JP2003168863A - ガラスセラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

ガラスセラミック基板およびその製造方法

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JP2003168863A
JP2003168863A JP2001365138A JP2001365138A JP2003168863A JP 2003168863 A JP2003168863 A JP 2003168863A JP 2001365138 A JP2001365138 A JP 2001365138A JP 2001365138 A JP2001365138 A JP 2001365138A JP 2003168863 A JP2003168863 A JP 2003168863A
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glass
green sheet
glass ceramic
ferrite
ferrite layer
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Koji Yamamoto
弘司 山本
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズ吸収のためのフェライト層が形成され
たガラスセラミック基板において、従来はフェライト層
に非磁性材料であるガラス等の焼結助剤を添加して同時
焼成していたため透磁率が低下し、十分なノイズ吸収効
果が得られない。 【解決手段】 ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁
基体1の内部および/または表面に、配線導体3と、こ
の配線導体3の上面および下面を覆うフェライトおよび
1重量%以下のガラスから成るフェライト層2とが、絶
縁基体1との同時焼成で形成されている配線基板であ
る。フェライト層2の透磁率が高く、このフェライト層
2で配線導体3を覆っていることにより、配線導体3を
通過するノイズを効果的に吸収することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラスセラミック焼
結体から成る絶縁基体の内部および/または表面に同時
焼成による配線導体およびこの配線導体を覆うノイズ吸
収のためのフェライト層を備えるガラスセラミック基板
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報処理装置は高性能化が急激に
進展し、これに伴って情報処理装置に搭載実装される半
導体装置や混成集積回路装置も高速駆動が行なわれ、ノ
イズの影響をきわめて受けやすいものになってきた。そ
のため外部電気回路から高周波のノイズが入り込んだ場
合、そのノイズはそのまま配線導体を通して半導体素子
等の電子部品に入り込み、誤動作させてしまう危険があ
る。従って、そのような誤動作を防ぐためノイズ対策が
必要とされる。
【0003】従来のガラスセラミック基板におけるノイ
ズ対策としては、ノイズを吸収するフェライトビーズを
ガラスセラミック基板の表面に実装する方法や、フェラ
イト基板をガラスセラミック基板の裏面に接合する方法
が古くから行なわれてきた。
【0004】しかしながら、この方法では小型化および
実装の簡略化が困難であった。そこで、近年ではガラス
セラミック基板そのものにノイズを吸収させることによ
る表面実装工程の簡略化およびガラスセラミック基板の
小型化が図られている。
【0005】その方法の一つとして、ガラスセラミック
基板の内部にフェライト層を形成する方法が挙げられ
る。例えば絶縁基体そのものにフェライト粉末を混入さ
せる方法や、絶縁基体の一部にフェライトを含む補助膜
を形成する方法がある。これらの方法ではガラスセラミ
ック基板の内部にフェライト層を形成するために、フェ
ライト層と絶縁基体のガラスセラミックスとを同時焼成
している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、フェ
ライト層と絶縁基体の主成分であるガラスセラミックス
とを同時焼成により密着させるために、またそれぞれの
焼成収縮率を合わせるために、フェライト層にガラス粉
末またはガラスセラミック粉末を添加しなければならな
かった。これは、純粋なフェライト層をガラスセラミッ
クスと同時焼成するとフェライト層とガラスセラミック
スとの充分な密着力が得られず、さらに、焼成時のフェ
ライト層の収縮率とガラスセラミックスの収縮率とが異
なると、焼成後にガラスセラミック基板が変形する、ま
たはフェライト層がガラスセラミック基板から剥離する
というような不具合が発生するからである。
【0007】しかしながら、フェライト層に添加される
ガラス粉末やガラスセラミック粉末は非磁性体であるた
め、これらはフェライト層中に非磁性の空間を形成する
