JP2003170424A - 着色樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

着色樹脂組成物の製造方法

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JP2003170424A
JP2003170424A JP2001373474A JP2001373474A JP2003170424A JP 2003170424 A JP2003170424 A JP 2003170424A JP 2001373474 A JP2001373474 A JP 2001373474A JP 2001373474 A JP2001373474 A JP 2001373474A JP 2003170424 A JP2003170424 A JP 2003170424A
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pigment
colored resin
screw extruder
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JP2001373474A
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Takashi Kato
隆司 加藤
Toshio Yuge
敏夫 弓削
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料の飛散がなく、安全であり、工業的
にも採用可能で、分散性などの品質が良好な樹脂着色
組成物を製造する方法を提供することであり、かつ、
アゾ系顔料を用いた透明性に優れた樹脂組成物を製造す
る方法を提供すること。 【解決手段】 高分散能を有する単軸押出機及び/又は
2軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂とアゾ系顔料とを混
練して、アゾ系顔料が熱可塑性樹脂中に分散された着色
樹脂組成物を製造する方法において、バレルの温度設定
を100℃以下に調整する着色樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック用着
色剤、電子トナー、カラーフィルターなどに有用な、あ
るいは顔料微分散を必要とする着色樹脂組成物の製造方
法に関し、さらに詳しくは、アゾ系粉末顔料と熱可塑性
樹脂とを混練して着色樹脂組成物を製造する方法であっ
て、顔料分散性に優れ、組成物中の顔料凝集物が固化し
た粗大粒子が最大でも80μm以下であり、なおかつ透
明性に優れた着色樹脂組成物を提供することができる製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂と粉末顔料を原料とする着
色樹脂組成物の製造方法は、顔料と熱可塑性樹脂とを
混合し、加熱ニーダー、加熱3本ロール、加熱2本ロー
ルなどのバッチ式混練機で混練する方法と、2軸押出
機、単軸押出機などの連続式混練機で混練する方法とに
大別することができる。
【0003】上記の方法で用いられる混練機は、バッ
チ式であるため運転操作に人手がかかり生産性が低く、
また、開放系であるため、粉末顔料が飛散したり、回転
部分に接触して怪我をするなど環境面と安全面に問題が
あった。
【0004】一方、上記の方法で用いられる混練機
は、連続生産が可能であるために生産性が高いという利
点を有する。2軸押出機は、単軸押出機に比較し、一般
に高い分散機能を有すると言われている。しかし、被混
練物に顔料凝集物の固化した粗大粒子が残りやすく、ま
た、バッチ式混練機で時間をかけて混練する方法に比較
し、顔料の平均粒径が小さくなり難いため、十分な透明
性や着色力を得ることは難しいという問題点があった。
高い顔料分散を得るため、特開平6−11895号公報
や特開平9−101632号公報には、樹脂の軟化点以
下の温度にて混練することが有効である旨、開示されて
いる。しかしながら、2軸押出機では、次のような問題
点を抱えている。
【0005】2軸押出機は、狭いバレル内空隙に材料を
押し込み、バレル内壁とスクリュウの間で材料を磨砕し
て顔料を分散させる機構である。しかし、バレル温度を
樹脂軟化点より大幅に低くすると、被混練物の粘度が高
くなるために過負荷となり、スクリュウを回転させるこ
とができなくなるので、2軸押出機のバレル温度は、樹
脂軟化点近くか、それ以上に保つことが一般的である。
また、2軸押出機で高い顔料分散を得ようとするには、
練り機能の強いスクリュウエレメントを多用したスクリ
ュウ構成を必要とするため、摩擦による発熱量が大き
く、冷却が不十分なため、混練温度が上昇し、被混練物
の粘度が低下する結果、スクリュウによる練り効果が低
くなり、十分な顔料分散が得られ難くなると言われてい
る。また、練り効果が低いため、顔料の平均粒径も細か
くならず、十分な透明性、着色力も得られ難いと言われ
ている。
【0006】熱可塑性樹脂と粉末顔料を混練する場合、
着色樹脂組成物中に分散された顔料の粒子径が細かいほ
ど、すなわち1次粒子径に近いほど、その着色樹脂組成
物の透明性は良好であることが従来から知られている。
すなわち、透明な着色樹脂組成物を得るには、熱可塑性
樹脂と粉末顔料を良く混練し、樹脂中に顔料を細かく分
散させ、10μ以上の粗大粒子を極力減らし、平均粒径
を小さくする必要がある。熱可塑性樹脂と粉末顔料とを
混練してなる着色樹脂組成物中に分散された顔料の平均
粒径は、一般に0.1〜1μm程度である。
【0007】しかしながら、アゾ系顔料と熱可塑性樹脂
中とを混練してなる着色樹脂組成物においては、平均粒
径を細かくする目的で、十分に混練することと、着色樹
脂組成物の透明性を高めることとは結びつかなかった。
熱可塑性樹脂とアゾ系顔料とを十分混練すると分散性が
良くなるが、混練時の加熱により透明性はむしろ低下す
