JP2003182494A - 袋織りエアバッグ基布及びエアバッグ - Google Patents

袋織りエアバッグ基布及びエアバッグ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の袋織りエアバッグの問題点、特に内圧保
持性能の向上に着目し、袋部−エアバッグ作動時に袋体
として膨張しない部分の境界部からのエアー漏れに関す
る問題点を解決した袋織りエアバッグ基布を提供する。 【解決手段】複数枚の布帛を袋織りによって結合するこ
とにより袋を形成し、その袋部分(多重布部)とエアバ
ッグ作動時に袋体として膨張しない部分を有する袋織エ
アバッグ基布であり、該袋織エアバッグ基布の袋部分と
エアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分の境界線
上において、エアバッグ作動時に袋体として膨張しない
部分の輪郭線上に接線を引き、その接点を中心角とする
袋部の角度が180°を超える接点部分をすべて包含する
部位の緯糸の密度が前記接点部分を包含しない部位の緯
糸密度より高くなっていることを特徴とする袋織りエア
バッグ基布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用安全装置の
一つであるエアバッグに関するものであり、輸送車両に
おける搭乗者を側面保護するために特に有益なエアバッ
グに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車安全部品の一つとして、エ
アバッグは乗員の安全意識の向上に伴い、急速に装着率
が向上している。エアバッグは自動車の衝突事故の際、
衝撃をセンサーが感知し、インフレーターから高温、高
圧のガスを発生させ、このガスによってエアバッグを急
激に展開させ、乗員保護に役立つものである。
【0003】従来、エアバッグには運転席用、助手席用
の正面からの衝突時に乗員を保護するものが装着されて
きたが、最近では側部からの衝突にも対応できるエアバ
ッグが開発されてきた。
【0004】運転席用、助手席用のエアバッグには従来
2枚のエアバッグ基布を縫製することによって、作製さ
れている。しかし、最近エアバッグの性能向上および製
造コストの削減から製織段階でバッグを形成することが
出来る袋織り技術が注目されてきた。
【0005】また、側面保護用エアバッグは、自動車の
ロールオーバーを想定している場合が多く、運転席用、
助手席用のエアバッグとは異なり、展開後に内圧保持時
間を数秒から10秒程度確保する必要があるとされてい
る。それによって車両がロールオーバー中にも乗員の頭
部が保護できるように設計されている。よって、織物本
体からのガス漏れを防がなければならず、縫製品では縫
い目からの空気漏れがあるため実用的ではない。現状は
袋織りエアバッグ基布に表面コーティングしていること
が通常である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、運転席用お
よび助手席用袋織りエアバッグの場合、数秒から10秒程
度の内圧保持が不必要なため、通常軽量、コンパクト化
を目的としてノンコート布が用いられている。そのた
め、低通気性の高密度織物が必要とされている。また、
運転席用および助手席用および側面保護用のどの袋織り
エアバッグも、展開した際、袋体として膨張しない部分
と袋部の境界部分の目ずれからのエアー漏れやインフレ
ーターからの残さの飛び出しが大きな問題となってお
り、この問題を解決するため高密度織物が必要とされて
いる。
【0007】しかも、現段階においては、側面衝突用袋
織りエアバッグ基布の場合、自動車の横転を想定してい
ることが多く、バッグの内圧保持性能を向上させるた
め、袋織りエアバッグ基布に表面コーティングしたエア
バッグを使用している。しかし、現状では自動車の横転
に耐えうる内圧保持性能を満たすことが出来ていない。
【0008】特開平4-193646号公報において、袋織エア
バッグの接結一重組織を内側、外側の2つに分け、経
糸、緯糸の拘束度の異なる織組織を当てはめることを提
案しているが、内外における拘束度の差の規定は無く、
エアバッグ展開時に求められる内圧保持性能を十分に得
られるだけの提案となっていない。
【0009】また、特開平4−281038号公報では、エア
バッグ基布の織密度を部分的に高め、地の部分と通気度
差をもたせることを特徴としているが、これらの方法で
は、経糸、緯糸共に密度変化が必要なため、経糸本数を
準備の段階で、その都度変更する必要があり、実質上生
産では採用できない方法である。
【0010】また、特開平6−305385号公報でも、エア
バッグ基布の織密度を部分的に高め、地の部分と強度差
をもたせることを特徴としているが、これは単にインフ
レーターからのガスに対しての強度保持を提案している
が、実際どの程度強度が向上したか不明であり、また袋
織りで最も問題とされる袋部とエアバッグ作動時に膨張
しない部分との境界部からのエア漏れに関しては解決し
