JP2003191169A - 樹脂製コア部を有する砥石車 - Google Patents

樹脂製コア部を有する砥石車

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JP2003191169A
JP2003191169A JP2001391269A JP2001391269A JP2003191169A JP 2003191169 A JP2003191169 A JP 2003191169A JP 2001391269 A JP2001391269 A JP 2001391269A JP 2001391269 A JP2001391269 A JP 2001391269A JP 2003191169 A JP2003191169 A JP 2003191169A
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core portion
grinding
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Yoshiharu Terada
好晴 寺田
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Noritake Co Ltd
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円環状の外周砥石部の内側に、専らその外周
砥石部を支持する為のコア部を有する砥石車であって、
工業研削に十分な耐久性を有し且つ廃棄物を可及的に削
減する砥石車を提供する。 【解決手段】 比強度が12以上である生分解性樹脂を
コア部14の材料として用いることで、研削に使用する
にあたり十分な比強度が12以上であるコア部14を備
えた砥石車10を提供できることに加え、生分解性樹脂
は地中の細菌により自然分解されるものである為、長時
間使用することにより消耗し、使用に適さなくなった砥
石車10のコア部14を適度に粉砕した後、地中に埋め
立てることによりたとえば1〜2年後には略完全に分解
される。すなわち、円環状の外周砥石部12の内側に、
専らその外周砥石部12を支持する為のコア部14を有
する砥石車10であって、工業研削に十分な耐久性を有
し且つ廃棄物を可及的に削減する砥石車10を提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円環状の外周砥石
部の内側に、専らその外周砥石部を支持する為のコア部
を有する砥石車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】回転研削に利用される円環状の砥石車が
様々な技術分野で多用されている。このような砥石車と
して、たとえば、砥粒が無機結合剤により結合されて成
るビトリファイド砥石車や、砥粒が合成樹脂により結合
されて成るレジノイド砥石車等がある。従来技術によれ
ば、このような砥石車は、研削に関与する外周砥石部の
みならず、コア部と呼ばれる砥石車の中心を形成する部
分も外周砥石部と同じ素材による一体構造であることが
一般的であった為、長時間使用することにより消耗し、
使用に適さなくなった砥石車すなわち研削に関与しない
コア部のほとんどは産業廃棄物として埋め立ての対象と
なっていた。かかるコア部は、砥石車外径の約1/3程
度の外径を有するものであり、砥石車全体に対して約2
5重量%の重量割合を占めるものである為、廃棄物の量
としては無視できないものである。
【0003】一方、円環状の外周砥石部の内側に、専ら
その外周砥石部を支持する為のコア部を有する砥石車が
開発されている。たとえば、特開昭50−47289号
公報に記載されているように、スチールやアルミ等によ
る金属製のコア部を設けた砥石車や、特開2000−6
029号公報に記載されているように、熱硬化性樹脂を
利用したコア部を設けた砥石車等である。かかる砥石車
の改良は、専らコア部に強度を付与する為に為されたも
のであったが、近年、廃棄物埋立地の不足が深刻化する
中、工業用の砥石車に関しても廃棄物を削減することが
求められるようになってきており、本発明者は、鋭意研
究を継続することにより、廃棄物を可及的に削減する砥
石車を開発してきた。たとえば、特願2001−233
