JP2003171213A - 農園芸用殺菌剤組成物 - Google Patents

農園芸用殺菌剤組成物

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JP2003171213A JP2001367746A JP2001367746A JP2003171213A JP 2003171213 A JP2003171213 A JP 2003171213A JP 2001367746 A JP2001367746 A JP 2001367746A JP 2001367746 A JP2001367746 A JP 2001367746A JP 2003171213 A JP2003171213 A JP 2003171213A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水希釈時における乳化性、懸垂性
及び長期保存時の懸濁安定性が改善された植物性油と8
−オキシキノリン銅とを有効成分とする農園芸用殺菌剤
組成物を提供することを目的とする。 【解決手段】 植物系油と、8−オキシキノリン
銅と、界面活性剤とを混合してなる農園芸用殺菌剤組成
物であって、前記界面活性剤が、ジオクチルコハク酸カ
ルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンキャスターオイル、
及びマレイン酸部分エステル型ポリマーを含むことを特
徴とする農園芸用殺菌剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸用殺菌剤組
成物であって、さらに詳しくは、植物系油と8−オキシ
キノリン銅とを有効成分とし、薬液の懸濁安定性向上、
水稀釈時における水への拡散性、稀釈液の懸垂性及び乳
化安定性の向上、器具への汚れ軽減効果向上等が達成さ
れ、長期保存時の安定性及び水希釈時の物理性に優れた
農園芸用殺菌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、果樹や野菜等に使用される農園芸
用殺菌剤の技術進歩は目覚しく、低薬量で、広い殺菌ス
ペクトルをもつ有機化合物が多数開発されている。しか
し、農園芸用殺菌剤の過度の連用により、耐性菌の発現
等による効力低下が発生し、安全性が高いとされる農薬
も短命におわることも少なくない。
【0003】耐性菌の発現がなく、安全性が高く、天敵
等への影響が少ない殺菌剤化合物として銅化合物があ
る。もっとも、銅化合物にも、薬害の発生及び耐雨性が
悪い、効果が不安定である等の問題がある。銅化合物の
中で広く使用されて広い殺菌スペクトルをもつ8−オキ
シキノリン銅の上記問題を解決した公知技術として特開
平11−1408号公報に記載された中鎖脂肪酸グリセ
ライドと8−オキシキノリン銅とを配合してなる組成物
がある。この組成物は、中鎖脂肪酸グリセライドの作用
により8−オキシキノリン銅の植物体への付着物性を向
上させることにより、効果の向上、並びに使用回数の低
減が図られている。
【0004】しかし、公知技術に示される組成物は、長
期保存時における懸濁安定性の劣化、水希釈液における
懸垂性及び乳化安定性が悪いなどの諸問題を抱えてい
る。これらの諸問題により組成物を取り扱う際のハンド
リングの悪さが生じるばかりか防除効果の振れの原因に
もなる。なおここで、「懸垂性」とは、水和剤、フロワ
ブル剤などの固体微粒子が水などの液中で均一に分散持
続する性質を言い(農薬化学用語辞典、社団法人日本植
物防疫協会発行)、「効果の振れ」とは、反復繰り返し
の使用に際して薬剤の防除効果が一定にならないことを
いい、防除率で評価される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、水
希釈時における乳化性、及び懸垂性が改善された、植物
性油と8−オキシキノリン銅とを有効成分とする農園芸
用殺菌剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明は、長期保存時の懸濁安定性
が改善された、植物性油と8−オキシキノリン銅とを有
効成分とする農園芸用殺菌剤組成物を提供することを目
的とする。
【0007】さらに、本発明は、植物体への付着物性が
向上し、効果の安定性が改良された植物性油と8−オキ
シキノリン銅とを有効成分とする農園芸用殺菌剤組成物
を提供することを目的とする。本発明は、薬液の分散性
向上、分散状態の向上、懸垂性の向上、器具への汚れ軽