ていないため、側面衝突用袋織りエアバッグに求められ
る内圧保持性能を満たす提案にはなっていない。
【0011】そのため、本発明の袋織りエアバッグ基布
は、従来の袋織りエアバッグの問題点、特に内圧保持性
能の向上に着目し、袋部−エアバッグ作動時に袋体とし
て膨張しない部分の境界部からのエアー漏れに関する問
題点を解決する袋織りエアバッグ基布を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明の第1は、複数枚の布帛を袋織り
によって結合することにより袋を形成し、その袋部分
(多重布部)とエアバッグ作動時に袋体として膨張しな
い部分を有する袋織エアバッグ基布であり、該袋織エア
バッグ基布の袋部分とエアバッグ作動時に袋体として膨
張しない部分の境界線上において、エアバッグ作動時に
袋体として膨張しない部分の輪郭線上に接線を引き、そ
の接点を中心角とする袋部の角度が180°を超える接点
部分をすべて包含する部位の緯糸の密度が前記接点部分
を包含しない部位の緯糸密度より高くなっていることを
特徴とする袋織りエアバッグ基布であり、
【0013】その第2は、複数枚の布帛を袋織りによっ
て結合することにより袋を形成し、その袋部分(多重布
部)とエアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分を
有する袋織エアバッグ基布であり、該袋織エアバッグ基
布の袋部分とエアバッグ作動時に袋体として膨張しない
部分の境界線上において、エアバッグ作動時に袋体とし
て膨張しない部分の輪郭線上に接線を引き、その接点を
中心角とする袋部の角度が180°を超える接点部分をす
べて包含する部位の緯糸の密度が前記接点部分を包含し
ない部位の緯糸密度より2%以上高くなっていることを
特徴とする袋織りエアバッグ基布であり、
【0014】その第3は、請求項1記載のエアバッグ基
布からなるエアバッグであり、
【0015】その第4は、請求項2記載のエアバッグ基
布からなるエアバッグである。袋織りエアバッグ基布。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の袋織りエアバッグ基布を
構成する原糸は、特に素材を限定するものではないが、
特にナイロン66、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン12
などの脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維のような芳
香族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートやポ
リブチレンテレフタレートなどのホモポリエステルが使
用される。他には全芳香族ポリエステル、超高分子量ポ
リエチレン繊維、PPS繊維、ポリエーテルケトン繊維な
どが挙げられる。ただし、経済性を勘案するとポリエス
テル繊維、ポリアミド繊維(ナイロン66、ナイロン6、
ナイロン46)が特に好ましい。また、これらの合成繊維
には原糸製造工程や後加工工程での工程通過性を向上さ
せるために、各種添加剤を含有しても何ら問題はない。
例えば、酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、
増粘剤、難燃剤などである。
【0017】また、この基布をエアバッグとして製品化
する際、通気度低下や目ずれ防止のためのコート剤とし
ては特に限定するものではなく、クロロプレン、クロル
スルフォン化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴムを
塗付またはゴム状のものを接着剤を介してラミネートし
ても良いし、接着剤を介さずそのままラミネートするこ
とも可能である。また、エアバッグとして性能を満たせ
ば、コーティングやラミネートを施さなくてもノンコー
ト基布で構わないし、ノンコート基布にカレンダー等の
後加工を施しても構わない。
【0018】また、製織の際使用される織機についても
特に限定はなく、例えばウォータージェットルーム、エ
アジェットルーム、レピアルーム、プロジェクタイルル
ームなどが使用される。しかし、織生産性、経糸へのダ
メージ、糸汚れなどを考慮するとウォータージェットル
ーム、エアジェットルームが特に好ましい。
【0019】また、袋織りの柄を決定する際には、ジャ
カード装置やドビー装置が用いられる。特に複雑な柄出
しをするためには、ジャカード装置(電子式、機械式)
が必要となり、更に生産性、柄変更の容易さより電子式
ジャカード装置が好ましい。更に、袋織の枚数は複数枚
の製織が可能であるが、通常2〜6枚程度が好ましい。
【0020】請求項で記載している「エアバッグ作動時
に袋体として膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度
が180°を超える部分をすべて包含する箇所」とは、袋
体として膨張しない部分と膨張する袋部の境界線形状
が、直線からなるもの曲線からなるものを問わず、バッ
