相が180度異なる信号SQ2を出力す
る。同様に、ECL差動増幅器22は、ECL差動増幅
器21の各出力端子Q11およびQ12から出力された
信号が、ECL差動増幅器23の非反転入力端子D21
および反転入力端子D22にそれぞれ供給されることに
より、非反転出力端子Q21から基準信号SQを所定レ
ベルに増幅くした出力信号OUT+を出力すると共に、
反転出力端子Q22から基準信号SQを所定レベルに増
幅した信号であって、位相が180度異なる出力信号O
UT−を出力する。なお、ECL差動増幅器22および
23は、正帰還発振ループおよび出力間の影響を低減す
るために設けられたものであり、これらは省略すること
も可能である。
3から出力される位相が180度異なる基準信号SQ
1、SQ2のうち、移相回路13Bの移相量が少なくて
済む信号を選択するための回路である。より詳しく説明
すると、スイッチ回路24は、ECL差動増幅器23の
非反転出力端子Q31に接続されている接続点P1、ま
たはECL差動増幅器23の反転出力端子Q32に接続
されている接続点P2のいずれかと選択的に接続するこ
とによって、正帰還発振ループに流す基準信号SQを選
択する。このため、移相回路13Bの移相量が小さくて
済み、移相回路13Bの回路構成を簡易にすることがで
きる。当然のことながら、回路設計段階において、接続
点P1、接続点P2の選択が既知である場合、スイッチ
回路24は省略することが可能である。
4の発振周波数Fと回路部品の構成に応じて適切な移相
量のものが選択されるが、SAW共振子14を変更して
も移相量の変更は小さくすむので、複数種類のSAW共
振子についてもほぼ同一の回路パターンを使用すること
ができ、設計上の簡略化が可能となる。
回路部品構成が固定であるような場合においては、移相
回路13Bを省略して、差動増幅器23から出力される
2つの信号SQ1、SQ2のうち、任意の信号について
正帰還発振ループを接続する回路パターンを作成しても
よい。この場合、スイッチ回路24に代えて、ワイヤボ
ンディングなどで接続点P1または接続点P2のいずれ
かと短絡するようにしてもよい。
を使用した発振回路2Aにおいても、NTCサーミスタ
RTを並列接続したタンク回路15を使用することによ
って、発振周波数Fが高い場合でも周波数変化の感度を
大きくすることができ、制御電圧Vcに対する周波数変
化の感度を広い温度範囲でほぼ同じにすることができ
る。
には、NTCサーミスタRTの抵抗値Rを小さくするほ
ど、周波数変化に対する位相伝達量の変化を小さくでき
るため(図3参照)、特に、高温域での温度変化を大幅
に低減することができ、広い温度範囲で発振周波数Fの
温度変化を低減することができる。また、タンク回路1
5を挿入したことによって、ECL差動増幅器21に選
択的にゲインを与え、異常発振を防止することができ
る。
3を使用した発振回路2Aにおいても、広い温度範囲、
特に高温域での制御電圧Vc−発振周波数Fの特性を改
善でき、かつ、発振周波数Fの温度変化を低減すること
ができる。
還発振ループにおける各回路および素子の位置は任意に
入れ替え可能である。例えば、図10に示すように、正
帰還発振ループ内において、SAW共振子14とタンク
回路15とを入れ替えてもよい。この場合、差動増幅器
21の非反転入力端子D11および反転入力端子D12
間に電位差が生じるように、任意のインピーダンスZd
を挿入することが必要である。
列接続したタンク回路15を用いることによって、発振
周波数Fの温度特性を改善する場合について述べたが、
本実施形態では、他の方法によって発振周波数Fの温度
特性を改善した発振回路を説明する。
Aの構成を示すブロック図である。発振回路3Aは、S
AW共振子31と、差動増幅器32〜34と、スイッチ
回路36と、移相回路37と、タンク回路38とから構
成される。そして、差動増幅器32、34、スイッチ回
路36、移相回路37、SAW共振子31およびタンク
回路38により正帰還発振ループが形成されている。
クタンス素子41とからなる共振回路構成を採ることに
よって、所望の周波数に選択的に利得を与えるものであ
る。ここでは、タンク回路38は、SAW共振子31に
よる基準発振信号から周波数f0を有する基準信号SQ
を選択して差動増幅器32に出力する。
れる基準信号SQがタンク回路38を介して非反転入力
端子D11と反転入力端子D12とに供給され、また、
反転入力端子D12にはさらにバイアス電圧VBBが供
給される。これにより、差動増幅器32は、各入力端子
に入力された信号を差動増幅することによって、非反転