140号出願の明細書に記載された樹脂製コア部を有す
る砥石車とその製造方法及び再利用方法がそれであり、
かかる発明は、コア部の材料として熱可塑性樹脂を用い
ることにより、砥石車の実用的な再利用システムの構築
を提案するものである。
【0004】しかし、新たなシステムの普及には一般に
時間を要するものであり、上述の再利用システムは未だ
普及の途上である為、使用に適さなくなった砥石車の多
くは産業廃棄物として埋め立てられているのが現状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情を背景として為されたものであり、その目的とす
るところは、円環状の外周砥石部の内側に、専らその外
周砥石部を支持する為のコア部を有する砥石車であっ
て、工業研削に十分な耐久性を有し且つ廃棄物を可及的
に削減する砥石車を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述の通り、従来技術に
よれば、前記砥石車のコア部には金属あるいは熱硬化性
樹脂等が用いられてきた。これは、たとえば周速60〜
80m/sといった高速研削等に砥石車が用いられたと
しても回転に十分耐えうる強度をコア部に付与する為
に、コア部に用いる材料の選択において高い引張り強度
に重きをおいたことによるものであったが、本発明者は
本発明を為すにあたり、材料の引張り強度(MPa)を
その材料の比重で除した値である比強度に着目した。す
なわち、比強度が12以上の材料を用いればコア部に研
削に用いるのに十分な強度を付与することができること
を踏まえ、コア部に用いる材料の検討を続けた結果、比
強度が12以上である生分解性樹脂をコア部の材料とし
て用いることにより、コア部に要求される強度を十分に
満たし、廃棄物を可及的に削減する砥石車を提供するこ
とが可能となるという結論に至った。
【0007】本発明は、かかる検討の結果為されたもの
であり、その要旨とするところは、円環状の外周砥石部
の内側に、専らその外周砥石部を支持する為のコア部を
有する砥石車であって、そのコア部は、比強度が12以
上である生分解性樹脂からなるものであることを特徴と
するものである。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、比強度が12以上で
あり、工業研削に用いるのに十分な強度を有するコア部
を備えた砥石車を提供できることに加え、生分解性樹脂
は地中の細菌により自然分解されるものである為、長時
間使用することにより消耗し、使用に適さなくなった砥
石車のコア部を必要に応じて適宜粉砕した後、地中に埋
め立てることにより一定期間を経た後には略完全に分解
される。すなわち、円環状の外周砥石部の内側に、専ら
その外周砥石部を支持する為のコア部を有する砥石車で
あって、工業研削に十分な耐久性を有し且つ廃棄物を可
及的に削減する砥石車を提供することができる。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記生分解性樹
脂は、ポリ乳酸樹脂である。ポリL乳酸(PLA)をは
じめとするポリ乳酸樹脂は、環境に害を与えない乳酸に
生分解されることに加えて、構造材料としても実績のあ
るエンジニアリングプラスチックと同程度の比強度を備
えている為、ポリ乳酸樹脂をコア部の材料に用いること
により、より信頼性の高い砥石車を提供することができ
る。
【0010】また、好適には、前記コア部は、ガラス繊
維、砥材をはじめとする無機充填材を骨材としてさらに
含むものである。砥石車の使用条件によっては、コア部
に要求される強度や弾性率が通常の砥石車のコア部に要
求される値よりも高くなる場合があるが、たとえば砥
粒、ガラス繊維等の無機充填材をコア部の主材料である
前記生分解性樹脂中に混合させ成形させたコア部を用い
ることにより、コア部に一層の高強度および高弾性率を
付与することができ、たとえば周速60〜80m/sと
いった高速研削等に砥石車が用いられたとしても回転に
十分耐えうる砥石車を提供することができる。
【0011】また、好適には、前記コア部は、糖類、無
機塩類をはじめとする可溶性充填材をさらに含むもので
ある。このようにすれば、長時間使用することにより消
耗し、使用に適さなくなった砥石車のコア部をたとえば
