JP2003185531A - カメラレンズの描写性能検査装置 - Google Patents

カメラレンズの描写性能検査装置

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JP2003185531A
JP2003185531A JP2001384932A JP2001384932A JP2003185531A JP 2003185531 A JP2003185531 A JP 2003185531A JP 2001384932 A JP2001384932 A JP 2001384932A JP 2001384932 A JP2001384932 A JP 2001384932A JP 2003185531 A JP2003185531 A JP 2003185531A
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shutter
camera
chart
mtf
image pickup
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JP2001384932A
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Tamotsu Koiwai
保 小岩井
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カメラレンズの描写性能検査を実写に近い状態
で検査することが可能なカメラレンズ描写性能検査装置
を提供する。 【解決手段】本カメラレンズ描写性能検査装置10にお
いては、カメラ6のレンズ鏡筒50により実際にシャッ
タの開閉を行って得られるチャートユニット5のチャー
ト像が撮像デバイス13にて撮像信号に変換され、CP
U21に取り込まれ、さらに、MTF演算部22にてチ
ャート像のMTF値が演算され、そのMTF値に基づい
て撮影レンズの描写性能が判別される。上記チャート像
がシャッタ開閉時の駆動部に衝撃等による像ぶれを含む
実写により近い像であることから、上記撮影レンズの描
写性能の検査結果によれば、カメラが実査に使用される
状態に近い状態で描写性を判別することになり、極めて
実用的なレンズの描写性能の検査がなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラレンズの描
写性能を検査するカメラレンズの描写性能検査装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のカメラの撮影レンズの解像能力を
検査する検査装置として知られているものとして、チャ
ートを実際にカメラに装填されたフィルムに撮影し、そ
れを現像したフィルム上のチャートの本数を観察して解
像力を判断する撮影像による解像能力検査装置がある。
【0003】また、別の従来の解像能力検査装置として
MTFによる検査装置がある。この検査装置は、撮影レ
ンズを介して得られる定常的なチャート像を撮像手段
(CCD)上に結像させ、そのときの撮像のMTF( M
odulation Transfer Function) 値を算出して、撮影レ
ンズのピント状態を検査するものである。なお、上記定
常的なチャート像とは、カメラ側のシャッタを開状態に
保持した状態で得られるチャート像である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の撮影像による解像能力検査装置では、現像したフィル
ム上のチャート像のチャート本数を観察する場合、現像
濃度を一定にすることが困難であること、また、人間の
目による観察ばらつきがあることなどでチャート本数を
正確に読み取ることができず、精度のよい解像能力の検
査が難しかった。
【0005】また、別の従来のMTFによる検査装置で
は、上述したようにシャッタを開状態に保持した定常状
態で得られるチャート像によって検査されることから、
実際の撮影状態と異なる可能性があった。すなわち、実
際の撮影時でのシャッタの開閉動作で発生するぶれ、あ
るいは、シャッタ開口波形の影響などが上記定常的露光
によるMTF値には表れない。従って、実際の撮影時に
おけるカメラレンズの描写性能的な検査結果が選らない
といった問題があった。
【0006】本発明は、上述の不具合を解決するために
なされたものであり、実際の撮影状態に等価なカメラレ
ンズの解像能力を正確に検査することが可能なカメラレ
ンズの描写性能検査装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
カメラレンズの描写性能検査装置は、所定位置に配置さ
れる被検物であるカメラの撮影光学系を介して撮像する
撮像手段と、上記カメラに対して上記撮像手段が配され
る側の反対側に所定距離離間して配置されるチャート
と、上記撮像手段が撮像したチャート像に基づき、上記
被検物となりカメラの撮影光学系のMTF特性を算出す
るMTF算出手段と、上記チャートと撮像手段との間に
配置され、上記チャートから撮像手段への光路を開閉す
るシャッタ手段とを具備し、上記シャッタ手段が開状態
にあるときに上記撮像手段が撮像したチャート像に基づ
いて上記MTF算出手段が上記被検物となるカメラの撮
影光学系のMTF特性を算出する。
【0008】本発明の請求項2記載のカメラレンズの描
写性能検査装置は、請求項1記載のカメラレンズの描写
性能検査装置において、上記シャッタ手段は、上記被検
物となるカメラが有しており、上記シャッタ手段の駆動
開始信号を出力可能な駆動指示手段を具備する。
【0009】本発明の請求項3記載のカメラレンズの描
写性能検査装置は、請求項2記載のカメラレンズの描写
