JP2003194801A - p−アミノフェノール誘導体の検出方法および検出キット - Google Patents
p−アミノフェノール誘導体の検出方法および検出キットInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】操作性に優れかつ安全性の高い薬品を使用して
試料溶液中に含まれているp−アミノフェノール誘導体
を簡便な操作で迅速かつ確実に検出する。 【解決手段】試料中のp−アミノフェノール誘導体を、
酸性条件下で分解させ、生じるp−ヒドロキシアニリン
をフェノール化合物(ただし、クレゾール類を除く)お
よびα−ナフトール化合物からなる群の中から選択され
る発色剤とアルカリ性条件下で反応させて発色させるこ
とにより検出する。
試料溶液中に含まれているp−アミノフェノール誘導体
を簡便な操作で迅速かつ確実に検出する。 【解決手段】試料中のp−アミノフェノール誘導体を、
酸性条件下で分解させ、生じるp−ヒドロキシアニリン
をフェノール化合物(ただし、クレゾール類を除く)お
よびα−ナフトール化合物からなる群の中から選択され
る発色剤とアルカリ性条件下で反応させて発色させるこ
とにより検出する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、p−アミノフェノ
ール誘導体の検出方法および検出キットに関する。
ール誘導体の検出方法および検出キットに関する。
【0002】
【従来の技術】p−アミノフェノール誘導体は、多くの
医薬品およびその原料に使用されているとともに化学工
業原料としても使用されている。これらの大量服用ある
いは暴露によって、通常の解毒機能では対処できないp
−アミノフェノール誘導体が体内に蓄積して、肝細胞に
障害を与え、重篤な肝障害を引き起こして死に至る危険
性があることが知られている。特にp−アミノフェノー
ル誘導体の一種であるアセトアミドフェノール(アセト
アミノフェン)については、その血清中の濃度と肝障害
の危険性には相関関係のあることも知られている。した
がって、血清中のp−アミノフェノール誘導体の濃度を
知ることができれば、その危険性を予知し、治療を施す
ことが可能となる。
医薬品およびその原料に使用されているとともに化学工
業原料としても使用されている。これらの大量服用ある
いは暴露によって、通常の解毒機能では対処できないp
−アミノフェノール誘導体が体内に蓄積して、肝細胞に
障害を与え、重篤な肝障害を引き起こして死に至る危険
性があることが知られている。特にp−アミノフェノー
ル誘導体の一種であるアセトアミドフェノール(アセト
アミノフェン)については、その血清中の濃度と肝障害
の危険性には相関関係のあることも知られている。した
がって、血清中のp−アミノフェノール誘導体の濃度を
知ることができれば、その危険性を予知し、治療を施す
ことが可能となる。
【0003】現在、試料中のp−アミノフェノール誘導
体を検査する方法はいくつか知られている。例えば、分
析機器を用いる方法が知られているが、これは結果が出
るまでに数時間を要するため、緊急時に対処することは
困難である。また、o−クレゾールとアンモニアを使用
するインドフェノール法が知られているが、o−クレゾ
ールは危険物であると同時に、この方法は反応時に不快
な臭いを発するため、安全装置のある施設内での使用に
限られている。また、これらの試薬は揮発性であるた
め、調製後に試薬の濃度が変化する危険性がある。さら
に、気散した薬品が他の検査に悪影響を及ぼしたり、検
査者の健康を害するなど安全性の面でも問題がある。ま
た、アセトアミノフェンの検出キットとして既にSig
ma Diagnostics Acetaminop
hen reagentsがSIGMA社から製品化さ
れているが、インドフェノール法とは異なった発色法で
あるニトロ化法を使用しており、最終生成物が黄色に発
色する。しかしながら、検体が血清等の血液成分である
場合には、もとの試料と発色した生成物との色が類似し
ているために陽性判定が困難であるとともに低濃度の検
出が困難である。このように、これらの方法において
は、迅速性、操作性および安全性の面で不十分である。
よって、緊急を要する医療の現場において、その検査結
果を治療行為に有効に反映させるには、迅速かつ簡便に
検査試料そのものを発色させられる方法が望まれてい
る。
体を検査する方法はいくつか知られている。例えば、分
析機器を用いる方法が知られているが、これは結果が出
るまでに数時間を要するため、緊急時に対処することは
困難である。また、o−クレゾールとアンモニアを使用
するインドフェノール法が知られているが、o−クレゾ
ールは危険物であると同時に、この方法は反応時に不快
な臭いを発するため、安全装置のある施設内での使用に
限られている。また、これらの試薬は揮発性であるた
め、調製後に試薬の濃度が変化する危険性がある。さら
に、気散した薬品が他の検査に悪影響を及ぼしたり、検
査者の健康を害するなど安全性の面でも問題がある。ま
た、アセトアミノフェンの検出キットとして既にSig
ma Diagnostics Acetaminop