適宜粉砕した後、地中に埋め立てた際に、可溶性充填材
が流出することにより粉砕後の廃棄物に広い表面積が与
えられる為、地中での生分解が促進され、より迅速にた
とえば1〜2年後には略完全に分解される。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施例である砥石車1
0を示す斜視図である。この図に示すように砥石車10
は、専ら被削材を研削する為に砥粒がたとえばガラス質
結合剤等によって結合された多孔質の砥石組織から成る
円環状の外周砥石部12と、その内周面に専ら外周砥石
部12を支持する為に設けられた、生分解性樹脂を主成
分とする穴あき円盤状のコア部14とを有している。上
記外周砥石部12の砥石組織は、たとえば炭化ケイ素
(SiC)あるいは溶融アルミナ(Al23)などの砥
粒あるいは砥材が、酸化ケイ素(SiO2)などを主成
分とするガラス質の無機結合剤(ビトリファイドボン
ド)により結合された多孔質の組織である。このような
砥石組織は研削に際して、被削材に摺接する研削面の砥
粒が適度に破砕あるいは脱落して砥粒の切れ刃の再生が
好適に行われるようになっている。
【0014】一方、上記コア部14は、引張り強度(M
Pa)をその材料の比重で除した値である比強度が12
以上である生分解性樹脂を主成分とするものである。生
分解性樹脂(biodegradable plast
ics)とは、微生物の作用により加水分解され、水、
二酸化炭素、メタンなどに分解される高分子を言う。か
かる微生物による自然分解は、微生物の存在と、その微
生物が好適に活動する為の諸条件が揃ってはじめておこ
なわれるものである為、砥石車10が研削に使用されて
いる期間において分解は進行せず、砥石車10を長時間
使用することにより消耗し、外周砥石部12が摩耗によ
りほとんど失われて使用に適さなくなった後、残された
コア部14を適度に粉砕して地中に埋め立てることによ
りはじめて生分解がおこなわれる。この為、本実施例の
砥石車10は、その使用に際してはなんら問題を生じさ
せることなく、廃棄物を可及的に削減することを可能と
するものである。尚、使用に適さなくなり回収された砥
石車10のコア部14には、若干の外周砥石部12が残
留しているので、上述の処理作業に先立って、砥石車1
0に衝撃が加えられるなどして残留する外周砥石部12
が分離される。この際に分離された外周砥石部12を粉
砕することにより再利用材料として新たな砥石車10の
作製に用いてもよい。
【0015】以下の表1に、代表的な生分解性樹脂の比
重、曲げ強度(MPa)、および比強度を、従来の砥石
車のコア部に用いられてきた材料と比較した結果を示
す。上述のように、十分な研削性能を備えた砥石車10
を得る為には、コア部14の材料として、比強度が12
以上の材料を用いる必要があるが、表1に示されたコア
部材料の物性評価結果から、ポリL乳酸樹脂、酢酸セル
ロース樹脂、ポリカプロラクトン樹脂は、何れも比強度
が12以上であり、砥石車10のコア部14の材料とし
て好適に用いられるものであることがわかる。とりわけ
ポリL乳酸(PLA)をはじめとするポリ乳酸樹脂は、
環境に害を与えない乳酸に生分解されることに加えて、
構造材料としても実績のあるエンジニアリングプラスチ
ックと同程度の比強度を備えている為、かかる樹脂をコ
ア部14の材料として用いることにより、比較的過酷な
条件下の研削に砥石車10が用いられたとしても回転に
十分耐えうる強度をコア部14に付与することができ
る。
【0016】 [表1] コア部材料 砥石名称 比重 曲げ強度 比強度 実施例1 ホ゜リL乳酸樹脂 ― 1.25 70 56 実施例2 酢酸セルロース樹脂 ― 1.25 30 24 実施例3 ホ゜リカフ゜ロラクトン樹脂 ― 1.25 25 21 比較例1 ヒ゛トリファイト゛砥石 WA60J8V35R 2.03 37 18 比較例2 ヒ゛トリファイト゛砥石 WA60J8V53R 2.04 33 16比較例3 ヒ゛トリファイト゛砥石 WA60K8V315R 2.07 40 19
【0017】上述のように構成された砥石車10は、専
ら工業研削の分野で使用されるものである。すなわち、
その中央部に設けられた取り付け穴16において図示し
ない研削機械の主軸に取り付けられ、外周砥石部12と
