JP2003168446A - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

燃料電池及びその製造方法

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JP2003168446A
JP2003168446A JP2001363893A JP2001363893A JP2003168446A JP 2003168446 A JP2003168446 A JP 2003168446A JP 2001363893 A JP2001363893 A JP 2001363893A JP 2001363893 A JP2001363893 A JP 2001363893A JP 2003168446 A JP2003168446 A JP 2003168446A
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thin film
electrolyte
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catalytically active
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Satoshi Okochi
智 大河内
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電極反応に寄与し得ないような有効でない触媒
活性物質の存在を回避するとともに、構造及び製造工程
の簡素化を図ることにより、燃料電池の効果的な出力性
能の向上を達成するととともに、コスト低減を図る。 【解決手段】プロトン伝導性を有する電解質膜を挟んで
対向する電極2が、導電性材料よりなりガス透過性を備
えた電極基材21と、電極基材21上に直接、分散担持
された触媒活性物質22と、電極基材21及び触媒活性
物質22の表面に被覆されたプロトン伝導性を有する電
解質薄膜23とからなることを特徴とする。全ての触媒
活性物質22が電極基材21及び電解質薄膜23の双方
に確実に接触しているため、全ての触媒活性物質22を
三相界面のサイトとして有効に働かせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境に優しく、また省資源化
を図れる発電装置として、燃料電池が注目されている。
燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭
酸塩型、固体電解質型や固体高分子型等に分類される。
これらのうち固体電解質型燃料電池は、作動温度が80
0〜1000℃と高温であるため発電効率が高く、また
電解質が固体であるため取扱いが容易でかつ長期的安定
性に優れるという長所をもつことから、次世代の燃料電
池として期待されている。
【0003】固体電解質型燃料電池は、一般に、プロト
ン伝導性をもつ固体電解質膜と、この電解質を挟んで接
合された一対の電極触媒層とからなるMEA(Memb
rane Electrode Assembly)を
基本構成とし、このMEAの両側にそれぞれガス拡散層
及びセパレータが配設された構成をなしている。なお、
電解質膜の一方の面に配設された一方の電極触媒層及び
その外側に配設されたガス拡散層によりアノード極とし
ての燃料極が構成され、電解質膜の他方の面に配設され
た他方の電極触媒層及びその外側に配設されたガス拡散
層によりカソード極としての酸素極が構成される。
【0004】かかる構成の固体電解質型燃料電池におい
ては、燃料極に天然ガスやメタノール等の燃料が供給さ
れるとともに、酸素極に空気等の酸化ガスが供給される
ことにより、各電極で下記(1)式及び(2)式に示す
電極反応がそれぞれ起こり、その結果燃料極で発生した
水素イオン(プロトン)が電解質膜を介して酸素極へ移
動し、この酸素極で水(H2 O)が生成されるとともに
電気エネルギーが得られる。このように、固体電解質型
燃料電池では、電気化学的反応を利用して、燃料の化学
エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すこ
とができる。
【0005】 アノード反応(燃料極):H2 +O2-→H2 O+2e- …(1) カソード反応(酸素極):2e- +(1/2)O2 →O2- …(2) 上述のとおり、燃料電池における電極は、電解質膜に密
着して形成された電極触媒層と、この電極触媒層の外側
に形成されたガス拡散層とから構成される。
【0006】この燃料電池の電極を構成する電極触媒層
は、一般に、カーボン粉末(カーボンブラック等)等の
導電性触媒担体に貴金属(白金等)粒子等の触媒活性物
質を担持させてなる触媒担持カーボンを、プロトン伝導
性をもつ「Nafion」(登録商標、デュポン社製、
パーフルオロスルホン酸ポリマ)等の固体高分子よりな
る電解質に分散保持させた構成をなしている。また、ガ
ス拡散層は、一般に、カーボンクロスやカーボンペーパ
ー等のカーボン基材よりなり、必要に応じて、このカー
ボン基材にポリ四フッ化エチレン(PTFE)等を含浸
させて撥水性を付与したり、さらにカーボンブラック等
のカーボン粉末をPTFEとともに混練したカーボンペ
ーストを塗布したりして使用に供されている。