減効果向上等が達成され、長期保存時の分散安定性又は
水希釈時の分散性に優れた農園芸用殺菌剤組成物を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段である本発明は、植物系油と、8−オキシキノリ
ン銅と、界面活性剤とを含有してなる農園芸用殺菌剤組
成物であって、前記界面活性剤が、ジオクチルコハク酸
カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンキャスターオイ
ル、及びマレイン酸部分エステル型ポリマーを含むこと
を特徴とする農園芸用殺菌剤組成物であり、また本発明
の他の態様において、前記植物系油は、中鎖脂肪酸トリ
グリセライドであり、また本発明の他の態様において、
前記植物系油がカプリル酸トリグリセライド及び/又は
カプリン酸トリグリセライドであり、さらに本発明の他
の態様において、前記植物系油と8−オキシキノリン銅
と界面活性剤との混合時間が少なくとも1時間であり、
さらに本発明の他の態様において、前記農園芸用殺菌剤
組成物中における界面活性剤の配合比率が、1質量%〜
15質量%である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の農園芸用殺菌剤組成物
は、植物系油と8−オキシキノリン銅とを有効成分と
し、さらに特定の界面活性剤を有して成る。
【0010】前記植物系油としては、中鎖脂肪酸モノグ
リセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド、及び中鎖脂肪
酸トリグリセライド(以下これら三種のグリセライドを
「中鎖脂肪酸グリセリド」と総称する。)を挙げること
ができる。中鎖脂肪酸グリセライドは、植物油より直接
精製して得られる天然物と、ナタネ、ゴマ、ヤシ、パー
ム等の植物体から抽出された脂肪酸エステルより工業的
に合成された合成物とがある。中鎖脂肪酸グリセライド
は、その化学構造中に二重結合を有しないので一般の植
物油に比べて酸化しにくいという特長を有する。中鎖脂
肪酸グリセライドは、グリセリン1分子に炭素数7〜1
1の中鎖脂肪酸の1分子、2分子、又は3分子がそれぞ
れ結合した構造を有する。中鎖脂肪酸トリグリセライド
の一般式を以下に示す。
【0011】
【化1】 ここで、nは4〜8の整数であり、化1として示される
式中の3個のnは同一でも相違していても良い。
【0012】好適な中鎖脂肪酸グリセライドとしては、
例えば、脂肪酸のカプリル酸トリグリセライド及びカプ
リン酸トリグリセライドを挙げることができる。これら
の中鎖脂肪酸グリセライドは単独で使用してもよいし、
2種以上を混合して使用してもよい。中鎖脂肪酸グリセ
ライドは、水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル
剤、乳剤、及び液剤の形で農園芸用殺菌剤組成物に加用
することができる。
【0013】8−オキシキノリン銅と植物系油との配合
比率は、8−オキシキノリン銅1〜90質量%に対し、
植物系油99〜10質量%であり、好ましくは8−オキ
シキノリン銅1〜40質量%に対し、植物系油99〜6
0質量%である。
【0014】本発明における界面活性剤は、ジオクチル
コハク酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カル
シウム、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンキャスタ
ーオイル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びマ
レイン酸部分エステル型ポリマーからなり、これらを必
須の成分とする。
【0015】前記脂肪酸エステルには、脂肪族モノカル
ボン酸とアルコールとから生成する脂肪酸エステルの
他、脂肪族モノカルボン酸とグリセリンとから生成する
グリセリン脂肪酸エステル、及び脂肪族モノカルボン酸
とソルビタンとから生成するソルビタン脂肪酸エステル
も含まれる。脂肪酸は、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸のい
ずれであってもよく、炭素数9以下の低級脂肪酸でも、
炭素数10以上の高級脂肪酸のいずれであってもよい。
【0016】前記ポリオキシエチレンキャスターオイ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びマレイン
