JP2003175389A - 水熱電気分解反応装置及び電極 - Google Patents

水熱電気分解反応装置及び電極

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水熱電解処理において、水媒体中で気泡とし
て存在する酸素を有効に利用し、水素の発生を抑制しな
がら水熱電解反応を効率的に進行させることを可能にす
る電極の構造を提供する。 【解決手段】 本発明は、水及び還元性物質を含む被処
理物を高温高圧下で電気分解するための水熱電解反応室
を備え、該水熱電解反応室内に水熱電解反応用の電極が
装填されている水熱電気分解装置であって、上記水熱電
解反応室内に装填される水熱電解用の電極が、気体状流
体流に対して流れ抵抗を形成する形状を有する電極構造
体により構成されていることを特徴とする水熱電気分解
装置に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害物質、廃棄
物、悪臭ガス含有気体、有害ガス含有気体、濃厚廃液、
難分解性産業廃液、塩類含有有機性廃液などの処理に利
用することのできる、電気分解と水熱反応とを同時に行
うための水熱電気分解装置における改良に関する。更に
詳しくは、本発明は、上記に示すような環境負荷物質を
高温高圧下で水熱電気分解する際の気体状流体流の流れ
制御を行って、気体状流体流と電極との接触効率を効率
化することにより、電極の電気化学反応形態を変えて、
水熱電気分解反応の性能を飛躍的に向上させることので
きる電極の構造に関する。なお、本明細書において、水
熱反応と電気分解とを同時に行うことを水熱電気分解と
いう。
【0002】
【従来の技術】水熱電気分解(水熱電解)は、100℃
以上で水媒体の臨界点以下の温度において、水媒体が液
相を維持できる圧力の下、直流電圧を印可し、水熱雰囲
気下で電気分解反応を行う技術である。強酸性イオン
(例えば塩素イオン等)を含む水媒体を水熱雰囲気下で
電気分解すると、本来、水の電気分解によって進行する
酸素、塩素及び水素の発生が起こらず、水媒体がただの
電気の通電体となる現象が見られる。この反応場に還元
性物質が含まれると、水素発生が起こり、還元性物質は
炭酸ガス、窒素ガス等にまで無機化される。更に、この
反応場に還元性物質と外部から挿入した酸化剤(例えば
酸素)が含まれると、水素の発生が起こらずに、電解酸
化の観点からは100%以上の電流効率で還元性物質の
酸化反応が進む。本発明者らは初めてこのような現象を
明らかにし、国際出願PCT/JP98/03544号(国際公開WO 9
9/07641)として特許出願した。この水熱電解反応の応用
例としては、例えば、廃液を含む水溶液を、直流電源が
接続された反応器に供給して水熱条件下で電気分解を行
い、廃液中に含まれる汚染物質を完全分解することがで
きる。また、水熱電解反応は、水媒体中に処理対象のガ
スを溶解させたものに対して行うことにより、ガスの処
理に用いることもできる。更に、水熱電解反応において
外部から酸化剤を圧入することにより、陰極における水
素の発生を抑制することができると共に、汚染物質の処
理能力を大幅に向上することができる。これらの現象に
ついては、Journal of Applied Electrochemistry, vo
l.30, p.875-883, 2000、工業用水,vol.9, No.504, p.
14-23, 2000、造水技術,vol.25, p.9-14, 1999などに
紹介されている。
【0003】水熱電解反応において、電気分解に必要な
電気量は還元性物質の絶対量に比例する。水熱電解反応
の酸化能力は非常に高く、殆どの還元性物質は印可され
た電気量に比例して同じように分解する。従って、易分
解性物質、難分解性物質の別を問わずに水熱電解では同
じように分解することができるが、その一方で同じよう
に電気を消費する。
【0004】水熱電解反応は効率の高い電解反応であ
り、外部から酸化剤を投入すると、陽極のみならず陰極
においても酸化反応を促進することができ、みかけ上1
00%以上の電流効率で電解酸化反応を進行させること
ができる。なお、この場合においても、還元性物質を水
熱電解する場合、前述したように単位還元性物質の量に
相当した電気量が必要となる。この電気量は理論的酸素
要求量から算出することができ、例えば、電流効率10
0%で電解酸化反応が進行した場合には、水媒体に含ま
れる1mgのCOD(化学的酸素要求量)を処理するのに
3.3mAh(ミリアンペア時間)の電気量が必要であ
る。即ち、COD濃度1,000mg/Lの廃液1m3を2時
間で処理する場合には1,650A、1時間で処理しよ
うとする場合には3,300A、30分(0.5hr)で
処理しようとする場合には6,600Aの電気量が必要
になる。このように短時間で処理しようとすると印可電
流を増やす必要があるが、水熱電解反応器は圧力容器で
あるため、その容量は制限される。そこで、本発明者ら
は、密閉された水熱電解反応器内において効率よく大電
流を通電することのできる水熱電解装置として、多重管
反応器により構成される水熱電解装置を提案した(特開
