JP2003192886A - 熱硬化型水性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化型水性樹脂組成物

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JP2003192886A
JP2003192886A JP2001393862A JP2001393862A JP2003192886A JP 2003192886 A JP2003192886 A JP 2003192886A JP 2001393862 A JP2001393862 A JP 2001393862A JP 2001393862 A JP2001393862 A JP 2001393862A JP 2003192886 A JP2003192886 A JP 2003192886A
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aqueous
acid
resin
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Nobuyoshi Shirai
伸佳 白井
Shigeki Matsui
茂樹 松井
Goro Iwamura
悟郎 岩村
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性、機械的物性に優れ、揮発性有機
溶剤を含まない熱硬化型水性樹脂組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 アルキル基および/またはアルケニル基
とカルボキシル基、および/または、アルキル基および
/またはアルケニル基とカルボキシル基と水酸基とを含
有するポリエステル樹脂(A)のカルボキシル基の一部
乃至全部を塩基性化合物で中和してなるポリエステル樹
脂を水性媒体中に粒子状で分散させて得られる分散体
(I)と、カルボキシル基および/または水酸基と反応
する水性化が可能な硬化剤(B)とからなる熱硬化型水
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料、インキ、ト
ナ−、接着剤、シ−リング剤、制振材料、成形材料など
に使用することができる熱硬化型水性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塗料等の技術分野においては環境保護の
観点より、塗料組成物に含まれ塗装後に塗膜から大気中
へ排出される揮発性有機溶剤(以下「VOC」とい
う。)の量を削減し、又は全廃することが求められてき
た。かかる要請に対応する方法としては、塗料組成物中
の樹脂を水に可溶な形にすることによりVOCを低減す
る、いわゆる樹脂の水溶性化の技術や、樹脂を界面活性
剤等を使用して水中に粒子として分散させるエマルジョ
ン化の技術が開発されてきた。
【0003】しかし、前者の水溶性化技術においては、
樹脂を水に可溶化させるために樹脂骨格中に親水基を導
入するので、得られた硬化物の耐水性が劣るという問題
があり、また塗料として使用する場合には、良好な造膜
性を得るために水溶性有機溶剤を併用しなければなら
ず、完全にVOCをなくすことは困難であった。さらに
樹脂水溶液の粘度の上昇を抑制して作業性を保持し、同
時に固形分濃度を高く保つためには樹脂の分子量を下げ
ざるを得ず、結果的に硬化物の機械的物性は劣るものと
なっていた。
【0004】一方、後者のエマルジョン化の技術におい
ては、スチレンやアクリル酸エステル等のモノマ−を使
用する重合系エマルジョンの場合、樹脂の分子量を高く
することができるが、界面活性剤を使用するために塗膜
の耐水性が劣るという問題がある。また、該技術におい
ては、分子量の高いポリエステル樹脂を水中に分散させ
ることは困難である。
【0005】ポリエステル樹脂は分子構造に由来する靭
性、可撓性等に優れており、単独であるいは硬化剤と組
み合わせ、主に有機溶剤を使用する形で広く実用に供せ
られている。しかしながら、上記技術をもってしても、
機械物性と耐水性に優れるポリエステル樹脂を主成分と
し、かつVOCや界面活性剤を含まない熱硬化型水性樹
脂組成物は得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、耐水
性、機械的物性に優れ、VOCや界面活性剤を含まな
い、ポリエステル樹脂からなる熱硬化型水性樹脂組成物
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術の課題を解消するべく鋭意検討した結果、アルキル基
および/またはアルケニル基とカルボキシル基、および
/または、アルキル基および/またはアルケニル基とカ
ルボキシル基と水酸基とを含有するポリエステル樹脂の
カルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和し
てなるポリエステル樹脂は、水性媒体中に界面活性剤を
使用せずとも粒子状で安定的に分散できること、また該
ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基および/また
は水酸基と反応する水性化が可能な硬化剤とを反応させ
ることにより、耐水性および機械的物性に優れる硬化物
が得られることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、アルキル基および/
またはアルケニル基とカルボキシル基、および/また
は、アルキル基および/またはアルケニル基とカルボキ
シル基と水酸基とを含有するポリエステル樹脂(A)の
カルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和し
てなるポリエステル樹脂を、水性媒体中に粒子状で分散
させて得られる分散体(I)と、カルボキシル基および
/または水酸基と反応する水性化が可能な硬化剤(B)
とからなることを特徴とする、熱硬化型水性樹脂組成物
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明で使用するアルキル基および/またはアル
ケニル基とカルボキシル基、および/または、アルキル
基および/またはアルケニル基とカルボキシル基と水酸
基とを含有するポリエステル樹脂(A)は、例えば、 アルキル基やアルケニル基を有する二塩基酸やその無
水物と、二価のアルコールを必須として、必要に応じ
て、その他の二塩基酸やその無水物、三官能以上の多塩
基酸やその無水物、一塩基酸、三官能以上の多価アルコ
ール、一価のアルコール等を混合し、窒素雰囲気中で加