性能検査装置において、上記撮像手段による撮像を制御
する撮像制御手段を有しており、上記制御手段は、上記
被検物となるカメラが有する上記シャッタ手段の駆動開
始信号を出力すると共に、上記撮像制御手段に対して撮
像開始信号を出力し、この撮像開始信号に基づいて上記
撮像手段による上記チャートの撮像を開始する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。本発明の実施形態のカメラレンズの
描写性能検査装置であるカメラレンズのMTF検査装置
の説明に先立って、上記検査装置により検査される被検
物であるカメラに装着されるレンズ鏡筒(カメラレン
ズ)の構造について説明する。
【0011】図1は、上記レンズ鏡筒のテレ状態におけ
る縦断面図である。図2は、上記レンズ鏡筒に組み込ま
れるシャッタ装置の分解斜視図である。図3,4,5
は、それぞれ上記シャッタ装置の閉状態、小絞り状態、
または、完全開状態における図1のA−A断面図であ
る。
【0012】なお、以下の説明において、レンズ鏡筒の
被写体側を前方とし、結像面側を後方側とする。
【0013】上記レンズ鏡筒50は、銀塩カメラに装着
されるカメラレンズであって、図1に示すように本体固
定部78を介してカメラ6(図6)の本体側に固定され
る固定枠51と、固定枠51に対して回転、進退自在に
支持される回転枠52と、固定枠51によって回転規制
され、回転枠52とともに進退する直進ガイド枠73
と、直進ガイド枠73および後述する第2群枠55によ
り回転規制された状態で回転枠52に対して進退可能に
支持されるズーム枠53に固定して支持される第1群枠
54と、ズーム枠53に支持される第2群枠55と、第
2群枠55に装着されるシャッタ手段としてのシャッタ
装置74と、本レンズ鏡筒の撮影光学系としての第1群
枠54に保持される第1レンズ群75および第2群枠5
5に保持される第2レンズ群76とを有してなる。な
お、上記撮影光学系のレンズ光軸を光軸Ocとする。
【0014】上記固定枠51は、円筒形状部材であり、
本体固定部78に固定支持され、内周部に雌ヘリコイド
ねじ51aと光軸Ocに平行な直進キー溝51bが設け
られている。
【0015】上記回転枠52は、円筒形状部材であっ
て、後端側端部に雄ヘリコイドねじ52dが設けられ、
内周面の3方箇所に各2本のカム溝52a、52bと、
内周面後端部に内周溝52eが設けられる。上記2本の
カム溝のうち、カム溝52aは、ズーム枠進退駆動用で
あり、カム溝52bは、第2群枠進退駆動用である。上
記雄ヘリコイドねじ52dは、固定枠51の雌ヘリコイ
ドねじ51aに螺合するので、回転枠52は、図示しな
い回転枠駆動部により回転駆動された場合、回転しなが
ら進退駆動される。
【0016】上記直進ガイド枠73は、リング形状部材
であり、基板外周部に突出するガイド突起部73aと、
基板内周部から前方外側に折り曲げて突出するバヨネッ
ト爪部73bと、基板内周部から光軸Ocに沿って前方
に延出する直進ガイド部73cとが設けられる。上記ガ
イド突出部73aは、固定枠51の直進キー溝51bに
摺動自在に嵌入する。上記バヨネット爪部73bは、回
転枠52の内周溝52eに摺動自在に嵌入する。したが
って、回転枠52が回転、進退駆動されると、直進ガイ
ド枠73は、回転することなく、回転枠52と共に光軸
Oc方向に沿って直進移動する。
【0017】上記ズーム枠53は、円筒形状部材であ
り、回転枠52の内周に回転、進退可能な状態で嵌入し
ている。ズーム枠53の外周部に3組のカムフォロア5
9がその軸部を介して固着されている。また、ズーム枠
53の前方開口部53aには第1レンズ群75を保持す
る第1群枠54が固着され、ズーム枠53の内周部には
光軸Oc方向に沿った3本の直進ガイド溝53bが設け
られている。
【0018】上記カムフォロア59は、回転枠52のカ
ム溝52aに摺動自在に係合する。また、上記直進ガイ
ド溝53bには、後述する第2群枠55の3本の直進ガ
イドピン55bが摺動自在に嵌入している。したがっ
て、回転枠52が回転した場合、ズーム枠53は、直進
ガイドピン55bに回転規制された状態でカム溝52a
とカムフォロア59により、光軸Oc方向に進退駆動す
ることになる。
【0019】上記第2群枠55は、円環部材であって、
ズーム枠53の内周に進退可能な状態で配置されてい
る。第2群枠55の外周部に3本のカムフォロア60が
その軸部を介して植設されている。また、3本のカムフ
ォロア60のラジアル当接部60bがズーム枠53の内
周面に嵌合して第2群枠55の光軸位置が決められる。
【0020】また、第2群枠55には、光軸Ocに沿っ
た直進ガイド溝55aと、外方への突起部である3つの
直進ガイドピン55bが設けられている。また、その内
周開口部に第2レンズ群76が保持されている。上記直
進ガイド溝55aには、直進ガイド枠73の直進ガイド
部73cが摺動自在に嵌入している。
【0021】上記カムフォロア60は、ズーム枠53の
周面開口部を挿通して回転枠52のカム溝52bに摺動
自在に嵌入している。したがって、この第2群枠55
は、直進ガイド枠73により回転規制された状態でカム
溝52bにより直進進退駆動される。
【0022】上記第2群枠55の前面部とズーム枠53
の前方内壁面間には、第2群枠55を後方に付勢するた
めに付勢バネ56が配置されている。
【0023】上記シャッタ装置74は、図1および図2
に示すように固定絞り開口57aを有するシャッタ枠5
7と、開閉回動可能なシャッタ手段である3枚のシャッ
タ羽根61,62,63と、シャッタ羽根駆動用のシャ
ッタレバー64と、シャッタレバー回動付勢用のシャッ
タ開きバネ65と、羽根押さえ板58と、シャッタ開閉
するための駆動源であるシャッタ開閉用電磁石装置66
