JP2003177202A - プラスチックレンズ用組成物及びプラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ用組成物及びプラスチックレンズの製造方法

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JP2003177202A
JP2003177202A JP2002279297A JP2002279297A JP2003177202A JP 2003177202 A JP2003177202 A JP 2003177202A JP 2002279297 A JP2002279297 A JP 2002279297A JP 2002279297 A JP2002279297 A JP 2002279297A JP 2003177202 A JP2003177202 A JP 2003177202A
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plastic lens
lens
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weight
polymerization
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Takeaki Iryo
毅明 井領
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 左右方向と上下方向の度数に差が生じる収差
が少なく、面精度が良好で光学性能に優れた紫外線吸収
性プラスチックレンズを得ることができるプラスチック
レンズ用組成物及びプラスチックレンズの製造方法を提
供する。 【解決手段】 原料モノマーを100重量部、紫外線吸
収剤を0.1〜5重量部、可視光領域に吸収特性を有す
る光重合開始剤を0.0005〜5重量部含有し、かつ
熱重合開始剤を0.07重量部以下で含有するプラスチ
ックレンズ用組成物を用い、この組成物を殆ど光重合だ
けで硬化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼を紫外線から守
ることができる紫外線吸収性プラスチックレンズを製造
するためのプラスチックレンズ用組成物及びプラスチッ
クレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光線に含まれている400nm以下
の波長を有する紫外線は、眼の角膜や水晶体に悪影響を
及ぼすことが知られている。海や山などの紫外線量の多
い場所で太陽光線に眼を曝すと、角膜炎を起こしやす
い。また、紫外線の蓄積性により、水晶体に白内障を引
き起こす場合がある。そのため、眼鏡レンズ、特に近年
需要の多いプラスチックレンズに紫外線吸収能力を付与
することが求められている。
【0003】従来、プラスチックレンズに紫外線吸収能
力を付与するための方法として、紫外線吸収剤を溶剤に
溶解し、これをプラスチックレンズ基材に塗布すること
により、プラスチックレンズ表面に紫外線吸収剤を含浸
させる方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】また、モノマー組成物中に紫外線吸収剤を
添加した重合性組成物を重合させてプラスチックレンズ
を得る、いわゆる練り混み方法も提案されている(例え
ば特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】しかし、紫外線吸収剤をプラスチックレン
ズ表面に含浸させる方法では、含浸工程が別途必要にな
り、工程数が増加し、製造コストの上昇を招くという問
題がある。また、紫外線吸収剤によってレンズ表面の物
性が変化するため、レンズ表面に後から形成するハード
コート層やプライマー層との密着性が低下するという問
題もある。
【0006】一方、練り混み法は、工程数が増加するこ
とはないが、モノマー中に紫外線をほとんど吸収するの
に十分な量で紫外線吸収剤を配合しているため、紫外光
領域の光線がほとんど紫外線吸収剤で吸収されてしまう
ことから、紫外線による光重合ができず、熱重合でプラ
スチックレンズを製造している。
【0007】かかる熱重合方法は、重合時間が長くかか
り、高価な成形型を多く用意しなければならないため、
製造コストが高いという問題がある。また、重合時間が
長いため、納品までの日数が必要となり、クイックデリ
バリができないという問題もある。
【0008】このような問題点を解決するため、本発明
者は、可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤を用
いることによって、原料モノマー中に紫外線吸収剤を紫
外線をほとんど吸収するのに十分な量で配合していて
も、光重合開始剤が可視光領域の光でラジカル分解する
ため、練り混み方法で光重合ができることを見い出し
た。
【0009】このような原料モノマーに紫外線吸収剤、
可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤を含有した
プラスチック組成物を原料としてプラスチックレンズを