熱下に酸価と水酸基価を測定しながら脱水縮合する方
法、 二塩基酸やその無水物と二価のアルコールとを必須と
して調製した、末端に水酸基を有するカルボキシル基含
有ポリエステル樹脂(主鎖中にカルボキシル基や水酸基
を有していても良い)を加熱溶解し、そこにアルキル基
やアルケニル基を有する酸無水物を投入し、ポリエステ
ル樹脂の末端水酸基に開環付加させる方法、 二塩基酸やその無水物と二価のアルコールとを必須の
成分として調製した、末端にカルボキシル基を有するポ
リエステル樹脂(主鎖中にカルボキシル基や水酸基を含
有していても良い)を加熱溶融し、そこにアルキル基や
アルケニル基を有する脂肪族モノエポキシ化合物を投入
し、ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の一部に開
環付加させる方法、 等の製造方法により調製できる。
【0010】前記した調製方法で使用される装置として
は、窒素導入口、温度計、攪拌装置、精留塔等を備えた
反応容器等の回分式の製造装置が好適に使用できるほ
か、脱気口を備えた押出機や連続式の反応装置、混練機
等も使用できる。また、前記脱水縮合の際、必要に応じ
て反応系を減圧することによって、エステル化反応を促
進することもできる。さらに、エステル化反応の促進の
ために、種々の触媒を添加することもできる。
【0011】ポリエステル樹脂(A)の有するアルキル
基、アルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、イソノニル基、ド
デシル基、ドデセニル基等が挙げられる。
【0012】前記調製方法で使用する、アルキル基や
アルケニル基を有する二塩基酸としては、例えば、n−
ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクチル
無水コハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニル
コハク酸等が挙げられる。
【0013】二価のアルコールとしては、例えば、エチ
レングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,
4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,
6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロ
ピレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ネオペン
チルグリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類;ビスフェノ−ル
A、ビスフェノ−ルF等のビスフェノ−ル類;ビスフェ
ノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ル
Aのプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノ−ルA
アルキレンオキサイド付加物;キシリレンジグリコ−
ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、水添ビスフェノ−ル
A等のアラルキレングリコ−ルまたは脂環式のジオ−ル
類等が挙げられる。
【0014】その他の二塩基酸やその無水物としては、
例えば、マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸、修酸、
マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
チン酸、デカン−1,10−ジカルボン酸等の脂肪族二
塩基酸;フタル酸、テトラヒドロフタル酸およびその無
水物、ヘキサヒドロフタル酸およびその無水物、テトラ
ブロムフタル酸およびその無水物、テトラクロルフタル
酸およびその無水物、ヘット酸およびその無水物、ハイ
ミック酸およびその無水物、イソフタル酸、テレフタル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸等の芳香族又は脂環式の二塩基酸等が挙げ
られる。
【0015】三官能以上の多塩基酸やその無水物として
は、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メ
チルシクロヘキセントリカルボン酸、メチルシクロヘキ
セントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸、無水ピロ
メリット酸等が挙げられる。
【0016】一塩基酸としては、例えば、安息香酸、p
−tert−ブチル安息香酸等が挙げられる。
【0017】三官能以上の多価アルコールとしては、例
えば、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ
−ルプロパン、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサ
ンテトロ−ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリト
−ル、ジペンタエリスリト−ル、2−メチルプロパント
リオ−ル、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト等が挙げ
られる。
【0018】また、三官能以上の多価アルコールとし
て、下記に示すようなポリエポキシ化合物も挙げられ
る。例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオ−ル、
ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ト
リメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル、ソルビトール、水添ビスフェノールA等の種々の脂
肪族ないしは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテ
ル類;
【0019】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノール
F等の種々のフェノ−ル性水酸基の2個を含有する化合
物のポリグリシジルエーテル類;前記したフェノ−ル性
水酸基の2個を含有する化合物のエチレンオキシドもし
くはプロピレンオキシド付加体等の誘導体のジグリシジ
ルエーテル類;
【0020】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール等の、各種
のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル
類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト
のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタンテト
ラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル酸、テ
レフタル酸、トリメリット酸等の種々の脂肪族ないしは
芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル類;
【0021】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネン、
ビニルシクロヘキセン等の各種の炭化水素系ジエンのビ
スエポキシド類;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシ
レート等の種々の脂環式ポリエポキシ化合物;ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン等の種々のジエンポリマーのエ
ポキシ化物;などが挙げられる。
【0022】一価のアルコールとしては、例えば、ステ
アリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0023】前記製造方法で使用する、アルキル基や
アルケニル基を有する酸無水物としては、例えば、n−
ブチル無水コハク酸、n−ペンチル無水コハク酸、ネオ
ペンチル無水コハク酸、n−ヘキシル無水コハク酸、n
−ヘプチル無水コハク酸、n−オクチル無水コハク酸、
イソオクチル無水コハク酸、2−エチルヘキシル無水コ
ハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデシル無水コハ
ク酸、イソドデシル無水コハク酸、n−ドデセニルコハ
ク酸、n−ドデセニル無水コハク酸、イソドデセニル無
水コハク酸、6−ブチル−1,2,4−ベンゼントリカ
ルボン酸無水物、6−n−オクチル−1,2,4−ベン
ゼントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0024】前記製造方法で使用する、アルキル基や
アルケニル基を有するモノエポキシ化合物としては、例
えば、ヒマシ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、
桐油脂肪酸等、各種の飽和あるいは不飽和の脂肪酸のモ
ノグリシジルエステルや、イソノナン酸、バ−サチック
酸等の分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル等が挙げら
れる。前記した分岐脂肪酸のモノグリシジルエステルの
市販品としては、カージュラE10(シェルケミカル社
製)等が挙げられる。
【0025】前記した、二塩基酸やその無水物、三官能
以上の多塩基酸やその無水物、一塩基酸は、それぞれ単
独で使用してもよいし、2種以上のものを併用してもよ
い。また、カルボキシル基の一部または全部がアルキル
エステル、アルケニルエステル又はアリ−ルエステルと
なっているものも使用できる。
【0026】前記した、二価のアルコール、三価以上の
多価アルコール、一価のアルコールは、単独で使用して
もよいし2種以上のものを併用することもできる。
【0027】また、例えば、ジメチロ−ルプロピオン
酸、ジメチロ−ルブタン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸
等の、1分子中に水酸基とカルボキシル基を併有する化
合物あるいはそれらの反応性誘導体も使用できる。
【0028】ポリエステル樹脂(A)は、アルキル基お
よび/またはアルケニル基とカルボキシル基、および/
または、アルキル基および/またはアルケニル基とカル
ボキシル基と水酸基とを含有するポリエステル樹脂であ
れば良いが、なかでも、前記調製方法で得られる、末
端に水酸基を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹
脂の末端水酸基にアルキル基またはアルケニル基を有す
る酸無水物を開環付加させて生成する末端構造を有する
ポリエステル樹脂(A2)や、調製方法で得られる、
末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂の末端
カルボキシル基にアルキル基またはアルケニル基を有す
る脂肪族モノエポキシ化合物を開環付加させて生成する
末端構造を有するポリエステル樹脂(A3)であること
が、樹脂を粒子状で水性媒体中に分散させた際に樹脂粒
子が安定に分散できることから好ましい。この際使用す
る末端に水酸基を有するポリエステル樹脂や末端にカル
ボキシル基を有するポリエステル樹脂は、既にアルキル
基やアルケニル基を含有していても良いし、含有してい
なくても良い。
【0029】ポリエステル樹脂(A)は、ポリエステル
樹脂(A2)の有する末端構造やポリエステル樹脂(A
3)の有する末端構造を、それぞれ単独でポリエステル
樹脂1分子中に含んでいても良いし、これらの末端構造
を両方有していてもよい。
【0030】ポリエステル樹脂(A)は、なかでも、調
製方法で得られる一般式(1)で表される末端構造
や、調製方法で得られる一般式(2)または(3)で
表される末端構造を有するポリエステル樹脂であれば特
に好ましい。
【化2】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、炭
素原子数4〜20のアルキル基又は炭素原子数4〜20
のアルケニル基を表すが、両方ともに水素原子であるこ
とはない。また、R3 は炭素原子数が4〜20のアルキ
ル基又は炭素原子数が4〜20のアルケニル基を表し、
4 は炭素原子数4〜20のアルキル基又は炭素原子数
4〜20のアルケニル基を表す。)
【0031】前記一般式(1)、(2)及び(3)中の
1〜R4が示している炭素原子数4〜20のアルキル基
や炭素原子数4〜20のアルケニル基は、直鎖状でも分
岐状でも良く、例えば、ブチル基、イソブチル基、ペン
チル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オ
クチル基、イソオクチル基、ドデシル基、ドデセニル基
等が挙げられる。
【0032】次に、ポリエステル樹脂(A)の性状につ
いて説明する。ポリエステル樹脂(A)は、硬化物の機
