JP2017056464A - レーザ溶接装置 - Google Patents

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将樹 小池
Masaki Koike
小池  将樹
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Abstract

【課題】溶接時に,適切な判定速度および高い判定精度で溶接箇所の良否判定ができるレーザ溶接装置を提供すること。【解決手段】照射部と,二次光の波長ごとの強度を取得するスペクトル計測部と,二次光の強度の経時変化を取得する時系列計測部と,スペクトル計測部および時系列計測部の取得データを解析して溶接の良否判定を行う良否判定部とを有するレーザ溶接装置。ここで良否判定部は,二次光の波長であって溶接箇所の状況により強度が影響を受けるターゲット波長と,当該ターゲット波長での強度についての判定しきい値とがあらかじめ定められており,スペクトル計測部でのターゲット波長についての取得強度と,判定しきい値とを比較し,結果に応じて(S2:Yes),時系列計測部で取得された経時変化パターンについてのデジタル演算処理を行い(S3),その結果を登録パターンとマッチングすることにより,不良か否かを判定する(S4)。【選択図】図10

Description

本発明は,溶接物にレーザ光を照射することにより溶接物を溶接するレーザ溶接装置に関する。さらに詳細には,溶接の実行とともに,溶接結果の良否判定をも行うようにしたレーザ溶接装置に関するものである。
従来から,レーザ溶接において溶接結果の良否を判定することが行われている。例えば特許文献1の技術では溶接物に,溶接用レーザ光とは別にモニタリング光を照射することとしている。そして,このモニタリング光の溶接物による反射光を,フォトダイオードを用いて分析することとしている。その分析結果により,溶接箇所の品質を確認するのである。
特開2004−322166号公報
しかしながら,前記した従来の技術では,良否判定の精度は必ずしもよくなかった。このため,不良品とすべきものを良品と判定してしまったり,良品とすべきものを不良品と判定してしまう場合があった。このようなことが起きる原因として,溶接物からの反射光強度が溶接品質と簡単に結びつくわけではないということがある。例えば,溶接時にスパッタが発生すると,反射光強度は大幅に変動するが,溶接箇所の肉厚とは必ずしも関係しない。このため,反射光強度の異常があったとしても,必ずしも溶接不良とは限らないのである。このような事情から,従来技術の単純な延長により判定精度を上げようとすると,膨大なデータ量が必要となり,溶接の高速化に対応できない。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,溶接時に,適切な判定速度および高い判定精度で溶接箇所の良否判定ができるレーザ溶接装置を提供することにある。
本発明の一態様におけるレーザ溶接装置は,溶接物にレーザ光を照射することにより溶接物を溶接する装置であって,溶接物にレーザ光を照射する照射部と,照射部によるレーザ光の照射を受けている溶接物から放射される二次光の波長ごとの強度を取得するスペクトル計測部と,二次光の強度の経時変化を取得する時系列計測部と,スペクトル計測部および時系列計測部の取得データを解析して溶接の良否判定を行う良否判定部とを有している。ここで良否判定部は,二次光の波長であって溶接箇所の状況により強度が影響を受けるターゲット波長と,当該ターゲット波長での二次光の強度についての判定しきい値とがあらかじめ定められており,スペクトル計測部で取得された強度のうちターゲット波長のものと,判定しきい値とを比較し,あらかじめ定めた大小関係であった場合に,時系列計測部で取得された経時変化パターンについてのデジタル演算処理を行い,当該デジタル演算処理の結果であるパターンが,あらかじめ定められた溶接不良時の経時変化パターンに当てはまる場合に不良と判定し,当てはまらない場合には不良との判定をしないものである。
上記態様におけるレーザ溶接装置では,溶接実行中に,溶接箇所から放出される二次光の強度を,スペクトル計測部および時系列計測部で測定する。このうちスペクトル計測部で測定される波長ごとの強度については,あらかじめ,溶接箇所の状況により強度が影響を受けるターゲット波長と,それについての判定しきい値とが定められている。そこで,スペクトル計測部で実際に取得されたターゲット波長の強度が,判定しきい値と比較される。比較の結果あらかじめ定めた大小関係であった場合には,そのことをトリガとして,時系列計測部で取得された経時変化パターンについてデジタル演算処理が行われる。デジタル演算処理の結果,あらかじめ定められた溶接不良時の経時変化パターンに当てはまるパターンが現れた場合には溶接の不良であると判定し,そうでない場合には不良とは判定しない。ただし,不良とは判定しないといっても,他の条件による判定をさらに行い,そちらによって不良と判定することを妨げない。