製造する工程の一例を図1に示す。
【0010】まず、図1(a)に示すように、2枚の円
形のガラス型11,12を準備し、所定の間隔で離間さ
せた2枚のガラス型11,12の周囲に粘着テープ13
を巻いてガラス型11,12間の隙間を封止してキャビ
ティ14を形成し、レンズ重合型10を作製する。
【0011】次に、図1(b)に示すように、レンズ重
合型10を縦にして注入針20を粘着テープ13に刺し
通し、液状のプラスチックレンズ用組成物30をレンズ
重合型10のキャビティ14内に注入する。
【0012】次に、図1(c)に示すように、予備硬化
工程で、粘着テープ13の注入針を通した穴131を上
にしたまま可視光線を含む活性エネルギー線を照射する
活性エネルギー線照射源40より活性エネルギー線を反
射板41でレンズ重合型10に集中させて数秒間照射
し、注入針を通した穴131からプラスチックレンズ用
組成物30が漏れないようにプラスチックレンズ用組成
物30を予備重合させてゲル化させる。この予備硬化工
程で最終的に得られるプラスチックレンズの性能が殆ど
決定される。
【0013】次に、図1(d)に示すように、ゲル化し
たプラスチックレンズ用組成物30の重合反応を活性エ
ネルギー線照射炉50内で活性エネルギー線照射源5
1、52から可視光線を含む活性エネルギー線を照射
し、熱重合を加えて完了させる。その後、粘着テープ1
3を剥離し、ガラス型11,12を脱型してプラスチッ
クレンズを得ることができる。
【0014】
【特許文献1】特開平9−269401号公報
【特許文献2】特開平10−186291号公報
【特許文献3】特開平11−218602号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紫外線
吸収剤と可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤と
を含有するプラスチックレンズ用組成物を原料として用
い、これを予備重合させてゲル化する予備硬化工程を有
するプラスチックレンズの製造方法では、得られるプラ
スチックレンズに左右方向と上下方向の度数に差が生じ
る収差が発生するという問題があることが認められた。
【0016】また、レンズ重合型の中で硬化して得られ
たプラスチックレンズとレンズ重合型との間に剥離が生
じ、レンズ重合型による光学面の転写が不正確になり、
得られるプラスチックレンズの面精度が低下するという
問題があることが認められた。
【0017】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、左右方向と上下方向の度数に差が生じる収差が少
なく、面精度が良好で光学性能に優れた紫外線吸収性プ
ラスチックレンズを得ることができるプラスチックレン
ズ用組成物を提供することを目的とする。
【0018】また、本発明は、左右方向と上下方向の度
数に差が生じる収差が少なく、面精度が良好で光学性能
に優れた紫外線吸収性プラスチックレンズを製造するこ
とができるプラスチックレンズの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、鋭意検討を重ねた結果、プラスチックレ
ンズ用組成物への熱重合開始剤の配合量を原料モノマー
100重量部に対し0.07重量部以下とし、熱重合を
抑制して殆ど光重合だけで重合させることによって、予
備重合を行っても収差が少なく、良好な面精度を有し、
光学性能が良好なプラスチックレンズを得ることができ
ることを見い出した。
【0020】即ち、一般的に、光重合によるプラスチッ
クレンズの製造では、硬化時間の短縮や深部の硬化を確
保し、均一な硬化を行わせるために、光重合に加えて熱
重合を併用することがよいとされていた(例えば特開2
000−281706号公報等)。そのため、従来、紫
外線吸収剤と可視光領域に吸収特性を有する光重合開始
剤とを含有するプラスチックレンズ用組成物にも熱重合
開始剤を0.1〜3重量部配合し、予備硬化工程で予備
重合を行った後、本硬化工程で光重合と熱重合を併用し
て硬化を行ってきた。ところが、紫外線吸収剤と可視光
領域に吸収特性を有する光重合開始剤とを含有する組成
物に熱重合開始剤の配合量をゼロ乃至ごくわずかとし
て、殆ど光重合のみで硬化を試みたところ、熱重合開始
剤の配合量を0.07重量部以下とすることによって、
意外にも収差の発生やレンズ重合型との剥離などの欠陥
の発生を抑制できることが分かった。従って、理由は不
明であるが、紫外線吸収剤と可視光領域に吸収特性を有
する光重合開始剤とを含有するプラスチックレンズ用組
成物では、熱重合開始剤あるいは熱重合がこれらの欠陥
の主要な発生原因であることが認められた。また、可視
光領域で分解する光重合開始剤を用いると、可視光は深
部まで透過するため深部の光重合が可能であり、熱重合
を併用しないか又はごくわずかの併用でも均一な重合が
可能であることが認められた。
【0021】従って、請求項1記載の発明は、原料モノ
マーを100重量部、紫外線吸収剤を0.1〜5重量
部、可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤を0.
