JP2003170282A - レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置 - Google Patents

レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置

Info

Publication number
JP2003170282A
JP2003170282A JP2001373658A JP2001373658A JP2003170282A JP 2003170282 A JP2003170282 A JP 2003170282A JP 2001373658 A JP2001373658 A JP 2001373658A JP 2001373658 A JP2001373658 A JP 2001373658A JP 2003170282 A JP2003170282 A JP 2003170282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light intensity
penetration depth
laser beam
welding
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001373658A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Ono
数彦 小野
Kaoru Adachi
馨 安達
Yasuo Samejima
泰郎 鮫島
Akitoshi Shomura
彰敏 正村
Isamu Miyamoto
宮本  勇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP2001373658A priority Critical patent/JP2003170282A/ja
Publication of JP2003170282A publication Critical patent/JP2003170282A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザビーム溶接中における被溶接材の溶込
深さを、正確に把握することが可能なレーザビーム溶接
の溶接部モニタ方法と溶接部モニタ装置を提供する。 【解決手段】 レーザビーム2を被溶接材1に照射する
と共に、その照射部から生じる光をセンサ3・3を用い
て観察する。上記レーザビーム軸とセンサ3・3の光学
軸とがなす角度が異なる3つの位置における赤系、緑
系、青系の3つの波長帯の光のうち、少なくとも3つの
光強度信号から重回帰分析により光強度信号と溶込深さ
との関係式を求める。そして、ここで求めた関係式と、
上記各センサ3・3から検出される光強度信号とに基づ
いて溶接部の溶込深さを把握する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はレーザビーム溶接
時の溶接状態を把握するためのレーザビーム溶接の溶接
部モニタ方法、及び溶接部モニタ装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】最近のレーザ技術の進歩により炭酸ガス
レーザの大出力化が進み、20kW以上の高パワーレー
ザを用いた厚板の溶接が実用化されるようになってい
る。そして上記実用化に伴い、薄板のレーザビーム溶接
と同様の品質評価システムの開発が求められている。従
来から用いられている溶接状態の判断方法としては、被
溶接材にレーザビームが照射された際に生じるプラズマ
光の光強度を、センサによって測定することにより被溶
接材の溶接状態を把握するようにしていた(例えば、特
開平8−281456号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来は、上記
光強度と溶接状態を示す溶込深さとの間には直線関係が
成り立つと考えられており、このため、上記センサによ
って検出される光強度の時間平均値から、溶込深さを把
握するように構成されていた。しかし現実にはこのよう
な単純な関係は成立せず、平均光強度と溶込深さとの関
係はもっと複雑であることが明らかになった。このこと
を示すデータを図7(a)(b)のグラフに示す。ここ
で(a)はレーザ出力Wを、また(b)は溶接速度Vを
それぞれパラメータとして変化させたときに検出される
平均光強度P(θ)(V)と、このときの溶込深さ(m
m)の実測値との関係を示したグラフであり、このグラ
フは観察角θ(レーザビーム軸とセンサの光学軸とがな
す角度)をθ=4°として測定した場合の結果を示して
いる。まず、図7(a)において、溶接速度をV=1m
/minとし、レーザ出力Wを11.3〜18kWまで
変化させた場合、溶込深さについてはレーザ出力の増大
に伴って増加する傾向が見られるが、平均光強度P
(θ)との間には何の相関も見られないことがわかる。ま
た、図7(b)において、レーザ出力をW=18kWと
し、溶接速度Vを0.5〜4m/minまで変化させた
場合、溶込深さについては、溶接速度Vの減少に伴って
増加する傾向が見られる。しかし平均光強度P(θ)につ
いては、溶接速度Vが遅い範囲(0.5〜1.5m/m
in)では、溶接速度Vの増加に伴って平均光強度P
(θ)の減少が見られるが、溶接速度Vが速い範囲(1.