る。アゾ系顔料は100℃以上、とりわけ130℃以上
に加熱すると結晶が成長するので、光の散乱が激しくな
り、その結果着色樹脂組成物が不透明になるからであ
る。従来、一般には、100℃前後あるいはそれ以下の
温度で混練することは極めて稀で、また結晶成長に関し
ての認識も薄いので、前述の混練時のアゾ系顔料の結晶
成長については、ほとんど配慮されていなかった。
【0008】顔料を加熱すると、顔料が凝集する。この
凝集現象によって、熱可塑性樹脂と顔料とを溶融混練し
てなる着色樹脂組成物の透明性が低下する、と論じた文
献も少なくない。確かに、アゾ系以外の顔料では、顔料
が凝集し分散が不十分であると、不透明の原因となる。
しかしながら、熱可塑性樹脂とアゾ系顔料とを溶融混練
してなる着色樹脂組成物が不透明となる原因は、アゾ系
顔料の凝集によりも、アゾ系顔料の結晶形の変化にある
ことが多い。このことはあまり理解されていない。
【0009】一方で、アゾ系顔料の合成方法の面からア
ゾ系顔料の透明性を向上させる方法が提案されている。
例えば、特開平11−310730公報には、アゾ系顔
料をアゾ系顔料誘導体とカップリングさせ、結晶変化を
抑制し、透明性を向上させる方法が開示されている。し
かしながら、そのような方法では、ユーザーが希望する
色相を示すアゾ系顔料を必ず提供できるという保証がな
い。したがって、熱可塑性樹脂中に希望の色相のアゾ系
顔料を分散させるには、アゾ系顔料の透明性を損なうこ
となく、すなわち結晶変化させることなく、溶融混練さ
せる分散技術が不可欠である。
【0010】顔料の結晶形の変化を防止するために、低
い温度で混練する必要があるが、低い混練温度で着色樹
脂組成物を得る方法としては、例えば、特開平9−10
1632号公報に、混練機の温度を低くし、混練粘度を
高くして、シェアーを高め、分散を良くする方法が開示
されている。しかしながら、当該公報には、混練条件と
透明性の関係は述べられていない。
【0011】当該公報には、C.I.Pigment
Yellow 180を、バインダー樹脂の溶融温度よ
り低い温度で混練すると、センダン力が高く、顔料の粒
子径が細かくなり透明性が得られることが開示されてい
る。C.I.PigmentYellow 180は、
ジスアゾ系顔料であるが、当該公報では、2本ロールま
たは3本ロールを用い、結晶変化の危険性が伴う100
〜110℃で混練しており、この場合、被混練物の温度
は130℃前後になっていると考えられる。そのような
高温度で1時間も混練した場合、アゾ系顔料は結晶変化
し、透明性は大幅に低下しているものと考えるが、当該
公報には、当該顔料の結晶変化や混練後の透明性の評価
はなされておらず、また、混練条件と透明性の関係につ
いて、全く言及されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、顔料の飛散がなく、安全であり、工業
的にも採用可能で、分散性などの品質が良好な樹脂着
色組成物を製造する方法を提供することであり、かつ、
アゾ系顔料を用いた透明性に優れた樹脂組成物を製造
する方法を提供することである。具体的には、連続式混
練機で、粗大粒子がなく、顔料の平均粒径が小さく、か
つ透明性に優れた樹脂着色組成物を製造する方法を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、高分散能を有する単軸押出機及び/又は2
軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂とアゾ系顔料とを混練
して、アゾ系顔料が熱可塑性樹脂中に分散された着色樹
脂組成物を製造する方法において、バレルの温度設定を
100℃以下に調整することを特徴とする着色樹脂組成
物の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法で使用する単軸
押出機は、高分散機能を有する特殊型の単軸押出機であ
って、2軸押出機に比較して空隙率が高く、かつ、スク
リュウのニーディング部の長さ(L)とニーディングス
クリュウの径(D)との比(L/D)が11〜22の範
囲にあり、スクリュウが短かいので被混練物の負荷が少
なく、より低温での混練が可能な装置である。また、こ
の高分散機能を有する単軸押出機は、バレル内壁に設置
されたピンと、回転運動と前後運動するスクリュウの間
を、塊状の被混練物を移動させ、被混練物自体のずり応
力によって、顔料を分散させことができる装置である。
その際、低い温度設定でも、被混練物は自己発熱するた
め樹脂の軟化点以上の温度となり、樹脂を溶融させるこ
とができる。
【0015】高分散機能を有する単軸押出機が有する温
度調整ゾーンは、2カ所以上であれば良く、その数には
特に限定はないが、温度調整ゾーンに流通する熱媒体の
温度が個々に異なれば、熱媒体を送り込む熱媒体循環装
置の数もそれだけ必要とするため、多い方が好ましいと
も言えない。したがって、異なる温度の熱媒体を流通さ
せる温度調整ゾーンの数は、3ないし5カ所が好まし
い。
【0016】材料投入孔に近い温度調整ゾーンは、他の
温度調整ゾーンより低い温度設定とすることが好まし
い。本発明で用いる熱可塑性樹脂の化学的性質、物理的
性質、あるいは顔料の種類、銘柄によって分散性は異な
るため、その温度は明確に規定はできないが、良好な透
明性を得るためには100℃以下が好ましい。さらに、
良好な分散性を得るには用いる熱可塑性樹脂の軟化点温
度よりも40℃以上低い温度に設定することが好まし
く、用いる熱可塑性樹脂の軟化点温度よりも60℃以上
低い温度に設定することが特に好ましい。それは、熱可
塑性樹脂と顔料から成る材料を材料投入孔に投入してか
らも、直ちに樹脂が可塑化しないため、その間に顔料中
に含まれていた顔料凝集物がほぐされるので、顔料凝集
物が固化して粗大粒子となる現象が抑制でき、分散性を
高めることができる。また、他の温度調整ゾーンにおい