0005〜5重量部含有し、かつ熱重合開始剤を0.0
7重量部以下含有することを特徴とするプラスチックレ
ンズ用組成物を提供する。
【0022】請求項2記載の発明は、原料モノマーを1
00重量部、紫外線吸収剤を0.1〜5重量部、可視光
領域に吸収特性を有する光重合開始剤を0.0005〜
5重量部含有し、かつ熱重合開始剤を0.07重量部以
下含有するプラスチックレンズ用組成物を光重合させて
プラスチックレンズを得ることを特徴とするプラスチッ
クレンズの製造方法を提供する。
【0023】請求項3記載の発明は、請求項2記載のプ
ラスチックレンズの製造方法において、レンズ重合型に
充填した前記プラスチックレンズ用組成物に前記レンズ
重合型の一面側又は両面側より可視光線を含む活性エネ
ルギー線を照射して前記プラスチックレンズ用組成物を
予備重合させる予備硬化工程と、予備重合させたプラス
チックレンズ用組成物に可視光線を含む活性エネルギー
線を照射して重合を完了させる本硬化工程とを有するこ
とを特徴とするプラスチックレンズの製造方法を提供す
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプラスチックレン
ズ用組成物及びプラスチックレンズの製造方法の実施の
形態について説明するが、本発明は、以下の実施の形態
に限定されるものではない。
【0025】本発明のプラスチックレンズ用組成物は、
上述したように、原料モノマーを100重量部、紫外線
吸収剤を0.1〜5重量部、可視光領域に吸収特性を有
する光重合開始剤を0.0005〜5重量部含有し、か
つ熱重合開始剤を0.07重量部以下含有する。
【0026】原料モノマーとしては、光重合できるもの
であれば、いずれのものも使用可能であり、制限される
ものではない。原料モノマーは、単官能又は多官能の反
応基を有するもので、例えば脂肪族、脂環族、芳香族ア
ルコールのアクリレート又はメタアクリレート、ウレタ
ンアクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシア
クリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルア
クリレート、ポリエステルメタクリレート等の分子内に
1つ又は2つ以上のラジカル重合性二重結合を有する化
合物が使用可能である。
【0027】例えば、特開平8−176243号公報、
特開平11−152317号公報、特開平11−158
229号公報、特開平11−174201号公報、特開
平11−174202号公報、特開平11−17420
3号公報などに記載されている原料モノマーを使用する
ことができる。原料モノマーの具体的な例を次に示す。
【0028】(A)ビスフェノールAジグリシジルエー
テルとメタクリル酸とを反応させて得られたエポキシジ
メタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリ
シジルエーテルとアクリル酸とを反応させて得られたエ
ポキシジアクリレート、ビスフェノールFジグリシジル
エーテルとメタクリル酸とを反応させて得られるエポキ
シジメタクリレートに代表される一分子中に(メタ)ア
クリロイルオキシ基を2個以上有するエポキシポリ(メ
タ)アクリレート。
【0029】(B)ノナブチレングリコールジメタクリ
レート、ドデカブチレングリコールジメタクリレートに
代表されるポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート。
【0030】(C)フェニルメタクリレート、ベンジル
メタクリレート、フェニルエチルメタクリレート、o−
ビフェニルメタクリレート、ノナエチレングリコールジ
メタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオ
キシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェ
ニル)プロパン、2−フェニル−2−(4−メタクリロ
イルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−フェニル
−2−(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プ
ロパン、フェノキシエチルアクリレートに代表される分
子内に少なくとも1個のメタクリロイル基またはアクリ
ロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物。
【0031】(D)イソホロンジイソシアネートと2−
ヒドロキシプロピルメタクリレートを反応させて得られ
たウレタンジメタクリレート、メチレンビス(4−シク
ロヘキシルイソシアネート)と2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートを反応させて得られたウレタンジメタクリ
レート、キシリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートを反応させて得られたウレタンジ
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
トとm−キシリレンジイソシアネートとを反応させて得
られたウレタンジメタクリレートに代表される分子内に
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有するウレタ
ンポリ(メタ)アクリレート。
【0032】(E)トリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリル酸エステル、トリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メ
タ)アクリル酸エステル等のイソシアヌル酸の(メタ)
アクリレート化合物。
【0033】(F)イソボルニルメタクリレート、ノナ
エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサ
メチレングリコールジメタクリレートなどに代表される
低粘度の(メタ)アクリレートモノマー。
【0034】(G)2−(4−ビニルベンジルチオ)エ
タノールおよび2−(3−ビニルベンジルチオ)エタノ
ールの混合体、2−(4−ビニルベンジルチオ)イソプ
ロパノールおよび2−(3−ビニルベンジルチオ)イソ
プロパノールの混合体、2−(4−ビニルベンジルチ
オ)ブタノールおよび2−(3−ビニルベンジルチオ)
ブタノールの混合体に代表される少なくとも1種のヒド
ロキシル基と硫黄原子を含有する芳香族ビニル化合物