とを有してなる。
【0024】上記シャッタ枠57は、第2群枠55の前
方側に固着して配置され、そのシャッタ枠57には、中
央部に撮影光路の開放絞りを与える固定絞り開口57a
と、後方側に突出するシャッタレバー支持軸57bと、
前方側に突出する2つの羽根支持ピン57c,57d
と、上記支持ピン57c,57d間に配置され、シャッ
タレバー64のシャッタ駆動ピンが挿通するピン挿通穴
57eとが設けられる。
【0025】上記シャッタレバー64には、軸穴64a
と、羽根駆動ピン64bと、プランジャ当接部64c
と、バネ当接ピン64dとが設けられる。上記シャッタ
レバー64は、シャッタ枠57の後方側にて軸穴64a
を介してシャッタレバー支持軸57bにより回動自在に
支持される。その支持状態でシャッタ駆動ピン64bが
シャッタ枠57のピン挿通穴57eを挿通し、後述する
シャッタ羽根61,62,63の駆動ピン穴61b,6
2b,63bに嵌入する。また、上記シャッタレバー6
4は、バネ当接ピン64dに当接するシャッタ開きバネ
65によりシャッタ開放方向である反時計回り(被写体
側から見て)に付勢されている。
【0026】上記シャッタ羽根61,62,63には、
それぞれ支持ピン穴61a,62a,63aと、駆動ピ
ン穴(長穴)61b,62b,63bが設けられてい
る。上記シャッタ羽根61,62,63のうち、シャッ
タ羽根61と63とは、同一形状とし、シャッタ羽根6
2に対して光軸Oc中心に対して略左右対称の形状であ
る。そして、シャッタ羽根61と63とでシャッタ羽根
62を挟持した状態でそれぞれシャッタ枠57の羽根支
持ピン57c、または、57dに支持ピン穴61a,6
3a、または、62aをそれぞれ嵌入させた状態で回動
自在に支持され、羽根押さえ板58で押さえられた状態
で装着されている。その装着位置は、第1群枠54の第
1レンズ群75と第2群枠55の第2レンズ群76の間
とする。
【0027】上記シャッタ開閉用電磁石装置66は、図
2,3に示すように外形が円弧状に湾曲したコイル部を
有する可動鉄心を持つプランジャ型直流電磁石装置であ
って、湾曲したボビン68に巻回された上記湾曲コイル
部67と、上記コイル部67に沿って先端部から後端部
を磁気結合するヨーク部69と、上記ボビン68内出力
側端部に出没可能に支持される可動鉄心であるプランジ
ャ71と、固定鉄心70と、上記プランジャ71を突出
側に付勢するプランジャバネ72とを有してなる。上記
プランジャ71の先端部には、上記シャッタレバー64
の先端当接部64cがシャッタ開きバネ65で付勢され
て、常時、当接している。
【0028】そして、上記電磁石装置66のコイル部6
7への励磁電圧がオフ状態では、プランジャ71は、シ
ャッタ開きバネ65の付勢力より強いプランジャバネ7
2の付勢力で付勢され、突出位置にある。この状態で
は、シャッタレバー64は、図3に示すように時計回り
に所定量だけ回動している。従って、シャッタ羽根6
1,63と、シャッタ羽根62は、シャッタレバー64
によってそれぞれ閉じ方向である反時計回り,または、
時計回りに回動し、シャッタ枠57の固定絞り開口57
aを閉鎖している。
【0029】また、上記電磁石装置66のコイル部67
に励磁電圧を印加すると、プランジャ71は、コイル部
67に発生した磁力により固定鉄心70に当接する位置
まで吸引される。プランジャ71の吸引に伴ってシャッ
タレバー64は、シャッタ開きバネ65の付勢力で反時
計回りに図示しないストッパに当接する所定位置まで回
動駆動される。シャッタ羽根61,63と、シャッタ羽
根62は、図5に示すようにそれぞれ開き方向である時
計回り,または、反時計回りに回動し、シャッタ枠57
の固定絞り開口57aを全開状態とする。なお、図3の
開口閉鎖状態から図5の開口全開状態への動作の途中、
図4に示す小絞り開口状態を経て上記全開状態に変化す
る。
【0030】上述した構成を有する上記レンズ鏡筒50
により撮影を行うためにズーム枠53,第1群枠54,
第2群枠55等を沈胴位置から撮影可能なテレ位置等に
繰り出すには、回転枠52を回転駆動する。その回転に
よってズーム枠53と第1群枠54および第2群枠55
が直進ガイド枠73により直進ガイドされながら、カム
フォロア59,60で駆動され、例えば、図1に示す撮
影可能なテレ位置に繰り出される。
【0031】上記撮影可能状態にあるレンズ鏡筒50に
て露光を実行する場合、シャッタ開閉用電磁石装置66
のコイル部67に励磁電圧を印加し、プランジャ71を
吸引すると、シャッタ羽根61,63と62が開放方向
に回動し、固定絞り開口が開放されてシャッタ開放状態
とする。所定のシャッタ秒時経過後、上記コイル部67
に励磁電圧をオフとすると、再度、プランジャ71が突
出し、シャッタ羽根61,63、および、62が上述し
た開口閉鎖位置に回動駆動され、露光が終了する。この
ようなカメラの実使用上においては、例えば、被写体ま
での距離を測定する測距手段からの出力の応じて、レン
ズ鏡筒50の所定のレンズを光軸方向に変位させること
により、合焦動作がなされる。そして、この合焦動作の
ためのレンズ変位量は、部品などのばらつきによりレン
ズ鏡筒50それぞれで異なる。よって、レンズ鏡筒50
の一つ一つに対して、所定距離に対して所定のレンズの
変位量を調整値としてカメラに記憶されている。
【0032】なお、上記レンズ鏡筒50は、後述するカ
メラレンズのMTF特性検査装置10(図6)によりカ
メラレンズとしての描写性能が検査されるが、その検査
に先立って、第1レンズ群75,第2レンズ群76の撮
影可能位置のピント位置調整がすでになされているもの
とする。
【0033】次に、本発明の一実施形態であるカメラレ
ンズの描写性能検査装置であるMTF特性検査装置の構