被削材との間に研削液を供給しつつ、図示しない保持装
置に保持された被削材を外周砥石部12に押しつけた状
態で、その軸心回りに回転されて用いられる。そのよう
にして、砥石車10の外周砥石部12により被削材の被
削面に研削加工が施される。
【0018】図2は、本実施例の砥石車10の製造工程
の要部を示している。図において、砥石部材料調整工程
P1では、外周砥石部12の材料、たとえば炭化ケイ
素、溶融アルミナなどの一般砥粒と、酸化ケイ素(Si
2)を主成分とするガラス質を形成する為の珪石粉、
長石粉、粘土、ガラスフリットなどの混合体から成る無
機結合剤(ビトリファイドボンド)と、成形時において
ある程度の相互粘結力を発生させる為のデキストリンな
どの粘結剤と、必要に応じて混合されるクルミ粉や無機
バルーンのような気孔形成剤とが所定の重量比で混合さ
れる。たとえば、上記砥粒として粒度が#60のWA
(ホワイトアランダム)84重量部に対して、8重量部
の無機結合剤、6重量部のクルミ粉、2重量部のデキス
トリンが、たとえば混合機等により混合される。続く砥
石部成形工程P2では、上記混合材料が成形金型内に充
填された状態でプレス機械によって比較的高圧で加圧さ
れることにより、円環状の成形体が一体的に得られる。
次いで、砥石部焼成工程P3では、その円環状の成形体
が焼成窯内においてたとえば1000〜1300℃の焼
成温度で焼結されることにより結合され、ビトリファイ
ド砥石組織を有する外周砥石部12が作成される。図3
の(a)は、このときの様子を示す。尚、上記無機結合
剤の化学成分は、たとえばSiO2が60重量%、Al2
3が20重量%、Na23が5重量%、K2Oが5重量
%、CaOが3重量%、MgOが2重量%、B23が5
重量%とされたものである。
【0019】一方、コア部材料調整工程P4では、コア
部14の材料となるペレット状の生分解性樹脂原料を準
備する。上述のように、かかる生分解性樹脂としては、
ポリ乳酸樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリカプロラクト
ン樹脂などが好適に用いられる。ここで、予定される砥
石車10の使用条件が厳しい場合、たとえば周速60m
/s程度の高速研削に砥石車10が用いられる場合に
は、コア部14に要求される強度や弾性率が通常の砥石
車10のコア部14に要求される値よりも高くなること
があるが、かかる場合には、このコア部材料調整工程P
4において、砥粒、ガラス繊維等の無機充填材たとえば
粒度が#100程度であるアルミナ砥材が、上記コア部
材料全体に占める割合が90重量%以下となる範囲内で
さらに混合され、調整される。また、好適には、このコ
ア部材料調整工程P4において、ショ糖、ラクトース、
マルトースなどの糖類、あるいは食塩、重曹などの無機
塩類をはじめとする可溶性充填材が、上記コア部材料全
体に占める割合が30重量%以下となる範囲内でコア部
材料中にさらに加えられる。このようにすれば、長時間
使用することにより消耗し、使用に適さなくなった砥石
車10のコア部14を適度に粉砕した後、地中に埋め立
てた際に、コア部14に含まれた可溶性充填材が流出す
ることにより粉砕後の廃棄物に広い表面積が与えられる
為、地中での生分解が促進され、より迅速に略完全に分
解される。
【0020】前記砥石部焼成工程P3で得られた外周砥
石部12は、コア部成形工程P5に先だって、自動搬送
機械等の搬送手段により、コア部成形用下型に装着さ
れ、その外周砥石部12の上部にコア部成形用上型が被
せられることによって、コア部成形用金型が内側に外周
砥石部12が装着された状態で密閉される。コア部成形
工程P5では、このように準備されたコア部成形用下型
とコア部成形用上型との間に挟まれた外周砥石部12の
内周側に、上記コア部材料調整工程P18で混合され調
整されたコア部材料が十分に加熱され、一定の成形圧力
たとえば100MPaを加えた状態で射出されることに
より、その外周砥石部12の内周側空間に充填される。
図3の(b)はこのときの様子を示す。
【0021】このコア部14の射出成形時に、外周砥石
部12の内周面にコア部材料である生分解性樹脂が適量
浸み込むことにより、外周砥石部12とコア部14とが
接着された状態で一体成形される。生分解性樹脂は、粘
