JP2003175361A - 硬化塗膜の形成方法 - Google Patents

硬化塗膜の形成方法

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JP2003175361A
JP2003175361A JP2001379230A JP2001379230A JP2003175361A JP 2003175361 A JP2003175361 A JP 2003175361A JP 2001379230 A JP2001379230 A JP 2001379230A JP 2001379230 A JP2001379230 A JP 2001379230A JP 2003175361 A JP2003175361 A JP 2003175361A
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coating film
irradiation
energy
forming
energy beam
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Eiichi Tadokoro
榮一 田所
Yoji Tominaga
洋二 富永
Nobuo Yamamura
信雄 山村
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Gen Maintenance Technology Inc GMT
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GEN GIJUTSU KENKYUSHO KK
Gen Maintenance Technology Inc GMT
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一に塗膜を硬化しながら、単位時間あたり
に硬化可能な塗膜面積を大きくすることができる硬化塗
膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 光重合性樹脂および光重合開始剤を含む
光硬化型コーティング剤を基材に塗布後、エネルギー線
照射部3と電源部1とを有し、少なくともエネルギー照
射部3が照射方向を変更し得るように移動可能であっ
て、エネルギー線源がレーザ、発光ダイオードおよび電
子線照射装置のうちの少なくとも1つであるエネルギー
線照射装置を用いてエネルギー線を照射し、塗膜を硬化
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化塗膜の形成方
法に関する。詳細には、エネルギー線源がレーザなどで
あるエネルギー線照射装置を用いた硬化塗膜の形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、光硬化型コーティング剤から
なる塗膜の硬化は、水銀灯をエネルギー線源とした紫外
線照射装置を用いるのが主流である。特に、現場施行に
おいては、エネルギー線源が水銀灯である移動可能な紫
外線照射装置が用いられている。しかしながら、水銀灯
による紫外線の照射強度は、被照射面と水銀灯との距離
により変化して距離が大きくなると急激に減衰し、硬化
反応が進まないため、水銀灯を被照射面に可能な限り近
づける必要がある。そのため、被照射基材との接触によ
るランプの破損の問題や、ランプハウジングの端部から
の弱い紫外線の漏れ等によるチヂミ、コウラ等の硬化塗
膜の品質についての問題が発生する。特にエネルギー線
源が水銀灯である移動式の照射装置においては、照射面
積がほぼ照射ランプを収納したランプハウジングの大き
さにより決定され、ランプハウジングは一定以上には小
さくすることができないため、狭い場所や壁等の垂直面
に照射することは難しい。その反面、操作性の問題から
ランプハウジングのサイズを一定以上に大きくすること
もできないため、照射速度(実際には一定の照射面にエ
ネルギー線を照射する照射時間で示される)、照射効率
を向上させることはきわめて困難である。
【0003】また、エネルギー線源が水銀灯である移動
式の照射装置を用いて、照射効率を上げるためにランプ
を塗膜面に近づけると、塗膜面および基材の不均一な突
起形状によりランプが容易に破損する。ランプが破損す
ると、交換してもエネルギー線出力が安定するまでに時
間がかかり、照射効率を大幅に低下させる。また、破損
したランプは照射作業者をキズつけたり、未硬化塗膜に
付着すると除去が難しいので、その部分の塗膜除去およ
び再塗布が必要となる。このようなことは、硬化塗膜の
形成方法に用いる照射装置にとって重大な欠点であるの
で、ランプの破損しない、またはきわめて破損し難いエ
ネルギー線源を用いて移動可能な照射装置の開発が望ま
れている。さらに、高圧水銀灯を使用してエネルギー線
を照射することにより硬化塗膜を形成する場合には、エ
ネルギー線の大部分は可視光と熱になり、熱は塗膜と基
材とを加熱するだけで、塗膜の硬化に寄与せず、きわめ
て効率が悪い。これは、低圧水銀灯の使用により改良さ
れるが、さらなる照射効率の向上が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、均一
に塗膜を硬化しながら、単位時間あたりに硬化可能な塗
膜面積を大きくすることができる硬化塗膜の形成方法を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、光重合性樹脂および
光重合開始剤を含む光硬化型コーティング剤を基材に塗
布後、エネルギー線照射部と電源部とを有し、少なくと
もエネルギー線照射部が照射方向を変更し得るように移
動可能であって、エネルギー線源がレーザ、発光ダイオ
ードおよび電子線照射装置のうちの少なくとも1つであ
るエネルギー線照射装置を用いてエネルギー線を照射
し、塗膜を硬化させることにより、硬化塗膜の部分的な
欠陥をなくして均一に塗膜を硬化できるだけでなく、
狭い場所での塗膜硬化、より安全な操作、水平塗装
面だけでなく、例えば壁等の垂直塗装面への照射、軽
量、コンパクトで移動容易などの性能を有するエネルギ
ー線照射装置を得るようになり、単位時間あたりに硬化
可能な塗膜面積を大きく、即ちエネルギー線照射効率を
向上することができることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0006】即ち、本発明は、 (1)光重合性樹脂および光重合開始剤を含む光硬化型
コーティング剤を基材に塗布後、エネルギー線照射部と
電源部とを有し、少なくともエネルギー線照射部が照射
方向を変更し得るように移動可能であって、エネルギー
線源がレーザ、発光ダイオードおよび電子線照射装置の
うちの少なくとも1つであるエネルギー線照射装置を用
いてエネルギー線を照射し、塗膜を硬化させることを特
徴とする、硬化塗膜の形成方法。 (2)エネルギー線照射部が複数のエネルギー線発生器
を備えて、エネルギー線を照射することを特徴とする、
上記(1)に記載の硬化塗膜の形成方法。 (3)エネルギー線照射部がエネルギー線を走査して照
射し、エネルギー線の照射速度および/または照射面積
を制御して照射することを特徴とする、上記(1)また
は(2)に記載の硬化塗膜の形成方法。 (4)1スキャン中の照射速度を制御して照射すること
を特徴とする、上記(3)に記載の硬化塗膜の形成方
法。 (5)エネルギー線として紫外線を照射することを特徴
とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化塗
膜の形成方法。 (6)エネルギー線源として低圧水銀灯および高圧水銀
灯のうち、少なくとも低圧水銀灯を併用して紫外線を照
射することを特徴とする、上記(5)に記載の硬化塗膜
の形成方法。 (7)エネルギー線照射部と電源部とが連結一体化さ
れ、移動可能なエネルギー線照射装置を用いてエネルギ
ー線を照射して塗膜を硬化させることを特徴とする、上
記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化塗膜の形成方
法。 (8)外部から、装置の移動方向、エネルギー線照射
量、エネルギー線照射方向、エネルギー線照射速度およ
びエネルギー線照射面積のうちの少なくとも1つが、遠
隔制御可能なエネルギー線照射装置を用いてエネルギー
線を照射して塗膜を硬化させることを特徴とする、上記
(7)に記載の硬化塗膜の形成方法。 (9)光重合性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート
樹脂を含有するものである、上記(1)〜(8)のいず
れかに記載の硬化塗膜の形成方法。 (10)光重合性樹脂が、水系ウレタン(メタ)アクリ
レート樹脂を含有するものである、上記(1)〜(8)
のいずれかに記載の硬化塗膜の形成方法。 (11)光硬化型コーティング剤が光安定剤を含有し、
