JP2003172166A - 内燃機関のアイドル回転速度制御装置 - Google Patents

内燃機関のアイドル回転速度制御装置

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JP2003172166A JP2001373281A JP2001373281A JP2003172166A JP 2003172166 A JP2003172166 A JP 2003172166A JP 2001373281 A JP2001373281 A JP 2001373281A JP 2001373281 A JP2001373281 A JP 2001373281A JP 2003172166 A JP2003172166 A JP 2003172166A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内燃機関の回転の吹上がりや落込みを抑制する
ことのできるアイドル回転速度制御装置を提供する。 【解決手段】エンジン電子制御ユニットは、吐出容量を
第1所定量にするための指令(デューティ比100%)
がコンプレッサの流量制御弁に出される(タイミングt
10,t30)と、実エンジン回転速度NEが同指令に
応じた目標回転速度NEonとなり、吐出容量を第1所定
量からそれよりも少ない第2所定量に切替えるための指
令(デューティ比0%)がコンプレッサに出される(タ
イミングt20,t40)と、所定のディレイ時間が経
過した後(タイミングt25,t45)、実エンジン回
転速度NEが切替え指令に応じた目標回転速度NEoff
となるようにスロットル用アクチュエータを制御する。
さらに、制御ユニットは冷媒循環回路における所定箇所
での冷媒圧力に応じて前記ディレイ時間を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変容量型コンプ
レッサを駆動する内燃機関のアイドル回転速度を制御す
る装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用空調装置(エアコン)の
冷媒循環回路では、ガス状の冷媒ガスがコンプレッサで
圧縮されて高温・高圧となった後、コンデンサで冷却さ
れ、液化する。液化された冷媒はレシーバで清浄化され
た後、エキスパンジョンバルブで急激に膨張させられ、
低温・低圧の霧状の冷媒となる。この霧状の冷媒はエバ
ポレータの周囲の空気から熱を奪って蒸発し、さらに加
熱されガス状の冷媒になってコンプレッサに吸入され
る。
【0003】前記コンプレッサの一形態として、流量制
御弁によって吐出容量(コンプレッサ容量)を変化させ
るようにした可変容量型コンプレッサが知られている。
流量制御弁としては、例えば感圧機構と電磁アクチュエ
ータとを備えたものがある。感圧機構は、冷媒循環回路
における所定箇所での冷媒の圧力変動に基づいて変形す
る感圧部材を備えている。電磁アクチュエータへの通電
は、エバポレータの目標温度と実温度との偏差に基づき
デューティ制御される。そして、流量制御弁では、感圧
部材の変形にともない弁体に作用する力と、電磁アクチ
ュエータへの通電にともない発生して前記弁体に作用す
る力とが釣合う位置へ弁体が変位する。この変位にとも
ない流量制御弁の弁開度が変化し、吐出容量が最適な値
に調整される。
【0004】例えば、車両に搭載されたエンジンのアイ
ドル時に、エバポレータの目標温度と実温度との偏差が
第1判定値を越えると、100%のデューティ比で通電
が行われて弁体が全閉となり、コンプレッサの吐出容量
が最大(100%)となる。また、偏差が第2判定値
(<第1判定値)を下回ると、電磁アクチュエータへの
通電が停止(デューティ比0%)されて弁体が全開とな
り、吐出容量が最小(0%)となる。
【0005】一方、エンジンでは、アイドル時に、その
エンジンにかかる負荷の状態に応じてエンジン回転速度
を制御することが一般的に行われる。このアイドル回転
速度制御では、実エンジン回転速度を目標回転速度に一
致させるための制御量が決定され、その制御量に基づき
スロットル用アクチュエータが駆動される。この駆動に
よりスロットル弁の開度が調整され、前記制御量に対応
する量の空気がエンジンに吸入される。そして、この空
気量に応じた量の燃料がエンジンに供給され、実エンジ
ン回転速度が目標回転速度に収束する。
【0006】ここで、前述したコンプレッサはエンジン
を駆動源としているため、アイドル時にコンプレッサが
駆動されると、その駆動力分(コンプレッサのトルク)
が負荷としてエンジンに加わり、アイドル回転速度が目
標回転速度よりも低下するおそれがある。そこで、吐出
容量を最大にするための指令が出されると、実エンジン
回転速度がこの指令に応じた目標回転速度(例えば68
0回転/分)となるように、スロットル用アクチュエー
タが制御される。スロットル弁が所定開度開弁され、吸
入空気量が増加する。それにともないエンジンへの燃料
供給量が増加し、前記コンプレッサのトルクによる実エ
ンジン回転速度の低下が抑制される。
【0007】また、吐出容量を最大から最小に切替える
ための指令が出されると、一定のディレイ時間が経過し
た後、スロットル用アクチュエータの駆動によりスロッ
トル弁が元の開度に戻され、実エンジン回転速度が切替
え指令に応じた目標回転速度(例えば575回転/分)
に収束する。このように一定のディレイ時間を設けたの
は、吐出容量を最大から最小に切替えるための指令が出
された場合、エンジンにかかるコンプレッサのトルクが
ゆっくりと低下するためである。このコンプレッサのト
ルクに見合うトルクをエンジンで発生させるために、切
替え指令が出された後も一定時間が経過するまでは、元
の開度に所定値を上乗せした開度でスロットル弁を開弁
させて吸入空気量を増量させている。
【0008】このように、アイドル時には、エンジンの
目標回転速度は、コンプレッサの吐出容量を最大にする
ための指令に応じた値か、同吐出容量を最小にするため
の指令に応じた値のいずれかに設定される。従って、車
両の振動と共振するエンジン回転速度が、たとえこれら
2つの目標回転速度の中間に存在しても、実エンジン回
転速度がその共振回転速度に収束されることがなく、不
要な振動の発生を回避できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コンプレッ
サの吐出容量を最大から最小に切替える指令が出されて
から、エンジンにかかるコンプレッサのトルクが十分小
さくなるまでの時間は、切替え指令が出されたときに流
量制御弁の弁体に作用している力によって異なる。この
力としては、前述したように、感圧部材の変形にともな
う力と電磁アクチュエータの電磁力とが挙げられる。具
体的には、感圧部材による力に関与する冷媒圧力につい
ては、前記時間は、冷媒圧力が高いときには長く、低い
ときには短くなる傾向にある。これは、アイドル時のよ
うなエンジン低回転域では、吐出容量が100%から0
%に変化する場合、コンプレッサから吐出される冷媒の
流量が限られる。このため、冷媒圧力が高いと弁体が全
開位置へ変位する時間が長くなるものと考えられる。
【0010】また、電磁アクチュエータの電磁力に関与
する通電の際の制御電流については、前記時間は、制御
電流が多いときには長く、少ないときには短い傾向にあ
る。これは、デューティ比を変化させているものでは、
電源電圧(バッテリ電圧)が高い場合、同じデューティ
比でも電流値が大きくなる。このため、冷媒の流量が多
め(コンプレッサ容量大)に制御され、デューティ比を
100%から0%に小さくする場合、弁体が全開位置へ
変位する時間が長くなるものと考えられる。
【0011】ところが、前述したように従来はディレイ
時間が一定値に設定されている。このため、冷媒圧力が
低い場合や制御電流が少ない場合に前記切替え指令が出
されると、エンジンにかかるコンプレッサのトルクが速
く減少する。このトルクが十分小さくなっているにもか
かわらず、元の開度に所定値を上乗せした開度でスロッ
トル弁が開弁されると、スロットル弁開弁にともなう燃
料増量により発生するトルクが、コンプレッサのトルク