度が高いまま型に装填される為に流動性が悪いが、外周
砥石部12が多孔質の砥粒組織を有するものである場
合、一定の成形圧力をもって射出される前記コア部材料
は、外周砥石部12の内周面から若干の深さまでの砥粒
組織の隙間に程良く充填され、そのまま硬化して接着さ
れる。砥材である炭化ケイ素や溶融アルミナといったセ
ラミックスと、コア部材料である生分解性樹脂とは一般
に濡れが良いとされ、また、外周砥石部12の内周面か
ら砥粒組織内に浸み込んだ生分解性樹脂がアンカー効果
(接着剤が被着材の表面にある空隙に浸入固化し、釘ま
たは楔のようなはたらきをすること)を奏するものであ
る為、前記外周砥石部12とコア部14とが強固な結合
力で接着されることが見込まれる。
【0022】上記コア部成形工程P5で、外周砥石部1
2の内周側にコア部14が成形され、一体成形された砥
石車10は、続く一体砥石車脱型工程P6においてコア
部成形用金型から脱型され、さらに仕上工程P7におい
て、外周砥石部12の内周側にコア部14が射出成形さ
れた砥石車10の表面が、ドレッシング工具や切削工具
を用いて1〜2mm程度の深さだけ削除されることによ
り、その砥石車10の外径寸法、真円度、厚み寸法など
が整えられる。図3の(c)は、仕上げの施された砥石
車10を示す。前記砥石部成形工程P2やコア部成形工
程P5では、かかる削り代だけ大きい寸法となるように
外周砥石部12およびコア部14が成形されている。こ
のようにして、図1に示す本実施例の砥石車10が作製
される。
【0023】このように、本実施例によれば、比強度が
12以上であり、工業研削に用いるのに十分な強度を有
するコア部14を備えた砥石車10を提供できることに
加え、生分解性樹脂は地中の細菌により自然分解される
ものである為、長時間使用することにより消耗し、使用
に適さなくなった砥石車10のコア部14を必要に応じ
て適宜粉砕した後、地中に埋め立てることによりたとえ
ば1〜2年後には略完全に分解される。すなわち、円環
状の外周砥石部12の内側に、専らその外周砥石部12
を支持する為のコア部14を有する砥石車10であっ
て、工業研削に十分な耐久性を有し且つ廃棄物を可及的
に削減する砥石車10を提供することができる。
【0024】また、好適には、前記生分解性樹脂は、ポ
リ乳酸樹脂であり、ポリL乳酸(PLA)をはじめとす
るポリ乳酸樹脂は、環境に害を与えない乳酸に生分解さ
れることに加えて、構造材料としても実績のあるエンジ
ニアリングプラスチックと同程度の比強度を備えている
為、ポリ乳酸樹脂をコア部14の材料に用いることによ
り、信頼性の高い砥石車10を提供することができる。
【0025】また、好適には、前記コア部14は、ガラ
ス繊維、砥材をはじめとする無機充填材を骨材としてさ
らに含むものである為、コア部14に一層の高強度およ
び高弾性率を付与することができ、たとえば周速60〜
80m/sといった高速研削等に砥石車が用いられたと
しても回転に十分耐えうる砥石車10を提供することが
できる。
【0026】また、好適には、前記コア部14は、糖
類、無機塩類をはじめとする可溶性充填材をさらに含む
ものである為、長時間使用することにより消耗し、使用
に適さなくなった砥石車10のコア部14をたとえば適
宜粉砕した後、地中に埋め立てた際に、可溶性充填材が
流出することにより粉砕後の廃棄物に広い表面積が与え
られる為、地中での生分解が促進され、より迅速に略完
全に分解される。
【0027】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。尚、以下の説明において前述の実施例と共通する部
分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】図4は、たとえば図2に示す工程により作
製された本発明の他の実施例である砥石車50を示す図
であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一点鎖線で
切断して示す視断面図である。この図に示すように砥石
車50は、専ら被削材を研削する為に砥粒がたとえばガ
ラス質結合剤等によって結合された多孔質の砥石組織か
ら成る円環状の外周砥石部12と、その内周面に専ら外
周砥石部12を支持する為に設けられた、12以上の比