2000-233186)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の提案されたもの
を含めた従来の水熱電解装置において用いられている電
極は一般に筒型電極である。これは、水熱電解反応器は
圧力反応器であるために好ましい形態は金属製の円筒状
となるので、反応器内に電極を挿入し更に電極面積を稼
ぐためには電極も筒状とした方がよいからである。電極
を筒状の形状にした場合に、反応器内単位容積当りの電
極面積密度が最も高い構造となる。従って、水熱電解反
応器内には、一般に、金属製の円筒状電極を、縦に、即
ち反応器の軸方向に沿って配置することが広く行われて
いる。
【0006】例えば、従来の水熱電解反応器の構造の具
体例を図3に示す。図3aは水熱電解反応器の縦断面図
であり、図3bは図3aのA−A線に沿った横断面図であ
る。図3に示す水熱電解反応器は、金属製の容器101
内に、円筒形の金属製反応器102が複数個配置されて
いて、各反応器102内にそれぞれ金属製の電極103
が配置されている。電極103は、絶縁構造を介して容
器101の外部に配置されている直流電源109の+極
に接続されており、陽極として作用する。また、円筒形
の反応器102は、容器101を介して外部電源109
の−極に接続されており、陰極として作用する。運転に
あたっては、処理対象液105及び酸化剤等の添加剤1
06が、それぞれ底部より容器101内に導入され、整
流器107を経て各反応器102内に導入される。そし
て、各反応器102内を上に向かって流れながら水熱電
解反応に付された後、排出口108より排出される。
【0007】また、従来の水熱電解反応器の他の構造の
具体例を図4に示す。図4aは水熱電解反応器の縦断面
図であり、図4bは図4aのB−B線に沿った横断面図で
ある。図4に示す水熱電解反応器は、金属製の容器20
1内に、上端が円盤状の部材で接続された同心円状の複
数の金属製円筒形部材203と、下端が円盤状の部材で
接続された同心円状の複数の金属製円筒形部材202と
が、互い違いに配置するように設置されている。このよ
うにして形成される円筒形部材202と203との間の
空間が反応室として用いられる。円筒形部材203は、
絶縁構造を介して容器201の外部に配置されている直
流電源209の+極に接続されており、陽極として作用
する。また、円筒形部材202は、容器201を介して
外部電源209の−極に接続されており、陰極として作
用する。運転にあたっては、所定の添加剤が加えられた
処理対象液205が、中央の円筒形部材202内に導入
される。導入された処理対象液は、中央の円筒形部材2
02内を上に向かって流れ、次に、その上部から、隣接
する外側の円筒形部材203との間の空間で形成された
反応室の中に導入されてこの室内を下に向かって流れ
る。このようにして、同心円状に互い違いに組み合わさ
れた円筒形部材にそってジグザグに流れながら水熱電解
反応に付された後、排出口208より排出される。この
ような構成の水熱電解反応器においては、例えば、円筒
形部材202を下部で接続する部材に孔を形成して、こ
こから空気や酸素などの気体状の酸化剤210を反応室
内に導入することができる。また、このような構成の装
置においては、円筒形部材202及び203によって形
成された反応室の上部にガス溜まりが形成されるので、
円筒形部材203を上部で接続する部材に孔211を形
成して、溜まったガスを排出することが通常行われてい
る。
【0008】なお、高温高圧でない電解槽では平面状電
極を使用することができる。最もよく知られている構造
はフィルタープレス形式の副極電極を用いた電解槽であ
り、これは、電解槽内に陽陰極を交互に設置して陽極と
陰極の間にプラスチック等の絶縁部材を設けることによ
って構成されている。しかしながら、このような構造の
電解槽は、高圧力を維持できる構造ではなく、また温度
が100℃以上となるとプラスチック等の絶縁部材が容
易に破損してしまう為に、水熱電解反応器としては使用
することができない。耐熱性の観点からは、プラスチッ
ク絶縁部材の代わりにセラミックスを電極間の絶縁部材
として使用することも考えられるが、セラミックス材料
で高圧を維持するのは極めて困難である。また、セラミ
ックスは温度ショックで簡単に割れる場合もある。この
ような理由により、高温が加わる圧力容器の構造部材と
してセラミックス、プラスチック等は法規的にも認めら
れにくかった。以上のような事情により、水熱電解反応
器に最も適する電極形状は筒型であると考えられてい
た。
【0009】このような筒状の形状の電極を反応室内に
縦に装填して水熱電解反応を行なった場合、比較的低電
流を印可して長時間かけて反応を行うバッチ処理又は長
い滞留時間が取れる連続反応器では、比較的その目的を
達成することができていた。高温高圧の水への気体の溶
解度は90〜100℃が最も低く、この温度以上にする
と酸素のような気体の溶解度は高くなる。この溶解した
酸素が水熱電解の陰極反応によって活性化され、生成し
た活性酸素が還元性物質となって良好な反応を進行させ
る。また、溶存酸素の陰極反応は、水が水素に還元され
る反応と競合するものであり、溶存酸素の陰極活性化反
応を進行させることによって水素の発生が妨げられてい