こととなり、フェライト層中のフェライトの密度が低下
してしまうという問題点があった。
【0008】一般的に、フェライト等磁性体のノイズ吸
収力は透磁率(μ)を指標として表される。透磁率が高
ければ、磁性体のノイズ吸収力が高くなる。ただし、透
磁率は磁性体中に非磁性部分が存在するとその非磁性部
分の体積の3乗に比例して低下する。よって、前述のよ
うにフェライト層にガラス粉末やガラスセラミック粉末
を添加すると、フェライト層の透磁率が急激に低下する
という問題点があった。
【0009】そして、透磁率が低下するとノイズを充分
に吸収できなくなり、その結果、外部電気回路から高周
波のノイズが入り込んだ場合に、そのノイズが完全に吸
収されず配線導体を通して半導体素子等の電子部品に入
り込み、誤動作させてしまうという問題点があった。
【0010】しかし、ノイズを充分に吸収するためにフ
ェライト層を多量に形成すると、焼成後のフェライト層
が剥離しやすくなるという問題点があった。これは焼成
時の収縮および熱膨張係数がフェライト層とガラスセラ
ミックスとで異なるためであり、フェライト層が多量に
形成されれば剥離の発生は顕著になる。また、フェライ
ト層が増加すると相対的にガラスセラミックスが少なく
なり、絶縁基体全体としての誘電率や絶縁特性がガラス
セラミック基板本来のものと異なってくるという問題点
があった。
【0011】以上のような理由から、絶縁基体の内部の
フェライト層は微小体積または低密度のものしか形成で
きず、フェライト層を用いて充分なノイズ吸収特性を持
ったガラスセラミック基板を得ることができないという
問題点があった。
【0012】本発明は以上のような従来の技術における
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透磁
率の高いフェライト層を備えたノイズ吸収特性の高いガ
ラスセラミック基板およびその製造方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のガラスセラミッ
ク基板は、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体
の内部および/または表面に、配線導体と、この配線導
体の上面および下面を覆うフェライトおよび1重量%以
下のガラスから成るフェライト層とが、前記絶縁基体と
の同時焼成で形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0014】また本発明のガラスセラミック基板は、前
記フェライトが、ZnFe24,MnFe24,FeF
24,CoFe24,NiFe24およびCuFe2
4のうちの少なくとも1種から成ることを特徴とする
ものである。
【0015】さらに、本発明のガラスセラミック基板の
製造方法は、有機バインダを含有し表面に配線導体およ
びこの配線導体の上面および下面を覆うZnFe24
MnFe24,FeFe24,CoFe24,NiFe
24およびCuFe24のうちの少なくとも1種を含む
フェライト層が形成されたガラスセラミック・グリーン
シートの複数枚を積層してガラスセラミック・グリーン
シート積層体を作製する工程と、前記ガラスセラミック
・グリーンシート積層体の両面に、難焼結性無機材料と
ガラスと有機バインダとを含む拘束グリーンシートを積
層する工程と、前記拘束グリーンシートとガラスセラミ
ック・グリーンシート積層体との積層体から有機成分を
除去し、次いで焼成して拘束シートを保持したガラスセ
ラミック基板を作製する工程と、前記ガラスセラミック
基板から拘束シートを除去する工程とを含み、前記拘束
グリーンシートのガラス含有量が、前記焼成時に拘束グ
リーンシートを前記ガラスセラミック・グリーンシート
と結合させかつ拘束グリーンシートをその積層面内で実
質的に収縮させない量であることを特徴とするものであ
る。
【0016】本発明のガラスセラミック基板によれば、
ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部およ
び/または表面に、配線導体と、この配線導体の上面お
よび下面を覆うフェライトおよび1重量%以下のガラス
から成るフェライト層とが、絶縁基体との同時焼成によ
り形成されていることから、フェライト層中に磁性を持
たない空間を形成するガラス成分を1重量%以下とした
ことでフェライト層の透磁率の低下を抑えることがで
き、また、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体
および配線導体と同時焼成によって形成されることから
絶縁基体および配線導体との十分な密着性を得ることが
でき、さらに、このフェライト層で配線導体の上下面を
覆うことによってフェライト層によるノイズ吸収を効率
良く機能させることができるので、配線導体を通過する
ノイズが半導体素子等の電子部品へ侵入するのを効果的
に防止することが可能となる。
【0017】また、本発明のガラスセラミック基板によ