【0007】このような構成を有する燃料電池は、以下
のようにして製造される。まず、カーボン粉末の表面に
Pt等の所定の触媒活性物質を担持させた触媒担持カー
ボンを準備し、この触媒担持カーボン、Nafion溶
液及びアルコール溶媒を混合して触媒インクを調製す
る。そして、この触媒インクをテフロン(登録商標)シ
ート上に塗布して、乾燥した後、これを所定の大きさに
打ち抜いてテフロンシートから剥がすことにより、電極
触媒層を形成する。得られた電極触媒層を別途準備した
電解質膜の一面及び他面にそれぞれ配設し、これら三者
をホットプレスにより一体的に接合して、電解質膜−触
媒層の接合体とする。さらに、触媒層の外側にガス拡散
層やセパレータを配設して電池セルを作成し、この電池
セルを複数個、積層状に組み立てることにより、燃料電
池とする。
【0008】ところで、上記電極反応は、電解質膜に接
触した電極触媒層を反応サイトとし、該電極触媒層にお
いて導電性触媒担体に担持された触媒活性物質とプロト
ン伝導性物質(電解質膜や上記電解質)との界面で進行
する。すなわち、上記電極反応には、水素や酸素等の反
応物質の他に、電子とプロトンの供給伝達が必要とな
る。このため、上記電極反応を円滑かつ活発に進行させ
るには、上記導電性触媒担体、触媒活性物質及びプロト
ン伝導性物質の三相界面を形成、確保することが重要と
なる。
【0009】しかしながら、従来の燃料電池では、導電
性触媒担体としてのカーボン粉末等に触媒活性物質を担
持させてなる触媒担持カーボンを、プロトン伝導性をも
つ電解質に分散保持させることにより、電極触媒層を構
成していることから、この電極触媒層において、他の触
媒担持カーボン群から孤立した触媒担持カーボン、すな
わち電子伝導のネットワークから孤立した触媒担持カー
ボンが存在する場合がある。このように電子伝導のネッ
トワークから孤立した触媒担持カーボンに担持された触
媒活性物質は、電子の供給がなく上記三相界面のサイト
としては有効に働かない。電極触媒層における組成比を
最適に調整したり、あるいは電極触媒層を均一な構造体
にしたりすること等により、上記孤立した触媒担持カー
ボンの存在を無くすことがたとえ可能であったとして
も、そのためには極めて複雑かつ精密な管理が必要とな
る。このため、従来の燃料電池では、全ての触媒担持カ
ーボンを電子伝導のネットワークに関与せしめて、全て
の触媒活性物質を上記三相界面のサイトとして有効に働
かせることが極めて困難である。
【0010】したがって、電極反応に寄与し得ないよう
な有効でない触媒活性物質の存在により、燃料電池の効
果的な出力性能の向上が妨げられたり、Pt等の高価な
貴金属の浪費によりコスト高騰を招くという問題があっ
た。
【0011】また、上記従来の燃料電池では、電極が電
極触媒層及びガス拡散層の2層構造をなすことから、構
造及び製造工程が複雑で、これによってもコスト高騰を
招くという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記上記実情
に鑑みてなされたものであり、電極反応に寄与し得ない
ような有効でない触媒活性物質の存在を回避するととも
に、構造及び製造工程の簡素化を図ることにより、燃料
電池の効果的な出力性能の向上を達成するととともに、
コスト低減を図ることを解決すべき技術課題とするもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の燃料電池は、プロトン伝導性を有する電解質膜と、
該電解質膜を挟んで対向する電極とからなる燃料電池で
あって、上記電極が、導電性材料よりなりガス透過性を
備えた電極基材と、該電極基材上に直接、分散担持され
た触媒活性物質と、該電極基材及び該触媒活性物質の表
面に被覆されたプロトン伝導性を有する電解質薄膜とか
らなることを特徴とするものである。
【0014】好適な態様において、前記電極基材は炭素
繊維よりなる。
【0015】好適な態様において、前記電解質膜と前記
電解質薄膜とが同一材料で形成されるとともに両者が一
体に接合されている。
【0016】上記課題を解決する本発明の燃料電池の製
造方法は、導電性材料よりなり、ガス透過性を備えた電
極基材を準備する工程と、上記電極基材上に直接、触媒
活性物質を分散担持させる工程と、上記電極基材及び上
記触媒活性物質の表面に、ゾルゲル法により、プロトン
伝導性を有する電解質薄膜を被覆して電極を形成する工
程と、プロトン伝導性を有する電解質膜を準備する工程
と、上記電解質膜と上記電極とを接合する工程とからな
ることを特徴とするものである。
【0017】好適な態様において、ゾルゲル法により、
前記電解質薄膜と同一材料で前記電解質膜を形成すると
ともに、該電解質膜と前記電解質薄膜とを少なくとも一
方が濡れている状態で接触させることにより、両者を一
体に接合する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係る燃料電池は、プロト
ン伝導性を有する電解質膜と、該電解質膜を挟んで対向
する電極とから構成されている。
【0019】上記電解質膜を挟んで対向する上記電極
は、該電解質膜の一面に配設されるアノード極としての
燃料極と、該電解質膜の他面に配設されるカソード極と
しての酸素極とから構成されている。燃料極では、水素
を含む燃料ガスが供給されることにより、前記(1)式