と、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−キ
シリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ト
リス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、ビス
(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、
ビス(4,4’−イソシアナトフェニル)メタンに代表
されるイソシアネート化合物とを反応させて得られる含
硫黄ウレタン−ビニル化合物。
【0035】(H)o−ビス(4−ビニルベンジルチオ
エチル)フタレート、ビス(4−ビニルベンジルチオエ
チル)スクシネート、m−ビス(4−ビニルベンジルチ
オエチル)フタレートに代表されるスチリル基含有含硫
黄芳香族化合物。
【0036】(I)2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トや2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキ
シルキ含有(メタ)アクリレート化合物と4,4'−ビス
(イソシアナトエチルチオメチル)フェニルスルフィド
や4,4'−ビス(イソシアナトエチルチオエチリデン)
フェニルスルフィド等のビスフェニルチオエーテル基を
有するジイソシアネート化合物とを反応させて得られる
ビスフェニルチオエーテル基含有ウレタン(メタ)アク
リレート化合物。
【0037】(J)4,4'−ビス(メタクリロイルオキ
シエチリデン)フェニルスルフィド、4,4'−ビス(メ
タクリロイルエトキシチオメチレン)フェニルスルフィ
ド、4,4'−ビス(メタクリロイルエトキシチオエチリ
デン)フェニルスルフィド等のビスフェニルチオエーテ
ル基含有ジ(メタ)アクリレート化合物。
【0038】(K)p−ビス(β−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルチオ)キシリレン、m−ビス(β−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルチオ)キシリレンに代表
されるフェニル基にチオエーテル基とアクリロイル基と
を有する基が結合した含硫黄ジ(メタ)アクリレート化
合物。
【0039】これらの群の中から適宜選択して組成物を
構成することができる。例えば、(A)+(B)+
(C)+(D)、(A)+(B)+(C)+(E)+
(F)、(G)+(K)+(C)、(H)+(K)+
(C)、(I)+(K)+(C)、(J)+(K)+
(C)の組み合わせを例示することができる。
【0040】本発明で用いる紫外線吸収剤としては、原
料モノマーとの相溶性に優れる紫外線吸収剤であれば、
どの紫外線吸収剤も使用可能であり、例えば、ベンゾフ
ェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル
系、トリアジン系、ニッケル塩系などを挙げることがで
きる。なかでも、ベンゾトリアゾール系は、原料モノマ
ーに対する溶解性が良好であり、紫外線吸収能力が高
く、しかも化合物単体での色が淡色か白色でレンズが着
色しにくいという特徴を備えているため、好ましい。
【0041】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキ
シ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、5−クロロ−2−(3,5−ジ−tert−ブチル
−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−
ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−(3,
4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェ
ノール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチ
ルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−
ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベ
ンゾトリアゾール、2−(4−ベンゾイルオキシ−2−
ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリ
アゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブ
チル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリア
ゾール等を例示することができる。また、(メタ)アク
リロイルオキシ基等の重合性官能基を有する反応型紫外
線吸収剤、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−メタクリ
ロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを
使用することもできる。
【0042】紫外線吸収剤の配合量は、プラスチックレ
ンズに400nm以下の紫外線を十分に吸収させるのに
十分な量であり、具体的には原料モノマー100重量部
に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量
部である。紫外線吸収剤の配合量が少なすぎると十分に
紫外線の透過を抑制できず、眼を紫外線から保護できな
い。一方、紫外線吸収剤の配合量が多すぎると、原料モ
ノマーへの溶解が困難になり、成形時にプラスチックレ
ンズ表面に紫外線吸収剤が析出したり、ガラス型との密
着性が低下したり、重合反応が阻害されるという不都合
が生じる。こうして得られる紫外線吸収性プラスチック
レンズは、硬化後2mm厚における400nmの分光透
過率が10%以下である。
【0043】本発明で用いる光重合開始剤としては、4
00nm以上の可視光領域に吸収特性を有する必要があ
る。このような光重合開始剤としては、例えば、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(BAPO
1)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フ
ェニルフォスフィンオキサイド(BAPO2)を挙げる
ことができる。これらの化合物は、ビスアシルフォスフ
ィンオキサイド構造を有することに共通性がある。前者