ても、同様に、少なくとも100℃以下、分散の難しい
顔料においては、用いる熱可塑性樹脂の軟化点温度より
も40℃以上低い温度に設定することが好ましく、用い
る熱可塑性樹脂の軟化点温度よりも60℃以上低い温度
に設定することが特に好ましい。たとえば、軟化点温度
が110℃の熱可塑性樹脂の場合、温度設定は70℃以
下が好ましく、50℃以下が特に好ましい。
【0017】また、温度調整ゾーンが3カ所あるなら
ば、一番排出口に近い温度調整ゾーンの熱媒体の温度
は、他の温度調整ゾーンの熱媒体温度よりも少し高めと
するのが好ましい。換言すれば、被混練物の混練温度
が、用いる熱可塑性樹脂の軟化点温度よりも10〜30
℃高い温度となるように、熱媒体の温度を設定あるいは
調整することが好ましい。混練物を排出するまでには、
一度、混練温度を高めて、完全に樹脂を溶融させる必要
があるからである。なお、本発明における樹脂の軟化点
は、JIS K2207に規定された方法により測定し
た値である。
【0018】ここで、温度調整ゾーンの設定温度となる
バレル温度について説明する。バレル温度とは、バレル
内部に温度センサーが内蔵されている場合、センサーで
測定された温度であり、温度センサーが内蔵されていな
い場合、バレルに内蔵されたパイプを流通する熱媒体の
温度である。材料を混練していない場合のバレル温度
は、後述する2軸押出機においては、バレルに内蔵され
た電熱ヒーターで加熱されたバレルの測定温度である。
一方、バレルに内蔵されたパイプに熱媒体を流通させる
押出機におけるバレル温度とは、バレルに内蔵されたパ
イプの内部に流通させる熱媒体の温度に近い温度であ
る。温度設定とは、一般に混練する前の電熱ヒーター又
は熱媒体を特定の温度に設定することであるが、後述す
る2軸押出機では、バレルブロックが短いため、連結す
る複数のバレルブロックを同一温度に設定して、一つの
温度調整ゾーンを形成する。また、バレルに内蔵された
パイプに熱媒体を流通させることのみで温度調整する押
出機では、通常、バレルブロックは長いため、一つのバ
レルブロックが一つの温度調整ゾーンを形成する。
【0019】材料を混練している場合のバレル温度は、
材料の摩擦熱の影響を受けるため、当初の温度設定より
高くなる。温度調整ゾーンを2カ所以上有する場合、個
々のゾーンの温度設定を同一温度にしても、バレル内を
通過する材料はスクリュウ構成の影響を受け、練られる
場所によって発生する摩擦熱の熱量が異なるため、個々
の温度調整ゾーンに対応するバレル温度は異なり、かつ
全般に高くなる。そこで、バレルに内蔵されたパイプに
熱媒体を流通させる押出機においては、熱媒体の温度を
一定に保つことで、バレル温度も当初の温度設定に保つ
ことができるように工夫されている。また、後述する2
軸押出機においては、電熱ヒーターのオン・オフとバレ
ルに内蔵されたパイプに流通させる熱媒体(たとえば、
冷水)を用いて調整し、バレル温度を当初の温度設定に
保つことができるように工夫されている。
【0020】混練温度とは、本来、混練されている材料
の温度であり、バレル内を通過する被混練物の温度を、
バレル内壁に設置したセンサーで測定する方法も提案さ
れているが、実際には正確に測定できないため、一般に
は押出機の吐出口から出た直後に熱伝対温度計や輻射温
度計で測定した被混練物の温度を以て混練温度としてい
る。
【0021】図1に、温度調整ゾーンを3カ所有する高
分散機能を有する単軸押出機の概略図と温度調整ゾーン
の区分(1、2、3)を示した。
【0022】バレルに内蔵されたパイプ内に流通させる
熱媒体は、調温された水や油でも十分であるが、冷却効
率が高い冷媒であっても良く、熱媒体循環装置によって
パイプに送り込む。前者の水の場合には加圧することに
より、常温から140℃の調温が可能であり、後者の場
合には、不凍液を添加した水で、たとえば0℃から30
℃の調温、あるいは0℃以下の調温も可能となる。温度
調整ゾーンの温度設定とその温度を一定に保つよう、適
切な熱媒体および熱媒体供給装置を選定することが好ま
しい。
【0023】本発明の製造方法で使用するバレルに熱媒
体を流通させるパイプを内蔵した温度調整ゾーンを2カ
所以上有し、かつ、高分散機能を有する市販の単軸押出
機としては、ブス(Buss)社製のコ・ニーダーが挙げら
れる。
【0024】ブス社製のコ・ニーダーは、単軸のスクリ
ュウ、ギアボックス、駆動接続部、2以上の温度調整ゾ
ーンを有するバレル、温度調整用のパイプ等が収納され
たベースとからなり、スクリュウの混練エレメントは、
1周につき3カ所のギャップが設けられたフライトを有
し、回転と同時に前後運動するスクリュウと、このギャ
ップと、バレル内壁に3列に並べて設置されたピンの働
きにより、混練効率を向上させることができるものであ
る。
【0025】高分散機能を有する単軸押出機のスクリュ
ウの構成は、練り機能の強いエレメント、あるいは材料
をバレル内に滞留させる機能を有するエレメントを多用
した方が、顔料の分散性を高めることができるので、好
ましい。ただし、材料投入孔に最も近い温度調整ゾーン
(A)に設置するスクリュウエレメントは、練り機能の
強いものを避けることが好ましい。2番目以降の温度調
整ゾーンに設置するスクリュウエレメントは、練り機能
の強いエレメントを多用する方が分散性には好ましい
が、発熱が高く被混練物の温度が130℃以上を長く維
持するようであると透明性が顕著に低下するので、必ず
しも練りの強いエレメントを多用する必要はない。ま
た、分散性をさらに高めるには、被混練物を堰き止め、
滞留時間を長くする目的で、バレル内壁にリング状の絞
りリング(6、7)を1個ないしは間隔を空けて2個以
上取り付け、また、絞りリングの位置から材料投入孔に
近い部分(B)のスクリュウには、練り機能が強いエレ
メントを連続で2ないし3個以上使用することが好まし
い。
【0026】図2に、単軸押出機のバレル内部における