れば、フェライトが、ZnFe24,MnFe24,F
eFe24,CoFe24,NiFe24およびCuF
24のうちの少なくとも1種から成る場合には、これ
らのフェライトの結晶相は高い透磁率を発現することか
ら、これらのフェライトから成るフェライト層によって
より効果的にノイズ吸収が可能な十分に高い透磁率を得
ることができる。
【0018】さらに、本発明のガラスセラミック基板の
製造方法によれば、上記の各工程を含み、ガラスセラミ
ック・グリーンシート積層体の両面に積層した拘束グリ
ーンシートのガラス含有量が、焼成時に拘束グリーンシ
ートをガラスセラミック・グリーンシートと結合させか
つ拘束グリーンシートをその積層面内で実質的に収縮さ
せない量であることから、ガラスセラミック基板の焼成
時に生じる平面方向の収縮を拘束シートによって抑え、
またフェライト層の変形を防止することができ、焼成時
に熱収縮の異なるフェライト層が形成されたガラスセラ
ミック・グリーンシート積層体を変形させることなく、
ガラスセラミックスから成る絶縁基体と配線導体とフェ
ライト層とを同時焼成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。
【0020】図1は本発明のガラスセラミック基板の実
施の形態の一例を示す断面図であり、1はガラスセラミ
ックス焼結体から成る絶縁基体、2はフェライト層、3
は配線導体である。
【0021】絶縁基体1は、複数のガラスセラミック層
が積層されて構成されており、その内部および/または
表面に配線導体3およびその上面および下面を覆うフェ
ライト層2が形成されている。
【0022】ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基
体1は、まず、ガラス粉末およびフィラー粉末(セラミ
ック粉末)、さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等
を混合してスラリーを得て、これからドクターブレード
法,圧延法,カレンダーロール法等によってガラスセラ
ミック・グリーンシートを製作し、このガラスセラミッ
ク・グリーンシートを複数積層した後、大気中または加
湿窒素雰囲気中にて、800〜1100℃の温度で焼成して作
製される。
【0023】ガラス粉末としては、例えばSiO2−B2
3系,SiO2−B23−Al23系,SiO2−B2
3−Al23−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,
BaまたはZnを示す),SiO2−Al23−M1O−
2O系(但し、M1およびM 2は同一または異なってC
a,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO2
23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1および
2は前記と同じである),SiO2−B23−M3 2O系
(但し、M3はLi,NaまたはKを示す),SiO2
23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じ
である),Pb系ガラス,Bi系ガラス等を用いること
ができる。
【0024】また、フィラー粉末としては、例えばAl
23,SiO2,ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物や、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物,Al23およびSiO2から選ばれる少な
くとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライ
ト,コージェライト)等を用いることができる。
【0025】配線導体3は、フェライト層2に上下面を
覆われて絶縁基体1の内部および/または表面に形成さ
れており、Cu,Ag,Au,Ag合金等の金属粉末
に、適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製した導体
ペーストを、従来周知のスクリーン印刷法やグラビア印
刷法等によりガラスセラミック・グリーンシート表面に
塗布し、ガラスセラミック・グリーンシートと同時に焼
成されて形成される。
【0026】フェライト層2は、配線導体3の上下面を
覆うように絶縁基体1の表面および/または内部に形成
された配線導体3とともに形成されており、フェライト
および1重量%以下のガラスから成るものである。この
フェライト層2には、ZnFe24,MnFe24,F
eFe24,CoFe24,NiFe24およびCuF
24のうちの少なくとも1種から成るフェライトを用
いることが、より効果的にノイズ吸収が可能な十分に高
い透磁率を得られる点で好ましい。
【0027】フェライト層2の形成は、フェライト粉末
に適当な有機バインダ,溶剤を混練して作製したフェラ
イトペーストを、従来周知のスクリーン印刷法やグラビ