hen reagentsがSIGMA社から製品化さ
れているが、インドフェノール法とは異なった発色法で
あるニトロ化法を使用しており、最終生成物が黄色に発
色する。しかしながら、検体が血清等の血液成分である
場合には、もとの試料と発色した生成物との色が類似し
ているために陽性判定が困難であるとともに低濃度の検
出が困難である。このように、これらの方法において
は、迅速性、操作性および安全性の面で不十分である。
よって、緊急を要する医療の現場において、その検査結
果を治療行為に有効に反映させるには、迅速かつ簡便に
検査試料そのものを発色させられる方法が望まれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、操
作性に優れかつ安全性の高い薬品を使用して試料溶液中
に含まれているp−アミノフェノール誘導体を簡便な操
作で迅速かつ確実に検出する方法およびキットを提供す
ることを課題とする。
作性に優れかつ安全性の高い薬品を使用して試料溶液中
に含まれているp−アミノフェノール誘導体を簡便な操
作で迅速かつ確実に検出する方法およびキットを提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、試料中のp−アミノフ
ェノール誘導体を、酸性条件下で分解し、生じるp−ヒ
ドロキシアニリンを特定の発色剤で発色させることによ
り、既存の方法と比較しても迅速にかつ高感度に検出す
ることができることを見出した。本発明はこの知見に基
づく。
を解決すべく鋭意研究した結果、試料中のp−アミノフ
ェノール誘導体を、酸性条件下で分解し、生じるp−ヒ
ドロキシアニリンを特定の発色剤で発色させることによ
り、既存の方法と比較しても迅速にかつ高感度に検出す
ることができることを見出した。本発明はこの知見に基
づく。
【0006】すなわち、本発明によれば、式(I)
【化7】
(ここで、R1は水素、低級アルキル基、または低級ア
ルキル基の結合したカルボニル基を表し、R2は水素、
硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただし、R
1とR2が同時に水素であることはない。)で示される
p−アミノフェノール誘導体の検出方法であって、
(a)試料溶液中のp−アミノフェノール誘導体を分解
して、p−ヒドロキシアニリンを生成させるために試料
溶液を酸性条件下に置く工程、(b)工程(a)からの
溶液に式(II)
ルキル基の結合したカルボニル基を表し、R2は水素、
硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただし、R
1とR2が同時に水素であることはない。)で示される
p−アミノフェノール誘導体の検出方法であって、
(a)試料溶液中のp−アミノフェノール誘導体を分解
して、p−ヒドロキシアニリンを生成させるために試料
溶液を酸性条件下に置く工程、(b)工程(a)からの
溶液に式(II)
【化8】
(ここで、Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、ニ
トロ基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合
したカルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。た
だし、n=1のときXがメチル基であることはない。)
で示されるフェノール化合物、および式(III)
トロ基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合
したカルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。た
だし、n=1のときXがメチル基であることはない。)
で示されるフェノール化合物、および式(III)
【化9】
(ここで、XおよびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン
原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、aは1
〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。)で
示されるα−ナフトール化合物からなる群の中から選択
される発色剤を添加する工程、(c)p−ヒドロキシア
ニリンと発色剤を反応させて発色させるために工程
(b)からの溶液をアルカリ条件下に置く工程、および
(d)発色に基づいて試料溶液中のp−アミノフェノー
ル誘導体を定性的または定量的に検出する工程を含むこ
とを特徴とする検出方法が提供される。
原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、aは1
〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。)で
示されるα−ナフトール化合物からなる群の中から選択
される発色剤を添加する工程、(c)p−ヒドロキシア