5〜4m/min)では、平均光強度P(θ)は略一定の
値を示しており、レーザ出力Wの場合と同様、平均光強
度P(θ)との間に特別な相関は見られない。このよう
に、上記平均光強度P(θ)は、レーザ出力Wや溶接速度
V等の溶接条件の影響を受けて変化するため、上記平均
光強度P(θ)と溶込深さとの間には、単純に直線関係が
成立するとは言えず、上記単一のセンサから検出される
平均光強度P(θ)のみから溶込深さを推定することは困
難であるという問題がある。
【0004】また、上記センサにより測定されるプラズ
マ光の光強度は、被溶接材が溶融してできるキーホール
部からの発光と、キーホール上部に生じるプルーム部か
らの発光の和として出力されており、上記プラズマ光を
観察する角度によって得られる信号の種類や強度が変化
することから、異なる複数の角度で検出されるプラズマ
光の光強度から、溶込深さを把握しようとする方法も提
案されている。例えば特開2001−116510号公
報では、上記レーザビーム照射点を中心として、溶接方
向に垂直な面内の円周上の異なる角度に複数のセンサを
配置し、各センサから検出される光強度信号から各領域
からの光強度を把握し、さらにこの光強度の時間変動か
ら周期と振幅とを求めて、これらの積の積分値により溶
込深さを推定しようとする方法が試みられている。しか
しこの方法においては、制御構成が複雑であるため、レ
ーザビーム溶接中に溶込深さを迅速に把握するのが難し
いという問題がある。
【0005】この発明は上記従来の欠点を解決するため
になされたものであって、その目的は、レーザビーム溶
接中における被溶接材の溶込深さを、正確に把握するこ
とが可能なレーザビーム溶接の溶接部モニタ方法と溶接
部モニタ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び効果】そこで請求項1
のレーザビーム溶接の溶接部モニタ方法は、レーザビー
ムの照射部から生じる光を、センサを用いて観察するレ
ーザビーム溶接の溶接部モニタ方法において、ビーム軸
とセンサの光学軸とがなす角度が異なる3つの位置にお
ける赤系、緑系、青系の3つの波長帯の光のうち、少な
くとも3つの光強度信号から重回帰分析により光強度信
号と溶込深さとの関係式を求めておき、さらに上記各セ
ンサから検出される光強度信号と、上記関係式とに基づ
いて溶接部の溶込深さを把握することを特徴としてい
る。
【0007】上記請求項1のレーザビーム溶接の溶接部
モニタ方法によれば、観察角度と光の波長領域との両者
を加味して得られる各光強度信号から少なくとも3つを
取出して、この光強度信号から重回帰分析により光強度
信号と溶込深さとの関係式を求め、この関係式と検出さ
れる光強度信号とから溶接部の溶込深さを把握するよう
に構成している。すなわち、上記レーザ照射によって生
じるプラズマ光は、センサで検出される過程において、
光を散乱させる作用を有する蒸発微粒子(レーザ加工時
に発生)によって散乱されたり、吸収されたりするが、
このような光の散乱や吸収は、上記光強度信号にも大き
な影響を与え、このため上記光強度信号と溶込深さとの
関係はより複雑なものとなっている。そこで、従来から
用いられている観察角度情報に加えて、上記プラズマ光
の光学的要素を特定する重要な要素の一つである波長情
報も考慮に入れて、上記光強度信号を求めることによ
り、上記観察角度のみを考慮して得た光強度信号を用い
る場合よりも、より正確に溶込深さを把握することが可
能となる。実際に、上記角度情報と波長情報との両方か
ら得た光強度信号を用いて、重回帰分析により溶込深さ
と光強度信号との関係式を求めたところ、この関係式に
基づいて得られる溶込深さを示す値と、実際の溶込深さ
との間には略直線関係が成立することが明らかとなっ
た。
【0008】この結果、上記請求項1に示す溶接部モニ
タ方法を用いることによって、センサで検出される光強
度信号から溶込深さを正確に把握することが可能にな
る。またこの方法によれば、レーザ溶接中に非接触で、
かつ容易に溶込深さを把握することができるため、溶接
品質の良否を迅速に認識することができる。さらにこれ
によって、溶接後の品質検査が不要になると共に、溶接
中の条件制御を行うことも可能となる。
【0009】請求項2のレーザビーム溶接の溶接部モニ
タ方法は、ビーム軸とセンサの光学軸とがなす角度が異
なる3つの位置における赤系、緑系、青系の3つの波長
帯の光の全ての光強度信号を用いて、光強度信号と溶込
深さとの関係式を求めることを特徴としている。
【0010】また上記請求項2のレーザビーム溶接の溶
