JP2003165009A

JP2003165009A - ドリル用スローアウェイチップ

Info

Publication number: JP2003165009A
Application number: JP2001365682A
Authority: JP
Inventors: Yoshihide Kojima; 義秀小島
Original assignee: Kyocera Corp
Current assignee: Kyocera Corp
Priority date: 2001-11-30
Filing date: 2001-11-30
Publication date: 2003-06-10

Abstract

(57)【要約】【課題】金型により大量生産が可能であり、且つ、切屑
処理が良好なドリル用スローアウェイチップを提供する
ことを目的とする。【解決手段】チップ４の一方端面側の稜線部上面に穴底
の外側領域を削る１つの外刃３を形成し、この外刃３に
チップ厚み方向に段状となった段差部３ｃを形成し、こ
の外刃３の段差部３ｃからチップ４の内方に連続する段
差面ｂを前記チップ４の上面６に形成するとともに、前
記チップ４の他方端面側の底面７に、前記一方端面側に
形成した前記外刃３と段差面ｂに対して点対称の外刃３
と段差面ｂとを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、穿孔加工するた
めのドリル用スローアウェイチップに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】穿孔加工に使用するドリルとして、その
全体が一体に形成された通常のソリッド型ドリルの他
に、ドリル本体と別体のスローアウェイチップ上に切削
用の刃を形成し、それをホルダーの先端に、ネジ等によ
って脱着自在に装着できるようにした、いわゆるスロー
アウェイドリルがある。このスローアウェイドリルにと
って、加工信頼性を確保する上で、切屑の排出性を向上
させることが特に重要とされている。

【０００３】スローアウェイドリルでは、一般的に外刃
と内刃の2つの切刃を用いて、それぞれ穴底の外側領
域、内側領域の切削を分担している。

【０００４】そして、切屑排出性を向上させるために、
特に重要なのが、高速になって切屑が延びやすくなる外
刃側の切屑排出性である。

【０００５】外刃側の切屑処理性を向上させる技術とし
て、切屑を分断することにより、切屑単体の寸法を小さ
くするため、外刃にチップ厚み方向に段状となった段差
部と、この外刃の段差部からチップの内方に連続する段
差面とを設け、切屑を分断するスローアウェイチップが
提案されている。このスローアウェイチップは、同一端
面（上面）側に各２個の内刃、外刃を備えたものであっ
た。

【０００６】また、このようなスローアウェイチップに
おいて、前記段差部はスローアウェイチップをドリル本
体に対してラジアルレーキ付で装着する可能性があるこ
とを考慮して、上側の刃部分と刃部分をオーバーラップ
させるようＺ字状とする必要があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
スローアウェイチップは、大量生産のために金型を用い
て製造する場合に、前記段差面を同一方向に起立させた
構成とする必要がある。そのため、切刃が構成されてい
ない底面に対して前記段差面を直立させ、また、前記底
面に対して切刃を傾け、ドリル本体に取り付ける時に、
上記底面がラジアルレーキ付となるように取り付ける構
成とする必要がある。

【０００８】そして、このような構成において、外刃は
相互にねじれ配置となり、そのため、使用中の外刃に対
して他方側の外刃が切屑処理の障害となる恐れがあっ
た。

【０００９】したがって、本発明は、これら課題を解決
すること、すなわち、金型により大量生産が可能であ
り、且つ、切屑処理が良好なドリル用スローアウェイチ
ップを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するため請求項１のドリル用スローアウェイチップは、
穿孔加工に使用するドリル用のスローアウェイチップで
あって、前記チップの一方端面側の稜線部上面に穴底の
外側領域を削る１つの外刃を形成し、この外刃にチップ
厚み方向に段状となった段差部を形成し、この外刃の段
差部からチップの内方に連続する段差面を前記チップの
上面に形成するとともに、前記チップの他方端面側の底
面に、前記一方端面側に形成した前記外刃と段差面に対
して点対称の外刃と段差面とを形成したことを特徴とす
る。

【００１１】かかる構成によれば、２つの外刃をチップ
の上面と底面の稜線部にそれぞれ有し、かつ、段差面を
同方向に起立させることが可能となる。したがって、一
方の外刃が他方の外刃の切屑処理を阻害することがない
ので切屑処理が良好であるとともに、金型での大量生産
が可能である。

