JP2003197839A - 発熱素子用沸騰冷却器 - Google Patents
発熱素子用沸騰冷却器Info
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Abstract
応できるように設計の自由度が高く、冷媒封入量が少な
くて済み、また優れた放熱性能が得られる発熱素子用沸
騰冷却器を提供する。 【解決手段】 本発明による発熱素子用沸騰冷却器1
は、内部に収容された冷媒Aを外面に取り付けられた発
熱素子Bから発せられた熱により沸騰させる沸騰部2と、
沸騰部2から流入した冷媒蒸気A1を外部流体Cとの熱交換
により凝縮させる凝縮部3との間に、内部に冷媒蒸気通
路41および冷媒凝縮液通路42を有する連通管4が介在さ
れたものである。
Description
込まれたダイオード、トランジスタ等の発熱素子を冷却
するのに用いられる沸騰冷却器に関する。
熱輸送によって発熱体を冷却するものであって、各種の
電子機器においても、従来より、機器内に組み込まれた
ダイオード、トランジスタ等の発熱素子を冷却するのに
使用されている。
ては、フルオロカーボン等の高価なものが多い。そのた
め、沸騰冷却器の構造としては、冷媒の封入量がなるべ
く少なくて済むようなもの方が望ましい。
特開平8−204075号公報に開示されたものが知ら
れている。この沸騰冷却器は、内部に多数の中空通路を
有しかつ側壁外面に発熱素子が取り付けられた中空面板
よりなる沸騰部と、プレートフィン型熱交換器よりなる
凝縮部とを備えている。沸騰部を構成する中空面板と、
凝縮部を構成する熱交換器とは、前者の中空通路と後者
のヘッダタンクとが連通するように、直接連結されてい
る。
っては、沸騰部が薄型の中空面板で構成されているた
め、冷媒の封入量をそれ程多くしなくて済む。しかし、
上記の沸騰冷却器の場合、中空面板と熱交換器とが直接
連結されていて、設計の自由度が低いため、コンパクト
化や複雑化が進んでいる電子機器に十分に対応できず、
電子機器内に設置できない事態も生じうる。
における受熱位置(即ち、例えば発熱素子の設置箇所)
と放熱位置(即ち、例えば排気口の設置箇所)とが大き
く離れているときには、例えば中空面板の寸法を大きく
して対応する必要があるため、その分だけ冷媒封入量が
増えてしまう。
みの小さい中空面板の側壁外面に発熱素子が取り付けら
れているため、側壁の剛性不足により発熱素子との接触
熱抵抗が増大して、放熱性能が低下するおそれがある。
部に向かって上昇する冷媒蒸気と、凝縮部から沸騰部に
向かって下降する冷媒凝縮液とが、沸騰部と凝縮部との
連結部分において互いに干渉する、いわゆるフラッディ
ング現象が問題となる。このフラッディング現象は、冷
媒の自然循環を阻害して、最大熱輸送量を減殺する結
果、放熱性能の低下を引き起こすものであるから、極力
防止する必要がある。
化や複雑化に十分対応できるように設計の自由度が高
く、冷媒封入量が少なくて済み、また優れた放熱性能が
得られる発熱素子用沸騰冷却器を提供することにある。
による第1の発熱素子用沸騰冷却器は、内部に収容され
た冷媒を外面に取り付けられている発熱素子から発せら
れた熱により沸騰させる沸騰部と、沸騰部の上方に配さ
れかつ沸騰部から流入した冷媒蒸気を外部流体との熱交
換により凝縮させる凝縮部との間に、内部に冷媒蒸気通
路および冷媒凝縮液通路を有する連通管が介在されてい
るものである。
管を介在させるようにすれば、例えば、電子機器等にお
ける受熱位置と放熱位置とが大きく離れている場合や、
受熱位置と放熱位置との間の空間が著しく制限されてい
る場合でも、連通管の長さや取付位置等を調整すること
によって容易に対応させることができ、設計の自由度が