成について、図6,7等を用いて説明する。図6は、上
記MTF特性検査装置10の構成を示す系統図である。
図7は、上記MTF特性検査装置10の構成を示すブロ
ック構成図である。なお、本実施形態のMTF特性検査
装置10を構成する撮像部(後述)1において、撮影レ
ンズ光軸Ocおよび撮像光軸Odと平行な方向をZ方向
とし、Z方向と直交する方向であって、左右方向をX方
向とし、上下方向をY方向とする。
【0034】上記カメラ6においては、通常、鏡枠の構
成部品の寸法の誤差や組み立て誤差、例えば、単レンズ
のRDN(面形状,厚さ,屈折率)、各レンズ間隔、偏
心などに起因する描写性能に影響を与えるとともに、実
際の撮影時においては、ピント位置や像ぶれなどがさら
に影響を与えた総合的描写性能が変化する。本MTF特
性検査装置は、上記総合的描写性能を実際の撮影状態に
近い状態で得られる撮像データに基づき、撮影像に対す
る評価の尺度として実写との対応がとれるMTF(Modu
lation Transfer Function)値によって被検物であるカ
メラ6のレンズの描写性能を評価し、カメラレンズ品質
を判定する。
【0035】なお、上記カメラ6のレンズ鏡筒50の場
合、シャッタ開閉を行ったとき、質量のあるプランジャ
71が高速度で吸引,開放移動することから第2群枠5
5が衝撃を受ける。従って、第2群枠55に保持されて
いる第2レンズ群76が露光中に振動し、結像面上での
像ぶれが生じ、レンズの描写性能に悪影響を与える場合
がある。本MTF特性検査装置10は、鏡枠の構成部品
の誤差以外に特に上記像ぶれの影響も考慮して検査を行
うものである。
【0036】上記MTF特性検査装置10においては、
撮影像は、チャートユニット5を用いて、チャート画面
中心の撮影レンズ光軸Oc上の撮像データ、および、チ
ャート画面周辺の撮像データによりMTF特性であるそ
れぞれのMTF値を演算し、そのMTF値を検査規格値
と比較して合否が判定される。
【0037】上記MTF特性検査装置10は、図6,7
に示すように撮像部1と、MTF測定制御部2と、キー
ボード3と、モニタ4と、チャートユニット5とからな
る。被検物としてのカメラ6は、撮像部1の撮像部本体
部18上に取り付けられる。
【0038】上記撮像部1は、図6,7に示すように撮
像手段である撮像ヘッド11と、撮像制御手段である撮
像制御部14と、ヘッド駆動部15と、撮像部本体部1
8からなる。
【0039】上記撮像ヘッド11は、光軸Odを有する
撮像レンズ12と、撮像素子であるCCDおよび撮像処
理回路を有する撮像デバイス13とからなる。上記CC
Dにおいては、上記カメラ6の第1,2レンズ群75,
76(レンズ鏡筒50)で取り込まれるチャート像が撮
像レンズ12を介してCCDの結像面上に結像され、該
CCDにて電気信号に変換される。上記撮像処理回路に
て上記CCDの撮像出力信号を処理して得られた画像デ
ータは、CPU21側に出力される。
【0040】撮像制御部14は、撮像デバイス13のC
CDおよび撮像処理回路を駆動制御する。
【0041】上記ヘッド駆動部15は、撮像部本体18
に組み付けられるXY軸駆動ステージ(XY軸駆動部)
16と、Z軸駆動ステージ(Z軸駆動部)17とからな
る。上記XY軸駆動ステージ16には撮像ヘッド11が
装着されており、その撮像ヘッド11をX方向およびY
方向に駆動する。また、Z軸駆動ステージ17には上記
XY軸駆動ステージ16が取り付けられており、そのX
Y軸駆動ステージ16をZ方向に駆動することにより上
記撮像ヘッド11をZ方向に移動させる。
【0042】上記MTF測定制御部2は、調整制御部内
部および上記撮像部1を制御する制御手段であるCPU
21と、演算式情報等を記憶するRAM部25とからな
る。
【0043】上記CPU21には、MTF算出手段であ
るMTF演算部22と、カメラ6に対して撮影レンズを
ピント位置に繰り出す指示を行うピント位置制御部23
と、カメラ6のシャッタ開閉を制御するためのシャッタ
制御手段であるシャッタ開閉制御部24と、撮像ヘッド
側の撮像制御部14に撮像開始,終了信号を出力する撮
像制御部とが内蔵されている。
【0044】上記MTF演算部22は、上記撮像デバイ
ス13より出力されるチャート像データを取り込み、そ
のチャート像のMTF値を演算により求め、その演算結
果によりOK/NG判定(合否判定)を行う。上記ピン
ト位置制御部23は、カメラ6のピント位置への駆動を
指示する。
【0045】キーボード3は、MTF検査を実行する場
合の各種の設定を行うものであり、モニタ4は、MTF
検査処理中の動作状態の確認および描写性能検査の結果
を確認するものである。
【0046】上記チャートユニット5は、通常のカメラ
撮影時に適用される被写体距離である標準撮影距離L1
、例えば、3mだけ離間した位置に配置される撮影画
枠上のテストチャートであって、カメラ6の撮影レンズ
光軸Oc上に位置する中心チャート部5aと、XY平面
の撮影画枠周辺位置における第1象限の周辺チャート部
5b、第2象限の周辺チャート部5cと、第3象限の周
辺チャート部5dと、第4象限の周辺チャート部5eと
を有する。なお、上記中心チャート部5aは、X方向と
Y方向の所定のピッチ(空間周波数f0 =10本/m
m)のパターンとし、縦方向パターンと横方向パターン
とからなる。上記各周辺チャート部は、それぞれ放射方
向(S方向)と周方向(M方向)との所定のピッチ(空
間周波数f0=10本/mm)のパターンとする。上記
空間周波数f0 =10本/mmをMTF検査に採用する
のは、その空間周波数が後述するより高い空間周波数f
1 ,f2 等に比べて、実写時の撮影画面の良否とよく対
応するためである。
【0047】上記カメラ6は、前述したレンズ光軸Oc
