JP2003166552A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
の向上を図れるプラスチックシール部材を備えた転がり
軸受を提供する。 【解決手段】 外輪26内周面の軸線方向両端部近傍に
形成したシール嵌合溝31の内側面31bに面接触状態
で密着するシール板23の封止用環状突部33の面粗さ
を中心線平均粗さで0.4μm以下、最大高さで1.6
μm以下とした。また、内側面31bの面粗さを中心線
平均粗さで1.6μm以下、最大高さで6.3μm以下
とした。また、封止用環状突部33を内側面31bに押
圧付勢するために弾性反発力を発生するシール板23の
弾性突片35が、基部から外側面31cに当接する先端
部に向かって肉厚が漸次減少すると共に、該先端部に平
坦又はR曲面な当接面35aを備える。
Description
特に内外輪間にグリース等の潤滑剤を封入する為のプラ
スチックシール部材を改良した転がり軸受に関するもの
である。 【0002】 【従来の技術】図5に示したように単列深溝玉軸受(以
下、玉軸受という)1は、内輪5と外輪6との間に転動
体として複数の玉7が保持器8により周方向に沿って等
間隔に保持されている。また、玉軸受1の軸線方向両側
端には、内外輪間にグリース等の潤滑剤を封入すると共
に、水や粉塵等の浸入を防止するシール板3が取り付け
られている。また、外輪6内周面の軸線方向両端部近傍
には、シール板3の外周部3aを嵌合保持する為のシー
ル嵌合溝11が設けられている。 【0003】シール嵌合溝11は、底面11aと、該底
面11aの軸受内方側の端縁から半径方向内方に延出し
た内側面11bと、該内側面11bに対向するように底
面11aの軸受外方側の端縁から延出した外側面11c
とを備えている。この外側面11cは、溝幅が底面11
aに向かって徐々に狭まるように所定の角度で傾斜した
傾斜面になっている。 【0004】シール板3は、実開平4−87022号公
報に開示された構造のもので、外輪6のシール嵌合溝1
1に嵌合保持される外周部3aと、内輪5外周面の軸線
方向両端部近傍に近接又は接触する内周部3bと、内外
輪間の軸受内空間9を覆う中間部3cとを、プラスチッ
クによって一体成形したプラスチックシール部材であ
る。前記プラスチックの種類としては、強度や耐熱性に
優れたエンジニアリングプラスチック単体、若しくはガ
ラス繊維や炭素繊維などの短繊維を配合して強化した複
合材が用いられる。 【0005】図6に示したように、シール板3の外周部
3aには、シール嵌合溝11の内側面11bに密着する
ことによって外輪6の内周端縁を封止する封止用環状突
部13と、シール嵌合溝11の外側面11cに弾性変形
した状態で当接することで封止用環状突部13を内側面
11bに押圧付勢する弾性反発力を発生する弾性突片1
5とを備えた取付け嵌合部が形成されている。 【0006】シール板3は、外周部3aを半径方向内方
に弾性変形させながらシール嵌合溝11に嵌合させら
れ、該外周部3aの半径方向の弾性変形がシール嵌合溝
11内で解除された時に、弾性突片15の先端が弾性変
形した状態でシール嵌合溝11の外側面11cに当接す
る。これにより、封止用環状突部13が弾性突片15の
弾性反発力によりシール嵌合溝11の内側面11bを押
圧して、外輪6に嵌合保持される。なお、シール板3の
弾性突片15は、先端が弾性変形し易いように、裾部か
ら先端に向かって徐々に肉厚が薄くなり、先端が鋭角に
尖った断面三角形状に形成された環状突起列である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のシール板3の場合は、ゴム材料に比べて剛性が
大きい(硬い)プラスチック材料で形成されているた
め、ゴム材料のシール板と比較して相手材の面粗さに馴
染み難い。したがって、シール板3の封止用環状突部1
3の面及びシール嵌合溝11の内側面11bの面粗さが
悪いと、封止用環状突部13のシール嵌合溝11の内側
面11bに対する密着度が低下して隙間が発生して、シ