スクリュウエレメントおよび絞りリングの位置の関係を
示した。
【0027】2軸押出機は、一般の単軸押出機と比較し
て、混練物の顔料分散性に優れていると言われている。
2軸押出機を使用した従来の混練方法では、樹脂の軟化
点近くか軟化点以上にバレル温度を設定するのが通常で
ある。2軸押出機のバレルには、電熱ヒーターが内蔵さ
れており、また、混練時の発熱によりバレル温度が高く
なった場合の温度調整のために、冷却用通水パイプも内
蔵されており、100℃以下にバレル温度を設定するこ
とも可能であるが、実際に100℃以下にバレル温度を
設定して使用することは極めて少ない。その第1の理由
は、バレル温度を100℃以下に設定しても、被混練物
の温度が低いので、粘度が高く、そのために、負荷が増
大し、スクリュウの回転が不可能となるからである。ま
た、100℃以下にバレル温度を設定して使用しない第
2の理由は、2軸押出機が、バレル内壁とスクリュウエ
レメントの端の狭い空隙を利用して、顔料を分散させる
ため、負荷がかかり易い構造となっているからである。
同様の理由により、高分散機能を有する単軸押出機にお
いても、バレル温度の設定を低くすることは極めて少な
い。
【0028】本発明の製造方法は、使用する2軸押出機
のスクリュウ構成を練り機能の弱い構成にし、負荷を少
なくして発熱を抑制し、かつ、バレル温度を100℃以
下に設定することによって、最終用途で要求される分散
性と透明性を同時に満足する着色樹脂組成物を得るもの
である。
【0029】温度調整ゾーンについては、2軸押出機の
場合も、単軸押出機と同様の考え方である。一般の2軸
押出機は、温度設定可能なバレルブロックを、6ないし
20個、通常は10個以上有し、温度調整はバレルに内
蔵した電熱ヒーターで加熱し、別にバレルに内蔵したパ
イプに流通させる熱媒体で冷却を行っている。これらの
バレルブロック1個の長さは短く、1個のブロックで被
混練連物の温度を調整することは困難である。そこで、
連続する2から4個のブロックを同じ温度に設定するこ
とが多く、本発明では、温度設定可能なバレルブロック
の2ないし4個の連続した部分を、温度調整ゾーン1カ
所とする。したがって、1台の2軸押出機は、3ないし
10カ所の温度調整ゾーンを有することになるが、通常
は4ないし6カ所が好ましい。また、バレルに内蔵した
パイプに流通する熱媒体は通常冷水を用いるが、冷却を
効果的にするため熱媒体循環装置の冷媒を流通させるこ
ともある。この場合は、1台の熱媒体循環装置から、連
続する2ないし4個のバレルブロックに冷媒を連続的に
流通させるのが効率的である。
【0030】2軸押出機のスクリュウも同様に、第1温
度調整ゾーンから第2ないし第3温度調整ゾーンに位置
する部分は、練り機能が弱く、拡散機能を有するスクリ
ュウエレメントで構成し、第4温度調整ゾーンから吐出
口に位置する部分は、練り機能の強いスクリュウエレメ
ントを多用することが好ましい。
【0031】本発明の製造方法に用いる熱可塑性樹脂と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル
酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステ
ル樹脂などの重合体、これらを組合わせた共重合体、こ
れらの樹脂の単量体とアクリル酸、フマル酸などとの共
重合体、などが挙げられる。これらの重合体の分子量の
大きさは、使用目的に適合し、かつ、後述する軟化点温
度の条件を満たす範囲であれば、特に制限がない。ま
た、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いることも、2
種類以上の樹脂を混合して用いることもできる。
【0032】プラスチック用着色剤の用途には、ポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、
ABS樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることが好ま
しく、また、電子トナー用途には、飽和ポリエステル樹
脂やアクリルースチレン共重合体などを用いることが好
ましく、さらに、カラーフィルター用途には、(メタ)
アクリル酸エステル樹脂、あるいは(メタ)アクリル酸
エステルと、(メタ)アクリル酸あるいは他のカルボキ
シル基及び/又は水酸基を有するモノマーとの共重合体
などを用いることが好ましい。
【0033】これらの樹脂の軟化点温度は、130℃以
下が好ましい。バレルの温度設定が100℃以下であっ
ても、摩擦熱により、被混練物の温度は軟化点温度以上
になるため、樹脂は十分溶融する。しかし、アゾ系顔料
は、100℃以上、とりわけ130℃以上になると急速
に結晶成長するので、押出機内にこの温度以上で長く滞
留させることは好ましくない。ただし、軟化点温度が1
30℃以上の樹脂を100℃以上のバレル温度、たとえ
ば120℃で混練しても、たとえば150℃のバレル温
度で混練した場合より、相対的に透明な着色樹脂組成物
が得られる。
【0034】2種類あるいは数種類の熱可塑性樹脂を混
合して用いる場合、その軟化点温度は厳密に規定できな
いが、当該発明においては、用いる複数の熱可塑性樹脂
の個々の軟化点温度と混合比率から求めた加重平均値を
その軟化点温度とする。また、複数樹脂の中で最も高い
軟化点温度を有する熱可塑性樹脂を完全に溶融させるた
め、たとえば、3カ所の温度調整ゾーンを有する高分散
機能を有する単軸押出機の場合、一番排出口に近い温度
調整ゾーン部分の被混練物の温度を、その軟化点温度よ
り10〜30℃高い温度となるように温度設定あるいは
調整するなど、配慮することが好ましい。
【0035】本発明の製造方法で用いるアゾ系顔料とし
ては、構造的にアゾレーキ、モノアゾ、ジスアゾ、縮合
アゾなど、主として黄色系統、赤色系統の顔料があり、
C.I.ナンバーで列挙すると、アゾレーキ系では、P