接部モニタ方法によれば、全ての光強度信号を用いて関
係式を求めるように構成しているため、一段と正確に溶
込深さを把握することが可能となる。
【0011】さらに請求項3のレーザビーム溶接の溶接
部モニタ方法は、上記光強度信号には、プルーム部、キ
ーホール開口部、キーホールフィンガー部の強度信号を
用いたことを特徴としている。
【0012】上記請求項3のレーザビーム溶接の溶接部
モニタ方法によれば、上記光強度信号を、プラズマ光の
各領域から得られる強度信号に分離したことにより、さ
らに正確に溶込深さを把握することが可能となる。
【0013】請求項4のレーザビーム溶接の溶接部モニ
タ装置は、ビーム軸とセンサの光学軸とがなす角度が異
なる3つの位置における赤系、緑系、青系の3つの波長
帯の光をそれぞれ検知するセンサと、上記センサから検
出される光強度信号から重回帰分析により光強度信号と
溶込深さとの関係式を求める演算手段と、上記関係式と
上記センサから検出される光強度信号とに基づいて溶接
部の溶込深さを求めると共に、この溶込深さが基準値以
上であるときに、所望の溶込深さが確保されていると判
断する判断手段とを有することを特徴としている。
【0014】上記請求項4のレーザビーム溶接の溶接部
モニタ装置によれば、確実かつ容易に溶込深さを把握す
ることができると共に、上記請求項1〜請求項3のいず
れかのレーザ溶接の溶接部モニタ方法の実施に好適に用
いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、この発明のレーザビーム溶
接の溶接部モニタ方法、及び溶接部モニタ装置の具体的
な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明す
る。
【0016】図1は、この発明の一実施の形態における
レーザビーム溶接の溶接部モニタ装置の一部を示す概略
斜視図である。図1において、1は被溶接材を示してお
り、この被溶接材1に対して垂直な方向にレーザビーム
2が入射するように配置されている。また図における5
は、上記レーザビーム照射時に被溶接材1の表面に発生
するプラズマ光のプルーム部を示している。さらに上記
レーザビーム2の照射点Oを中心として、溶接方向に垂
直な面内の円周上には複数のフォトダイオード(セン
サ)3・3が設けられており、上記各フォトダイオード
3・3は、全て被溶接材1表面のレーザビーム照射点O
にその光学軸を向けた状態で配置されている。このと
き、上記レーザビーム2のビーム軸と各フォトダイオー
ド3の光学軸とがなす角度(観察角)θは、θ=7°〜
90°の範囲としており、この実施形態では、θ=7
°、45°、90°の3つの角度に、上記フォトダイオ
ード3を同一角度に3個ずつ並設して配置するように構
成している。また上記並設された各フォトダイオード3
・3には、異なる波長帯の光の通過を許容するバンドパ
スフィルタ4がそれぞれ装着されている。すなわち、3
50〜500nmの波長帯を有する青色光Bと、500
〜600nmの波長帯を有する緑色光Gと、600〜7
00nmの波長帯を有する赤色光Rとの3種類の光の通
過を許容するバンドパスフィルタ4B、4G、4Rを装
着している。図3は、上記フォトダイオード3と各バン
ドパスフィルタ4B、4G、4Rの入射波長帯と感度特
性との関係を表したグラフを示している。
【0017】また、このレーザ溶接装置には、この他、
各フォトダイオード3・3で検出された光強度信号か
ら、重回帰分析により光強度信号と溶込深さとの関係式
を求める図示しない演算部(演算手段)と、上記関係式
と各フォトダイオード3・3で検出される光強度信号と
に基づいて溶接部の溶込深さを求めると共に、この溶込
深さが基準値以上であるときに、所望の溶込深さが確保
されていると判断する図示しない判断部(判断手段)と
が設けられている。
【0018】次に、この実施形態におけるレーザビーム
溶接の溶接部モニタ方法について説明する。この実施の
形態においては、3波長域と3観察域との組み合わせに
より得られる光強度信号から、重回帰分析により光強度
信号と溶込深さとの関係式を求めるように構成した。そ
の具体的な方法について以下に詳細に示す。
【0019】まず、上記レーザビーム照射時に各フォト
ダイオード3・3で受光されるプラズマ光の光強度は、
被溶接材1が溶融してできるキーホールのフィンガー部
(Finger part)及び開口部(Keyhole opening)での発
光と、キーホール上部に生じるプルーム部(Plume)に