の第1レンズ群75,第2レンズ群76やシャッタ装置
74を内蔵するレンズ鏡筒50と、カメラ全体の制御を
司り、シャッタ制御手段を有するCPU31と、上記撮
影レンズ75,76を進退駆動するレンズ駆動部33
と、CPU31の制御のもとで上記レンズ駆動部33を
制御する駆動制御部32と、上記シャッタ装置74の駆
動源であるシャッタ開閉用電磁石装置66を駆動する駆
動制御部34と、レンズ鏡筒50のピント位置データ等
の撮影のためのデータを記憶するEEPROM35とを
有してなる。なお、このカメラ6は、MTF検査処理時
には後述する撮像部1の撮像レンズ12の撮像光軸Od
に対してレンズ鏡筒50の光軸Ocを平行に保った状態
で上記撮像部本体18に装着される。
【0048】次に、上述した構成を有するMTF特性検
査装置10によるカメラ6のMTFの測定,MTF値の
演算等の処理動作について説明する。カメラ6およびヘ
ッド駆動部15を光軸Oc,Od中心、または、画面周
辺のチャート像撮像状態にセットする。すなわち、カメ
ラ6を後蓋80を開放した状態にして撮像部1の撮像部
本体18に取り付ける。そのとき、上記カメラ6のレン
ズ鏡筒50の光軸Ocとチャートユニット5の中心チャ
ート部5aの中心とが一致していることを確認する。こ
のようにしてカメラ6がセットされたらチャートの撮像
動作に先立って、レンズ鏡筒50のレンズ群を上記標準
撮影距離L1 に対する合焦位置までの繰り出し動作がな
される。これにより、アパーチャ面(フィルム面)79
の位置がチャートの結像位置となる。
【0049】この場合のレンズ群の繰り出し動作は、M
TF特性検査装置10のCPU21からカメラ6のCP
U31へと距離データを転送して、この距離データに基
づいて行ってもよいし、カメラ6が有する図示しない測
距手段から得られる距離データに基づいて行っても良
い。これらは、カメラ6を検査する際に、カメラ6が有
する測距手段を含んだ描写性能を評価するのか、測距手
段を含まない描写性能を評価するのかによって適宜選択
可能である。光軸Oc中心のチャート像取り込み(光軸
Oc中心MTF測定)時には、ヘッド駆動部15のXY
軸駆動ステージ16を駆動することによりカメラ6のア
パーチャ面79の光軸Oc中心に撮像ヘッド11(撮像
レンズ12)の光軸Odを合致させる。
【0050】また、撮影画枠周辺のチャート像取り込み
(周辺MTF測定)時には、上記XY軸駆動ステージ1
6を駆動することによりカメラ6のアパーチャ面79の
測定しようとする第1乃至第4象限のいずれかの象限の
周辺パターン像位置に撮像ヘッド11(撮像レンズ1
2)の光軸Odを合致させる。
【0051】光軸Oc中心のMTF、または、周辺のM
TF測定時にはZ軸駆動ステージ17により撮像ヘッド
11をZ方向に駆動することにより撮像レンズ12の合
焦点をアパーチャ面79に一致させて、チャート像のM
TFを測定する。そのとき、上記撮像ヘッド11(撮像
レンズ12)の合焦点がアパーチャ面79上にあるとき
を基準のZ方向ずれ量(デフォーカス量)であるずれ位
置Zd=0とし、そのZd=0がカメラ6の像面位置に
対応する。そして、アパーチャ面79の後方側(背面
側)にあるときのZ方向ずれ位置Zdを+側、前方側
(被写体側)にあるときのZ方向ずれ位置Zdを−側と
する。
【0052】撮像ヘッド11の合焦点が上記Z方向ずれ
位置Zd=0にあるとき、レンズ鏡筒50で取り込まれ
た中心チャート5aの像、または、周辺チャート(この
場合、第4象限の周辺チャート5e)の像は、CCDの
結像面上に結像し、CCDにて電気的撮像信号に変換さ
れる。上記チャート像の撮像信号は、撮像デバイス13
を介してCPU21側に出力される。そして、MTF演
算部22にて上記チャート像のMTF値が演算される。
【0053】図8は、上記撮像ヘッド11(撮像レンズ
12)の合焦点をZ方向にずらしたときの中心チャート
部5aの像に対するMTF値の変化を示す線図である。
この線図は、アパーチャ面79上のずれ位置Zd=0か
らZ方向(光軸方向)の+,−ずれ位置Zdに対するチ
ャート像のMTF値の変化を示す。なお、図中、上記中
心チャート部のf0 ,f1 ,f2 の曲線は、それぞれチ
ャートの空間周波数f0 =10本/mm,f1 =20本
/mm,f2 =30本/mmの縦、または、横方向パ
ターンのMTF値の変化を示す。
【0054】なお、本実施形態のMTF特性検査装置1
0においては、例えば、通常の被写体撮影に最も対応性
の高い縦方向チャートパターンの空間周波数f0 =10
本/mmの曲線(実線)のMTFデータをMTF検査に
適用する。また、縦方向パターンと横方向パターンのデ
ータの平均値をMTF値として採用してもよい。
【0055】上記図8の測定結果では、中心チャート部
5aの像に対してZd=0.00mmでのMTF値P0
がピークとなっている。すなわち、アパーチャ面79上
がMTF値ピークの位置に一致していることを示してい
る。また、この場合、像面(アパーチャ面)でのMTF
値は、73%になっており、規格値Mが70%とする
と、MTF演算部22による検査判定は、合格であり、
モニタ4には、「OK」が表示される。なお、他の空間
周波数f1 ,f2 =20,30本/mmの場合、それぞ
れ像面のZd=0のMTF値P0 ′,P0 ″は、それぞ
れ42%,22%となっている。
【0056】次に、撮影画枠周辺のMFTを測定する場
合、例えば、第4象限の周辺MFTを測定するには、ア
パーチャ面79上のチャートユニット5の第4象限の周
辺チャート部5eの像位置に撮像ヘッド11の撮像レン
ズ12の光軸Odが合致するようにヘッド駆動部15の
XY軸駆動ステージ16を駆動して、光軸Oc中心のM
TF測定と同様に撮像ヘッド11の合焦点をアパーチャ
