JP2003181679A - 溶接方法、被覆物の除去方法、被覆物除去装置 - Google Patents

溶接方法、被覆物の除去方法、被覆物除去装置

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JP2003181679A
JP2003181679A JP2001380133A JP2001380133A JP2003181679A JP 2003181679 A JP2003181679 A JP 2003181679A JP 2001380133 A JP2001380133 A JP 2001380133A JP 2001380133 A JP2001380133 A JP 2001380133A JP 2003181679 A JP2003181679 A JP 2003181679A
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Kazuhiko Kamo
鴨  和彦
Yukio Doge
幸雄 道下
Tomoaki Wakayama
友晃 若山
Masao Ushio
誠夫 牛尾
Manabu Tanaka
学 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接対象である母材をほとんど溶融すること
なく、酸化物スラグ等の被覆物を除去することを目的と
する。 【解決手段】 溶接対象としての母材10にフラックス
を塗布し、当該溶接対象に溶接を行う溶接工程と、溶接
工程後にフラックスが固化して形成された酸化物スラグ
等の被覆物30に対してパルス状のアークを印加し、酸
化物スラグを除去するパルスアーク発生工程とを備える
ようにした。このように、所定の条件でパルス状のアー
クを被覆物30に作用させることによって、溶接対象で
ある母材10をほとんど溶融することなく、酸化物スラ
グ等の被覆物30を除去するのである。本発明の溶接方
法では、パルスアーク発生工程において被覆物30が除
去されるため、その後さらに溶接対象に対して溶接を行
った際にも開先での融合不良が生じにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接方法、被覆物
の除去方法等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属部材を溶接する過程において、開先
表面に活性化フラックスを塗布して行うTIG溶接は、
低入熱溶接が可能であり、しかも深い溶け込みが得られ
るため、効果的な溶接方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、活性化フ
ラックスを用いたTIG溶接は効果的な溶接方法である
反面、以下のような問題がある。つまり、図5(a)に
示すように、初層溶接後のビード表面には一度溶融した
フラックスが酸化物スラグとして強固に固着する。そし
て、図5(b)に示すように、2層目の溶接時において
もフラックスによる深い溶け込みの特性が残存するた
め、2層目の溶接時には開先両サイドにフラックスが残
存してしまい、開先両サイドでの融合不良の発生が懸念
される。そのため、初層溶接後に酸化物スラグを除去す
る必要がある。この酸化物スラグは、化学的方法および
ワイヤブラシ等の軽い機械的な方法では除去することが
できないため、現状では、グラインダーにて酸化物スラ
グを除去しているが、除去にあたっては溶接時間と同等
の時間を要するという場合がある。そこで、本発明は、
より簡易な方法で酸化物スラグ等の被覆物を除去しつつ
溶接を行う方法、および被覆物の除去方法等を提供する
ことを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる目的のもと、本発
明者は酸化物スラグ等の被覆物を除去しつつ溶接を行う
ために、様々な検討を行った。その結果、所定の条件で
パルス状のアークを被覆物に作用させることによって、
溶接対象である母材をほとんど溶融することなく、酸化
物スラグ等の被覆物を除去することができることを知見
した。すなわち、本発明は、溶接対象にフラックスを塗
布し、当該溶接対象に溶接を行う溶接工程と、溶接工程
後にフラックスが固化して形成された酸化物スラグに対
してパルス状のアークを印加し、酸化物スラグを除去す
るパルスアーク発生工程とを備えることを特徴とする溶
接方法を提供する。本発明の溶接方法では、パルスアー
ク発生工程において酸化物スラグが除去されるため、そ
の後さらに溶接対象に対して溶接を行った際にも開先で
の融合不良が生じにくい。
【0005】また、本発明の溶接方法では、上述したパ
ルスアーク発生工程において、アーク電流のベース値を
1〜30A、かつアーク電流のピーク値を10〜150
Aと、通常の溶接よりもアーク電流を低めに設定する。
これにより、母材をほとんど溶融することなく、酸化物
スラグを除去することが可能となる。パルスアーク発生
工程におけるパルス周波数は1000〜10000Hz