る。
【0010】しかしながら、上記のような筒状の電極を
用いた水熱電解反応器によって水熱電解処理を短時間で
行おうとすると、必ずしも水素発生の抑制効果や還元性
物質との反応の促進が得られていなかった。即ち、前記
したように所定量の還元性物質を短時間で水熱電解処理
しようとすると印可電流を高くする必要性がある。この
高められた印可電流に伴って陰極で水素が発生し始め、
この水素発生反応を抑制するための酸素の還元反応が間
に合わなくなる場合があった。即ち、陰極表面への溶存
酸素の物質移動律速が起こり、水素発生が増加するとい
う現象が見られた。水素の発生が多くなると爆鳴気の危
険性があるので、できるだけ水素の発生を低くすること
が好ましい。このためには、酸素等の気体状酸化剤を陰
極表面へより多く供すればよいが、水熱電解反応器によ
り多くの気体状酸素を吹き込んだだけでは期待された効
果が得られなかった。
【0011】この現象を解析するために、本発明者ら
は、高温高圧で運転される水熱電解反応器にサファイヤ
で構成される覗き窓を設置して、水熱電解反応場の可視
化を可能にすることにより、水熱電解反応器内での詳細
な流体の流れの観察及び解析を行った。その結果、反応
器内の水溶液を、例えば250℃、7MPaの高温高圧状
態として、酸素のような気体状酸化剤を反応器下部から
圧入すると、酸素は気泡として存在し、浮力によりすば
やく上昇して短時間で反応器外に出てしまうことが分か
った。従って、通常の水熱電解反応器のように、円筒形
の反応器内に筒状の電極が、縦方向に配置されている構
造では、電極は反応器の軸方向と同じ方向に設置される
ために、気泡の浮力による動きに対しては抵抗がなく、
このため、電極と気泡が接触することが殆どなかったこ
とが確認された。以上の観察結果から、水熱電解装置に
おいて、印可電流を高めると、より多くの気体状酸化剤
を投入しても陰極における水素発生が抑制できなくなる
という問題点は、気体状の酸化剤が浮力によって、その
多くが電極と接触することなしに、液体よりも速く反応
器から抜け出てしまうため、水媒体中に十分に溶解され
ず、気体状酸化剤を添加した効果が十分に発揮されな
い、即ち水素発生の抑制効果と還元性物質との反応が促
進されていなかったためであることが判明した。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな問題点の原因を見出したことに基づき、陰極におけ
る水素発生の課題を解決する手段を見出すべく鋭意研究
を重ねた結果、水熱電解装置に装填する電極の形状を工
夫することにより、水熱電解反応器に大電流通電を行っ
ても、水素発生を効率よく抑制すると共に還元性物質の
反応を促進できることに着目し、本発明を完成するに至
った。即ち、本発明は、水及び還元性物質を含む被処理
物を高温高圧下で電気分解するための水熱電解反応室を
備え、該水熱電解反応室内に水熱電解反応用の電極が装
填されている水熱電気分解装置であって、上記水熱電解
反応室内に装填される水熱電解用の電極が、気体状流体
流に対して流れ抵抗を形成する形状を有する電極構造体
により構成されていることを特徴とする水熱電気分解装
置に関する。更に本発明の他の態様は、水及び還元性物
質を含む被処理物を高温高圧下で電気分解するための水
熱電解反応室を備えた水熱電気分解装置の水熱電解反応
室内において用いられる水熱電解用の電極であって、水
熱電解反応室内に設置した際に、気体状流体流に対して
流れ抵抗を形成する形状を有する電極構造体により構成
されていることを特徴とする水熱電気分解装置用電極に
関する。
【0013】本発明は、水熱電解装置用の電極として、
水熱電解反応室内に設置した際に気体状流体流に対して
流れ抵抗を形成する形状を有する電極構造体を用いるこ
とを特徴とする。なお、本発明において「気体状流体
流」とは、水熱電解反応室内の水媒体中に含まれる気泡
がその浮力によって反応室内を上方に向かって移動する
流れを意味する。このような形状の電極構造体を水熱電
解反応室内に設置することにより、水媒体中の気泡が浮
力により上昇する際に、気泡と電極との接触をより促進
させることができる。このような電極構造体は、電極板
が反応室の軸方向に対して概ね直角に、即ち概ね水平方
向に配置されるように設置することがより好ましい。か
かる形状の電極構造体を、電極板が反応室の軸方向に対
して直角に配置されるように設置することにより、水媒
体中の気泡等が浮力により上昇する際の気泡と電極板と
の接触がより一層促進される。また、電極構造体を構成
する電極板は平面状の形状であることが好ましい。電極
板を平面状とすることにより、反応室内を浮上する気泡
流に対して、均等な抵抗と接触を達成することができ
る。平面形状の電極板の具体的形態としては、平板状、
メッシュ状、ディスク状、穴あき板状、穴あきメッシュ
状、穴あきディスク状又はこれらの組み合わせの平面状
であることが好ましい。これらの形状の電極板を反応室
の軸方向に対して概ね直角に配置することにより、気体
状流体流がその浮力によって急速に反応室内を上方に流
れて反応室上部から抜け出てしまうことを防ぐことがで
き、酸化剤等の反応室内における滞留時間を長くし、拡