面79上に一致させてMTFを測定する。
【0057】図9は、周辺チャート部5eの像に対する
MTF値の変化を示す線図である。なお、図中、上記周
辺チャート部のf0 ,f1 ,f2 の曲線は、それぞれチ
ャートの空間周波数f0 =10本/mm,f1 =20本
/mm,f2 =30本/mmの場合のMTF値の変化
を示し、実線はS方向パターン、破線はM方向パターン
のMTF値を示している。本実施形態のMTF特性検査
装置10においては、S方向チャートパターンの空間周
波数f0 =10本/mmの場合のf0 の曲線(実線)の
MTF値の変化を適用する。上記図9の測定結果では、
ずれ量Zd=0のMTF値P4 は、60%であり、周辺
規格値Mの40%を越えているので検査結果は、合格と
される。なお、他の空間周波数f1 ,f2 =20,30
本/mmの場合、それぞれ像面のZd=0のMTF値P
4 ′,P4 ″は、それぞれ34%,23%となってい
る。
【0058】なお、MTF特性検査装置10で実際に検
査を行う場合は、第4象限以外の第1〜第3象限の周辺
パターンのアパーチャ面(像面)を中心にしたMTFも
同様に測定され、その測定結果により周辺パターンに対
するMTF値が評価される。
【0059】次に、MTF特性検査装置10による検査
処理動作について、図10,11,12を用いて具体的
に説明する。上記図10は、上記検査処理のフローチャ
ートである。図11は、各チャートに対するMTF値の
測定結果の一例を示す線図であって、図11(A)が中
心チャート5aに対し、図11(B)が第1象限の周辺
チャート5bに対し、図11(C)が第2象限の周辺チ
ャート5cに対し、図11(D)が第3象限の周辺チャ
ート5dに対し、図11(E)が第4象限の周辺チャー
ト5eに対するそれぞれのMTF値の変化を示す。ま
た、図12は、シャッタ装置74のシャッタ開閉タイミ
ングと撮像ヘッド11による撮像タイミングのタイムチ
ャ−トである。
【0060】なお、図8、図9に示す曲線f0,fl,
f2は、カメラ6が有するシャッタ装置74を開放した
状態で、撮像ヘッド11を光軸方向に変位させながらM
TF特性を測定することにより得られる空間周波数のチ
ャートにおけるMTF特性曲線である。
【0061】カメラ6は、このようにして得られるMT
F特性曲線に基づいて、予め、所定の距離におけるレン
ズ群の繰り出し量が調整されている。なお、本実施形態
におけるMTF特性検査装置10によりカメラレンズの
描写性能を検査する場合においては、Z方向ずれ量Zd
=0におけるMTF特性を測定する。
【0062】まず、MTF特性検査装置10とチャート
ユニット5およびカメラ6を前述したMTF測定状態に
セットする。すなわち、撮像部本体18にカメラ6をセ
ットし、レンズ鏡筒50の光軸Ocとチャートユニット
5の中心チャート部5aの中心を一致させる。また、チ
ャート5は、カメラ6から標準撮影距離L1 だけ離間し
た位置にセットする。そこで、MTF特性検査装置10
側のピント位置制御部23によりカメラ6側のCPU3
1を介して駆動制御部32を駆動し、レンズ鏡筒50を
標準撮影距離L1 に対する合焦位置まで繰り出させる。
このセット状態で図10の特性検査処理がCPU21の
制御のもとでスタートする。
【0063】ステップS1から開始されるシャッタ開放
処理に先立って、XY軸駆動ステージ(XY軸駆動部)
16により撮像ヘッド11の光軸Odを上記レンズ鏡筒
50の光軸Ocに合致させて中心チャート部5aのチャ
ート像を撮像可能な状態とする。さらに、Z軸駆動ステ
ージ(Z軸駆動部)17を駆動制御して撮像ヘッド11
をZ方向に移動させ、撮像ヘッド11の合焦点をカメラ
6のアパーチャ面79に一致させる。
【0064】ステップS1にてレンズ鏡筒50のシャッ
タ装置74のシャッタ羽根を開放させ、ステップSにて
光軸Oc中心のMTF測定のために撮像ヘッド11によ
って光軸Oc中心のチャート像の画像信号が取り込まれ
る。ステップS3にてシャッタ装置74のシャッタを閉
鎖させる。
【0065】ステップS1では、MTF特性検査装置1
0のシャッタ開閉制御部24から、カメラ6のCPU3
1に対し、所定のシャッタ開閉制御データが転送され
る。
【0066】ステップS2では、MTF特性検査装置1
0のCPU21から撮像制御部14に撮像開始信号が出
力され、ステップS3から撮像ヘッド11にて撮像が開
始され、その値が積分されていく。しかしながらこの段
階では、カメラ6のシャッタ装置74のシャッタ羽根が
閉じているため、実際には積分値は変化しない(タイミ
ングチャート参照)。
【0067】ステップS4では上記シャッタ開閉制御部
24からカメラ6のCPU21に対しシャッタ装置74
の開閉動作を開始するためのレリーズ信号が出力され
る。このレリーズ信号に基づいて、CPU21は、上記
ステップS1にてシャッタ開閉制御部24から転送され
たシャッタ開閉制御データに基づいて、シャッタ開閉信
号をシャッタ駆動制御部34に出力する。そして、この
シャッタ駆動制御部34は、シャッタ開閉用電磁石装置
66のプランジャ71を吸引、突出させてシャツタ羽根
61,62,63を開閉駆動する(ステップS5、ステ
ップS6)。このシャッタ開閉動作に伴い、撮像ヘッド
11の積分値が変化する。
【0068】そして、MTF特性検査装置10のCPU
21は、上記CPU31から出力されるシャッタ閉信号
に応じて撮像制御部14に撮像を停止ずるように撮像停
止信号を出力して、ステップS7にて撮像が停止され
る。上記撮像による積分データがMTF演算部22に転
送される。この場合、シャツタ閉信号が出力されてか
ら、実際にシャッタの閉動作が終了するまでにはt0 だ
けの時間的なディレイが存在するため、撮像停止信号は
ディレイ時間を考慮して出力される。