高い。また、連通管は、内部に冷媒蒸気通路および冷媒
凝縮液通路を有するものであって、連通管内において冷
媒蒸気と冷媒凝縮液とが干渉しないので、最大熱輸送量
が減殺されず、高い放熱性能が得られる。さらに、受熱
位置と放熱位置とが大きく離れている場合でも、沸騰部
の高さを必要最小限に抑え、連通管の長さを長くするこ
とによって、冷媒封入量の増大を防ぐことができる。
が、2本以上としてもよい。連通管を2本以上とした場
合、冷媒蒸気および冷媒凝縮液がそれぞれ各連通管に分
配されて各連通管における冷媒蒸気および冷媒凝縮液の
流量が少なくなるので、それだけ冷媒蒸気および冷媒凝
縮液の流通抵抗が小さくなり、放熱性能が向上する。ま
た、連通管を2本以上とした場合、凝縮部内への冷媒蒸
気の分配がよりスムーズになり、凝縮部内を流れる冷媒
蒸気が均一化される。
の連通管における冷媒蒸気通路の断面積と冷媒凝縮液通
路の断面積との和が、沸騰部内の水平断面積よりも小さ
くなされているのが好ましい。
において、連通管が、内部が長さ方向に伸びる仕切壁に
よって断面積の異なる2つの通路に区画されている管よ
りなり、前記管における断面積の大きい方の通路が冷媒
蒸気通路となされ、前記管における断面積の小さい方の
通路が冷媒凝縮液通路となされているのが好ましい。
ミニウム製や銅製の押出管、電縫管によって形成するこ
とができるので、製造が容易である。また、前記管にお
ける断面積の大きい方の通路が冷媒蒸気通路となされ、
前記管における断面積の小さい方の通路が冷媒凝縮液通
路となされているので、各通路における冷媒蒸気および
冷媒凝縮液の流通抵抗が小さく、これらがスムーズに流
れる。
冷却器において、冷媒蒸気通路の上端出口から凝縮部の
底部内に流入する冷媒蒸気と、凝縮部の底部内から冷媒
凝縮液通路の上端入口に流入する冷媒凝縮液との干渉を
避け得るように、連通管の上端部が凝縮部の底部内に突
出させられているとともに、冷媒蒸気通路の上端出口が
冷媒凝縮液通路の上端入口よりも上方に位置するように
連通管の上端部が部分的に切り欠かれているのが好まし
い。
出口から凝縮部の底部内に流入する冷媒蒸気と、凝縮部
の底部内から冷媒凝縮液通路の上端入口に流入する冷媒
凝縮液との干渉を効果的に回避できるので、さらに放熱
性能が向上する。
冷却器は、内部に収容された冷媒を外面に取り付けられ
ている発熱素子から発せられた熱により沸騰させる沸騰
部と、沸騰部の上方に配されかつ沸騰部から流入した冷
媒蒸気を外部流体との熱交換により凝縮させる凝縮部と
の間に、連通管が介在され、連通管の内周面には、長さ
方向に伸びかつ冷媒凝縮液を表面張力の作用によって流
下させ得る大きさを有する複数の溝が設けられていて、
連通管内における前記溝以外の中心部分を冷媒蒸気が流
通させられるものである。
子機器等における受熱位置と放熱位置とが大きく離れて
いる場合や、受熱位置と放熱位置との間の空間が著しく
制限されている場合に、連通管の長さや取付位置等を調
整することによって容易に対応させることができ、設計
の自由度が高い。また、連通管を構成する前記管は、例
えば、アルミニウム製や銅製の押出管、電縫管によって
形成することができるので、製造が容易である。しか
も、冷媒凝縮液が表面張力の作用によって前記溝を流れ
る一方、冷媒蒸気が前記管内における前記溝の内側部
分、即ち、横断面積が広く流通抵抗が小さい前記管の中
心部を流れるので、冷媒循環がスムーズに行われ、フラ
ッディング現象を効果的に防止することができる。さら
に、受熱位置と放熱位置とが大きく離れている場合で
も、沸騰部の高さを必要最小限に抑え、連通管の長さを
長くすることによって、冷媒封入量の増大を防ぐことが
できる。
連通管は、少なくとも1本あれば足りるが、2本以上と