【００１２】また、請求項２のドリル用スローアウェイ
チップは、前記チップの端面の厚み方向に前記チップ厚
み方向の段差面に連続する平面視して円弧状で切り込み
方向に突出する段差面を形成したことを特徴とする。

【００１３】かかる構成によれば、外刃のこの部分の機
械的強度が大きい。

【００１４】すなわち、段差面がチップ厚み方向のみに
突出している場合、突出角部のコーナーを円弧状にしよ
うとしても、その円弧部分に対して段下がりの切刃の直
後に段差面による壁が存在することになり、正常な切屑
処理が不可能となる。これに対して、前記構成によれ
ば、このような問題が発生せず、したがって、高負荷の
条件での切削が可能である。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図によ
り説明する。

【００１６】図１は本発明のスローアウェイチップ（以
下、チップと略称する）４を搭載したスローアウェイド
リル１を示す。このスローアウェイドリル１は、穴底の
内側領域（中央部）を削る内刃２を有するチップ４と、
穴底の外側領域を削る外刃３を有するチップ４を、ドリ
ル本体５の先端に装着することで構成されている。そし
て、図２に示すようにこのスローアウェイドリル１は、
１つのチップ４上に内刃２と外刃３の両方を形成してお
き、ドリル本体５に装着する向きと、位置とによって、
同じチップ４を外刃チップもしくは内刃チップとして兼
用できるように構成されている。

【００１７】前記チップ４は、同一チップ内に、外刃
３、内刃２をそれぞれ2箇所づつを配置し、計４箇所が
使用可能な、略平行四辺形をなす板状のチップとして構
成されている。

【００１８】上記4箇所の切刃は、2つの外刃３，３と、
2つの内刃２，２が、それぞれ点対称配置となってい
る。したがって、１つの外刃３が摩耗したり、欠損した
りしても、他の外刃３をかわりに使用することができ
る。これは、内刃２についても同様である。

【００１９】チップ４の外刃３には、チップ厚み方向に
段状となった段差部３ｃが設けられる。また、この外刃
の段差部３ｃからチップの内方に連続する段差面ｂが設
けられている。さらに、本実施形態において、前記チッ
プ厚み方向の段差面ｂに連続する平面視して円弧状で切
り込み方向に突出する段差面３ａが形成されている。そ
して、この段差面３ａに沿った外刃３はコーナーRとな
っている。

【００２０】また、上記外刃３に沿ったチップ４の切屑
排出側にはブレーカー溝９が設けられ、その切屑排出側
がブレーカー壁９ａとなっている。そして、このブレー
カー壁９ａは、前記チップ厚み方向の段差面ｂの部分で
段状となっている。

【００２１】また、上記チップ厚み方向の段差面ｂは、
チップセパレーターとして作用するものである。上記チ
ップ４には、このチップセパレーターとしての段差面ｂ
が、前記上面６と底面７の点対称位置に１つずつ設けら
れ、２つの段差面ｂは同一方向に起立する。

【００２２】かかる構成によれば、２つの外刃３をチッ
プの厚み方向の上面６と底面７にそれぞれ有し、かつ、
段差面ｂを同一方向に起立させることが可能となる。し
たがって、金型での大量生産が可能であるとともに、切
屑処理が良好である。

【００２３】なお、この段差面ｂは、分断された切屑の
状態を維持させるために、より長いものであることが望
ましい。特に、図２に示すようにチップ取付用のネジ
（不図示）を嵌合する貫通孔１０まで連続していること
が望ましい。

【００２４】このような上記チップ４の構成によれば、
段差部３ｃを境界として切屑が分断されて生成される
が、その分断された切屑は、ブレーカー溝９のブレーカ
ー壁９ａも段状になっていることからブレーカー溝９内
で接触しない。

【００２５】その結果、切屑温度が高い、ドライ加工等
においても、切屑の再結合が生じることなく、幅広い条
件下で、優れた切屑排出性能を得ることが可能である。

【００２６】また、前記チップ４の端面の厚み方向に前
記チップ厚み方向の段差面ｂに連続する平面視して円弧
状で切り込み方向に突出する段差面３ａを形成したこと
により、外刃３のこの部分の機械的強度が大きい。した
がって、高負荷の条件での切削が可能である。

【００２７】ところで、上記チップ４の外刃３は、前記
切り込み方向に突出する段差面３ａに沿ったコーナーR
と、外刃の最外周部に位置するコーナーR ３ｂとが、共
に外周側向き（ドリルに装着されたときの外周側：図１
（ａ）参照）に設置されている。本発明はこのような形
態に限定されるものではないが、この構成による利点は
次のとおりである。

