JP2003163419A - 窒化物系半導体発光素子 - Google Patents

窒化物系半導体発光素子

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JP2003163419A
JP2003163419A JP2001364377A JP2001364377A JP2003163419A JP 2003163419 A JP2003163419 A JP 2003163419A JP 2001364377 A JP2001364377 A JP 2001364377A JP 2001364377 A JP2001364377 A JP 2001364377A JP 2003163419 A JP2003163419 A JP 2003163419A
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light emitting
light absorption
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JP2001364377A
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Takashi Kano
隆司 狩野
Masayuki Hata
雅幸 畑
Yasuhiko Nomura
康彦 野村
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】In組成の高いInGaN光吸収層を用いるこ
となく、光吸収を十分に行うことが可能な窒化物系半導
体発光素子を提供する。 【解決手段】この窒化物系半導体発光素子は、所定の発
振波長を有するMQW発光層9と、MQW発光層9の下
側および上側にそれぞれ形成され、MQW発光層9の発
振波長の光を吸収するとともに、ドナー不純物(Si)
とアクセプタ不純物(Mg)とがドーピングされた約1
0%のIn組成を有するInGaNからなるn側光吸収
層6およびp側光吸収層14とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、窒化物系半導体
発光素子に関し、特に、所定の発振波長を有する発光層
を含む窒化物系半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、窒化物系半導体発光素子の1つで
ある窒化物系半導体レーザ素子は、次世代の大容量ディ
スク用光源としての利用が期待され、その開発がさかん
に行われている。
【0003】図17は、従来の窒化物系半導体レーザ素
子を示した断面図である。図17を参照して、従来の窒
化物系半導体レーザ素子では、サファイア基板101上
に、SiNからなるマスク層102が所定の間隔を隔て
て形成されている。隣接するマスク層102間に位置す
るサファイア基板101の表面上には、GaN低温バッ
ファ層103が形成されている。GaN低温バッファ層
103上には、マスク層102を用いた選択横方向成長
により結晶欠陥が低減されたGaN層104が設けられ
ている。
【0004】また、GaN層104上には、n型GaN
コンタクト層105、n型InGaNクラック防止層1
06、n型AlGaNクラッド層107、n型GaN光
ガイド層108、InGaNからなる多重量子井戸(M
QW;Multiple Quantum Well)
構造を有するMQW発光層109、p型AlGaNキャ
ップ層110、p型GaN光ガイド層111、および、
凸部を有するp型AlGaNクラッド層112がこの順
序で形成されている。p型AlGaNクラッド層112
の凸部上には、p型GaNコンタクト層113が形成さ
れている。p型p型AlGaNクラッド層112の凸部
と、p型GaNコンタクト層113とによって、リッジ
部が構成されている。また、p型GaNコンタクト層1
13上には、p側電極116が形成されている。
【0005】また、p型AlGaNクラッド層112か
らn型GaNコンタクト層105に至る領域の一部が除
去されることによって、n型GaNコンタクト層105
の上面が露出されている。p側電極116の上面以外の
領域を覆うとともに、n型GaNコンタクト層105上
に開口部を有するSiO2膜115が形成されている。
SiO2膜115の開口部には、n型GaNコンタクト
層105の上面上に接触するように、n側電極118が
形成されている。また、p側電極116の上面およびS
iO2膜を覆うように、p側パッド電極117が形成さ
れている。
【0006】図17に示した従来の半導体レーザ素子で
は、MQW発光層109によって発光されたレーザ光
が、MQW発光層109の下側および上側にそれぞれ配
置されたn型AlGaNクラッド層107およびp型A
lGaNクラッド層112によって閉じ込められる構造
を有している。この場合、MQW発光層109の下側に
位置するn型AlGaNクラッド層107の厚みおよび
Al組成を大きくするほど、MQW発光層109の下側
の光の閉じ込め特性がよくなる。また、MQW発光層1
09の上側に位置するp型AlGaNクラッド層112
のリッジ部以外の厚みの薄い部分の厚みを精密に制御す
ることによって、MQW発光層109の上側の光閉じ込
めを行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図17
に示した従来の半導体レーザ素子の構造では、光閉じ込
め特性を向上させるために、n型AlGaNクラッド層