に示す電極反応(アノード反応)が起こり、一方、酸素
極では、電解質膜からイオンの供給を受けるとともに、
酸素を含む酸化ガスが供給されることにより、前記
(2)式に示す電極反応(カソード反応)が起こる。
【0020】そして、上記電極は、導電性材料よりなり
ガス透過性を備えた電極基材と、該電極基材上に直接、
分散担持された触媒活性物質と、該電極基材及び該触媒
活性物質の表面に被覆されたプロトン伝導性を有する電
解質薄膜とから構成されている。
【0021】このように本発明に係る燃料電池では、導
電性材料よりなる電極基材上に触媒活性物質が直接、分
散担持されており、しかもこの電極基材及び触媒活性物
質の表面に電解質薄膜が被覆されていることから、全て
の触媒活性物質が電極基材及び電解質薄膜の双方に確実
に接触している。このため、電極基材を端子に接続する
とともに、電解質薄膜と電解質膜とを接触させることに
より、全ての触媒活性物質に電子とプロトンとを供給、
伝達することがが可能となる。したがって、本発明に係
る燃料電池では、全ての触媒活性物質を三相界面のサイ
トとして有効に働かせることができる。よって、燃料電
池の効果的な出力性能の向上を達成するとともに、Pt
等の高価な貴金属の浪費によるコスト高騰を防いで、コ
ストの低減を図ることが可能となる。
【0022】また、本発明に係る燃料電池では、電極基
材上に直接、触媒活性物質が担持されていることから、
電極におけるガス透過性を確保する上でも有利となる。
すなわち、触媒担持カーボン(カーボン粉末等の導電性
触媒担体上に触媒活性物質を担持させたもの)を電解質
薄膜等により電極基材上に保持させる場合は、全ての触
媒活性物質を該電解質薄膜で覆うために、触媒担持カー
ボンの全体を該電解質薄膜で覆う必要がある。一般に、
カーボン粉末等の導電性触媒担体は触媒活性物質よりも
粒径が大きいことから、全ての触媒活性物質を電解質薄
膜で覆うべく、触媒担持カーボンの全体を該電解質薄膜
で覆うためには、該電解質薄膜の厚肉化を避けられず、
その分電極基材同士の間隙が小さくなってガス透過性が
低下してしまう。この点、本発明のように電極基材上に
直接、触媒活性物質を担持させれば、カーボン粉末等よ
りも粒径が遙かに小さい触媒活性物質のみを電解質薄膜
で覆うことにより、全ての触媒活性物質を該電解質薄膜
で覆うことができるため、該電解質薄膜を薄肉化させる
ことができる。このため、本発明によれば、電極基材同
士の間隙が電解質薄膜で埋められる割合を小さくするこ
とができるので、大きな間隙(高い気孔率)を確保し
て、電極におけるガス透過性を良好に確保することが可
能となる。
【0023】また、本発明に係る燃料電池の電極は、導
電性材料よりなるとともにガス透過性を備えてガス拡散
層として機能しうる電極基材上に触媒活性物質を担持さ
せるとともに、これらの表面を電解質薄膜で被覆するこ
とにより構成されていることから、従来の燃料電池の電
極のように電極触媒層及びガス拡散層の二層構造を呈す
ることはなく、その構造及び製造工程が簡素となる。
【0024】上記電解質膜の種類としては、プロトン伝
導性を有するものであれば特に限定されず、無機材料と
有機材料とが化学結合した無機有機複合材料にプロトン
伝導体(伝導性付与剤)を添加してなるものでも、無機
材料にプロトン伝導体を添加してなるものでも、パーフ
ルオロスルホン酸ポリマ等の有機ポリマよりなるもので
もいずれでもよい。
【0025】上記無機有機複合材料にプロトン伝導体を
添加してなる電解質膜としては、例えば、有機無機複合
材料としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン(GPTS、(OCH3 3 SiO(CH2 2
CH2 CHO)や各種シリコーンにテトラエトキシシラ
ン(TEOS、Si(OC2 5 4 )等を縮合させた
もの等にプロトン伝導体を添加したものを採用すること
ができる。
【0026】上記無機材料にプロトン伝導体を添加して
なる電解質膜としては、例えば、テトラメトキシシラン
(TMOS、Si(OCH3 4 )、テトラエトキシシ
ラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )やテトラプロ
ポキシジルコニウム(Zr(OC3 7 4 )にプロト
ン伝導体を添加したものを採用することができる。
【0027】なお、上記プロトン伝導体としては特に限
定されず、珪タングステン酸(STA)、リン酸トリエ
チル、タングストリン酸やリン酸等を採用することがで
きる。
【0028】また、上記有機ポリマよりなる電解質膜と
しては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュポ
ン社製)や「Gore−select」(登録商標、ゴ
ア社製)等のパーフルオロスルホン酸ポリマの他、スチ
レンジビニルベンゼンスルホン酸ポリマのイオン交換樹
脂を採用することができる。
【0029】なお、電解質膜と電極との密着性を向上さ
せたり、製造工程の簡素化を図ったりする等の観点よ
り、上記電極を構成する電解質薄膜と同一材料により電
解質膜を形成することが好ましい。このように電解質膜
と、この電解質膜を挟んで対向する電極の電解質薄膜と
を同一材料で形成すれば、後述するようにゾルゲル法等
を利用して両者を一体に接合することが可能となり、電