上記のレーザ溶接装置による判定では,溶接実行中に常にデジタル演算処理が行われる訳ではないので,演算負担はそれほど大きくない。それでいて,ターゲット波長での強度についてのスペクトル計測部での測定結果から,溶接不良の可能性があると判断されるような場合には,デジタル演算処理が行われ,溶接不良の判定が行われる。これにより,溶接のスピードに無理なく追従でき,かつ判定精度の高いレーザ溶接装置となっている。
本構成によれば,溶接時に,適切な判定速度および高い判定精度で溶接箇所の良否判定ができるレーザ溶接装置が提供されている。
実施の形態に係るレーザ溶接装置の構成図である。 計測される二次光のスペクトルの一例を示すグラフである。 計測される二次光の強度の経時変化パターンの一例を示すグラフである。 スペクトル計測部の構成を示す模式図である。 時系列計測部の構成を示す模式図である。 アルミ材の溶接の際の発光スペクトルの例を示すグラフである。 アルミ材の溶接の際の発光強度の経時変化パターンの例を示すグラフである。 図7の経時変化パターンからノイズ除去演算を行った結果のパターンを示すグラフである。 図7の経時変化パターンから図8の演算データを差し引いた結果のパターンを示すグラフである。 溶接異常の検知ルーチンの手順を示すフローチャートである。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態のレーザ溶接装置1は,図1に示すように,電池2の製造プロセスに用いて好適なものである。具体的には,電池2におけるケース本体3と蓋部材4との溶接に用いることができる。むろん,これ以外の用途にも使用可能である。
図1に示す本形態のレーザ溶接装置1は,照射ヘッド5を有している。照射ヘッド5は,発振部からのレーザ光Lを溶接物に照射するものである。溶接物とは図1では電池2のことである。以下,「溶接物2」ということとする。照射ヘッド5からレーザ光Lが照射されることで,溶接物2が溶接されることとなる。溶接物2におけるレーザ光Lの被照射箇所(すなわち溶接箇所)からは,高温となるため二次光が放射される。この二次光の中には,レーザ光Lの照射光路をそのまま逆進していくものが含まれている。ここでは,この逆進方向の二次光を,二次光Eと称することとする。
照射ヘッド5内におけるレーザ光Lの光路上には,ダイクロイックミラー6が配置されている。ダイクロイックミラー6は,ある波長域の光を透過させる一方で別の波長域の光を反射するものである。照射ヘッド5のダイクロイックミラー6は,レーザ光Lを反射する一方で二次光Eを透過させる特性が与えられているものである。これによりレーザ光Lの光路と二次光Eの光路とを分離させ,二次光Eが発振部の方に行かないようにしている。
照射ヘッド5には,解析部7が設けられている。解析部7は,ダイクロイックミラー6を透過した二次光Eが入射する位置に配置されている。解析部7は,溶接の良否判定のために二次光Eの内容を解析するための部位である。解析部7にはさらに,スペクトル計測部8と時系列計測部9とビームスプリッター10とが設けられている。スペクトル計測部8は,図2に例示するような二次光Eのスペクトル,すなわち波長に対する強度分布を取得するものである。時系列計測部9は,図3に例示するような二次光Eの強度の経時変化パターンを取得するものである。図2と図3とで横軸のパラメーターが違っていることに注意されたい。ビームスプリッター10は,二次光Eを分岐させるものである。これにより二次光Eが,スペクトル計測部8および時系列計測部9のいずれにも入射されるようになっている。
スペクトル計測部8には図4に示すように,入射スリット11,コリメータレンズ12,透過型グレーティング13,フォーカスレンズ14,イメージセンサ15が内蔵されている。これにより二次光Eを,入射スリット11〜フォーカスレンズ14を経てイメージセンサ15上に結像させるようにしている。このうちの透過型グレーティング13が回折格子であり,入射してきた二次光Eを波長により分光する機能を有するものである。さらに,フォーカスレンズ14のフォーカシングを調整することで,分光された二次光Eのうち特定波長の成分のみがイメージセンサ15上に結像されることとなる。イメージセンサ15は,結像された光信号を電気信号に変換する。イメージセンサ15はコンピュータ19に接続されている。そして,フォーカスレンズ14のフォーカシング調整を変更していくことで,結像させる二次光Eの波長が変更していくこととなる。これにより図2に示したようなスペクトルが得られる。これを以下,発光スペクトル,という。上記より,スペクトル計測部8での発光スペクトルの取得には,対象とする波長範囲全体にわたってフォーカシング調整を掃引していく必要上,ある程度の時間がかかる。