してもよい。そして、連通管を2本以上とした場合に
は、第1の発熱素子用沸騰冷却器の場合と同様の効果が
得られる。
ても、冷媒封入量を抑えるためには、全ての連通管内の
断面積の和が、沸騰部内の水平断面積よりも小さくなさ
れているのが好ましい。
は、内部に収容された冷媒を外面に取り付けられている
発熱素子から発せられた熱により沸騰させる沸騰部と、
沸騰部の上方に配されかつ沸騰部から流入した冷媒蒸気
を外部流体との熱交換により凝縮させる凝縮部との間
に、内部に冷媒蒸気通路を有する第1連通管および内部
に冷媒凝縮液通路を有する第2連通管が介在されている
ものである。
連通管および第2連通管を介在させるようにすれば、例
えば、電子機器等における受熱位置と放熱位置とが大き
く離れている場合や、受熱位置と放熱位置との間の空間
が著しく制限されている場合でも、両連通管の長さや取
付位置等を調整することによって容易に対応させること
ができ、設計の自由度が高い。また、冷媒蒸気は第1連
通管内の冷媒蒸気通路を流れ、冷媒凝縮液は第2連通管
内の冷媒凝縮液通路を流れるので、冷媒蒸気と冷媒凝縮
液とが干渉しない上、冷媒蒸気および冷媒凝縮液の流通
抵抗が小さくなり、その結果、高い放熱性能が得られ
る。さらに、受熱位置と放熱位置とが大きく離れている
場合でも、沸騰部の高さを必要最小限に抑え、連通管の
長さを長くすることによって、冷媒封入量の増大を防ぐ
ことができる。
て、冷媒封入量を抑えるためには、冷媒蒸気通路の断面
積と冷媒凝縮液通路の断面積との和が、沸騰部内の水平
断面積よりも小さくなされているのが好ましい。
において、第1連通管が、内部の横断面積が異なる2種
類の管のうち内部の横断面積が大きい方の管よりなり、
前記管の内部が冷媒蒸気通路となされ、第2連通管が、
前記2種類の管のうち内部の横断面積が小さい方の管よ
りなり、前記管の内部が冷媒凝縮液通路となされている
のが好ましい。
記2種類の管は、例えば、アルミニウム製や銅製の押出
管、電縫管によって形成することができ、製造がきわめ
て容易である。また、横断面積が大きい方の管の内部が
冷媒蒸気通路となされ、横断面積が大きい方の管の内部
が冷媒凝縮液通路となされているので、各通路における
冷媒蒸気および冷媒凝縮液の流通抵抗が小さく、これら
がスムーズに流れる。
冷却器において、沸騰部の内面における発熱素子に対応
する部分に、沸騰伝熱促進用微細凹凸が設けられている
のが好ましい。沸騰伝熱促進用微細凹凸は、例えば、沸
騰部の内面における発熱素子に対応する部分への粉末ろ
う付け、焼結、粉末溶射または機械加工によって形成さ
れている。
部分、即ち、沸騰伝熱面に微細凹凸を設けておけば、伝
熱面積が増大する上、核気泡の離脱が促進されるので、
沸騰伝熱が促進され、それによって放熱性能が格段に向
上する。
冷却器において、発熱素子が、沸騰部の底部下面に取り
付けられている場合がある。
面となるため、冷媒封入量を必要最小限に抑えることが
できる。なお、発熱素子は、必ずしも沸騰部の底部下面
に取り付けられることを要せず、他にも、例えば、沸騰
部の外側面に取り付けられてもよい。
冷却器において、沸騰部は、例えば、横断面円形または
方形の周壁と、周壁の下端開口を塞いでいる底壁と、周
壁の下端開口を塞いでいる頂壁とを備えたものとなされ
る。連通管の下端部または第1・第2連通管の下端部
は、通常、頂壁の上端部に接続される。
合、沸騰部を薄くしなくても冷媒封入量を低く抑えるこ
とができるので、沸騰部の側壁の厚みを大きくとること
ができる。したがって、発熱素子を側壁外面に取り付け
る場合でも、側壁の剛性不足により発熱素子との接触熱
抵抗が増大して放熱性能が低下するおそれがない。