械的物性、耐水性を良好とするためには、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)法による重量平
均分子量が、5,000〜500,000の範囲にある
ことが好ましく。なかでも、10,000〜100,0
00の範囲がより好ましい。
【0033】ポリエステル樹脂(A)は、該樹脂中のカ
ルボキシル基の一部乃至全部が塩基性化合物により中和
されていることにより、着色樹脂の微細な粒子化が容易
で、かつ、粒子が水性媒体中で安定に存在すること、未
中和のカルボキシル基と後述する硬化剤(B)との反応
による構造が硬化物に良好な機械的物性を与えることか
ら、ポリエステル樹脂(A)は、カルボキシル基を有し
ていることが必須である。かかるポリエステル樹脂
(A)の酸価は、5〜200mgKOH/gの範囲にあ
ることが好ましく、5〜70mgKOH/gの範囲であ
ることがより好ましい。
【0034】カルボキシル基の一部乃至全部の中和に用
いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、それ
らの炭酸塩、それらの酢酸塩;アンモニア水;メチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキル
アミン類、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミ
ン類等を使用することができる。これらは、単独でも2
種以上でも構わない。なかでもアンモニア水が好まし
い。
【0035】本発明において、ポリエステル樹脂(A)
の含有するカルボキシル基の一部乃至全部を中和したポ
リエステル樹脂と、後述するカルボキシル基および/ま
たは水酸基と反応する水性化が可能な硬化剤(B)との
反応による架橋構造形成により機械的物性に優れる硬化
物が得られる。
【0036】塩基性化合物の使用量は、ポリエステル樹
脂(A)を水性媒体中に安定に分散させるような量であ
れば良く制限は無いが、ポリエステル樹脂(A)中のカ
ルボキシル基に対して、0.2〜3.0倍当量が好まし
く、更に、0.5〜2.0倍当量がより好ましい。
【0037】また、水酸基についても、水酸基と後述す
る硬化剤(B)との反応による構造が硬化物に機械的物
性を与えることから、ポリエステル樹脂(A)の水酸基
価は、5〜300mgKOH/gの範囲にあることが好
ましく、5〜100mgKOH/gの範囲であることが
より好ましい。
【0038】次に本発明に係る分散体(I)の調製方法
について説明する。分散体(I)の好ましい調製方法と
しては、例えば、 工程(1) ポリエステル樹脂(A)と、その他必要に
応じて、他の樹脂成分や、保水剤、分散助剤などの添加
剤等を加圧ニーダー、加熱3本ロール、2軸押出混練機
などを用いて溶融混練した樹脂溶融体とする工程、 工程(2) 塩基性化合物を含有し、かつ、ポリエステ
ル樹脂(A)の溶融温度以上の温度に加熱した水性媒体
中に、必要により加圧下で、該樹脂溶融体を溶融状態で
機械的手段により分散させる工程、 工程(4) その後、好ましくは直ちに急速冷却を行う
工程、 という工程からなる調製方法等が挙げられる。
【0039】前記の調製方法では、ポリエステル樹脂
(A)中のカルボキシル基の中和を、塩基性化合物を含
有した水性媒体と混合することにより行っているが、該
カルボキシル基の中和は、この方法に限定されるもので
はなく、例えば、カルボキシル基の塩基性化合物による
中和を行った後、樹脂溶融体を水性媒体中に機械的手段
で分散させる方法や、樹脂溶融体を水性媒体中に機械的
手段で分散させたのち、攪拌下で塩基性化合物を加えて
中和する方法であっても良い。
【0040】水性媒体は、加熱時に必要に応じて加圧し
てもよい。樹脂溶融体の溶融温度が低い場合は、必ずし
も加圧は必要ないが、溶融温度が100℃以上の場合に
は、水性媒体が沸騰しないように加圧する必要がある。
【0041】前記工程2の樹脂溶融体を水性媒体中に機
械的手段により微分散させるための装置としては、特に
限定されるものではないが、代表的な市販品を例示する
と、マントンゴ−リン高圧ホモジナイザ−(ゴ−リン
社)、連続式超音波ホモジナイザ−(日本精機株式会
社)、ナノマイザ−(ナノマイザ−社)、マイクロフル
イダイザ−(みずほ工業株式会社)、ハレル型ホモジナ
イザ−、スラッシャ(三井鉱山株式会社)、キャビトロ
ン(株式会社ユ−ロテック)などがあり、なかでも回転
型連続分散装置であるキャビトロンが好ましい。
【0042】上記回転型連続分散装置キャビトロンは、
スリットを有するリング状の突起を備えた固定子と、ス
リットを有するリング状の突起を備えた回転子とが、間
隔を保って相互に咬み合うように同軸上に設けられた構
造を有する回転型連続分散装置であり、これを用いた分
散方法は、この分散装置の固定子と回転子の中心部分
に、樹脂溶融体と塩基性化合物を含有する水性媒体とを
供給し、回転子を回転させながら該スリットと該間隔と
を通して中心部分から外周の方向に流動させることによ
り、塩基性化合物を含有する水性媒体中に樹脂溶融体を
粒子状で分散させる方法である。
【0043】以下、図面により上記のような回転型連続
式分散装置を用いた本発明にかかる製造方法について詳
しく説明する。
【0044】図1は本発明に用いられる回転型連続式分
散装置の固定子の一例を示す斜視図、図2は本発明に用
いられる回転型連続式分散装置の回転子の一例を示す斜
視図、図3は本発明に用いる回転型連続式分散装置の要
部の一例を表した断面図、図4は図3のA−A’断面を
側面から見たときの固定子突起と回転子突起の組み合わ
せ状態を表した図である。
【0045】図1〜図4に示すように、回転型連続式分
散装置の固定子1は、中心に設置され、その中心に液入
口2を備えている。固定子1の円形状の面上には、固定
子1と同心円でリング状に並べられた突起3が1段又は
2段以上の多段状に備えられており、従って、突起3同
士の間隙には、円周溝4が形成されている。そして、突
起3同士の間には複数のスリット5が形成されている。
【0046】この分散装置内の固定子1に対向する内壁
の中心には駆動軸6が設置され、駆動装置に接続されて
回転される。回転子7は、固定子1と平行で、かつ中心
が揃うように駆動軸6の先端に固定されている。固定子
1に対向する回転子7の面上には、回転子7と同心円で
リング上に並べられた突起8が一段または2段以上の多
段状に備わっている。従って、突起8同士の間隙には、
固定子1と同様に、環状の溝9が形成されている。そし
て、突起8同士の間には複数のスリット10が形成され
ている。
【0047】この固定子1と回転子7とは、固定子1の