酸部分エステル型ポリマーは、重量平均分子量MWが1
3000〜20000であることが望ましい。
【0017】本発明に係る農園芸用殺菌剤組成物におけ
る植物系油と、8−オキシキノリン銅と、界面活性剤と
の合計に対して、前記界面活性剤の含有割合は、通常、
1〜15質量%であり、好ましくは8〜11質量%であ
る。前記界面活性剤の含有割合が前記範囲内にあると本
発明の目的をよく達成することができ、また、前記界面
活性剤の含有割合が前記下限値よりも小さいと薬剤の水
への分散力、乳化性及び懸垂性の低下に繋がることがあ
り、前記界面活性剤の含有割合が前記上限値を超えると
農園芸殺菌剤組成物の粘度上昇により使用上支障を来す
ことがある。
【0018】本発明の目的を阻害しない限り、本発明の
農園芸用殺菌剤組成物は、上記界面活性剤と共に、上記
界面活性剤以外のアニオン系、カチオン系、ノニオン
系、及び両性の界面活性剤を含むこともできる。
【0019】本発明の農園芸用殺菌剤組成物の製造方法
には、特に限定はない。通常、界面活性剤の使用量が比
較的に少量であり、また界面活性剤の添加が8−オキシ
キノリン銅と植物系油との混合を容易にすることから、
三者をほぼ同時に混合機内に投入し、機械的に混合した
後、サンドグラインダー等の湿式粉砕機で粉砕処理する
ことが望ましい。
【0020】湿式粉砕機における粉砕処理時間は、短く
とも30分であり、好ましくは短くとも1時間であるこ
とが望ましい。特に粉砕処理時間が1時間以上である
と、得られた農園芸用殺菌剤組成物が、チキソトロピー
を有し、長期保存時における懸濁安定性を向上するの
で、より好ましい。
【0021】本発明の農園芸用殺菌剤組成物は、散布時
に所定の濃度に水で希釈して使用する。果実、野菜等の
防除剤として広く利用することができる。
【0022】
【実施例】次に実施例、比較例、参考例及び試験例によ
って本発明を説明するが本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に制約されるものではない。 (参考例1〜10)8−オキシキノリン銅 30部、カ
プリル酸トリグリセリド75%とカプリン酸トリグリセ
リド25%との混合品 59部、及び下記に示す供試界
面活性剤のいずれか一つを11部加えて全体を100部
としてこれを混合後、ガラスビーズを製剤量と等量加え
てサンドグラインダーで1時間粉砕し、参考例1〜10
の製剤を調製した。各製剤の試作時の混合状況、水に5
00倍希釈する時の薬液の水への拡散性、稀釈液の乳化
性、分散保持状況、希釈器具であるビーカへの固形物の
付着程度について以下に示す評価方法に従ってそれぞれ
調べ、その結果を表1に示した。尚、以下表において参
考例は参考と表示する場合がある。
【0023】(供試界面活性剤) A:ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム B:ジオクチルコハク酸カルシウム C:ソルビタン脂肪酸エステル D:グリセリン脂肪酸エステル E:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル F:ポリオキシエチレンキャスターオイル G:ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル H:マレイン酸部分エステル型ポリマー I:AとEとを含有する市販品(商品名ハイマール326H、松
本油脂(株)製) J:BとFとを含有する市販品(商品名GERONOL VO-600
J、ローヌフ゜ーラン社製) (水希釈時の薬剤の拡散状況)この試験は薬剤(薬液と
も称する)の水への拡散性を評価するために行われる。
【0024】薬剤を水の入ったビーカに入れたときの薬
剤の拡散状況を以下の基準で評価した。 A:薬剤がビーカ底部に達するまでにほとんど雲状に分
散する。 B:薬剤が水中を糸を引きながら分散する。あるいは薬
剤の5割程度が、ビーカ底部に達するまでに雲状に分散
する。 C:薬剤がほとんど分散せずに、ビーカ底部に達する。
【0025】上記の評価内容に関し、Aの評価が薬液の
拡散性良好であることを示す。
【0026】(乳化安定性)この試験は、水稀釈時にお
ける乳化性を評価する。以下の評価項目に示すように乳
化状況が良好であることが、農園芸用殺菌剤組成物に必
要である。
【0027】水希釈後の薬剤の乳化状況を以下の基準で
評価した。 ○:乳化状況が良好である。 △:水希釈直後から30分以内の間に薬液面上に油状物
がわずかに認められる。 ×:水希釈直後から薬液面上に油状物が多量に認められ