【００２８】上記外刃３の外側部分、内側部分共に、外
刃３として切削に供されるコーナーRを1個づつ有してい
る。その結果、外側と、内側の各々の部分より生成され
る切屑は、似通った形態となる。切屑の処理性に大差が
なくなるので、それぞれのブレーカー溝の仕様を決定し
たり、切削条件を決めることが容易となるメリットがあ
る。

【００２９】なお、前記外刃３のチップ厚み方向の段差
幅Ｉ₂は、０．１ｍｍ〜０．３×ｔｍｍの範囲であるこ
とが好ましい。ここで、ｔはチップ４の最大厚みであ
る。

【００３０】この段差幅Ｉ₂が０．１ｍｍ未満の場合に
は、安定した切屑分断の効果が得難くなる恐れがある。
また、段差幅Ｉ₂が、０．３×ｔをこえると、切削中に
段差へ、過度な応力がかかるため、チップ強度の確保が
難しくなる恐れがある。

【００３１】また、外刃３の切込み方向の段差幅Ｉ₁と
しては、０．２×ｒ〜３．０×ｒの範囲が好ましい。こ
こでｒはコーナーＲ３aの曲率半径である。

【００３２】上記段差幅Ｉ₁が０．２×ｒ未満であれ
ば、外刃３の内側、外刃３の外側にそれぞれ沿ったブレ
ーカ−溝９において、それらの後端部が近接するため、
切屑分断の作用効果が弱まってしまう恐れがある。ま
た、段差幅ｌ₁が３．０×ｒをこえると、切削中に段差
へ過度な応力がかかるため、チップ強度の確保が難しく
なる恐れがある。

【００３３】以上、本発明の実施形態を例示したが、本
発明は上記実施形態に限定されるものでなく、発明の目
的を逸脱しない限り任意のものとすることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上のように本発明のドリル用スローア
ウェイチップによれば、穿孔加工に使用するドリル用の
スローアウェイチップであって、前記チップの一方端面
側の稜線部上面に穴底の外側領域を削る１つの外刃を形
成し、この外刃にチップ厚み方向に段状となった段差部
を形成し、この外刃の段差部からチップの内方に連続す
る段差面を前記チップの上面に形成するとともに、前記
チップの他方端面側の底面に、前記一方端面側に形成し
た前記外刃と段差面に対して点対称の外刃と段差面とを
形成したことにより、２つの外刃をチップの上面と底面
の稜線部にそれぞれ有し、かつ、段差面を同方向に起立
させることが可能となる。したがって、一方の外刃が他
方の外刃の切屑処理を阻害することがないので切屑処理
が良好であるとともに、金型での大量生産が可能であ
る。

【００３５】また、前記ドリル用スローアウェイチップ
は、前記チップの端面の厚み方向に前記チップ厚み方向
の段差面に連続する平面視して円弧状で切り込み方向に
突出する段差面を形成した場合、切屑排出性を維持しつ
つ外刃のこの部分の機械的強度が大きくすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）（ｂ）は本発明のスローアウェイチップ
を装着したスローアウェイドリルの斜視図である。

【図２】本発明のスローアウェイチップの斜視図であ
る。

【符号の説明】

１スローアウェイドリル２内刃３外刃３ａ段差面３ｂコーナーＲ３ｃ段差部４チップ５ドリル本体９ブレーカー溝９ａブレーカー壁１０貫通孔ｂ段差面（チップセパレータ）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】穿孔加工に使用するドリル用のスローアウ
ェイチップであって、前記チップの一方端面側の稜線部
上面に穴底の外側領域を削る１つの外刃を形成し、この
外刃にチップ厚み方向に段状となった段差部を形成し、
この外刃の段差部からチップの内方に連続する段差面を
前記チップの上面に形成するとともに、前記チップの他
方端面側の底面に、前記一方端面側に形成した前記外刃
と段差面に対して点対称の外刃と段差面とを形成したこ
とを特徴とするドリル用スローアウェイチップ。
【請求項２】前記チップの端面の厚み方向に前記チップ
厚み方向の段差面に連続する平面視して円弧状で切り込
み方向に突出する段差面を形成したことを特徴とする請
求項１記載のドリル用スローアウェイチップ。