290nm未満の波長の紫外線を照射して塗膜を硬化さ
せることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれ
かに記載の硬化塗膜の形成方法。 (12)光安定剤が、290nm以上に紫外線吸収スペ
クトルをもつ紫外線吸収剤および/またはヒンダードア
ミン系安定剤である、上記(11)に記載の硬化塗膜の
形成方法。 (13)紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物
である、上記(12)に記載の硬化塗膜の形成方法。 (14)ベンゾトリアゾール系化合物の添加量が光硬化
型コーティング剤中、固形分として0.01重量%以上
5.0重量%以下である、上記(12)に記載の硬化塗
膜の形成方法。 (15)ヒンダードアミン系安定剤の添加量が光硬化型
コーティング剤中、固形分として0.01重量%以上
5.0重量%以下である、上記(14)に記載の硬化塗
膜の形成方法。
【0007】
【作用】本発明では、まず、少なくともエネルギー線照
射部が照射方向を変更し得るように移動可能で、エネル
ギー線源がレーザ、発光ダイオードおよび電子線照射装
置のうちの少なくとも1つであるエネルギー線照射装置
を用いる。少なくともエネルギー線照射部が照射方向を
変更し得るように移動可能であることにより、均一に塗
膜を硬化できるとともに、壁等の垂直塗膜面にも容易に
エネルギー線を照射することができるので、単位時間あ
たりに硬化可能な塗膜面積を大きく、即ちエネルギー線
照射効率を向上することができる。このようなエネルギ
ー線照射部が照射方向を変更し得るように移動可能なエ
ネルギー線照射装置は、エネルギー線源をレーザ、発光
ダイオードおよび電子線照射装置のうちの少なくとも1
つを使用することにより達成することができる。また本
発明においては、光重合性樹脂および光重合開始剤を含
む光硬化型コーティング剤を使用する。これにより、上
記エネルギー線照射装置を用いてエネルギー線を照射し
て、硬化塗膜を形成することができる。特に照射するエ
ネルギー線に応じて適切な光重合性樹脂および光重合開
始剤を選択することにより、塗膜を効率よく硬化するこ
とができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の硬化塗膜の形成方
法を詳細に説明する。本発明は、光重合性樹脂および光
重合開始剤を含む光硬化型コーティング剤を基材に塗布
後、エネルギー線照射部と電源部とを有し、少なくとも
エネルギー線照射部が照射方向を変更し得るように移動
可能であって、エネルギー線源がレーザ、発光ダイオー
ド(Light Emitting Diode:LED)および電子線(El
ectronBeam:EB)照射管のうちの少なくとも1つであ
るエネルギー線照射装置を用いてエネルギー線を照射
し、塗膜を硬化させる、硬化塗膜の形成方法である。こ
こで、エネルギー線は、光重合性樹脂を硬化させるため
に、エネルギー線照射装置のエネルギー線源で発生させ
られて、照射される。
【0009】本発明において重要なことは、〔1〕少な
くともエネルギー線照射部が照射方向を変更し得るよう
に移動可能で、エネルギー線源がレーザ、発光ダイオー
ドおよび電子線照射装置のうちの少なくとも1つである
エネルギー線照射装置を用いることと、〔2〕光重合性
樹脂および光重合開始剤を含む光硬化型コーティング剤
を使用することである。
【0010】〔1〕少なくともエネルギー線照射部が照
射方向を変更し得るように移動可能で、エネルギー線源
がレーザ、発光ダイオードおよび電子線照射装置のうち
の少なくとも1つであるエネルギー線照射装置を用いる
こと 図1は、本発明に用いる移動式のエネルギー線照射装置
の好ましい一例を簡略化して示す側面図であり、図2
は、図1に示す移動式のエネルギー線照射装置の正面図
である。当該エネルギー線照射装置は、エネルギー線源
としてレーザを用いた例を示している。本発明に用いる
エネルギー線照射装置は、床面などに塗布された光硬化
型コーティング剤の上面に、エネルギー線を照射して、
該光硬化型コーティング剤を硬化させて硬化塗膜を形成
するための装置である。該装置は、電源部1と、該電源
部1に電気的に接続されて電源部1からの電気の供給に
よってエネルギー線を発生するエネルギー線源部である
レーザヘッド2と、発生したエネルギー線を走査して照
射するレーザスキャナであるエネルギー線照射部3と、
制御ボックス6とを基本的に備える。また、該装置は移
動式であるため、車輪4が装着され、当該装置の移動を
手動で制御するためのハンドル5を備える。なお、本明
細書中において、前方向とは、エネルギー線を照射可能
な状態で移動式エネルギー線照射装置のエネルギー線照
射部3が配置される側を指し、後方向とは、前方向の反
対側を指すものとして説明する。
【0011】電源部1、レーザヘッド2、エネルギー線
照射部3は、箱状のハウジング内に設定されている。電
源部1は、電源コードで、例えばコンセントなどを電源
として電気を得るような構成であってもよいし、バッテ
リなどその内部に電源を備えるように実現されていても
よい。
【0012】該移動式エネルギー線照射装置は、車輪、
具体的には、ハウジングの下端付近の前方側に装着され
る前輪と、ハウジングの下端付近の後方側に装着される
後輪とを有する。図1に示す例では、前輪および後輪
は、各々二輪で構成されるが、これに限定されるもので
はなく、いずれかが一輪で構成されていてもよい。但
し、エネルギー線照射部3は、ハウジング内に前輪より
前方側に設けられ、これにより、移動しながらエネルギ
ー線を照射するに際して、床面に塗布された未硬化の光
硬化型コーティング剤を踏まないように構成される。即
ち、移動式エネルギー線照射装置は通常、エネルギー線
照射部3が配置される側に進行するようにして移動され
ながらエネルギー線を照射するため、エネルギー線照射
部3が通過した後を車輪が通過することになり、該車輪
はエネルギー線照射により光硬化型コーティング剤が硬
化した硬化塗膜のみを踏み、未硬化の光硬化型コーティ
ング剤を踏むことがない。
【0013】本発明において重要なことは、エネルギー
線源としてレーザ、発光ダイオードおよび電子線照射装
置のうちの少なくとも1つを用いたことである。これら
をエネルギー線源として用いることによって、エネルギ
ー線照射部3が照射方向を変更し得るように移動可能な
ものとすることができる。即ち、エネルギー線源がレー
ザである場合を代表として説明すると、レーザによるエ
ネルギー線(ビーム)を照射するとき、レーザが発生し
たビームを反射、回転させるミラーや回転装置を利用す
ることにより、エネルギー線の照射方向を自由自在に変
更することが可能である。従って、従来の水銀灯をエネ
ルギー線源とする移動式エネルギー線照射装置では困難
であった、壁等の垂直塗膜面にも容易にエネルギー線を
照射することができる。
【0014】上述のように照射方向を自由自在に変更す
ることが可能であれば、エネルギー線(ビーム)を走査
(スキャン)して照射することができるので、狭い範囲
でも広い範囲でも照射範囲を自在に設定することがで
き、特に広い塗膜面を効率よく照射することができる。
走査の方向は、照射装置の進行方向に対して直角、平
行、斜め等いずれでもよく、実質的に塗膜にエネルギー
線を均一に照射できればよい。走査することで、エネル
ギー線照射部3からの照射距離により、必然的にビーム
によって照射可能な照射面積が変化するが、制御部6で
照射速度を適時変化させて対応する。例えば、エネルギ
ー線照射装置において、ビームを左右方向に走査する場
合、左端部分や右端部分に照射するときにはビームが斜
めに照射されるので、中央部分に照射するときと比較し
て、ビームによって照射可能な照射面積は大きくなる
が、その照射面における単位面積あたりの照射エネルギ
ー線量は小さくなる。そこで、端部では中央部分よりも
走査速度を減速、即ち照射時間を長くすることにより、
左端から右端までの1パス(1スキャン)において、照
射部分による単位面積あたりの照射エネルギー線量の違
いをなくし、硬化に必要な一定量の照射量を照射するこ
とが可能である。あるいは、エネルギー線源であるレー
ザヘッド2を複数有し、端部ではそのすべてで発生した
エネルギー線を照射し、中央部分ではその一部で発生し
たエネルギー線を照射するようにしても、1スキャン中
において、照射部分によらず、硬化に必要な一定量の照
射量を照射することが可能である。
【0015】また、ビームによる照射面の形状は、従来
公知の光学系を用いることによって円形状、スリット状
等に設定することが可能である。同様に、ビームによっ
て照射可能な照射面積も変更することが可能であるの
で、上述のように、照射速度を制御する代わりに照射面
積を変更してもよいし、照射速度および照射面積の両方
を変更するようにすることも可能である。従って、制御