ール性能が低下してしまうという問題があった。 【0008】また、弾性突片15の先端の肉厚が比較的
薄肉に形成され、且つ尖っているので、シール嵌合溝1
1に嵌合させられた弾性突片15の弾性反発力が小さ
く、封止用環状突部13を内側面11bに押し付ける十
分な押圧力を確保することができない。十分な押圧力が
確保できないと、シール嵌合溝11の加工精度が良くな
かったり、又はシール板3自体に成形歪みが生じている
場合、内側面11bに対する封止用環状突部13の密着
度が低下して隙間が発生して、本来のシール性能が得ら
れなくなるという問題があった。 【0009】また、シール嵌合溝11内に嵌合する弾性
突片15の先端は、常に弾性変形した状態でシール嵌合
溝11の外側面11cに接触しており、先端が尖った形
態で薄肉の場合は、雰囲気温度や軸受の回転に伴う発熱
が先端部に及ぼす負担が大きく、弾性突片15の先端が
クリープ変形を起こし易いという問題があった。 【0010】また、プラスチックは金属より線膨張係数
が大きいため、シール板3は温度が上がると拡径方向に
膨張するので、弾性突片15は常温状態より弾性変形量
(締付け力)が大きくなり、一層クリープ変形を起こし
易くなる。雰囲気温度80℃以上では殆どの場合、シー
ル板3は短時間でクリープ変形を起こし、常温に戻った
ときには、弾性突片15の先端がクリ−プ変形によって
カールして、外側面11cに対する当接力が小さくな
る。そして、シール板3の外周部3aには軸線方向への
ガタ付きが発生し、外輪6とシール板3との間で滑りが
発生するようになるので、シール板3はシール性能が低
下すると共に外輪6から抜け落ちる可能性がある。した
がって、弾性突片15の反発力を大きくする為、該弾性
突片15自体の長さを長くすると、弾性変形量が大きく
なり過ぎて、クリ一プ変形が顕著に発生してしまうとい
う問題があった。 【0011】また、弾性突片15自体の長さが長いと、
シール板3はシール嵌合溝11内に完全に入り難くな
り、完全に入らないとシール板3自体が外方又は内方に
大きく湾曲する。そして、シール板3が外方に湾曲した
時は、その一部分が軸受の側面から外方へ突出し、シー
ル板3が内方に湾曲した時は、内輪5との接触力が大き
くなりトルクの増大又は保持器8や玉7との接触を招く
という問題があった。 【0012】また、前記シール板3を射出成形する際に
は、前記弾性突片15が比較的薄肉に形成され、且つ先
端が尖っているので、先端部への溶融樹脂の回りが悪
く、均一に樹脂が充填できにくいので生産性の向上が難
しいという問題があった。 【0013】本発明の目的は、上記課題を解消すること
にあり、プラスチックシール部材の取付け嵌合部をシー
ル嵌合溝の内側面に良好に密着させることができると共
にプラスチックシール部材のクリープ変形が発生し難
く、長期にわたりシール性能を維持でき、生産性の向上
を図ることができる転がり軸受を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、外
周部に形成した取付け嵌合部が外輪内周面の軸線方向両
端部近傍に形成したシール嵌合溝内に嵌合されることに
よって、内外輪間を封止する環状のプラスチックシール
部材を備えた転がり軸受であって、前記取付け嵌合部
が、前記シール嵌合溝の内側面に面接触状態で密着する
ことによって前記外輪の内周端縁を封止する封止用環状
突部と、前記シール嵌合溝の外側面に弾性変形した状態
で当接することによって前記封止用環状突部を前記内側
面に押圧付勢する弾性反発力を発生する弾性突片とを備
えており、前記弾性突片は、基部から前記シール嵌合溝
の外側面に当接する先端部に向かって徐々に肉厚が漸減
すると共に、該先端部に平坦又は曲面形状の当接面を備
え、且つ前記シール嵌合溝の内側面に面接触状態で密着
する前記封止用環状突部の面粗さが中心線平均粗さで
0.4μm以下、最大高さで1.6μm以下であり、前
記シール嵌合溝の内側面の面粗さが中心線平均粗さで
1.6μm以下、最大高さで6.3μm以下であること
を特徴とする転がり軸受によって達成することができ
