JP2003187421A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板

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JP2003187421A
JP2003187421A JP2002257620A JP2002257620A JP2003187421A JP 2003187421 A JP2003187421 A JP 2003187421A JP 2002257620 A JP2002257620 A JP 2002257620A JP 2002257620 A JP2002257620 A JP 2002257620A JP 2003187421 A JP2003187421 A JP 2003187421A
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magnetic disk
texture
manufacturing
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JP2002257620A
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Yasuhiro Saito
靖弘 斉藤
Koji Okuhata
浩治 奥畑
Kazuishi Mitani
一石 三谷
Toshiaki Hashimoto
敏昭 橋本
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異方性の低下を招くことなく円周方向テクス
チャーを形成することによって磁気保持力の大きい磁気
ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
は、磁気ディスク用ガラス基板の機械的強度を化学的に
強化する化学強化工程の後に、円形状に成形加工された
ガラス板の主表面にダイヤモンドスラリーを供給しなが
らテープを用いて主表面の円周方向にライン状のテクス
チャーを形成するテクスチャー処理工程を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク用ガ
ラス基板の製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板に関
する。さらに詳述すれば、磁気ヘッドの浮上量を小さく
でき、高速回転での長時間の使用によっても磁気記録情
報の消失や減衰がない信頼性の高い磁気ディスクを得る
ための磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気デ
ィスク用ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報のデジタル化の進展は目覚し
く、そのデジタル情報を保存する各種の情報記録装置が
開発されている。これらの情報記録装置の改良や進歩は
まさに日進月歩であり、情報記憶容量及び記録情報の再
生速度が年率数十%の割合で向上している。これらの情
報記録装置の中でも現在最も広く使用されているものは
磁気ディスク装置であり、その改良速度は他の情報記録
装置よりも大きい。
【0003】このような状況の中、磁気ディスク装置に
は、より高記録密度化に対応できる磁気記録媒体(磁気
ディスク)が要求されている。この要求に対応するため
に、磁気ディスク用の基板にも高い平坦性、平滑性、そ
して剛性が求められるようになってきた。このため、従
来はアルミニウム基板が主流であったが、最近では、研
磨・研削性能が容易なガラス基板が主流になりつつあ
る。
【0004】アルミニウム基板の場合は、通常、アルミ
ニウム基板上に主としてNiPなどのNi系合金層を形
成した後、研削などのメカニカルな手法によって円周に
沿う方向の異方性テクスチャー(円周方向テクスチャ
ー)を形成する。このテクスチャー上にCr系下地層、
Co系磁気記録層を形成した磁気ディスクが一般的に製
造されている。このような磁気ディスクの場合、円周に
沿う方向(円周方向)の磁気の保持力が高くなる磁気異
方性を有する配向媒体が形成される。
【0005】これに対し、ガラス基板の場合は、これま
では平滑面、あるいはエッチング処理やスパッタリング
によって形成された等方的なテクスチャー面上に磁気記
録層を形成する為に、上記のアルミニウム基板のように
円周方向に対して磁気的な異方性を有さない等方媒体が
形成されている。
【0006】しかしながら、デジタル情報の高記録密度
化に伴う最大の課題、すなわち、磁気記録サイズが微小
化することによって常温に於いて磁化反転が起こり易く
なる為に、書き込んだ信号が消失したり、減衰すること
があり、最悪の場合には磁気記録ができなくなるという
問題が存在する。この問題に対しては等方媒体よりも配
向媒体の方が、記録情報の経時変化に対する消失や減衰
に対するマージンが大きい(H. Akimoto et al,J.Magn.
Magn.Mater,193(1999)240-244)。従って、配向媒体を
用いて作製された磁気ディスク装置は、等方媒体を用い
て作製された磁気ディスク装置よりも高い信頼性を確保
することができる。
【0007】このような事情からガラス基板に対して
も、アルミニウム基板と同様、ニッケル/リンを成膜し
てガラス基板の円周方向にテクスチャーを形成する例が
ある。円周方向のテクスチャーを形成したガラス基板を
用いると、磁気記録媒体に配向性が形成されることによ
って磁気特性が向上するだけでなく、情報記録装置の磁
気ヘッドの浮上安定性も向上する。ところが、テクスチ
ャー処理前にガラス基板の主表面に存在する微小うねり
は、平滑研磨によって形成されたものであり、円周方向
とは無関係な方向に周期的に形成されているために、磁
気ヘッドにゆらぎが生じて浮上安定性は十分に向上しな
かった。従って、微小うねりを低減すれば、テクスチャ
ーによるヘッドの浮上安定効果との相乗効果によって、
浮上高さが低い場合においても浮上安定性を飛躍的に向
上させることが可能になる。
【0008】しかしながら、ニッケル/リンの膜の上に
形成したメカニカルテクスチャーは、その形成過程にお
いて異物やゴミが発生しやすく、媒体製造時の歩留まり
が低下するうえに、コストアップにもつながるという問
題があった。そこで、ガラス基板表面に、直接に異方性
のテクスチャーを形成する技術の検討がなされ始め、最
近ではガラスに対する研磨力の高い酸化セリウムをダイ
ヤモンドスラリーに混合する方法(例えば、特許文献1
参照)が提供されている。
【0009】また、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナト
リウム水溶液等の水酸基を有する溶液を含有するスラリ
ーを用いることにより、機械的な加工力に化学的な作用
を付与するなどの技術も提案されている(例えば、特許
文献1及び2参照)。これらの技術によれば、アルミニ
ウム基板に比べて硬度の高いガラス表面にも微細なテク
スチャーを形成できる。
【0010】
【特許文献1】特開2001−101656号公報
【特許文献2】特開2000−301441号公報
【特許文献3】特開2001−9694号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気デ
ィスク基板では、必要とされる機械的強度や清浄度を満
たすために化学強化処理のほか、酸やアルカリの水溶液
を用いた種々の洗浄が施されるが、円周方向テクスチャ
ーは極めて微細であるため、これらの工程の機械的・化
学的な作用で形状が容易に変化してしまう。このため、
従来から知られている円周方向テクスチャー基板の製造
プロセスでは、磁気ディスク基板に要求される機械的強
度や洗浄品質を満足しつつ、上記磁気特性の向上に必要
な精密に形成された円周方向テクスチャーを得ることは
できなかった。
【0012】また、磁気ディスク用基板では、要求され
る平滑性を確保するためにテクスチャー処理に先立って
酸化セリウム系の砥粒を含有するスラリーを用いた平滑
研磨が施されるが、その方法としては、スエードパッド