を上回る。その結果、低下すべき実エンジン回転速度が
高くなる現象(回転の吹上がり)が起るおそれがある。
【0012】前記とは逆に、冷媒圧力が高い場合や制御
電流が多い場合に、前記切替え指令が出されると、エン
ジンにかかるコンプレッサのトルクがゆっくり減少す
る。このトルクが十分減少する前に、スロットル弁が元
の開度に戻されると、コンプレッサのトルクを、スロッ
トル弁開弁にともなう燃料増量により発生するトルクで
補いきれない。その結果、実エンジン回転速度が切替え
指令に応じた目標回転速度よりも低くなる現象(回転の
落込み)が起るおそれがある。
【0013】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、内燃機関の回転の吹上がり
や落込みを抑制することのできる内燃機関のアイドル回
転速度制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1又は3に記載の発明に係るアイドル回転速度制御装
置は、冷媒循環回路における所定箇所での冷媒の圧力変
動に応じて変形する感圧部材と電磁アクチュエータとを
備え、前記感圧部材の変形にともなう力と前記電磁アク
チュエータの電磁力とにより、流量制御弁の弁体を変位
させて吐出容量を変更するとともに、機関アイドル時に
は、前記冷媒循環回路におけるエバポレータの目標温度
と実温度との偏差に基づき前記電磁アクチュエータへの
電力供給を制御することにより、前記吐出容量を第1所
定量又はそれよりも少ない第2所定量に変化させるよう
にした可変容量型コンプレッサを駆動する内燃機関に用
いられる。そして、アイドル回転速度制御装置は、前記
可変容量型コンプレッサに対し、前記吐出容量を前記第
1所定量にするための指令が出されると機関回転速度が
同指令に応じた目標回転速度となり、前記吐出容量を前
記第1所定量から前記第2所定量に切替えるための指令
が出されると、所定のディレイ時間が経過した後、前記
機関回転速度が前記切替え指令に応じた目標回転速度と
なるように調整用アクチュエータを制御する制御手段を
備えている。
【0015】上記の構成によれば、可変容量型コンプレ
ッサの流量制御弁では、感圧部材が、冷媒循環回路にお
ける所定箇所での冷媒の圧力変動に応じて変形し、この
変形にともなう力が弁体に作用する。また、弁体には電
磁アクチュエータの電磁力も作用する。この電磁力は、
電磁アクチュエータに供給される電力に応じて変化す
る。そして、これらの感圧部材の変形にともなう力と電
磁力とが釣合う位置に弁体が変位し、コンプレッサの吐
出容量が変更される。特に、内燃機関のアイドル時に
は、コンプレッサでは、冷媒循環回路でのエバポレータ
の目標温度と実温度との偏差に基づき電磁アクチュエー
タへの電力供給が制御される。この制御により、流量制
御弁の弁体に作用する電磁アクチュエータの電磁力が変
化して弁体の位置が変わり、コンプレッサの吐出容量が
第1所定量(例えば最大)又はそれよりも少ない第2所
定量(例えば最小)に変化する。ここで、コンプレッサ
は内燃機関を駆動源としているため、コンプレッサの駆
動状況に応じたトルクが負荷として内燃機関に加わる。
このトルクは、コンプレッサの吐出容量に応じて異な
る。
【0016】一方、内燃機関では、アイドル回転速度制
御装置によって以下のような機関回転速度の制御が行わ
れる。可変容量型コンプレッサに対し、吐出容量を第1
所定量にするための指令が出されると、制御手段では、
機関回転速度が同指令に応じた目標回転速度となるよう
に調整用アクチュエータが制御される。また、吐出容量
を第1所定量から第2所定量に切替えるための切替え指
令が出されると、所定のディレイ時間が経過した後、機
関回転速度が切替え指令に応じた目標回転速度となるよ
うに調整用アクチュエータが制御される。すなわち、切
替え指令が出された後もディレイ時間が経過するまでは
調整用アクチュエータが駆動される。このように、アイ
ドル回転速度制御装置では、コンプレッサの吐出容量の
切替えに応じて目標回転速度が切替えられ、実回転速度
がその目標回転速度に収束するように調整用アクチュエ
ータが制御される。この制御により、機関回転速度が、
内燃機関にかかるコンプレッサのトルクから影響を受け
にくくなる。
【0017】ここで、吐出容量の切替え指令が出されて
から、内燃機関にかかるコンプレッサのトルクが十分小
さくなるまでの時間は、切替え指令が出されたときに流
量制御弁の弁体に作用している力によって異なる。この
力としては、感圧部材の変形にともなう力と電磁アクチ
ュエータの電磁力とが挙げられる。感圧部材による力に
は冷媒圧力が大きく関与しており、前記時間は、冷媒圧
力が高いときには長く、低いときには短くなる傾向にあ
る。また、電磁アクチュエータの電磁力には、その電磁
アクチュエータに供給される電力が大きく関与してお
り、前記時間は、電力が多いときには長く、少ないとき
には短くなる傾向にある。
【0018】これに対し、請求項1に記載の発明では、
上記の制御手段に加え、前記ディレイ時間を前記所定箇
所での冷媒の圧力に応じて変更する変更手段を備えてい
る。上記の構成によれば、変更手段により、制御手段に
おけるディレイ時間が冷媒圧力に応じて変更される。こ
のため、冷媒圧力に応じてディレイ時間を適切な値に設
定することにより、吐出容量について第1所定量から第
2所定量への切替え指令が出された後、調整用アクチュ
エータの駆動にともなうトルクを、内燃機関にかかるコ
ンプレッサのトルクが十分小さくなる時期まで発生させ
ることが可能となる。その結果、調整用アクチュエータ
の駆動にともなうトルクがコンプレッサのトルクを上回
り、低下すべき実機関回転速度が上昇する現象(回転の
吹上がり)を抑制することができる。また、調整用アク
チュエータの駆動にともなうトルクがコンプレッサのト
ルクを補いきれず、実機関回転速度が切替え指令に応じ
た目標回転速度よりも低くなる現象(回転の落込み)を
抑制することができる。
【0019】特に、請求項2に記載の発明では、上記請
求項1に記載の発明において、前記変更手段は、前記冷
媒圧力が高いとき、前記ディレイ時間を、前記冷媒圧力
が低いときよりも長く設定するものであるとしている。
【0020】上記の構成によれば、変更手段によるディ
レイ時間の変更に際しては、冷媒圧力が高いとき、低い
ときよりもディレイ時間が長く設定される。そのため、
そのときの冷媒圧力に応じて適切なディレイ時間が設定
されることとなる。吐出容量について第1所定量から第
2所定量への切替え指令が出された後、調整用アクチュ
エータにより発生するトルクが十分小さくなる時期を、
内燃機関にかかるコンプレッサのトルクが十分小さくな
る時期に一致させることが可能となる。その結果、前記
回転の吹上がりや落込みを確実に抑制することが可能と
なる。
【0021】また、請求項3に記載の発明では、前述し
た制御手段に加え、前記ディレイ時間を前記電磁アクチ
ュエータに供給される電力に応じて変更する変更手段を
備えている。
【0022】上記の構成によれば、変更手段により、制
御手段におけるディレイ時間が電磁アクチュエータに供
給される電力に応じて変更される。このため、電力に応
じてディレイ時間を適切な値に設定することにより、吐
出容量について第1所定量から第2所定量への切替え指
令が出された後、調整用アクチュエータの駆動にともな
うトルクを、内燃機関にかかるコンプレッサのトルクが
十分小さくなる時期まで発生させることが可能となる。
その結果、調整用アクチュエータの駆動にともなうトル
クがコンプレッサのトルクを上回り、低下すべき実機関
回転速度が上昇する現象(回転の吹上がり)を抑制する
ことができる。また、調整用アクチュエータの駆動にと
もなうトルクがコンプレッサのトルクを補いきれず、実
機関回転速度が切替え指令に応じた目標回転速度よりも
低くなる現象(回転の落込み)を抑制することができ
る。
【0023】特に、請求項4に記載の発明では、上記請
求項3に記載の発明において、前記変更手段は、前記電
力が多いとき、前記ディレイ時間を、前記電力が少ない
ときよりも長く設定するものであるとしている。