ア印刷法等によりガラスセラミック・グリーンシート上
の配線導体3の上下面を覆う形で塗布して形成する。こ
のとき、配線導体3から侵入するノイズを完全に吸収す
るためには、配線導体3の上下面をフェライト層2で完
全に覆う必要がある。また、より完全なノイズ吸収のた
めには、配線導体3の側面もフェライト層2で覆ってお
くことが好ましい。よって、そのような配線導体3およ
びフェライト層2を形成するためには、所定のガラスセ
ラミック・グリーンシート表面に、下面のフェライト層
2となるフェライトペースト,配線導体3となる導体ペ
ースト,上面のフェライト層2となるフェライトペース
トの順番に各ペーストを塗布し乾燥するとよい。
【0028】フェライト層2を形成するのに用いるフェ
ライト粉末は、仮焼済みのフェライト粉末で、粒径が均
一で球形状に近い粒が望ましい。これは、均一な焼結状
態を得ることができるからであり、例えばフェライト粉
末で部分的に小さい粒径が存在した場合は、その部分の
み結晶粒の成長が低下してしまい、焼結後に得られるフ
ェライト層2の透磁率が安定しにくい傾向がある。
【0029】フェライト層2は、フェライトおよびフェ
ライト層2全体に対して1重量%以下のガラスから成る
ものである。ただし、この1重量%以下のガラスは焼成
時にガラスセラミックスから拡散して流入するものであ
り、焼成前のフェライトペーストには含まれない。
【0030】本発明のガラスセラミック基板の製造方法
においては、まず、フェライト層2および配線導体3を
前述の要領でガラスセラミック・グリーンシートに形成
した後、このガラスセラミック・グリーンシートの複数
枚を積層してガラスセラミック・グリーンシート積層体
を作製する。
【0031】次に、ガラスセラミック・グリーンシート
積層体の両面に、難焼結性無機材料とガラスと有機バイ
ンダとを含む拘束グリーンシートを積層する。
【0032】そして、この拘束グリーンシートとガラス
セラミック・グリーンシート積層体との積層体から有機
成分を除去し、次いで焼成して拘束シートを保持したガ
ラスセラミック基板を作製し、最後にこのガラスセラミ
ック基板から拘束シートを除去する。
【0033】本発明における拘束グリーンシートは、難
焼結性無機材科とガラスとから成る無機成分に有機バイ
ンダ,可塑剤,溶剤等を加えたスラリーを成形して得ら
れる。難焼結性無機材料としては、Al23およびSi
2から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、これ
らに制限されるものではない。
【0034】拘束グリーンシートに加えられるガラスに
ついても、特に制限されるものではなく、前述のガラス
セラミック・グリーンシートに配合されるガラスと同様
のものが使用可能である。また、拘束グリーンシート中
のガラスは、ガラスセラミック・グリーンシート中のガ
ラスと同一組成のものであってもよく、異なる組成のも
のであってもよい。
【0035】拘束グリーンシート中のガラス含有量は、
この拘束グリーンシート中の全無機成分の0.5〜15重量
%であるのがよい。通常は、この範囲が焼成時にガラス
セラミック・グリーンシートと結合しかつ拘束グリーン
シートをその積層面内で実質的に収縮させない量となる
が、必ずしもこの範囲に制限されるものではなく、使用
するガラスの種類等によってガラス含有量は変化する。
【0036】拘束グリーンシート中のガラスの軟化点
は、ガラスセラミック・グリーンシート積層体の焼成温
度以下で、かつ拘束グリーンシート中の有機成分の分解
温度および揮散温度よりも高いのが好ましい。具体的に
は、拘束グリーンシート中のガラスの軟化点は450〜110
0℃程度であるのが好ましい。ガラスの軟化点が450℃未
満の場合には、ガラスセラミック・グリーンシートから
の有機成分の除去時に、軟化したガラスが分解・揮散し
た有機成分の除去経路を塞ぐことになり有機成分を完全
に除去できないおそれがある。一方、ガラスの軟化点が
1100℃を超える場合には、通常のガラスセラミック・グ
リーンシートの焼成条件ではこのグリーンシートへの結
合材として作用しなくなるおそれがある。
【0037】拘束グリーンシートは、ガラスセラミック
・グリーンシートの作製と同様にして、有機バインダ,
可塑剤,溶剤等を用いて成形することによって得られ
る。有機バインダ,可塑剤,溶剤としては、ガラスセラ
ミック・グリーンシートで使用したのと同様な材料が使
用可能である。ここで、可塑剤を添加するのは、拘束グ
リーンシートに可撓性を付与し、積層時にガラスセラミ
ック・グリーンシートとの密着性を高めるためである。
【0038】ガラスセラミック・グリーンシート積層体
の両面に積層される拘束グリーンシートの厚さは、片面
だけでガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さ
に対して10%以上であるのが好ましく、これよりも薄い
と拘束グリーンシートの拘束性が低下するおそれがあ
る。また、有機成分の揮散を容易にしかつガラスセラミ