突起3と回転子7の突起8が僅かな間隙を保つように、
咬み合わされた状態で使用に供される。
【0048】この分散装置の液入口部2に、樹脂溶融体
と加熱された塩基性化合物を含有する水性媒体が供給さ
れ、これらからなる混合物は回転子7が回転すると、最
も内側に位置する回転子7の突起8のスリット10に入
り、遠心力により該回転子7の突起8の外側から環状の
溝9に吐出され、次いで最も内側に位置する固定子1の
突起3のスリット5に入る。さらに、このスリット5に
流入した混合物は、固定子1の環状の溝4に押し出され
る。
【0049】このようにして当該混合物は、回転子7の
回転により遠心力を受け、スリット内を液入口から吐出
口へと流動する。一方、回転子7と固定子1のスリット
のずれにより混合物の遠心流れの封じ込めと開放が繰り
返されて差圧が発生する。さらに、回転子7と固定子1
の微少隙間で混合液に対し剪断力が働く。この中心から
外周方向への流れと円周方向流れが直角に衝突し、それ
によって、強力な撹拌・破砕効果が発生し、これにより
樹脂溶融体が、加熱された塩基性化合物を含有する水性
媒体中に粒子状で分散した分散体が得られる。
【0050】この分散装置の回転子7の回転数は駆動軸
に接続された駆動モーターで制御される。回転数が大き
く周速が大きいほど大きい遠心力と剪断力を受けて、塩
基性化合物を含有する水性媒体中に分散した樹脂溶融体
の粒子径が小さくなる。直径10cmの回転子を使用し
て平均粒子径が10μm以下の粒子を製造する場合、好
ましい回転数は3,000〜10、000rpmであ
る。
【0051】このような回転型連続式分散装置を使用す
る場合、樹脂溶融体の良好な流動性を維持するために、
当該分散装置には保温のためのジャケットを設置するこ
とが好ましい。そして、分散装置内の温度は、樹脂溶融
体の温度、供給する塩基性化合物を含む水性媒体の温度
およびジャケットによる保温効果と装置内での剪断によ
り発生する熱量のバランスを取ることにより、一定温度
に制御される。
【0052】かかる分散装置内の圧力は、塩基性化合物
を含む水性媒体の装置内における蒸気圧と高速回転する
回転子による吐出圧で決まる。また、得られた水性着色
粒子分散体を冷却して得られる分散体の取り出しは、取
り出し口に自動圧力制御弁を設けて、内部圧を一定に保
ちつつ、分散液を大気圧下に連続的に取り出すことが好
ましい。
【0053】次に、カルボキシル基および/または水酸
基と反応する水性化が可能な硬化剤(B)について説明
する。前記水性化が可能な硬化剤(B)とは、水に溶解
あるいは分散するものである。硬化剤(B)としては、
例えば、酸無水物、珪素原子に結合した水酸基または珪
素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物およ
び/または当該珪素化合物の加水分解縮合物あるいは部
分加水分解縮合物、水性アミノプラスト、水性ポリイソ
シアネート化合物、水性ポリエポキシ化合物等が挙げら
れる。
【0054】前記硬化剤(B)において、主にカルボキ
シル基と反応する硬化剤としては、水性ポリエポキシ化
合物が挙げられ、主に水酸基と反応する硬化剤として
は、酸無水物、珪素原子に結合した水酸基または珪素原
子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物および/
または当該珪素化合物の加水分解縮合物あるいは部分加
水分解縮合物、水性アミノプラスト、水性ポリイソシア
ネート化合物が挙げられる。また、水性アミノプラス
ト、水性ポリイソシアネート化合物は、反応温度を上げ
る等の条件によりカルボキシル基および水酸基の両方と
反応しうる。
【0055】前記した酸無水物としては、例えば無水ト
リメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無
水物、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0056】珪素原子に結合した水酸基または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する珪素化合物および/ま
たは当該珪素化合物の加水分解縮合物あるいは部分加水
分解縮合物において、珪素原子に結合した水酸基とは一
般的にシラノ−ル基と呼ばれる有機基であり、珪素原子
に結合した加水分解性基とは、珪素原子に結合した、ハ
ロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロ
キシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミ
ド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニ
ルオキシ基等の、加水分解されてシラノ−ル基を生成す
る種々の基をいう。
【0057】前記した水性アミノプラストとしては、例
えば、メチロ−ル化メラミン、メチルエ−テル化メラミ
ン、メチル/ブチル共エ−テル化メラミン、メチルエ−
テル化ベンゾグアナミン及びこれらの縮合物等が挙げら
れる。
【0058】前記した水性ポリイソシアネ−ト化合物と
しては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト三量
体(ヌレ−ト体)のポリエチレンオキサイド変性物、ヘ
キサメチレンジイソシアネ−トのビュレット体若しくは
ポリオ−ルアダクト体のポリエチレンオキサイド変性物
等が挙げられる。
【0059】前記した水性ポリエポキシ化合物として
は、例えば、グリセロ−ルポリグリシジルエ−テル、ポ
リエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリプロ
ピレンジグリシジルエ−テル、ソルビト−ルポリグリシ
ジルエ−テル等が挙げられる。
【0060】硬化剤(B)は、なかでも、水性アミノプ
ラスト、水性ポリイソシアネート化合物、水性ポリエポ
キシ化合物が好ましい。
【0061】硬化剤(B)は、ポリエステル樹脂(A)
が、カルボキシル基のみを有するときは、カルボキシル
基と反応する硬化剤を使用し、また、ポリエステル樹脂
(A)が、カルボキシル基と水酸基をともに有するとき
は、カルボキシル基と反応する硬化剤および/または水
酸基と反応する硬化剤を使用し、ポリエステル樹脂
(A)のカルボキシル基の一部乃至全部が中和したポリ
エステル樹脂と硬化剤(B)との反応による架橋を行
う。
【0062】硬化剤(B)の使用量は、耐水性と機械的
物性を良好とするためには、分散体(I)中のポリエス
テル樹脂粒子に含まれる、ポリエステル樹脂(A)の重