る。
【0028】(希釈器具への付着)この試験は、農園芸
用殺菌剤組成物の取り扱い性及び作業性を評価する。容
器や他の器具に農園芸用殺菌剤組成物がべたべたと付着
することはその取り扱いを困難にし、また作業が非効率
になる。したがって、以下の評価項目において、ビーカ
に付着物の認められないことが、農園芸用殺菌剤組成物
に必要である。
【0029】水希釈後のビーカへの薬剤の付着状況を以
下の基準で評価した。 ○:ビーカに付着物が認められない。 △:水希釈から1時間後にビーカに黄色の固形物の付着
がわずかに認められる。 ×:水希釈から1時間後にビーカに黄色の固形物の付着
が多量に認められる。
【0030】(凝集の程度)この試験は、農園芸用殺菌
剤組成物の懸垂性を評価する。又、経時的に懸垂性を評
価することは、保存安定性を評価することになる。
【0031】水で希釈してから1時間経過したときにお
ける薬液の凝集の程度を以下の基準で評価した。 −:凝集が認められず、よく分散している。 ±:若干の凝集が認められる。 +:凝集が認められる。 ++:激しい凝集が認められる。
【0032】(比較例1)また、比較例1として特開平
11−1408号公報に示された油系フロアブル製剤に
ついて参考例と同様に試験を行った。比較例1は、8−
オキシキノリン銅30部、カプリル酸トリグリセリド7
5%及びカプリン酸トリグリセリド25%の混合品 5
9部、界面活性剤[E:ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル]9部、界面活性剤[D:グリセリン脂肪酸
エステル]1部、界面活性剤[H:マレイン酸部分エステ
ルポリマー]1部を混合し、ガラスビーズを薬剤量と等
量入
【0033】
【表1】 参考例1〜10の単独又は2種類の界面活性剤を含む薬
剤は、比較例1における一部の物性を改善したが、全て
の物性は改善できなかった。
【0034】(参考例11〜13)上記参考例1〜10
の結果から、試作状況が良好であったマレイン酸部分エ
ステルポリマーと、懸垂性向上効果のあったジオクチル
スルホコハク酸カルシウムとポリオキシエチレンキャス
ターオイルとの混合物を、表2に示す割合で計11部と
なるように、8−オキシキノリン銅30部、カプリル酸
トリグリセリド75%及びカプリン酸トリグリセリド2
5%の混合品59部に加えて、100部とし混合後、ガ
ラスビーズを薬剤量と等量入れ、サンドグラインダーで
1時間粉砕し、参考例11〜13の薬剤とした。これら
の薬剤についても参考例1〜10と同様に試作状況、水
への500倍希釈時の薬剤の拡散性、懸垂性、乳化安定
性、希釈器具であるビーカーへの固着物の付着程度につ
いて調査した。その結果を表2に示す。
【0035】
【表2】 参考例11の界面活性剤の組み合わせにおいて、比較例
1に比べて混合粉砕効率及び懸垂性が向上したが、全て
の物性は改善できなかった。
【0036】(参考例14〜16)8−オキシキノリン
銅30部、カプリル酸トリグリセリド75%及びカプリ
ン酸トリグリセリド25%の混合品59部に、表3に示
す界面活性剤を合計11部となるように加えて100部
とし、これらを混合した後、ガラスビーズを薬剤量と等
量入れ、サンドグラインダーで1時間粉砕した。この各
薬剤についても参考例1〜10と同様に試作状況、水へ
の500倍希釈時の薬剤の拡散性、懸垂性、乳化安定
性、希釈器具であるビーカへの固着物の付着程度につい
て調査した。その結果を表3に示す。
【0037】
【表3】 参考例14の界面活性剤の組み合わせにおいて、混合粉
砕効率及び懸濁性の向上、乳化保持力の改善が認められ
たが、全ての物性は改善できなかった。
【0038】(参考例17〜19)8−オキシキノリン
銅30部、カプリル酸トリグリセリド75%及びカプリ
ン酸トリグリセリド25%の混合品59部に、表4に示
す界面活性剤を合計11部となるように加えて100部
とし、これらを混合した後、ガラスビーズを薬剤量と等
量入れ、サンドグラインダーで1時間粉砕した。この各
薬剤についても参考試験1と同様に試作状況、水への5
00倍希釈時の薬剤の拡散性、懸垂性、乳化安定性、希
釈器具であるビーカへの固着物の付着程度について調査
した。その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】 参考例17の界面活性剤の組み合わせにおいて、混合粉
砕効率及び懸濁性の向上、乳化保持力の改善が認めら
れ、希釈器具への固形物の付着も認められなくなった