ック基板からの拘束シートの除去を考慮すると、拘束グ
リーンシートの厚さはガラスセラミック・グリーンシー
ト積層体の厚さの約200%以下であるのがよい。また、
積層される拘束シートは1枚のシートからなるものであ
ってもよく、あるいは所定の厚みになるように複数枚を
積層したものであってもよい。
【0039】成形された拘束グリーンシートをガラスセ
ラミック・グリーンシート積層体の両面に積層するに
は、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧
着する方法や、有機バインダ,可塑剤,溶剤等からなる
密着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可
能である。シート間に密着剤層を介在させる場合には、
この密着剤層に拘束グリーンシートと同じガラス成分を
含有させてシート間の結合力を高めるようにしてもよ
い。
【0040】拘束グリーンシートを積層した後、有機成
分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は、積層体に
荷重をかけつつ100〜800℃の温度範囲で積層体を加熱す
ることによって行ない、有機成分を分解し揮散させる。
また、焼成温度はガラスセラミック組成により異なる
が、通常は約800〜1100℃の範囲内である。焼成は通
常、大気中で行なうが、導体材料にCuを使用する場合
には、100〜700℃の加湿窒素雰囲気中で有機成分の除去
を行ない、次いで窒素雰囲気中で焼成を行なう。
【0041】また、有機成分の除去時ならびに焼成時に
は、積層体の反りを防止するために、積層体の上面に重
しを載せる等して荷重をかけるとよい。このような重し
による荷重は50Pa〜1MPa程度が適当である。荷重
が50Pa未満である場合は、積層体の反りを抑制する作
用が充分でなくなるおそれがある。また、荷重が1MP
aを超える場合は、使用する重しが大きくなるため、焼
成炉に入らなくなったり、また焼成炉に入っても重しが
大きいために熱容量が不足することになり焼成できなく
なったりする等の問題をひき起こすおそれがある。
【0042】この重しとしては、ガラスセラミック基板
の焼成中に変形,溶融等して荷重が不均一になったり、
分解した有機成分の揮散を妨げたりすることがないよう
な耐熱性の多孔質のものが適している。具体的には、セ
ラミックス等の耐火物、あるいは高融点の金属等が挙げ
られる。また、積層体の上面に多孔質の重しを置き、そ
の上に非多孔質の重しを置いてもよい。
【0043】焼成後、拘束シートを除去する。除去方法
としては、ガラスセラミック基板の表面に結合した拘束
シートを除去できる方法であれば特に制限はなく、例え
ば超音波洗浄,研磨,ウォータージェット,ケミカルブ
ラスト,サンドブラスト,ウェットブラスト(砥粒と水
とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられる。
【0044】得られたガラスセラミック基板は、焼成時
の収縮が拘束グリーンシートによって厚さ方向だけに抑
えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%
以下にも抑えることが可能となり、しかも、ガラスセラ
ミック・グリーンシートは拘束グリーンシートによって
全面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、
拘束グリーンシートの一部剥離等によってガラスセラミ
ック基板およびフェライト層の反りや変形が起こるのを
効果的に防止することができる。
【0045】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。 <実施例1>本実施例では、図2に断面図で示すよう
な、外径20mm,内径5mmのリング形状の評価用試験
片を作製し、透磁率を測定した。なお、図2において、
図1と同様の箇所には同じ符号を付してあり、1はガラ
スセラミックス焼結体から成る絶縁基体、2はフェライ
ト層、3は配線導体である。透磁率の測定はヒューレッ
トパッカード社製のインピーダンスアナライザーHP−
4291Aを用い、高周波電流電圧法にて測定した。
【0046】まず、ガラスセラミックス成分として、S
iO2−Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉
末60重量%,CaZrO3粉末20重量%,SrTiO3
末17重量%およびAl23粉末3重量%を使用した。こ
のガラスセラミック成分100重量%に有機バインダとし
てアクリル樹脂12重量%,フタル酸系可塑剤6重量%お
よび溶剤としてトルエン30重量%を加え、ボールミル法
により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてド
クターブレード法により厚さ300μmのガラスセラミッ
ク・グリーンシートを成形した。
【0047】次にフェライトペーストとして平均粒径0.