グのデザインとして袋部に対して接線をひいた際、袋部
分の角度が180°を超える部分をすべて包含する箇所は
全て含み、袋部周囲を囲う境界線、袋部中に存在する膨
張しない部分との境界線など、全ての境界線を含むもの
である。
【0021】さらに具体的には図1に例をあげ説明す
る。図1中の太線で示している箇所が「エアバッグ作動
時に袋体として膨張しない部分に接線をひき、袋部の角
度が180°を超える部分をすべて包含する箇所」であ
り、実施例に使用している図2、3、4でも同様に、太線
で記している箇所が「エアバッグ作動時に袋体として膨
張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を超え
る部分をすべて包含する箇所」である。
【0022】以下、本発明の袋織りエアバッグ基布の好
ましい例を添付図面を参照して詳述する。
【0023】図2の例は、今回使用した袋織りエアバッ
グの模式図である。形状等の因子を省くため、バッグの
1部分を模式的に示し、バッグの複雑な形状は取り入れ
ず簡単化した図面とした。1部が袋織部(多重布部)、2
部がエアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分であ
る。また、2部の180°を超える部分周辺をA、それ以外
の地の部分をBとする。
【0024】また、図3の例は、比較例2におけるエアバ
ッグの模式図であり、C部以外は図1と同じである。図4
も同様に、D部以外は図2と同じ図面である。
【0025】ここで、1の袋織組織は今回の例の中では2
重織の袋を形成しているため、図5に示す組織図は2重織
の一例であり、実際は、これ以外の袋組織を使用しても
構わない。
【0026】図6は、エアバッグ作動時に袋体として膨
張しない部分の組織図一例である。この組織以外の接結
一重組織を用いてバッグを形成しても構わない。
【0027】180°を超える部分のA部周辺(図2)部
は、地の組織に対して1%以上緯密度を高めることによ
り境界部の強力を上げ、境界目開き量や境界通気量を下
げることが可能となり、バッグの内圧保持性能を向上さ
せることができるが、さらにエアバッグの内圧保持性能
を向上させ、安全性を高めるには、4%以上緯密度を高
めることが好ましく、更に好ましくは、8%以上緯密度
を高めることである。
【0028】また、緯密度は製織上打込みが可能であれ
ば、上限は無いが、製織性を考慮するならば、20%まで
の緯密度の増加、更に好ましくは15%までの緯密度の増
加が物性、製織性、品位ともに良好となる。
【0029】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳述
する。以下に示す実施例及び比較例における評価は、次
の方法で行い、表示した。
【0030】目開き量:目開き量の測定は、JIS-L1096-
8.21.1に準拠して行った。すなわち、袋部(図2−1)と
エアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分(図2-
2:A部)を含むサンプルを切り出し、引張試験機で次の
条件で引張り、その時の目開き量を測定する。また、目
開き量を測定する際のサンプル布はコーティング前の加
工反とする。
【0031】1)境界部(イ部)が引張方向に対し直角
になるように幅3cm、チャック間長さ15cmに設定できる
ようにサンプルを切り出し(図1の点線a、b)、境界部
(イ部)がチャック間長さ方向の中央になるように設定
する。
【0032】2)引張試験機を用い、引張速度500mm/mi
nで荷重294N時に引張を停止し、その時に織目が最大に
開いた箇所の両端の距離をサンプル引張状態のままノギ
ス、メジャーを使用して測定する。
【0033】3)n=5で測定し、その平均値で目開き量
値とする。
【0034】流量測定:コンプレッサー等の圧空源から
のエアーを圧力調整器を通し、流量計を介して図1に示
すエアバッグへつなぎ、定めた圧力までエアーを送り込
んだ際のバッグ流量を測定する。また流量測定の際に使
用するバッグはコーティング後のコート布であり、流量
測定値が低いほどエアバッグの内圧保持性能は高いこと
を示す。今回は、差圧が50kPa時の流量を測定した。ま
た、表示は実施例1の流量値を100とし、相対値表示とし
た。
【0035】品位:加工まで仕上がった袋織りエアバッ
グ基布の基布欠点として、特に経糸因による単糸切れ、
毛羽に注意し、基布幅変動を含めた袋織りエアバッグの
品位を検査時に目視で行い、これらに関する評価を、
◎:大変良好、○:良好、△:普通、×:悪い、で印付
けしている。
【0036】また、総合評価は、生産性、製織性も含め
た評価とし、基布、バッグの上記測定で得られた物性
と、品位を考慮して、◎:大変良好、○:良好、△:普
通、×:悪い、で印付けしている。
【0037】
【実施例1】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で加工後