ニリンと発色剤を反応させて発色させるために工程
(b)からの溶液をアルカリ条件下に置く工程、および
(d)発色に基づいて試料溶液中のp−アミノフェノー
ル誘導体を定性的または定量的に検出する工程を含むこ
とを特徴とする検出方法が提供される。
【0007】本発明の方法は、試料溶液が生体由来のも
のである場合には、工程(a)の前に、試料溶液に除タ
ンパク剤を添加することによりタンパク質を含む不純物
を分離する工程を含むことができる。
のである場合には、工程(a)の前に、試料溶液に除タ
ンパク剤を添加することによりタンパク質を含む不純物
を分離する工程を含むことができる。
【0008】本発明の方法は、好ましくは工程(a)に
おいて、マイクロウェーブオーブンを用いて試料溶液を
加熱することができる。
おいて、マイクロウェーブオーブンを用いて試料溶液を
加熱することができる。
【0009】本発明の方法は、工程(c)において、室
温(20℃)で固体の無機塩基および式Ra−NH
(3−a)(ここで、aは1〜3の整数を表す)で示さ
れる有機アミン類からなる群の中から選択されるアルカ
リ化剤を添加することにより工程(b)からの溶液をア
ルカリ性にすることが好ましい。
温(20℃)で固体の無機塩基および式Ra−NH
(3−a)(ここで、aは1〜3の整数を表す)で示さ
れる有機アミン類からなる群の中から選択されるアルカ
リ化剤を添加することにより工程(b)からの溶液をア
ルカリ性にすることが好ましい。
【0010】本発明はまた、本発明のp−アミノフェノ
ール誘導体の検出方法において検出対象とされるp−ア
ミノフェノール誘導体の検出キットであって、p−アミ
ノフェノール誘導体を分解させるための無機酸または有
機酸を含む分解試薬、本発明の発色剤を含む発色試薬、
およびアルカリ化剤を含むアルカリ化試薬を備えるキッ
トが提供される。
ール誘導体の検出方法において検出対象とされるp−ア
ミノフェノール誘導体の検出キットであって、p−アミ
ノフェノール誘導体を分解させるための無機酸または有
機酸を含む分解試薬、本発明の発色剤を含む発色試薬、
およびアルカリ化剤を含むアルカリ化試薬を備えるキッ
トが提供される。
【0011】本発明のキットは、さらに除タンパク剤を
含む除タンパク試薬を備えることができる。
含む除タンパク試薬を備えることができる。
【0012】本発明のキットにおいて、アルカリ化剤は
好ましくは室温(20℃)で固体の無機塩基および式R
a−NH(3−a)(ここで、aは1〜3の整数を表
す)で示される有機アミン類からなる群の中から選択さ
れる。
好ましくは室温(20℃)で固体の無機塩基および式R
a−NH(3−a)(ここで、aは1〜3の整数を表
す)で示される有機アミン類からなる群の中から選択さ
れる。
【0013】本発明において、発色剤は2,6−キシレ
ノールであることが好ましい。
ノールであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳しく説明す
る。
る。
【0015】本発明は、試料中に存在するp−アミノフ
ェノール誘導体を、酸性条件下で分解し、生じるp−ヒ
ドロキシアニリンを特定の発色剤とアルカリ性条件下で
反応させて発色させることにより検出するものである。
ェノール誘導体を、酸性条件下で分解し、生じるp−ヒ
ドロキシアニリンを特定の発色剤とアルカリ性条件下で
反応させて発色させることにより検出するものである。
【0016】本発明で検出し得るp−アミノフェノール
誘導体は、式(I)
誘導体は、式(I)
【化10】
で示すことができる。式(I)においてR1は水素、低
級アルキル基、または低級アルキル基の結合したカルボ
ニル基である。低級アルキル基(カルボニル基に結合し
た低級アルキル基も含む)としては直鎖であっても分枝
鎖であってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、
およびブチル基等のC1〜C10の直鎖または分枝鎖の
アルキル基を例示することができる。また、R2は水
素、硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただ
し、R1とR2が同時に水素であることはない。
級アルキル基、または低級アルキル基の結合したカルボ
ニル基である。低級アルキル基(カルボニル基に結合し
た低級アルキル基も含む)としては直鎖であっても分枝
鎖であってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、
およびブチル基等のC1〜C10の直鎖または分枝鎖の
アルキル基を例示することができる。また、R2は水
素、硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただ
し、R1とR2が同時に水素であることはない。
【0017】本発明において用いられる検体試料は、血
液やその成分(血清、血漿等)、胃液等の体内分泌物、
尿等の排泄物、および吐瀉物などの生体由来の試料、並
びに飲料水および河川水などの環境由来の試料を含む。