解質膜と電極との間に界面をもたない一体のMEAとす
ることができる。したがって、電解質膜と電極との密着
性が向上し、接触抵抗の低減により出力性能を向上させ
たり、製造工程の簡素化を図ったりする上で有利とな
る。
【0030】上記電極基材の種類としては、導電性材料
よりなりガス透過性を備えたものであれば特に限定され
ず、カーボンクロスやカーボンペーパー等の炭素繊維よ
りなる炭素基材の他に、不活性貴金属やその酸化物又は
炭化物等を採用することができる。ただし、良好なガス
透過性を確保するとともに、電極基材上に触媒活性物質
を直接担持する際に触媒活性物質を均一分散させること
等の観点より、導電処理や賦活処理を施したカーボンク
ロスやカーボンペーパー等の炭素繊維よりなる炭素基材
を用いることが好ましい。カーボンクロスやカーボンペ
ーパー等の炭素繊維よりなる電極基材であれば、電極基
材を構成する一本、一本の炭素繊維間の空隙が電解質薄
膜により埋まらない限りは、連続した空隙の存在により
良好なガス透過性を確実に確保することができる。ま
た、炭素繊維よりなる電極基材であれば、この電極基材
を構成する炭素繊維の一本、一本の周囲全体の表面上に
触媒活性物質が直接、担持されることになるので、全て
の触媒活性物質を確実に電極基材に接触させることがで
きるとともに、触媒活性物質の担持量の増大及び分散性
の向上を図ることができる。
【0031】ここに、上記導電処理は、上記炭素基材の
導電性をより高めるために行うもので、例えば1500
℃以上の炉内で不活性ガス雰囲気下、焼成することによ
り行うことができる。
【0032】また、上記賦活処理とは、表面積を増大、
安定化させて高比表面積炭素を得るための処理である。
この賦活処理には、賦活材として塩化亜鉛やリン酸等を
用いる薬品賦活処理、賦活材として水酸化カリウムや水
酸化ナトリウム等を用いるアルカリ賦活処理、賦活材と
して二酸化炭素や空気等を用いるガス賦活処理や、賦活
材として水蒸気を用いる水蒸気賦活処理等があるが、上
記炭素繊維の賦活処理には何れを採用してもよい。
【0033】なお、上記電極基材の比表面積は、500
〜2000m2 /g程度とすることが好ましい。この比
表面積が小さすぎると触媒活性物質を担持しうる絶対量
が不足するとともに触媒活性物質の分散性が低下し、大
きすぎると炭素繊維等よりなる電極基材自体が脆くなる
等の不都合がみられる。
【0034】上記触媒活性物質としては、Pt、Pd、
Ru、Os、Ir、RhやAu等の貴金属の中から選ば
れた1種又は2種以上の混合若しくは合金触媒を好適に
用いることができる。この触媒活性物質の平均粒径は1
〜10nm程度とすることができる。
【0035】上記電極基材に上記触媒活性物質を担持さ
せる方法としては特に限定されないが、蒸発乾固法、平
衡吸着法又はスプレー法等の含浸法やイオン交換法で
は、電極基材上に触媒活性物質を高分散に担持させるこ
とが困難であるため、吸引濾過しながら触媒担持液を電
極基材に含浸させる吸引濾過による含浸方法を採用する
ことが好ましい。この吸引濾過による含浸方法は、例え
ば、アスピレータ等を用いて吸引濾過しながら、濾紙上
に置かれた電極基材に触媒担持液を滴下して、触媒担持
液を電極基材に染み込ませることができる。こうするこ
とで、電極基材を構成する炭素繊維等の重なり部分(交
点)近傍等に生じる液溜まりを吸引、除去することがで
き、触媒活性物質の凝集を防いで、触媒活性物質をより
高分散させることが可能となる。そして、触媒担持液を
含浸させた電極基材を乾燥してから、300〜800℃
程度×1〜4時間程度の条件で、H2 気相還元する(H
2 をフローさせた環状炉内等で焼成する)ことにより、
電極基材上に触媒活性物質を高分散に担持させることが
できる。
【0036】上記触媒活性物質の担持量としては、上記
電極基材の表面に対して、面積率で、50〜100%程
度被覆することが好ましく、80%程度以上とすること
がより好ましい。この担持量が少なすぎるとガスの反応
効率が落ち、十分な性能が得られないこととなり、多す
ぎると無駄な触媒の付与、若しくは触媒粒径の成長によ
り触媒効率が低下することとなる。
【0037】上記プロトン伝導性を有する電解質薄膜
は、電極基材及びこの電極基材上に担持された触媒活性
物質の表面全体に被覆されている。
【0038】この電解質薄膜の種類としては、プロトン
伝導性を有するものであれば特に限定されず、上記電解
質膜と同様、無機材料と有機材料とが化学結合した無機
有機複合材料にプロトン伝導体(伝導性付与剤)を添加
してなるものでも、無機材料にプロトン伝導体を添加し
てなるものでも、パーフルオロスルホン酸ポリマ等の有
機ポリマよりなるものでもいずれでもよい。
【0039】上記無機有機複合材料にプロトン伝導体を
添加してなる電解質薄膜としては、例えば、有機無機複
合材料としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン(GPTS、(OCH3 3 SiO(CH2 2
OCH2 CHO)や各種シリコーンにテトラエトキシシ
ラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )等を縮合させ
たものにプロトン伝導体を添加したものを採用すること
ができる。
【0040】上記無機材料にプロトン伝導体を添加して