散混合により気体状酸化剤の溶解量を増し、気体状酸化
剤と電極との接触効率を高め、その結果、気体状酸化剤
の積極的利用を図ることによって還元性物質の酸化分解
を促進すると同時に陰極での水素発生を抑制することが
できる。
【0014】本発明において好ましく用いることのでき
る電極構造体の具体的な形態としては、例えば、少なく
とも1枚の陽電極と少なくとも1枚の陰電極とを、それ
ぞれ反応室の内径にほぼ等しい平板状に形成し、各平板
に穴若しくは切り欠きを設けたものを、水熱電解反応室
内に、反応室の軸方向に対して概ね直角に、即ち概ね水
平方向に設置し、その際、上下で隣り合う平板において
穴若しくは切り欠きの位置が上下で重ならないように配
置したものを挙げることができる。電極構造体をこのよ
うな形態とすると、反応室内を下から上に向かって浮力
によって上昇する気泡は、最初の平板状電極板にぶつか
り、電極板の表面に沿って横方向に移動して、当該平板
状電極板に形成された穴若しくは切り欠きから上方へ上
昇する。上昇した気泡は、次に配置された平板状電極板
にぶつかり、同様に電極板表面に沿って横方向に移動し
て、当該平板状電極板に形成された穴若しくは切り欠き
から上方へ上昇する。従って、このような形態の電極構
造体により、気体状流体流に対する流れ抵抗が形成され
る。また、別の形態としては、反応室の内径にほぼ等し
い平板の例えば中央部付近に穴を形成したものと、反応
室の内径よりも小さな径の平板とを、それぞれ陰電極、
陽電極(勿論、逆の組み合わせも可能である)として交
互に配置したものを挙げることができる。この場合、反
応室内を下から上に向かって浮力によって上昇する気泡
は、中央部に穴を形成した平板状電極板にぶつかり、平
板状電極板の表面に沿って横方向に移動して、中央部の
穴から上方へ上昇する。上昇した気泡は、次に配置され
ている、反応室の内径よりも小さな径の平板状電極板に
ぶつかり、同様に電極板表面に沿って横方向に移動し
て、平板状電極板と反応室内壁との間の隙間から上方へ
上昇する。従って、このような形態の電極構造体によっ
ても、気体状流体流に対する流れ抵抗が形成される。な
おこの場合、径の小さい方の電極板の周縁部に切り欠き
を形成してもよい。更には、電極板として、気泡が通り
抜ける際に抵抗を与えるような適当な目開きのメッシュ
状板材を用いても、気泡が当該メッシュ材を通過する際
に流れ抵抗が生じるので、同様に本発明に係る「流体流
に対して流れ抵抗を形成する形状の電極」として用いる
ことができる。水熱電解反応室内で発生する気泡に対し
て流れ抵抗を生じさせるようなメッシュ材の好ましい目
開きの範囲としては、0.1mm〜10mm程度、好ましく
は1mm〜8mm程度、より好ましくは3mm〜5mm程度が考
えられる。
【0015】なお、上記のような形状の陽電極板と陰電
極板とを交互に複数枚設置することによって本発明に係
る電極構造体を形成することがより好ましい。複数枚の
陽電極板及び陰電極板を交互に設置することにより、気
体状酸化剤及び還元性物質が陰極板及び陽極板に随時接
触することができ、陰極での水素抑制と陽極での還元性
物質の酸化をより効率よく行うことができるようにな
る。このように複数枚の陽電極板と陰電極板が交互に配
置された電極集合体は、脱着式通電部材によって陽極板
同士、陰極板同士が連結されていることが好ましく、更
には、電極板の枚数を必要に応じて可変できるような構
成になっていることが好ましい。これによって、反応器
のサイズに応じて電極板枚数を容易に変更することが可
能になる。即ち、電極がモジュール化されるので、反応
器がスケールアップされる際には、陰極板及び陽極板を
必要枚数つなぎ足していけばよい。また、電極を構成す
る平板自体は小さくてもよいので、電極を焼成法などで
成膜する際の電気炉、薬品浴槽が小さくて済む。また、
上記のような電極集合体を形成すれば、反応室内への電
極の設置は、反応室の一方向から電極集合体を挿入する
ことによって簡単に行うことができるので、水熱電解装
置の組立て時或いは電極の交換時の作業性が大幅に改善
される。なお、電極構造体を形成する際には、陽電極と
陰電極とを電気的に接触させないようにする、即ち絶縁
状態に保つことが必要なことは言うまでもない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的態様の一例
を図1を参照しながら説明する。以下の説明は、本発明
の一具体例を示すもので、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0017】図1は、本発明の一実施態様に係る電極を
水熱電解反応室内に設置した状態を示す図である。図1
に示す形態の電極構造体は、円筒形の水熱電解反応室5
1の内径よりも小さい径を有していて、その周縁に切り
欠き56が形成されている複数の電極板52、52’、
52”と、水熱電解反応室の内径とほぼ同等か若しくは
僅かに小さい径を有し、その中央部に穴57が形成され
ている複数の電極板53、53’とを有する。図1に示
す態様においては、電極板52、52’、52”を陽
極、電極板53、53’を陰極として用いる。複数の陽
極板52、52’、52”は、中心部分において、反応