【0024】上記の構成によれば、変更手段によるディ
レイ時間の変更に際しては、電力(電流、電圧)が多い
とき、少ないときよりもディレイ時間が長く設定され
る。そのため、そのときの電磁アクチュエータへの電力
に応じて適切なディレイ時間が設定されることとなる。
吐出容量について第1所定量から第2所定量への切替え
指令が出された後、調整用アクチュエータのトルクが十
分小さくなる時期を、内燃機関にかかるコンプレッサの
トルクが十分小さくなる時期に一致させることが可能と
なる。その結果、前記回転の吹上がりや落込みを確実に
抑制することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態について図面に従って説明する。図1に示すよう
に、車両には、内燃機関としてガソリンエンジン(以
下、単にエンジンという)11が搭載されている。エン
ジン11のシリンダ12内には、ピストン13が往復動
可能に収容されている。ピストン13は、コネクティン
グロッド14を介し、エンジン11の出力軸であるクラ
ンク軸15に連結されている。各ピストン13の往復運
動は、コネクティングロッド14によって回転運動に変
換された後、クランク軸15に伝達される。クランク軸
15は、変速機(図示略)等を介して車両の車輪に連結
されている。
【0026】シリンダ12内においてピストン13より
も上側には燃焼室16が形成されている。燃焼室16に
は吸気通路17が接続され、エンジン11外部の空気が
吸気通路17を通じて燃焼室16に取込まれる。エンジ
ン11には吸気通路17を開閉するための吸気弁18が
設けられている。また、吸気通路17にはスロットル弁
19が回動可能に支持されている。スロットル弁19に
は、調整用アクチュエータとしてスロットル用アクチュ
エータ21が駆動連結されている。スロットル用アクチ
ュエータ21は、運転者によるアクセルペダル(図示
略)の踏込み操作等に基づき、後述するエンジンECU
91によって制御され、スロットル弁19を回動させ
る。吸気通路17を流れる空気の量である吸入空気量
は、スロットル弁19の回動角度であるスロットル開度
に応じて変化する。さらに、吸気通路17には燃焼室1
6に燃料を供給するための燃料噴射弁22が取付けられ
ている。燃料噴射弁22から噴射された燃料と吸入空気
とからなる混合気は、吸気弁18が開かれる際に燃焼室
16内へ導入される。
【0027】エンジン11には点火プラグ23が取付け
られている。そして、前記混合気は点火プラグ23の電
気火花によって着火され、爆発・燃焼する。このときに
生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動
され、クランク軸15が回転されて、エンジン11の駆
動力(トルク)が得られる。
【0028】前記燃焼室16には排気通路24が接続さ
れている。エンジン11には排気通路24を開閉するた
めの排気弁25が設けられている。前記混合気の燃焼に
よって生じた燃焼室16内のガスは、排気弁25が開か
れる際に燃焼室16から排気通路24に排出される。
【0029】また、車両には空調装置(エアコン)26
が搭載されている。エアコン26の冷媒循環回路(冷凍
サイクル)は、可変容量型コンプレッサ(圧縮機、以下
単に「コンプレッサ」という)27、コンデンサ(凝縮
器)28、レシーバ29、エキスパンジョンバルブ(膨
張弁)31、エバポレータ(蒸発器)32等によって構
成されている。この冷媒循環回路では、冷媒が次のよう
に変化しながら流れる。
【0030】ガス状の冷媒はコンプレッサ27で圧縮さ
れて高温・高圧となる。コンプレッサ27から吐出され
たガス状の冷媒はコンデンサ28で冷却されて液化した
後、レシーバ29で清浄化される。レシーバ29を出た
高圧の液状の冷媒は、エキスパンジョンバルブ31で急
激に膨張させられ、低温・低圧の霧状の冷媒になる。こ
の霧状の冷媒はエバポレータ32を通過する際、そのエ
バポレータ32の周囲の空気から熱を奪って蒸発(気
化)し、その後、コンプレッサ27に吸込まれる。
【0031】このように、冷媒循環回路では、エバポレ
ータ32において冷媒が気化する際に熱が奪われる。こ
のエバポレータ32の周りに車室内の空気が循環される
ことによって、車室内が冷却される。この際、空気が冷
却されることにより空気中の水蒸気が水滴になり除湿さ
れる。また、エバポレータ32において冷媒によって奪
われた熱は、コンデンサ28において冷媒が液化すると
きに車室外へ放出される。
【0032】次に、コンプレッサ27の構造について説
明する。図2に示すように、コンプレッサ27のケーシ
ング35内にはクランク室36が形成されるとともに、
駆動軸37が回転可能に支持されている。ケーシング3
5から露出する駆動軸37の一方(図2の左方)の端部
にはプーリ38が取付けられている。プーリ38は、ベ
ルト(図示略)を介してエンジン11のクランク軸15
に駆動連結されている。そのため、エンジン11の運転
にともなうクランク軸15の回転がベルト、プーリ38
等を介して駆動軸37に伝達され、コンプレッサ27が
駆動される。
【0033】駆動軸37上には、ラグプレート39が一
体回転可能に取付けられている。また、駆動軸37に
は、斜板41が軸方向へのスライド可能かつ傾動可能に
支持されている。斜板41は、ヒンジ機構42を介して
ラグプレート39に連結されている。この連結により斜
板41は、ラグプレート39及び駆動軸37と一体回転
可能であり、また駆動軸37に対して傾動可能である。
【0034】ケーシング35内には複数のシリンダ43
が形成され、各シリンダ43内にピストン44が往復動
可能に収容されている。各ピストン44は、シュー45
を介して斜板41に係留されている。このため、各ピス
トン44は、駆動軸37に対して傾斜した斜板41の回
転によってシリンダ43内を往復動する。このとき、斜
板41の傾斜角度(斜板角度θ)に応じてピストン44
のストロークが変化する。ここで、斜板角度θは、駆動
軸37に直交する面に対し斜板41が交わる角度であ
る。
【0035】ケーシング35内において、シリンダ43
のプーリ38とは反対側には、吸入ポート、吸入弁、吐
出ポート及び吐出弁(いずれも図示略)を有する弁・ポ
ート形成体46が配置されている。さらに、弁・ポート
形成体46のプーリ38とは反対側には、吸入室47及
び吐出室53がそれぞれ設けられている。吐出室53
は、吐出絞り48を有する壁49によって第1吐出室5
1と第2吐出室52とに仕切られている。第1吐出室5
1は壁49よりもシリンダ43側に形成され、第2吐出
室52は第1吐出室51及び壁49を挟んでシリンダ4
3とは反対側に形成されている。そして、吸入室47内
の冷媒ガスは、各ピストン44が上死点から下死点(図
2の右から左)へ向けて移動する際、弁・ポート形成体
46の吸入ポート及び吸入弁を介してシリンダ43内へ
吸入される。また、シリンダ43内の冷媒ガスは、ピス
トン44が下死点から上死点(図2の左から右)へ向け
て移動する際に所定の圧力まで圧縮され、弁・ポート形
成体46の吐出ポート及び吐出弁を介して吐出室53に
吐出される。
【0036】ケーシング35内には、クランク室36と
吸入室47とを連通させる抽気通路54が設けられてい
る。また、ケーシング35内には、吐出室53とクラン
ク室36とを連通させる給気通路55が設けられ、その
給気通路55の途中に流量制御弁56が配置されてい
る。そして、流量制御弁56の開度を調整することによ
り、給気通路55を通じてクランク室36に導入される
高圧の吐出ガスの流量と、抽気通路54を介してクラン
ク室36から導出されるガスの流量とのバランスが制御
され、クランク室36の内圧Pcが変更される。この内
圧Pcの変更に応じて、ピストン44両側の圧力差、す
なわち内圧Pcとシリンダ43の内圧との差圧が変化し
斜板角度θが変化する。
【0037】その結果、ピストン44のストローク、ひ
いてはコンプレッサ27の吐出容量が調節される。例え
ば、クランク室36の内圧Pcが低下すると、斜板角度
θが大きくなってピストン44のストロークが大きくな
り、吐出容量が増加する。これとは逆に内圧Pcが上昇