5〜1μmのZnFe24,MnFe 24,FeFe
24,NiFe24の結晶相から構成される仮焼済みの
フェライト粉末に、ビヒクル成分として所定量のエチル
セルロース系樹脂、テルピネオールを加え、3本ロール
により適度な粘度になるように混合し、フェライトペー
ストを作製した。
【0048】同様に、配線導体ペーストとしてCu粉末
(平均粒径1.0μm)100重量%に対してガラスセラミッ
ク・グリーンシートと同組成のガラス粉末2重量%、さ
らに所定量のエチルセルロース系樹脂とテルピネオール
を加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合
し配線導体ペーストを作製した。
【0049】一方、無機成分としてAl23粉末95重量
%と軟化点720℃のSiO2−Al23−MgO−B23
−ZnO系ガラス粉末5重量%とを用いて、ガラスセラ
ミック・グリーンシートと同様にしてスラリーを作製
し、次いで成形して厚さ250μmの拘束グリーンシート
を得た。
【0050】なお、ガラスセラミック・グリーンシート
および拘束グリーンシートは、ともに透磁率の評価用試
験片形状である外径20mm,内径5mmのリング形状に
加工しておく。
【0051】次に、ガラスセラミック・グリーンシート
にフェライトペーストおよび導体ペーストを用いて、フ
ェライト層−配線導体層−フェライト層の順番でそれぞ
れ塗布し乾燥を行なった。今回の評価用試験片では、ガ
ラスセラミック・グリーンシート全面に塗布した。フェ
ライトペーストは80μmの厚み、導体ペーストは20μm
の厚みとした。その後、ガラスセラミック・グリーンシ
ートの所定枚数を積み重ねてガラスセラミック・グリー
ンシート積層体を得て、さらにその両面に拘束グリーン
シートを重ね合わせ、温度55℃,圧力20MPaで圧着し
て積層体を得た。
【0052】得られた積層体をアルミナセッターに載置
し、その上に重しを載せて約0.5MPaの荷重をかけつ
つ大気中にて500℃で2時間加熱して有機成分を除去し
た後、窒素雰囲気中にて900℃で1時間焼成した。焼成
後は、ガラスセラミック基板の両面に拘束シートが付着
していた。この状態では、軽く叩いても拘束シートが剥
がれることはなかった。
【0053】ガラスセラミック基板の表面に付着した拘
束シートは、擦り取ることにより大部分は除去できた
が、ガラスセラミック基板の表面に薄く残留していた。
この残留した拘束シートを、球状Al23微粉末と水と
の混合物を高圧の空気圧で投射するウェットブラスト法
により除去した。拘束シートを除去した後のガラスセラ
ミック基板の表面は、表面粗さRaが1μm以下の平滑
な面であった。
【0054】また、得られたガラスセラミック基板の積
層面内での収縮は0.5%以下であり、内層の全面にフェ
ライト層が形成されているものの、基板に反りや変形も
認められなかった。
【0055】このようにして作製した評価用試験片に
て、透磁率を測定した。その測定結果を図3に線図で示
す。
【0056】図3において、横軸は周波数(単位:MH
z)、縦軸は透磁率を示す。なお、透磁率はμ'成分お
よびμ''成分のそれぞれをプロットしている。一般に、
ノイズ吸収はμ''の立ち上がり以上の周波数領域で効果
が出る。よって、本実施例では200MHz以上の高周波
領域にてフェライト層によるノイズ吸収の効果が見込め
ると分かる。
【0057】次に、比較例として、以下の2種類の評価
用試験片を作製し、同様に透磁率の測定を行なった。
【0058】<比較例1>フェライトペーストとして平
均粒径0.5〜1μmのZnFe24,MnFe2 4,F
eFe24,NiFe24の結晶相から構成される仮焼
済みのフェライト粉末50重量%と、ガラスセラミック・
グリーンシートに用いているガラス粉末50重量%とに、
ビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂お
よびテルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘
度になるように混合し、フェライトペーストを作製した
以外は実施例1と同様にして評価用試験片を作製した。
【0059】<比較例2>拘束シートを積層せずに焼成
した以外は実施例1と同様にして評価用試験片を作製し
た。
【0060】このようにして作製した比較例1の評価用
試験片の透磁率を測定した。その測定結果を図4に図3
と同様の線図で示す。
【0061】図4の結果より、ガラス粉末を添加した比
較例1については、実施例1の結果と比べて透磁率が非
常に低いことが分かる。また、拘束シートを積層せずに
焼成した比較例2では、評価用試験片が焼成時に大きく
変形してしまい、透磁率は測定できず、ガラスセラミッ
ク基板としても使えないことが分かった。
【0062】なお、本発明は上述の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
であれば種々の変更は可能である。例えば、上述の実施
の形態の例では配線導体3にCuを用いたが、配線導体
3にAg,Au,Ag−Pd合金等を用いてもよい。
【0063】
【発明の効果】本発明のガラスセラミック基板によれ