部6は、照射速度を制御するだけでなく、ビームによっ
て照射可能な照射面積、照射エネルギー線量、照射方向
などのスキャン条件の設定、変更などを行う。
【0016】なお、光重合性樹脂の硬化は、樹脂の種
類、光重合開始剤の種類、量、その塗布厚等によって大
きく変化するが、一般的な硬化に必要な照射量は、塗膜
では0.1mJ/cm2〜5000mJ/cm2程度であ
る。従って、照射量を設定することになる、上述の照射
速度(照射時間)の設定は、樹脂の種類、光重合開始剤
の種類、量、塗布厚等に合わせて決定することも必要で
ある。
【0017】以上のように図1には、本発明において用
いるエネルギー線照射装置として、装置全体が移動可能
な構成のものを示したが、必ずしも装置全体が移動可能
である必要はなく、少なくともエネルギー線照射部が照
射方向を変更し得るように移動可能であればよい。図1
に示した移動式のエネルギー線照射装置においては、基
本的な構成に加え、車輪、ハンドル等が設けられている
ので、人力により移動可能であり、移動しながらエネル
ギー線を照射して塗膜を硬化させることができる。その
他、本発明におけるエネルギー線照射装置には、様々な
構成を付加することができ、その構成例としては下記の
ものが挙げられる。 1.一定時間ごとに音または光等を発生する装置を取り
付け、照射時間を把握し易くする構成。 2.熱風または送風装置を取り付け、塗膜を乾燥しなが
らエネルギー線を照射する構成。 3.エネルギー線が確実に照射されているか確認するた
めのセンサーを取り付け、故障時に音または光等により
警告を発する機能を持たせる構成。 4.エネルギー線照射時間の積算メータを取り付ける構
成。 5.エネルギー線照射装置の振動を防止するため、車輪
その他に制振装置を取り付ける構成。 6.エネルギー線照射装置の外温の変化による性能の変
化を防止するため、温度コントロールシステムを取り付
ける構成。 7.非可視光エネルギー線の照射時にはモニターのため
の可視光を発生させ、走査範囲および速度を確認できる
装置を取り付ける構成。 8.エネルギー線照射時におけるビームの形状やビーム
内の強度分布変更のための光学系機構を取り付ける構
成。 9.エネルギー線照射装置の発熱、昇温を防止するた
め、空冷、水冷等の装置を取り付ける構成。 10.コーティング剤塗布装置を取り付け、もしくは塗
布部を併設し、またはコーティング剤塗布装置と連結
し、コーティング剤を塗布しながらエネルギー線を照射
する構成。
【0018】(1)レーザ 上記エネルギー線照射装置のエネルギー線源として用い
るレーザとしては、特に制限はなく、従来公知のレーザ
を使用することができる。レーザは、その発振媒体、発
振の仕方、発振波長により分類することができる。レー
ザ発振は約70個の元素から確認され、レーザの発振媒
体を大別すると、固体、気体、液体に分けられる。固体
では、代表的なものとしてNd:YAG(イットリウム
・アルミニウム・ガーネット;Y3Al512)、半導体
があり、その他、ルビー、Nd:ガラス、Nd:YL
F、Nd:BEL、Nd:YVO4、LNP、Ti:サ
ファイヤ、アレキサンドライト、Co−MgF2、Cr
−GSGG、エメラルド、プロフスカイト、Er−YL
F、Er−ガラス、カラーセンター等が挙げられる。気
体では、代表的なものとしてHe−Ne、ArFエキシ
マ、CO2、Arイオンがあり、その他、エキシマレー
ザ(KrF、XeF、ArCl、KrCl、XeC
l)、F2、He−Cd、Cu、Au、Sr、イオンレ
ーザ(Kr、Ne、Xe)、多価イオンX線、CO、N
2、ハロゲン化水素化学レーザ、O2−I等が挙げられ
る。液体ではDyeがある。
【0019】またレーザは、発振の仕方により連続発振
(CW)とパルス発振とに分けられる。CWでは、He
−Ne、Nd:YAG、CO2、窒素、半導体、Arイ
オン、Ti:サファイヤ、アレキサンドライト、エメラ
ルド、GSGG、GGG、USGG、カラーセンター、
He−Cd等が挙げられる。パルス発振では、Nd、ル
ビー、アレキサンドライト、エキシマ、CO2、窒素、
Ti:サファイヤ等が挙げられる。
【0020】さらにレーザは、発振波長帯域により赤
外、可視、紫外、X線に分けられる。赤外では、Nd:
YAG、半導体、Nd:ガラス、Nd:YLF、Nd:
BEL、Nd:YVO4、LNP、Ti:サファイヤ、
アレキサンドライト、Co−MgF2、Cr−GSG
G、エメラルド、プロフスカイト、Er−YLF、Er
−ガラス、カラーセンター等が挙げられる。可視では、
ルビー、He−Ne、CO 2、Arイオン、He−C
d、Cu、Au、Sr、Krイオン、Neイオン、Xe
イオン、CO、ハロゲン化水素、O2−I、Dye等が
挙げられる。紫外では、ArFエキシマ、KrFエキシ
マ、XeFエキシマ、ArClエキシマ、KrClエキ
シマ、XeClエキシマ、N2、Au等が挙げられる。
X線では、多価イオンX線がある。
【0021】通常のレーザは、波長固定か、波長可変で
も特定の波長の光がいくつか出せるだけであるが、ある
範囲では連続的に波長を変化できる連続波長可変レーザ
もある。該連続波長可変レーザとしては、Dye、半導
体、アレキサンドライト、Co−MgF2、Cr−GS
GG、エメラルド、プロフスカイト、OPO、自由電子
レーザ等が挙げられる。Dyeの特徴は、蛍光性有機色
素を適当に選ぶことにより、可視から近赤外域まで連続
的に発振を得られることである。半導体の特徴は、Ga
As、InP等の半導体結晶を混ぜ合わせることで三晶
体、四晶体を作り、その結晶の温度を変化させること
で、連続的な発振を得られることである。アレキサンド
ライト、Co−MgF2、Cr−GSGG、エメラル
ド、プロフスカイトなどの特徴は、結晶の温度上昇によ
り、長波長側(いずれも赤外域)にシフトすることであ
る。OPOの特徴は、非線形光学結晶を多数用いた複雑
な光学系を駆使して、光パラメトリック効果で波長を変
化させることである。自由電子レーザの特徴は、相対論
的速度をもつ電子ビームからの誘導放出を用いたレーザ
であり、変動する磁場またはマイクロ波等の高周波電磁
波と電子ビームとの相互作用によりレーザ光を発振、回
折格子などを用いた共振器で増幅し、その光を逆に光を
発生している自由電子に相互作用させ、誘導放出を増幅
する電子の加速エネルギーにより波長を赤外から紫外ま
で変化させることができることである。
【0022】このようなレーザによるエネルギー線は、
光学系を利用することにより、従来の水銀灯を用いる場
合と比較して容易に集光することも可能である。その結
果、単位面積あたりの出力を大幅に大きくすることが可
能で、光重合性樹脂の硬化速度を大幅に向上させること
が可能である。
【0023】ここで、エネルギー線は、硬化させる光重
合性樹脂に添加される光重合開始剤の種類とその添加量
により、適時組み合わせることが可能である。従って、
レーザを利用したエネルギー線についても、限定される
ものではないが、エネルギー線の波長が短くなれば、照
射エネルギーも大きくすることが可能となるが、発生装
置も大型化することになり、実用上、レーザを利用する
メリットが大きくなるので特に好ましくは紫外線であ
る。
【0024】以下、レーザにより紫外線を発生する具体
例を挙げる。紫外線を照射可能とするレーザについては
以下の説明に限定されるものではなく、実質上レーザ発
光方式を用いて紫外線が照射可能な装置またはシステム
なら、いずれによっても、本発明の硬化塗膜を形成する
ことが可能である。
【0025】紫外線を発生するレーザを使用する場合 エキシマタイプのレーザ(ArFエキシマ、KrFエキ
シマ、XeFエキシマ、ArClエキシマ、KrClエ
キシマ、XeClエキシマ)、N2レーザ、Auレーザ
などを用いることができる。
【0026】レーザと波長変換素子を使用する場合 紫外線より長波長のレーザ光をレーザ波長変換素子(紫
外変換光学結晶または非線形光学結晶)を用いて二倍
波、三倍波、四倍波等に変換して紫外線レーザ光とす
る。例えば、紫外変換光学結晶としてボレート系結晶を
用いることができる。ここで、ボレート系結晶とは、酸
素とホウ素との結合による基本構造(ボレートリング)
とその中にアルカリ金属やアルカリ土類金属を含んだ材
料のことであり、B 37、BO3リングを基本構造にも
つボレート系結晶が好ましい。具体的には、Nd YA
Gレーザ(波長1060nm)をCLBO(CsLiB
610)の波長変換結晶を利用してその四倍波である波
長266nm(五倍波であれば波長212nm)の紫外
線レーザとして使用する。また、He−Cdレーザ(波
長442nm)およびAr+レーザ(波長488nm)
をそれらの二倍波である波長221nmおよび波長24
4nmの紫外線レーザとして使用するようにしてもよ
い。
【0027】上記エキシマタイプのレーザとしては、い
ずれもラムダ社製のEMG203LMSC(XeCl:
308nm,400mJ,70W/30Hz)、LEX