時系列計測部9には,図5に示すように,光学干渉フィルタ16,集光レンズ17,フォトダイオード18が内蔵されている。フォトダイオード18はコンピュータ19に接続されている。これにより二次光Eの強度をフォトダイオード18で計測するものである。その時系列変動が,図3に示した経時変化パターンである。時系列計測部9には,スペクトル計測部8のような波長掃引機能は備えられていない。その一方で時系列計測部9での測定は,時間的追随性に関してはスペクトル計測部8での測定より優れている。スペクトル計測部8での測定に例えば1掃引当たり1〜10ミリ秒程度かかるのに対し,時系列計測部9での測定の時間分解能は5マイクロ秒程度だからである。
以下,溶接物である電池2におけるケース本体3と蓋部材4との溶接の場合にスペクトル計測部8や時系列計測部9で測定される内容について説明する。ケース本体3や蓋部材4は基本的にアルミ材であることとする。まず,アルミ材の溶接の際にスペクトル計測部8で計測される二次光Eの発光スペクトルの例を図6に示す。図6には,太線で示される発光スペクトルAと,細線で示される発光スペクトルBとが描かれている。
まず発光スペクトルAについて説明する。発光スペクトルAは,溶接対象のアルミ材に有機物汚染がほとんどない場合に見られるものである。発光スペクトルAを見ると,その所々に,強度が鋭く立ち上がったピークが見られる。これらのピークは,溶接対象箇所に存在する金属元素の炎色反応発光によるものである。したがってこれらのピークの波長は,溶接対象箇所に存在する金属元素の種類を表している。
発光スペクトルA中のピークのうち,波長450〜530nmの辺りの一群のピークDが,アルミニウム(Al)によるものである。したがって,アルミ材の溶接が良好になされている場合には,ピーク群Dが目立って現れることになる。ただし,ピーク群Dが目立っているからといって,そのことだけで直ちに溶接が良好であるとは断定できない。逆に,アルミ材を溶接しているのにピーク群Dが目立たない,という状況であったとすれば,何らかの溶接不良が生じている可能性が高いことになる。
発光スペクトルA中には,ピーク群Dの他にも,ピークF,ピークG,ピークHが現れている。ピークF(波長:約550nm)は,カルシウム(Ca)によるものである。ピークG(波長:約590nm)は,ナトリウム(Na)によるものである。カルシウムやナトリウムは,溶接箇所に存在すると,溶融アルミに混入して合金化し,溶接後の凝固箇所を変質させてしまう性質がある。よって,ピークF,Gが一定限度以上に強い場合には,溶接不良が生じる可能性があるといえる。ピークH(波長:約767nm)は,図6中では非常に弱いが,カリウム(K)によるものである。カリウムは,カルシウムやナトリウムと異なり,アルミ材を変質させてしまう性質を持たない。よってピークHは,仮に目立って現れていたとしても,そのことによって溶接不良の発生を示すものではない。
次に発光スペクトルBについて説明する。発光スペクトルBが発光スペクトルAと大きく異なるのは,波長500〜800nmの広範囲で発光強度が高いということである。これは,レーザ光Lの被照射箇所で有機物が燃焼していることによる発光である。このため発光スペクトルBのように,この広範囲の波長領域Qでの発光が認められる場合には,溶接箇所に有機物汚染があると考えられる。さらにいえば発光スペクトルBでは,前述のピーク群Dがほとんど目立たない。このことから発光スペクトルBでは,レーザ光Lが汚染有機物で遮られてしまう等により,アルミが溶融するに至っていないような事態も考えられる。
続いて,時系列計測部9で測定される発光強度の経時変化パターンについて説明する。ここでは,前述の光学干渉フィルタ16(図5参照)として,487±10nmの範囲内の波長の光のみを通すフィルタが用いられているものとする。この波長域は,図6の発光スペクトルA中のピーク群Dの中の最強のピークの波長に相当する。これにより時系列計測部9は,フォトダイオード18で,アルミの発光強度の経時変化パターンを取得するようになっている。