よる発光の和として与えられ、上記プラズマ光の観察角
度によって、得られる信号の種類及び強度が変化する。
この点についてより詳細に説明するために、図2に上記
レーザビーム照射時における溶接部近傍の発光状態の模
式断面図を示す。図2において、上記レーザビーム溶接
によって生じる被溶接材1上部のプルーム部の形状は略
球状であるため、その光強度Ppは観察角θに依存せず
一定であると考えられる。これに対して、キーホール開
口部及びフィンガー部からの光強度Po、Pfは観察角
θに依存して変化する。ここでは、このことを利用して
上記プラズマ光を、各領域(プルーム部、キーホール開
口部、キーホールフィンガー部)に分離する方法を示
す。すなわち、上記フォトダイオード3・3を観察角θ
=7°、45°、90°の3点に配置し、時間変動によ
る光強度をそれぞれ測定する。すると観察角θ=90°
ではプルーム部による光強度P(90)が、また観察角
θ=45°ではプルーム部とキーホール開口部による光
強度P(45)が、また観察角θ=7°ではプルーム部
とキーホール開口部及びフィンガー部による光強度P
(7)が検出されると考えられる。これより上記各測定
結果のそれぞれの差を求めることによって、プルームの
挙動を示す光強度信号Pp 、キーホール開口部の挙動
を示す光強度信号Po 、キーホールフィンガー部の挙
動を示す光強度信号Pf を得ることができる。すなわ
ちPp=P(90)、Po =P(45)−P(9
0)、Pf =P(7)−P(45)を求めることによ
って、上記各領域からの光強度信号に分離することがで
きる。
【0020】以上に示した分離方法は、上記赤色光R、
緑色光G、青色光Bのそれぞれの光の通過を許容するバ
ンドパスフィルタ4R、4G、4Bを通して検出した光
強度信号についても、同様に適用することができる。従
って、上記方法を用いて、各波長帯の光の強度信号を、
各領域(プルーム部、キーホール開口部、キーホールフ
ィンガー部)からの光強度信号(Rp、Ro、Rf、G
p、Go、Gf、Bp、Bo、Bf)に分離した。ここ
で、Rp、Gp、Bpはそれぞれ赤、緑、青のバンドパ
スフィルタ4R、4G、4Bを通して検出されたプルー
ム部の光強度信号を、またRo、Go、Boはそれぞれ
赤、緑、青のフィルタ4R、4G、4Bを通して検出さ
れたキーホール開口部の光強度信号を、さらにRf、G
f、Bfはそれぞれ赤、緑、青のフィルタ4R、4G、
4Bを通して検出されたキーホールフィンガー部の光強
度信号を示す。
【0021】図4に、上記観察角度と波長領域との両方
を加味して求めた各光強度信号(Rp、Ro、Rf、G
p、Go、Gf、Bp、Bo、Bf)と、溶込深さhの
実測値との関係を表すグラフを示す。同図における
(a)は、レーザ出力をそれぞれ18kW、13.5k
W、9kWとした場合におけるプルーム部から得られる
各波長帯の光強度信号Rp、Gp、Bpを、(b)は上
記各レーザ出力におけるキーホール開口部から得られる
各波長帯の光強度信号Ro、Go、Boを、(c)は上
記各レーザ出力におけるキーホールフィンガー部から得
られる各波長帯の光強度信号Rf、Gf、Bfを示して
いる。各グラフに示すように、上記光強度信号と溶込深
さhとの関係は、どの波長領域においても直線的な相関
は見られない。また9kWを除けば、溶け込みが深い領
域では溶け込みの変化に対して光強度信号は指数関数的
に大きくなっている。一方、溶け込みが浅い領域では溶
け込みの変化に対して光強度信号の変化は小さく、特に
赤色光においてはほとんど変化が見られないことがわか
る。ここで9kWについては、溶込深さhと光強度信号
との関係は複雑に変化しているが、これは、レーザ出力
の変化に伴って焦点位置が変化するという、この実施形
態における溶接装置特有の特性による影響を受けたため
で、低出力域でデフォーカスされているためであると考
えられる。
【0022】このように、上記溶込深さhと光強度信号
との関係は、レーザ出力や溶接条件等によって異なり、
個々に分離された光強度信号と溶込深さhとの間におい
ては特別な相関は見られない。これは上記溶込深さh
が、これら全ての要素が相互に影響し合って決定されて
いるためであると考えられる。これより、光強度信号と
溶込深さhとの関係式を、上記3波長域と3観察域との
組み合わせにより得られる光強度信号から重回帰分析に
よって求める。
【0023】すなわち、上記分離された各光強度信号
(Rp、Ro、Rf、Gp、Go、Gf、Bp、Bo、
Bf)から、重回帰分析により溶込深さhと光強度信号
との関係式を求める。ここで、上記重回帰分析とは、あ