TRA(XeCl:308nm,600mJ,75W
/150Hz)、EMG150MSC(ArF:193
nm,150mJ,12W/80Hz)を挙げることが
できる。上記Nd YAGレーザとしては、カンテル
(コンテニュアム)社製のYAG682(1064n
m,1.4J/10Hz)を挙げることができる。
【0028】ここで、紫外線の波長範囲は200nm〜
400nmであり、通常、光重合性樹脂の硬化に使用す
る紫外線の波長は360nm〜370nmであるが、硬
化効率をよくするためや、紫外線照射時における、被照
射基材の加熱昇温防止、作業者のヤケド防止等の観点か
ら、長波長より短波長がより好ましい。特に290nm
未満の波長の紫外線はUVCと呼ばれ、長波長側のUV
B、UVA等と比較して、照射時の強度が強く、光重合
性樹脂の硬化挙動を促進させることが可能であり、照射
効率向上のためにきわめて有効である。このように照射
紫外線の波長は、主として290nm未満が好ましい
が、硬化塗膜の特性をコントロールするために、290
nmより長波長の紫外線を同時または290nm未満の
紫外線照射の前もしくは後または前後に、照射するよう
にしてもよい。
【0029】このようなレーザによる紫外線は、従来の
水銀灯による紫外線のように、その照射強度が被照射面
と水銀灯の距離により変化し、距離が大きくなると急激
に減衰するということがない。レーザ光の性質として、
実用上、照射距離による強度の減衰がないため、被照射
面から遠く離れた位置から照射可能である。また、レー
ザ紫外線は指向性がきわめて強く、水銀灯のように照射
光が散乱しないので、ハウジングの端部からの紫外光の
漏れも実用上無視でき、散乱による作業者の紫外線被爆
が少なく、ランプハウジングも簡素化が可能となる。
【0030】(2)LED 上記エネルギー線照射装置のエネルギー線源として用い
るLEDとしては、特に制限はなく、従来公知の装置を
使用することができる。LEDを使用した発生エネルギ
ー線は、水銀灯を使用した場合と比べ、エネルギー線の
発生効率がはるかに優れている。従って、一定の有効エ
ネルギー線量(塗膜の硬化に寄与するエネルギー線量)
を照射するために、LEDを使用したエネルギー線照射
装置は、水銀灯を使用した装置と比較して、大幅に小型
化が可能である。特に上述のような移動式のエネルギー
線照射装置において、LEDを用いる場合には、小型化
が可能になることにより、さらに容易に移動可能な照射
装置を作製することができる。また、均一に塗膜を硬化
するためには、エネルギー線照射時に照射可能な照射面
において、照射線量が均一であることが重要である。こ
のため、水銀灯では、各種の高価なミラー(反射板)を
使用することが行われるが、LEDでは、小さなLED
を多数設置するだけでよいので、エネルギー線照射線量
の均一なエネルギー線照射部を設計することが可能であ
る。このようなLEDを使用すれば、安価で、大幅に軽
量化されて容易に移動可能なエネルギー線照射装置を作
製することができる。さらに、上述のように水銀灯はエ
ネルギー線の発生効率がよくないので、エネルギー線照
射効率を上げるために塗膜面に近づけたランプが破損す
ることが起こるが、LEDでは、その構造上、破損しや
すいガラス部のまわりは容易に他の保護部材で保護可能
である。
【0031】本発明において使用可能な紫外線発光ダイ
オードの具体例としては、ナイトライド・セミコンダク
ター社製の評価サンプル(350nm、0.1mW)、
日亜化学工業社製の評価サンプル(370nm、1m
W)等が挙げられる。
【0032】(3)EB照射装置 電子線は、紫外線の数万から数百万倍と高エネルギーで
あるにもかかわらず、消費電力は十分の一以下で、紫外
線と比べて吸収性能に優れるなどの利点が知られ、紫外
線に比べて有用性が高い。上述のように紫外線は、特に
高波長側(370nm以上)で熱を発生するが、電子線
は熱を伴わず、物質の表面から紫外線よりも深く達す
る。このように電子線は、エネルギー量が大きく、熱の
発生量が低く、透過率も高いので、光硬化型コーティン
グ剤の塗膜の硬化に最適である。また、従来のEB照射
装置は大型で高価であったが、最近、低電圧でも電子線
を大量に取り出せ、従来に比べて大幅に小型化されたE
B照射装置が開発されているので、上述のレーザビーム
のように電子ビームを走査することができ、照射速度、
照射面積などもレーザビームと同様に制御するようにし
て、本発明のエネルギー線照射装置に用いることができ
る。本発明において使用可能なEB照射装置としては、
ウシオ電機社製の小型の電子線照射管などを用いること
ができる。
【0033】本発明に用いるエネルギー線照射装置のエ
ネルギー線源としては、上述のようなレーザ、LEDお
よびEB照射装置のうちの少なくとも1つが使用される
ので、いずれかを単独で使用してもよく、いずれか2つ
を組み合わせてもよく、3つすべてを使用するものであ
ってもよい。また、必要により従来の各種の水銀灯との
併用も可能である。
【0034】〔2〕光重合性樹脂および光重合開始剤を
含む光硬化型コーティング剤を使用すること (1)光重合性樹脂 本発明に使用する光重合性樹脂としては、特に制限はな
く、従来公知の様々な光重合性樹脂が挙げられる。この
ような光重合性樹脂としては、290nm未満の紫外線
を照射して硬化可能なものが好ましく、たとえば、ウレ
タン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシアクリレート樹脂などを主成分とするもの
などが例示できる。上記中でも、耐汚染性、光沢保持特
性の点から、特には、ウレタン(メタ)アクリレート樹
脂を主成分とする光重合性樹脂が好ましい。
【0035】具体的なウレタン(メタ)アクリレート樹
脂としては、例えばエチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、およびネオペンチ
ルグリコール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロ
ラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコール等
のポリオール成分にアジピン酸等のカルボン酸をエステ
ル化させてポリエステルポリオールとしたものと、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネー
ト)等の有機ポリイソシアネート類と2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートのε−カプロラクトン付加物、ペンタエス
リトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基含有エチ
レン性不飽和化合物類を反応させたポリエステルウレタ
ン(メタ)アクリレートや、前記ジオール成分に前記イ
ソシアネートを反応させポリエーテルイソシアネートと
し、これに前記のような水酸基含有エチレン性不飽和化
合物類を反応させたポリエーテルウレタン(メタ)アク
リレートを挙げることができる。
【0036】具体的なエポキシアクリレート樹脂として
は、フェノールノボラックエポキシ樹脂のアクリレー
ト、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂のアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
のアクリレート、ペンタエリスリトールテトラグリシジ
ルエーテルのテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサグリシジルエーテルのヘキサアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルのトリ
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジ
ルエーテルのペンタアクリレート、ソルビトールテトラ
グリシジルエーテルのテトラアクリレート、フェノール
ノボラックエポキシ樹脂とアジピン酸とアクリル酸との
反応物、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂とテレ
フタル酸とアクリル酸との反応物、トリメチロールプロ
パントリグリシジルエーテルトリメリット酸とアクリル
酸との反応物、ペンタエリスリトールテトラグリシジル
エーテルとハイドロキノンとアクリル酸との反応物、ジ
ペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルとp−
ノニルフェノールとアクリル酸との反応物が挙げられ
る。
【0037】(2)光重合開始剤 光重合開始剤は、光重合性樹脂の硬化を開始させるため
に添加され、光を吸収してラジカルまたはカチオンを生
じる物質であれば特に限定されないが、照射するエネル