冷却器において、凝縮部は、例えば、間隔をおいて水平
に配された上下ヘッダタンクと、下端部が下ヘッダタン
クに接続されかつ上端部が上ヘッダタンクに接続された
複数の左右並列状熱交換管と、隣り合う熱交換管どうし
の間および左右両端に位置する熱交換管の外側に配置固
定された放熱フィンとを備えたものとなされる。連通管
の上端部または第1・第2連通管の上端部は、通常、下
ヘッダタンクの底部に接続される。
ンクと、下端部がヘッダタンクに接続されかつ上端部が
閉鎖された複数の左右並列状熱交換管と、隣り合う熱交
換管どうしの間および左右両端に位置する熱交換管の外
側に配置固定された放熱フィンとを備えたものであって
もよい。連通管の上端部または第1・第2連通管の上端
部は、通常、ヘッダタンクの底部に接続される。
いずれか一方の側に直接またはダクトを介して取り付け
られた冷却ファンを備えたものであってもよい。この場
合、冷却ファンが起こす風によって、熱交換管および放
熱フィンの表面からの放熱が効率良く行われる。
面を参照して以下に説明する。
すものである。これらの図に示された発熱素子用沸騰冷
却器(1)は、内部に収容された冷媒(A)を外面に取り付け
られた発熱素子(B)から発せられた熱により沸騰させる
沸騰部(2)と、沸騰部(2)から流入した冷媒蒸気(A1)を外
部流体(C)との熱交換により凝縮させる凝縮部(3)との間
に、内部に冷媒蒸気通路(41)および冷媒凝縮液通路(42)
を有する1本の連通管(4)が介在されたものである。冷
媒蒸気通路(41)の断面積と冷媒凝縮液通路(42)の断面積
との和は、沸騰部(2)内の水平断面積よりも小さくなさ
れている。
壁(21)と、周壁(21)の下端開口を塞いでいる底壁(22)
と、周壁(21)の上端開口を塞いでいる頂壁(23)とを備え
ている。沸騰部(2)を構成する上記各壁(21)(22)(23)
は、アルミニウムや銅といった金属材料よりなる。周壁
(21)は、図3(a)に示すように横断面円形であっても
よいし、或いは、図3(b)に示すように横断面方形で
あってもよい。周壁(21)は、例えば、ブロック材を機械
加工したものや押出形材等から形成される。なお、ブロ
ック材を機械加工する場合、通常、周壁(21)と一体に底
壁(22)または頂壁(23)が形成される。底壁(22)および頂
壁(23)は、例えば、板材や押出形材等から形成され、周
壁(21)の上下端部に溶接、ろう付け等によって接合され
る。
冷媒(A)が収容されている(図1参照)。なお、冷媒(A)
は、水などの自然冷媒であっても良い。
トランジスタ等の発熱素子(B)は、底壁(22)下面に取り
付けられている。
ける発熱素子(B)と対向する部分、即ち、底壁(22)上面
には、沸騰伝熱促進用微細凹凸(24)が設けられている。
これらの微細凹凸(24)は、例えば、底壁(22)上面にアル
ミニウム粉末をろう付けすることによって形成される。
また、微細凹凸(24)は、底壁(22)上面を焼結したり、底
壁(22)上面に粉末を溶射したり、或いは、底壁(22)上面
にローレット加工、エッチング加工、サンドブラスト加
工等の機械加工を施すことによっても形成することがで
きる。上記の微細凹凸(24)により、伝熱面積が拡大する
とともに、核気泡の離脱が促進されるため、放熱性能が
格段に向上する。
に、間隔をおいて水平に配された上下ヘッダタンク(31)
と、下端部が下ヘッダタンク(31)に接続されかつ上端部
が上ヘッダタンク(31)に接続された複数の左右並列状熱
交換管(32)と、隣り合う熱交換管(32)どうしの間および
左右両端に位置する熱交換管(32)の外側に配置固定され
た放熱フィン(33)と、複数の熱交換管(32)の後側に取り
付けられた冷却ファン(34)とを備えたものである。上下