のBAPO1は単品では供給されておらず、BAPO1
と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパ
ン−1−オンとの1:3の混合物(チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ社製、商品名イルガキュア1700)、
BAPO1と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニ
ル−ケトンとの1:3の混合物(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ社製、商品名イルガキュア1800)、B
APO1と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル
−ケトンとの1:1の混合物(チバ・スペシャルティ・
ケミカルズ社製、商品名イルガキュア1850)等とし
て市販されている。後者のBAPO2はチバ・スペシャ
ルティ・ケミカルズ社製、商品名イルガキュア819と
して単品で供給されている。また、α−アミノアルキル
フェノン系の2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・
スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名イルガキュア
369)、チタノセン系のビス(η5−2,4−シクロ
ペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ
−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタ
ニウム(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品
名イルガキュア784)も使用可能である。
【0044】光重合開始剤の配合量は、原料モノマー1
00重量部に対して0.0005〜5重量部の範囲、好
ましくは0.01〜2重量部の範囲である。光重合開始
剤の配合量が少なすぎると十分に重合できない場合があ
り、一方、多すぎるとレンズが着色する場合がある。
【0045】本発明のプラスチックレンズ用組成物は、
可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤及び紫外線
吸収剤を用いているため、得られるプラスチックレンズ
がわずかに着色する場合がある。この場合は、ブルーイ
ング剤を添加することにより、着色を防止することがで
きる。
【0046】また、本発明のプラスチックレンズ用組成
物は、上述したように、熱重合開始剤の配合量を原料モ
ノマー100重量部に対して0.07重量部以下、好ま
しくは0.05重量部以下とするもので、全く配合しな
くても良い。従来のプラスチックレンズ用組成物で、熱
重合を併用するときは、少なくとも0.1重量部程度の
配合量は必要とされてきた。このように熱重合開始剤の
配合量を少なくすることによって、得られるプラスチッ
クレンズに左右方向と上下方向の度数に差が生じる収差
が発生したり、レンズ重合型の中で硬化して得られたプ
ラスチックレンズとレンズ重合型との間に剥離が生じ、
レンズ重合型による光学面の転写が不正確になり、得ら
れるプラスチックレンズの面精度が低下するという問題
の発生を抑制することができる。
【0047】熱重合開始剤としては、例えば、ターシャ
リ−ブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリ−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシ
ャリ−ブチルパーオキシイソブチレート、ターシャリ−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネー
ト等のパーオキシエステル類、3,5,5−トリメチル
ヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサ
イド類等の有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソビチ
ロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)等のアゾ系化合物を挙げることができる。
【0048】熱重合開始剤の配合量を少なくするかある
いは配合しないことにより、プラスチックレンズの品質
が良好になる理由は明らかではないが、熱重合開始剤と
光重合開始剤のそれぞれの重合開始時期が異なるため、
光重合で重合収縮が生じた後に更に熱重合による重合収
縮が起こるためではないかと推測される。
【0049】本発明のプラスチックレンズ用組成物に
は、上記成分以外に、酸化防止剤、顔料、帯電防止剤、
内部離型剤等を配合することができる。
【0050】本発明のプラスチックレンズ用組成物を用
いてプラスチックレンズを製造するには、例えば図1に
示した製造工程を採用することができる。
【0051】まず、図1(a)に示したように、凸面形
成用のガラス型11と凹面形成用のガラス型12を準備
し、所定の間隔で離間させた2枚のガラス型11,12
の周囲に例えば粘着テープ13を巻き、粘着テープ13
でガラス型11,12を固定すると共にガラス型11,
12間の隙間を封止する。これによって、両面をガラス
型11,12で、側面を粘着テープ13で囲まれたキャ
ビティ14を有するレンズ重合型10を作製する。レン
ズ重合型10は、ガスケットによってガラス型11,1
2を固定するようにしてもよい。レンズ重合型10は、
両面がガラス型で最終的なレンズ面が転写されているフ
ィニッシュレンズを作製する場合と、一方のレンズ面が
ガラス型で転写され、他方の面が研磨によって形成され
るやや厚手のセミフィニッシュレンズを作製する場合と
がある。
【0052】次に、図1(b)に示すように、レンズ重
合型10を縦にして注入針20を最上面の粘着テープ1
3に刺し通し、液状のプラスチックレンズ用組成物30
を注入針20を介してレンズ重合型10のキャビティ1
4内に注入する。
【0053】次に、予備硬化工程を行う。予備硬化工程
は、レンズ重合型10内の液状のプラスチックレンズ用
組成物30に可視光線を含む活性エネルギー線を照射
し、予備重合させてゲル化し、流動性を失わしめ、注入
針20を通した穴131からプラスチックレンズ用組成
物30が漏れないようにすると共に、重合収縮に伴う応
力を緩和し、レンズ内部の残留応力歪みを少なくし、面
精度の良好なプラスチックレンズを得ることを目的とし
ている。
【0054】予備硬化工程は、例えば図1(c)に示し