ギー線の波長に応じて選択される。光重合開始剤は、照
射されるエネルギー線の波長帯域にエネルギー吸収帯域
を有することが必須であるので、290nm未満の紫外
線を照射する場合には、290nm未満の波長の紫外線
を強く吸収するものが好ましい。これら最適な光重合開
始剤は、当該技術分野において通常用いられているもの
から適宜選択される。
【0038】光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイ
ル系(例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホ
リノフェニル)−ブタン−1−オン、1−[4−(2−
ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソ
プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
パン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロピオフェノンなど)、ホスフィンオキ
サイド系(例えば、ビスアシルホスフィンオキサイド、
アシルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチル
ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−
ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、
ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチルペンチルホスフィンオキサイドなど)、ベンゾイ
ン系(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン
エチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベ
ンゾインイソブチルエーテル、n−ブチルベンゾインエ
ーテルなど)、アセトフェノン系(例えば、p−ter
t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−
ブチルジクロロアセトフェノン、アセトフェノン、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、塩素化アセトフェノ
ン、ヒドロキシアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4
−フェノキシアセトフェノンなど)、ベンゾフェノン系
(例えば、ベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾ
フェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフ
ェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェ
ノン、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルパ
ーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ジメ
チル−4−メトキシベンゾフェノンなど)、チオキサン
トン類(例えば、2−クロロチオキサントン、2−メチ
ルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、
2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど)、アント
ラキノン類(例えば、アントラキノン、2−エチルアン
トラキノン、α−クロロアントラキノン、2−tert
−ブチルアントラキノンなど)、ベンジル系(例えば、
ベンジル、4,4'−ジメトキシベンジル、4,4'−ジ
クロロベンジルなど)、安息香酸エステル系(例えば、
o−ベンゾイル安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安
息香酸メチルなど)、ジケトン系(例えば、ビアセチ
ル、フェニルグリオキシル酸メチル、メチルベンゾイル
ホルメートなど)、ケタール系(例えば、ベンジルジメ
チルケタール、アセトフェノンジエチルケタールな
ど)、ジベンゾシクロアルカノン系(例えば、10−ブ
チル−2−クロロアクリドン、ジベンゾスベロンな
ど)、アシロキシムエステル、カンファーキノン、3−
ケトクマリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、
α,α'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)
−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2'−ビイ
ミダゾール、アセナフセン、ベンザルアセトンなどが挙
げられる。上記中でも、反応開始のための量子化効率、
硬化反応速度、経時安定性の観点からは、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトンおよび/または2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ
ンを使用するのが好ましい。
【0039】本発明において光重合開始剤を使用する場
合、たとえば、ルシリンTPO(BASF社製)、ES
ACURE KIP150(Lamberti社製)、
ESACURE TZT(Lamberti社製)、イ
ルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア
2959、イルガキュア369、イルガキュア819、
ダロキュア1173(以上、チバ・スペシャリティ・ケ
ミカルズ株式会社製)などの市販のものを使用してもよ
い。
【0040】(3)光安定剤 樹脂の光劣化は太陽光中の紫外線、すなわち290nm
〜400nmの波長の紫外線により惹起される。この領
域の光を吸収する樹脂は光酸化劣化を受けるが、本来太
陽光を吸収する官能基をもたない樹脂であっても、樹脂
中に存在する光劣化を誘発促進する物質(光劣化開始
種)により自動酸化反応が始まり、カルボニル基の生
成、架橋や分子の切断が起こり、硬化塗膜の光沢の低
下、ひび割れ、色調の変化などの劣化現象を起こす。本
発明においては、この光開始自動酸化反応の連鎖を止め
るために、紫外線の遮断・吸収作用、励起化合物の
消光作用、ラジカルの捕捉作用、ハイドロパーオキ
サイドの非ラジカル的分解作用および微量金属の捕捉
作用、の少なくともいずれかの作用を有する光安定剤
を、紫外線硬化型コーティング剤に配合する。このよう
な光安定剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン
系光安定剤(HALS:Hindered Amine Light stabili
zer)、クエンチャー(ニッケル、キレート類)、3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが
挙げられる。特に、紫外線照射により硬化する光硬化型
水系コーティング剤を用いる場合には、該コーティング
剤が太陽光に含まれる紫外線領域の波長(290nm〜
400nm)により硬化するため、塗布後、まだ乾燥し
ていない塗膜に太陽光を暴露すると、塗膜は未乾のまま
で硬化して白化し、その他品質上の問題を生じる。その
ため、該コーティング剤は貯蔵、塗布、乾燥までは太陽
光に暴露しないようにしなければならず、屋外での施行
は夜間以外はきわめて困難であり、屋内でも太陽光の遮
断、紫外線を発生させる各種の灯体(例えば殺菌灯)等
の遮断が必要となり、施工が複雑できわめて難しい。こ
れらの問題が上記紫外線吸収剤を添加することにより解
消される。
【0041】本発明においては、上記光安定剤を単体ま
たは複数で光重合性樹脂に配合することができ、特に、
290nm以上に紫外線吸収スペクトルをもつ紫外線吸
収剤およびHALSのうち少なくともいずれかを紫外線
硬化型コーティング剤に配合することが好ましい。これ
らの配合によって、コーティング剤の塗工時の耐紫外線
性および/または得られた硬化塗膜の耐候性を向上し
得、屋外にて適用しても良好な品質を有する硬化塗膜を
形成し得る方法を実現し得る。中でも、耐候性と耐紫外
線性が相乗的に向上され、きわめて優れた品質の硬化塗
膜を形成し得る点から、本発明にて使用する光安定剤
が、290nm以上に紫外線吸収スペクトルをもつ紫外
線吸収剤とHALSとの混合物であるのが特に好まし
い。
【0042】(3−1)紫外線吸収剤 本発明において光安定剤として紫外線吸収剤を使用する
場合、特に制限はないが、好ましくは290nm以上に
紫外線吸収スペクトルをもつ紫外線吸収剤、換言すれ