ヘッダタンク(31)、熱交換管(32)および放熱フィン(33)
は、アルミニウムや銅といった金属材料よりなる。
出管または電縫管の両端開口を端板で閉鎖してなる。
の偏平な押出管や電縫管よりなり、上下両端部が上下ヘ
ッダタンク(31)に挿入されて、ろう付けや溶接等により
接合されている。
なり、熱交換管(32)の外面にろう付けや溶接等によって
接合されている。なお、コルゲートフィンは、通常のプ
レーンフィンとする他、自動車用エアコン等において使
用されているルーバフィンやオフセットフィン、或いは
プレーンフィンに多数の孔をあけた孔あきフィンとして
もよく、これらを用いれば更に高い放熱効果が得られ
る。
には、アルミニウム板や銅板等の金属板よりなるサイド
プレート(36)が、ろう付けや溶接等により接合されてい
る。い。
ファンが用いられる。この冷却ファン(34)は、図2
(a)に示すように熱交換管(32)の後側に直接取り付け
られてもよいし、また、図2(b)に示すように熱交換
管(32)の後側にダクト(35)を介して取り付けられてもよ
い。冷却ファン(34)の配置は、図2に示すように、その
吸込口が熱交換管(32)の方(前方)を向いた吸込み式で
あってもよいし、或いはこれとは逆に、その吹出口が熱
交換管(32)の方(前方)を向いた押込み式であってもよ
い。また、冷却ファン(34)は、熱交換管(32)の前側に取
り付けられても勿論よい。この冷却ファン(34)を作動さ
せることにより、外部流体としての空気(C)が、熱交換
管(32)間および放熱フィン(33)間を前後方向に流れ、熱
交換管(32)内を流れる冷媒蒸気(A1)との間で熱交換が行
われる。なお、冷媒蒸気(A1)と熱交換させる外部流体と
しては、上記の空気(C)以外にも、水などの公知の冷却
用流体を選択することができ、その場合、使用する流体
に応じて凝縮部(3)の構造を適宜変更すればよい。
長さ方向に伸びる仕切壁(43)によって断面積の異なる2
つの通路(41)(42)に区画されている管よりなる。そし
て、前記管における断面積の大きい方の通路が冷媒蒸気
通路(41)となされ、前記管における断面積の小さい方の
通路が冷媒凝縮液通路(42)となされている。連通管(4)
を構成する前記管は、アルミニウム製や銅製の押出管ま
たは電縫管よりなる。連通管(4)は、図4や図3(a)
に示すように横断面円形であってもよいし、或いは、図
3(b)に示すように横断面方形であってもよい。
通路(41)の上端出口(411)から下ヘッダタンク(31)(凝
縮部(3)の底部)内に流入する冷媒蒸気(A1)と、下ヘッ
ダタンク(31)内から冷媒凝縮液通路(42)の上端入口(42
1)に流入する冷媒凝縮液(A2)との干渉を避け得るよう
に、連通管(4)の上端部が下ヘッダタンク(31)内に突出
させられているとともに、冷媒蒸気通路(41)の上端出口
(411)が冷媒凝縮液通路(42)の上端入口(421)よりも上方
に位置するように連通管(4)の上端部が部分的に切り欠
かれている。つまり、冷媒蒸気通路(41)の上端出口(41
1)は、下ヘッダタンク(31)内における冷媒凝縮液(A2)の
液面レベルよりも高い位置に設けられ、冷媒凝縮液通路
(42)の上端入口(421)は、下ヘッダタンク(31)内におけ
る冷媒凝縮液(A2)の液面レベルよりも低い位置に設けら
れている。したがって、下ヘッダタンク(31)内において
は、浮力により上昇しようとする冷媒蒸気(A1)の流れ
と、重力により下降しようとする冷媒凝縮液(A2)の流れ
とが完全に分離される。よって、冷媒(A)の循環がスム
ーズとなり、十分な最大熱輸送量が得られる。
おける受熱位置(即ち、発熱素子(B)の設置箇所)と放