すると、斜板角度θが小さくなり、ピストン44のスト
ロークが小さくなり、吐出容量が減少する。
【0038】次に、流量制御弁56の構造について説明
する。図3に示すように、流量制御弁56のハウジング
57内には、その一方(図3の上方)の端部から他方
(図3の下方)の端部に向けて、感圧室58、連通路5
9及び弁室61が順に設けられている。連通路59及び
弁室61は給気通路55の一部を構成している。連通路
59は、給気通路55の上流部を介して第1吐出室51
に連通され、弁室61は給気通路55の下流部を介して
クランク室36に連通されている。従って、第1吐出室
51から給気通路55へ吐出された冷媒ガスは、流量制
御弁56を通過する過程で連通路59及び弁室61を順
に流れる。そして、弁室61から流量制御弁56外へ出
た冷媒ガスは、再び給気通路55を通ってクランク室3
6に導かれる。
【0039】ハウジング57内には、弁体として、作動
ロッド62が軸方向(図3の上下方向)へ往復動可能に
配置されている。この作動ロッド62の一方(図3の上
方)の端部によって、連通路59と感圧室58とが遮断
されている。弁室61と連通路59との境界部分は弁座
をなしている。一方、作動ロッド62には弁体部63が
形成されており、作動ロッド62の往復動にともない弁
体部63が弁座に接近及び離間することによって、給気
通路55の開度が調整される。弁体部63が弁座に着座
したとき給気通路55が閉鎖される。
【0040】感圧室58内には、ベローズ等からなる感
圧部材64が収容されている。感圧部材64は、ロッド
受け65を介して作動ロッド62に連結されている。ロ
ッド受け65と感圧室58の底部との間にはばね66が
配置されており、ロッド受け65は、感圧部材64が伸
長しようとする力と、ばね66の付勢力とが釣合う位置
で静止している。感圧室58内は、感圧部材64によ
り、その感圧部材64の内側の空間と外側の空間とに仕
切られている。内側の空間には、第1吐出室51内の圧
力PdHが導かれ、外側の空間には第2吐出室52内の
圧力PdLが導かれている。圧力PdHは冷媒が吐出絞
り48を通過する前の圧力である。また、圧力PdLは
冷媒が吐出絞り48を通過した後の圧力であり、前記圧
力PdHよりも低い。そして、感圧室58、感圧部材6
4、ロッド受け65、ばね66等によって感圧機構67
が構成されている。
【0041】感圧機構67は、冷媒循環回路における2
箇所(第1吐出室51、第2吐出室52)での差圧ΔP
d(PdH−PdL)の変動に基づいて感圧部材64が
伸縮することで、その差圧ΔPdの変動を打消す側にコ
ンプレッサ27の吐出容量が変更されるように弁体部6
3を変位させる。
【0042】一方、流量制御弁56には電磁アクチュエ
ータ68が組込まれている。電磁アクチュエータ68は
磁性材からなる固定子69を備え、前述した作動ロッド
62がこの固定子69に往復動可能に挿通されている。
固定子69から露出する作動ロッド62の他方(図3の
下方)の端部には、磁性材からなる可動子71が固定さ
れている。可動子71は、ばね72により常に弁室61
から遠ざかる方向(図3の下方)、すなわち開弁方向へ
付勢されている。固定子69及び可動子71の周りには
コイル73が巻回配置されている。電磁アクチュエータ
68では、コイル73への通電により、その通電量に応
じた大きさの電磁力が、開弁方向の力に対向する力(閉
弁方向の力)として、可動子71と固定子69との間に
発生する。開弁方向の力としては、(a)感圧室58に
おいてロッド受け65を介して作動ロッド62に作用す
るもの、(b)連通路59において弁体部63に作用す
るもの、(c)ばね72の付勢力によるもの等が挙げら
れる。
【0043】流量制御弁56では、後述するエアコンE
CU92によりコイル73への通電時間がデューティ制
御される。この制御に応じて、閉弁方向の力としての電
磁力が変化する。弁体部63の位置が変更され、給気通
路55の開度が調整される。
【0044】例えば、コイル73に通電されない場合、
すなわち、デューティ比が0%の場合には、可動子71
に閉弁方向への電磁力が発生しない。前述したばね72
の付勢力等による開弁方向の力が支配的となり、弁体部
63が弁座から離れて給気通路55が全開状態となる。
このため、クランク室36の内圧Pcは、そのときおか
れた状況下において取り得る最大値となり、同内圧Pc
とシリンダ43の内圧との差圧が大きい。従って、斜板
角度θが最少となり、コンプレッサ27の吐出容量が最
小となる。
【0045】また、コイル73への通電(デューティ比
が0%よりも大)にともない発生する閉弁方向の電磁力
が、ばね72、感圧部材64等による開弁方向の付勢力
に打勝つと、作動ロッド62が閉弁方向への移動を開始
する。この状態では、電磁力が、感圧部材64、ばね7
2等の付勢力によって加勢された前記差圧ΔPdに基づ
く開弁方向への押圧力に対抗する。そして、これら開弁
方向及び閉弁方向に作用する力が均衡する位置に、作動
ロッド62の弁体部63が弁座に対して位置決めされ
る。
【0046】例えば、実エンジン回転速度NEが低下し
て冷媒循環回路の冷媒流量が減少すると、差圧ΔPdに
基づく開弁方向の力が減少し、その時点での電磁力で
は、作動ロッド62に対し、開弁方向及び閉弁方向の両
方向から作用する力の均衡が図れなくなる。従って、作
動ロッド62が閉弁方向へ移動して給気通路55の開度
が減少し、クランク室36の内圧Pcが低下する。斜板
角度θが大きくなって、ピストン44のストロークが大
きくなり、コンプレッサ27の吐出容量が増大する。こ
れにともない冷媒循環回路における冷媒流量が増加し、
差圧ΔPdが増加する。
【0047】前記とは逆に、実エンジン回転速度NEが
上昇して冷媒循環回路の冷媒流量が増大すると、差圧Δ
Pdに基づく開弁方向の力が増大して、その時点での電
磁力では作動ロッド62に作用する付勢力の均衡が図れ
なくなる。従って、作動ロッド62(弁体部63)が開
弁方向へ移動して給気通路55の開度が増加し、クラン
ク室36の内圧Pcが上昇する。斜板角度θが小さくな
って、ピストン44のストロークが小さくなり、コンプ
レッサ27の吐出容量が減少する。これにともない冷媒
循環回路における冷媒流量が減少し、差圧ΔPdが減少
する。
【0048】また、コイル73に対する通電のデューテ
ィ比を大きくして電磁力を大きくすると、その時点での
差圧ΔPdに基づく力では、開弁方向及び閉弁方向の両
方向から作用する力の均衡が図れなくなる。このため、
作動ロッド62(弁体部63)が閉弁方向へ移動して給
気通路55の開度が減少し、コンプレッサ27の吐出容
量が増大される。その結果、冷媒循環回路における冷媒
流量が増大し、差圧ΔPdも増大する。
【0049】逆に、コイル73に対する通電のデューテ
ィ比を小さくして電磁力を小さくすると、その時点での
差圧ΔPdに基づく力では、開弁方向及び閉弁方向の両
方向から作用する力の均衡が図れなくなる。このため、
作動ロッド62(弁体部63)が開弁方向へ移動して給
気通路55の開度が増加し、コンプレッサ27の吐出容
量が減少する。その結果、冷媒循環回路における冷媒流
量が減少し、差圧ΔPdも減少する。
【0050】このように、流量制御弁56では、コイル
73に対する通電のデューティ比によって決定された差
圧ΔPdの制御目標(設定差圧)を維持するように、こ
の差圧ΔPdの変動に応じて自律的に作動ロッド62
(弁体部63)が位置決めされる。また、この設定差圧
は、コイル73に対する通電のデューティ比を調節する
ことで変更可能である。このため、エバポレータ32で
の熱負荷の状況にほとんど影響されることなく、応答性
及び制御性の高い吐出容量の制御を行うことができる。
【0051】図1に示すように、車両には、エンジン1
1の運転状態を検出するセンサとして、運転者によるア
クセルペダルの踏込み量であるアクセル開度を検出する
アクセルセンサ81、車両の走行速度を検出する車速セ
ンサ82等が設けられている。また、車両には、その周
囲の雰囲気(環境状況)等を検出するための各種センサ
が設けられている。これらのセンサとしては、車室内の
温度を検出する内気センサ83、外気温度を検出する外