を貼り付けた上定盤および下定盤の間にガラス基板を挟
み、公転と自転を組み合せてそれらを回転させながら研
磨する両面研磨機を用いるのが一般的である。このとき
にガラス表面には研磨痕とよばれる筋状の凹凸や微小な
うねりがランダムに形成される。一方、ガラス基板はア
ルミ基板に比べて硬度が高いので、従来のテクスチャー
処理によるガラス表面の研削量が数nm程度と僅かなも
のに過ぎない。このため、テクスチャー形状は、平滑研
磨後の面粗さの影響を強く受け、特に、ランダムな方向
に形成された筋状の研磨痕や微小うねりによって、微小
な円周方向テクスチャーが分断されて異方性が低下する
という問題があった。
【0013】上記円周方向テクスチャーを形成する際の
問題点に鑑み、本発明の目的は、異方性の低下を招くこ
となく円周方向テクスチャーを形成することによって磁
気保持力の大きい磁気ディスク用ガラス基板及びその製
造方法を提供することにある。
【0014】さらに、本発明の目的は、磁気ディスク装
置の磁気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷する、い
わゆるヘッドクラッシュの発生率が小さい磁気ディスク
用ガラス基板及びその製造方法を提供することにある。
【0015】さらに、本発明の目的は、低く浮上してい
る磁気ヘッドに起こり易い「ゆらぎ」を小さくすること
ができる磁気ディスク用ガラス基板及びその製造方法を
提供することにある。
【0016】すなわち、本発明の目的は、円周方向にテ
クスチャーが形成されることにより磁気保持力が大きい
磁気記録層を被覆できるガラス基板を提供することであ
り、また、本発明の目的は、磁気ディスクの記録面に存
在する異常突起物を極力なくすことにより、磁気記録ヘ
ッドのいわゆるクラッシュ発生確率を小さくした磁気デ
ィスク用ガラス基板を提供することであり、さらに、本
発明の目的は、円周方向に形成する尾根状のテクスチャ
ーに関して、異常な高さのテクスチャーの数を少なくす
ることにより、低く浮上している磁気記録ヘッドの安定
性、すなわち磁気記録ヘッド自体がゆらぎながら浮上し
ていることの防止を可能にするガラス基板を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方
法は、円形状に成形加工されたガラス板の主表面にダイ
ヤモンドスラリーを供給しながらテープを用いて前記主
表面の円周方向にライン状のテクスチャーを形成するテ
クスチャー処理工程を有する磁気ディスク用ガラス基板
の製造方法において、前記テクスチャー処理工程は、磁
気ディスク用ガラス基板の機械的強度を化学的に強化す
る化学強化工程の後に実行することを特徴とする。
【0018】請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板
の製造方法によれば、テクスチャー処理工程は、磁気デ
ィスク用ガラス基板の機械的強度を化学的に強化する化
学強化工程の後に実行するので、テクスチャー処理工程
によって形成されたテクスチャーの形状が化学強化工程
によって変形を受けることはありえない。従って、異方
性の低下を招くことなく磁気保持力の大きい磁気ディス
ク用ガラス基板を製造できる。
【0019】請求項2記載の製造方法は、請求項1記載
の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記
テクスチャー処理工程に続いて、中性の水溶液及びアル
カリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面に供給し
ながら前記テープを用いて前記主表面の円周方向に擦る
テープ洗浄工程と、中性の水溶液及びアルカリ性の水溶
液の少なくとも一方を前記主表面に供給しながらスクラ
ブ部材を用いて前記主表面を擦るスクラブ洗浄工程とを
実行することを特徴とする。
【0020】請求項2記載の製造方法によれば、テクス
チャー処理工程に続いて、中性の水溶液及びアルカリ性
の水溶液の少なくとも一方を主表面に供給しながらテー
プを用いて主表面の円周方向に擦るテープ洗浄工程と、
中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方
を主表面に供給しながらスクラブ部材を用いて主表面を
擦るスクラブ洗浄工程とを実行するので、テクスチャー
形状の変化を最小限に抑制した洗浄ができるとともに、
テクスチャー処理によって形成された尾根状の異常突起
を効率的に除去できる。従って、磁気ディスク装置の磁
気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷するヘッドクラ
ッシュの発生率が小さく、かつ、低浮上している磁気ヘ
ッドに起こるゆらぎが小さい磁気ディスク用ガラス基板
を製造できる。
【0021】請求項3記載の製造方法は、請求項2記載
の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記
スクラブ洗浄工程は、前記主表面を前記円周方向に交差
する方向に擦ることを特徴とする。
【0022】請求項3記載の製造方法によれば、スクラ
ブ洗浄工程は、前記主表面を前記円周方向に交差する方
向に擦るので、テクスチャー形状の変化を最小限に抑制
した洗浄ができるとともに、テクスチャー処理によって
形成された尾根状の異常突起をより効率的に除去でき
る。従って、磁気ディスク装置の磁気ヘッドが磁気ディ
スクに衝突して損傷するヘッドクラッシュの発生率がよ
り小さく、かつ、低浮上している磁気ヘッドに起こるゆ
らぎがより小さい磁気ディスク用ガラス基板を製造でき
る。
【0023】請求項4記載の製造方法は、請求項2又は
3記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法におい
て、前記スクラブ洗浄工程に続いて、中性の水溶液及び
アルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面に供
給しながら該主表面に超音波を当てて洗浄する超音波洗
浄工程を実行することを特徴とする。
【0024】請求項4記載の製造方法によれば、スクラ
ブ洗浄工程に続いて、中性の水溶液及びアルカリ性の水
溶液の少なくとも一方を主表面に供給しながら該主表面
に超音波を当てて洗浄する超音波洗浄工程を実行するの
で、一般的異物を完全に除去することができる。これに
より、より良い洗浄ができる。
【0025】請求項5記載の製造方法は、請求項2乃至
4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の
製造方法において、前記スクラブ部材は、アスカ−C硬
度が40以上のスポンジであることを特徴とする。
【0026】請求項5記載の製造方法によれば、スクラ
ブ部材は、アスカ−C硬度が40以上のスポンジである
ので、尾根状の異常突起の除去効率を確実に高めること
ができる。
【0027】請求項6記載の製造方法は、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の
製造方法において、前記テクスチャー処理工程に先行す
る、研磨部材を用いて前記主表面を平滑に研磨する平滑
研磨工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した
前記主表面の粗さの平均値(Ra)を0.35nm以下
にすることを特徴とする。
【0028】請求項6記載の製造方法によれば、テクス
チャー処理工程に先行する、研磨部材を用いて主表面を
平滑に研磨する平滑研磨工程を有し、該平滑研磨工程
は、AFMで測定した主表面の粗さの平均値(Ra)を
0.35nm以下にするので、ライン状のテクスチャー
の線密度が高くなるとともにテクスチャーの線長さが長
くなり、磁気特性を向上できることとなる。
【0029】請求項7記載の製造方法は、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の
製造方法において、前記テクスチャー処理工程に先行す
る、研磨部材を用いて前記主表面を平滑にする平滑研磨