が、全ての物性は改善できなかった。
【0040】(実施例1〜3)8−オキシキノリン銅3
0部、カプリル酸トリグリセリド75%及びカプリン酸
トリグリセリド25%の混合品59部に、表5に示す界
面活性剤合計11部となるように加えて100部とし、
これらを混合した後、ガラスビーズを薬剤量と等量入
れ、サンドグラインダーで1時間粉砕した。この各薬剤
についても参考試験1と同様に試作状況、水への500
倍希釈時の薬剤の拡散性、懸垂性、乳化安定性、希釈器
具であるビーカへの固着物の付着程度について調査し
た。その結果を表5に示す。
【0041】
【表5】 実施例1〜3において、混合粉砕効率及び懸濁性の向
上、乳化保持力の改善が認められ、希釈器具への固形物
の付着も認められなくなり、さらに薬剤の拡散性も向上
し、比較例1における全ての物性が改善された。更にま
た、参考例よりも改善された。
【0042】(実施例4、5)実施例4においてはサン
ドグラインダーで1時間粉砕する代わりに30分間粉砕
した外は前記実施例1におけるのと同様にして、実施例
5においてはサンドグラインダーで1時間粉砕する代わ
りに2時間粉砕した外は前記実施例1におけるのと同様
にして、油系フロアブル製剤を調製した。
【0043】試験1(長期保存における懸濁安定性試
験) 実施例1、4、5で調製された油系フロアブル製剤及び
比較例1の製剤を50mlのサンプル管瓶にとり、40
℃虐待条件下における加速保存試験により、懸濁安定性
を調べた。表6に各製剤の粘度と懸濁安定性を示した。
粘度は、各製剤を充分混合した後、10分間静置し、B
型粘度計で測定した。懸濁安定性は、以下の式により算
出した。
【0044】
【数1】
【0045】
【表6】 比較例1に比べ、実施例1、4、5の製剤のいずれもが
優れた懸濁安定性が得られた。特に実施例1及び5の製
剤の安定性が優れていた。粉砕処理時間が1時間以上で
ある実施例1、5の製剤は、粘度の数値からチキソトロ
ピーを有することが確認された。一方同じく粉砕時間1
時間の比較例1の場合は、チキソトロピーが確認されな
かった。チキソトロピーを有する実施例1、5の製剤
は、特に安定性に優れた。
【0046】試験2(薬剤の付着物性試験) 実施例1の製剤を8−オキシキノリン銅が600ppm
となる濃度に希釈し、普通温州ミカンへ充分散布し、葉
面上の薬液が乾燥した後、葉を採取し、葉面上の8−オ
キシキノリン銅濃度を液体クロマトグラフィーにより分
析した。さらに、散布から2週間後の葉を採取し、葉面
上及び葉内部の分析を行った。その間の総雨量は、90
mmであった。
【0047】また、比較例2として市販の有機銅フロア
ブル製剤(8−オキシキノリン銅35%)を、比較例3
として市販の有機銅水和剤製剤(8−オキシキノリン銅
40%)をそれぞれ同様に希釈して散布し、付着物性を
分析した。
【0048】結果を表7に示す。尚、表7における付着
性は、薬液散布直後の葉面上の8−オキソキノリン銅濃
度で評価され、耐雨性は、散布2週間後の葉面上の8−
オキソキノリン銅濃度で評価され、浸透性は、散布2週
間後の葉内部の8−オキソキノリン銅濃度で評価されて
いる。耐雨性におけるかっこ内の数値は、散布直後に対
する減少率(%)を示す。
【0049】
【表7】 実施例1の薬剤は、薬剤付着物性の改善が認められた。
特に市販の製剤である比較例2,3の欠点であった耐雨
性の改善が著しい。また実施例1の薬剤は、分析結果の
ばらつきが小さく、8−オキシキノリン銅がミカン葉へ
均一に付着していることが認められる。
【0050】試験3(ミカンの黒点病に対する効果試
験) 実施例5、比較例1、2の製剤を8−オキシキノリン銅
が表8に示す濃度となるように希釈し、青島温州ミカン
に10日間隔で6回散布し、最終散布から20日後にお
ける黒点病に対する効果を調査した。その結果を表8に
示した。尚、黒点病に対する評価は以下の基準で行っ
た。 0:発病なし 1:病班面積12.5%未満 2:病班面積12.5%以上25%未満 3:病班面積25%以上50%未満 4:病班面積50.0%以上 表8における発病度は、以下の式より求めた。
【0051】
【数2】 また、防除率は以下の式より求めた。
【0052】
【数3】
【0053】
【表8】 実施例1の薬剤は、比較例2及び3の薬剤に比べ黒点病
に対して優れた防除効果を示した。
【0054】試験4(ぶどうにおける薬剤の付着物性試
験) 実施例1、比較例2,3の製剤を8−オキシキノリン銅
が300ppmの濃度となるように希釈し、紅伊豆ぶど
うに7日間隔で2回散布し、第1回の散布直後、第1回