たように、粘着テープ13の注入針を通した穴131を
上にしたまま活性エネルギー線照射源40より可視光線
を含む活性エネルギー線をレンズ重合型10に反射板4
1で集中させて照射し、注入針を通した穴131からプ
ラスチックレンズ用組成物30が漏れないようにプラス
チックレンズ用組成物30を予備重合させてゲル化させ
る。
【0055】予備硬化工程全体の照度は、20〜600
mW/cm2の範囲、特に60〜200mW/cm2の範
囲が好ましい。また、照射エネルギーは、例えば50m
J/cm2〜30J/cm2の範囲、特に100mJ/c
2〜4J/cm2の範囲が好ましい。照射時間は1秒〜
数分間の範囲である。
【0056】活性エネルギー線照射源40としては、2
00〜800nmの波長範囲の可視光線を含む活性エネ
ルギー線を出射するものを用いることができる。紫外光
領域だけでなく、可視光領域にも分光分布を有する活性
エネルギー線照射源40は、紫外線吸収剤を配合して4
00nm以下の紫外線を全て紫外線吸収剤で吸収された
としても、可視光領域に吸収特性を有する光重合開始剤
を可視光領域でラジカル分解させ、重合を起こさせるこ
とができる。活性エネルギー線照射源40としては、例
えばケミカルランプ、キセノンランプ、水銀ショートア
ークランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライ
ドランプ、フュージョンランプ等を用いることができ
る。これらの中でも、メタルハライドランプと超高圧水
銀灯が可視光領域に強い分布を有するため好ましく用い
ることができる。
【0057】線状の活性エネルギー線照射源40から出
射する活性エネルギー線には、線状の活性エネルギー線
照射源と平行な方向と直交する方向に反応性の差があ
る。そのため、分割して数回に分けて照射し、各分割照
射における活性エネルギー線照射源とレンズ重合型の相
対角度を変えるようにしてもよい。また、活性エネルギ
ー線照射源より出射する活性エネルギー線を例えばスリ
ガラスのような光散乱器具を用いて分散させ、方向性の
ない活性エネルギー線を照射するようにしてもよい。予
備硬化工程での活性エネルギー線照射は、レンズ重合型
の一面側から、又は両面側から照射することができる。
【0058】予備硬化工程での雰囲気は空気中、又は不
活性ガス雰囲気下で行うことができる。温度は室温で十
分であるが、場合によっては加熱又は冷却してもよい。
【0059】予備硬化工程後、図1(d)に示したよう
に、例えば上下に配置した活性エネルギー線照射源5
1、52から照射できる照射炉50にレンズ重合型10
を搬入し、予備重合させたプラスチックレンズ用組成物
の重合を完結させる本硬化工程を行う。この場合、本発
明では、プラスチックレンズ用組成物に熱重合開始剤を
ごくわずか配合するか配合していないので、熱重合は通
常は併用しないが、必要に応じて併用しても良い。
【0060】本硬化工程では、予備硬化工程ほど活性エ
ネルギー線の方向性は品質に影響を与えないが、使用す
る照射炉は、レンズ重合型を回転させるようにするか、
又は上下の線状照射源を互いに直交する方向に配置する
か、上下それぞれに互いに直交する線状照射源を配置し
て、活性エネルギー線の方向性をキャンセルするように
することが好ましい。
【0061】本硬化工程後、粘着テープ13を剥離し、
ガラス型11,12を脱型してプラスチックレンズを得
ることができる。
【0062】本発明方法によって得られたプラスチック
レンズには、必要に応じて、片側または両面に、ハード
コート処理、無反射コート処理、染色処理等の処理を施
すことができる。なお、上記プラスチックレンズの製造
方法の説明では、予備硬化工程でプラスチックレンズ用
組成物をゲル化させていたが、注入針による注入箇所を
封止すれば、予備硬化工程は省略することも可能であ
る。
【0063】
【実施例】<実施例1> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 (A)成分としてビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルとメタクリル酸とを反応させて得られたエポキシジメ
タクリレートを40g、(B)成分としてノナブチレン
グリコールジメタクリレートを20g、(C)成分とし
てベンジルメタクリレートを25g、(D)成分として
イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピル
メタクリレートを反応させて得られたウレタンジメタク
リレートを15g、紫外線吸収剤として2−(3,5−
ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2
H−ベンゾトリアゾール1.0g、光重合開始剤として
イルガキュア1850を0.08g、酸化防止剤として
トリエチルホスファイトを0.2g混合し、室温でよく
攪拌した後、50mmHgに減圧して10分間脱気し
た。 (2)レンズ重合型の作製と注入 屈折率1.55の樹脂を成形した時に度数+6.00D
が得られる凸面用と凹面用のガラス製モールド2枚(型
径は70mm)を用い、その周囲をポリエチレンテレフ
タレートフィルムにシリコーン系の粘着剤を塗布した粘
着テープで巻き、レンズ重合型を作製した。
【0064】また、屈折率1.55の樹脂を成形した時
に度数−6.00Dが得られる凸面用と凹面用のガラス
製モールド2枚(型径は80mm)を用い、その周囲を
ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーン系の
粘着剤を塗布した粘着テープで巻き、レンズ重合型を
作製した。
【0065】これらのレンズ重合型に上記該組成物を注
入針で注入した。注入後、注入箇所の封止はしなかっ
た。 (3)予備硬化工程 ランプ種:メタルハライドランプ、発光長10インチ、
ランプ入力3kW ランプ照度:140mW/cm2(成形型の中心部で測
定) 予備硬化工程での光のあて方:凸面側から照射。注入箇
所を上にして5秒。 (4)本硬化工程 本硬化搬入条件:0.5m/min 本硬化時条件:ランプ直下で2rpmのスピードで回
転、250秒、 ランプ種:予備硬化工程と同じ ランプ照度:凸面側100mW/cm2、凹面側140
mW/cm2(ランプ直下の成形型中心部で測定) 本硬化時雰囲気温度実測:120℃ この後、成形型からプラスチックレンズを脱型し、13
0℃で2時間加熱してアニール処理を行った。 (5)得られたレンズの評価 +6.00Dレンズの度数測定 測定器:(株)ニコン製レンズメータPL−2 レンズ中心部での縦横の度数を測定し、その差の絶対値