る。 【0015】上記構成の転がり軸受によれば、ゴム材料
に比べて高剛性なプラスチック材をシール部材に用いて
も、外輪のシール嵌合溝の内側面に面接触状態で密着す
る封止用環状突部の面粗さを中心線平均粗さで0.4μ
m以下、最大高さで1.6μm以下とし、前記シール嵌
合溝の内側面の面粗さを中心線平均粗さで1.6μm以
下、最大高さで6.3μm以下とした。したがって、封
止用環状突部のシール嵌合溝の内側面に対する面接触状
態での密着度を高めることができる。 【0016】また、外輪のシール嵌合溝の外側面に弾性
変形状態で当接する弾性突片の先端部は、先端が尖った
従来のプラスチックシール部材の弾性突片の先端部と比
較すると、平坦又は曲面形状の当接面を備えているの
で、肉厚を厚くすることができ、高い剛性を確保するこ
とができる。したがって、弾性突片の先端部の弾性変形
量が僅かでも、発生する弾性反発力は強く、例えシール
嵌合溝の加工精度が良くなかったり又はプラスチックシ
ール部材自体に成形歪みが生じていても、封止用環状突
部を全周に渡ってシール嵌合溝の内側面に良好に密着さ
せることができる。 【0017】また、所定の当接面幅を備えて肉厚が厚い
弾性突片の先端部は、剛性が高く、少ない弾性変形量で
プラスチックシール部材の封止用環状突部をシール嵌合
溝の内側面に良好に密着させることができるので、雰囲
気温度や軸受の回転に伴う発熱の影響によるクリ−プ変
形の発生を防止することができる。更に、プラスチック
シール部材は、弾性突片の先端部の肉厚が増大した分、
射出成形時の先端部への溶融樹脂の回りが容易になり、
生産性の向上を図ることができる。 【0018】なお、弾性突片の先端部を平坦にした場合
は、弾性突片の先端部における当接面の外周側角部に滑
らかな曲面形状又は面取りを施すことで、プラスチック
シール部材の取付け嵌合部をシール嵌合溝内に嵌合する
際、弾性突片の先端部挿入をスムーズに行うことがで
き、取付け嵌合部を確実にシール嵌合溝内に嵌合するこ
とができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の転がり軸受の一実
施形態を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1
は本発明の転がり軸受の一実施形態を示す縦断面図、図
2は図1におけるプラスチックシール部材の要部拡大
図、図3は本発明の転がり軸受の他の実施形態を示すプ
ラスチックシール部材の要部縦断面図、図4は本発明の
転がり軸受のさらに他の実施形態に係るプラスチックシ
ール部材の要部縦断面図である。 【0020】図1に示したように、本実施形態の転がり
軸受としての単列深溝玉軸受(以下、玉軸受という)2
1は、内輪25と外輪26との間に転動体として複数の
玉27が保持器28により周方向に沿って等間隔に保持
されている。また、玉軸受21の軸線方向両側端には、
内外輪間にグリース等の潤滑剤を封入すると共に、水や
粉塵等の浸入を防止するプラスチックシール部材である
シール板23が取り付けられている。 【0021】外輪26内周面の軸線方向両端部近傍に
は、シール板23の外周部23aに形成した取付け嵌合
部を嵌合保持する為のシール嵌合溝31が設けられてい
る。このシール嵌合溝31は、底面31aと、該底面3
1aの軸受内方側の端縁から半径方向内方に延出した内
側面31bと、該内側面31bに対向するように底面3
1aの軸受外方側の端縁から延出した外側面31cとを
備えている。この外側面31cは、溝幅が底面31aに
向かって徐々に狭まるように所定の角度で傾斜した傾斜
面になっている。 【0022】また、内輪25外周面の軸線方向両端部に
は、シール板23の内周部23bと摺接するシール摺接
面32が形成されている。また、内側面31bには、溝
幅が底面31aに向かって徐々に狭まるように傾斜する
傾斜面になっている。更に、シール摺接面32は、内輪
外周面側に向かって、徐々に外側に傾斜する傾斜面にな
っている。 【0023】シール板23は、外輪26のシール嵌合溝