出力端子Q11から基準信号SQを所定レベルに増幅し
て出力するとともに、反転出力端子Q12から基準信号
SQを所定レベルに増幅した信号であって、位相が18
0度異なる信号を出力する。
力端子Q11およびQ12から出力された信号が非反転
入力端子D31と反転入力端子D32にそれぞれ供給さ
れることにより、非反転出力端子Q31から基準信号S
Qを所定レベルに増幅した信号SQ1を出力すると共
に、反転出力端子Q32から基準信号SQを所定レベル
に増幅した信号であって、位相が180度異なる信号の
信号SQ2を出力する。同様に、差動増幅器33は、差
動増幅器32の各出力端子Q11およびQ12から出力
された信号が非反転入力端子D21と反転入力端子D2
2にそれぞれ供給すれることにより、非反転入力端子Q
21から基準信号SQを所定レベルに増幅した出力信号
OUT+を出力すると共に、反転出力端子Q22から基
準信号SQを所定レベルに増幅した信号であって、位相
が180度異なる出力信号OUT−を出力する。なお、
差動増幅器33および34は、正帰還発振ループおよび
出力間の影響を低減するために設けられたものであり、
これらは省略することも可能である。
出力される位相が180度異なる基準信号SQ1、SQ
2のうち、移相回路37の移相量が少なくて済む信号を
選択するための回路である。より詳しく説明すると、ス
イッチ回路36は、差動増幅器34の非反転出力端子Q
31に接続されている接続点P1、または差動増幅器3
4の反転出力端子Q32に接続されている接続点P2の
いずれかと選択的に接続することによって、正帰還発振
ループに流す基準信号SQを選択する。
を満足させるための位相調整を行うもので、入力した制
御電圧Vcに応じて入力した出力信号SQの位相の移相
量を調整する。上述したように、本実施形態に係る発振
器3Aは、位相の異なる基準信号SQ1、SQ2のう
ち、移相回路37の移相量が少なくて済む信号を選択す
るため、移相回路37の移相量が小さくて済み、移相回
路37の回路構成を簡易にすることができる。
の発振周波数Fと回路部品の構成に応じて適切な移相量
のものが選択されるが、SAW共振子31を変更しても
移相量の変更は小さくすむので、複数種類のSAW共振
子についてもほぼ同一の回路パターンを使用することが
でき、設計上の簡略化が可能となる。
品構成が固定であるような場合においては、移相回路3
7を省略して、差動増幅器34から出力される2つの信
号SQ1、SQ2のうち、任意の信号について正帰還発
振ループを接続する回路パターンを作成してもよい。こ
の場合、スイッチ回路36に代えて、ワイヤボンディン
グなどで接続点P1または接続点P2のいずれかと短絡
するようにしてもよい。
タンク回路38の容量素子40に所定の容量温度特性を
有する容量素子を使用することによって、SAW共振子
31の発振周波数Fの温度特性の補正を行う。以下、こ
のタンク回路38の容量素子40について説明する。
Fの温度特性を示す図である。SAW共振子31は、音
叉型水晶振動子Xと同様に、二次曲線で近似可能な二次
周波数温度特性を有している。ここで、SAW共振子3
1の最大周波数が得られる周波数頂点温度T0と、タン
ク回路38の容量素子40の容量が最大となる頂点温度
が大きく異なる場合、補償温度範囲の高温側もしくは低
温側において、温度補償が過補償もしくは補償不足とな
りうる。
大になるように、図13に容量素子40の容量温度特性
を示すように、容量素子40としては、SAW共振子3
1の周波数頂点温度T0の場合に容量が最大となる二次
容量温度特性を有する容量素子が使用される。なお、容
量素子40は、BaTiO3を主成分とした場合には、BaTiO3
の最大容量値を示す温度であるキュリー点温度120℃
を他の元素、例えば、BaSnO3、CaSnO3、BaSnO3、BaZr
O3、BrTiO3などにより周波数頂点温度T0に移動し、キ
ュリー点温度での相変態を利用することによって所望の
容量温度特性を得ることが可能である。
の容量Caと発振周波数F(周波数偏差df/f0)と
の関係を示す特性曲線L1と、移相回路37の例として
1個のコンデンサを使用した場合の容量素子Cbの容量
と発振周波数F(周波数偏差df/f0)との関係を示
す特性曲線L2とを示す特性曲線図である。
量(f2−f1)だけ変化させる場合に必要な容量素子
40の容量変化量dCaは、正帰還発振ループに直接接
続された容量素子Cbの容量変化量dCbに比して格段
に少なくてよいことが判る。この図においては、容量変
化量dCaは、容量変化量dCbの約4分の1以下でよ
いことが判る。