液やその成分(血清、血漿等)、胃液等の体内分泌物、
尿等の排泄物、および吐瀉物などの生体由来の試料、並
びに飲料水および河川水などの環境由来の試料を含む。
【0018】本発明に係るp−アミノフェノール誘導体
の検出方法においては、試料を酸性条件下に置いて試料
中のp−アミノフェノール誘導体を分解させる分解剤、
p−アミノフェノール誘導体が分解して生じるp−ヒド
ロキシアニリンと反応させる発色剤、および発色反応液
をアルカリ条件下に置くためのアルカリ化剤を用いる。
これらの試薬は好適な溶媒に溶解させた溶液としても使
用することができる。好ましい溶媒は、水、ジメチルス
ルホキシド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノー
ル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランな
どの水に溶解性のある溶媒である。
の検出方法においては、試料を酸性条件下に置いて試料
中のp−アミノフェノール誘導体を分解させる分解剤、
p−アミノフェノール誘導体が分解して生じるp−ヒド
ロキシアニリンと反応させる発色剤、および発色反応液
をアルカリ条件下に置くためのアルカリ化剤を用いる。
これらの試薬は好適な溶媒に溶解させた溶液としても使
用することができる。好ましい溶媒は、水、ジメチルス
ルホキシド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノー
ル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランな
どの水に溶解性のある溶媒である。
【0019】分解剤としては無機酸および/または有機
酸を用いることができる。好ましくは塩酸、硫酸、また
は硝酸を用い、1〜10重量%の濃度で使用することが
望ましい。
酸を用いることができる。好ましくは塩酸、硫酸、また
は硝酸を用い、1〜10重量%の濃度で使用することが
望ましい。
【0020】発色剤には、式(II)
【化11】
で示されるフェノール化合物が含まれる。式(II)にお
いて、Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、ニトロ
基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合した
カルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。ただ
し、n=1のときXがメチル基であることはない。低級
アルキル基(カルボニル基に結合した低級アルキル基も
含む)としては直鎖であっても分枝鎖であってもよく、
メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基等の
C1〜C10の直鎖または分枝鎖のアルキル基を例示す
ることができる。また、発色剤には式(III)
いて、Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、ニトロ
基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合した
カルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。ただ
し、n=1のときXがメチル基であることはない。低級
アルキル基(カルボニル基に結合した低級アルキル基も
含む)としては直鎖であっても分枝鎖であってもよく、
メチル基、エチル基、プロピル基、およびブチル基等の
C1〜C10の直鎖または分枝鎖のアルキル基を例示す
ることができる。また、発色剤には式(III)
【化12】
で示されるα−ナフトール化合物も含まれる。式(II
I)において、XおよびYはそれぞれ独立に水素、ハロ
ゲン原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、a
は1〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。
低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル
基、およびブチル基等のC1〜C10の直鎖または分枝
鎖のアルキル基を例示することができる。発色剤として
は、好ましくは悪臭が無く、危険物に指定されていない
2,6−キシレノールを用いる。これらの発色剤は、試
料1mlあたり0.1mg〜50mgの範囲で使用され
ることが好ましい。p−アミノフェノールはこれら発色
剤と反応してインドフェノール類(青色)を生成する。
I)において、XおよびYはそれぞれ独立に水素、ハロ
ゲン原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、a
は1〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。
低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル
基、およびブチル基等のC1〜C10の直鎖または分枝