ば、太陽光スペクトラム紫外線帯域の短波長下限値以上
に紫外線吸収スペクトルをもつ紫外線吸収剤を用いる。
このような紫外線吸収スペクトルをもつ紫外線吸収剤を
配合してなる紫外線硬化型コーティング剤は、290n
m以上の波長の紫外線を吸収し、生じた励起一重項状態
がエネルギー変換して、無害な熱エネルギー、リン光、
蛍光を放射し、コーティング剤中の不純物の光励起、光
化学反応が抑制され、劣化が防止される。このように本
発明に使用する紫外線硬化型コーティング剤は、紫外線
吸収剤を含有することにより、塗膜に有害な紫外線を吸
収し、表面光沢の低下、クラックの発生などを防止し、
塗膜の未乾燥時の紫外線に対する耐性が改良される。特
に水系の紫外線硬化型コーティング剤においては塗膜の
白化故障が大幅に改良でき、日中屋外での照射作業がき
わめて容易となる。
【0043】本発明における紫外線吸収剤としては、特
に制限はなく、従来公知の種々の紫外線吸収剤を使用す
ればよいが、290nm以上に紫外線吸収スペクトルを
もつものが好ましい。このような紫外線吸収剤として
は、たとえば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ト
リアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤、サリシレート系紫外線吸収剤、蓚酸アニリド系紫外
線吸収剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、中で
も、紫外線の吸収領域が太陽光の紫外線領域とほぼ一致
することから、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を
使用するのが好ましい。
【0044】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロ
キシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)
フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル
−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’
−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール]などが例示される。
【0045】トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体
的には、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシル
オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]
−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,
3,5−トリアジン、などが例示される。
【0046】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、
具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン
酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフ
ェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−
メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ
−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,
4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデ
シルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ
エトキシ)ベンゾフェノンなどが例示される。
【0047】サリシレート系紫外線吸収剤としては、具
体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェ
ニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルベンゾ
エート、4−t−オクチルフェニルサリシレートなどが
例示される。
【0048】本発明においてベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤を使用する場合、たとえば、チヌビン328
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、チ
ヌビン384−2(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ
株式会社製)、チヌビン900(チバ・スペシャリティ
・ケミカルズ株式会社製)、チヌビン928(チバ・ス
ペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、チヌビン11
30(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
製)、Sanduvor PT21 Disp.(クラ
リアントジャパン(株)製)、SEESORB704
(シプロ化成(株)製)、Sumisorb130(住
友化学工業(株)製)などの市販のものを使用してもよ
い。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を使用する場合、た
とえば、MARK1413(アデカ・アーガス化学
(株)製)、SEESORB102(シプロ化成(株)
製)、SEESORB103(シプロ化成(株)製)、
Sanduvor3041 Disp.(クラリアント
ジャパン(株)製)などの市販のものを使用してもよ
い。蓚酸アニリド系紫外線吸収剤を使用する場合、たと
えば、Sanduvor VSU pdr.(クラリア
ントジャパン(株)製)、Sanduvor3206
(クラリアントジャパン(株)製)などの市販のものを
使用してもよい。
【0049】紫外線吸収剤を使用する場合、その種類お
よび添加量は、光重合性樹脂の種類、量、光重合開始剤
の種類および添加量、さらには所望するコーティング剤
の塗布厚などに応じて、適宜選択すればよく、特に制限
はない。紫外線吸収による効果的な白化防止、耐候性の
向上、基材の変色防止の観点からは、上記紫外線吸収剤
の添加量(複数種使用する場合には、その総量)は、コ
ーティング剤中、固形分として0.01重量%〜5重量
%であるのが好ましく、0.05重量%〜4.5重量%
であるのがより好ましい。紫外線吸収剤がコーティング
剤中、固形分として0.01重量%未満であると、紫外
線の吸収効果が少なく基材の変色を防止できず、白化し
やすくなる)、特に水系コーティング剤では太陽光紫外
線による塗料の白化防止効果が少ないという傾向にある
ためであり、またコーティング剤中、固形分として5重
量%を超えると、塗膜の光沢の低下、耐汚染性の低下、
塗膜の硬化性の低下、塗膜の耐磨耗性の低下などがみら
れる傾向にあるためである。
【0050】(3−2)ヒンダードアミン系光安定剤
(HALS) 本発明において光安定剤としてHALSを添加する場
合、従来公知の種々のHALSを特に制限なく使用する
ことができる。具体的には、フェニル−4−ピペリジニ
ルカーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメ
タクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジルメタクリレートなどが例示される。HALS
は、1種類単独で使用してもよく、2種以上を混合して
使用してもよい。HALSは、それ自体紫外線を吸収し
ないが、これが添加された紫外線硬化型コーティング剤
において、自動酸化反応に関わる有害なラジカルを触媒
的に捕捉することにより、結果的に得られた硬化塗膜の
耐候性を向上させる。
【0051】本発明においてHALSを使用する場合、
たとえば、チヌビン111FD(チバ・スペシャリティ
・ケミカルズ株式会社製)、チヌビン123(チバ・ス
ペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、チヌビン14
4(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、
チヌビン292(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株
式会社製)などの市販のものを使用してもよい。
【0052】HALSを使用する場合、その種類および
添加量も、光重合性樹脂の種類、量、光重合開始剤の種