工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した前記
主表面の粗さの平均値(Ra)を0.25nm以下にす
ることを特徴とする。
【0030】請求項7記載の製造方法によれば、テクス
チャー処理工程に先行する、研磨部材を用いて主表面を
平滑にする平滑研磨工程を有し、該平滑研磨工程は、A
FMで測定した主表面の粗さの平均値(Ra)を0.2
5nm以下にするので、テクスチャーの線密度がより高
くなるとともに線長さがより長くなり、磁気特性をより
向上できることとなる。
【0031】請求項8記載の製造方法は、請求項7に記
載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前
記平滑研磨工程は、酸化セリウムを含有するスラリーを
前記主表面に供給しながら該主表面を研磨した後、コロ
イダルシリカを前記主表面に供給しながら該主表面を研
磨することを特徴とする。
【0032】請求項8記載の製造方法によれば、平滑研
磨工程は、酸化セリウムを含有するスラリーを主表面に
供給しながら該主表面を研磨した後、コロイダルシリカ
を主表面に供給しながら該主表面を研磨するので、Ra
を0.2nm以下にできる。これにより、テクスチャー
処理工程後のテクスチャーの線密度がさらに高くなる。
この結果、磁気特性がさらに向上することとなる。
【0033】請求項9記載の製造方法は、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の
製造方法において、前記平滑研磨工程は、前記主表面に
おける0.2〜1.4mmの波長のうねりの非接触光干
渉計で測定した平均値(Ra)を0.25nm以下にす
ることを特徴とする。
【0034】請求項9記載の製造方法によれば、平滑研
磨工程は、主表面における0.2〜1.4mmの波長の
うねりの非接触光干渉計で測定した平均値(Ra)を
0.25nm以下にするので、ヘッドの浮上安定性を向
上できる。
【0035】請求項10記載の製造方法は、請求9記載
の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記
研磨部材は、アスカーC硬度が73以上のスエードパッ
ドであることを特徴とする。
【0036】請求項10記載の製造方法によれば、研磨
部材は、アスカーC硬度が73以上のスエードパッドで
あるので、うねりをより微小にできる。
【0037】上記目的を達成するために、請求項11記
載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、円形状に
成形加工されたガラス板の主表面にダイヤモンドスラリ
ーを供給しながらテープを用いて前記主表面にライン状
のテクスチャーを形成するテクスチャー処理工程を有す
る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記
テクスチャー処理工程は、前記テクスチャーを前記主表
面の円周方向に形成することを特徴とする。
【0038】請求項12記載の製造方法は、請求項11
記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記テクスチャー処理工程に続いて、中性の水溶液及び
アルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面に供
給しながら前記テープを用いて前記主表面の円周方向に
擦るテープ洗浄工程と、中性の水溶液及びアルカリ性の
水溶液の少なくとも一方を前記主表面に供給しながらス
クラブ部材を用いて前記円周方向に交差する方向に前記
主表面を擦るスクラブ洗浄工程とを実行することを特徴
とする。
【0039】請求項13記載の製造方法は、請求項12
記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記スクラブ洗浄工程に続いて、中性の水溶液及びアル
カリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面に供給し
ながら該主表面に超音波を当てて洗浄する超音波洗浄工
程を実行することを特徴とする。
【0040】請求項14記載の製造方法は、請求項12
又は13記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に
おいて、前記スクラブ部材は、アスカ−C硬度が40以
上のスポンジであることを特徴とする。
【0041】請求項15記載の製造方法は、請求項11
乃至14のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス
基板の製造方法において、前記テクスチャー処理工程に
先行する、研磨部材を用いて前記主表面を平滑に研磨す
る平滑研磨工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測
定した前記主表面の粗さの平均値(Ra)を0.35n
m以下にすることを特徴とする。
【0042】請求項16記載の製造方法は、請求項11
乃至14のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス
基板の製造方法において、前記テクスチャー処理工程に
先行する、研磨部材を用いて前記主表面を平滑にする平
滑研磨工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定し
た前記主表面の粗さの平均値(Ra)を0.25nm以
下にすることを特徴とする。
【0043】請求項17記載の製造方法は、請求項16
記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、
前記平滑研磨工程は、酸化セリウムを含有するスラリー
を前記主表面に供給しながら該主表面を研磨した後、コ
ロイダルシリカを前記主表面に供給しながら該主表面を
研磨することを特徴とする。
【0044】請求項18記載の製造方法は、請求項11
乃至17のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス
基板の製造方法において、前記平滑研磨工程は、前記主
表面における0.2〜1.4mmの波長のうねりの非接
触光干渉計で測定した平均値(Ra)を0.25nm以
下にすることを特徴とする。
【0045】請求項19記載の製造方法は、請求18記
載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前
記研磨部材は、アスカーC硬度が73以上のスエードパ
ッドであることを特徴とする。
【0046】上記目的を達成するために請求項20記載
の磁気ディスク用ガラス基板は、請求項1乃至19のい
ずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方
法により製造された磁気ディスク用ガラス基板であっ
て、前記ガラス基板の主表面に形成されたライン状のテ
クスチャーは、AFMで測定した線密度が5000〜4
0000本/mm、Raが0.2〜0.9nm、テクス
チャーの最大高さから最小高さを引いた値(Rmax)
が10nm以下であることを特徴とする。
【0047】請求項20記載の磁気ディスク用ガラス基
板によれば、ガラス基板の主表面に形成されたライン状
のテクスチャーは、AFMで測定した線密度が5000
〜40000本/mm、Raが0.2〜0.9nm、テ
クスチャーの最大高さから最小高さを引いた値(Rma
x)が10nm以下であるので、磁気保持力が大きく、
磁気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷するヘッドク
ラッシュの発生率が小さく、低浮上している磁気ヘッド
に起こるゆらぎが小さい磁気ディスクを製造できること
となる。
【0048】請求項21記載の磁気ディスク用ガラス基
板は、請求項20記載の磁気ディスク用ガラス基板にお
いて、前記ライン状のテクスチャーの平均長さが0.3
mm以上であることを特徴とする。