る変数を固定したとき、確率変数の期待値が上記変数の
多項式で表される場合、その中の係数又はその多項式自
身について推定、検定を行うことをいい、具体的な手法
としては最小二乗法を用いる。数1に上記重回帰分析に
より導出する関係式の具体的な形式を示す。
【0024】
【数1】
【0025】上記数1におけるP.I.は、上記溶込深さh
を無単位化した溶込指数を表している。そして、上記数
1に示す関係式に、フォトダイオード3によって検出さ
れた各光強度信号を代入し、重回帰分析を行うことによ
り係数a〜jの値を求める。この結果、導出された溶込
指数P.I.と光強度信号との関係式を数2に示す。
【0026】
【数2】
【0027】さらに、上記数2に示す関係式を用いて、
上記溶込指数P.I.と溶込深さhとの関係を導出する。図
5は、検出される各光強度信号をもとに数2式より求め
た溶込指数P.I.と、このときの溶込深さhの実測値との
関係を示したグラフである。図5のグラフから、上記溶
込指数P.I.と溶込深さhとの間には略直線的な関係、す
なわち比例関係が成立していることがわかる。これよ
り、上記溶込指数P.I.と溶込深さhとの間には、h=α
(P.I.)なる関係式が成立すると考えられ、このグラフ
に基づいて求めたα(重相関係数)の値は、α=0.9
46となった。
【0028】次に、上記数2に示す関係式、及び図5に
示すグラフ(又はその関係式)を用いて、レーザビーム
溶接中における溶込深さhを求める方法について説明す
る。すなわち、上記赤色光、緑色光、青色光の3つの波
長帯の光をそれぞれ検知するバンドパスフィルタ4付き
フォトダイオード3から検出される各光強度信号から、
各領域(プルーム部、キーホール開口部、キーホールフ
ィンガー部)の光強度信号(Rp、Ro、Rf、Gp、
Go、Gf、Bp、Bo、Bf)を求める。次に、上記
数2に示した関係式に上記光強度信号を代入することに
より、溶込指数P.I.を求める。そして、図5に示すグラ
フ(又はその関係式)を用いて、上記溶込指数P.I.の値
に対応する溶込深さhを求める。
【0029】またこの実施形態においては、上記で得ら
れた溶込深さhの値を判断部に送信することによって、
上記被溶接材1の溶接部において、良好な溶接がなされ
ているか否かを判断することができる。すなわち、十分
な溶込深さが確保されると考えられる溶込深さhの基準
値を予め求めておき、これと上記演算部で求めた溶込深
さhの値とを比較することによって、上記溶込深さhが
上記基準値以上であれば所望の溶込深さが確保されてい
ると判断し、上記基準値に達していなければ溶込深さが
不十分であると判断するように構成されている。
【0030】以上のことから、この実施形態における溶
接部モニタ方法によれば、フォトダイオード3で検出さ
れる光強度信号から、そのときの溶接部の溶込深さhを
正確に把握することが可能になると共に、予め所望の溶
込深さが確保されると考えられる基準値を求めておけ
ば、求められた溶込深さhの値が、上記基準値以上であ
るか否かによって、十分な溶込深さが確保されているか
否かを把握することもできる。またこの方法によれば、
レーザ溶接中に非接触で、かつ容易に溶込深さhを把握
することができるため、上記溶接品質の良否を迅速に認
識することができる。さらにこれによって、溶接後の品
質検査が不要になると共に、溶接中の条件制御を行うこ
とも可能となる。
【0031】次に、この発明のレーザビーム溶接の溶接
部モニタ方法の他の実施の形態について説明する。上記
実施の形態では、円周上に配置された全てのフォトダイ
オード3・3から得られる光強度信号を用いて溶込深さ
hを把握するように構成したが、この実施の形態におい
ては、上記レーザ出力や溶接速度の範囲を限定すること
により、上記9つの光強度信号のうちのいくつかの信号
から、溶込深さhを把握する例を示す。例えば、以下に
示す数3は、レーザ出力を13.5kWに固定した場合
において、導出された光強度信号と溶込指数P.I.との関
係式を示している。
【0032】
【数3】
【0033】この関係式によれば、溶込指数P.I.を求め
る際に必要な光強度信号は、Rp、Gp、Bp、Ro、
Bo、Rfの6つとなり、波長域では赤色光Rの成分
が、また領域ではプルーム部とキーホール開口部の成分
が大きく寄与しているように推測される。また実際に、
上記溶込深さhに対して、赤色光R成分やプールム部か
ら得られる光強度信号は、ばらつきが小さくて比較的安
定した信号が得られている。このように、上記成分にお