31に嵌合保持される外周部23aと、内輪25のシー
ル摺接面32に摺接するリップ部である内周部23b
と、内外輪間の軸受内空間29を覆う中間部23cと
を、プラスチックによって一体成形したプラスチックシ
ール部材である。そして、図1及び図2に示すように、
シール板23の外周部23aには、シール嵌合溝31の
内側面31bに密着することによって外輪26の内周端
縁を封止する封止用環状突部33と、シール嵌合溝31
の外側面31cに弾性変形した状態で当接することで封
止用環状突部33を内側面31bに押圧付勢する弾性反
発力を発生する弾性突片35とを備えた取付け嵌合部が
形成されている。 【0024】本実施形態の玉軸受21においては、外輪
26のシール嵌合溝31の内側面31bに面接触状態で
密着するシール板23の封止用環状突部33の表面粗さ
が、中心線平均粗さ(Ra)で0.4μm以下、最大高
さ(Rz)で1.6μm以下になるように形成されてい
る。また、シール嵌合溝31の内側面31bの表面粗さ
が、中心線平均粗さ(Ra)で1.6μm以下、最大高
さ(Rz)で6.3μm以下になるように形成されてい
る。これにより、ゴム材料と比べて高剛性なプラスチッ
ク材料をシール板23に用いても、シール板23の封止
用環状突部33とシール嵌合溝31の内側面31bとを
全周にわたって面接触状態で良好に密着させることがで
きる。したがって、封入したグリース(分離した基油も
含む)等の潤滑剤の漏れ及び外部からの水や粉塵等の浸
入を防止でき、高性能のシール性能を得ることができ
る。 【0025】また、本実施形態の弾性突片35において
は、図2に示すように、封止用環状突部33と同様に、
シール板23の外周部23aの全周に渡って連続した環
状に形成されている。更に、弾性突片35は、外側面3
1cに当接した際に先端が弾性変形し易いように、屈曲
部となる基部から先端部に向かって徐々に肉厚が漸次減
少すると共に、該先端部に平坦な当接面35aを備えた
環状突起列である。 【0026】ここで、先端部の当接面幅寸法t1 は、基
部の肉厚寸法tに対して、(t/30)≦t1 <(t/
7)の範囲内に設定されている。また、シール板23の
最大径である弾性突片35の外周面の外径d1 は、シー
ル嵌合溝31の外側面31cの端縁の最小径dよりも大
きく、且つ、底面31aの内径d2 よりも小さく設定さ
れている(図1参照)。 【0027】即ち、本実施形態の玉軸受21のシール板
23は、外輪26のシール嵌合溝31の外側面31cに
弾性変形状態で当接する弾性突片35の先端部は、従来
のシール板の弾性突片先端と比較すると、平坦な当接面
35aを備えているので肉厚が厚く、高い剛性を確保す
ることができる。したがって、弾性突片35の先端部の
弾性変形量が僅かでも、その弾性変形によって発生する
弾性反発力は強く、シール嵌合溝31の加工精度が良く
なかったり又はシール板23自体に成形歪みが生じてい
ても、封止用環状突部33を全周に渡ってシール嵌合溝
31の内側面31bに良好に密着させることができ、安
定したシール性能を得ることができる。 【0028】また、所定の当接面幅t1 を備えた厚肉の
弾性突片35の先端部は、剛性が高く、少ない弾性変形
量でシール板23の封止用環状突部33をシール嵌合溝
31の内側面31bに良好に密着させることができるの
で、雰囲気温度や軸受の回転に伴う発熱の影響によって
クリ−プ変形を生じるようなことはない。したがって、
弾性突片35の先端部のクリ一プ変形に起因するシール
性能の低下を抑制することができる。 【0029】更に、シール板23は、従来のシール板と
比較して、弾性突片35の先端部の肉厚が増大した分、
射出成形時の先端部への溶融樹脂の回りが良好になり、
均一に樹脂を充填することができる。したがって、シー
ル板23は、射出成形時の樹脂回りの改善によって、加
工性が極めて良くなり、不良品の発生も殆どなくなるの
で、生産性の向上を図ることができる。 【0030】次に、本発明の転がり軸受の別の実施形態
を図1、図3及び図4に基づいて詳細に説明する。図1
及び図3に示すように、別の実施形態のシール板43