熱位置(即ち、例えば排気口の設置箇所付近)との距離
に応じて適宜に変更可能である。また、図1の沸騰冷却
器(1)の場合、連通管(4)の上端部が凝縮部(3)における
下ヘッダタンク(31)の長さ中央部に接続され、連通管
(4)の上端部が沸騰部(2)における頂壁(23)の中央部に接
続されているが、電子機器内において沸騰部(2)と凝縮
部(3)との間の空間の一部に他の部品や装置等を配置す
る必要がある場合には、それらに干渉しないように連通
管(4)の位置をずらすようにしても良い。
説明する。電子機器等の作動中に発熱素子(B)から大量
の熱が発せられると、その熱が沸騰部(2)に伝わり、沸
騰部(2)内に収容された冷媒(A)が沸騰させられる。この
際、底壁(22)上面、即ち沸騰伝熱面に設けられた沸騰伝
熱促進用微細凹凸(24)により沸騰伝熱が促進され、発熱
素子(B)から冷媒(A)への熱伝達が効率良く行われる。冷
媒(A)の沸騰により生じた冷媒蒸気(A1)は、圧力差によ
って、沸騰部(2)から連通管(4)の冷媒蒸気通路(41)を上
昇し、該通路(41)の上端入口(411)から凝縮部(3)の下ヘ
ッダタンク(31)内に流入し、ここから複数の熱交換管(3
2)内に分流して、各熱交換管(32)内を上向きに流れる。
冷媒蒸気(A1)は、各熱交換管(32)内を流れる間に、熱交
換管(32)および放熱フィン(33)を介して、冷却ファン(3
4)によって熱交換管(32)間および放熱フィン(33)間を前
後方向に流通させられる空気(C)と熱交換され、熱交換
管(32)内面で凝縮する。熱交換管(32)内で凝縮しなかっ
た冷媒蒸気(A1)は、上ヘッダタンク(31)に流入した後、
再度いずれかの熱交換管(32)内に流入し、凝縮させられ
る。熱交換管(32)内で生じた冷媒凝縮液(A2)は、重力に
より熱交換管(32)内を降下して下ヘッダタンク(31)内に
流入し、ここで一時的に滞留した後、連通管(4)の冷媒
凝縮液通路(42)に上端入口から流入する。ここで、冷媒
蒸気通路(41)の上端出口(411)が冷媒凝縮液通路(42)の
上端入口(421)よりも上方に位置させられているため、
冷媒凝縮液(A2)の流れは冷媒蒸気(A2)の流れから完全に
分離され、冷媒(A)の循環がスムーズに行われる。冷媒
凝縮液(A2)は、冷媒凝縮液通路(42)を経て沸騰部(2)に
戻され、ここで再び沸騰させられる。以上のような冷媒
(A)の相変化が繰り返されることにより、発熱素子(B)の
冷却が継続的に行われる。
のである。この実施形態の発熱素子用沸騰冷却器にあっ
ては、沸騰部(2)と凝縮部(3)との間に介在されている連
通管(40)が、内周面に長さ方向に伸びかつ冷媒凝縮液(A
2)を表面張力の作用によって流下させ得る大きさを有す
る複数の溝(401)が設けられた管よりなる。そして、連
通管(40)内における前記溝(401)よりも内側部分(402)を
冷媒蒸気(A1)が流通させられ、連通管(40)内の断面積
が、沸騰部(2)内の水平断面積よりも小さくなされてい
る。連通管(40)を構成する前記管は、アルミニウム製や
銅製の押出管または電縫管よりなる。上記連通管(40)の
上端部は、上端開口が下ヘッダタンク(31)内における冷
媒凝縮液(A2)の液面レベルとほぼ同じかそれよりもやや
下方に位置するように、下ヘッダタンク(31)内に突出さ
せられている。沸騰冷却器が上記の連通管(40)を備えて
いれば、冷媒凝縮液(A2)が表面張力の作用によって連通
管(40)の溝(401)を流れる一方、冷媒蒸気(A1)が連通管
(40)内における溝(401)の内側部分(402)、即ち、横断面
積が広く流通抵抗が小さい連通管(40)の中心部(402)を
流れるので、冷媒循環がスムーズに行われ、フラッディ