いて安定した信号が得られるのは、波長が長いことと、
レーザ加工時に発生する蒸発微粒子層が薄いため、フォ
トダイオード3に届くまでの散乱の影響が小さいためで
あると考えられる。さらに図6に、上記数3式に基づい
て求めた溶込指数P.I.に対する溶込深さhの実測値を表
したグラフを示す。このグラフにおける点線は、この実
施形態における溶込指数P.I.と溶込深さhとの間に略比
例関係が成立することを示しており、上記溶込指数P.I.
と溶込深さhとの間にはα=1.0の完全相関が得られ
た。以上のことから、上記レーザ出力や溶接速度等の溶
接条件の範囲を限定することによって、さらに精度よく
溶込深さhを推定できることが明らかとなった。
【0034】以上にこの発明のレーザビーム溶接の溶接
部モニタ方法の実施の形態について説明をしたが、この
発明は上記実施の形態に限られるものではなく、種々変
更して実施することが可能である。すなわち、上記実施
の形態においては、プルーム部、キーホール開口部、及
びキーホールフィンガー部の各領域に分離した光強度信
号を用いて、光強度信号と溶込指数P.I.との関係式を導
出したが、それぞれの角度で検出された光強度信号の値
をそのまま用いて、上記関係式を導出することも可能で
ある。また上記実施の形態では、設けられた9個のセン
サから得られる光強度信号の全て、又は6個の信号を用
いて、溶込深さhと光強度信号との関係式を導出する例
を挙げたが、上記3波長域と3観察域の光強度信号の組
み合わせのうち、少なくとも3つ以上の光強度信号を取
出し、この取出した光強度信号から上記関係式を導出す
るように構成することも可能である。また上記実施の形
態では、溶接進行方向に垂直な面内にフォトダイオード
3を設けて光強度の測定を行ったが、例えば、溶接進行
方向の前方、あるいは後方、又は前後左右いずれの位置
にフォトダイオード3を設けても上記と同様に実施する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態における溶接部モニタ
装置の一部を示す概略斜視図である。
【図2】レーザビーム照射時における溶接部近傍の発光
状態を示す模式断面図である。
【図3】上記フォトダイオードと各バンドパスフィルタ
における入射波長帯と感度特性との関係を示したグラフ
である。
【図4】各領域から得られるそれぞれの波長帯の光強度
信号と、溶込深さとの関係を示すグラフである。
【図5】この実施の形態における溶込指数と溶込深さの
実測値との関係を示したグラフである。
【図6】他の実施の形態における溶込指数と溶込深さの
実測値との関係を示したグラフである。
【図7】従来の平均光強度と溶込深さとの関係を示すグ
ラフであり、(a)はレーザ出力を、また(b)は溶接
速度をパラメータとした場合を示している。
【符号の説明】
1 被溶接材 2 レーザビーム 3 センサ(フォトダイオード) 4 バンドパスフィルタ R 赤色光 G 緑色光 B 青色光 Rp、Gp、Bp プルーム部からの各波長帯の光強度
信号 Ro、Go、Bo キーホール開口部からの各波長帯の
光強度信号 Rf、Gf、Bf キーホールフィンガー部からの各波
長帯の光強度信号 h 溶込深さ P.I. 溶込指数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安達 馨 大阪府枚方市上野3丁目1番1号 株式会 社小松製作所生産技術開発センタ内 (72)発明者 鮫島 泰郎 大阪府枚方市上野3丁目1番1号 株式会 社小松製作所生産技術開発センタ内 (72)発明者 正村 彰敏 大阪府枚方市上野3丁目1番1号 株式会 社小松製作所生産技術開発センタ内 (72)発明者 宮本 勇 兵庫県西宮市甲子園4番町1の12 Fターム(参考) 4E068 BA01 CA17 CB09 CC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビームの照射部から生じる光を、
    センサを用いて観察するレーザビーム溶接の溶接部モニ
    タ方法において、ビーム軸とセンサの光学軸とがなす角
    度が異なる3つの位置における赤系、緑系、青系の3つ
    の波長帯の光のうち、少なくとも3つの光強度信号から
    重回帰分析により光強度信号と溶込深さとの関係式を求
    めておき、さらに上記各センサから検出される光強度信
    号と、上記関係式とに基づいて溶接部の溶込深さを把握
    することを特徴とするレーザビーム溶接の溶接部モニタ
    方法。
  2. 【請求項2】 ビーム軸とセンサの光学軸とがなす角度