を収差量とした。 6.00Dレンズのハガレ ○:本硬化後、ガラス型とレンズが密着しており、アニ
ール後のレンズに面欠陥がない。 ×:本硬化後、ガラス型とレンズがはがれており、アニ
ール後に面欠陥(ハガレ跡)が目視で確認できるもの。 評価結果を表1に示す。
【0066】<実施例2> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 (A)成分としてビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルとメタクリル酸とを反応させて得られたエポキシジメ
タクリレートを40g、(B)成分としてノナブチレン
グリコールジメタクリレートを20g、(C)成分とし
てフェニルメタクリレートを25g、(D)成分として
イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピル
メタクリレートを反応させて得られたウレタンジメタク
リレートを15g、紫外線吸収剤として2−(3,5−
ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−
2H−ベンゾトリアゾールを0.8g、光重合開始剤と
してイルガキュア1800を0.3g、熱重合開始剤と
して、t−ブチルパーオキシイソブチレートを0.02
g、酸化防止剤としてトリエチルホスファイトを0.2
g混合し、室温でよく攪拌した後、50mmHgに減圧
して10分間脱気した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 実施例1と同様のレンズ重合型およびを作製し、上
記組成物を注入針で注入した。注入後、注入箇所の封止
はしなかった。 (3)予備硬化工程 実施例1と同じ (4)本硬化工程 実施例1と同じ。この後、成形型からプラスチックレン
ズを脱型し、130℃で2時間加熱してアニール処理を
行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様に行った。結果を表1に併記する。
【0067】<実施例3> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 (A)成分としてビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルとメタクリル酸とを反応させて得られたエポキシジメ
タクリレートを45g、(B)成分としてノナブチレン
グリコールジメタクリレートを10g、(C)成分とし
てベンジルメタクリレートを30g、(D)成分として
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸トリア
クリレート[東亜合成(株)製、商品名M315]を5
g、イソボルニルメタクリレートを2.5g、およびノ
ナエチレングリコールジメタクリレートを7.5g、さ
らに、光重合開始剤としてイルガキュア819を0.0
8g、紫外線吸収剤として2−[2−ヒドロキシ−3、
5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2
H−ベンゾトリアゾールベンゾトリアゾールを1.2
g、酸化防止剤としてトリエチルホスファイトを0.2
g加えて混合し、室温でよく撹拌した後、50mmHg
に減圧して10分間脱気した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 実施例1と同様のレンズ重合型およびを作製し、上
記組成物を注入針で注入した。注入後、注入箇所の封止
はしなかった。 (3)予備硬化工程 実施例1と同じ (4)本硬化工程 実施例1と同じ。この後、成形型からプラスチックレン
ズを脱型し、130℃で2時間加熱してアニール処理を
行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様に行った。結果を表1に併記する
【0068】<実施例4> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 (G)成分として2−(4−ビニルベンジルチオ)エタ
ノールおよび2−(3−ビニルベンジルチオ)エタノー
ルの混合体とm−キシリレンジイソシアネートとを反応
させて得られた含硫黄ウレタン−ビニル化合物を40
g、(K)成分としてp−ビス(β−メタクリロイルオ
キシエチルチオ)キシリレンを35g、(C)成分とし
て2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフ
ェニル)プロパンを15g、ベンジルメタクリレートを
10g、酸化防止剤としてトリエチルホスファイトを
0.5g、酸化防止剤としてビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−プペリジル)セバケートを0.5
g,紫外線吸収剤として2−(3,5−ジ−tert−
ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリ
アゾールを0.5g、光重合開始剤としてイルガキュア
1700を0.3g、熱重合開始剤としてt−ブチルパ
ーオキシイソブチレートを0.05g添加して混合し、
室温でよく攪拌した後、50mmHgに減圧して10分
間脱気した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 屈折率1.60の樹脂を成形した時に度数+6.00D
が得られる凸面用と凹面用のガラス製モールド2枚(型
径は70mm)を用い、その周囲をポリエチレンテレフ
タレートフィルムにシリコーン系の粘着剤を塗布した粘
着テープで巻き、レンズ重合型を作製した。
【0069】また、屈折率1.60の樹脂を成形した時
に度数−6.00Dが得られる凸面用と凹面用のガラス
製モールド2枚(型径は80mm)を用い、その周囲を
ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーン系の
粘着剤を塗布した粘着テープで巻き、レンズ重合型を
作製した。
【0070】これらのレンズ重合型に上記該組成物を注
入針で注入した。注入後、注入箇所の封止はしなかっ
た。 (3)予備硬化工程 ランプ種:実施例1と同じ。 ランプ照度:実施例1と同じ。 予備硬化工程での光のあて方:凸面側から照射。注入箇
所を上にして10秒。 (4)本硬化工程 本硬化搬入条件:0.5m/min 本硬化時条件:ランプ直下で2rpmのスピードで回
転、250秒、 ランプ種:予備硬化工程と同じ ランプ照度:凸面側60mW/cm2、凹面側90mW