【0049】請求項21記載の磁気ディスク用ガラス基
板によれば、ライン状のテクスチャーの平均長さが0.
3mm以上であるので、良好な異方性が得られ、磁気デ
ィスクの磁気膜の配向性を向上させることができること
となる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を図面を参照しな
がら詳細に説明する。
【0051】図1は、本発明の実施の形態に係る磁気デ
ィスク用ガラス基板の製造方法の工程を示す工程図であ
る。
【0052】円盤加工工程P1の前にガラスが板状に作
られる。この方法は特に限定されず、フロート法のほ
か、ダウンドロー法、リドロー法、プレス法などいかな
る方法でも用いることができる。
【0053】ガラスの種類はとくに限定されるものでは
なく、例えば二酸化ケイ素、アルカリ金属酸化物、及び
アルカリ土類金属酸化物が主成分であるソーダライムガ
ラス、また、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びア
ルカリ金属酸化物が主成分であるアルミノシリケートガ
ラス、あるいは、二酸化ケイ素及びボロン酸化物が主成
分であるボロシリケートガラス、あるいは、酸化リチウ
ム及び二酸化珪素が主成分であるLi2O−SiO2系ガ
ラス、あるいは、酸化リチウム、二酸化珪素、及び酸化
アルミが主成分であるLi2O−Al23−SiO2系ガ
ラス、あるいは、アルカリ土類金属酸化物等、酸化アル
ミニウム、及び二酸化珪素が主成分であるRO−Al2
3−SiO2系ガラス(ただし、ROは酸化マグネシウ
ムMgO、酸化カルシウムCaO、酸化ストロンチウム
SrO、酸化バリウムBaO、酸化亜鉛ZnO、酸化ニ
ッケルNiO、酸化マンガンMnO等)等の結晶化ガラ
スが挙げられる。酸化アルミニウム、アルカリ金属酸化
物およびアルカリ土類金属酸化物は、酸水溶液中で溶解
し易い成分であり、これらを成分として適度に含むもの
は、エッチング加工が比較的に容易である。このような
ガラスとして、例えば以下の組成成分の含有率で表され
るアルミノシリケート系ガラスが挙げられる。
【0054】なお、以下「%」は、特に注釈のない限り
モルパーセント(mоl%)である。
【0055】二酸化ケイ素(SiO2):55〜70
%、酸化アルミニウム(Al23):1〜12.5%、
酸化リチウム(Li2O):5〜20%、酸化ナトリウ
ム(Na2O):0〜14%、酸化カリウム(K2O):
0〜3%、酸化マグネシウム(MgO):0〜8%、酸
化カルシウム(CaO):0〜10%、酸化ストロンチ
ウム(SrO):0〜6%、酸化バリウム(BaO):
0〜2%、二酸化チタン(TiO2):0〜8%および
酸化ジルコニウム(ZrO2):0〜4% 上記のような組成成分を有するガラスを板状にしたガラ
ス板は円盤加工工程P1において、超硬合金あるいはダ
イヤモンドのカッターを用いて、ドーナツ状に加工され
る。ガラス板をドーナツ状に加工する方法は限定され
ず、例えば、先ず外径だけ切断し、その後円筒形のダイ
ヤモンド砥石を用いて、内径を切断しても良いし、プレ
ス法で外径を所望の寸法に作製しておき、内径だけをダ
イヤモンド砥石で穴開けしても良い。
【0056】上記のように加工されたドーナツ状ガラス
基板は、次の内外周端面面取工程P2において、その外
径及び内径の寸法を正確に製品寸法に合わせるために、
内外周に研削加工が施される。研削加工の方法も特に限
定されない。通常、ダイヤモンド砥粒を付着させた砥石
を用いて研削加工が行われる。この研削加工と同時に、
研削砥石を製品に所定形状を出るように作製しておき、
内外周の面取加工を施すことができる。端面の加工と面
取加工とは同時に行っても良いし、別々に行っても良
い。内外周端面面取り工程P2の後に、端面・面取面の
粗さを滑らかにするために、セリウム研磨剤を用いて端
面・面取面を研磨しても良い。
【0057】次に、必要に応じてガラス基板の厚味を揃
えたり、ガラス基板の主表面の欠陥を除去するために、
アルミナ砥粒など用いて粗研磨処理(主表面粗研磨工程
P3)を行ってもよい。また、粗研磨処理は、内外周端
面面取工程P2の前に行っても良く、或いは、1段目の
粗研削を内外周端面面取工程P2の前に行い、2段目の
粗加工を内外周端面面取工程P2の後に行ってもよい。
【0058】次に、磁気ディスク基板に要求される平坦
性を確保するために、平滑研磨工程P4によってガラス
基板の主表面を平滑に研磨することが好ましい。この工
程で使用する研磨剤の種類は特に限定されないが、通
常、ガラスに対して高い研磨力を有する酸化セリウム系
の研磨剤が使われる。また、研磨剤のサイズも特に限定
されないが、研磨後の主表面に要求される平滑性と生産
性の面から要求される研磨速度とを両立するために、通
常、平均粒径が0.1〜3μm程度である研磨剤が使用
される。研磨方法も特に限定されないが、人工皮革パッ
ド、スエードパッド、表面がエステル系やエーテル系の
樹脂のパッド等(研磨部材)を上定盤および下定盤に貼
り付けた両面研磨機を用いれば、低コストで両面を精密
に研磨することができる。また、平滑性と研磨速度とを
両立させるために研磨剤や研磨速度等が異なる2段階の
研磨処理を行っても良い。
【0059】また、平滑研磨工程P4に使用する研磨パ
ッドは特に限定されないが、日本ゴム協会標準規格SR
ISO101のアスカーC硬度が70以上の人工皮革パ
ッド、スエードパッド等を用いた場合には、生じるうね
りが小さくなるので、それらを使用することが好まし
い。
【0060】またさらに、上記酸化セリウム系研磨剤に
よる研磨の後に、コロイダルシリカによって再研磨する
ことによって平滑性をより高めることができる。これに
より、テクスチャーの線密度をより高くすることができ
る。コロイダルシリカの粒径は特に限定されないが、通
常、平均粒径が10〜100nm程度であるシリカ粒子
が用いられる。また、研磨の方法も限定されず、要求さ
れる平滑性が得られる方法であればいかなる方法も適用
することができる。例を挙げれば、上述の両面研磨機の
ほか、ガラス基板を片面ずつ研磨する片面研磨機を使用
してもよい。また、複数のガラス基板を同時に研磨する
ロット処理をしてもよく、ガラス基板を1枚ずつ研磨す
る枚葉式で処理してもよい。
【0061】上記平滑研磨工程P4の後、主鏡面に残留
するスラリー等を除去するために洗浄が施される(スク
ラブ洗浄工程P5)。洗浄方法は特に限定されないが、
残留している研磨剤は、続いて行われる化学強化工程P
6で主表面に固着して、除去することが困難になるた
め、水と洗剤だけの簡単な洗浄だけではなく、表面を柔
らかい樹脂等(スクラブ部材)で擦って残留研磨剤等の
付着物を機械的に除去すると共に、酸性水溶液やアルカ
リ性水溶液および純水を適当に組み合わせて、さらに超
音波も印加しながら、精密に洗浄することが好ましい。
【0062】次に、ガラス基板の取り扱い時の機械的な
衝撃や、ガラス基板表面に磁気膜等の膜を形成する際に
受ける熱衝撃、あるいはハードディスクドライブに組み
込まれた後の長期間の使用における信頼性を高めるため
に、化学強化処理が施される(化学強化工程P6)。化
学強化処理の方法は特に限定されない。化学強化処理
は、例えば、400℃程度の温度に加熱して溶融状態に
した硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混塩の中に、ガラ
ス基板を数時間浸漬する。これにより、ガラス基板表面
の約100μmの深さまでガラス成分のリチウム及びナ
トリウム双方と強化塩中のカリウムとのイオン交換が行
われ、磁気ディスク基板に必要とされる機械的強度を得
ることができる。その後、50〜80℃の温水の中に1
時間程度浸漬させることで表面に残存している強化塩を
溶解することができる。
【0063】この化学強化工程P6の後にテクスチャー
処理工程P7が行われ、ガラス基板にテクスチャー処理
が施される。このテクスチャー処理は、ガラス基板の円
周に沿う方向に円形のテクスチャーを形成する(円周状
テクスチャー処理)。テクスチャー処理は化学強化工程
P6の後に行われることが好ましいが、化学強化工程P
6の前に行ってもよい。また、化学強化処理を行わずに