とすることが好ましい。このように、パルス周波数を高
めに設定することにより、陰極点が移動する回数が多く
なり、陰極点から電子が放出されるときのエネルギを酸
化物スラグ除去用に効果的に用いることができるためで
ある。
【0006】本発明は、溶接に付随する場合に限らず、
金属部材の表面に形成された被覆物の除去に広く適用す
ることができる。より具体的には、金属部材と所定距離
隔てて電極を配置し、被覆物から電子を放出させる。次
いで、この電子の放出エネルギを利用して被覆物を除去
するのである。ここで、金属部材と電極との間に生成さ
れるアークはパルス状のものとし、かつアークの極性を
交流または直流逆極性とすることが好ましい。本発明の
被覆物の除去方法において、被覆物は酸化物とすること
ができる。さらに本発明は、以上の溶接方法、被覆物の
除去方法に適用することのできる以下の被覆物除去装置
を提供する。すなわち、本発明の被覆物除去装置は、表
面に被覆物を有する金属部材と所定距離隔てて配置され
るトーチと、トーチの先端に設けられ、被覆物と対向し
て配置される電極と、この電極と金属部材との間に金属
部材の溶融を目的としないパルスアークを発生させるア
ーク発生手段とを備え、パルスアークにより被覆物を除
去することを特徴とする。この被覆物除去装置におい
て、電極は、被覆物に対向する先端が曲面状であること
が好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】上述の通り、本発明は、金属部材
の表面に形成された被覆物の除去方法であって、金属部
材と所定距離隔てて電極を配置し、被覆物と電極との間
にパルスアークを発生させることにより、被覆物を除去
することを特徴とする。以下、図面を参照して本発明の
一実施形態を説明する。
【0008】はじめに、図1を用いて本発明の構成を示
す。図1は、本発明に係る被覆物除去装置の構成の一例
を示す図である。図1に示すように、アーク用電源20
には、先端部に非消耗電極22を備えたトーチ21と、
母材10とが接続され、非消耗電極22は、母材10の
表面に形成された被覆物30と対向するように配置され
る。そして、このアーク用電源20と、トーチ21と、
非消耗電極22とで本発明に係る被覆物除去装置100
を構成している。ここで、アーク用電源20は、非消耗
電極22と母材10との間に母材10の溶融を目的とし
ないパルスアークを発生させるアーク発生手段として機
能する。
【0009】アーク用電源20としては、高いパルス周
波数(1秒間のパルス回数)に対応可能なものを用い
る。これは、後述するように、本実施の形態では、10
00〜10000Hzという高いパルス周波数でパルス
アークを発生させるためである。また、本実施の形態で
は、極性を交流とし、かつ通常のTIG溶接またはMI
G溶接の際に使用するアーク電流よりも低い電流を使用
することを一つの特徴としている。この特徴により、非
消耗電極22および母材10が溶融することを防止する
ことができる。
【0010】被覆物除去装置100において、母材10
が陰極側、非消耗電極22が陽極側となるときの状態を
図2に示す。図2に示すように、母材10が陰極側にな
ると、母材10の表面に形成された被覆物30から電子
が放出される。本発明では、この電子が放出されるとき
のエネルギを被覆物30の除去用に利用する。ここで、
被覆物30とは、母材10と性質の異なる物質をいい、
主に金属部材の表面に形成された酸化物を意味する。例
えば、活性化フラックスを用いたTIG溶接時にフラッ
クスが固化して形成される酸化物スラグ、アルミニウム
(合金)の表面に形成される酸化皮膜、ステンレス鋼を
溶接した際に生じる青色の溶接焼け色(テンパーカラ
ー)、炭素鋼の表面に形成される黒皮等が本発明に係る
被覆物30として広く包含されるが、これらに限られる
ものではない。
【0011】非消耗電極22の材質としては、タングス
テン、銅、カーボン等が好ましく、なかでもタングステ
ンが最も好ましい。また、銅は水冷することが可能であ
るため、銅を非消耗電極22の材質として用いた場合に
は、非消耗電極22の寿命を延ばすことができるという
利点がある。非消耗電極22の形状は、その先端表面が
滑らかな輪郭を持つこと、例えば、図2に示したように
半球形状であることが好ましい。これは、非消耗電極2
2の先端が尖っているような場合には、放電がある場所
に固定されやすいのに対し、例えば半球形状とすること
によって、放電の移動が容易になり、被覆物除去の能率
が向上するためである。上述の通り、本実施の形態で
は、極性を交流としており、母材10が陰極側、非消耗
電極22が陽極側となったときに、母材10の表面に形
成された被覆物30から電子が放出されるが、非消耗電
極22が陽極側の場合には余分な放電は少ない方が好ま
しい。また、後述するように、アークが陰極点を求めて
走り回る際には、非消耗電極22の形状の先端表面が滑
らかな輪郭を持つ方がアークが走りやすいという利点も
ある。なお、非消耗電極22の直径は、2.4〜4.0
mm程度とすることが好ましい。より望ましい非消耗電