/cm2(ランプ直下の成形型中心部で測定) 本硬化時雰囲気温度実測:80℃ この後、成形型からプラスチックレンズを脱型し、13
0℃で2時間加熱してアニール処理を行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様に行った。結果を表1に併記する。
【0071】<比較例1> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
トを0.1gを添加した以外は実施例1と同様に組成物
を調製した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 実施例1と同様のレンズ重合型およびを作製し、上
記組成物を注入針で注入した。注入後、注入箇所の封止
はしなかった。 (3)予備硬化工程 実施例1と同様に行った。 (4)本硬化工程 実施例1と同様に行った。この後、成形型からプラスチ
ックレンズを脱型し、130℃で2時間加熱してアニー
ル処理を行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様にして評価した。結果を表1に併記す
る。
【0072】<比較例2> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
トを0.2gを添加した以外は実施例2と同様にして組
成物を調製した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 実施例1と同様のレンズ重合型およびを作製し、上
記組成物を注入針で注入した。注入後、注入箇所の封止
はしなかった。 (3)予備硬化工程 実施例1と同様に行った。 (4)本硬化工程 実施例1と同様に行った。この後、成形型からプラスチ
ックレンズを脱型し、130℃で2時間加熱してアニー
ル処理を行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様にして評価した。結果を表1に併記す
る。
【0073】<比較例3> (1)プラスチックレンズ用組成物の調製 熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレー
トを0.3gを添加した以外は実施例4と同様にして組
成物を調製した。 (2)レンズ重合型の作製と注入 実施例4と同様のレンズ重合型およびを作製し、上
記組成物を注入針で注入した。注入後、注入箇所の封止
はしなかった。 (3)予備硬化工程 実施例4と同様に行った。 (4)本硬化工程 実施例4と同様に行った。この後、成形型からプラスチ
ックレンズを脱型し、130℃で2時間加熱してアニー
ル処理を行った。 (5)得られたレンズの評価 実施例1と同様にして評価した。結果を表1に併記す
る。
【0074】
【表1】
【0075】本発明の熱重合開始剤の含有量をモノマー
100重量部に対して0.07重量部以下としたプラス
チックレンズ用組成物(実施例2,4)及び熱重合開始
剤を含有しないプラスチックレンズ用組成物(実施例
1,3)を用い、殆ど光重合のみで硬化して得られたプ
ラスチックレンズ(実施例1〜4)は、レンズ中心での
縦横の度数の差(収差)が少なく、しかも剥がれがな
く、面精度が良好であり、光学性能が良好であることが
認められる。
【0076】これに対し、熱重合開始剤をモノマー10
0重量部に対して0.1〜0.3重量部含んだプラスチ
ックレンズ用組成物から得られたプラスチックレンズ
(比較例1〜3)は、収差量が大きく、ハガレが発生し
て面精度が良くないことが認められる。
【0077】
【発明の効果】本発明のプラスチックレンズ用組成物
は、紫外線から眼を保護することができると共に、光学
性能が良好なプラスチックレンズを与えることができ
る。
【0078】また、本発明のプラスチックレンズの製造
方法によれば、光学性能が良好であり、しかも眼を紫外
線から保護することができるプラスチックレンズを製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(d)は、プラスチックレンズの製
造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 レンズ重合型 11 ガラス型 12 ガラス型 13 粘着テープ 14 キャビティ 20 注入針 30 プラスチックレンズ用組成物 40 活性エネルギー線照射源 41 反射板 50 活性エネルギー線照射炉

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料モノマーを100重量部、紫外線吸
    収剤を0.1〜5重量部、可視光領域に吸収特性を有す
    る光重合開始剤を0.0005〜5重量部含有し、かつ
    熱重合開始剤を0.07重量部以下含有することを特徴
    とするプラスチックレンズ用組成物。
  2. 【請求項2】 原料モノマーを100重量部、紫外線吸
    収剤を0.1〜5重量部、可視光領域に吸収特性を有す
    る光重合開始剤を0.0005〜5重量部含有し、かつ
    熱重合開始剤を0.07重量部以下含有するプラスチッ
    クレンズ用組成物を光重合させてプラスチックレンズを
    得ることを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のプラスチックレンズの製
    造方法において、 レンズ重合型に充填した前記プラスチックレンズ用組成
    物に前記レンズ重合型の一面側又は両面側より可視光線
    を含む活性エネルギー線を照射して前記プラスチックレ
    ンズ用組成物を予備重合させる予備硬化工程と、予備重
    合させたプラスチックレンズ用組成物に可視光線を含む
    活性エネルギー線を照射して重合を完了させる本硬化工
    程とを有することを特徴とするプラスチックレンズの製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4747251B2 (ja) * 2003-08-22 2011-08-17 サートーマー・テクノロジー・ユーエスエイ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー Uv系の高温安定化
CN112457433A (zh) * 2020-10-21 2021-03-09 视悦光学有限公司 一种通过改变一次固化曲线的减少镜片脱模工艺

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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