類および添加量、さらには所望するコーティング剤の塗
布厚などに応じて、適宜選択すればよく、特に制限はな
い。得られた硬化塗膜に耐候性を効果的に付与し得、基
材の変色を防止し、かつ良好な塗布性を得る観点から
は、上記HALSの添加量(複数種使用する場合には、
その総量)は、コーティング剤中、固形分として0.0
1重量%〜5重量%であるのが好ましく、0.05重量
%〜4.5重量%であるのがより好ましい。HALSが
コーティング剤中、固形分として0.01重量%未満で
あると、耐候性の改良効果が少ない、基材が変色する、
クラックが発生するなどの傾向にあるためであり、また
コーティング剤中、固形分として5重量%を超えると、
塗布性に劣る(発泡、スクラッチの発生)、耐磨耗性が
低下する、また硬化塗膜の光沢が低下する傾向にあるた
めである。
【0053】上述のような光安定剤を添加した光重合性
樹脂は、光安定剤が未添加の硬化樹脂に比べて、耐候性
を大幅に改良できる。上述したように本発明に使用する
光安定剤は、上記290nm以上に紫外線吸収スペクト
ルを有する紫外線吸収剤と、HALSとの混合物である
のが好ましい。紫外線吸収剤とHALSとでは安定化機
構が異なるため、併用によって耐候性が相乗的に付与さ
れる。従って、耐候性については、上記紫外線吸収剤と
光安定剤とを同時に、各々単独または複数種類添加し
て、上述のエネルギー線照射装置を利用して硬化塗膜を
形成することによって、さらに改良することができる。
このように光安定剤が紫外線吸収剤とHALSとの混合
物である場合、その添加量としては、混合物の総量がコ
ーティング剤中固形分で0.02重量%〜10重量%で
あって、そのうち紫外線吸収剤とHALSとの混合比
(重量比)が1.0:0.25〜1.0:1.5である
のが好ましい。
【0054】本発明において、上述したような290n
m未満の紫外線で硬化する光重合性樹脂と、290nm
未満の紫外線に反応する光重合開始剤とを含有する、光
硬化型コーティング剤を用いる場合には、その波長が2
90nm未満の紫外線を照射して硬化させる。これによ
って、従来の290nm以上の紫外線を照射して硬化さ
せる場合とは異なり、照射エネルギーが熱になりにくい
ため該エネルギーを効率的に塗膜の硬化に利用し得るた
め、塗膜の硬化速度を向上させることができ、かつ被照
射基材の加熱昇温や作業中の作業者の火傷を抑制するこ
とができる。中でも、さらなる塗膜の硬化速度の向上の
観点からは、290nm未満の波長の紫外線を使用する
のが好ましく、これより、より短波長の紫外線を使用す
るのがより好ましい。また、本発明の硬化塗膜の形成方
法において、上述のように光硬化型コーティング剤に光
安定剤が配合されている場合には、290nm未満の紫
外線を塗膜の硬化に使用しても光硬化型コーティング剤
中の光重合性樹脂が不所望に劣化してしまうことが防止
され、上記波長の紫外線を使用した硬化塗膜の形成が可
能となる。
【0055】本発明の硬化塗膜の形成方法の手順として
は、例えば、次のとおりである。まず上述の光硬化型コ
ーティング剤を基材に塗布する。必要に応じて、基材に
光硬化型コーティング剤を塗布する前に、プライマー
(アンダーコート剤)を基材に塗布してもよい。プライ
マーとしては、特に制限はなく、従来公知のものを適宜
使用することができる。アンダーコート剤には必要に応
じて光安定剤や紫外線吸収剤を添加して使用してもよ
い。コーティング剤の塗布方法としては、公知の方法に
従って行えば良く、例えば、エアスプレー、エアレスス
プレー、刷毛、ローラー、ムートン、モップ等により塗
布すればよい。コーティング剤を乾燥させた後、上述の
エネルギー線照射装置を用いてエネルギー線を照射し、
塗膜を硬化させて、硬化塗膜を形成する。乾燥は、自然
乾燥によってもまた適宜の乾燥用の器具を使用してもよ
い。なお塗膜は、基材上に複数層形成してもよい(例え
ば、塗膜を乾燥した上から、コーティング剤を塗布し、
乾燥後、エネルギー線を照射して、複数層の塗膜を硬化
させる。)。
【0056】本発明の硬化塗膜の形成方法における基材
としては、壁、階段、床、家具などの屋内にあるものは
勿論のこと、従来適用が困難であった、屋外壁、屋根、
自動車など屋外もしくは屋外で使用される構造体であっ
てもよい。
【0057】
【実施例】以下に本発明における実施例を説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0058】実施例1〜86、比較例1〜14 下記の中から選ばれる光重合性樹脂および光重合開始剤
と、必要に応じて光安定剤および希釈剤を組み合わせて
配合し、攪拌機で混合し、均一にして光硬化型コーティ
ング剤を調製した。各光硬化型コーティング剤を硬化後
の膜厚が20μmとなるように、日中、屋外にてポリエ
ステル化粧版上に塗布し、常温(25℃)で、30分間
塗膜を乾燥させた後、下記中から選ばれるエネルギー線
照射装置を用いてエネルギー線を照射し、硬化塗膜を得
た。 〔光重合製樹脂〕 <ウレタンアクリレート樹脂> A:EM−92(荒川化学工業株式会社製) B:ユニディック17−806(大日本インキ化学工業
株式会社製) C:U−15HA(新中村化学工業株式会社製) D:ウィナップトップコートT((株)玄技術研究所
製、ウレタンアクリレート樹脂分:80%) E:ウィナップトップコートS((株)玄技術研究所
製、ウレタンアクリレート樹脂分:100%) <不飽和ポリエステル樹脂> F:PAR−500(日本化薬株式会社製) <エポキシアクリレート樹脂> G:EB−3404(ダイセル・ユーシービー株式会社
製) 〔光重合開始剤〕 A:ルシリンTPO(BASF社製) B:ダロキュア1173(チバ・スぺシャリティ・ケミ
カルズ株式会社製) 〔光安定剤〕 <紫外線吸収剤> A:チヌビン928(チバ・スペシャリティ・ケミカル
ズ株式会社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤) B:チヌビン400(チバ・スペシャリティ・ケミカル
ズ株式会社製、トリアジン系紫外線吸収剤) <HALS> C:チヌビン111FD(チバ・スペシャリティ・ケミ
カルズ株式会社製) D:チヌビン123(チバ・スペシャリティ・ケミカル
ズ株式会社製) 〔希釈剤〕 A:酢酸エチル B:水 〔エネルギー線照射装置〕 A:高圧水銀灯より発生する紫外線を利用したエネルギ
ー線照射装置(アイグラフィックス(株)製、L100
相当) B:低圧水銀灯より発生する紫外線を利用したエネルギ
ー線照射装置(アイグラフィックス(株)製、W100
相当) C:ネオジュームヤグ(NdYAG)レーザより発生す
るエネルギー線(1064nm)を利用した照射装置。 D:GaAlAs半導体レーザより発生するエネルギー
線(830nm)を利用したエネルギー線照射装置 E:アルゴンレーザより発生するエネルギー線(488
nm)を利用したエネルギー線照射装置 F:エキシマレーザより発生するエネルギー線(193
nm)を利用したエネルギー線照射装置 G:NdYAGレーザに波長変換素子(ボレート系結
晶)を利用し、それにより変換されたエネルギー線(2
66nm)を利用したエネルギー線照射装置 H:LEDにより発生するエネルギー線(382nm)
を利用したエネルギー線照射装置(LEDの発光部を
0.5mm厚の円筒型チューブを用いて、発光部先端よ
り1mmだけ長くしてLED発光部を保護する構造とし
た。) I:スキャニング機能を付けたエネルギー線照射装置 J:電子線を利用したエネルギー線照射装置 A,B:これら光重合性樹脂の硬化に必要な樹脂表面に
おける照射量である50〜60mJ/cm2になるよう
に照射した。なお、照射量については、岩崎電気(株)
製のUVP254を用いて測定を行った。C〜G,(C
〜G)+Iは、レーザの波長に応じて実効照射量が変化
するため、各々、A,Bと同程度の樹脂表面での照射量
とした。 C,C+I:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜
60mJ/cm2 D,D+I:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜
60mJ/cm2 E,E+I:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜
60mJ/cm2 F,F+I:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜
60mJ/cm2 G,G+I:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜
60mJ/cm2 H:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜60mJ
/cm2 J:光重合性樹脂表面での実質照射量が50〜60mJ