は、タンク回路38の容量素子40の容量の温度特性に
よってSAW共振子31の発振周波数Fの温度特性を補
正するようにしたので、正帰還発振ループに直接接続さ
れた容量素子Cbの容量値の温度特性によって補正する
場合に比して、発振周波数Fの温度特性の補正量を大き
くとることができる。この結果、図15に、発振器30
の発振周波数Fの補正前の温度特性と、補正後の温度特
性を示すように、広い温度範囲でSAW共振子31の発
振周波数Fの温度変化を低減することができる。
還発振ループに直接接続された容量素子Cbの温度特性
によってSAW共振子31の温度特性を補正する場合に
補正量が不十分であった低温および高温の温度範囲にお
いても、必要とされる周波数安定度(例えば、10.0
×10-6)を満足させることが可能となる。
る発振周波数Fの変化量、つまり、発振周波数Fの感度
調整は、タンク回路38のインダクタンス素子の値によ
って調整することができる。
態に係る発振回路3Aによれば、SAW共振子31の周
波数温度特性に応じてタンク回路38の容量素子40を
上記した温度特性を有する容量素子にすれば、SAW共
振子31の周波数温度特性を広い温度範囲で簡易に補正
することができる。また、素子数も増大しないので実装
スペースが小さくて済み、発振器30の小型化も可能で
ある。
3Aは様々な通信機器に適用可能である。本実施形態で
は、本発明に係る発振回路1A〜3Aを使用した通信機
器として、光インターフェースモジュール50について
説明する。
50の概要構成を示すブロック図である。この光インタ
ーフェースモジュール50は、例えば、サーバ用コンピ
ュータと光ネットワークとの間で、光信号と電気信号と
の信号変換を行うものであり、ここでは、10.312
5Gbpsの光信号と、3.125Gbpsの電気信号
(4系統)との信号変換を行うものである。
/シリアル)変換部52から出力された電気信号を光信
号に変換し、光ネットワーク側に出力する。光/電気変
換部53は、光ネットワーク側から出力された光信号を
電気信号に変換しS/P(シリアル/パラレル)変換部
54に出力する。
回路1A〜3Aのいずれかが適用され、周囲温度によら
ず一定周波数のクロック信号を出力する。そして、各ク
ロック信号が基準信号として、ビット符号変換部55を
介して接続された3.215GGbpsのS/P変換部
56およびP/S変換部57、10.3125Gpsの
P/S変換部52およびS/P変換部54の各部に用い
られる。
ル50に、各実施形態に係る発振回路1A〜3Aを使用
することにより、周囲温度に影響されず、特に、高温域
において、安定した光ネットワークを介したデータ授受
を行うことが可能となる。
実施することができる。例えば、以下のような変形実施
が可能である。
共振子の発振回路に本発明を適用する場合について述べ
たが、発振源がATカット型水晶振動子の発振回路にも
適用することができる。また、本発明の発振回路に温度
補償回路を接続し、TCSOやTCXOを構成してもよ
い。なお、振動子やSAW共振子等の圧電共振子を構成
する圧電材料については、水晶の他、ランガサイトや四
ほう酸リチウム(Lithium Tetra Bor
ate)等の他の圧電材料を使用してもよい。
8の容量素子40として、周波数頂点温度T0で容量が
最大になる二次容量温度特性を有する容量素子を用いる
場合について述べた。本発明はこれに限らず、要は周波
数頂点温度T0近傍で容量が最大になる容量温度特性を
有する容量素子を用いればよく、キュリー点温度が周波
数頂点温度T0近傍であればよい。
を有している場合は、全ての容量素子が上述した容量温
度特性を有すれば補正量を多くとることができるが、必
要とする補正量に応じていずれか1つ以上の容量素子が
上述した容量温度特性を有していればよい。
は、NTCサーミスタを並列接続したタンク回路を使用
することにより、広い温度範囲、特に高温域での制御電
圧−発振周波数の特性を改善でき、かつ、発振周波数の
温度変化を低減することができる。また、タンク回路の
容量素子の温度特性によって共振子の発振周波数の温度
特性を補正することにより、広い温度範囲で発振周波数
の温度変化を低減することができる。また、素子数も増
大しないので実装スペースが小さくて済み、小型化が可
能である。
を示すブロック図である。
特性曲線図である。
変化させた場合の周波数−伝達位相特性を示す特性曲線
図である。
F1での温度−伝達位相特性を示す特性曲線図である。
係を示す特性曲線図である。
性曲線図である。
ブロック図である。
ブロック図である。
ロック図である。
すブロック図である。
ブロック図である。