スクラブ洗浄工程P5の後にテクスチャー処理を行って
もよい。ただし、化学強化処理の前にテクスチャー処理
を行うと化学強化処理でテクスチャーの形状が変化する
ことがある。化学強化処理の後にテクスチャー処理を施
すことにより、テクスチャー形状の制御性を高め、か
つ、線密度が高く、線長さの長いテクスチャーを形成す
ることができる。また、化学強化工程P6とテクスチャ
ー処理工程P7との間に、化学強化工程P6において付
着した汚れを除去するため、必要に応じて酸性の水溶液
やアルカリ性の水溶液を用いた超音波洗浄やブラシスク
ラブなどの洗浄を必要に応じて行ってもよい。
【0064】なお、化学強化処理の前後でテクスチャー
形状が変化する事実は、本発明者の実験事実から初めて
明らかになった知見であり、その理由は明らかでない点
もあるが、ガラス基板表面にダイヤモンド砥粒スラリー
を用いてライン状のテクスチャーを形成すると、硬度の
高いダイヤモンドによってガラス表面に機械的な応力が
加わり、表面に残留歪みが形成される。この残留歪みが
形成された部分(圧縮層)では、ガラスの構造が圧縮さ
れて正常部分よりも密度が高い状態になっている。特に
ライン状テクスチャーの谷の部分での残留歪みが激し
く、化学強化処理における熱により圧縮層が緩和されて
その部分の体積がほかの部分に比べて膨張する。その結
果、化学強化処理の前にテクスチャーを形成した場合
は、化学強化処理によりテクスチャーの谷の部分が膨張
し、テクスチャーの尾根の部分との高低差が小さくなっ
てテクスチャー形状が失われる方向に形状が変化すると
推定される。
【0065】テクスチャー処理は、ガラス板の主表面に
ダイヤモンドスラリーおよびテープを用いて行うことが
できる。テクスチャー処理を行う装置は特に限定され
ず、アルミニウム基板のテクスチャー処理などで用いら
れる、いわゆるテクスチャーマシンによって加工するこ
とができる。
【0066】図2は、テクスチャー処理を例示する模式
図である。
【0067】ガラス基板10の上方にローラ20が配さ
れている。ローラ20の回転軸の方向はガラス基板10
の半径方向に一致している。ガラス基板10とローラ2
0との間にはテープ30が通っており、テープ30はロ
ーラ20によってガラス基板10の主表面11に押圧さ
れている。
【0068】テクスチャー処理中は、上方から主表面1
1にスラリー40が供給されるとともに、ガラス基板1
0は矢印A方向に回転され、テープ30は矢印B方向に
引き出される。これにより、主表面11にテクスチャー
が形成される。
【0069】このテクスチャー処理に用いるテープ30
の材質は特に限定されず、ポリエチレン製繊維など、こ
の種の処理に使われるものであればいかなるものも用い
ることができる。また、スラリー40にはダイヤモンド
砥粒が含まれる。このダイヤモンド砥粒の粒径、形状は
特に限定されず、要求されるテクスチャーの線密度に応
じて適宜選定することができる。また、ダイヤモンド砥
粒の結晶性も限定されず、単結晶のほか、多結晶のもの
も用いることができる。また、研削力を高めるためにダ
イヤモンドのほかに、酸化セリウムや酸化マンガンなど
の砥粒を加えても良いし、アルカリ剤を添加してもよ
い。
【0070】なお、ダイヤモンド砥粒の粒径は、平均粒
径(D50)で0.09〜0.3μmの範囲が好ましい。
粒径が0.09μmより小さい場合はテクスチャーの形
成能が小さくなる。即ち、研削速度が小さくなって、テ
クスチャー加工コストの増大を齎すので好ましくない。
このような観点から、ダイヤモンドスラリーに含有させ
るダイヤモンド砥粒の平均粒径は、0.09μm以上、
さらには、0.15μm以上とするのが好ましい。
【0071】一方、ダイヤモンド砥粒の平均粒径は、半
径方向のテクスチャー線密度を大きくするために、小さ
な尾根を単位長さ当り多数形成する観点から、0.3d
μm以下とするのが好ましく、さらに、0.25μm以
下とするのが好ましい。
【0072】ダイヤモンド砥粒を分散させるための溶液
も特に限定されない。ダイヤモンド砥粒の分散性を向上
させるために界面活性剤を加えてもよい。
【0073】また、テクスチャーの加工条件も特に限定
されず、目的とするテクスチャー形状、密度、長さに応
じて選定することができる。例として、表1のaやbの
条件が挙げられる。
【0074】
【表1】 テクスチャー加工を施した後は、ダイヤモンドスラリー
などテクスチャー加工工程において発生した異物を除去
するために精密な洗浄が行われる。その洗浄方法は特に
限定されないが、以下の方法を適用すれば、テクスチャ
ー形状をほとんど変化させることなく、高い清浄度が得
られる。先ず、中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の
少なくとも一方を洗浄液としてガラス基板の主表面に供
給しながらテープ状のフィルムを主表面に押し付けてガ
ラス基板の円周に沿う方向(円周方向)に擦るテープ洗
浄を施す(テープ洗浄工程P8)。これにより、主表面
に強く付着したダイヤモンド砥粒は、テープによる物理
的洗浄力によってテクスチャーを傷付けることなく効率
的に除去できる。
【0075】また、円周方向に擦ることとしたのは、洗
浄に起因するテクスチャー形状の変化を最小限に抑制す
るためである。円周以外の方向に擦ると、テクスチャー
処理で主表面に多量に付着したダイヤモンドスラリーが
テクスチャー形状を破壊する虞があるからである。
【0076】このテープ洗浄はテクスチャー形成と同様
の装置を用いて行うことができる。テープ洗浄を行う際
の条件は特に限定されず、例えば、表2に示す条件の基
で行われる。
【0077】
【表2】 テープ洗浄を施した後に、ガラス基板の円周方向に交差
する方向でスクラブ洗浄を行う(スクラブ洗浄工程P
9)ことによって尾根状に形成された異常突起を効率的
に除去できる。このスクラブ洗浄に用いるスポンジの材
質は特に限定されないが、アスカー硬度が40以上の硬
質スポンジを用いることによって尾根状の突起が効率よ
く除去できる。スクラブ時の圧力や基板の回転数などの
スクラブ条件は特に限定されず、汚れの残留程度に応じ
て選定すればよい。このスクラブ洗浄で主表面に供給す
る洗浄液は、中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少
なくとも一方である。
【0078】このスクラブ洗浄を円周方向に交差する方
向に施すのは、テクスチャー処理によって形成された尾
根状の異常突起を効率的に除去するためである。ここで
尾根状の突起とは、周辺の平均高さよりも異常に高いラ
イン状に形成された突起であり、この突起が残存してい
ると磁気ヘッドの浮上安定性に悪影響を及ぼす。このよ
うな尾根状の突起は、ダイヤモンド砥粒による機械加工
によって円周方向に形成されている。このため、円周方
向に交差する方向にスクラブすることによって効率的に
除去することができる。
【0079】また、このスクラブ洗浄をテープ洗浄の後
に行うのは、上述のごとく、ダイヤモンドスラリーが多
量に付着している状態で円周方向とは異なる方向にガラ
ス表面を擦るとテクスチャー形状を破壊することがある
ためである。
【0080】また、洗浄液を中性の水溶液及びアルカリ
性の水溶液の少なくとも一方としたのは、酸性の薬液を
使用した場合に、本発明者らが発見した上記残留歪みに
対して不均一なエッチングが起こり、テクスチャー形状
が大きく変化するためである。上述のようにテープ洗浄
とスクラブ洗浄を順次施すことにより、中性やアルカリ
性の洗浄液によって必要とする洗浄品質を得ることがで
きる。
【0081】さらに、このスクラブ洗浄の後に超音波洗
浄を施してもよい。この超音波洗浄を施すことによっ
て、テープ洗浄工程P8やスクラブ洗浄工程P9によ
り、テープ洗浄工程P8やスクラブ洗浄工程P9で発生
した削り屑などの砥粒以外の一般異物など比較的付着力
の弱い異物を完全に除去することができる。
【0082】また、洗浄液は、上述の理由により中性の
水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を用い
るのが好ましい。