量(Wa)と、硬化剤(B)の重量(Wb)の比(Wa
/Wb)が95/5〜30/70の範囲にあることが好
ましい。
【0063】本発明の熱硬化型水性樹脂組成物には、本
発明の効果を損なわない範囲で他の成分を加えることが
できる。代表的なものを列挙すると、ノボラック樹脂、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、石油樹脂、ケトン樹
脂、クマロン樹脂、ロジン、ロジンフェノ−ル樹脂、ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコ
−ン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、セルロ−ス等の樹脂類;リン酸、ドデシルベンゼン
スルフォン酸等の無機酸又は有機酸、ジブチル錫ジオク
テ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト等の有機金属化合物、
トリエチルアミン、トリブチルアンモニウムブロマイド
等のアミン化合物又は4級アンモニウム塩、トリフェニ
ルフォスフィン等の有機リン化合物など本発明の硬化反
応に使用できる硬化触媒類;表面調整剤;沈降防止剤;
レオロジ−コントロ−ル剤;可塑剤;防腐剤;紫外線吸
収剤;ヒンダ−ドアミン化合物等の光安定剤;酸化チタ
ン、カ−ボンブラック、有機顔料等、各種染料等の着色
剤類などがある。
【0064】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中「部」とあるのは、特にことわりがない限
り重量部をあらわす。尚、GPC法による重量平均分子
量の測定は、Shodex GPC SYSTEM−21
[昭和電工(株)製]を使用して行なった。
【0065】合成例1[ポリエステル樹脂(A)の合
成] 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、精留塔を備えた
内容量5リットルのフラスコにネオペンチルグリコ−ル
2,412部、トリメチロ−ルプロパン30部を仕込
み、温度を140℃まで上げて撹拌を行いながらイソフ
タル酸1,500部及びアジピン酸1500部を仕込
み、さらに1時間を要して190℃まで温度を上げ、反
応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブ
チル錫オキサイド3部を投入した。さらに生成する水を
留去しながら同温度から230℃まで3時間を要して温
度を上げ、230℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続
し、酸価が6.3mgKOH/g、水酸基価が108m
gKOH/gになったときに温度を200℃まで下げ
た。次いで同温度でドデセニル無水コハク酸228部及
び無水トリメリット酸305部を投入した。同温度でさ
らに1時間反応を続け、最終的に酸価が51mgKOH
/g、水酸基価が48mgKOH/g、かつGPC法に
よる重量平均分子量が16,000であるポリエステル
樹脂を得た。これをポリエステル樹脂(A−1)と略記
する。
【0066】合成例2(同上) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、精留塔を備えた
内容量5リットルのフラスコにエチレングリコ−ル65
6部、ネオペンチルグリコ−ル1073部、トリメチロ
−ルプロパン210部を仕込み、1時間を要して温度を
120℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されているこ
とを確認した後、ジブチル錫オキサイド2.0部を投入
した。次いで、テレフタル酸2,373部とイソフタル
酸1,017部を仕込み、生成する水を留去しながら同
温度から240℃まで3時間を要して温度を上げた。同
温度でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が2
0.5mgKOH/gになるまで反応させた。次いで、
温度を210℃まで下げカ−ジュラE10(シェルケミ
カル社製分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル)203
部を徐々に投入し、同温度で1時間反応を継続し、酸価
が9.6mgKOH/g、水酸基価が68mgKOH/
gで、GPC法による重量平均分子量が38,000で
あるポリエステル樹脂を得た。これをポリエステル樹脂
(A−2)と略記する。
【0067】合成例3(比較対照用ポリエステル樹脂の
合成) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、精留塔を備えた
内容量5リットルのフラスコにネオペンチルグリコ−ル
2,412部、トリメチロ−ルプロパン30部を仕込
み、温度を140℃まで上げて撹拌を行いながらイソフ
タル酸1,500部及びアジピン酸1500部を仕込
み、さらに1時間を要して190℃まで温度を上げ、反
応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、ジブ
チル錫オキサイド3部を投入した。さらに生成する水を
留去しながら同温度から230℃まで3時間を要して温
度を上げ、230℃でさらに3時間脱水縮合反応を継続
し、酸価が6.3mgKOH/gになったときに温度を
200℃まで下げ、同温度でさらに1時間反応を続け、
最終的に酸価が6.5mgKOH/g、水酸基価が10
5mgKOH/g、GPC法による重量平均分子量が1
4,800であるポリエステル樹脂を得た。これを比較
対照用ポリエステル樹脂(A′−1)と略記する。
【0068】合成例4(同上) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、精留塔を備えた
内容量5リットルのフラスコにエチレングリコ−ル65
6部、ネオペンチルグリコ−ル1073部、トリメチロ
−ルプロパン210部を仕込み、1時間を要して温度を
120℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されているこ
とを確認した後、ジブチル錫オキサイド2.0部を投入
した。次いで、テレフタル酸2,373部とイソフタル
酸1,017部を仕込み、生成する水を留去しながら同
温度から240℃まで3時間を要して温度を上げた。同
温度でさらに3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が2
0.5mgKOH/gになるまで反応させた。次いで、
温度を210℃まで下げ、同温度で1時間反応を継続