【0069】このようにして、光軸Oc中心におけるM
TF測定のための画像取り込みが終了したら、撮像ヘッ
ド11をXY軸駆動部16により第1象限へと移動させ
た後、ステップS8からステップS14の間を第1象限
〜第4象限における画像データの取り込みが終了するま
で続ける。
【0070】すなわち、ステップS14にて全象限の画
像データの取り込みが終了していないと判断された場合
は、ステッブS15へと進み、撮像ヘッド11をXY軸
駆動ステージ16によりXY平面上で移動させて、撮像
ヘッド11の光軸Odをチャート5の次の象限の結像位
置に合致させる。そして、ステップS8に戻り、該当す
る象限のチャート像を撮像し、周辺MTF値が測定され
る。
【0071】ステップS14にて全象限における画像デ
ータの取り込みが終了したと判断されたら、ステップS
16へと進む。ステップS16では、MTF演算部22
において、上記ステップS3〜S7の間に撮像ヘッド1
1により取り込まれ、MTF演算部22に転送された上
記光軸Oc中心の撮像データから光軸中心のMTF値が
演算される。図11(A)には、アパーチャ面上である
ずれ量Zd=0における光軸Oc中心のMTF値P0 の
演算結果が、例えば、50%であることが示される。ま
た、図11(A)に示される光軸中心のMTF値P0 ′
は、従来の検査装置によるシャッタ開状態の定常状態で
のMTF値の演算結果であり、シャッタ開閉による像ぶ
れの影響のないMTF値を示し、例えば、65%となっ
ている。このように本検査装置による像ぶれ等の影響を
含むMTF値P0 は、像ぶれなしのMTF値P0 ′より
も低下する。
【0072】ステップS17では、MTF演算部22に
おいて、上記ステップS9〜S13の間にて撮像ヘッド
11により取り込まれ、MTF演算部22に転送された
第1から第4象限のチャート像の撮像データから周辺M
TF値が演算される。図11(B)〜(E)には、アパ
ーチャ面上であるずれ量Zd=0における測定演算値で
ある周辺MTF値P1 ,P2 ,P3 ,P4 が示される。
また、図11(B)〜(E)に示される従来の検査装置
による周辺MTF値P1 ′,P2 ′,P3 ′,P4 ′
は、シャッタ開状態の定常状態でのMTF値測定結果で
あり、シャッタ開閉による像ぶれの影響のないMTF値
を示している。周辺MTF値に関しても同様に本検査装
置による像ぶれ等の影響を含むMTF値P1 ,P2 ,P
3 ,P4は、像ぶれなしのMTF値P1 ′,P2 ′,P3
′,P4 ′よりもそれぞれ低下している。
【0073】ステップS18にて上記測定、演算で求め
られた各MTF値を検査規格値と比較し、その合否を判
定する。例えば、図11(A)に示すように光軸中心M
TF値の規格値M0 を70%とすれば、測定演算値であ
る上記光軸中心MTF値P0は、規格値に満たず、NG
(不合格)と判定される。また、例えば、図11(B)
〜(E)に示すように周辺MTF値の規格値M1 を40
%とすれば、測定演算値である上記各周辺MTF値P1
,P2 ,P3 ,P4 は、それぞれ規格値を満足し、O
K(合格)と判定される。
【0074】ステップS18にて上述した判定結果をモ
ニタ4に表示して本ルーチンを終了する。その後、カメ
ラ6をMTF特性検査装置10の撮像部本体18から取
り外して、特性検査処理を終了する。
【0075】なお、本実施形態においては、シャッタ装
置74の開閉動作に先立って、撮像ヘッド11による撮
像を開始し、シャッタ装置74の閉信号に応じて撮像を
停止しているが、本発明の目的を達成するためにはこれ
に限らず、シャッタ装置74の開閉動作中に撮像が行え
ればよい。すなわち、撮像動作は、図12のタイムチャ
ートに示す時間Tsの間に行われれば良い。よって、撮
像開始をシャッタ装置74の開信号に同期させても良い
し、タイミングチャートにも示されるように、シャッタ
装置74の閉動作を行った後には積分値が変化しなくな
るので、この、積分値が変化しなくなることをもって撮
像を停止してもよい。
【0076】また、本実施の形態においては、シャッタ
装置74を開閉駆動するための制御データをMTF特性
検査装置10からカメラ6へと転送している。これは、
シャッタ装置74の駆動時に生じる振動などの描写性能
への影響度は、シャッタ装置74の駆動秒時(シャッタ
スピード)によって変化することから、例えば、もっと
も描写性能に影響を与える駆動秒時にてシャッタ装置7
4を駆動するためである。更に、各駆動秒時における描
写性能の影響度を検査するために、図10に示ずフロー
チャートで駆動秒時を変更して行ってもよい。その場
合、シャッタ装置74の駆動秒時を変更しても撮像ヘッ
ドllにて、適正な露出が得られるように、MTF特性
検査装置10によってチャート5の照明輝度を制御でき
るようにするとよい。
【0077】上述した本実施形態のMTF特性検査装置
10によれば、シャッタ開閉時でのチャート像のMTF
値による検査方法を適用することから、一般の被写体を
撮影する実写との対応がとれる。すなわち、上記特性検
査を行ったカメラ6において、少なくとも被写体が標準
距離L1 にあるとき、上記EEPROM35に書き込ま
れたレンズ繰り出し量データに基づいてレンズ鏡筒50
をフォーカシングすれば、光軸O中心および画面周辺の
撮影像は、上記MTF特性検査装置での判定に供された
像と同程度であって、上記MTF特性検査装置において
は、実際の露光状態に近い状態での判定がなされる。
【0078】なお、上記レンズ鏡筒50は、シャッタ開
閉駆動源としてプランジャ型電磁石66を適用している
が、その駆動源として、電磁石装置に限らず、例えば、
アイリスモータやDCモータを適用するもの、あるい
は、バネチャージ方式を採用するものなどでシャッタ羽