なる電解質薄膜としては、例えば、テトラメトキシシラ
ン(TMOS、Si(OCH3 4 )、テトラエトキシ
シラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )やテトラプ
ロポキシジルコニウム(Zr(OC3 7 4 )にプロ
トン伝導体を添加したものを採用することができる。
【0041】なお、上記プロトン伝導体としては特に限
定されず、珪タングステン酸(STA)、リン酸トリエ
チル、タングストリン酸やリン酸等を採用することがで
きる。
【0042】また、上記有機ポリマよりなる電解質薄膜
としては、例えば、「Nafion」(登録商標、デュ
ポン社製)や「Gore−select」(登録商標、
ゴア社製)等のパーフルオロスルホン酸ポリマの他、ス
チレンジビニルベンゼンスルホン酸ポリマのイオン交換
樹脂を採用することができる。
【0043】上記電解質薄膜の膜厚は5〜20nm程度
とすることが好ましく、5〜10nm程度とすることが
より好ましい。この電解質薄膜の膜厚が薄すぎると電極
基材表面全体を均一に覆うことが困難となり、また厚す
ぎると触媒活性物質と水素や酸素等の反応物質との接触
が不十分又は不可能となったり、電極基材同士の間隙が
小さく(気孔率が低く)なってガス透過性が低下する。
【0044】この電解質薄膜の成膜方法は特に限定され
ず、「Nafion」等に代表される高分子電解質ソリ
ュージョンを用いてコーティングすることにより形成す
ることも可能ではあるが、薄肉化や膜厚の均一化及び調
整が容易で、均一厚さの薄膜を容易かつ低廉に形成する
ことのできるゾルゲル法を採用することが好ましい。ゾ
ルゲル法により均一厚さで薄い電解質薄膜を成膜すれ
ば、ガス透過性を良好に確保しつつ、容易かつ確実に全
ての触媒活性物質を電解質薄膜で覆うことが可能とな
る。
【0045】ゾルゲル法により上記電解質薄膜を成膜す
る場合は、ゾル溶液を調製する調製工程と、上記触媒活
性物質が担持された電極基材の表面に該ゾル溶液を塗布
する塗布工程と、電極基材の表面に塗布されたゾル溶液
をゲル化してゲル材よりなる電解質薄膜を得るゲル化工
程とを順に実施することができる。
【0046】以下、例えば、無機有機複合材料にプロト
ン伝導体を添加してなる電解質薄膜や無機材料にプロト
ン伝導体を添加してなる電解質薄膜をゾルゲル法により
製造する場合について、説明する。なお、この方法は、
前記電解質膜をゾルゲル法により製造する場合にも同様
に適用できる。
【0047】上記調製工程では、例えば、金属のアルコ
キシド、アセチルアセトナトや酢酸塩等の有機金属化合
物及び硝酸塩等の無機金属化合物から選択されたゲル原
料としての化合物を、エタノールやプロパノール等のア
ルコール、キシレン、トルエンや酢酸エチル等から選択
された溶媒に溶解させ、これにゲル化を促進させる塩酸
等の触媒や水、及び必要により解膠剤や分散剤のような
付加的な成分を加えてゾル溶液を調製することができ
る。
【0048】より具体的には、テトラメトキシシラン
(TMOS、Si(OCH3 4 )、テトラエトキシシ
ラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )やグリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン(GPTS、(OC
3 3 SiO(CH2 2 OCH 2 CHO)等のシラ
ンを含有する金属アルコキシド、リン酸トリエチル(P
O(OC2 5 3 )やリン酸トリメチル(PO(OC
3 3 )等のリンを含有する金属アルコキシドの他、
アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(C
3 2 3 )、チタンイソプロポキシド(Ti(OC
H(CH3 2 4 )、ジルコニウムプロポキシド(Z
r(OC3 7 3 )若しくはバリウムプロポキシド
(Ba(OC3 7 3 )のような金属アルコキシド、
メチルトリエトキシシラン(CH3 Si(OC2 5
3 )、ジメチルジエトキシシラン((CH3 2 Si
(OC2 5 2 )、ジプロピルジエトキシシラン
((C3 7 2 Si(OC2 5 2 )、フルオロジ
メチルジエトキシシラン((CH2 F)2 Si(OC2
5 2 )、フェニルトリメトキシシラン(C6 5
i(OCH3 3 )若しくはジフェニルジエトキシシラ
ン((C6 5 2 Si(OC2 5 2 )のようなア
ルキル基、フルオロアルキル基若しくはフェニル基等を
有する金属アルコキシド、又はビスアセチルアセトナト
マンガン(Mn(C5 7 2 2 )、ビスアセチルア
セトナトコバルト(Co(C5 7 2 2 )、トリス
アセチルアセトナトアルミニウム(Al(C5
7 2 3 )若しくはトリスアセチルアセトナトコバル
ト(Co(C5 7 2 3 )のようなアセチルアセト
ナト等から選択された化合物を、エタノールやプロパノ
ール等から選択した溶媒に溶かし、この溶液に塩酸、塩
化アンモニウムやホウ酸等から選択された触媒や水、及
び必要により解膠剤や分散剤のような付加的な成分を溶
解させたものをゾル溶液として用いることができる。
【0049】上記塗布工程では、例えば上記触媒活性物
質が担持された電極基材を上記ゾル溶液中に所定時間
(10sec〜10min程度)浸してから引き上げる