強度を有する生分解性樹脂を主成分とする穴あき円盤状
のコア部52とを有しており、たとえばその寸法が、外
径205mm×厚み19mm×内径101.6mm(コ
ア径136mm)とされたものである。かかるコア部5
2は、その剛性(強度)を維持しつつ肉厚をたとえば
1.0乃至10.0mm、好適には2.0mm程度の値
とする為に、コア部表面側からその厚み方向に所定の深
さを備えて凹設された部分円環状溝54aと、同様にコ
ア部裏面側から凹設された部分円環状溝54bとが、コ
ア部52の周方向に交互に設けられた構成を有してい
る。
【0029】本実施例の砥石車50のコア部52は、前
記コア部成形工程P5において、上述のようなコア部5
2を成形する為の所定のコア部成形用金型が選択され、
たとえば以下に示すような条件下において射出成形され
る。すなわち、図3の(b)に示すノズル18の先端部
で約250℃、図示しないシリンダ後方部で約210℃
とされ、射出圧力は約700kg/cm2、射出速度は
約15mm/s、樹脂冷却時間は約20秒、コア部成形
用金型温度は室温、外周砥石部温度は予熱約100℃と
される。
【0030】本実施例の砥石車50において、コア部5
2が上述のような構成とされるのは、成形後の生分解性
樹脂の肉厚が問題となる為である。すなわち、前述のコ
ア部成形工程P5において、加熱された生分解性樹脂を
主成分とするコア部材料が、コア部成形用金型内に設置
された外周砥石部12の内側に射出され、その後冷却さ
れることによりコア部として成形されるわけであるが、
冷却に際して生分解性樹脂の収縮が起こる為、成形後の
コア部にひけが発生する可能性がある。そこで、コア部
表面側からその厚み方向に所定の深さを備えて凹設され
た部分円環状溝54aと、同様にコア部裏面側から凹設
された部分円環状溝54bとが、その周方向に交互に設
けられたコア部52とすることで、ひけの発生を好適に
防止しつつ、十分な強度を備えたコア部52を有する砥
石車50を提供することができるのである。
【0031】また、前記砥石車10、50は、図2に示
す前述の製造工程とは別の製造工程によっても好適に作
製される。図5は、たとえば砥石車10を作製する為の
他の製造工程を示す工程図である。図において、コア部
成形工程S1では、密閉された所定の金型内部に前述の
コア部材料調整工程P4で混合され調整されたコア部材
料が十分に加熱され射出されることにより充填される。
前述のコア部成形工程P5では、前記コア部成形用金型
内に装着された外周砥石部12の内周側空間にコア部材
料が射出されることにより、外周砥石部12とコア部1
4とが接着された状態で一体成形されるものであった
が、このコア部成形工程S1では、外周砥石部12とは
別にコア部14のみを所定の形状に成形させる。こうし
て成形されたコア部14は、続くコア部仕上工程S2に
おいて、たとえば切削工具等を用いて1〜2mm程度の
深さだけ外周面が削除されることにより、そのコア部1
4の外径寸法、真円度、厚み寸法などが整えられる。上
記コア部成形工程S1では、上記の削り代だけ大きい寸
法となるようにコア部14が成形されている。
【0032】一方、前記砥石部焼成工程P3で得られた
外周砥石部12は、続く砥石部仕上工程S3において、
外周砥石部12の中央に設けられた穴部の内周面がドレ
ッシング工具あるいは切削工具等を用いて1〜2mm程
度の深さだけ削除されることにより、その穴部の寸法が
前記コア部14に合わせて整えられる。この為、前述の
砥石部成形工程P2では、上記の削り代だけ大きい寸法
となるように外周砥石部12の穴部が成形されている。
こうして得られた外周砥石部12の内周面と、コア部1
4の外周面とが接着工程S4において接着剤により接着
され、前述の実施例の砥石車10が得られる。
【0033】このように、図5に示す製造工程によれ
ば、コア部成形工程S1において成形されたコア部14
の寸法が、続くコア部仕上工程S2において整えられる
ことから、ひけの発生を予め考慮したうえでコア部14
の成形をおこなうことができる為、コア部14を成形後
の生分解性樹脂の肉厚にとらわれず所望の形状とするこ
とができる。
【0034】また、前記砥石車10、50は、さらに別
の製造工程によっても作製される。図6は、たとえば砥
石車10を作製する為のさらに別の製造工程を示す工程