この設定でアルミ材の溶接の際に時系列計測部9で取得される経時変化パターンの一例を図7に示す。図7に示すのは,フォトダイオード18の出力信号の経時変化パターンの生データである。図7では,強度の振動が激しく,かなりのノイズ成分が含まれていることが見て取れる。そこでコンピュータ19のデジタル演算機能を利用して,図7の生データに対するローパスフィルタ処理を行うと,その結果は図8に示される経時変化パターンとなる。図8のパターンでは,図7と比較して強度の振動がかなり弱くなっている。さらに,図7の生データから図8の演算データを減算する処理を行うと,図9に示される経時変化パターンが得られる。この図9のパターンは図8と逆に,図7の生データからノイズ成分のみを抽出したものであるといえる。むろん,図7の生データに対してハイパスフィルタ処理を行うことで直接に図9と同等の経時変化パターンを得ることもできる。
ここで図9のパターンを見ると,図中の中央の辺りに矢印Rで示すように,ノイズ成分の振動の振幅が一旦縮小してその後再び拡大している部分がある。これは,図9のようなノイズ成分の経時変化パターンとしては特徴的なパターンである。さらに,アルミ材の溶接にある種の異常が起こったときにこのパターンが発生することが分かっている。このことから,溶接実行中に,時系列計測部9のフォトダイオード18の出力信号にデジタル演算処理を常時行い,図9のようなノイズ成分の経時変化パターンを監視していれば,原理的には溶接における異常の発生を検知できることになる。しかしながら,デジタル演算処理は演算量が膨大であるため,通常の演算速度のコンピュータ19では溶接のスピードに追従し難い。
そこで本形態のレーザ溶接装置1では,スペクトル計測部8と時系列計測部9との両方の計測結果を併用することで,現実的な演算量の範囲内で溶接スピードに追従しつつ,異常の検知を行う。以下,このことについて説明する。まず,コンピュータ19にはあらかじめ,図9に矢印Rで示したような,フォトダイオード18の出力信号のデジタル演算結果についての,異常発生時に特有なパターンを記憶しておく。以下,この記憶されているパターンを「登録パターン」という。この登録パターンは,後に異常検出のためのパターンマッチングに供されることとなる。
また,スペクトル計測部8の検出結果に対する,ターゲット波長D,F,G,T,およびそれらの各々についてのしきい値強度を定めておく。ターゲット波長D(例えば前述の487nm)は図6の説明で述べたように,アルミの発光に基づく波長であり,発光強度が不足していると溶接不良であるといえる。そのため,ターゲット波長Dについては,必要な最低強度をしきい値とする。ターゲット波長F(550nm),G(590nm)は,前述のように有害元素の存在を示す波長であり,発光強度が許容値を超えていると溶接不良であるといえる。そのためターゲット波長F,Gについてはそれぞれ,許容しうる最大強度をしきい値とする。
ターゲット波長Tは,図6に示されるように,有機物汚染の存在を示す波長領域Qの中に,後述する図10の異常検知ルーチンの実行のために定められる波長である。ターゲット波長Tでの強度がある程度高いと,有機物汚染による溶接不良の可能性が示唆されるが,直ちにそう断定できるものでもない。そのためターゲット波長Tについては,有機物汚染の可能性を考えなくてよいレベルの上限値をしきい値とする。また,ターゲット波長Tについては,波長領域Qの中でも,前述のターゲット波長F,Gのような,他の元素の存在を判定するための波長を外した波長とする。また,溶接不良と無関係の元素のものとはいえ,ピークHの波長も外す。前述のピーク群Dに属するピークの波長(上記のターゲット波長Dとして定めた波長を含む)が波長領域Qに含まれる場合にはそれも外す。
このような設定の下,コンピュータ19では溶接実行中,図10に示す異常検知ルーチンを実行し,溶接の良否判定を行う。このルーチンは溶接実行中,基本的に常時実行される。以下,図10のルーチンの詳細を説明する。
(S1)
図10のルーチンのS1は,スペクトル計測部8の検出結果における,ターゲット波長F,Gに相当する強度を,それぞれのしきい値と比較するステップである。すなわちこのステップでは,溶接箇所に有害元素が存在するか否かを,スペクトル計測部8の検出結果により判定する。そのため,スペクトル計測部8の当該波長についての検出強度が,それぞれのしきい値以上である場合にYesと判定し,しきい値未満である場合にNoと判定する。S1の判定結果がYesであった場合には,直ちに,現在の溶接対象品が不良であると判定されることとなる。この場合には,時系列計測部9のデータを参酌するまでもない。S1の判定結果がNoであった場合には,次のS2へ進む。
(S2)