鎖のアルキル基を例示することができる。発色剤として
は、好ましくは悪臭が無く、危険物に指定されていない
2,6−キシレノールを用いる。これらの発色剤は、試
料1mlあたり0.1mg〜50mgの範囲で使用され
ることが好ましい。p−アミノフェノールはこれら発色
剤と反応してインドフェノール類(青色)を生成する。
【0021】アルカリ化剤としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの室温(20
℃)で固体の無機塩基、または式Ra−NH(3−a)
(ここで、aは1〜3の整数を表す)で示される有機ア
ミン類を使用し、好ましくは1M水酸化ナトリウム水溶
液を用いる。
ム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどの室温(20
℃)で固体の無機塩基、または式Ra−NH(3−a)
(ここで、aは1〜3の整数を表す)で示される有機ア
ミン類を使用し、好ましくは1M水酸化ナトリウム水溶
液を用いる。
【0022】また、検体試料が生体由来のものである場
合には、前述した試薬に加えてさらに、試料中のタンパ
ク質を予め分離・除去するための除タンパク剤を用い
る。除タンパク剤には、メタノール、エタノール、アセ
トニトリル、アセトン、およびジメチルスルホキシドの
ような有機溶剤、塩酸、硫酸、過塩素酸、タングステン
酸、メタリン酸、およびモリブデン酸のような無機酸、
スルホサリチル酸、トリクロロ酢酸、およびピクリン酸
のような有機酸、並びに硫酸アンモニウム、スルホン酸
銅、タングステン酸ナトリウム、および水酸化亜鉛など
の塩類が含まれ、好ましくはトリクロロ酢酸を用いる。
これらの除タンパク剤は、好適な溶媒に溶解させた溶液
としても使用することができ、1〜10重量%の濃度で
使用することが好ましい。好ましい溶媒は、水、ジメチ
ルスルホキシド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、
メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノ
ール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン
などの水に溶解性のある溶媒である。
合には、前述した試薬に加えてさらに、試料中のタンパ
ク質を予め分離・除去するための除タンパク剤を用い
る。除タンパク剤には、メタノール、エタノール、アセ
トニトリル、アセトン、およびジメチルスルホキシドの
ような有機溶剤、塩酸、硫酸、過塩素酸、タングステン
酸、メタリン酸、およびモリブデン酸のような無機酸、
スルホサリチル酸、トリクロロ酢酸、およびピクリン酸
のような有機酸、並びに硫酸アンモニウム、スルホン酸
銅、タングステン酸ナトリウム、および水酸化亜鉛など
の塩類が含まれ、好ましくはトリクロロ酢酸を用いる。
これらの除タンパク剤は、好適な溶媒に溶解させた溶液
としても使用することができ、1〜10重量%の濃度で
使用することが好ましい。好ましい溶媒は、水、ジメチ
ルスルホキシド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、
メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノ
ール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン
などの水に溶解性のある溶媒である。
【0023】より具体的には、本発明に係る検出方法
は、次のように行うことができる。まず、検体試料が生
体由来のものである場合には、ガラスおよびポリプロピ
レンなどの試験管に検体試料を入れ、除タンパク剤を加
えて充分に撹拌し、好ましくは遠心分離器を用いて
(3,000rpm,5分間)タンパク質などの不純物
を除去する。不純物を分離後、上清を別の試験管に移
し、これを検査試料として用いる。試料溶液に分解剤を
添加して溶液を酸性にし、p−アミノフェノール誘導体
を分解させる。反応は室温から100℃の温度で5〜3
0分間で行うことができ、100℃で20分間加熱する
ことが好ましい。反応時間を短縮するためにはマイクロ
ウェーブオーブンを用いて加熱することが好ましい。こ
の場合出力350〜500Wにて30秒〜2分間加熱す
ることで充分である。マイクロウェーブオーブンに関し
ては、市販の電子レンジで代用することも可能である。
放冷後、発色剤とアルカリ化剤を順次加えて撹拌する。
このとき得られる反応溶液はpH8〜14であることが
好ましく、pH10以上であることがより好ましい。反
応は室温から100℃の温度で行うことができるが、室
温でも十分に反応は進行するため、室温で行うことが望
ましい。この反応後、発色に基づいて試料中のp−アミ
ノフェノール誘導体を定性的または定量的に検出する。
p−アミノフェノール誘導体の存在の有無は目視による
着色(青色)の有無で判定できる(定性的検出)。p−
アミノフェノール誘導体を定量的に検出するためには、
分光光度計を用いて波長600〜620nmにおける吸