    が異なる3つの位置における赤系、緑系、青系の3つの
    波長帯の光の全ての光強度信号を用いて、光強度信号と
    溶込深さとの関係式を求めることを特徴とする請求項1
    のレーザビーム溶接の溶接部モニタ方法。
  3. 【請求項3】 上記光強度信号には、プルーム部、キー
    ホール開口部、キーホールフィンガー部の強度信号を用
    いたことを特徴とする請求項2のレーザビーム溶接の溶
    接部モニタ方法。
  4. 【請求項4】 ビーム軸とセンサの光学軸とがなす角度
    が異なる3つの位置における赤系、緑系、青系の3つの
    波長帯の光をそれぞれ検知するセンサと、上記センサか
    ら検出される光強度信号から重回帰分析により光強度信
    号と溶込深さとの関係式を求める演算手段と、上記関係
    式と上記センサから検出される光強度信号とに基づいて
    溶接部の溶込深さを求めると共に、この溶込深さが基準
    値以上であるときに、所望の溶込深さが確保されている
    と判断する判断手段とを有することを特徴とするレーザ
    ビーム溶接の溶接部モニタ装置。
JP2001373658A 2001-12-07 2001-12-07 レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置 Pending JP2003170282A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001373658A JP2003170282A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001373658A JP2003170282A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003170282A true JP2003170282A (ja) 2003-06-17

Family

ID=19182335

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001373658A Pending JP2003170282A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003170282A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102773607A (zh) * 2011-05-10 2012-11-14 松下电器产业株式会社 激光焊接装置及激光焊接方法
WO2017159532A1 (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 高エネルギービーム溶接品質判定方法、その判定方法を利用した品質判定装置、その判定方法を利用した溶接管理システム
CN110814470A (zh) * 2019-11-26 2020-02-21 北京博清科技有限公司 一种焊接设备及其焊接参数调整方法和装置
US11511370B2 (en) 2018-04-13 2022-11-29 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Laser welding method

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102773607A (zh) * 2011-05-10 2012-11-14 松下电器产业株式会社 激光焊接装置及激光焊接方法
JP2012236196A (ja) * 2011-05-10 2012-12-06 Panasonic Corp レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法
US8735768B2 (en) 2011-05-10 2014-05-27 Panasonic Corporation Laser welding apparatus
CN102773607B (zh) * 2011-05-10 2014-12-31 松下电器产业株式会社 激光焊接装置
WO2017159532A1 (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 高エネルギービーム溶接品質判定方法、その判定方法を利用した品質判定装置、その判定方法を利用した溶接管理システム