は、シール嵌合溝31の内側面31bに当接する弾性突
片35の当接面35aの外周側角部35bに、半径Rの
滑らかな曲面形状が形成されている。また、図1及び図
4に示すように、さらに別の実施形態のシール板53
は、弾性突片35の当接面35a全面が半径Rの曲面状
に形成されている。なお、弾性突片35の先端面35a
の外周側角部35bに、滑らかな曲面形状ではなく、面
取りを施すような構成にしても良い。また、いずれの実
施形態も、それ以外の構成は上記実施形態に示したシー
ル板23と共通である。 【0031】即ち、図3及び図4のシール板43、53
によれば、シール嵌合溝31における外側面31cの端
縁の最小径dが極端に小さい場合や該端縁の表面粗さが
粗い場合でも、シール板43の取付け嵌合部をシール嵌
合溝31内に嵌合する際の弾性突片35の先端部の挿入
がスムーズに行うことができ、取付け嵌合部を確実にシ
ール嵌合溝31内に嵌合できる。 【0032】なお、本発明の転がり軸受の外輪のシール
嵌合溝や、プラスチックシール部材の封止用環状突部及
び弾性突片等の構成は、上記実施形態の構成に限定され
るものではなく、種々の形態を採り得ることは言うまで
もない。例えば、上記実施形態の玉軸受21のシール板
23は、リップ部が内輪に摺接する接触形のプラスチッ
クシール部材であるが、リップ部が内輪に接触しない非
接触形のプラスチックシール部材を備えた転がり軸受に
も応用できる。 【0033】また、上記実施形態においては、単列深溝
玉軸受について説明したが、本発明は転がり軸受の内外
輪間にグリース等の潤滑剤を封入する為のプラスチック
シール部材を備えた各種の転がり軸受に適用可能であ
る。更に、シール板のプラスチック材料も上記実施形態
に限定されず、他のエンジニアリングプラスチック単
体、若しくは該プラスチックにガラス繊維や炭素繊維等
の短繊維を配合して強化した複合材にも適用可能であ
る。 【0034】 【実施例】上記実施形態で示したシール板23(実施例
1)及びシール板43(実施例2)の、外輪26のシー
ル嵌合溝31に対する取付け嵌合部の挿入性、シール嵌
合溝31の内側面31bに対する封止用環状突部33の
密着性、グリース漏れの有無、射出成形時の成形性につ
いて比較評価試験を行った。 【0035】比較例としては、図5に示した従来のシー
ル板3(比較例1)と、比較例1に対して封止用環状突
部13の面粗さ及びシール嵌合溝11の内側面11bの
面粗さが共に1/2のシール板3(比較例2)と、シー
ル嵌合溝31の内側面31bの面粗さが本発明の範囲外
のシール板23(比較例3)と、比較例3に対して封止
用環状突部33の面粗さが1/2のシール板23(比較
例4)である。なお、シール板23,43,3の材質は
PA(ポリアミド66)及びPA46にGF(ガラス繊
維)を30重量%配合した複合材の2種類を用いた。ど
ちらの材料でも結果は同じであったため表では一つにま
とめた。グリース漏れの有無については、120℃の恒
温槽内に軸受を放置し、500時間経過後の外輪部から
のグリース(実際に漏れたのは基油)の漏れ量を調べ
た。以下、その評価結果を表1に示す。 【0036】 【表1】 【0037】表1に示したように、本発明の実施形態に
係るシール板23及びシール板43は、従来の比較例1
のシール板3、比較例2のシール板3、及び比較例3,
4のシール板23に比べて何れの特性も良好な結果が得
られ、本発明の構成による効顕著な効果が証明された。 【0038】 【発明の効果】以上説明したように本発明の転がり軸受
によれば、ゴム材料と比べて高剛性なプラスチック材料
をシール部材に用いても、シール部材の封止用環状突部
とシール嵌合溝の内側面とを全周にわたって面接触状態
で良好に密着させることができる。従って、封入したグ
リース(分離した基油も含む)等の潤滑剤の漏れ及び外
部からの水や粉塵等の浸入を防止でき、高性能のシール
性能を得ることができる。 【0039】また、外輪のシール嵌合溝の外側面に弾性
変形状態で当接する弾性突片の先端部は、先端が尖った