igment Yellow133、Pigment
Red 53:1、48:1、48:2、48:3、4
8:4、57:1、211などの顔料、モノアゾ系で
は、PigmentYellow 1,3、73、7
4、97、130、151、154、181,Pigm
ent Red 5、22、23、31、213、Pi
gment Violet 44、Pigment O
renge 36などの顔料、ジスアゾ系では、Pig
ment Yellow 12、13、14、17、5
5、81、83、180、183、136、Pigme
nt Orenge 13、16などの顔料、縮合アゾ
系では、Pigment Yellow 93、95、
128、214、Pigment Red 242、な
どが挙げられる。
【0036】これらのアゾ系顔料の中でも、プラスチッ
ク用着色剤に好ましいアゾ系顔料としては、Pigme
nt Yellow 83、93、Pigment R
ed48:2、214、57:1、48:2、などが挙
げられ、また、電子トナーに好ましいアゾ系顔料として
は、Pigment Yellow 12、13、1
7、180、Pigment Red 57:1、など
が挙げられ、さらに、カラーフィルターに好ましい顔料
としては、Pigment Yellow 83、など
が挙げられる。
【0037】なお、顔料は、それぞれ透明性が違うた
め、本発明では、個々の顔料における着色樹脂組成物の
透明性の良否を論じることになり、顔料間の相対比較は
できない。また、顔料によって熱による結晶変化の程度
も異なるため、本発明の製造方法で非常に透明な着色樹
脂組成物が得られる場合もあるし、得られにくい場合も
ある。たとえば、C.I.Pigment Yello
w 17やC.I.Pigment Red 214は
熱による結晶変化が大きいため、本発明による効果は大
きい。
【0038】さらに、分散性も顔料によって異なる。分
散の容易な顔料を用いた場合、顔料分散の良い着色樹脂
組成物は得られやすく、分散の難しい顔料を用いた場
合、得られにくい。分散の容易な顔料を用いた場合、第
2温度調整ゾーン部分のスクリュウ、あるいはそれ以
降、吐出口までのスクリュウのエレメントを練り機能の
弱いエレメントにすることができるため、発熱が少な
く、したがって、被混練物の温度も低くなり、顔料の結
晶変化の少ない、透明な着色樹脂組成物が得られる。
【0039】樹脂100重量部に対するアゾ系顔料の使
用割合は、1〜100重量部の範囲が好ましい。なお、
顔料の使用割合が高いほど、押出機にかかる負荷が高い
ため、顔料の使用割合が低い場合より、材料投入孔に最
も近い温度調整ゾーンの熱媒体の温度を高く設定するこ
とが好ましい。ただし、熱可塑性樹脂が可塑化した時点
以降は、顔料の使用割合が高いほど摩擦熱は多く発生す
るので、被混練物の混練温度は高くなる傾向がある。そ
の場合は、2番目以降の温度調整ゾーンの熱媒体温度
を、過負荷にならない程度で、低く調整することが好ま
しい。
【0040】また、着色樹脂組成物には、顔料及び樹脂
以外に、着色樹脂組成物の用途に応じて、分散性、帯電
制御剤、体質顔料などの添加剤を加えることができる。
たとえば、プラスチック用着色剤用途ならば帯電防止剤
を、電子トナー用途ならば帯電制御剤、滑剤を、カラー
フィルター用途ならば分散剤などを加えることもでき
る。
【0041】顔料及び樹脂は、単軸押出機に投入する前
に、予備混合しておくことが好ましい。また、樹脂には
ペレット状のものと粉末状のものがあるが、顔料と樹脂
を均一に混合させるためには、粉末状の樹脂を用いる
か、あるいはペレット状の樹脂の場合には、予め粉砕し
て粉末の状態で用いることが好ましい。粉末状の樹脂と
顔料の混合物は、嵩比重が小さいので、飛散したり、押
出機への供給量が制限される。そこで、縦型高速ミキサ
ーに入れて混合し、その摩擦熱で樹脂を半溶融させ、樹
脂表面に顔料を付着させ、あるいは樹脂同士を付着させ
て、軽く造粒させておくことが好ましい。一般に、有機
顔料は無機顔料に比較して嵩比重が小さいので、この方
法を採用し、たとえば、有機顔料100部と樹脂100
部を混合して材料とする場合、嵩比重0.2〜0.4の
混合物を、嵩比重0.4〜0.6の範囲に軽く造粒させ
てから、本発明の製造方法に適用することが好ましい。
【0042】本発明の製造方法で得られる着色樹脂組成
物は、一般に2〜5mmに粉砕して用いられる。この粉砕
物をさらに粉砕し、たとえば、50μmの篩で分級し、
粉末状の熱可塑性樹脂用着色剤として使用するか、ある
いは熱可塑性樹脂、帯電防止剤などと混合した後、単軸
押出機や2軸押出機で溶融混練した後、賦形してペレッ
ト状や粒状の熱可塑性樹脂用着色剤とすることができ
る。また、この着色樹脂組成物の粉砕物と熱可塑性樹脂
及び帯電制御剤と混合した後、2軸押出機などで溶融混
練し、粗砕したものを、さらに微粉砕した後、5〜10
μmに分級して電子トナーとすることができる。また、
この粉砕物と、分散剤、樹脂及び溶剤とをビーズミルに
入れて、さらに分散させた後、ろ過し、光重合多官能性
モノマー、光重合開始剤、アルカリ可溶性バインダー樹
脂の溶液に入れ、カラーフィルター用顔料分散レジスト
とすることもできる。
【0043】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて、本発明
を更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実
施例により限定されるものではない。なお、例中の
「部」および「%」は重量基準である。
【0044】<実施例1>粉末状ポリエチレンワックス
(分子量6,400、軟化点110℃)100部とジス
アゾ系黄色顔料(Pigment Yellow 83)100部とを
加熱型混合攪拌機に入れて攪拌混合し、これを、温度調
整ゾーン3カ所を有し、かつ、高分散機能を有する単軸