JP2017164803A (ja) * 2016-03-18 2017-09-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 高エネルギービーム溶接品質評価方法、その評価方法を利用した溶接方法、その評価方法を利用した溶接装置、およびその評価方法を利用して溶接された自動車部品
CN108883501A (zh) * 2016-03-18 2018-11-23 日立汽车系统株式会社 高能量束焊接质量判定方法、利用该判定方法的质量判定装置和焊接管理系统
US11511370B2 (en) 2018-04-13 2022-11-29 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Laser welding method
CN110814470A (zh) * 2019-11-26 2020-02-21 北京博清科技有限公司 一种焊接设备及其焊接参数调整方法和装置
CN110814470B (zh) * 2019-11-26 2021-08-17 北京博清科技有限公司 一种焊接设备及其焊接参数调整方法和装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9527166B2 (en) Welding portion inspection device and inspection method therefore, with extracting portion for extracting evaporation luminescence and thermal radiation
JP3227650B2 (ja) レーザ溶接機及びレーザ溶接状態監視方法
JP5459922B2 (ja) 材料加工プロセスのプロセス・パラメータを測定する方法および装置
EP2662684B1 (en) Measurement device and method for detection of airborne particles
JP2000271768A (ja) Yagレーザ溶接部の品質モニタリング方法
US20230073549A1 (en) Method for analysing a weld during laser welding of workpieces
US20120288409A1 (en) Analysis device
JP2007069217A (ja) 離型剤塗布状態検出方法及び離型剤塗布状態検出装置
JP2007098442A (ja) レーザ接合品質検査装置
JP2003170282A (ja) レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置
JP2006308308A (ja) プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置
JP2002316279A (ja) レーザ加工方法及びレーザ加工装置
JP6688021B2 (ja) レーザ溶接監視装置とレーザ溶接監視方法
JP2019136745A (ja) レーザ加工部のモニタリング装置
JP4624089B2 (ja) レーザ溶接部の品質判定装置および方法、並びに、レーザ溶接部の品質判定プログラムを記録した媒体
JP2006322912A (ja) レーザ測長器およびレーザ測長方法
JP2017056464A (ja) レーザ溶接装置
Ghasempoor et al. Automatic detection of lack of fusion defects in CO 2 laser gear welding
CN114450120A (zh) 激光加工监视方法及激光加工监视装置
JP2001116510A (ja) レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置
WO2022172532A1 (ja) 膜厚測定装置及び膜厚測定方法
JPH05281130A (ja) 異物検査装置
JPH0712753A (ja) 溶接状態のモニタ装置
JP2001141661A (ja) レーザビーム溶接の溶接部モニタ方法及び溶接部モニタ装置
JP3355546B2 (ja) レーザ溶接欠陥検出装置及び欠陥検出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060516

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060919