し、酸価が20mgKOH/g、水酸基価が76mgK
OH/g、GPC法による重量平均分子量が37,10
0であるポリエステル樹脂を得た。これを比較対照用ポ
リエステル樹脂(A′−2)と略記する。
【0069】合成例5(比較対照用水溶性アクリル樹脂
の合成) 攪拌装置、窒素導入管、温度センサ−、冷却管を備えた
内容量5リットルのフラスコにイソプロピルアルコ−ル
2,000部を仕込み80℃に昇温した。ついでスチレ
ン400部、メチルメタクリレ−ト568部、ブチルア
クリレ−ト400部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
−ト232部、アクリル酸400部、及びt−ブチルパ
−2−エチルヘキサノエ−ト100部、ジ−t−ブチル
パ−オキサイド60部からなる混合物を6時間を要して
滴下した。滴下終了後もさらに同温度で8時間反応を継
続した。ついでフラスコ内を減圧しイソプロピルアルコ
−ル1,200部を留去し、イオン交換水/ブチルセロ
ソルブ=1,000/200(部/部)混合液を120
0部投入した。最終的に、溶液酸価が39.3mgKO
H/g、溶液水酸基価が50mgKOH/g、GPC法
による重量平均分子量が17,000である水溶性アク
リル樹脂を得た。これを比較対照用水溶性アクリル樹脂
(AC)と略記する。
【0070】調製例1(分散体の調製) ポリエステル樹脂(A−1)を100℃に加熱して樹脂
溶融体とし、キャビトロンCD1010(株式会社ユ−
ロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準
備した水性媒体タンクには水性媒体として、試薬アンモ
ニア水をイオン交換水で希釈した2.0重量%濃度の希
アンモニア水を入れ、熱交換器で60℃に加熱しながら
毎分0.1リットルの速度で、上記樹脂溶融体と同時に
キャビトロンに移送した(中和率130%)。回転子の
回転速度が7,500rpmの運転条件で製造した約8
0℃のポリエステル樹脂粒子分散体を10秒間で40℃
まで冷却して出口から取り出した。この分散体水溶液の
濃度は固形分で50%であった。コ−ルタ−マルチサイ
ザ−2(ベックマンコ−ルタ−社製粒度分布測定装置)
による測定により、ポリエステル粒子の体積平均粒子径
は1.5μmであった。これを分散体(I−1)と略記
する。
【0071】調製例2(同上) ポリエステル樹脂(A−2)を140℃に加熱して樹脂
溶融体とし、キャビトロンCD1010に毎分100g
の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには水
性媒体として、試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈
した0.4重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換
器で110℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度
で、上記樹脂溶融体と同時にキャビトロンに移送した
(中和率130%)。回転子の回転速度が7,500r
pmの運転条件で製造した約125℃のポリエステル樹
脂粒子分散体を10秒間で50℃まで冷却して出口から
取り出した。この分散体水溶液の濃度は固形分で50%
であった。コ−ルタ−マルチサイザ−2による測定によ
り、ポリエステル粒子の体積平均粒子径は1.9μmで
あった。これを分散体(I−2)と略記する。
【0072】調製例3(比較用分散体の調製) ポリエステル樹脂(A′−1)を100℃に加熱して樹
脂溶融体とし、キャビトロンCD1010に毎分100
gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには
水性媒体として、試薬アンモニア水をイオン交換水で希
釈した0.26重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱
交換器で60℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速
度で、上記樹脂溶融体と同時にキャビトロンに移送した
(中和率130%)。回転子の回転速度が7,500r
pmの運転条件で製造した約80℃のポリエステル樹脂
粒子分散体を10秒間で40℃まで冷却して出口から取
り出した。この分散体水溶液の濃度は固形分で50%で
あった。コ−ルタ−マルチサイザ−2による測定によ
り、ポリエステル粒子の体積平均粒子径は22μmであ
った。これを分散体(I′−1)と略記する。
【0073】調製例4(同上) ポリエステル樹脂(A′−2)を140℃に加熱して樹
脂溶融体とし、キャビトロンCD1010に毎分100
gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには
水性媒体として、試薬アンモニア水をイオン交換水で希
釈した0.8重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交
換器で110℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速
度で、上記樹脂溶融体と同時にキャビトロンに移送した
(中和率130%)。回転子の回転速度が7,500r
pmの運転条件で粒子の分散体を調製しようとしたが、
生成粒子が異形かつ粗大であり運転開始後2分経過時に
キャビトロン内が閉塞し、内圧が上昇したため、運転を
中止した。
【0074】実施例1〜4、比較例1、2 第1表及び第2表に示す配合比率に従って組成物を調製
し、0.8mm厚のリン酸亜鉛処理鋼板に乾燥膜厚が約
40μmとなるように塗布し、試験板を調製した。塗布
後80℃1時間予備乾燥した後、実施例1、3、4およ
び比較例2の試験板については、140℃で25分間焼
き付け乾燥させた。実施例2及び比較例1の試験板につ
いては、25℃で1週間室温乾燥させた。得られた試験
片を用いて、塗装外観、機械的物性、耐水性の評価を下
記試験方法に従い行った。結果を第1表及び第2表に示
す。
【0075】<塗装外観の評価>塗装表面の平滑性、鮮
映性を目視評価した。
【0076】<機械的物性の評価>JIS−K5400
に規定するデュポン衝撃試験を、500g−1/2イン
チφの条件にて行い、塗膜の割れ、はがれが起こる時の
おもりの落下高さ(cm)として評価した。この値が大
きいほど耐衝撃性が良好であることを表す。
【0077】<耐水性の評価>50℃、相対湿度95%
以上に保ったブリスタ−ボックスに試験片を入れ、2週
間経過後の塗膜欠陥を目視にて評価した。