従来のプラスチックシール部材の弾性突片の先端部と比
較すると、平坦な当接面を備えるので肉厚が厚く、剛性
が高い。従って、前記弾性突片の先端部の弾性変形量が
僅かでも、その弾性変形によって発生する弾性反発力は
強く、プラスチックシール部材自体に成形歪みが生じた
り、シール嵌合溝の加工精度が良くなくても、封止用環
状突部を全周に渡ってシール嵌合溝の内側面に良好に密
着させることができる。 【0040】また、所定の当接面幅を備えて肉厚が厚い
弾性突片の先端部は、剛性が高く、少ない弾性変形量で
プラスチックシール部材の封止用環状突部をシール嵌合
溝の内側面に良好に密着させることができるので、雰囲
気温度や軸受の回転に伴う発熱の影響によるクリ一プ変
形が発生し難くなる。 【0041】更に、プラスチックシール部材は、従来の
プラスチックシール部材と比較して、弾性突片の先端部
の肉厚が増大した分、射出成形時の先端部への溶融樹脂
の回りが容易になり、溶融樹脂を均一に充填できる。従
って、プラスチックシール部材の取付け嵌合部をシール
嵌合溝の内側面に良好に密着させることができると共に
プラスチックシール部材のクリ一プ変形が発生し難く、
長期にわたりシール性能を維持でき、生産性の向上を図
ることができる。
図である。 【図2】図1におけるプラスチックシール部材の要部拡
大図である。 【図3】本発明の他の実施形態であるプラスチックシー
ル部材の要部縦断面図である。 【図4】本発明のさらに他の実施形態であるプラスチッ
クシール部材の要部縦断面図である。 【図5】従来の転がり軸受の要部縦断面図である。 【図6】図5におけるプラスチックシール部材の要部拡
大図である。 【符号の説明】 21 単列深溝玉軸受(転がり軸受) 23 シール板(プラスチックシール部材) 23a 外周部 23b 内周部 23c 中間部 25 内輪 26 外輪 27 玉 31 シール嵌合溝 31a 底面 31b 内側面 31c 外側面 33 封止用環状突部 35 弾性突片 35a 先端面
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 外周部に形成した取付け嵌合部が外輪内
周面の軸線方向両端部近傍に形成したシール嵌合溝内に
嵌合されることによって、内外輪間を封止する環状のプ
ラスチックシール部材を備えた転がり軸受であって、 前記取付け嵌合部が、前記シール嵌合溝の内側面に面接
触状態で密着することによって前記外輪の内周端縁を封
止する封止用環状突部と、前記シール嵌合溝の外側面に
弾性変形した状態で当接することによって前記封止用環
状突部を前記内側面に押圧付勢する弾性反発力を発生す
る弾性突片とを備えており、 前記弾性突片は、基部から前記シール嵌合溝の外側面に
当接する先端部に向かって徐々に肉厚が漸減すると共
に、該先端部に平坦又は曲面形状の当接面を備え、且つ
前記シール嵌合溝の内側面に面接触状態で密着する前記
封止用環状突部の面粗さが中心線平均粗さで0.4μm
以下、最大高さで1.6μm以下であり、前記シール嵌
合溝の内側面の面粗さが中心線平均粗さで1.6μm以
下、最大高さで6.3μm以下であることを特徴とする
転がり軸受。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010106951A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Ntn Corp | 密封型転がり軸受 |
CN112696428A (zh) * | 2020-12-22 | 2021-04-23 | 马鞍山市博创回转支承有限公司 | 一种回转支承 |
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2001
- 2001-11-29 JP JP2001364545A patent/JP4066136B2/ja not_active Expired - Fee Related
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