気センサ84、日射量を検出する日射センサ85、エバ
ポレータ32を通過した直後の冷気の温度(実エバポレ
ータ温度T)を検出するエバポレータ後温度センサ86
等が挙げられる。そのほかにも、エアコン26を作動
(オン)及び停止(オフ)させるために乗員によって操
作されるエアコンスイッチ87が設けられている。さら
に、本実施形態では、コンプレッサ27から吐出された
冷媒の圧力を検出する圧力センサ88が用いられてい
る。ここでは、圧力センサ88は、冷媒循環回路におい
てコンデンサ28とレシーバ29との間に配置されてい
るが、この位置に限られない。
【0052】前記各種センサ81〜88の検出値等に基
づき、スロットル用アクチュエータ21、流量制御弁5
6等を制御する手段として、車両にはエンジン電子制御
ユニット(以下「エンジンECU」という)91及びエ
アコン電子制御ユニット(以下「エアコンECU」とい
う)92が設けられている。アクセルセンサ81、車速
センサ82等はエンジンECU91に接続されている。
また、内気センサ83、外気センサ84、日射センサ8
5、エバポレータ後温度センサ86、エアコンスイッチ
87等はエアコンECU92に接続されている。両EC
U91,92は、電源として車両に搭載されたバッテリ
89に接続され、このバッテリ89から電力の供給を受
けている。
【0053】各ECU91,92はマイクロコンピュー
タを中心として構成されている。ECU91,92では
中央処理装置(CPU)が、前記各種センサ81〜88
の検出値等に基づき、読出し専用メモリ(ROM)に記
憶されている制御プログラムや初期データに従って演算
処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行す
る。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ
(RAM)において一時的に記憶される。両ECU9
1,92は相互に接続されており、両ECU91,92
間において、前記演算結果等のデータが通信可能となっ
ている。
【0054】次に、前記のように構成された本実施形態
の作用について説明する。図4のフローチャートは、エ
アコンECU92によって実行される処理のうち、アイ
ドル時にエアコン26をオン・オフさせるための「エア
コン制御ルーチン」を示している。この制御ルーチンは
所定のタイミング、例えば所定時間毎に繰返し実行され
る。
【0055】エアコンECU92は、まずステップ11
0において、制御実行条件が成立しているか否かを判定
する。ここでの制御実行条件は、以下の(1)〜(3)
の3つの要件が全て満たされた場合に成立するものとし
ている。 (1)アクセルセンサ81によるアクセル開度が「0」
であること。すなわち、運転者によりアクセルペダルが
踏込み操作されていないこと。 (2)車速センサ82による車速が所定値、例えば4k
m/h以下であること。 (3)エアコンスイッチ87からオン信号が出力されて
いること。すなわち、エアコン26の作動のために、乗
員によりエアコンスイッチ87がオン操作されているこ
と。
【0056】前記ステップ110の判定条件が満たされ
ていないと、エアコン制御ルーチンを一旦終了する。こ
れに対し、ステップ110の判定条件が満たされている
と、次のステップ120へ進み、エバポレータ後温度セ
ンサ86による実際のエバポレータ温度(実エバポレー
タ温度T)が、エアコンオン温度Ton以上であるか否か
を判定する。ここで、エアコンオン温度Tonは、エアコ
ン26をオンさせるかどうかを決定する際の判定値(第
1判定値)であり、目標エバポレータ温度に所定値α
(例えば4℃)を加算した値である。目標エバポレータ
温度は、内気センサ83による室内温度、外気センサ8
4による外気温度、日射センサ85による日射量、圧力
センサ88による冷媒圧力等に基づき、別途算出された
ものである。
【0057】前記ステップ120の判定条件が満たされ
ている(Ton≦T)と、ステップ130へ移行し、コン
プレッサ27の吐出容量を第1所定量(本実施形態では
最大)にするための指令を流量制御弁56に出力する。
具体的には、エアコン26をオンさせるための信号を流
量制御弁56に出力する。この信号に応じ、流量制御弁
56では、100%のデューティ比でコイル73に通電
される。この通電により流量制御弁56が閉弁され(給
気通路55が全閉状態となり)、クランク室36の内圧
Pcが低下して斜板角度θが大きくなる。ピストン44
のストロークが大きくなり、コンプレッサ27の吐出容
量が第1所定量(最大)となり、エンジン11にかかる
コンプレッサ27のトルクが増大する。
【0058】なお、前記ステップ120の各判定条件が
満たされていない(Ton>T)と、エアコン制御ルーチ
ンを一旦終了する。この場合、エアコン26はそれ以前
の状態、すなわちオフ状態が継続されることとなる。
【0059】次に、ステップ140において、エバポレ
ータ後温度センサ86による実エバポレータ温度Tが、
エアコンオフ温度Toff よりも低いか否かを判定する。
ここで、エアコンオフ温度Toff は、エアコン26をオ
フさせるかどうかを決定する際の判定値(第2判定値)
であり、目標エバポレータ温度に所定値β(ただし、β
<αを満たす値であり、例えば3℃)を加算した値であ
る。
【0060】前記ステップ140の判定条件が満たされ
ている(Toff >T)と、ステップ150へ移行し、コ
ンプレッサ27の吐出容量を前記第1所定量(最大)よ
りも少ない第2所定量(本実施形態では最小)にするた
めの指令を流量制御弁56に出力する。具体的には、エ
アコン26をオフさせるための信号を流量制御弁56に
出力する。この信号に応じ、流量制御弁56では、0%
のデューティ比でデューティ制御が行われる。すなわ
ち、コイル73への通電が停止される。その結果、流量
制御弁56が開弁され(給気通路55が全開状態とな
り)、クランク室36の内圧Pcが上昇し、斜板角度θ
が小さくなる。ピストン44のストロークが小さくな
り、コンプレッサ27の吐出容量が減少して第2所定量
(最小)となり、エンジン11にかかるコンプレッサ2
7のトルクが減少する。
【0061】ステップ150の処理を実行した後、エア
コン制御ルーチンを一旦終了する。なお、前記ステップ
140の判定条件が満たされていない場合(Toff ≦
T)にも、エアコン制御ルーチンを一旦終了する。この
場合には、エアコン26のオン状態が継続されることと
なる。
【0062】前述したエアコン制御ルーチンによると、
実エバポレータ温度Tに応じてコンプレッサ27のデュ
ーティ比、及びエンジン11にかかるコンプレッサ27
のトルクが、例えば図7(a),(b),(d)に示す
ように変化する。実エバポレータ温度Tが上昇してエア
コンオン温度Ton以上になる(タイミングt10,t3
0)と、ステップ110→120→130→140→リ
ターンの順に処理が行われ、100%のデューティ比で
コイル73に通電するための指令が出される。この通電
によりコンプレッサ27の吐出容量が0%から100%
に切替り、エンジン11にかかるコンプレッサ27のト
ルクが急激に増加する。デューティ比100%の状態
は、実エバポレータ温度Tがエアコンオフ温度Toff 以
上である限り維持される。
【0063】一方、実エバポレータ温度Tが下降してエ
アコンオフ温度Toff を下回る(タイミングt20,t
40)と、ステップ140の判定条件が満たされるた
め、ステップ110→120→130→140→150
→リターンの順に処理が行われる。コイル73への通電
を停止するための指令、すなわち、デューティ比を10
0%から0%に切替えるための指令が出される。この通
電停止によりコンプレッサ27の吐出容量が100%か
ら0%に切替り、エンジン11にかかるコンプレッサ2
7のトルクが減少する。
【0064】デューティ比0%の状態は、実エバポレー
タ温度Tがエアコンオン温度Ton未満である限り維持さ
れる。ステップ120の判定条件が満たされないことか
ら、ステップ110→120→リターンの順に処理が行
われるからである。そして、実エバポレータ温度Tが再