【0083】以上のように、本発明では、テクスチャー
処理の後は中性またはアルカリ性の洗浄液あるいはそれ
ら双方を用いるが、界面活性剤やキレート剤、有機溶剤
など、通常、ガラスの洗浄に使われるものであればいか
なるものも添加することができる。
【0084】超音波の周波数や出力、洗浄時間、洗浄温
度などの条件は特に限定されないが、ダメージやテクス
チャー形状の変化を防ぐために、通常、超音波の周波数
は38kHz以上、出力は1W/cm2以下、洗浄時間
は2〜20分、洗浄温度は70℃以下に設定される。超
音波洗浄の後、純水でリンスを行った後、乾燥する。リ
ンスの方法は特に限定されず、浸漬あるいは超音波印加
状態での浸漬のほか、シャワー、噴射などの方法を適用
することができる。また、乾燥方法も限定されず、スピ
ン乾燥やIPA乾燥など、この種の精密洗浄に対応でき
るものであれば、いかなる方法も適用することができ
る。
【0085】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0086】実施例1〜5及び比較例1〜3についての
テクスチャー処理条件等を表3に示す。
【0087】
【表3】 (実施例1)厚み0.6mm、外径65mm、内径20
mmのドーナツ状のアルミノシリケート系ガラス(Si
2 6.0mol%、Al23 11.0mol%、
Li2O 8.0mol%、Na2O 9.1mol%、
MgO 2.4mol%、CaO 3.6mol%)に
面取り、粗研磨を施したガラス基板に平滑研磨を施し
た。平滑研磨は、酸化セリウムを含有する研磨剤及びア
スカーC硬度が70の研磨パッドを用い、両面研磨する
ことによって行った。
【0088】その後、ポリビニルアルコールを用いたス
ポンジ洗浄、強アルカリ性の水溶液を用いた超音波洗浄
によってガラス基板表面に付着したセリ粉を除去した
後、純水でリンスした。ガラス基板の乾燥はイソプロピ
ルアルコール蒸気中で1分間乾燥させた。このときの、
ガラス基板表面の粗さをAFM(原子間力顕微鏡:デジ
タルインスツルメント社ナノスコープ)で評価したとこ
ろ、Ra=0.34nmであった。
【0089】続いて、380℃に加熱した硝酸カリウム
(60重量%)と硝酸ナトリウム(40重量%)とから
成る混合溶融塩中にガラス基板を90分間浸漬すること
により、ガラス基板中のリチウムイオンやナトリウムイ
オンをサイズのより大きいカリウムイオンに置き換える
化学強化処理を行った。化学強化処理の後は、65℃の
温水中にガラス基板を1時間浸漬し、溶融塩を除去し
た。
【0090】次に、テクスチャーマシン(EDC製)を
用い、ガラス基板を回転させながらダイヤモンドスラリ
ーとテープとを用いて、表1のaに示す条件で機械的に
ガラス基板の主表面にテクスチャー加工を行った。続い
て、同じテクスチャーマシンを用い、pH10に調整し
たアルカリ性の水溶液を供給しながら、表2に示す条件
で主表面の円周方向に擦るテープ洗浄を施し、ガラス基
板表面に付着したスラリーを除去した。その後、純水浴
中にガラス基板を浸漬してリンスを行い、最後にイソプ
ロピルアルコール洗浄を施した。
【0091】このようにして作製した磁気ディスク基板
表面をAFMでテクスチャーラインの線密度を評価した
結果、表3の実施例1に示すように線密度は8700本
/mmの良好なテクスチャーが形成されていることが明
らかとなった。この評価は、5μm角エリアでチャート
上に記録した凹凸の山又は谷の数をカウントした。ここ
で、テクスチャーラインの線密度はガラス基板表面のテ
クスチャーラインを構成する凹部と、この凹部と半径方
向に隣接する2つの凸部との垂直距離(深さ)の少なく
とも1つが7オングストローム以上であり、且つ、垂直
距離が7オングストローム以上である凸部と前記凹部と
を結ぶ直線半径方向に対する傾きの絶対値が0.05以
上であるとき、該凹部から構成されるテクスチャーライ
ンの本数を求め、それからテクスチャーライン密度(本
/μm)を求めたものである。
【0092】また、10μm□エリアにおいて最大高さ
から最小高さを引いた最大突起であるアスペリティーR
maxは9.3nm、また尾根状の異常突起は7.5本
/100μm□であった。
【0093】(実施例2)テープ洗浄の後にpH10に
調整したアルカリ性の水溶液を供給しつつ主表面の円周
方向に交差する方向でスクラブ洗浄を行った他は、実施
例1と同様にして作製したガラス基板を実施例2のガラ
ス基板とした。このときのスクラブ洗浄条件は、スポン
ジの押し圧を10g/cm2、回転数を500rpm、
洗浄液の滴下量を15ml/分、洗浄時間を5秒とし
た。
【0094】このようにして作製した磁気ディスク基板
表面のテクスチャー形状は表3の実施例2に示すよう
に、アスペリティーのほか、尾根状異常突起が実施例1
に比べて大幅に減少していることが確認できた。
【0095】(実施例3)スクラブ洗浄の後にpH10
に調整したアルカリ性の水溶液中で超音波洗浄を行った
他は、実施例2と同様して作製したガラス基板を実施例
3のガラス基板とした。超音波の周波数は45kHz、
出力は300Wとし、洗浄時間は3分とした。また、ア
ルカリ洗浄の後は、純水でリンスを行い、続いて、イソ
プロピルアルコール蒸気中で1分間乾燥させた。
【0096】このようにして作製した磁気ディスク基板
のテクスチャー形状は、表3の実施例3に示すように、
アスペリティーが実施例2に比べて減少していることが
確認できた。 (実施例4)ブラシスクラブ洗浄において、ブラシの材
質を柔らかいポリビニルアルコールからアスカーC硬度
45のポリウレタンに変更したほかは、実施例3と同様
して同様して作製したガラス基板を実施例4のガラス基
板とした。
【0097】このようにして作製した磁気ディスク基板
のテクスチャー形状は、表3の実施例4に示す通り、尾
根状の突起がほぼ完全に消失していることが確認でき
た。 (実施例5)化学強化処理は行わずにpH9に調整した
アルカリ性の水溶液を供給しつつ主表面をテープ洗浄し
た後に、pH8.5に調整したアルカリ性の水溶液を供
給しつつ主表面の円周方向に交差する方向でスクラブ洗
浄した他は、実施例2と同様にして作製したガラス基板
を実施例5のガラス基板とした。このときのスクラブ洗
浄条件は、スポンジの押し圧を10g/cm2、回転数
を500rpm、洗浄液の滴下量を15ml/分、洗浄
時間を5秒とした。
【0098】このようにして作製した磁気ディスク基板
表面のテクスチャー形状は表3の実施例5に示すよう
に、アスペリティーは小さく、尾根状異常突起は極めて
少ないことが確認できた。 (比較例1)テクスチャー処理後に化学強化処理を行っ
たほかは、実施例1と同様して作製したガラス基板を比
較例1のガラス基板とした。作製した磁気ディスク基板
のテクスチャー形状は、表3の比較例1に示すように上
述した各実施例の何れと比較しても線密度が半分以下で
ありかなり低く、テクスチャーとしては不十分であっ
た。 (比較例2、3)テープ洗浄又はスクラブ洗浄において
pH4の酸性の洗浄液を用いた他は、実施例3と同様に
作製したガラス基板を比較例2、3のガラス基板とし
た。このガラス基板から作製した磁気ディスク基板のテ
クスチャー形状は、表3の比較例2、3に示すように線
密度が著しく低く、テクスチャーとしては不十分であっ
た。
【0099】次に、平滑研磨処理条件とスラリー粒径等
のテクスチャー処理条件とを変更した場合の実施例6〜
9及び比較例4と5を表4に示す。
【0100】
【表4】 (実施例6)平滑研磨条件を変更して平滑研磨後の表面
粗さRaを0.45nmとした他は、実施例1と同様の
条件で作製したガラス基板を実施例5のガラス基板とし
た。このガラス基板から作製した磁気ディスク基板のテ
クスチャー線密度は、上記の各実施例と比較してやや低
くなった。 (実施例7)テクスチャー処理条件を表1のbとしたほ
かは、実施例1と同様の条件で作製したガラス基板を実
施例7のガラス基板とした。ダイヤモンドスラリーのサ
イズを変更することで線密度を著しく高くすることがで
きた。また、平滑研磨後の表面粗さRaを0.31nm
としたことも寄与しており、Ra値が0.4nmを超え