経60本/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて
製織後、沸水収縮工程を通過させ、引き続き乾燥、セッ
ト工程を経て加工反を作成し、これに60g/m2のシリコ
ンを両面コートし、側面衝突用エアバッグを作製した。
この試料の2部は、2×2バスケット組織とした。この時
の2部の組織図例を図6に示す。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は加工反で60本/2.54cmとした。
【0038】
【実施例2】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は加工反で57本/2.54cmとした。
【0039】
【実施例3】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は加工反で62本/2.54cmとした。
【0040】
【実施例4】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は加工反で65本/2.54cmとした。
【0041】
【実施例5】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は加工反で68本/2.54cmとした。
【0042】
【比較例1】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図2-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図2−A部)
の緯密度は地組織部と同じの55本/2.54cmとした。
【0043】
【比較例2】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図3-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部(図3−A部)
の緯密度は地組織部と同じの55本/2.54cmとし、図3−
C部の緯密度を加工反で65本/2.54cmとした。
【0044】
【比較例3】経、緯糸に350dtex/108fのナイロン66フィ
ラメント原糸を用い、エアージェットルームと電子ジャ
カード装置を用いて平織にて図4-1部を2重袋部で経60本
/2.54cm、緯55本/2.54cmになるように袋織りにて製織
後、実施例1と同一の加工工程とコート工程を通過させ
側面衝突用エアバッグを作製した。この試料の2部の織
組織は実施例1と同一である。また、エアバッグ作動時
に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角度が180°を
超える部分をすべて包含する箇所の周辺部の経密度(図
4−D部)×緯密度(図4−A部)は加工反65本×60本/
2.54cmとした。
【0045】実施例、比較例について、その特性を評価
した結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1からも明らかなように、緯密度を上げ
るほど目開き量やバッグから漏れるエアー量は少ない。
特に実施例4、5の場合は、目開き量も小さく、かつ流量
も低いことから、エアバッグとして展開した際も、袋部
とエアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分との境
界部からのエアー漏れ減少につながることがわかる。
【0048】しかし、このように緯密度を上昇すること
で、製織性が落ち、基布の品位が落ちるため、実施例
1、2、3と比較するとロス率が高い。よって、物性的に
は問題の無いバッグが仕上がるが、生産性を考慮する
と、現実的な値ではない。
【0049】実施例1、2、3の場合、製織性に問題を起
こさない程度の緯密度の上昇であるため、基布の品位も
良く、バッグロス率も低く抑えることができる。また、
実施例1、3の場合、目開き量、バッグ流量共に低く抑え
られているため、物性的にも問題なく、生産性を考慮し
ても現実的である。また、実施例2においては袋部に対
して接線角度が180°を超える形状となるエアバッグ作
動時に膨張しない部分の密度増加が実施例1、3と比較し
て低いため、目開き量値、流量測定相対値も増加してい
るが、目開き量値が3.0以下、流量測定値相対値が200
以下であれば、コーティングによる効果で最終製品であ
るエアバッグのエア漏れは最小限に抑えることが可能と
なり、十分安全なエアバッグ基布となる。
【0050】比較例1の場合、緯密度を全く変化させて
いないため、製織性は良好であり、基布の品位も良く、
ロス率も低い。ただし、エアーが一番漏れやすい部分を
全くケアしておらず、目開き量、バッグ流量ともに高い
値を示しており、エアバッグとしての安全性に欠けたも
のとなる。
【0051】また、比較例2の場合、エアバッグ作動時
に膨張しない部分の形状が袋部に対して接線角度が180
°を超えない部分の緯密度は上げているにも関わらず、
目開き量、流量測定の結果がどの部分も緯密度を全く変