ング現象を効果的に防止することができる。その他は、
第1の実施形態とほぼ同じである。
と同じ構成を有する発熱素子用沸騰冷却器を作製した。
沸騰部はアルミニウム製とし、その底壁上面にはアルミ
ニウム粉末をろう付けすることによって沸騰伝熱促進用
微細凹凸を形成した。凝縮部(3)の上下ヘッダタンク、
熱交換管および放熱フィンも、アルミニウム製とした。
連通管には、内部に仕切壁を有する横断面円形のアルミ
ニウム製押出管を用いた。内部に封入する冷媒として
は、フルオロカーボンを使用した。
が沸騰伝熱促進用微細凹凸を有していないフラット面で
ある点を除いて、実施例1と同じ構成を有する発熱素子
用沸騰冷却器を作製した。
に仕切壁が設けられていない横断面円形のアルミニウム
製押出管を用いた点を除いて、実施例1と同じ構成を有
する発熱素子用沸騰冷却器を作製した。
発熱素子の代用として電気ヒータを取り付け、電気ヒー
タの発熱量Q(W)を変化させながら、各発熱量Q
(W)における沸騰冷却器の熱抵抗R(K/W)を測定
した。測定結果は、図6に示すとおりである。図6に示
したように、実施例1では、発熱量300Wにおいて、
熱抵抗0.15K/Wという極めて高い冷却性能が得ら
れた。実施例2では、発熱量200Wにおいて、熱抵抗
0.26K/Wであったが、さらに発熱量が大きくなる
と急激に熱抵抗が高くなった。比較例では、連通管内で
フラッディング現象が生じるため、発熱量30W付近か
ら急激に熱抵抗が高くなり、十分な冷却効果が得られな
かった。
発熱素子用沸騰冷却器の一部切欠き正面図である。
(a)は冷却ファンを直接熱交換管に直接取り付けた場
合を示し、(a)は冷却ファンをダクトを介して熱交換
管に取り付けた場合を示している。
一部を拡大して示す斜視図であって、(a)(b)はそ
れぞれ形状が異なる場合を示している。
ダタンクの拡大垂直断面、(b)は連通管の拡大水平横
断面である。
(a)は連通管の上端部および凝縮部の下ヘッダタンク
の拡大垂直断面、(b)は連通管の拡大水平横断面であ
る。
量と熱抵抗の関係を示したグラフである。
Claims (13)
- 【請求項1】 内部に収容された冷媒を外面に取り付け
られている発熱素子から発せられた熱により沸騰させる
沸騰部と、沸騰部の上方に配されかつ沸騰部から流入し
た冷媒蒸気を外部流体との熱交換により凝縮させる凝縮
部との間に、内部に冷媒蒸気通路および冷媒凝縮液通路
を有する連通管が介在されている、発熱素子用沸騰冷却
器。 - 【請求項2】 連通管が、内部が長さ方向に伸びる仕切
壁によって断面積の異なる2つの通路に区画されている
管よりなり、前記管における断面積の大きい方の通路が
冷媒蒸気通路となされ、前記管における断面積の小さい
方の通路が冷媒凝縮液通路となされている、請求項1記
載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項3】 冷媒蒸気通路の上端出口から凝縮部の底
部内に流入する冷媒蒸気と、凝縮部の底部内から冷媒凝
縮液通路の上端入口に流入する冷媒凝縮液との干渉を避
け得るように、連通管の上端部が凝縮部の底部内に突出
させられているるとともに、冷媒蒸気通路の上端出口が
冷媒凝縮液通路の上端入口よりも上方に位置するように
連通管の上端部が部分的に切り欠かれている、請求項1
または2記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項4】 内部に収容された冷媒を外面に取り付け
られている発熱素子から発せられた熱により沸騰させる
沸騰部と、沸騰部の上方に配されかつ沸騰部から流入し
た冷媒蒸気を外部流体との熱交換により凝縮させる凝縮
部との間に、連通管が介在され、連通管の内周面には、