ると、ライン状のテクスチャーが分断され、磁気特性が
向上しにくくなる。
【0101】また、このときヘッドの浮上安定性の指標
となるTOH(Take offheight)を測定
したとろ、4.7nmであった。なお、TOHの測定法
は、磁気ディスク基板の回転速度を徐々に下げることに
よってヘッドの浮上高さを低下させ、同時にヘッドに装
着したピエゾ信号を検出した際のピエゾからの信号出力
が急速立ち上Thresholdにおけるヘッド浮上高
さを示しており、この値が低いほど、より低い浮上量に
おいてもヘッドが安定して浮上することを意味する。 (実施例8)酸化セリウムによる平滑研磨の後、コロイ
ダルシリカによる両面研磨処理を行った以外は、実施例
1と同様の条件で作製したガラス基板を実施例7のガラ
ス基板とした。このガラス基板から作製した磁気ディス
ク基板の平滑研磨後の表面粗さRaは0.12nmであ
った。作成した磁気ディスク基板のテクスチャー線密度
は35000本/mmと極めて高く、かつ平均の線長さ
が長いことがわかった。
【0102】(実施例9)平滑研磨時に使用する研磨パ
ッドをアスカーC硬度が75の研磨パッドを使用した以
外は、実施例7と同様の条件で作製したガラス基板を実
施例8のガラス基板とした。
【0103】このガラス基板から作製した磁気ディスク
基板のTOHを測定したところ、3.5nmと極めて優
れた浮上特性が得られることが確認できた。
【0104】(比較例4、5)テクスチャー処理を行わ
なかった他は実施例1と同様にして作製したガラス基板
を比較例4のガラス基板とした。また、平滑研磨処理に
おいてアスカーC硬度が75の研磨パッドを用いたもの
を比較例5のガラス基板とした。これらのガラス基板か
ら作製した磁気ディスク基板のTOHはそれぞれ、6.
1nm、4.5nmであった。実施例7,9、比較例
4,5の結果を比較することによって、実施例9で得ら
れた優れた浮上特性は、硬度の高い研磨パッドと円周状
テクスチャーの相乗効果によって得られることが確認で
きた。
【0105】なお、主表面における波長が0.2〜1.
4mmであるうねりの主表面の粗さの平均値(Ra)が
非接触光干渉計(Zygo社のNew View 200)で測定したと
きに0.25nm以下である場合には、ヘッドの浮上安
定性がいっそうに向上した。
【0106】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1記
載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、テ
クスチャー処理工程は、磁気ディスク用ガラス基板の機
械的強度を化学的に強化する化学強化工程の後に実行す
るので、テクスチャー処理工程によって形成されたテク
スチャーの形状が化学強化工程によって変形を受けるこ
とはありえない。従って、異方性の低下を招くことなく
磁気保持力の大きい磁気ディスク用ガラス基板を製造で
きる。
【0107】請求項2記載の製造方法によれば、テクス
チャー処理工程に続いて、中性の水溶液及びアルカリ性
の水溶液の少なくとも一方を主表面に供給しながらテー
プを用いて主表面の円周方向に擦るテープ洗浄工程と、
中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方
を主表面に供給しながらスクラブ部材を用いて主表面を
擦るスクラブ洗浄工程とを実行するので、テクスチャー
形状の変化を最小限に抑制した洗浄ができるとともに、
テクスチャー処理によって形成された尾根状の異常突起
を効率的に除去できる。従って、磁気ディスク装置の磁
気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷するヘッドクラ
ッシュの発生率が小さく、かつ、低浮上している磁気ヘ
ッドに起こるゆらぎが小さい磁気ディスク用ガラス基板
を製造できる。
【0108】請求項3記載の製造方法及び請求項12記
載の製造方法によれば、テクスチャー処理工程に続い
て、中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも
一方を主表面に供給しながらテープを用いて主表面の円
周方向に擦るテープ洗浄工程と、中性の水溶液及びアル
カリ性の水溶液の少なくとも一方を主表面に供給しなが
らスクラブ部材を用いて円周方向に交差する方向に主表
面を擦るスクラブ洗浄工程とを実行するので、テクスチ
ャー形状の変化を最小限に抑制した洗浄ができるととも
に、テクスチャー処理によって形成された尾根状の異常
突起をより効率的に除去できる。従って、磁気ディスク
装置の磁気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷するヘ
ッドクラッシュの発生率がより小さく、かつ、低浮上し
ている磁気ヘッドに起こるゆらぎがより小さい磁気ディ
スク用ガラス基板を製造できる。
【0109】請求項4記載の製造方法及び請求項13記
載の製造方法によれば、スクラブ洗浄工程に続いて、中
性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を
主表面に供給しながら該主表面に超音波を当てて洗浄す
る超音波洗浄工程を実行するので、一般的異物を完全に
除去することができる。これにより、より良く洗浄がで
きる。
【0110】請求項5記載の製造方法及び請求項14記
載の製造方法によれば、スクラブ部材は、アスカ−C硬
度が40以上のスポンジであるので、尾根状の異常突起
の除去効率を確実に高めることができる。
【0111】請求項6記載の製造方法及び請求項15記
載の製造方法によれば、テクスチャー処理工程に先行す
る、研磨部材を用いて主表面を平滑に研磨する平滑研磨
工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した主表
面の粗さの平均値(Ra)を0.35nm以下にするの
で、ライン状のテクスチャーの線密度が高くなるととも
にテクスチャーの線長さが長くなり、磁気特性を向上で
きることとなる。
【0112】請求項7記載の製造方法及び請求項16記
載の製造方法によれば、テクスチャー処理工程に先行す
る、研磨部材を用いて主表面を平滑にする平滑研磨工程
を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した主表面の
粗さの平均値(Ra)を0.25nm以下にするので、
テクスチャーの線密度がより高くなるとともに線長さが
より長くなり、磁気特性をより向上できることとなる。
【0113】請求項8記載の製造方法及び請求項17記
載の製造方法によれば、平滑研磨工程は、酸化セリウム
を含有するスラリーを主表面に供給しながら該主表面を
研磨した後、コロイダルシリカを主表面に供給しながら
該主表面を研磨するので、Raを0.2nm以下にでき
る。これにより、テクスチャー処理工程後のテクスチャ
ーの線密度がさらに高くなる。この結果、磁気特性がさ
らに向上することとなる。
【0114】請求項9記載の製造方法及び請求項18記
載の製造方法によれば、平滑研磨工程は、主表面におけ
る0.2〜1.4mmの波長のうねりの非接触光干渉計
で測定した主表面の粗さの平均値(Ra)を0.25n
m以下にするので、ヘッドの浮上安定性を向上できる。
【0115】請求項10記載の製造方法及び請求項19
記載の製造方法によれば、研磨部材は、アスカーC硬度
が73以上のスエードパッドであるので、うねりをより
微小にできる。
【0116】請求項20記載の磁気ディスク用ガラス基
板によれば、ガラス基板の主表面に形成されたライン状
のテクスチャーは、AFMで測定した線密度が5000
〜40000本/mm、Raが0.2〜0.9nm、テ
クスチャーの最大高さから最小高さを引いた値(Rma
x)が10nm以下であるので、磁気保持力が大きく、
磁気ヘッドが磁気ディスクに衝突して損傷するヘッドク
ラッシュの発生率が小さく、低浮上している磁気ヘッド
に起こるゆらぎが小さい磁気ディスクを製造できること
となる。
【0117】請求項21記載の磁気ディスク用ガラス基
板によれば、ライン状のテクスチャーの平均長さが0.