極22の直径は、3.2〜4.0mmである。
【0012】次に、本発明に係る被覆物除去装置100
の動作を説明する。図1に示した被覆物除去装置100
において、アーク用電源20を動作させることにより、
非消耗電極22と、母材10との間隙にパルス状のアー
クを発生させる。つまり、上述の通り、アーク用電源2
0がパルス状のアーク発生手段として機能する。本発明
では、アーク電流、パルス周波数等を適切な範囲に制御
してパルスアークを発生させることにより、非消耗電極
22および母材10をほとんど溶融することなく、母材
10の表面に形成された被覆物30を除去するのであ
る。より具体的には、図2に示したように、母材10が
陰極側のときには、アークの陰極点が主に酸化物からな
る被覆物30の上に生じて、電子放出エネルギの低い酸
化物から電子が放出され、その際に被覆物30が破壊さ
れる。アークの陰極点は次々と酸化物が存在する部分を
求めて走り回る、つまり、酸化物を除去して次の酸化物
へ電子放出点が移動するので、母材10上の被覆物30
は除去されるのである。なお、被覆物除去装置100を
作動させる際には、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス
をシールドガスとして用いて作業を行うことが望まし
い。
【0013】アークをパルス状とするのは、以下の理由
に基づく。すなわち、アークをパルス状とした場合に
は、アーク電流を制御することにより、母材10をほと
んど溶融させることなく、被覆物30を除去することが
可能となる。一方、アークがパルスアークでない場合、
つまりアークが直流の場合には、アークが安定しやす
い。そのために、被覆物30を除去するに足るアーク電
流を印加すると、母材10を溶融させる可能性が高い。
【0014】以上のように、本発明はパルスアークを被
覆物30に印加することを特徴とするが、その際のアー
ク電流、パルス周波数、アーク長、トーチ21の移動速
度を制御することが望ましい。そこで、以下、アーク電
流、パルス周波数、アーク長、トーチ21の移動速度の
望ましい範囲について説明する。
【0015】アーク電流のベース値は、3〜30A、よ
り望ましくは10〜20Aとする。また、アーク電流の
ピーク値は、10〜150A、より望ましくは20〜1
00A、さらに望ましくは60〜80Aとする。溶接時
には、通常200A以上の直流のアーク電流を流すが、
母材10をほとんど溶融することなく被覆物30を除去
するためにはより低いアーク電流とすることが効果的で
あるという本発明者の知見に基づく。ここで、電流波形
は、図3に示すように、矩形状の波形とすることが好ま
しい。
【0016】本発明では、パルス周波数を1000〜1
0000Hzとする。このように、パルス周波数を高め
に設定しているのは、以下の理由による。すなわち、パ
ルス周波数が1000Hz以上と高い方が、陰極点が移
動する回数が多くなり、陰極点から電子が放出されると
きのエネルギを被覆物30の除去用に効果的に用いるこ
とができるためである。これに対し、通常のパルスMI
G溶接のように、パルス周波数が50〜200Hz程度
と低い場合には、陰極点が移動する回数が少ないため、
結果的に母材10が溶融しやすい。したがって、パルス
周波数を1000Hz以上と高くすることにより、母材
10をできるだけ溶融させずに、被覆物30を除去する
ことができるのである。なお、パルス周波数の上限を1
0000Hzとしたのは、アーク用電源20の製作コス
トを抑えるためである。したがって、パルス周波数は、
1000〜10000Hzとする。より望ましいパルス
周波数は、2500〜7500Hz、さらに望ましいパ
ルス周波数は、3500〜6500Hzである。
【0017】アーク長は、3mm以下とする。より望ま
しいアーク長は2mm以下、さらに望ましくは0.5〜
1.5mmとする。アーク長が3mm以下と短い方が、
被覆物30を除去する上で効果的である。ここで、アー
ク長とは、非消耗電極22と被覆物30との距離をい
う。トーチ21の移動速度は、除去すべき被覆物30の
性質にもよって異なるものであるが、トーチ21の移動
速度が遅すぎると母材10が溶融しやすくなるため好ま
しくない。一方、トーチ21の移動速度が速すぎると、
被覆物30の除去が不十分となり、母材10上に所々被
覆物30が残存してしまうおそれがある。具体的には、
フラックスが固化した酸化物スラグ等、母材10の表面
に強固に固着した被覆物30を除去対象とするような場
合には、トーチ21の移動速度を30〜100mm/m
in程度、より望ましくは40〜60mm/min程度
する。アルミニウム等の金属表面に形成される酸化皮膜
を除去対象とする場合には、トーチ21の移動速度を5
00〜1500mm/min程度、より望ましくは70
0〜1100mm/min程度する。また、溶接焼け
色、炭素鋼に形成される黒皮等を除去対象とする場合に
は、トーチ21の移動速度を50〜150mm/min
程度、より望ましくは70〜120mm/min程度と
する。