光度を測定し、あらかじめ作成した検量線と比較するこ
とによって濃度を決定する。また、色彩表を用いた目視
検査により判定することもできる。
は、次のように行うことができる。まず、検体試料が生
体由来のものである場合には、ガラスおよびポリプロピ
レンなどの試験管に検体試料を入れ、除タンパク剤を加
えて充分に撹拌し、好ましくは遠心分離器を用いて
(3,000rpm,5分間)タンパク質などの不純物
を除去する。不純物を分離後、上清を別の試験管に移
し、これを検査試料として用いる。試料溶液に分解剤を
添加して溶液を酸性にし、p−アミノフェノール誘導体
を分解させる。反応は室温から100℃の温度で5〜3
0分間で行うことができ、100℃で20分間加熱する
ことが好ましい。反応時間を短縮するためにはマイクロ
ウェーブオーブンを用いて加熱することが好ましい。こ
の場合出力350〜500Wにて30秒〜2分間加熱す
ることで充分である。マイクロウェーブオーブンに関し
ては、市販の電子レンジで代用することも可能である。
放冷後、発色剤とアルカリ化剤を順次加えて撹拌する。
このとき得られる反応溶液はpH8〜14であることが
好ましく、pH10以上であることがより好ましい。反
応は室温から100℃の温度で行うことができるが、室
温でも十分に反応は進行するため、室温で行うことが望
ましい。この反応後、発色に基づいて試料中のp−アミ
ノフェノール誘導体を定性的または定量的に検出する。
p−アミノフェノール誘導体の存在の有無は目視による
着色(青色)の有無で判定できる(定性的検出)。p−
アミノフェノール誘導体を定量的に検出するためには、
分光光度計を用いて波長600〜620nmにおける吸
光度を測定し、あらかじめ作成した検量線と比較するこ
とによって濃度を決定する。また、色彩表を用いた目視
検査により判定することもできる。
【0024】本発明に係るp−アミノフェノール誘導体
の検出キットには、上述した検出方法において用いられ
る各試薬が備えられる。各試薬は、通常、個別にパッケ
ージされている。
の検出キットには、上述した検出方法において用いられ
る各試薬が備えられる。各試薬は、通常、個別にパッケ
ージされている。
【0025】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。
明はこれに限定されるものではない。
【0026】実施例1
血清0.5mlに5重量%のトリクロロ酢酸0.5ml
を加えて良く撹拌した。この混合液を3,000rpm
で5分間遠心分離した。得られた上清0.65mlをネ
ジ口付の試験管に移し、塩酸20μlを加えて蓋をし
た。試験管を100℃で20分間加温した(あるいは、
350W出力のマイクロウェーブオーブンで2分間、マ
イクロウェーブを照射した)。放冷後、1重量%の2,
6−キシレノール0.5mlと1M水酸化ナトリウム水
溶液0.5mlを加えて撹拌した。5分後に分光光度計
を使用して620nmでの吸収を測定した。種々の濃度
のp−アミノフェノール誘導体を含む血清試料について
同検査を行った結果を表1に示す。
を加えて良く撹拌した。この混合液を3,000rpm
で5分間遠心分離した。得られた上清0.65mlをネ
ジ口付の試験管に移し、塩酸20μlを加えて蓋をし
た。試験管を100℃で20分間加温した(あるいは、
350W出力のマイクロウェーブオーブンで2分間、マ
イクロウェーブを照射した)。放冷後、1重量%の2,
6−キシレノール0.5mlと1M水酸化ナトリウム水
溶液0.5mlを加えて撹拌した。5分後に分光光度計
を使用して620nmでの吸収を測定した。種々の濃度
のp−アミノフェノール誘導体を含む血清試料について
同検査を行った結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】本方法での血清中p−アミノフェノール誘
導体の検出下限は10μg/mlであり、200μg/
mlまで定量性が確認された。また、この方法によれ
ば、肝障害の治療域(10〜20μg/ml)において
も十分に目視的に着色を確認することができた。よっ
て、本方法は、救急の場において利用可能であるといえ
る。
導体の検出下限は10μg/mlであり、200μg/
mlまで定量性が確認された。また、この方法によれ
ば、肝障害の治療域(10〜20μg/ml)において
も十分に目視的に着色を確認することができた。よっ
て、本方法は、救急の場において利用可能であるといえ
る。
【0029】実施例2
p−アセトアミドフェノールを大量に服用して急性中毒
を起こした患者より得られた血清を使用して、実施例1
と同じ方法で試料を調製し、吸光度を測定した。測定値
をあらかじめ作成しておいた検量線と比較することによ
って血清中のp−アミノフェノール誘導体の濃度を決定
した。なお、定量精度を高めるために、比較対照とし
て、事前にp−アセトアミドフェノールが200μg/
mlの濃度となるように調製した血清試料も同時に検査
し、その吸収度を基に検量線を補正した。この補正した
検量線に基づいて、患者由来の血清中のp−アセトアミ
ドフェノールの濃度は13.0μg/mlと決定され