根開閉動作でレンズ枠が微小振動するようなレンズ鏡筒
に対しても上述したMTF特性検査装置10を適用可能
である。
【0079】また、レンズ鏡筒50に内蔵されるシャッ
タ装置としてシャッタ羽根を用いるものの他にフォーカ
ルプレーンシャッタを適用する一眼レフタイプのカメラ
のレンズ鏡筒にも適用可能である。さらに、上述したM
TF特性検査装置10の被検物であるカメラとして、銀
塩カメラの他にデジタルカメラも適用可能であること
は、勿論である。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、カメラレンズの描写性
能検査する際、シャッタ動作中に露光される像によるM
TF値を評価するため、シャッタ動作による衝撃により
レンズ枠は微振動するために生じる像ぶれの影響を含む
描写性能を評価できるカメラレンズ描写性能検査装置を
提供することができ、そのためにカメラがユーザに渡っ
た後の実際の撮影状況と等価な描写性評価が可能にな
り、生産時の品質保証が確実となり、ユーザに高品質な
カメラを提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のカメラレンズの描写性能検
査装置に対する被検物であるカメラに装着されるレンズ
鏡筒の縦断面図である。
【図2】上記図1のレンズ鏡筒に組み込まれるシャッタ
装置の分解斜視図である。
【図3】図1のレンズ鏡筒のシャッタ装置の閉鎖状態を
示す図1のA−A断面図である。
【図4】図1のレンズ鏡筒のシャッタ装置の小絞り状態
を示す図1のA−A断面図である。
【図5】図1のレンズ鏡筒のシャッタ装置の開放状態を
示す図1のA−A断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の描写性能検査装置である
カメラレンズ特性検査の構成を示す系統図である。
【図7】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置の
構成を示すブロック構成図である。
【図8】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置に
おける光軸中心MTF値のZ位置に対する変化を示す線
図である。
【図9】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置に
おける周辺MTF値のZ位置に対する変化を示す線図で
ある。
【図10】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置
におけるMTF検査処理のフローチャートである。
【図11】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置
における各チャートに対するMTF値の測定結果の一例
を示す線図であって、図11(A)が中心チャートに対
する光軸中心MTF値の線図であり、図11(B)が第
1象限のチャートに対する周辺MTF値の線図であり、
図11(C)が第2象限のチャートに対する周辺MTF
値の線図であり、図11(D)が第3象限のチャートに
対する周辺MTF値の線図であり、図11(E)が第4
象限のチャートに対する周辺MTF値の線図である。
【図12】上記図6の一実施形態のMTF特性検査装置
におけるシャッタ開閉信号と撮像ヘッドの撮像信号のタ
イムチャ−トである。
【符号の説明】
5 ……チャートユニット(チャート) 6 ……カメラ(被検物) 11 ……撮像ヘッド(撮像手段) 14 ……撮像制御部(撮像制御手段) 21……CPU(制御手段) 22 ……MTF演算部(MTF算出部) 24 ……シャッタ開閉制御部(制御手段) 31……CPU(シャッタ制御手段) 34 ……シャッタ駆動制御部(シャッタ制御手段) 50 ……レンズ鏡筒(撮影光学系) 74 ……シャッタ装置(シャッタ手段) 75 ……第1レンズ群(撮影光学系) 76 ……第2レンズ群(撮影光学系

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定位置に配置される被検物であるカメ
    ラの撮影光学系を介して撮像する撮像手段と、 上記カメラに対して上記撮像手段が配される側の反対側
    に所定距離離間して配置されるチャートと、 上記撮像手段が撮像したチャート像に基づき、上記被検
    物となりカメラの撮影光学系のMTF特性を算出するM
    TF算出手段と、 上記チャートと撮像手段との間に配置され、上記チャー
    トから撮像手段への光路を開閉するシャッタ手段と、 を具備し、上記シャッタ手段が開状態にあるときに上記
    撮像手段が撮像したチャート像に基づいて上記MTF算
    出手段が上記被検物となるカメラの撮影光学系のMTF
    特性を算出することを特徴とするカメラレンズの描写性
    能検査装置。
  2. 【請求項2】 上記シャッタ手段は、上記被検物となる
    カメラが有しており、上記シャッタ手段の駆動開始信号
    を出力可能な駆動指示手段を具備することを特徴とする
    請求項1記載のカメラレンズの描写性能検査装置。
  3. 【請求項3】 上記撮像手段による撮像を制御する撮像
    制御手段を有しており、上記制御手段は、上記被検物と
    なるカメラが有する上記シャッタ手段の駆動開始信号を
    出力すると共に、上記撮像制御手段に対して撮像開始信
    号を出力し、この撮像開始信号に基づいて上記撮像手段
    による上記チャートの撮像を開始することを特徴とする
    請求項2記載のカメラレンズ描写性能検査装置。
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