長さ方向に伸びかつ冷媒凝縮液を表面張力の作用によっ
て流下させ得る大きさを有する複数の溝が設けられてい
て、連通管内における前記溝よりも内側部分を冷媒蒸気
が流通させられる、発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項5】 内部に収容された冷媒を外面に取り付け
られている発熱素子から発せられた熱により沸騰させる
沸騰部と、沸騰部の上方に配されかつ沸騰部から流入し
た冷媒蒸気を外部流体との熱交換により凝縮させる凝縮
部との間に、内部に冷媒蒸気通路を有する第1連通管お
よび内部に冷媒凝縮液通路を有する第2連通管が介在さ
れている、発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項6】 第1連通管が、内部の横断面積が異なる
2種類の管のうち内部の横断面積が大きい方の管よりな
り、前記管の内部が冷媒蒸気通路となされ、第2連通管
が、前記2種類の管のうち内部の横断面積が小さい方の
管よりなり、前記管の内部が冷媒凝縮液通路となされて
いる、請求項5記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項7】 沸騰部の内面における発熱素子に対応す
る部分に、沸騰伝熱促進用微細凹凸が設けられている、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の発熱素子用沸騰冷
却器。 - 【請求項8】 沸騰伝熱促進用微細凹凸が、沸騰部の内
面における発熱素子に対応する部分への粉末ろう付け、
焼結、粉末溶射または機械加工によって形成されてい
る、請求項7記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項9】 発熱素子が、沸騰部の底部下面に取り付
けられている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の発
熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項10】 沸騰部が、横断面円形または方形の周
壁と、周壁の下端開口を塞いでいる底壁と、周壁の下端
開口を塞いでいる頂壁とを備えている、請求項1〜9の
いずれか1つに記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項11】 凝縮部が、間隔をおいて水平に配され
た上下ヘッダタンクと、下端部が下ヘッダタンクに接続
されかつ上端部が上ヘッダタンクに接続された複数の左
右並列状熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間およ
び左右両端に位置する熱交換管の外側に配置固定された
放熱フィンとを備えている、請求項1〜10のいずれか
1つに記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項12】 凝縮部が、水平に配されたヘッダタン
クと、下端部がヘッダタンクに接続されかつ上端部が閉
鎖された複数の左右並列状熱交換管と、隣り合う熱交換
管どうしの間および左右両端に位置する熱交換管の外側
に配置固定された放熱フィンとを備えている、請求項1
〜10のいずれか1つに記載の発熱素子用沸騰冷却器。 - 【請求項13】 凝縮部が、さらに、複数の熱交換管の
前後いずれか一方の側に直接またはダクトを介して取り
付けられた冷却ファンを備えている、請求項11または
12記載の発熱素子用沸騰冷却器。
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