化させていない比較例1とほぼ同じである。このこと
は、実際エアバッグが作動した際、内圧保持のために最
も問題となる点をケアできていないことを示している。
よって、この例によって作製されたバッグでは、エアバ
ッグとしての安全性に欠けたものとなる。
【0052】また、比較例3の場合、エアバッグ作動時
に膨張しない部分の形状が袋部に対して接線角度が180
°を超える形状となる部分の経糸、緯糸密度を共に上げ
ているため、物性的には良い値を示している。しかし、
経糸密度を部分的に上げているため、整経性(製織準備
性)が低下し、更に、経糸全幅方向で1部分だけが高密
度となり、テンションムラが発生した。そのため、製織
性が低下し、1部分だけ高密度となった経糸部で経糸の
単糸切れや毛羽が発生し、基布の品位が悪化した。よっ
て、経糸密度を部分的に上げることにより、生産性が低
下しかつエアバッグとしての品位も低下したバッグとな
った。
【0053】
【発明の効果】本発明の袋織りエアバッグ基布は、エア
バッグ作動時に膨張しない部分に接線をひき、袋部の角
度が180°を超える部分をすべて包含する箇所の緯密度
を高くすることにより、エアバッグ膨張時において、袋
部とエアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分の境
界部の目ずれを効果的に低減し、インフレーターからの
エアー洩れをより小さくすることができた。更に、緯糸
打込みのみで性能を向上させるため生産性、品位共に良
好となった。よって、エアバッグの内圧保持性能が高
く、安全性に優れたエアバッグを提供することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアバッグ作動時に膨張しない部分で、接線角
度が180°を超える部分の説明用図面。
【図2】実施例、比較例に使用した袋織りエアバッグ基
布の1例を示す平面図。
【図3】比較例2に使用した袋織りエアバッグ基布の1
例を示す平面図。
【図4】比較例3に使用した袋織りエアバッグ基布の1
例を示す平面図。
【図5】2重袋織部の組織図一例。
【図6】A部の織組織図一例。
【符号の説明】
1:袋部 2:エアバッグ作動時に膨張しない部分 A:エアバッグ作動時に膨張しない部分の形状が袋部に
対して接線角度が180°を超える部分(実施例における
緯密度増加部分) B:A部以外の地部分 C:比較例2における緯密度増加部分 D:比較例3における経密度増加部分 a:目開き量サンプル切り出し例 b:目開き量サンプル切り出し例 イ:目開き量サンプル切り出し時の袋部とエアバッグ作
動時に膨張しない部分との境界部分 >180°:接線角度が180°を超える部分 <180°:接線角度が180°未満部分 =180°:接線角度が180°である部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D054 AA02 AA03 AA04 AA18 CC25 CC26 CC27 CC30 CC38 CC45 FF18 4L048 AA24 AA34 AB07 BA13 BB06 CA11 CA12 CA13 CA15 DA25 EA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数枚の布帛を袋織りによって結合するこ
    とにより袋を形成し、その袋部分(多重布部)とエアバ
    ッグ作動時に袋体として膨張しない部分を有する袋織エ
    アバッグ基布であり、該袋織エアバッグ基布の袋部分と
    エアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分の境界線
    上において、エアバッグ作動時に袋体として膨張しない
    部分の輪郭線上に接線を引き、その接点を中心角とする
    袋部の角度が180°を超える接点部分をすべて包含する
    部位の緯糸の密度が前記接点部分を包含しない部位の緯
    糸密度より高くなっていることを特徴とする袋織りエア
    バッグ基布。
  2. 【請求項2】複数枚の布帛を袋織りによって結合するこ
    とにより袋を形成し、その袋部分(多重布部)とエアバ
    ッグ作動時に袋体として膨張しない部分を有する袋織エ
    アバッグ基布であり、該袋織エアバッグ基布の袋部分と
    エアバッグ作動時に袋体として膨張しない部分の境界線
    上において、エアバッグ作動時に袋体として膨張しない
    部分の輪郭線上に接線を引き、その接点を中心角とする
    袋部の角度が180°を超える接点部分をすべて包含する
    部位の緯糸の密度が前記接点部分を包含しない部位の緯
    糸密度より2%以上高くなっていることを特徴とする袋
    織りエアバッグ基布。
  3. 【請求項3】請求項1記載のエアバッグ基布からなるエ
    アバッグ。
  4. 【請求項4】請求項2記載のエアバッグ基布からなるエ
    アバッグ。
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