びエアコンオン温度Ton以上になると、デューティ比が
0%から100%に切替えられる。
【0065】次に、図6のフローチャートは、エンジン
ECU91によって実行される処理のうち、アイドル時
において、エンジン11の実回転速度(実エンジン回転
速度NE)を目標回転速度となるように制御するための
「アイドル回転速度制御ルーチン」を示している。ここ
での目標回転速度としては、エアコン26がオフされて
いるときの目標回転速度NEoff と、オンされていると
きの目標回転速度NEonとの2種類がある(図7(e)
参照)。これらの目標回転速度は、NEoff <NEonの
条件を満たす値、例えば、NEoff =575回転/分、
NEon=680回転/分に設定されている。この制御ル
ーチンは所定のタイミング、例えば所定時間毎に繰返し
実行される。
【0066】エンジンECU91は、まずステップ21
0において、制御実行条件が成立しているか否かを判定
する。ここでの制御実行条件は、前述したステップ11
0でのものと同じである。このステップ210の判定条
件が満たされていないと、アイドル回転速度制御ルーチ
ンを一旦終了する。これに対し、ステップ210の判定
条件が満たされていると、次のステップ220へ進み、
エバポレータ後温度センサ86による実エバポレータ温
度Tが、エアコンオン温度Ton以上であるか否かを判定
する。この処理は、前述したステップ120の処理と同
じである。
【0067】ステップ220の判定条件が満たされてい
る(Ton≦T)と、ステップ230において、スロット
ル弁19を所定開度開弁させるための指令信号をスロッ
トル用アクチュエータ21に出力する。この信号に応じ
たスロットル用アクチュエータ21の作動により、スロ
ットル弁19は、それまでのスロットル開度に所定値を
上乗せした開度まで開弁する。この開弁により燃焼室1
6に取込まれる吸入空気量が増加する。一方、エンジン
ECU91により別途行われる燃料噴射制御ルーチンで
は、吸入空気量の増量にともない燃料噴射量が増量さ
れ、エンジン11の出力トルクが増大する。この出力ト
ルクの増大により、エンジン11の回転速度が、エアコ
ンオン時の目標回転速度NEonに収束する。
【0068】なお、前記ステップ220の各判定条件が
満たされていないと、アイドル回転速度制御ルーチンを
一旦終了する。この場合、スロットル弁19はそれ以前
のスロットル開度を保持することとなる。
【0069】次に、ステップ240において、エバポレ
ータ後温度センサ86による実エバポレータ温度Tが、
エアコンオフ温度Toff よりも低いか否かを判定する。
この処理は、前述したステップ140の処理と同様であ
る。ステップ240の判定条件が満たされている(Tof
f >T)と、ステップ250へ移行し、そのときの圧力
センサ88による冷媒圧力と、バッテリ89の電圧(バ
ッテリ電圧)とに基づきディレイ時間を算出する。ここ
で、バッテリ電圧は、流量制御弁56のコイル73に供
給される電力に関連する要素の1つであり、同コイル7
3に通電される制御電流に対応している。このバッテリ
電圧は、コンプレッサ27以外の電気負荷や、バッテリ
89の使用期間等によって変化する。例えば、バッテリ
電圧は、他の電気負荷が大きくなった場合には一時的に
低下する。また、バッテリ89の使用期間が長くなる
と、充電能力等が低下し、バッテリ電圧が経時的に低下
する。
【0070】ディレイ時間は、エアコン26をオンから
オフに切替えるための指令信号、別の表現をすると、コ
ンプレッサ27の吐出容量を最大(100%)から最小
(0%)に切替えるための指令信号が出されてから、ス
ロットル弁19を元の開度に戻すまでの時間である。こ
のようにディレイ時間を設けたのは、吐出容量の最大か
ら最小への切替え信号が出された場合、エンジン11に
かかるコンプレッサ27のトルクがゆっくりと低下する
ためである。このコンプレッサ27のトルクに見合うト
ルクをエンジン11で発生させるために、切替え指令が
出された後もディレイ時間が経過するまでは、元の開度
に所定値を上乗せしたスロットル開度でスロットル弁1
9を開弁させ続けて吸入空気量を増量させるようにして
いる。
【0071】また、ディレイ時間を可変としたのは、コ
ンプレッサ27の吐出容量の最大から最小への切替え指
令が出されてから、エンジン11にかかるコンプレッサ
27のトルクが十分小さくなるまでの時間が、切替え指
令が出されたときに流量制御弁56の作動ロッド62に
作用している力によって異なるからである。この力とし
ては、感圧機構67による力と電磁アクチュエータ68
による電磁力とが挙げられる。
【0072】感圧機構67による力には冷媒圧力が関与
している。前記時間は、冷媒圧力が高いときには長く、
低いときには短くなる傾向にある。これは、アイドル時
のようなエンジン低回転域では、コンプレッサ27の吐
出容量が100%から0%に変化する場合、コンプレッ
サ27から吐出される冷媒の流量が限られる。そのた
め、冷媒圧力が高い場合には、作動ロッド62の弁体部
63が全開位置へ変位する時間が長くなるものと考えら
れる。
【0073】また、電磁アクチュエータ68の電磁力に
関与するコイルに流れる制御電流については、前記時間
は、制御電流が多いときには長く、少ないときには短い
傾向にある。別の表現をすると、前記時間は、バッテリ
電圧が高いときには長く、低いときには短い傾向にあ
る。これは、デューティ比を変化させているものでは、
バッテリ電圧が高い場合、同じデューティ比でも電流値
が大きくなる。このため、冷媒の流量が多め(コンプレ
ッサ容量大)に制御され、デューティ比が100%から
0%まで低下される場合、弁体部63が全開位置へ変位
する時間が長くなるものと考えられる。
【0074】このような観点から、前記ディレイ時間の
算出に際しては、例えば図5に示すマップを参照する。
このマップには、冷媒圧力に対するディレイ時間が、バ
ッテリ電圧毎に規定されている。このマップでは、バッ
テリ電圧一定のもとでは、冷媒圧力が低いときにはディ
レイ時間が短く、冷媒圧力が高くなるに従いディレイ時
間が長くなるように設定されている。また、冷媒圧力一
定のもとでは、バッテリ電圧が低いときにはディレイ時
間が短く、バッテリ電圧が高くなるに従いディレイ時間
が長くなるように設定されている。
【0075】前記ステップ250においてディレイ時間
を算出すると、次のステップ260へ移行する。ステッ
プ260では、吐出容量の最大から最小への切替え指令
が出力されてから、前記ディレイ時間が経過するまで、
スロットル弁19を、前記ステップ230の開度で開弁
させ続ける。そして、ディレイ時間が経過すると、スロ
ットル弁19を元の開度に復帰させるための指令信号を
スロットル用アクチュエータ21に出力する。この信号
に応じたスロットル用アクチュエータ21の作動によ
り、スロットル弁19は元のスロットル開度(前記所定
値を上乗せする前の開度)まで閉弁する。この閉弁によ
り燃焼室16に取込まれる吸入空気量が減少する(元の
量に戻る)。一方、エンジンECU91により行われる
燃料噴射制御ルーチンでは、この吸入空気量の減量にと
もない燃料噴射量が減量され、エンジン11の出力トル
クが減少する。この出力トルクの減少により、実エンジ
ン回転速度NEが、エアコンオフ時の目標回転速度NE
off に収束する。
【0076】ステップ260の処理を行った後、アイド
ル回転速度制御ルーチンを一旦終了する。なお、前記ス
テップ240の判定条件が満たされていない場合(Tof
f ≦T)にも、アイドル回転速度制御ルーチンを一旦終
了する。この場合には、スロットル弁19が所定開度開
弁した状態が継続されることとなる。
【0077】前述したアイドル回転速度制御ルーチンに
よると、吐出容量の最大から最小への切替え指令(コン
プレッサ27のデューティ比の切替え指令)に応じて、
吸入空気量(ISC流量)及び実エンジン回転速度NE
が例えば図7(a),(c),(e)に示すように変化
する。
【0078】実エバポレータ温度Tが上昇してエアコン
オン温度Ton以上となり、コンプレッサ27のデューテ
ィ比が0%から100%に切替えられる(タイミングt