た。なお本発明の方法ではp−アセトアミドフェノール
とその代謝物を含めてそれらの濃度が測定される。参考
として、p−アミノフェノール誘導体自体の濃度のみが
測定される機器分析法により同じ試料を測定したとこ
ろ、9.6μg/mlであった。本発明の方法は簡便で
精度の高い検査法であることが確認された。
を起こした患者より得られた血清を使用して、実施例1
と同じ方法で試料を調製し、吸光度を測定した。測定値
をあらかじめ作成しておいた検量線と比較することによ
って血清中のp−アミノフェノール誘導体の濃度を決定
した。なお、定量精度を高めるために、比較対照とし
て、事前にp−アセトアミドフェノールが200μg/
mlの濃度となるように調製した血清試料も同時に検査
し、その吸収度を基に検量線を補正した。この補正した
検量線に基づいて、患者由来の血清中のp−アセトアミ
ドフェノールの濃度は13.0μg/mlと決定され
た。なお本発明の方法ではp−アセトアミドフェノール
とその代謝物を含めてそれらの濃度が測定される。参考
として、p−アミノフェノール誘導体自体の濃度のみが
測定される機器分析法により同じ試料を測定したとこ
ろ、9.6μg/mlであった。本発明の方法は簡便で
精度の高い検査法であることが確認された。
【0030】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
操作性に優れかつ安全性の高い薬品を使用して試料溶液
中に含まれているp−アミノフェノール誘導体を簡便な
操作で、迅速かつ確実に検出することができる。
操作性に優れかつ安全性の高い薬品を使用して試料溶液
中に含まれているp−アミノフェノール誘導体を簡便な
操作で、迅速かつ確実に検出することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 西田 まなみ
広島県広島市安芸区矢野南3丁目30番9号
Fターム(参考) 2G042 AA01 BD05 BD20 CB03 DA08
EA20 FA11 FB02
2G054 AA02 AA07 AB10 BA10 BB02
CA30 CE01 EA06 GB04
Claims (9)
- 【請求項1】 式(I) 【化1】 (ここで、R1は水素、低級アルキル基、または低級ア
ルキル基の結合したカルボニル基を表し、R2は水素、
硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただし、R
1とR2が同時に水素であることはない。)で示される
p−アミノフェノール誘導体の検出方法であって、 (a)試料溶液中のp−アミノフェノール誘導体を分解
してp−ヒドロキシアニリンを生成させるために試料溶
液を酸性条件下に置く工程、 (b)前記工程(a)からの溶液に式(II) 【化2】 (ここで、Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、ニ
トロ基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合
したカルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。た
だし、n=1のときXがメチル基であることはない。)
で示されるフェノール化合物、および式(III) 【化3】 (ここで、XおよびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン
原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、aは1
〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。)で
示されるα−ナフトール化合物からなる群の中から選択
される発色剤を添加する工程、 (c)前記p−ヒドロキシアニリンと発色剤を反応させ
て発色させるために前記工程(b)からの溶液をアルカ
リ条件下に置く工程、および (d)前記発色に基づいて前記試料溶液中のp−アミノ
フェノール誘導体を定性的または定量的に検出する工程
を含むことを特徴とする検出方法。 - 【請求項2】 前記試料溶液が生体由来のものであり、
前記工程(a)の前に、該試料溶液に除タンパク剤を添
加することによりタンパク質を含む不純物を分離する工
程を含む請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 前記工程(a)において、マイクロウェ
ーブオーブンを用いて前記反応溶液を加熱することを特
徴とする請求項1または2記載の方法。 - 【請求項4】 前記工程(c)において、室温(20
℃)で固体の無機塩基および式Ra−NH
(3−a)(ここで、aは1〜3の整数を表す)で示さ
れる有機アミン類からなる群の中から選択されるアルカ
リ化剤を添加することにより前記工程(b)からの溶液
をアルカリ性にすることを特徴とする請求項1ないし3
のいずれか1項記載の方法。 - 【請求項5】 前記発色剤が2,6−キシレノールであ