【0018】以上、アーク電流、パルス周波数、アーク
長、トーチ21の移動速度の望ましい範囲について説明
した。但し、これらは、除去対象、つまり被覆物30の
性質、被覆物30が形成されている母材10の性質毎に
異なるものである。
【0019】図4は、本発明に係る被覆物除去装置の他
の例を示す図である。なお、図4において、図1に示し
た被覆物除去装置100と同一の部分には同一の符号を
付してある。図4に示すように、アーク用電源20aの
陽極には、先端部にワイヤ40を備えたトーチ21が接
続されており、ワイヤ40は、母材10の表面に形成さ
れた被覆物30と対向するように配置される。一方、ア
ーク用電源20aの陰極には、母材10が接続されてい
る。そして、このアーク用電源20aと、トーチ21
と、ワイヤ40とで本発明に係る被覆物除去装置200
を構成している。アーク用電源20aとしては、上述し
たアーク用電源20と同様、高いパルス周波数に対応可
能なものを用いる。またワイヤ40については、MIG
溶接装置におけるワイヤと同様なもの、例えば金属系の
ワイヤを用いることができる。
【0020】本発明に係る被覆物除去装置200では、
極性を直流逆極性(DCRP)とする。すなわち、母材
10を陰極側、ワイヤ40を陽極側に接続し、母材10
の表面に形成された被覆物30から電子が放出されると
きのエネルギを被覆物30の除去用に利用するのであ
る。
【0021】次に、本発明に係る被覆物除去装置200
の動作を説明する。図4に示した被覆物除去装置200
において、アーク用電源20aを動作させることによ
り、その陽極に接続されたワイヤ40と、その陰極に接
続された母材10との間隙にパルス状のアークを発生さ
せる。つまり、アーク用電源20aがパルス状のアーク
発生手段として機能する。そして、アーク電流、パルス
周波数等を適切な範囲とすることにより、母材10をほ
とんど溶融することなく母材10の表面に形成された被
覆物30を除去するのである。アーク電流、パルス周波
数等の適切な範囲については上述の場合と同様であるた
め、説明を割愛する。なお、被覆物除去装置200を作
動させる際には、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを
シールドガスとして用いて作業を行うことが望ましい。
【0022】以上説明の通り、本発明によれば、母材1
0をほとんど溶融することなく、母材10表面に形成さ
れた被覆物30を簡易に除去することが可能である。
【0023】
【実施例】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。図1に示した被覆物除去装置100を
用いて、A−TIGスラグ(実施例1)、アルミニウム
酸化皮膜(実施例2)、ステンレス鋼溶接焼け色(実施
例3)、炭素鋼黒皮(実施例4)を除去するために行っ
た実験を実施例1〜4として説明する。
【0024】
【表1】
【0025】(実施例1)母材10をステンレス鋼と
し、TIG溶接装置を用いて母材10にフラックス(T
iO2−CrO−SiO2)を塗布して、初層を溶接し
た。次いで、母材10上に酸化物スラグと化したフラッ
クス(A−TIGスラグ)と、非消耗電極22とが対向
するように被覆物除去装置100を配置し、表1に示し
た条件でパルスアークを発生させた。なお、非消耗電極
22としては、先端が半球形状のタングステン電極を用
い、極性は交流とした。また、シールドガスとしてアル
ゴンを用いた。母材10と非消耗電極22との間にパル
スアークを発生させたところ、母材10をほとんど溶融
することなく、除去対象であるA−TIGスラグを除去
することができた。母材10を切断し、断面を観察した
ところ、溶融部分の深さはわずか0.1mm程度であっ
た。
【0026】(実施例2)母材10をアルミニウム合金
とし、アルミニウム合金上に形成されている酸化皮膜を
除去するために行った実験を実施例2として説明する。
図1に示したように、母材10と、非消耗電極22とが
対向するように被覆物除去装置100を配置し、表1に
示した条件でパルスアークを発生させた。なお、非消耗
電極22としては、先端が半球形状のタングステン電極
を用い、極性は交流とした。また、シールドガスとして
アルゴンを用いた。母材10と非消耗電極22との間に
パルスアークを発生させたところ、アルミニウム合金を
ほとんど溶融することなく、除去対象としての酸化皮膜
を除去することができた。
【0027】(実施例3)母材10を溶接焼け色(テン
パーカラー)が生じているステンレス鋼とし、溶接焼け
色を除去するために行った実験を実施例3として説明す
る。表1に示した条件でパルスアークを発生させた以外
は、実施例2と同様の条件で実験を行った。母材10と
非消耗電極22との間にパルスアークを発生させたとこ
ろ、ステンレス鋼をほとんど溶融することなく、除去対
象としての溶接焼け色を除去することができた。
【0028】(実施例4)母材10を炭素鋼とし、炭素
鋼上に形成された黒皮を除去するために行った実験を実