10,t30)と、ステップ210→220→230→
240→リターンの順に処理が行われる。スロットル弁
19が所定開度開弁して吸入空気量が増加するとともに
燃料噴射量が増加する。実エンジン回転速度NEが上昇
し、目標回転速度NEonに収束する。このスロットル弁
19の開弁状態は、実エバポレータ温度Tがエアコンオ
フ温度Toff を下回るまでは少なくとも維持される。
【0079】一方、実エバポレータ温度Tが下降してエ
アコンオフ温度Toff を下回り、コンプレッサ27のデ
ューティ比が100%から0%に切替えられる(タイミ
ングt20,t40)と、ステップ210→220→2
30→240→250→260→リターンの順に処理が
行われる。冷媒圧力及びバッテリ電圧に基づきディレイ
時間が算出され、前記デューティ比の切替え指令が出さ
れてもすぐにはスロットル弁19は元の開度に復帰され
ない。切替え指令から前記ディレイ時間が経過するまで
は、スロットル弁19の前記開弁状態が維持される。そ
して、ディレイ時間が経過する(タイミングt25,t
45)と、スロットル弁19が元の開度に復帰される。
従って、ディレイ時間が経過するまでは、スロットル弁
19の開弁にともなって吸入空気量(ISC流量)が増
量され続ける。この増量に応じて燃料噴射量も増量され
続けるため、エンジン11の出力が増加する。この出力
増加によりコンプレッサ27のトルクが相殺される。そ
の結果、実エンジン回転速度NEが目標回転速度NEof
f に収束する。
【0080】以上詳述した本実施形態によれば、以下の
効果が得られる。 (1)コンプレッサ27の吐出容量を最大から最小に切
替えるための指令が出されてから、エンジン11にかか
るコンプレッサ27のトルクが十分小さくなるまでの時
間は、コンプレッサ27から吐出される冷媒の圧力が大
きく関与している。前記時間は、冷媒圧力が高いときに
は長く、低いときには短くなる傾向にある。
【0081】そのため、冷媒圧力が低い場合、図7
(d)において二点鎖線で示すようにエンジン11にか
かるコンプレッサ27のトルクも相対的に小さくなっ
て、同トルクが十分に小さくなるまでの時間が短くな
る。この際、ディレイ時間が適正値よりも大きな一定の
値であると、必要以上の時間にわたってスロットル弁1
9の開弁状態が続けられる。過度の量の空気がエンジン
11に取込まれ、それにともなって過度の量の燃料が噴
射される。その結果、実エンジン回転速度NEが図7
(e)において二点鎖線で示すように上昇する現象、い
わゆる回転の吹上がりが発生するおそれがある。
【0082】また、前記とは逆に冷媒圧力が高い場合、
図示はしないがエンジン11にかかるコンプレッサ27
のトルクも相対的に大きくなって、同トルクが十分に小
さくなるまでの時間が長くなる。この際、ディレイ時間
が適正値よりも小さな一定の値であると、必要な時間が
経過する前にスロットル弁19の開弁状態が終わる。必
要量の空気がエンジン11に取込まれず、燃料噴射量が
不足する。その結果、実エンジン回転速度NEがエアコ
ンオフ時の目標回転速度NEoff を下回る現象、いわゆ
る回転の落込みが発生するおそれがある。
【0083】これに対し、本実施形態では、冷媒圧力に
応じてディレイ時間を可変にしている。このため、ディ
レイ時間を適切な値に設定することにより、スロットル
弁19の開弁状態が必要な時間にわたって継続し、必要
な量の空気がエンジン11に取込まれる。それにともな
って適切な量の燃料が噴射される。吐出容量の最大から
最小への切替え指令が出された後、スロットル弁開弁に
ともなうトルクを、エンジン11にかかるコンプレッサ
のトルクが十分小さくなる時期まで発生させることが可
能となる。その結果、前述した回転の吹上がりや落込み
を抑制しつつ実エンジン回転速度NEを目標回転速度N
Eoff に収束させることができる。
【0084】(2)上記(1)に関連するが、冷媒圧力
が高いときには低いときよりもディレイ時間を長く設定
することにより、そのときの冷媒圧力に応じた適切なデ
ィレイ時間が設定されることとなる。例えば、冷媒圧力
が低い場合には、図7(c)において二点鎖線で示すよ
うにディレイ時間を短くする。こうすると、冷媒圧力が
低い場合、図7(d)において二点鎖線で示すようにエ
ンジン11にかかるコンプレッサ27のトルクも相対的
に小さくなって、同トルクが十分小さくなるまでの時間
が短くなるが、適切な時間にわたってスロットル弁19
の開弁状態が続けられる。また、図示はしないが、冷媒
圧力が高い場合にはディレイ時間が長くされる。こうす
ると、冷媒圧力が高い場合、エンジン11にかかるコン
プレッサ27のトルクも相対的に大きくなって、同トル
クが十分小さくなるまでの時間が長くなるが、適切な時
間にわたってスロットル弁19の開弁状態が続けられ
る。冷媒圧力にかかわらず適正量の空気がエンジン11
に取込まれ、それにともなって適正量の燃料が噴射され
る。そして、これらの燃料噴射により、吐出容量の切替
え指令が出された後、スロットル用アクチュエータ21
により発生するトルクが十分小さくなる時期を、エンジ
ン11にかかるコンプレッサ27のトルクが十分小さく
なる時期に一致させることが可能となる。その結果、回
転の吹上がり(図7(e)の二点鎖線参照)や落込みを
確実に抑制することが可能となる。
【0085】(3)コンプレッサ27の吐出容量の最大
から最小への切替え指令が出されてから、エンジン11
にかかるコンプレッサ27のトルクが十分小さくなるま
での時間は、供給電力が多いときには長く、少ないとき
には短くなる傾向にある。
【0086】そのため、コイル73への制御電流が少な
い又は電圧(バッテリ電圧)が低いと、エンジン11に
かかるコンプレッサ27のトルクも相対的に小さくなっ
て、同トルクが十分小さくなるまでの時間が短くなる。
この際、ディレイ時間が適正値よりも大きな一定の値で
あると、必要以上の時間にわたってスロットル弁19の
開弁状態が続けられる。過度の量の空気がエンジン11
に取込まれ、それにともなって過度の量の燃料が噴射さ
れる。その結果、エンジン11では回転の吹上がりが発
生するおそれがある。
【0087】また、前記とは逆に制御電流が多い又は電
圧(バッテリ電圧)が高いと、エンジン11にかかるコ
ンプレッサ27のトルクも相対的に大きくなって、同ト
ルクが十分小さくなるまでの時間が長くなる。この際、
ディレイ時間が適正値よりも小さな一定の値であると、
必要な時間が経過する前にスロットル弁19の開弁状態
が終わる。必要量の空気がエンジン11に取込まれず、
燃料噴射量が不足する。その結果、エンジン11では回
転の落込みが発生するおそれがある。
【0088】これに対し、本実施形態では、バッテリ電
圧に応じてディレイ時間を可変にしている。このため、
ディレイ時間を適切な値に設定することにより、スロッ
トル弁19の開弁状態が必要な時間にわたって継続し、
必要な量の空気がエンジン11に取込まれる。それにと
もなって適切な量の燃料が噴射される。吐出容量の最大
から最小への切替え指令が出された後、スロットル弁開
弁にともなうトルクを、エンジン11にかかるコンプレ
ッサのトルクが十分小さくなる時期まで発生させること
が可能となる。その結果、前述した回転の吹上がりや落
込みを抑制しつつ実エンジン回転速度NEを目標回転速
度NEoff に収束させることができる。
【0089】(4)上記(3)に関連するが、バッテリ
電圧が高いときには低いときよりもディレイ時間を長く
設定することにより、そのときのバッテリ電圧に応じた
適切なディレイ時間が設定されることとなる。例えば、
バッテリ電圧が低い場合にはディレイ時間を短くする。
こうすると、バッテリ電圧が低い場合、エンジン11に
かかるコンプレッサ27のトルクも相対的に小さくなっ
て、同トルクが十分小さくなるまでの時間が短くなる
が、適切な時間にわたってスロットル弁19の開弁状態
が続けられる。また、バッテリ電圧が高い場合にはディ
レイ時間が長くされる。こうすると、バッテリ電圧が高
い場合、エンジン11にかかるコンプレッサ27のトル
クも相対的に大きくなって、同トルクが十分小さくなる
までの時間が長くなるが、適切な時間にわたってスロッ