示す特性曲線図である。
す特性曲線図である。
Fとの関係を示す特性曲線L1と、正帰還発振ループに
直接接続された容量素子の容量と発振周波数Fとの関係
を示す特性曲線L2とを示す図である。
の温度特性を示す特性曲線図である。
を示すブロック図である。
ある。
を示す特性曲線図である。
関係を示す特性曲線図である。
動の感度の関係を示す特性曲線図である。
る。
す特性曲線図である。
である。
特性を示す特性曲線図である。
…増幅器、13A、13B……移相回路、14、31…
…SAW共振子、15、38……タンク回路、21、2
2、23……ECL差動増幅器、32、33、34……
差動増幅器、24、36……スイッチ回路、Cd、40
……容量素子Ld、41……インダクタンス素子、RT
……NTCサーミスタ、VBB……基準バイアス電圧、
50……光インターフェースモジュール、51……電気
/光変換部、52……P/S変換部、53……光/電気
変換部、54……S/P変換部、55……ビット符号変
換部、56……S/P変換部、57……P/S変換部、
60、61……発振回路、100……温度補償型SAW
発振回路(TCSO)。
Claims (9)
- 【請求項1】 増幅器と、所定の共振周波数を有するS
AW共振子と、入力信号の位相を所定量ずらした出力信
号として出力する移相回路と、インダクタンス素子と容
量素子から成るタンク回路と、によって正帰還発振ルー
プを構成し、 前記タンク回路と並列に負の温度特性を有するNTCサ
ーミスタを接続したことを特徴とする発振回路。 - 【請求項2】 前記増幅器は、反転入力端子及び非反転
入力端子を有し、前記反転入力端子及び前記非反転入力
端子のうちいずれか一方にバイアス電圧が入力され、他
方が前記正帰還発振ループの入力端として機能する差動
増幅器であることを特徴とする請求項1に記載の発振回
路。 - 【請求項3】 前記タンク回路は、前記差動増幅器の前
記反転及び非反転入力端子の間に接続されることを特徴
とする請求項2に記載の発振回路。 - 【請求項4】 増幅器と、二次周波数温度特性を有する
振動子と、前記振動子を発振させる帰還増幅回路と、所
望の周波数近傍において周波数選択性を持たせたタンク
回路とを有する発振回路において、 前記タンク回路を構成する容量素子のいずれか1つ以上
の容量素子は、前記振動子の二次周波数温度特性を補正
する容量温度特性を有することを特徴とする発振回路。 - 【請求項5】 前記タンク回路を構成する容量素子のい
ずれか1つ以上の容量素子は、前記振動子の最大発振周
波数が得られる温度近傍で最大容量となる容量温度特性
を有することを特徴とする請求項4に記載の発振回路。 - 【請求項6】 前記発振回路は、さらに、当該発振回路
の位相条件を満足させるために、正帰還発振ループに流
れる基準信号の位相を所定量変化させて出力する移相回
路を有することを特徴とする請求項4または5に記載の
発振回路。 - 【請求項7】 前記移相回路は外部信号により移相量を
調節することができることを特徴とする請求項1乃至
3、または請求項6のいずれかに記載の発振回路。 - 【請求項8】 前記増幅器は、ECLラインレシーバを
用いた差動増幅器であることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の発振回路。 - 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の発振
回路を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2009060457A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Seiko Instruments Inc | 発振器 |
JP2022154191A (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-13 | 株式会社Piezo Studio | 共振回路、発振回路および電子機器 |
KR102684677B1 (ko) * | 2022-03-18 | 2024-07-15 | 국립한밭대학교 산학협력단 | 위상 주입 기반의 온도 보상 전압 제어 발진기 |
-
2002
- 2002-07-18 JP JP2002209949A patent/JP4561029B2/ja not_active Expired - Fee Related
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