ことにより、上記電極基材及び上記触媒活性物質の表面
にゾル溶液を塗布することができる。このとき、ゾル溶
液の溶媒濃度(粘度)、浸漬時間、引き上げ速度や浸漬
・引き上げの繰り返し回数等を適宜、調整することによ
り、ゾル溶液の塗布量(厚さ)、すなわち電解質薄膜の
膜厚を任意に調整することができる。なお、引き上げ速
度としては、30〜600mm/min程度とすること
ができる。
【0050】上記ゲル化工程では、電極基材及び触媒活
性物質の表面に塗布された上記ゾル溶液を常温で1〜5
週間程度放置したり、あるいは加熱条件(70〜600
℃程度)下で1〜24時間程度放置したりすることによ
り、該ゾル溶液をゲル化させてゲル材よりなる電解質薄
膜を得る。
【0051】こうして、導電性材料よりなり、ガス透過
性を備えた電極基材上に触媒活性物質を分散担持させる
とともに、該電極基材及び該触媒活性物質の表面に、ゾ
ルゲル法等により、プロトン伝導性を有する電解質薄膜
を被覆して電極を形成した後、別途準備したプロトン伝
導性を有する電解質膜と電極とを接合することにより、
燃料電池とすることができる。
【0052】すなわち、本発明に係る燃料電池は、導電
性材料よりなり、ガス透過性を備えた電極基材を準備す
る工程と、上記電極基材上に直接、触媒活性物質を分散
担持させる工程と、上記電極基材及び上記触媒活性物質
の表面に、ゾルゲル法により、プロトン伝導性を有する
電解質薄膜を被覆して電極を形成する工程と、プロトン
伝導性を有する電解質膜を準備する工程と、上記電解質
膜と上記電極とを接合する工程とを順に実施することに
より製造することができる。
【0053】ここに、好適には、ゾルゲル法により、上
記電解質薄膜と同一材料で上記電解質膜を形成するとと
もに、該電解質膜と前記電解質薄膜とを少なくとも一方
が濡れている状態で接触させることにより、両者を一体
に接合することが好ましい。こうすることで、電解質膜
と電極との間に界面をもたない一体のMEAとすること
ができる。また、電解質膜と電極とを接合するためのホ
ットプレス工程が不要となる。したがって、電解質膜と
電極との密着性が向上し、接触抵抗の低減により出力性
能を向上させたり、製造工程の簡素化によるコスト低減
を図ったりする上で有利となる。
【0054】
【実施例】以下、本発明に係る燃料電池の具体的な実施
例について説明する。
【0055】本実施例の燃料電池は、図1の模式断面図
に示す電池セル10を複数個、積層状に組み立てられて
構成されており、各電池セル10は、プロトン伝導性を
もつ電解質膜1と、この電解質膜1を挟んで対向するカ
ソード極としての酸素極2及びアノード極としての燃料
極3と、各電極2、3の外側にそれぞれ配設されて各電
極2、3を挟持する一対のセパレータ(集電体)4、5
とからそれぞれ構成されている。
【0056】電解質膜1は、プロトン伝導性を有する固
体電解質よりなり、テトラエトキシシラン(TEOS、
Si(OC2 5 4 )にプロトン伝導体としてのリン
酸トリエチルを添加したもので、膜厚100μmで、9
5SiO2 −5P2 5 (モル比)の組成をもつ。な
お、この電解質膜はゾルゲル法により成膜されたもので
ある。
【0057】電解質1の一方の面に配設されたカソード
極としての酸素極2は、図2に示すように、導電性材料
よりなりガス透過性を備えた電極基材21と、この電極
基材上に直接、分散担持された触媒活性物質22と、該
電極基材21及び該触媒活性物質22の表面全体に被覆
されたプロトン伝導性を有する電解質薄膜23とから構
成されている。
【0058】本実施例では、上記電極基材21として、
導電処理及び賦活処理を施した炭素繊維よりなるカーボ
ンクロスを採用した。なお、この電極基材21は、比表
面積が500m2 /g程度である。また、電極基材21
を構成する炭素繊維は三次元的な網目構造をなしてい
る。
【0059】上記触媒活性物質22は、平均粒径が10
nm程度のPtである。この触媒活性物質22は、電極
基材21を構成する炭素繊維の1本、1本の周囲全体及
び長さ方向の全体に均一に分散、担持されている。な
お、この触媒活性物質22の担持量は、上記電極基材2
1の重量に対して、10%程度である。
【0060】上記電解質薄膜23は、プロトン伝導性を
有する固体電解質よりなり、テトラエトキシシラン(T
EOS、Si(OC2 5 4 )にプロトン伝導体とし
てのリン酸トリエチルを添加したもので、膜厚20nm
で95SiO2 −5P2 5(モル比)の組成をもつ。
なお、この電解質薄膜23は、電極基材21及び触媒活
性物質22の表面全体を被覆するように、ゾルゲル法に
より成膜されたものである。
【0061】電解質1の他方の面に配設されたアノード
極としての燃料極3は、上記酸素極2と同様、導電性材
料よりなりガス透過性を備えた電極基材と、この電極基
材上に直接、分散担持された触媒活性物質と、該電極基
材及び該触媒活性物質の表面に被覆されたプロトン伝導
性を有する電解質薄膜とから構成されている。
【0062】本実施例では、上記電極基材として、導電
処理及び賦活処理を施した炭素繊維よりなるカーボンク
ロスを採用した。なお、この電極基材は、比表面積が5
00m2 /g程度である。また、電極基材を構成する炭
素繊維は三次元的な網目構造をなしている。
【0063】上記触媒活性物質は、平均粒径が10nm