このステップは,スペクトル計測部8の検出結果における,ターゲット波長Tに相当する強度を,それぞれのしきい値と比較するステップである。すなわちこのステップでは,溶接箇所における有機物汚染の程度を,スペクトル計測部8の検出結果により判定する。そのため,スペクトル計測部8の当該波長についての検出強度が,それぞれのしきい値以上である場合にYesと判定し,しきい値未満である場合にNoと判定する。S2の判定結果がYesであった場合には,次のS3以下へ進み,時系列計測部9のデータが参酌される。溶接異常が発生している可能性があるが,断定まではできないからである。S2の判定結果がNoであった場合には,後述のS5へ進む。
(S3)
S2の判定結果がYesであった場合にS3のステップが実行される。S3では,時系列計測部9の生データに基づくデジタル演算がなされる。すなわち,前述の図7のようなデータから,図8や図9のようなデータが算出される。このS3での演算処理には,次の3通りのやり方が考えられ,どれでもよい。
1.時系列計測部9での測定そのものを,S2:Yesの判定をトリガとして開始し,その後のあらかじめ定めた長さの測定時間内の測定データをデジタル演算の対象とする。
2.時系列計測部9での測定そのものは溶接中常時行っているが,S2:Yesの判定を演算開始のトリガとし,その後のあらかじめ定めた長さの演算対象時間内の測定データのみをデジタル演算の対象とする。
3.上記「2.」と同様に時系列計測部9での測定を常時行い,S2:Yesの判定を演算開始のトリガとするが,演算対象とする測定データは,S2:Yesの判定からある程度さかのぼった時点から,あらかじめ定めた長さの演算対象時間内のデータとする。
(S4)
続くS4では,得られたデジタル演算データと,登録パターンとのマッチングが行われる。ここでは,図9のデジタル演算データが,登録パターンとのマッチングに供される。マッチングによりデジタル演算データが登録パターンに当てはまった場合にはYesと判定し,当てはまらなかった場合にはNoと判定する。S4の判定結果がYesであった場合には,現在の溶接対象品が不良であると判定される。S4の判定結果がNoであった場合には,S2の判定結果がNoであった場合と同様に,次のS5へ進む。
(S5)
最後のS5は,スペクトル計測部8の検出結果における,ターゲット波長Dに相当する強度を,そのしきい値と比較するステップである。すなわちこのステップでは,溶接箇所にてアルミが十分に溶融していないという事象が起こっているか否かを,スペクトル計測部8の検出結果により判定する。そのため,スペクトル計測部8の当該波長についての検出強度が,そのしきい値以下である場合にYesと判定し,しきい値より大きい場合にNoと判定する。S5の判定結果がYesであった場合には,現在の溶接対象品が不良であると判定されることとなる。この場合には,時系列計測部9のデータを参酌するまでもない。S5の判定結果がNoであった場合には,S1戻ってさらに判定が繰り返される。溶接開始から不良判定されることなく溶接終了に至った場合に,その溶接対象品は良品とされる。
以上の図10のルーチンのメインライン上では,ターゲット波長についての3つの判定S1,S2,S5を,この順に行っているが,これらの順序は任意である。また,実際には前述のように,スペクトル計測部8での検知対象波長は,フォーカスレンズ14のフォーカシングの掃引動作による。このため,検知対象波長がターゲット波長となったときに,該当する判定がなされる。
また,このルーチン中に溶接不良か否かの判定のステップは,S1,S4,S5の3つあるが,これらのうち本発明として特徴的なのは,S4の判定である。スペクトル計測部8の検出結果をトリガとして時系列計測部9のデータのデジタル演算処理を行い,その結果に基づいての判定だからである。S1,S5の判定は,スペクトル計測部8の検出結果に直接基づく判定であり,有益ではあるが本発明としての必須事項ではない。
ただしS1,S5のターゲット波長F,G,Dについての判定についても,しきい値を2水準にすることで,本発明としての特徴的な事項を取り入れることができる。すなわち,これらのターゲット波長の強度を,直ちに不良と判定するレベル(S1,S5でのYesに相当)と,不良ではないと判定するレベル(S1,S5でのNoに相当)と,それらの間の中間レベルに分類し,中間レベルだった場合にS3,S4を実施するようにするのである。逆にS2のターゲット波長Tについても,しきい値を2水準にして,強度があまりにも高い場合にはS3,S4を行わずに直ちに不良判定するようにしてもよい。