3mm以上であるので、良好な異方性が得られ、磁気デ
ィスクの磁気膜の配向性を向上させることができること
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ガラ
ス基板の製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】テクスチャー処理を例示する模式図である。
【符号の説明】
10 ガラス基板 11 主表面 20 ローラ 30 テープ 40 スラリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B08B 7/04 B08B 7/04 A C03C 19/00 C03C 19/00 Z G11B 5/73 G11B 5/73 (72)発明者 三谷 一石 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 橋本 敏昭 大阪府大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 3B116 AA03 AB34 BA08 BB82 BB83 CC01 CC03 3B201 AA03 AB34 BA08 BB82 BB83 BB92 BB93 CC01 CC11 4G059 AA09 AB11 AC01 AC30 5D006 CB04 CB07 DA03 FA00 5D112 AA02 AA24 BA03 BA09 GA08 GA09 GA14

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形状に成形加工されたガラス板の主表
    面にダイヤモンドスラリーを供給しながらテープを用い
    て前記主表面の円周方向にライン状のテクスチャーを形
    成するテクスチャー処理工程を有する磁気ディスク用ガ
    ラス基板の製造方法において、 前記テクスチャー処理工程は、磁気ディスク用ガラス基
    板の機械的強度を化学的に強化する化学強化工程の後に
    実行することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記テクスチャー処理工程に続いて、中
    性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を
    前記主表面に供給しながら前記テープを用いて前記主表
    面の円周方向に擦るテープ洗浄工程と、中性の水溶液及
    びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面に
    供給しながらスクラブ部材を用いて前記主表面を擦るス
    クラブ洗浄工程とを実行することを特徴とする請求項1
    記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スクラブ洗浄工程は、前記主表面を
    前記円周方向に交差する方向に擦ることを特徴とする請
    求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記スクラブ洗浄工程に続いて、中性の
    水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前記
    主表面に供給しながら該主表面に超音波を当てて洗浄す
    る超音波洗浄工程を実行することを特徴とする請求項2
    又は3記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記スクラブ部材は、アスカ−C硬度が
    40以上のスポンジであることを特徴とする請求項2乃
    至4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記テクスチャー処理工程に先行する、
    研磨部材を用いて前記主表面を平滑に研磨する平滑研磨
    工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した前記
    主表面の粗さの平均値(Ra)を0.35nm以下にす
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記
    載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記テクスチャー処理工程に先行する、
    研磨部材を用いて前記主表面を平滑にする平滑研磨工程
    を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した前記主表
    面の粗さの平均値(Ra)を0.25nm以下にするこ
    とを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記平滑研磨工程は、酸化セリウムを含
    有するスラリーを前記主表面に供給しながら該主表面を
    研磨した後、コロイダルシリカを前記主表面に供給しな
    がら該主表面を研磨することを特徴とする請求項7に記
    載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記平滑研磨工程は、前記主表面におけ
    る0.2〜1.4mmの波長のうねりの非接触光干渉計
    で測定した平均値(Ra)を0.25nm以下にするこ
    とを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記研磨部材は、アスカーC硬度が7
    3以上のスエードパッドであることを特徴とする請求9
    記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 円形状に成形加工されたガラス板の主
    表面にダイヤモンドスラリーを供給しながらテープを用
    いて前記主表面にライン状のテクスチャーを形成するテ
    クスチャー処理工程を有する磁気ディスク用ガラス基板
    の製造方法において、 前記テクスチャー処理工程は、前記テクスチャーを前記
    主表面の円周方向に形成することを特徴とする磁気ディ
    スク用ガラス基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記テクスチャー処理工程に続いて、
    中性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方
    を前記主表面に供給しながら前記テープを用いて前記主
    表面の円周方向に擦るテープ洗浄工程と、中性の水溶液
    及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前記主表面
    に供給しながらスクラブ部材を用いて前記円周方向に交
    差する方向に前記主表面を擦るスクラブ洗浄工程とを実
    行することを特徴とする請求項11記載の磁気ディスク
    用ガラス基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記スクラブ洗浄工程に続いて、中性
    の水溶液及びアルカリ性の水溶液の少なくとも一方を前
    記主表面に供給しながら該主表面に超音波を当てて洗浄
    する超音波洗浄工程を実行することを特徴とする請求項
    12記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記スクラブ部材は、アスカ−C硬度
    が40以上のスポンジであることを特徴とする請求項1
    2又は13記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記テクスチャー処理工程に先行す
    る、研磨部材を用いて前記主表面を平滑に研磨する平滑
    研磨工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した
    前記主表面の粗さの平均値(Ra)を0.35nm以下
    にすることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか
    1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記テクスチャー処理工程に先行す
    る、研磨部材を用いて前記主表面を平滑にする平滑研磨
    工程を有し、該平滑研磨工程は、AFMで測定した前記
    主表面の粗さの平均値(Ra)を0.25nm以下にす
    ることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項
    に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記平滑研磨工程は、酸化セリウムを
    含有するスラリーを前記主表面に供給しながら該主表面
    を研磨した後、コロイダルシリカを前記主表面に供給し
    ながら該主表面を研磨することを特徴とする請求項16
    記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記平滑研磨工程は、前記主表面にお
    ける0.2〜1.4mmの波長のうねりの非接触光干渉
    計で測定した平均値(Ra)を0.25nm以下にする
    ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に
    記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記研磨部材は、アスカーC硬度が7
    3以上のスエードパッドであることを特徴とする請求1
    8記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項1乃至19のいずれか1項に記
    載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造さ
    れた磁気ディスク用ガラス基板であって、前記ガラス基
    板の主表面に形成されたライン状のテクスチャーは、A
    FMで測定した線密度が5000〜40000本/m
    m、Raが0.2〜0.9nm、テクスチャーの最大高
    さから最小高さを引いた値(Rmax)が10nm以下
    であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
  21. 【請求項21】 前記ライン状のテクスチャーの平均長
    さが0.3mm以上であることを特徴とする請求項20
    記載の磁気ディスク用ガラス基板。
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