室の軸方向に伸長して配置されている導電性の接続部材
54によって接続されており、一方、複数の陰極板5
3、53’は、各陰極板の周縁部の複数箇所に配置され
ている導電性の接続部材55によって接続されている。
陽極板52、52’、52”に形成されている切り欠き
56は、陰極板53、53’を周縁で接続している接続
部材55と同じ断面位置に位置づけられており、接続部
材55の断面積よりも大きな空間を形成するようにされ
ている。一方、陰極板53、53’の中央部に形成され
ている穴57は、陽極板52、52’、52”を中央部
で接続している接続部材54の断面積よりも大きな空間
を形成するようにされている。このような構成とするこ
とにより、陽極板52、52’、52”と接続部材5
5、及び陰極板53、53’と接続部材54とが互いに
接触しないようになっていると共に、その間に空隙が形
成されている。なお、陰極板53、53’は反応室51
の内壁と接触していてもよいが、陽極板は反応室51の
内壁と接触しないようにすることが必要である。陰極を
反応室51の内壁と接触させると、反応室内壁全体が陰
極として作用して、反応器母材の電気防食が図れるので
より好ましい。しかしながら、電極板と反応室内壁との
クリアランスが全く取れないと、電極構造体を反応室内
へ挿入したり、反応室から取り出すのが困難であるの
で、陰極板と反応室内壁との間に0.05〜20mm程度
のクリアランスを取ることがより好ましい。なお、この
場合、陽極として用いる電極板が反応室内壁に接触する
と電気短絡が起こってしまうので、陽極板は、陰極板よ
りも小さい径で形成し、反応室壁から1mm〜100mmの
距離を保つようにすることが望ましい。
【0018】電極板52及び53の材料としては、特に
限定されるものではないが、特に陽極として用いる電極
板については、反応室内で進行させる水熱電解反応に耐
えうる材料を用いることが好ましい。具体的には、チタ
ン、ニオブ、タンタル、ステンレスなどの母材に、金属
状態又は酸化物状態の白金、イリジウム、ルテニウムな
どを焼成、スパッタリング、CVDなどでコーティング
したものや貴金属を用いることが好ましい。また、最近
開発が進んでいる導電性のダイアモンドコーティングを
施した材料を陽極として用いることもできる。更には、
酸素発生荷電圧が高い酸化鉛や酸化スズなどで陽極を構
成しても良い。一方、陰極として用いる電極板について
は、陽極に比べて腐食は起こりにくいので、耐久性は陽
極ほどは要求されない。従って、陰極用の電極板として
は、コーティングなしのチタン、ステンレス、タンタ
ル、ニオブや、カーボン或いはガラス状カーボン(グラ
ッシーカーボン)を用いることができる。
【0019】電極板52及び53は、反応室の軸方向に
対してほぼ直角、即ちほぼ水平に設置されることが好ま
しい。電極板52及び53が傾斜していると、気体状の
流体流が反応室内の一カ所に偏り、均一な電極全面への
接触が進行できなくなるためである。また、電極板同士
の距離は、厳密に限定されるものではないが、電気分解
を起こすのに支障なく、閉塞を起こす恐れのない距離で
あることが好ましく、一般に1mm〜100mmとすること
が望ましい。
【0020】電極板52及び53をそれぞれ接続する導
電性接続部材54及び55の上端は、反応室の上蓋(図
示せず)に固定され、更に上蓋の外側から電源に電気的
に接続される。この際、陰極を接続する接続部材は反応
室の上蓋と絶縁構造なしに連結させることができ、その
場合には反応室内壁の全体が陰極として機能する。一
方、陽極を接続する接続部材は反応室の上蓋と、絶縁構
造を介して連結し、更にこの接続部材に対して、反応室
と絶縁した状態で電気を通電する必要がある。このよう
に高圧高温反応器と絶縁しながらその容器内の電極に通
電するのは、所謂コナックスシール構造の電極取り付け
具を用いればよく、これは当該技術において公知の事項
である。
【0021】次に、図1に示すような構造の電極構造体
を装填した水熱電解装置の運転について説明する。高温
高圧に保持された水熱電解反応室51内に、底部より処
理対象の水媒体を投入し、導電性接続部材54及び55
を介して、電極板52、53のそれぞれに通電すること
により水熱電解反応を行う。水媒体中の気泡は、まず、
一番下側の電極板52に衝突し、電極板52の表面に沿
って周縁に向かって流れ、電極板52の周縁と反応室内
壁との間隙及び電極板52の周縁に形成された切り欠き
56を通って上方に浮上する。気泡は、次に下から二番
目の電極板53に衝突し、電極板53の表面に沿って中
心に向かって流れ、電極板53の中央の穴57を通って
上方に浮上する。水媒体中の気泡は、以下同様に電極板
に衝突しながら上に向かって浮上する。
【0022】このように、本発明に係る電極を用いれ
ば、電極が水媒体中の気泡(気体状流体流)に対して流
れ抵抗を形成しているので、例えば、水媒体中に外部か
ら酸素を酸化剤として加えた場合には、気泡状の酸素が
水媒体中によく溶解するのに加えて電極と接触する機会
が大きくなるので、酸素の陰極反応が促進せしめられ
る。
【0023】更に、外部から酸化剤を投入しない場合に
おいても、本発明に係る電極を用いる効果は大きい。外
部から酸化剤を投入しない場合、多段に設置されている