/cm2 以下、各組み合わせおよび配合量を表に示す。なお表
中、光重合性樹脂、光重合開始剤、光安定剤、希釈剤の
配合の単位は、「重合部」である。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】〔評価試験〕(1)表面性(塗膜故障)(照射直後および1ヶ月後) ヘイドン(表面性試験機器:新東科学(株)製)を使用
して、実施例1〜86および比較例1〜14で得られた
各硬化塗膜について、照射直後および1ヶ月後において
発生するクラックやはがれ等の塗膜故障を判定し、表面
性の評価を行った。 ◎:全く発生しない ○:きわめて希に(0.1%程度)クラック、はがれ等
が発生 △:希に(1%程度)クラック、はがれ等が発生 ×:ときどき(5%程度)クラック、はがれ等が発生
【0071】(2)照射容易性 実施例1〜86および比較例1〜14について、以下の
基準で照射容易性の評価を行った。 ◎:垂直壁面への照射が可能で照射装置の照射部破損頻
度が◎ ○:垂直壁面への照射は困難だが照射装置の照射部破損
頻度が○ ×:垂直壁面への照射はきわめて難しく照射装置の照射
部破損頻度が×
【0072】(3)照射部破損頻度 実施例1〜86および比較例1〜14について、照射時
間、10000hrあたりに各エネルギー線照射装置の
照射部が破損する頻度を調べ、照射部破損頻度として評
価を行った。 ◎:全く破損しない ○:きわめて希に(0.1%程度)破損 △:希に(1%程度)破損 ×:ときどき(5%程度)破損
【0073】(4)耐候性 DPWL−5(スガ試験機(株)製)を使用して、実施
例29〜80および比較例11〜14で得られた各硬化
塗膜の光沢の変化を測定し、耐候性の評価を行った。初
期光沢より20低下するまでの時間〔時間〕を測定し
た。
【0074】(5)耐紫外線性(太陽光による白化) 実施例1〜86および比較例1〜14の各コーティング
剤を基材に塗布後、太陽光により白化しなくなるまでに
要した太陽紫外線に曝露しない環境下での乾燥時間を測
定し、下記のように耐紫外線性の評価を行った。 ◎:0分 ○:5分以下 △:5分を超えて10分以下 ×:10分以上
【0075】(6)耐汚染性 実施例29〜80および比較例11〜14で得られた硬
化塗膜にPILOTINK(RED)を滴下後、3時間
放置して、59%メタノールで拭き取って、残ったイン
クを目視にて観察して、下記のように評価した。 ◎:全く残らない ○:少し残る ×:大部分残る
【0076】以下、評価試験の結果を、表に示す。
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
【表14】
【0080】
【表15】
【0081】以上の評価試験の結果から、エネルギー線
源として特にレーザを利用してエネルギー線を照射する
ことにより、硬化塗膜の部分的な欠陥をなくすとともに
塗膜硬化作業効率を向上することができた。また、LE
Dは照射部の破損が極めて少なく、安全に作業すること
ができた。
【0082】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、均一に塗膜を硬化しながら、単位時間あたりに
硬化可能な塗膜面積を大きくすることができる硬化塗膜
の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる移動式のエネルギー線照射装置
の好ましい一例を簡略化して示す側面図である。
【図2】図1に示す移動式のエネルギー線照射装置の正
面図である。
【符号の説明】
1 電源部 2 レーザヘッド 3 エネルギー線照射部(レーザスキャナ) 4 車輪 5 ハンドル 6 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山村 信雄 愛知県津島市神守町字中ノ折73番地 株式 会社玄技術研究所内 Fターム(参考) 4D075 BB46Z BB47Z BB48Z BB94Z BB95Z DA06 DB22 DC02 DC03 EA06 EA21 EB22 EB33 EB38 EC37 EC47 EC49 EC54 4J038 DB211 DD181 DG191 JB02 JB35 KA12 MA08 MA10 PA17

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光重合性樹脂および光重合開始剤を含む
    光硬化型コーティング剤を基材に塗布後、エネルギー線
    照射部と電源部とを有し、少なくともエネルギー線照射
    部が照射方向を変更し得るように移動可能であって、エ
    ネルギー線源がレーザ、発光ダイオードおよび電子線照
    射装置のうちの少なくとも1つであるエネルギー線照射
    装置を用いてエネルギー線を照射し、塗膜を硬化させる
    ことを特徴とする、硬化塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 エネルギー線照射部が複数のエネルギー
    線発生器を備えて、エネルギー線を照射することを特徴
    とする、請求項1記載の硬化塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 エネルギー線照射部がエネルギー線を走
    査して照射し、エネルギー線の照射速度および/または
    照射面積を制御して照射することを特徴とする、請求項
    1または2記載の硬化塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 1スキャン中の照射速度を制御して照射
    することを特徴とする、請求項3記載の硬化塗膜の形成
    方法。
  5. 【請求項5】 エネルギー線として紫外線を照射するこ
    とを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化
    塗膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 エネルギー線源として低圧水銀灯および
    高圧水銀灯のうち、少なくとも低圧水銀灯を併用して紫
    外線を照射することを特徴とする、請求項5記載の硬化
    塗膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 エネルギー線照射部と電源部とが連結一
    体化され、移動可能なエネルギー線照射装置を用いてエ
    ネルギー線を照射して塗膜を硬化させることを特徴とす
    る、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化塗膜の形成方
    法。
  8. 【請求項8】 外部から、装置の移動方向、エネルギー
    線照射量、エネルギー線照射方向、エネルギー線照射速
    度およびエネルギー線照射面積のうちの少なくとも1つ
    が、遠隔制御可能なエネルギー線照射装置を用いてエネ
    ルギー線を照射して塗膜を硬化させることを特徴とす
    る、請求項7記載の硬化塗膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 光重合性樹脂が、ウレタン(メタ)アク
    リレート樹脂を含有するものである、請求項1〜8のい
    ずれかに記載の硬化塗膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 光重合性樹脂が、水系ウレタン(メ
    タ)アクリレート樹脂を含有するものである、請求項1
    〜8のいずれかに記載の硬化塗膜の形成方法。
  11. 【請求項11】 光硬化型コーティング剤が光安定剤を
    含有し、290nm未満の波長の紫外線を照射して塗膜
    を硬化させることを特徴とする、請求項1〜10のいず
    れかに記載の硬化塗膜の形成方法。
  12. 【請求項12】 光安定剤が、290nm以上に紫外線
    吸収スペクトルをもつ紫外線吸収剤および/またはヒン
    ダードアミン系安定剤である、請求項11記載の硬化塗
    膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール
    系化合物である、請求項12記載の硬化塗膜の形成方
    法。
  14. 【請求項14】 ベンゾトリアゾール系化合物の添加量
    が光硬化型コーティング剤中、固形分として0.01重
    量%以上5.0重量%以下である、請求項12記載の硬
    化塗膜の形成方法。
  15. 【請求項15】 ヒンダードアミン系安定剤の添加量が
    光硬化型コーティング剤中、固形分として0.01重量
    %以上5.0重量%以下である、請求項14記載の硬化
    塗膜の形成方法。
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