以上詳細に説明したように本実施の形態に係るレーザ溶接装置1によれば,照射ヘッド5の解析部7に,波長掃引機能を有するスペクトル計測部8と,時間的追随性に優れる時系列計測部9とを設けている。そして,スペクトル計測部8での,設定されたターゲット波長についての特定の測定結果をトリガとして(S2:Yes),時系列計測部9の測定データのデジタル演算処理を開始することとしている。そしてこのデジタル演算処理の結果に基づいて,不良判定を行うようにしている(S4)。これにより溶接時に,常時デジタル演算処理を行うことなく,不良判定上必要なときのみにデジタル演算処理を行うようにしている。これにより,溶接時に過大な演算量を必要とすることなく,適切な判定速度および高い判定精度で溶接箇所の良否判定ができるレーザ溶接装置が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本形態のレーザ溶接装置1では,ダイクロイックミラー6にて,レーザ光Lが反射され二次光Eはそのまま透過するようになっている。しかし照射ヘッド5の構成によっては,上記の反射と透過を逆にすることもできる。ただしその場合にはダイクロイックミラー6として,それに適した特性のものを使用する必要がある。本形態ではまた,溶接箇所から放射される二次光のうちレーザ光Lの照射光路をそのまま逆進していくものを解析部7での解析対象光としている。しかしこれに限らず,二次光のうち斜め方向に進行していくものを測定対象とすることもできる。その場合にはダイクロイックミラー6は不要である。
さらに,スペクトル計測部8の構成は,図4に示したようなものに限らず,回折格子と受光素子とを機械的に角度操作することで測定対象波長を掃引するようなものでもよい。また,時系列計測部9における光学干渉フィルタ16は必須のものではなく,二次光Eの全強度をフォトダイオード18で測定するものであってもよい。また,スペクトル計測部8の測定速度が非常に速いものであれば,時系列計測部9を廃して,スペクトル計測部8の測定データだけですべての処理を行うようにすることも原理的には可能である。
また,時系列計測部9での測定データに関する判定について,前記形態では,デジタル演算処理としてはローパスフィルタ(ノイズ除去)とハイパスフィルタ(ノイズ抽出)を挙げ,後者についての登録パターンを例示した。しかしこれに限らず,前者のノイズ除去パターン中に溶接不良の特徴的なパターンがあるならば,それを登録パターンとしてもよい。その場合には当然,マッチング対象となる演算データも該当するもの(すなわち図8のもの)となる。また,デジタル演算自体も,上記の他に微分演算や積分演算であってもよい。また,時系列計測部9を2組備えてそれらにおける光学干渉フィルタ16を異なる特性のものとし,それらの取得データの差分をとる,ということも考えられる。
また,S1,S2,S5でのターゲット波長における発光強度についても,次のようなバリエーションが考えられる。第1に,二次光Eにおける当該波長成分の強度をそのまま用いることが考えられる。第2に,当該波長成分の強度からバックグラウンド強度を差し引いた正味分の強度を用いることが考えられる。第3に,対象とする波長にピーク幅程度の幅を持たせることによる積分ピーク強度を用いることが考えられる。
1 レーザ溶接装置
5 照射ヘッド
8 スペクトル計測部
9 時系列計測部
19 コンピュータ(良否判定部)

Claims (1)

  1. 溶接物にレーザ光を照射することにより溶接物を溶接するレーザ溶接装置において,
    溶接物にレーザ光を照射する照射部と,
    前記照射部によるレーザ光の照射を受けている溶接物から放射される二次光の波長ごとの強度を取得するスペクトル計測部と,
    前記二次光の強度の経時変化を取得する時系列計測部と,
    前記スペクトル計測部および前記時系列計測部の取得データを解析して溶接の良否判定を行う良否判定部とを有し,
    前記良否判定部は,
    二次光の波長であって溶接箇所の状況により強度が影響を受けるターゲット波長と,当該ターゲット波長での二次光の強度についての判定しきい値とがあらかじめ定められており,
    前記スペクトル計測部で取得された強度のうち前記ターゲット波長のものと,前記判定しきい値とを比較し,あらかじめ定めた大小関係であった場合に,前記時系列計測部で取得された経時変化パターンについてのデジタル演算処理を行い,
    当該デジタル演算処理の結果であるパターンが,あらかじめ定められた溶接不良時の経時変化パターンに当てはまる場合に不良と判定し,
    当てはまらない場合には不良との判定をしないものであることを特徴とするレーザ溶接装置。
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