反応室内の陽極では、下記の陽極反応が起こる。
【0024】
【式1】
【0025】これらの陽極で発生したO2、X2は酸化剤
として水媒体中に溶解又は不均化反応し、滞留時間が長
い場合には水媒体に含まれている還元性物質の酸化で完
全に消費される。また、これらの酸化剤が発生する反応
以外にも、還元性物質が直接陽極表面上で酸化される反
応も起こる。しかしながら、反応器内での滞留時間が短
い場合には、これらの酸化剤が水媒体に十分溶解する時
間がなく、一部は気泡として存在することになる。本発
明に係る電極を装填した水熱電解装置を用いると、これ
らの気泡は、還元性物質とは反応せずに、上方に浮上
し、陽極の上に設置されている陰極の表面上で次のよう
な反応で消費される。
【0026】
【式2】
【0027】これらの酸化剤が陰極で還元される反応と
競合するのが、下記の水の還元反応である。
【0028】
【式3】
【0029】従って、本発明に係る電極を装填した水熱
電解装置を用いると、反応式(1)、(2)で生成され、主と
して気泡となった酸化剤が、気体状流体流に対して流れ
抵抗を形成する電極によって、反応(3)、(4)を積極的に
促進させ、その結果として水素の生成反応(5)を抑制す
る効果が発揮される。これに対して従来の筒型電極を縦
に配置した形態では、反応(1)、(2)で発生する酸化剤が
十分に水媒体中に溶存できる場合には同じような効果が
得られていたが、大電流を流して反応器内の滞留時間が
短い場合には、反応(1)、(2)で生成した酸化剤は気泡と
なり、陰極に殆ど接触せずに外部に放出されており、そ
の結果、陰極では反応(5)が起こり易くなって、水素が
反応生成物中に多く見られていた。本発明では、このよ
うに、一旦生成した気泡状の酸化剤を、電極反応系外へ
直ぐに出さずに、気泡と電極とを繰り返し接触させるこ
とにより、本来あるべき水熱電解反応を促進させること
ができる。なお、上記の反応式では発生する酸化剤とし
て酸素とハロゲンの系を示したが、強酸性イオンでも同
じような効果が得られる。例えば、硫酸イオンであれ
ば、陽極で過硫酸が発生し、この過硫酸が陰極反応で硫
酸イオンに戻される反応(水素発生反応と競合)が起こ
る。同じように、酸素の代わりに陽極反応によって水か
らオゾンが発生する場合でも、このオゾンは陰極におい
て再び水に還元される。これらの陽極で発生した酸化剤
は、水熱条件の高温で高い分圧を持つため一部は気泡と
なり、この気泡となった酸化剤は、本発明においては、
水素が発生する水の陰極還元反応の抑制に用いられる。
【0030】なお、水熱電解反応系の外部から酸化剤を
投入した場合には、前記の反応に加えて陰極において下
記の還元反応が起こり得る。
【0031】
【式4】
【0032】ここでは、分子状酸素が、酸化能力の高い
過酸化水素(活性酸素)に還元される。この反応によっ
ても、同じく水素が発生する水の還元反応(5)が抑制さ
れる。この水熱電解反応場に直接生成される活性酸素
は、その酸化能力が高いため、特に還元性物質を酸化す
るのに有効である。なお、外部から水熱電解反応場に酸
化剤を入れて陰極反応で活性酸素を作るためには、空
気、酸素、PSA酸素、酸素富化空気を水媒体中に直接
入れることもできる。また、これらの分子状酸素ではな
い他の形態、例えば過酸化水素、次亜塩素酸、オゾンの
形態の酸化剤を用いてもよい。過酸化水素、次亜塩素
酸、オゾンを用いても、水熱電解反応場の高温による熱
分解によって分子状酸素が発生するからである。何れに
しても、本発明においては、一旦気泡状となった酸化剤
と電極との接触が促進されるので、水素発生反応を抑制
し、還元性物質の酸化反応を促進させることができる。
【0033】なお、本発明に係る水熱電解装置において
は、水媒体も、水熱電解反応を受けながら、気体状流体
流と同じく、電極板に形成された穴若しくは切り欠き、
或いは電極板と反応室内壁との間の間隙を通って上部に
向かって流れる。
【0034】なお、図1においては、平板状の電極板に
切り欠き若しくは穴を形成したものを複数枚配置する構
成を示したが、気体状流体流に対して流れ抵抗を形成す
る構造であれば、メッシュ状、ディスク状、穴あきメッ
シュ状、穴あきディスク状など、任意の形態の電極板を
用いることができる。なお、メッシュ或いは穴あき板状
の電極板を用いる場合には、気体状流体流の浮力による
流れに対して抵抗を形成し、気泡を分散させる開口及び
ピッチのものを用いることが好ましく、これらの開口及
びピッチは均等であることが望ましい。
【0035】また、図1においては、電極板52、5
2’52”が1本の導電性接続部材54によって接続さ
れている態様を示したが、電極板52、52’52”
が、電極板53,53’と同様に複数の接続部材によっ
て接続されていてもよい。複数の電極板を配置する場
合、接続部材が複数個設けられている方が、電極軸のぶ
れが少なくなり、陽極と陰極との電極間距離を均等に維
持しやすくなるというメリットがある。この場合、複数
個の接続部材54を設ける場合には、電極板53、5
3’に対して同じ断面位置で同じ数の穴57を形成する
必要があることは勿論である。なお、接続部材を過度に
多数設け過ぎると、反応室内の気体状流体流の流れ予測