押出機(ブス(Buss)社製のコ・ニーダーMDK−4
6)を用いて混練した。その際、3カ所の温度調整ゾー
ン(以下、材料投入孔に最も近いゾーンから、第1温度
調整ゾーン、第2温度調整ゾーン、第3温度調整ゾーン
とする)のパイプには、それぞれ20℃の水を流通させ
た。材料供給直後は、樹脂が可塑化せず、吐出口から粉
状の材料が排出されたが、材料がシリンダ内に充満した
段階で、材料同士の摩擦熱により樹脂が可塑化し、吐出
口から溶融した混練物が排出された。このときの混練物
の温度は、120℃で、吐出量は20kg/時間であっ
た。排出された混練物を冷却2本ロールで圧延した後、
ロータリーカッター式粉砕機で粉砕して小片状の着色剤
ベースを得た。
【0045】このようにして得た着色剤ベースを下記に
示す評価方法で、顔料分散性を確認したところ、顔料分
散性は合格であった。そこで、この着色剤ベース5部と
ポリエチレン樹脂100部をタンブラーで混合し、単軸
押出機を用いて混練し、ストランド状に押出し、ペレタ
イザーで切断してペレット状のポリエチレン樹脂用黄色
着色剤とした。
【0046】[顔料分散性の評価]上記で得た小片状の
着色剤ベース10部と低密度ポリエチレン90部とを1
50℃に加熱した直径6インチの2本ロールで5分間練
肉した後、厚さ1mmの黄色シートを製造した。
【0047】このようにして得たシートから、約1mgの
試料を切り取り、スライドグラス上に置き、カバーグラ
スを上にのせた後、230℃にて加熱プレスし、厚さ1
5〜20μmのフィルム状とした後、100倍の光学顕
微鏡で最も粒子径の大きな顔料固化物粒子を選定し、そ
の粒径(円相当径、すなわち粒子の面積と同等の面積を
有する円の直径で表す)を画像解析装置を用いて求め
た。このシートから無作為に切り取った10個の試料に
関して、同様にして、各試料のそれぞれ最大の粗粒子の
粒子径を求め、その中でも最大の粒子径をその着色剤の
最大粗粒子径とした。この着色剤ベースの顔料分散性の
判定基準は、表1に示した基準に基づいてランク分けし
た後、最大粗粒子径が80μm以下(A1からB2のラ
ンクに属する粒径)のものを「○」と評価し、それ以外
のものを「×」(分散不良)と評価し、評価結果を表2
に示した。
【0048】
【表1】
【0049】[透明性の評価]先のようにして得た小片
状の着色剤ベース10部と低密度ポリエチレン90部と
を150℃に加熱した直径6インチの2本ロールで5分
間練肉した後、厚さ1mmの黄色シートを製造した。
【0050】このシートに透過光をあて、透明性の評価
を行ない、とりわけ透明ならば◎、透明ならば○、不透
明ならば×と評価した。
【0051】<実施例2>実施例1において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーン(第1温度調整ゾーン)に流通させる水
の水温を50℃、次のゾーン(第2温度調整ゾーン)に
流通させる水の水温を70℃、吐出口に近いゾーン(第
3温度調整ゾーン)に流通させる水の水温を100℃と
した以外は、実施例1と同様にして、小片状の着色剤ベ
ースを製造した。このようにして得た黄色着色剤ベース
について、実施例1と同様にして、顔料分散性、透明性
の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0052】<比較例1>実施例1において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーンに流通させる水の水温を20℃、次のゾ
ーンに流通させる水の水温を50℃、吐出口に近いゾー
ンに流通させる水の水温を120℃とした以外は、実施
例1と同様にして、小片状の着色剤を製造した。このよ
うにして得た黄色着色剤について、実施例1と同様にし
て、顔料分散性、透明性の評価を行い、その結果を表2
に示した。
【0053】<比較例2>実施例1において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーンに流通させる水の水温を100℃、次の
ゾーンに流通させる水の水温を70℃、吐出口に近いゾ
ーンに流通させる水の水温を50℃とした以外は、実施
例1と同様にして、小片状の着色剤を製造した。このよ
うにして得た黄色着色剤について、実施例1と同様にし
て、顔料分散性、透明性の評価を行い、その結果を表2
に示した。
【0054】
【表2】
【0055】上表において、分散性の欄における合否
は、表1に示した分散性のランクにおいて、B2ランク
以上のものを合格(○)とし、C1ランク以下のものを
不合格(×)とした。
【0056】<実施例3>直鎖ポリエステル樹脂(分子
量10,000、軟化点100℃)100部とジスアゾ
系顔料(Pigment Yellow 17)100部とを縦型混合
機で20分間混合し、その際に発生する摩擦熱で上昇す
る温度において、軽く造粒した後、これを温度調整ゾー
ン3カ所、スクリュウ通水冷却機能を有し、かつ、高分
散機能を有する単軸押出機(ブス(Buss)社製のコ・ニ
ーダーMDK−46)で混練した。スクリュウに内蔵す
るパイプに流通させる水温を0℃に設定し、3カ所の温
度調整ゾーンのパイプには、すべて20℃の水を流通さ
せた。材料供給直後は、樹脂が可塑化せず、吐出口から
粉状の材料が排出されたが、材料がシリンダ内に充満し
た段階で、材料同士の摩擦熱により樹脂が可塑化し、吐
出口から溶融した混練物が排出された。このときの混練
物の温度は138℃で、吐出量は10kg/時間であっ
た。排出された混練物を冷却2本ロールで圧延した後、
ロータリーカッターで粗砕し、さらに2mmのスクリーン
を設置したナイフ型粉砕機で粉砕し、粉粒状の電子トナ
ーベース(マスターバッチ)を得た。
【0057】このトナーベースを下記に示す評価方法に
より、顔料分散性を確認したところ、顔料分散性は合格
であった。そこで、このトナーベース12部と直鎖ポリ
エステル樹脂100部、荷電制御剤(サリチル酸クロム