【表1】
【0078】※第1表の脚注 (1)サイメル300:三井サイテック株式会社製の水
溶性メチルエ−テル化メラミン樹脂 (2)タケネ−トWD−220:三井武田ケミカル株式
会社製の水分散性イソシアネ−トプレポリマ−(NCO
%:17.4%) (3)デナコ−ルEX−830:ナガセ化成工業株式会
社製のポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルか
らなる水溶性ポリエポキシ化合物(エポキシ当量27
6)
【0079】
【表2】
【0080】※第2表の脚注 (1)クラックとは塗膜表面に生じた微細な割れを表
す。 (2)ブリスタ−とは塗膜表面に生じた円形(直径約1
〜3mm程度)の隆起をいう。
【0081】
【発明の効果】実施例及び比較例に示すように、本発明
の熱硬化型水性樹脂組成物から得られる硬化物は機械的
物性及び耐水性に優れ、かつ有機溶剤や界面活性剤を含
まないので環境適合性にも優れることが明らかであり、
塗料、インキ、トナ−、接着剤、シ−リング剤、制振材
料、成形材料等の分野において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる回転型連続式分散装置の固
定子の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に用いられる回転型連続式分散装置の回
転子の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に用いられる回転型連続式分散装置の要
部の一例を表した断面図である。
【図4】図3のA−A′部を側面から見たときの固定子
突起と回転子突起の組み合わせ状態を表した図である。
【符号の説明】
1 固定子 2 液入口 3 固定子の突起 4 固定子の円周溝 5 固定子突起のスリット 6 回転子の駆動軸 7 回転子 8 回転子の突起 9 回転子の円周溝 10 回転子突起のスリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CD01X CF21W EL136 EU186 FD14X FD146 GH00 GH01 GJ00 GJ01 GJ02 4J027 AB02 CC02 CD08 CD09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基および/またはアルケニル基
    とカルボキシル基、および/または、アルキル基および
    /またはアルケニル基とカルボキシル基と水酸基とを含
    有するポリエステル樹脂(A)のカルボキシル基の一部
    乃至全部を塩基性化合物で中和してなるポリエステル樹
    脂を、水性媒体中に粒子状で分散させて得られる分散体
    (I)と、カルボキシル基および/または水酸基と反応
    する水性化が可能な硬化剤(B)とからなることを特徴
    とする、熱硬化型水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 硬化剤(B)が、水性アミノプラスト、
    水性ポリイソシアネ−ト化合物および水性ポリエポキシ
    化合物からなる群から選ばれる一種以上の硬化剤であ
    る、請求項1記載の熱硬化型水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)が、末端に水酸
    基を有するポリエステル樹脂の末端水酸基にアルキル基
    またはアルケニル基を有する酸無水物を開環付加させて
    生成する末端構造を有するポリエステル樹脂、および/
    または、末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹
    脂の末端カルボキシル基にアルキル基またはアルケニル
    基を有する脂肪族モノエポキシ化合物を開環付加させて
    生成する末端構造を有するポリエステル樹脂である、請
    求項2記載の熱硬化型水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)が、下記一般式
    (1)、(2)または(3)で表される末端構造を有す
    るポリエステル樹脂である請求項2記載の熱硬化型水性
    樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、炭
    素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数4〜2
    0のアルケニル基を表すが、共に水素原子であることは
    ない。また、R3 は炭素原子数が4〜20のアルキル基
    または炭素原子数が4〜20のアルケニル基を表し、R
    4 は炭素原子数4〜20のアルキル基または炭素原子数
    4〜20のアルケニル基を表す。)
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)が、酸価が5〜
    70mgKOH/gであり、かつ水酸基価が5〜100
    mgKOH/gのポリエステル樹脂である、請求項2記
    載の熱硬化型水性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 分散体(I)中のポリエステル樹脂粒子
    に含まれる、ポリエステル樹脂(A)の重量(Wa)と
    硬化剤(B)の重量(Wb)の比(Wa/Wb)が、9
    5/5〜30/70である請求項2記載の熱硬化型水性
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 分散体(I)が、スリットを有するリン
    グ状の突起を備えた固定子と、スリットを有するリング
    状の突起を備えた回転子とが、間隔を保って相互に咬み
    合うように同軸上に設けられた構造を有する回転型連続
    分散装置を用い、この分散装置の固定子と回転子の中心
    部分に、溶融状態のポリエステル樹脂(A)と塩基性化
    合物を含有する水性媒体とを供給して、回転子を回転さ
    せながら該スリットと該間隔とを通して中心部分から外
    周の方向に流動させることにより、ポリエステル樹脂
    (A)のカルボキシル基の一部乃至全部の塩基性化合物
    による中和と、樹脂の水性媒体中への分散とを行うこと
    により得られる分散体である、請求項1〜6のいずれか
    1項記載の熱硬化型水性樹脂組成物。
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