る請求項1ないし4のいずれか1項記載の方法。 - 【請求項6】 式(I) 【化4】 (ここで、R1は水素、低級アルキル基、または低級ア
ルキル基の結合したカルボニル基を表し、R2は水素、
硫酸残基、またはグルクロン酸残基を表す。ただし、R
1とR2が同時に水素であることはない。)で示される
p−アミノフェノール誘導体の検出キットであって、 前記p−アミノフェノール誘導体を分解させるための無
機酸または有機酸を含む分解試薬、 式(II) 【化5】 (ここで、Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、ニ
トロ基、低級アルキル基、または低級アルキル基の結合
したカルボニル基であり、nは1〜4の整数を表す。た
だし、n=1のときXがメチル基であることはない。)
で示されるフェノール化合物、および式(III) 【化6】 (ここで、XおよびYはそれぞれ独立に水素、ハロゲン
原子、ニトロ基、または低級アルキル基であり、aは1
〜3の整数を、bは1〜4の整数をそれぞれ表す。)で
示されるα−ナフトール化合物からなる群の中から選ば
れる発色剤を含む発色試薬、およびアルカリ化剤を含む
アルカリ化試薬を備えるキット。 - 【請求項7】 前記キットがさらに除タンパク剤を含む
除タンパク試薬を備える請求項6記載のキット。 - 【請求項8】 前記アルカリ化剤が室温(20℃)で固
体の無機塩基および式Ra−NH(3−a)(ここで、
aは1〜3の整数を表す)で示される有機アミン類から
なる群の中から選択されることを特徴とする請求項6ま
たは7記載のキット。 - 【請求項9】 前記発色剤が2,6−キシレノールであ
る請求項6ないし8のいずれか1項記載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001395178A JP3658621B2 (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | p−アミノフェノール誘導体の検出方法および検出キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001395178A JP3658621B2 (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | p−アミノフェノール誘導体の検出方法および検出キット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003194801A true JP2003194801A (ja) | 2003-07-09 |
JP3658621B2 JP3658621B2 (ja) | 2005-06-08 |
Family
ID=27601673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001395178A Expired - Lifetime JP3658621B2 (ja) | 2001-12-26 | 2001-12-26 | p−アミノフェノール誘導体の検出方法および検出キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3658621B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019182008A1 (ja) * | 2018-03-21 | 2019-09-26 | 池田食研株式会社 | 2-アミノフェノール類の測定方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
BRPI0911578B8 (pt) | 2008-04-28 | 2021-07-27 | Genzyme Corp | método e conjunto para determinação da concentração de acetaminofeno em uma amostra |
-
2001
- 2001-12-26 JP JP2001395178A patent/JP3658621B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019182008A1 (ja) * | 2018-03-21 | 2019-09-26 | 池田食研株式会社 | 2-アミノフェノール類の測定方法 |
JPWO2019182008A1 (ja) * | 2018-03-21 | 2021-03-11 | 池田食研株式会社 | 2−アミノフェノール類の測定方法 |
JP7330516B2 (ja) | 2018-03-21 | 2023-08-22 | 池田食研株式会社 | 2-アミノフェノール類の測定方法 |
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---|---|
JP3658621B2 (ja) | 2005-06-08 |
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