図である。図において、コア部粉砕工程S5では、長時
間使用されることにより消耗し、使用に適さなくなった
砥石車10が、外周砥石部12とコア部14とに分離さ
れた後、分離されたコア部14がさらにペレット状に粉
砕されることにより、新たな砥石車10に用いられるコ
ア部14の再利用材料とされる。こうして得られた再利
用材料は、続くコア部材料調整工程S6において、未だ
コア部に使用されていない新たな材料である生分解性樹
脂と混合され、調整される。この際の再利用材料と未使
用材料の配合比は、たとえば、再利用材料10容量部に
対して未使用材料90容量部とされる。ここで、新たな
材料としてガラス繊維、砥材をはじめとする無機充填材
および/または糖類、無機塩類をはじめとする可溶性充
填材がさらに投入されてもよい。
【0035】このように、図6に示す製造工程によれ
ば、長時間使用されることにより消耗し、使用に適さな
くなった砥石車10のコア部14が、新たな砥石車10
を作製する為の再利用材料として使用される。すなわ
ち、本発明の砥石車におけるコア部は、廃棄物として地
中に埋め立てられた際には生分解されるものであること
に加えて、新たな砥石車を作製する為の再利用材料とし
ても使用が可能である。将来的に前述の砥石車の再利用
システムが普及していく過程で、本発明の砥石車のよう
に廃棄と再利用の選択が可能であることは、再利用シス
テムへの移行が円滑におこなわれるのを補助するものと
考えられる。
【0036】以上、本発明の好適な実施例を図面に基づ
いて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、さらに別の態様においても実施される。
【0037】たとえば、本発明の砥石車は、図7あるい
は図8に示すような構成を備えた砥石車60、70であ
ってもよい。図7に示す砥石車60に設けられた前述の
コア部14と同様の材料によるコア部62は、前述のコ
ア部成形工程P5において所定のコア部成形用金型が選
択されることによって、その周方向に断続的に部分円環
状の貫通穴64が設けられた構成を有している。また、
図8に示す砥石車70に設けられた前述のコア部14と
同様の材料によるコア部72は、前述のコア部成形工程
P5において所定のコア部成形用金型が選択されること
によって、その表面側および裏面側の両側から所定の深
さを備えて円環状に凹設された円環状溝74と、所定箇
所に貫設された貫通穴76とが設けられた構成を有して
いる。このようにすれば、ひけの発生を好適に防止しつ
つ、十分な強度を備えたコア部62、72を有する砥石
車60、70を提供することができる。
【0038】また、前述の実施例では、コア部14の強
度を向上させる為に、たとえば砥粒、ガラス繊維等の無
機充填材、あるいは糖類、無機塩類をはじめとする可溶
性充填材がコア部14の主材料である生分解性樹脂中に
さらに加えられるものであったが、これらの無機充填材
あるいは可溶性充填材は必ずしも用いられる必要はな
い。また、コア部14の材料の一部として、生分解性樹
脂中にさらに加えられる材料は無機充填材および可溶性
充填材に限られず、コア部14に含まれる生分解性樹脂
の比率がコア部14の強度が十分に保証される範囲内で
あれば、必要に応じて種々の材料が主材料である生分解
性樹脂と混合されて用いられる。
【0039】また、前述の実施例のコア部は、可溶性充
填材を含むことにより、地中に埋め立てた際に、可溶性
充填材が流出することにより粉砕後の廃棄物に広い表面
積が与えられるものであったが、コア部の強度が十分に
保証されるのであれば、無機バルーンなどの気孔形成材
によって予め多数の気孔が設けられたコア部を備えたも
のであっても構わない。そのようにしても地中に埋め立
てた際に生分解が促進され、より迅速に略完全に分解さ
れる。
【0040】また、前述の実施例では、砥粒が無機結合
剤により結合されて成るビトリファイド砥石組織を有す
る外周砥石部12を備えた砥石車10に本発明が適用さ
れた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、たとえば、砥粒が合成樹脂により結合されて
成るレジノイド砥石組織を有する外周砥石部12を備え
た砥石車に用いられても良いし、また、CBN砥粒また
はダイヤモンド砥粒等の超砥粒が用いられた超砥粒ホイ