の散布から7日後(その間の総雨量1mm)、第2回の
散布直後、第2回散布から10日後(その間の総雨量6
4mm)のそれぞれにおける葉面上、葉内部における8
−オキシキノリン銅濃度を試験2と同様に分析した。そ
の結果を表9、表10に示した。
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】 みかんの場合と同様に実施例1の薬剤は、薬剤付着物性
の改善が認められた。特に市販の製剤である比較例2,
3の欠点であった耐雨性の改善が著しい。
【0057】試験5(ぶどうの黒点病に対する効果試
験) 実施例1、比較例2の製剤を8−オキシキノリン銅が3
00ppmの濃度となるように希釈し、紅伊豆ぶどうに
7日間隔で2回散布し、第1回の散布から1カ月後、第
2回の散布から1ヶ月後における黒点病に対する効果を
調査した。その結果を表11に示した。尚、黒点病に対
する評価は試験3と同様に行った。
【0058】
【表11】 ミカンと同様に、実施例1の薬剤は、比較例2、3に比
べ黒点病に対して優れた防除効果を示した。特に散布回
数が1回の場合と2回の場合とで防除率に大差がなく、
高い防除率を示し、散布回数の削減が可能と考えられ
る。
【0059】
【発明の効果】本発明によると、従来の植物性油と8−
オキシキノリン銅とを有効成分とする農園芸用殺菌剤組
成物に特定種類の組合せからなる界面活性剤を配合する
ことにより、水希釈時における乳化性、及び懸垂性が改
善された農園芸用殺菌剤組成物、特に薬液の分散性向
上、乳化保持力の向上、懸垂性の向上、器具への汚れ軽
減効果向上等が達成され、長期保存時の懸濁安定性及び
水希釈時の乳化性に優れた農園芸用殺菌剤組成物を得る
ことができた。
【0060】また、上記農園芸用殺菌剤組成物を特定の
時間混合することにより、チキソトロピーが発現し、水
希釈時における乳化性、懸垂性及び長期保存時の懸濁安
定性が改善された農園芸用殺菌剤組成物を得ることがで
きた。
【0061】さらに、上記農園芸用殺菌剤組成物を用い
た防除剤は、従来の植物性油と8−オキシキノリン銅と
を有効成分とする農園芸用殺菌剤に比べて、付着物性が
向上し、効果の安定性が改善された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪野 正明 埼玉県深谷市幡羅町1−13 サンケイ化学 株式会社内 Fターム(参考) 4H011 AA01 BA05 BB16 BC06 BC07 BC19 DA15 DC04 DF03 DG10 DH02 DH03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物系油と、8−オキシキノリン銅と、
    界面活性剤とを含有してなる農園芸用殺菌剤組成物であ
    って、前記界面活性剤が、ジオクチルコハク酸カルシウ
    ム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、脂肪酸エ
    ステル、ポリオキシエチレンキャスターオイル、及びマ
    レイン酸部分エステル型ポリマーを含むことを特徴とす
    る農園芸用殺菌剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記植物系油が中鎖脂肪酸トリグリセラ
    イドであることを特徴とする請求項1に記載の農園芸用
    殺菌剤組成物。
  3. 【請求項3】 前記植物系油がカプリン酸トリグリセラ
    イド及び/又はカプリル酸トリグリセライドであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の農園芸用殺菌剤組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記植物系油と8−オキシキノリン銅と
    界面活性剤との混合物の湿式粉砕処理時間が少なくとも
    1時間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の農園芸用殺菌剤組成物。
  5. 【請求項5】 前記農園芸用殺菌剤組成物中における界
    面活性剤の配合比率が、1質量%〜15質量%であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の農
    園芸用殺菌剤組成物。
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