錯体)4部をタンブラーで混合した後、2軸押出機で混
練してベルト状に押出し、スチールベルトクーラーで冷
却圧延、粗砕して小片状とした後、粉砕、分級して5〜
10μmの大きさの黄色電子トナーを得た。
【0058】[顔料分散性の評価]先のようにして得た
トナーベース10gと直鎖ポリエステル樹脂30gとを
容量200mlのガラス瓶に入れ、次いでトルエン60g
を加えて完全に溶解させる。この液をガラス板上にピペ
ットで1滴落とし、カバーグラスを上に軽くのせた後、
放置して乾燥させる。このようにして得た乾燥被膜を1
0個作成し、実施例1と同様にして、最大粗粒子径を求
めた。実施例5における顔料分散性の結果を表3に示し
た。このトナーベースの顔料分散性の判定基準は、最大
粗粒子径がA1からA3の範囲(40μm以下)のもの
を「○」(分散良好)と評価し、それ以外のものを
「×」(分散不良)と評価した。
【0059】[透明性の評価]顔料分散性の評価に用い
たトルエン溶液を、厚み0.2mmのポリエステルフィル
ムにバーコーター#26でコートし乾燥させ、透過光を
当て透明性を評価した。この評価結果を表3に示した。
【0060】<実施例4>実施例3において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーン(第1温度調整ゾーン)に流通させる水
の水温を20℃、次のゾーン(第2温度調整ゾーン)に
流通させる水の水温を40℃、吐出口に近いゾーン(第
3温度調整ゾーン)に流通させる水の水温を80℃とし
た以外は、実施例5と同様にして、粉粒状のトナーベー
スを製造した。このようにして得たトナーベースについ
て、実施例3と同様にして、顔料分散性の評価を行い、
その結果を表3に示した。
【0061】<実施例5>実施例3において、同様の処
理をした材料を、高分散機能を有する単軸押出機の代わ
りに、12カ所の温度調整ブロックを有する2軸押出機
で混練した。加熱するための電熱ヒーターと冷却水を流
通させるパイプを内蔵した12個の温度調整ブロックの
内、最初の連続する3個を第1温度調整ゾーン、次の連
続する3個を第2温度調整ゾーン、次の連続する3個を
第3温度調整ゾーン、最後の連続する3個を第4温度調
整ゾーンとし、4カ所の温度調整ゾーンの設定温度をそ
れぞれ60℃、70℃、80℃、80℃とした。また、
第1および第2温度調整ゾーンに位置するスクリュウ
は、練機能の弱い、拡散を目的としたスクリュウエレメ
ントで構成し、第3温度調整ゾーンに位置するスクリュ
ウ部分のみ練り機能の強いエレメントを用いて、スクリ
ュウ回転数300rpmで混練した以外は、実施例3と
同様にして粉粒状のトナーベースを製造した。このよう
にして得たトナーベースについて、実施例3と同様にし
て、顔料分散性の評価を行い、その結果を表3に示し
た。
【0062】<比較例3>実施例3において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーン(第1温度調整ゾーン)に流通させる水
の水温を20℃、次のゾーン(第2温度調整ゾーン)に
流通させる水の水温を40℃、吐出口に近いゾーン(第
3温度調整ゾーン)に流通させる水の水温を120℃と
した以外は、実施例3と同様にして、粉粒状のトナーベ
ースを製造した。このようにして得たトナーベースにつ
いて、実施例3と同様にして、顔料分散性の評価を行
い、その結果を表3に示した。最大粗大粒子は、40μ
m以下であったが、透明性が実施例3に比較し劣ってお
り、この用途では不合格であった。
【0063】<比較例4>実施例3において、3カ所の
温度調整ゾーンのパイプに流通させる水温を、材料投入
孔に近いゾーン(第1温度調整ゾーン)に流通させる水
の水温を120℃、次のゾーン(第2温度調整ゾーン)
に流通させる水の水温を40℃、吐出口に近いゾーン
(第3温度調整ゾーン)に流通させる水の水温を20℃
とした以外は、実施例3と同様にして、粉粒状のトナー
ベースを製造した。このようにして得たトナーベースに
ついて、実施例3と同様にして、顔料分散性の評価を行
い、その結果を表3に示した。
【0064】<比較例5>実施例5において、4カ所の
温度調整ゾーンの設定温度をそれぞれ60℃、100
℃、120℃、120℃とした以外は、実施例5と同様
にして、粉粒状のトナーベースを製造した。このように
して得たトナーベースについて、実施例3と同様にし
て、顔料分散性の評価を行い、その結果を表3に示し
た。
【0065】
【表3】
【0066】上表において、分散性の欄における合否
は、表1に示した分散性の合否基準において、A3ラン
ク以上のものを合格(○)とし、A4ランク以下のもの
を不合格(×)とした。
【0067】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、顔料の粗大
粒子が最大でも80μm以下にまで分散させることがで
きるので、顔料分散性に優れ、透明性の良好な着色樹脂
組成物が得られる。また、本発明の製造方法で得られる
着色樹脂組成物は、平滑性を有する熱可塑性樹脂のフィ
ルム、射出成型品などを成形する際の着色剤、あるい
は、紙やOHPフィルムに鮮明な可視画像を形成するた
めの電子カラートナー、あるいは色相の鮮明な液晶カラ
ーディスプレイのカラーフィルターに供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度調整ゾーンを3カ所有する単軸押出機の概
略図である。
【図2】単軸押出機のバレル内部におけるスクリュウエ
レメントと絞りリングの位置関係を示す概略図である。
【符号の説明】
1 第1温度調整ゾーン 2 第2温度調整ゾーン 3 第3温度調整ゾーン 4 材料投入孔 5 材料が進む方向 6 絞りリング1 7 絞りリング2 A 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーン B 2番目以降の温度調整ゾーン