ールにも好適に用いられるものである。
【0041】また、前述の実施例では、コア部14の材
料の例として、ポリL乳酸樹脂、酢酸セルロース樹脂、
ポリカプロラクトン樹脂が挙げられているが、本発明は
これに限られるものではなく、比強度が12以上である
生分解性樹脂であればコア部14の材料として好適に用
いられる。
【0042】また、前述の実施例において、図2、図
5、および図6に示す製造工程では、砥石部成形工程P
2において円環状の成形体がプレス成形され、続く砥石
部焼成工程P3を経ることにより円環状の外周砥石部1
2を得るものであったが、たとえば、CBN砥粒または
ダイヤモンド砥粒等の超砥粒が用いられた超砥粒ホイー
ルでは、ビトリファイドボンド、レジンボンド、または
メタルボンド等により超砥粒が相互に結合された複数の
セグメント砥石がコア部の外周面に接着剤で固定されて
形成されるものが多く、本発明はかかる超砥粒ホイール
にも好適に用いられるものである為、砥石部成形工程P
2において成形される砥石部成形体の形状は円環状には
限られない。
【0043】その他一々例示はしないが、本発明はその
趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられ
て実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である砥石車を示す斜視図で
ある。
【図2】本発明の一実施例である砥石車の製造工程の要
部を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施例である砥石車の製造工程の要
部を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例である砥石車を示す図であ
り、(a)は平面図、(b)は(a)の一点鎖線で切断
して示す視断面図である。
【図5】本発明の一実施例である砥石車の他の製造工程
の要部を示す工程図である。
【図6】本発明の一実施例である砥石車のさらに別の製
造工程の要部を示す工程図である。
【図7】本発明のさらに別の実施例である砥石車を示す
図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一点鎖線
で切断して示す視断面図である。
【図8】本発明のさらに別の実施例である砥石車を示す
図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の一点鎖線
で切断して示す視断面図である。
【符号の説明】
10、50、60、70:砥石車 12:外周砥石部 14、52、62、72:コア部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円環状の外周砥石部の内側に、専ら該外
    周砥石部を支持する為のコア部を有する砥石車であっ
    て、 該コア部は、比強度が12以上である生分解性樹脂から
    なるものであることを特徴とする砥石車。
  2. 【請求項2】 前記生分解性樹脂は、ポリ乳酸樹脂であ
    る請求項1の砥石車。
  3. 【請求項3】 前記コア部は、ガラス繊維、砥材をはじ
    めとする無機充填材を骨材としてさらに含むものである
    請求項1または2の砥石車。
  4. 【請求項4】 前記コア部は、糖類、無機塩類をはじめ
    とする可溶性充填材をさらに含むものである請求項1か
    ら3の何れかの砥石車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015171739A (ja) * 2014-03-12 2015-10-01 豊田バンモップス株式会社 研削用砥石
CN110421494A (zh) * 2019-08-05 2019-11-08 衢州学院 一种基于溶胶凝胶法的树脂金属复合镜面磨削砂轮及其制备方法
US11642708B2 (en) 2019-02-25 2023-05-09 Panasonic Holdings Corporation Used paper diaper processing apparatus

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