ば、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基体の内部
および/または表面に、配線導体と、この配線導体の上
面および下面を覆うフェライトおよび1重量%以下のガ
ラスから成るフェライト層とが、絶縁基体との同時焼成
により形成されていることから、フェライト層中に磁性
を持たない空間を形成するガラス成分を1重量%以下と
したことでフェライト層の透磁率の低下を抑えることが
でき、また、ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁基
体および配線導体と同時焼成によって形成されることか
ら絶縁基体および配線導体との十分な密着性を得ること
ができ、さらに、このフェライト層で配線導体の上下面
を覆うことによってフェライト層によるノイズ吸収を効
率良く機能させることができるので、配線導体を通過す
るノイズが半導体素子等の電子部品へ侵入するのを効果
的に防止することが可能となる。
【0064】また、本発明のガラスセラミック基板によ
れば、フェライトが、ZnFe24,MnFe24,F
eFe24,CoFe24,NiFe24およびCuF
24のうちの少なくとも1種から成る場合には、これ
らのフェライトの結晶相は高い透磁率を発現することか
ら、これらのフェライトから成るフェライト層によって
より効果的にノイズ吸収が可能な十分に高い透磁率を得
ることができる。
【0065】また、本発明のガラスセラミック基板の製
造方法によれば、ガラスセラミック基板の焼成時に生じ
る平面方向の収縮を拘束シートによって抑え、またZn
Fe 24,MnFe24,FeFe24,CoFe
24,NiFe24およびCuFe24のうちの少なく
とも1種を含むフェライト層の変形を防止することがで
き、焼成時に熱収縮の異なるフェライト層が形成された
ガラスセラミック・グリーンシート積層体を変形させる
ことなく、ガラスセラミックスから成る絶縁基体と配線
導体とフェライト層とを同時焼成して本発明のガラスセ
ラミック基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスセラミック基板の実施の形態の
一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例の透磁率測定に用いた評価用試
験片を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例における透磁率測定結果を示す
線図である。
【図4】本発明の比較例における透磁率測定結果を示す
線図である。
【符号の説明】
1:絶縁基体 2:フェライト層 3: 配線導体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスセラミックス焼結体から成る絶縁
    基体の内部および/または表面に、配線導体と、該配線
    導体の上面および下面を覆うフェライトおよび1重量%
    以下のガラスから成るフェライト層とが、前記絶縁基体
    との同時焼成で形成されていることを特徴とするガラス
    セラミック基板。
  2. 【請求項2】 前記フェライトが、ZnFe24,Mn
    Fe24,FeFe24,CoFe24,NiFe24
    およびCuFe24のうちの少なくとも1種から成るこ
    とを特徴とする請求項1記載のガラスセラミック基板。
  3. 【請求項3】 有機バインダを含有し表面に配線導体お
    よび該配線導体の上面および下面を覆うZnFe24
    MnFe24,FeFe24,CoFe24,NiFe
    24およびCuFe24のうちの少なくとも1種を含む
    フェライト層が形成されたガラスセラミック・グリーン
    シートの複数枚を積層してガラスセラミック・グリーン
    シート積層体を作製する工程と、 前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面
    に、難焼結性無機材料とガラスと有機バインダとを含む
    拘束グリーンシートを積層する工程と、 前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーン
    シート積層体との積層体から有機成分を除去し、次いで
    焼成して拘束シートを保持したガラスセラミック基板を
    作製する工程と、 前記ガラスセラミック基板から拘束シートを除去する工
    程とを含み、 前記拘束グリーンシートのガラス含有量が、前記焼成時
    に拘束グリーンシートを前記ガラスセラミック・グリー
    ンシートと結合させかつ拘束グリーンシートをその積層
    面内で実質的に収縮させない量であることを特徴とする
    ガラスセラミック基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181662A (ja) * 2010-03-01 2011-09-15 Mitsubishi Electric Corp セラミック回路基板及びその製造方法

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