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分散能を有する単軸押出機及び/又は
    2軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂とアゾ系顔料とを混
    練して、アゾ系顔料が熱可塑性樹脂中に分散された着色
    樹脂組成物を製造する方法において、バレルの温度設定
    を100℃以下に調整することを特徴とする着色樹脂組
    成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記単軸押出機として、バレルに熱媒体
    を流通させるパイプを内蔵した温度調整機能を有する単
    軸押出機を用い、かつ、当該パイプに流通させる熱媒体
    の温度を100℃以下に調整する請求項1記載の着色樹
    脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記単軸押出機として、バレルに熱媒体
    を流通させるパイプを内蔵した温度調整ゾーンを2カ所
    以上有し、かつ、高分散機能を有する単軸押出機を用い
    る請求項2記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーンの
    パイプに流通させる熱媒体の温度を熱可塑性樹脂の軟化
    点温度よりも40℃以上低い温度に設定するとともに、
    全ての温度調整ゾーンのパイプに流通させる熱媒体の温
    度を100℃以下とする請求項3記載の着色樹脂組成物
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーンの
    温度設定を、他の温度調整ゾーンの温度設定よりも低く
    する請求項4記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱媒体が冷媒である請求項4又は5記載
    の着色樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーンに
    配置するスクリュウの練り機能を、他の温度調整ゾーン
    に配置するスクリュウの練り機能よりも弱く設定する請
    求項4、5又は6記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 ジスアゾ系顔料がC.I.Pigmen
    t Yellow12、17、83、93及びC.I.
    Pigment Red 48:2、57:1、21
    4、242からなる群から選ばれる顔料である請求項1
    〜7のいずれか1項記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記2軸押出機として、加熱するための
    電熱ヒーターと冷却するための熱媒体を流通させるパイ
    プとをバレルに内蔵した、温度調整機能を有する2軸押
    出機を用いる請求項1記載の着色樹脂組成物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記2軸押出機として、加熱するため
    の電熱ヒーターと冷却するための熱媒体を流通させるパ
    イプとを内蔵した温度設定可能なバレルブロックを6個
    以上有し、かつ、同じ温度に設定された隣接する2〜4
    個のバレルブロックからなる温度調整ゾーンを複数有す
    る2軸押出機を用いる請求項9記載の着色樹脂組成物の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記2軸押出機の少なくとも1カ所の
    温度調整ゾーンの温度を、前記熱可塑性樹脂の軟化点温
    度よりも40℃以上低い温度に設定する請求項10記載
    の着色樹脂組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーン
    の温度設定を、他の温度調整ゾーンの温度設定よりも低
    くする請求項11記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  13. 【請求項13】 熱媒体が冷媒である請求項11又は1
    2記載の着色樹脂組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 材料投入孔に最も近い温度調整ゾーン
    に配置するスクリュウの練り機能を、他の温度調整ゾー
    ンに配置するスクリュウの練り機能よりも弱く設定する
    請求項9〜13のいずれか1項記載の着色樹脂組成物の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 ジスアゾ系顔料がC.I.Pigme
    nt Yellow12、17、83、93あるいは
    C.I.Pigment Red 48:2、57:
    1、214、242などである請求項9〜14のいずれ
    か1項記載の着色樹脂組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2009022516A1 (ja) * 2007-08-10 2010-11-11 東亞合成株式会社 接着性樹脂組成物の製造方法及び樹脂フィルム並びに積層体
JP2013160783A (ja) * 2012-02-01 2013-08-19 Toyo Ink Sc Holdings Co Ltd カラーフィルタ用着色組成物の製造方法、カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ

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