が難しく、また電極と気体状流体流との均一な接触を図
ることが困難となるので好ましくない。この観点から
は、電極板を接続する接続部材の数は、1〜50が好ま
しく、1〜30がより好ましい。
【0036】上記に説明したような構成の電極構造体を
用いると、水熱電解反応室内に電極を設置する際、或い
は電極を水熱電解反応室内から取り出す場合には、例え
ば、上部蓋を取り外してそこから電極構造体を出し入れ
すればよく、水熱電解装置の組立て及び分解並びに電極
の交換を簡単に行うことができる。また、電極板と接続
部材とは、脱着可能な状態で接続されていることが好ま
しい。このようにすると、配置される電極板の枚数を適
宜変更することができ、反応器のスケールアップなどに
対応して、有効電極面積を変動させることが可能にな
る。
【0037】なお、電極構造体は、反応器の下部からも
挿入・取り出しを行うことが可能である。この場合に
は、導電性接続部材54及び55を、反応器の下蓋に固
定し、下蓋を介して、導電性接続部材と外部の電源との
接続を行う。反応器の下部に電極構造体を固定すると、
陽極と蓋との間の絶縁シールが高温に曝される負荷を少
なくすることができるというメリットがある。水熱電解
反応器では、反応器上部の方が反応器下部よりも温度が
高いため、電極への接続箇所を反応器の底部に形成する
ことにより、電極の絶縁シールを冷却する必要性が減じ
られる。なお、反応器の液漏れ時には、反応器下部は濡
れやすく、絶縁破壊を起こしやすいので、電極への接続
箇所を反応器底部に形成する場合には、適切な防水構造
をとることが必要になる。また、電極構造体の挿入・取
り出しを反応器の下部から行う場合には、作業用スペー
スを反応器の下部に設ける必要がある。このように、電
極構造体の挿入・取り出しを反応器の上部から行うか又
は下部から行うかは、一長一短があり、施設内で反応器
をどこに設置するかによって決定すればよい。
【0038】
【実施例】以下の実施例/比較例により、本発明をより
具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定され
るものではない。
【0039】図2に、本実施例/比較例に用いた水熱電
解連続装置のフロー図を示す。TOC濃度10,000
mg/L、塩素イオン濃度800mg/Lに調整した試料液を、
試料液タンク11から高圧ポンプ12を用いて、7MPa
に保持された系内に流量50mL/minの流量で導入し、流
量9.4NL/minに制御した圧縮空気13と混合した後、
熱交換器14、加熱器15を経て、水熱電解反応器16
に供給した。水熱電解反応器16は、反応器内部の電極
に直流電源17が接続されており、250℃、7MPa、
電解電流200Aの条件でで水熱電解反応を行った。水
熱電解反応器からの排出水は熱交換器14を経て、気液
分離器18でガスと液に分離した後、ガスは圧力調整弁
19を経て処理ガスとして系外に排出し、液は、液面セ
ンサー21と連動した液面調整弁20、フィルタ22、
調整弁23を経て処理水タンク24に送った。
【0040】本発明の実施例では、周縁部の3カ所に半
径8mmの切り欠き部を有するチタン製の円形陽極板(直
径90mm、厚さ1.5mm)、及び中央部に直径30mmの
穴が形成されているチタン製の円形陰極板(直径100
mm、厚さ1.5mm)のそれぞれ18枚を図1のように配
置して電極構造体(電極間距離4mm)を形成した。陽極
板は、直径10mm、長さ180mmのチタン製棒状部材に
よって中央部で接続し、一方、陰極板は、直径6mm、長
さ170mmのチタン製棒状部材によって周縁部の3カ所
で接続し、陰極板を接続する棒状部材が陽極板の周縁の
切り欠き内に配置されるようにした。陽極板を接続する
棒状部材は、絶縁構造を介して反応器外の電源に接続
し、陰極板を接続する棒状部材は、反応器を介して(絶
縁なし)反応器外の電源に接続した。このような電極構
造体を、内径101mm、高さ230mmの水熱電解反応器
内に設置した。一方、比較例では、実施例と同じ水熱電
解反応器内において、図4に示すような同心円状の電極
部材を互い違いに配置した電極構造体を設置した。陽極
構造体(図4の203)としては、チタン製の外径95
mm、73mm、49mm、21mm(厚さはそれぞれ2mm)の
円筒状部材(長さ約200mm)を同心円状に配置して上
端を直径95mmのチタン製円盤状部材(厚さ2mm)に接
続したものを用い、また、陰極構造体(図4の202)
としては、同じくチタン製の外径85mm、61mm、35
mm、8mm(厚さはそれぞれ2mm)の円筒状部材(長さ約
205mm)を同心円状に配置して下端を直径95mmのチ
タン製円盤状部材(厚さ2mm)に接続したものを用い、
これらを図4のように配置した(各電極間の距離は4〜
6mmであった)。陰極構造体の底部の9カ所に径1.5
mmの孔を形成して、ここから圧縮空気を反応室内に供給
した。また、陽極構造体の頂部の9カ所に径3mmの孔を
形成して、ここから、各反応室の上部に溜まったガスを
反応室外(容器内)に排出した。 処理ガス中の水素ガ
ス及び酸素ガスの濃度を測定し、また、処理水のTOC
濃度を測定した。ガスの濃度測定値並びに処理水のTO