トル弁19の開弁状態が続けられる。バッテリ電圧の高
低にかかわらず適正量の空気がエンジン11に取込ま
れ、それにともなって適正量の燃料が噴射される。そし
て、これらの燃料噴射により、吐出容量の切替え指令が
出された後、スロットル弁開弁にともない発生するトル
クが十分小さくなる時期を、エンジン11にかかるコン
プレッサ27のトルクが十分小さくなる時期に一致させ
ることが可能となる。その結果、エンジン11では回転
の吹上がりや落込みを確実に抑制することが可能とな
る。
【0090】(5)ディレイ時間を、冷媒圧力とバッテ
リ電圧の両方に基づいて算出している。このため、冷媒
圧力のみ又はバッテリ電圧のみに基づく場合に比べて、
より適切なディレイ時間を算出することができる。その
結果、回転の吹上がりや落込みをより一層確実に抑制す
ることができる。
【0091】なお、本発明は次に示す別の実施形態に具
体化することができる。 ・前記実施形態では、冷媒圧力とバッテリ電圧とに基づ
きディレイ時間を算出したが、冷媒圧力のみに基づいて
ディレイ時間を算出したり、バッテリ電圧のみに基づい
てディレイ時間を算出したりしてもよい。
【0092】・バッテリ電圧に代えて、コイル73への
制御電流に基づいてディレイ時間を算出するようにして
もよい。 ・本発明を、給気通路55に代えて又は加えて抽気通路
54の開度を調整することによりクランク室36の内圧
Pcを調整するようにしたコンプレッサを駆動するエン
ジンに適用してもよい。
【0093】・図5のマップに代えて、所定の演算式に
従ってディレイ時間を算出するようにしてもよい。 ・本発明を、吐出容量についての第1所定量を最大以外
の値としたコンプレッサや、第2所定量を最小以外の値
としたコンプレッサを駆動するエンジンに適用してもよ
い。
【0094】その他、前記各実施形態から把握できる技
術的思想について、それらの効果とともに記載する。 (A)請求項3に記載の内燃機関のアイドル回転速度制
御装置において、前記電磁アクチュエータはバッテリを
電力供給源とし、前記変更手段は前記電磁アクチュエー
タに通電される制御電流又はバッテリ電圧に応じて前記
ディレイ時間を変更するものである。
【0095】(B)請求項1に記載の内燃機関のアイド
ル回転速度制御装置において、前記変更手段は、前記制
御手段における前記ディレイ時間を、前記冷媒圧力と前
記電磁アクチュエータに供給される電力とに基づき変更
するものである。
【0096】上記(B)の構成によれば、冷媒圧力のみ
又は供給電力のみに基づく場合に比べてより適切なディ
レイ時間を算出することができ、回転の吹上がりや落込
みをより一層確実に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアイドル回転速度制御装置の一実施形
態についてその構成を示す略図。
【図2】図1におけるコンプレッサの概略断面図。
【図3】図2における流量制御弁の概略断面図。
【図4】アイドル時にエアコンをオン・オフ制御する手
順を示すフローチャート。
【図5】ディレイ時間の決定に用いられるマップのマッ
プ構造を示す略図。
【図6】エアコンのオン・オフ制御時に実エンジン回転
速度を目標回転速度となるように制御する手順を示すフ
ローチャート。
【図7】エアコンのオン・オフ制御時における実エンジ
ン回転速度等の変化を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、21…スロットル用アク
チュエータ(調整用アクチュエータ)、27…可変容量
型コンプレッサ、32…エバポレータ、56…流量制御
弁、62…作動ロッド(弁体)、64…感圧部材、67
…感圧機構、68…電磁アクチュエータ、91…エンジ
ン電子制御ユニット(ECU)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04B 35/00 F04B 35/00 A (72)発明者 此原 弘和 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1 愛 三工業 株式会社内 Fターム(参考) 3G065 DA04 EA03 FA04 GA10 GA17 GA37 GA43 GA47 3G093 BA14 CA04 CA08 DA01 DB19 DB25 EA09 EC01 FB04 3G301 JA14 KA07 KA10 LA03 NA08 NC02 NE21 PE01Z PF13Z PG01Z 3H076 AA06 BB31 CC12 CC20 CC84 CC85 CC98 CC99

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷媒循環回路における所定箇所での冷媒の
    圧力変動に応じて変形する感圧部材と電磁アクチュエー
    タとを備え、前記感圧部材の変形にともなう力と前記電
    磁アクチュエータの電磁力とにより、流量制御弁の弁体
    を変位させて吐出容量を変更するとともに、機関アイド
    ル時には、前記冷媒循環回路におけるエバポレータの目
    標温度と実温度との偏差に基づき前記電磁アクチュエー
    タへの電力供給を制御することにより、前記吐出容量を
    第1所定量又はそれよりも少ない第2所定量に変化させ
    るようにした可変容量型コンプレッサを駆動する内燃機
    関に用いられる装置であり、 前記可変容量型コンプレッサに対し、前記吐出容量を前
    記第1所定量にするための指令が出されると機関回転速
    度が同指令に応じた目標回転速度となり、前記吐出容量
    を前記第1所定量から前記第2所定量に切替えるための
    指令が出されると、所定のディレイ時間が経過した後、
    前記機関回転速度が前記切替え指令に応じた目標回転速
    度となるように調整用アクチュエータを制御する制御手
    段と、 前記ディレイ時間を前記所定箇所での冷媒の圧力に応じ
    て変更する変更手段とを備えることを特徴とする内燃機
    関のアイドル回転速度制御装置。
  2. 【請求項2】前記変更手段は、前記冷媒圧力が高いと
    き、前記ディレイ時間を、前記冷媒圧力が低いときより
    も長く設定するものである請求項1に記載の内燃機関の
    アイドル回転速度制御装置。
  3. 【請求項3】冷媒循環回路における所定箇所での冷媒の
    圧力変動に応じて変形する感圧部材と電磁アクチュエー
    タとを備え、前記感圧部材の変形にともなう力と前記電
    磁アクチュエータの電磁力とにより、流量制御弁の弁体
    を変位させて吐出容量を変更するとともに、機関アイド
    ル時には、前記冷媒循環回路におけるエバポレータの目
    標温度と実温度との偏差に基づき前記電磁アクチュエー
    タへの電力供給を制御することにより、前記吐出容量を
    第1所定量又はそれよりも少ない第2所定量に変化させ
    るようにした可変容量型コンプレッサを駆動する内燃機
    関に用いられる装置であり、 前記可変容量型コンプレッサに対し、前記吐出容量を前
    記第1所定量にするための指令が出されると機関回転速
    度が同指令に応じた目標回転速度となり、前記吐出容量
    を前記第1所定量から前記第2所定量に切替えるための
    指令が出されると、所定のディレイ時間が経過した後、
    前記機関回転速度が前記切替え指令に応じた目標回転速
    度となるように調整用アクチュエータを制御する制御手
    段と、 前記ディレイ時間を前記電磁アクチュエータに供給され
    る電力に応じて変更する変更手段とを備えることを特徴
    とする内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  4. 【請求項4】前記変更手段は、前記電力が多いとき、前
    記ディレイ時間を、前記電力が少ないときよりも長く設
    定するものである請求項3に記載の内燃機関のアイドル
    回転速度制御装置。
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