程度のPtである。この触媒活性物質は、電極基材を構
成する炭素繊維の1本、1本の周囲全体及び長さ方向の
全体に均一に分散、担持されている。なお、この触媒活
性物質の担持量は、上記電極基材の重量に対して、10
%程度である。
【0064】上記電解質薄膜は、プロトン伝導性を有す
る固体電解質よりなり、テトラエトキシシラン(TEO
S、Si(OC2 5 4 )にプロトン伝導体としての
リン酸トリエチルを添加したもので、膜厚20nmで9
5SiO2 −5P2 5 (モル比)の組成をもつ。な
お、この電解質薄膜は、電極基材及び触媒活性物質の表
面全体を被覆するように、ゾルゲル法により成膜された
ものである。
【0065】各セパレータ4、5は、隣接する電池セル
10の隔壁をなすもので、ガスの透過を防ぐべくカーボ
ンを圧縮して緻密化された緻密質カーボンにより形成さ
れている。そして、酸素極2の外側に配設された一方の
セパレータ4には酸素極2側の面に複数のリブ41が突
設されており、これにより酸素極2に酸素を含有する酸
化ガスを供給するための流路42がセパレータ4と酸素
極2との間に形成されている。一方、燃料極3の外側に
配設された他方のセパレータ5には燃料極3側の面に複
数のリブ51が突設されており、これにより燃料極3に
水素を含有する燃料ガスを供給するための流路52が形
成されている。
【0066】上記構成を有する電池セル10は、以下の
ように製造した。
【0067】(電解質膜1の製造)電解質膜1は、以下
に示すゾルゲル法により製造した。
【0068】まず、出発原料として、シランを含有する
金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(TE
OS)と、リンを含有する金属アルコキシドとしてのリ
ン酸トリエチルとを準備した。
【0069】そして、上記テトラエトキシシラン1モル
と、イオン交換水4モルと、有機溶媒としてのエタノー
ル4モルと、触媒としての塩酸0.4モルとを混合、撹
拌した後、最後にリン酸トリエチル1モルを加えてゾル
溶液を調製した。
【0070】得られたゾル溶液を室温で1週間程度、放
置することにより、該ゾル溶液をゲル化させてゲル材よ
りなる電解質膜を得た。
【0071】(酸素極2の製造)まず、電極基材21と
して、レーヨンを700℃程度の高温不活性ガス雰囲気
下で熱処理することにより炭化し、さらに導電処理及び
賦活処理を施した炭素繊維よりなるカーボンクロスを準
備した。なお、導電処理は1500℃程度の高温不活性
ガス雰囲気下で熱処理することにより行い、賦活処理は
賦活材として塩化亜鉛を用いる薬品賦活処理を行った。
【0072】そして、吸引濾過しながら触媒担持液を電
極基材21に含浸させる吸引濾過による含浸方法によ
り、上記電極基材21に触媒活性物質22としてのPt
を担持させた。すなわち、アスピレータを用いて吸引濾
過しながら、濾紙上に置かれた電極基材21に触媒担持
液を滴下して、電極基材21の表面に液滴状に溜まる余
分な液を除去しながら触媒担持液を電極基材21に染み
込ませた。なお、この触媒担持液は、硝酸に触媒活性物
質22としてのPtを添加してなる8P溶液(田中貴金
属社製、濃度:4.570wt%)を用いた。
【0073】上記触媒担持液を含浸させた電極基材21
を24時間程度、自然乾燥してから、500℃×1時間
程度の条件で、H2 気相還元する(H2 をフローさせた
環状炉内で焼成する)ことにより、電極基材21上に触
媒活性物質22を高分散に担持させた。
【0074】そして、以下に示すように、ゾル溶液を調
製する調製工程と、上記触媒活性物質22が担持された
電極基材の表面に該ゾル溶液を塗布する塗布工程とを順
に実施した。
【0075】まず、出発原料として、シランを含有する
金属アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(TE
OS)と21、リンを含有する金属アルコキシドとして
のリン酸トリエチルとを準備した。
【0076】そして、上記テトラエトキシシラン1モル
と、イオン交換水4モルと、有機溶媒としてのエタノー
ル4モルと、触媒としての塩酸0.4モルとを混合、撹
拌した後、最後にリン酸トリエチル1モルを加えてゾル
溶液を調製した。
【0077】得られたゾル溶液中に、上記触媒活性物質
22が担持された電極基材21を60秒程度)浸してか
ら、60mm/min程度の引き上げ速度で引き上げる
ことにより、上記電極基材21及び上記触媒活性物質2
2の表面全体に上記ゾル溶液を10nm程度の膜厚で塗
布した。この浸漬・引き上げの操作を2回繰り返して、
上記ゾル溶液を20nm程度の膜厚で塗布した。
【0078】(燃料極3の製造)触媒担持液として、亜
硫酸に触媒活性物質としてのPtを添加してなるPt錯
体溶液を用いること以外は、上記酸素極2の製造方法と
同様に、電極基材上に触媒活性物質を担持させるととも
に、この触媒活性物質が担持された電極基材の表面上に
ゾル溶液を塗布した。
【0079】(電解質膜1と酸素極2及び燃料極3との
接合)予め成膜しておいた上記電解質膜1の各面に、上
記ゾル溶液が濡れている状態の酸素極2及び燃料極3を
それぞれ接触させた。そして、この状態で25℃程度で
2時間程度、放置することにより、上記電極基材21及
び触媒活性物質22の表面に塗布された上記酸素極2及
び燃料極3のゾル溶液をそれぞれゲル化させてゲル材よ