C濃度測定値に基づくTOC分解率を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示す結果から、本発明に係る構造の
電極構造体を用いて水熱電解反応を行うことにより、T
OC分解率は約10%の増加が見られ、発生した水素ガ
スは約7分の1に抑制され、酸素ガスは2倍近く有効利
用されたことが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、水熱電解処理におい
て、水媒体中で気泡として存在する酸素を有効に利用
し、水素の発生を抑制しながら水熱電解反応を効率的に
進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様に係る水熱電解装置用の電極構
造体を示す図である。
【図2】本発明の実施例において用いた連続水熱電解装
置の概要を示す図である。
【図3】複数の円筒状反応容器を用いる従来の水熱電解
反応器の構成例を示す図である。
【図4】同心円状の円筒形電極部材を用いる従来の水熱
電解反応器の構成例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/02 C02F 1/74 101 1/461 C25B 1/04 1/74 101 C02F 1/46 101 C25B 1/04 (72)発明者 芹川ロベルト正浩 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 西村 達也 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 4D034 AA11 CA01 4D050 AA12 AB07 BB01 BC01 BC02 BC10 BD02 BD03 BD04 BD06 CA10 4D061 DA08 DB19 DC04 DC06 EA03 EB01 EB04 EB14 EB18 EB20 EB29 EB30 EB31 ED01 ED20 FA13 4G075 AA15 AA37 BA05 BA06 CA02 CA20 CA61 CA65 CA66 DA02 EA01 EB01 EC21 FB02 FB03 FC02 4K021 AA01 AA02 AA09 BA02 BB04 BB05 CA02 DA05 DA09 DC11 DC15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水及び還元性物質を含む被処理物を高温
    高圧下で電気分解するための水熱電解反応室を備え、該
    水熱電解反応室内に水熱電解反応用の電極が装填されて
    いる水熱電気分解装置であって、 上記水熱電解反応室内に装填される水熱電解用の電極
    が、気体状流体流に対して流れ抵抗を形成する形状を有
    する電極構造体により構成されていることを特徴とする
    水熱電気分解装置。
  2. 【請求項2】 平板に穴若しくは切り欠きを設けた形状
    の電極板を、水熱電解反応室内に、反応室の軸方向に対
    して概ね直角に複数枚設置し、その際、当該電極板が、
    上下で隣り合う平板において穴若しくは切り欠きの位置
    が上下で重ならないように配置することによって、電極
    構造体が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の水熱電気分解装置。
  3. 【請求項3】 電極構造体が、メッシュ平板状の電極板
    によって構成されている請求項1に記載の水熱電気分解
    装置。
  4. 【請求項4】 陽極又は陰極として作用する複数の電極
    板が、陰陽極が交互に配置されるように設置されている
    請求項2又は3に記載の水熱電気分解装置。
  5. 【請求項5】 水及び還元性物質を含む被処理物を高温
    高圧下で電気分解するための水熱電解反応室を備えた水
    熱電気分解装置の水熱電解反応室内において用いられる
    水熱電解用の電極であって、水熱電解反応室内に設置し
    た際に、気体状流体流に対して流れ抵抗を形成する形状
    を有する電極構造体により構成されていることを特徴と
    する水熱電気分解装置用電極。
  6. 【請求項6】 平板に穴若しくは切り欠きを設けた形状
    の電極板を、水熱電解反応室内において、反応室の軸方
    向に対して概ね直角に複数枚設置し、その際、当該電極
    板が、上下で隣り合う平板において穴若しくは切り欠き
    の位置が上下で重ならないように配置することによっ
    て、電極構造体が形成されていることを特徴とする請求
    項5に記載の水熱電気分解装置用電極。
  7. 【請求項7】 電極構造体が、メッシュ平板状の電極板
    によって構成されている請求項5に記載の水熱電気分解
    装置用電極。
  8. 【請求項8】 陽極又は陰極として作用する複数の電極
    板が、陰陽極が交互に配置されるように設置されている
    請求項6又は7に記載の水熱電気分解装置用電極。
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