施例4として説明する。表1に示した条件でパルスアー
クを発生させた以外は、実施例2と同様の条件で実験を
行った。母材10と非消耗電極22との間にパルスアー
クを発生させたところ、炭素鋼をほとんど溶融すること
なく、除去対象としての黒皮を除去することができた。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
簡易な方法で酸化物スラグ等の被覆物を除去することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る被覆物除去装置の構成の一例を
説明する図である。
【図2】 母材が陰極側、非消耗電極が陽極側となる場
合の状態を示す図である。
【図3】 電流波形を示す図である。
【図4】 本発明に係る被覆物除去装置の構成の他の例
を説明する図である。
【図5】 図5(a)は、初層溶接後のビード表面にフ
ラックス(酸化物スラグ)が固着した状態を示す図、図
5(b)は、2層目の溶接時においてもフラックスによ
る深い溶け込みの特性が残存する状態を示す図である。
【符号の説明】
10…母材、20,20a…アーク用電源(アーク発生
手段)、21…トーチ、22…非消耗電極、30…被覆
物、40…ワイヤ、100…被覆物除去装置、200…
被覆物除去装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若山 友晃 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 牛尾 誠夫 兵庫県川西市緑台4丁目8番48号 (72)発明者 田中 学 大阪府高槻市日吉台一番町7番24号 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB07 DE02 DE04 DG04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接対象にフラックスを塗布し、当該溶
    接対象に溶接を行う溶接工程と、 前記溶接工程後に前記フラックスが固化して形成された
    酸化物スラグに対してパルス状のアークを印加し、前記
    酸化物スラグを除去するパルスアーク発生工程と、を備
    えることを特徴とする溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記パルスアーク発生工程において前記
    酸化物スラグを除去した後に、前記溶接対象に溶接を行
    う溶接工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に
    記載の溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記パルスアーク発生工程において、 アーク電流のベース値を1〜30A、かつアーク電流の
    ピーク値を10〜150Aとすることを特徴とする請求
    項1または2に記載の溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記パルスアーク発生工程において、 前記パルス状のアークのパルス周波数は1000〜10
    000Hzであることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の溶接方法。
  5. 【請求項5】 金属部材の表面に形成された被覆物の除
    去方法であって、 前記金属部材と所定距離隔てて電極を配置し、前記被覆
    物から電子を放出させるステップと、 前記電子の放出エネルギを利用して前記被覆物を除去す
    るステップと、を備えることを特徴とする被覆物の除去
    方法。
  6. 【請求項6】 前記金属部材と前記電極との間にパルス
    状のアークを生成し、かつ前記アークの極性は、交流ま
    たは直流逆極性であることを特徴とする請求項5に記載
    の被覆物の除去方法。
  7. 【請求項7】 前記被覆物は酸化物であることを特徴と
    する請求項5または6に記載の被覆物の除去方法。
  8. 【請求項8】 表面に被覆物を有する金属部材と所定距
    離隔てて配置されるトーチと、 前記トーチの先端に設けられ、前記被覆物と対向して配
    置される電極と、 前記電極と前記金属部材との間に前記金属部材の溶融を
    目的としないパルスアークを発生させるアーク発生手段
    と、を備え、 前記パルスアークにより前記被覆物を除去することを特
    徴とする被覆物除去装置。
  9. 【請求項9】 前記電極は、前記被覆物に対向する先端
    が曲面状であることを特徴とする請求項8に記載の被覆
    物除去装置。
JP2001380133A 2001-12-13 2001-12-13 溶接方法、被覆物の除去方法、被覆物除去装置 Withdrawn JP2003181679A (ja)

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