りなる電解質薄膜23を得るとともに、各該電解質薄膜
23と上記電解質膜1とを一体に接合した。
【0080】こうして電解質膜1、酸素極2及び燃料極
3の一体物を得た後、この一体物の酸素極2の外側にセ
パレータ4を配設するとともに、燃料極3の外側にセパ
レータ5を配設して、電池セル10を作成し、この電池
セル10を複数個、積層状に組み立てることにより、本
実施例の燃料電池を完成した。
【0081】得られた燃料電池は、電解質膜1並びに酸
素極2及び燃料極3の電解質薄膜23におけるプロトン
伝導度が4×10-2S/cm(80℃、90RH%)で
あった。
【0082】また、本実施例に係る燃料電池では、電極
基材上に粒径の小さな触媒活性物質が直接、担持されて
いることから、大きな間隙(高い気孔率)を確保して、
電極におけるガス透過性を良好に確保することが可能と
なる。
【0083】さらに、本実施例に係る燃料電池の電極
は、従来の燃料電池の電極のように電極触媒層及びガス
拡散層の二層構造を呈することはなく、その構造及び製
造工程が簡素となる。
【0084】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る燃料
電池では、全ての触媒活性物質が電極基材及び電解質薄
膜の双方に確実に接触しているため、全ての触媒活性物
質を三相界面のサイトとして有効に働かせることができ
る。よって、燃料電池の効果的な出力性能の向上を達成
するとともに、Pt等の高価な貴金属の浪費によるコス
ト高騰を防いで、コストの低減を図ることが可能とな
る。
【0085】また、電極基材を炭素繊維で構成した場合
は、良好なガス透過性を確保する上で有利となり、全て
の触媒活性物質を確実に電極基材に接触させることがで
きるとともに、触媒活性物質の担持量の増大及び分散性
の向上を図ることができる。
【0086】さらに、電極を構成する電解質薄膜と同一
材料により電解質膜を形成した場合は、ゾルゲル法等を
利用して両者を一体に接合して界面をもたない一体のM
EAとすることができるので、電解質膜と電極との密着
性が向上し、接触抵抗の低減により出力性能を向上させ
たり、製造工程の簡素化を図ったりする上で有利とな
る。
【0087】加えて、ゾルゲル法により電解質薄膜を成
膜する場合は、ガス透過性を良好に確保しつつ、容易か
つ確実に全ての触媒活性物質を電解質薄膜で覆うことが
可能となる。
【0088】また、ゾルゲル法により、電解質薄膜と同
一材料で電解質膜を形成するとともに、該電解質膜と前
記電解質薄膜とを少なくとも一方が濡れている状態で接
触させるた場合は、ホットプレス工程等を採用すること
なく、電解質膜と電極との間に界面をもたない一体のM
EAとすることができる。したがって、電解質膜と電極
との密着性が向上し、接触抵抗の低減により出力性能を
向上させたり、製造工程の簡素化によるコスト低減を図
ったりする上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る燃料電池の基本構成を模式的に
示す断面図である。
【図2】上記燃料電池の電極を模式的に示す要部断面図
である。
【符号の説明】
1…電解質膜 2…電極(酸素極) 3…電極(燃料極) 4、5…セパレータ 21…電極基材 22…触媒活性物
質 23…電解質薄膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン伝導性を有する電解質膜と、該
    電解質膜を挟んで対向する電極とからなる燃料電池であ
    って、 上記電極が、導電性材料よりなりガス透過性を備えた電
    極基材と、該電極基材 上に直接、分散担持された触媒活性物質と、該電極基材
    及び該触媒活性物質の表面に被覆されたプロトン伝導性
    を有する電解質薄膜とからなることを特徴とする燃料電
    池。
  2. 【請求項2】 前記電極基材が炭素繊維よりなることを
    特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記電解質膜と前記電解質薄膜とが同一
    材料で形成されるとともに両者が一体に接合されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池。
  4. 【請求項4】 導電性材料よりなり、ガス透過性を備え
    た電極基材を準備する工程と、 上記電極基材上に直接、触媒活性物質を分散担持させる
    工程と、 上記電極基材及び上記触媒活性物質の表面に、ゾルゲル
    法により、プロトン伝導性を有する電解質薄膜を被覆し
    て電極を形成する工程と、 プロトン伝導性を有する電解質膜を準備する工程と、 上記電解質膜と上記電極とを接合する工程とからなるこ
    とを特徴とする燃料電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 ゾルゲル法により、前記電解質薄膜と同
    一材料で前記電解質膜を形成するとともに、該電解質膜
    と前記電解質薄膜とを少なくとも一方が濡れている状態
    で接触させることにより、両者を一体に接合することを
    特徴とする請求項4記載の燃料電池の製造方法。
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