107の厚みおよびAl組成を大きくするほど、n型A
lGaNクラッド層107にクラックが発生しやすくな
るという不都合があった。従来では、この不都合を解消
するために、n型AlGaNクラッド層107の下にn
型InGaNクラック防止層106を設けている。しか
し、n型InGaNクラック防止層106を設けたとし
ても、n型AlGaNクラッド層107の膜厚およびA
l組成を大きくすると、クラックが発生しやすいという
不都合があった。このため、従来では、MQW発光層1
09の下側の光閉じ込めを十分に行うのは困難であると
いう問題点があった。その結果、発振モードの安定化を
行うのは困難であった。
【0008】また、図17に示した従来の構造では、上
記のように、リッジ部側の光閉じ込めを行うために、p
型AlGaNクラッド層112のリッジ部以外の厚みの
薄い部分を精密に制御する必要があったため、素子の歩
留まりおよび再現性を向上するのが困難であるという問
題点があった。
【0009】そこで、従来、クラッド層から漏れた光を
吸収することにより発振モードの安定化を図るために、
発光層の下側にIn組成の高いInGaNからなる光吸
収層を設ける構造が提案されている。これらは、たとえ
ば、特開2000−196199号公報に開示されてい
る。
【0010】しかしながら、発光層よりもIn組成の高
いInGaNからなる光吸収層では、In組成が高くな
るほど結晶性が低下する。このため、そのInGaNか
らなる光吸収層上に発光層を形成した場合に、発光層の
結晶性が低下するという問題点があった。また、In組
成が高くなるほどInGaNからなる光吸収層の成長可
能な最大膜厚(臨界膜厚)も小さくなるため、InGa
Nからなる光吸収層の厚みを大きくすることが困難であ
った。このため、光吸収を十分に行うことが困難であ
り、その結果、光吸収により発振モードの安定化を図る
ことが困難であるという問題点があった。
【0011】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたものであり、この発明の1つの目的は、
In組成の高いInGaN光吸収層を用いることなく光
吸収を十分に行うことによって、発光層の結晶性を損な
うことなく、光吸収により発振モードの安定化を図るこ
とが可能な窒化物系半導体発光素子を提供することであ
る。
【0012】この発明のもう1つの目的は、リッジ部側
の光吸収を十分に行うことによって、クラッド層のリッ
ジ部以外の部分を厚みを高精度に制御することを不要に
することが可能な窒化物系半導体発光素子を提供するこ
とである。
【0013】この発明のさらにもう1つの目的は、上記
の窒化物系半導体発光素子において、光吸収層が発光層
よりもバンドギャップの大きい材料からなる場合であっ
ても、発光層の発振波長の光を吸収することを可能にす
ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の一の局面によ
る窒化物系半導体発光素子は、所定の発振波長を有する
発光層と、発光層の上および下の少なくとも一方に形成
され、発光層の発振波長の光を吸収するとともに、ドナ
ー不純物とアクセプタ不純物とがドーピングされた光吸
収層とを備えている。
【0015】この一の局面による窒化物系半導体素子で
は、上記のように、発光層の発振波長の光を吸収すると
ともに、ドナー不純物とアクセプタ不純物とがドーピン
グされた光吸収層を設けることによって、光吸収層が発
光層よりもバンドギャップの大きい材料からなる場合で
あっても、ドナー不純物とアクセプタ不純物とをドーピ
ングすることにより、ドナーとアクセプタとの間の遷移
エネルギが発光層のバンド間の遷移エネルギよりも小さ
い場合には、光吸収層によって発光層のバンド間の遷移
により得られる発光波長を吸収することができる。これ
により、従来のIn組成の高いInGaN光吸収層を用
いることなく、光吸収を十分に行うことができるので、
光吸収層上の発光層の結晶性を損なうことなく、光吸収
により発振モードの安定化を図ることができる。また、
リッジ部側に光吸収層を配置すれば、リッジ部側の光吸
収を十分に行うことができるので、クラッド層のリッジ
部以外の部分の厚みを高精度に制御する必要がない。こ
のため、素子の歩留まりおよび再現性を向上させること
ができる。
【0016】上記一の局面による窒化物系半導体素子に
おいて、好ましくは、発光層は、井戸層を含み、光吸収
層のバンドギャップは、井戸層のバンドギャップよりも
大きい。このように吸収層が発光層よりもバンドギャッ
プの大きい材料からなる場合であっても、ドナー不純物
とアクセプタ不純物とをドーピングすることにより、ド
ナーとアクセプタとの間の遷移エネルギが発光層のバン
ド間の遷移エネルギよりも小さい場合には、容易に、発
光層のバンド間の遷移により得られる発光波長を吸収層
によって吸収することができる。
【0017】上記一の局面による窒化物系半導体素子に
おいて、好ましくは、吸収層は、発光層の発振波長より
も長い波長の吸収端を有するとともに、吸収端よりも短
い波長の光を吸収する。このように構成すれば、吸収層
により容易に発光層の発振波長の光を吸収することがで
きる。
【0018】上記一の局面による窒化物系半導体素子に
おいて、好ましくは、光吸収層は、ドナー不純物とアク
セプタ不純物とがドーピングされたAlxInyGa
1-x-yN(0≦x<1,0≦y≦1)層を含む。 このよ
うに構成すれば、発光層よりもバンドギャップの大きい
AlxInyGa1-x-yN(0≦x<1,0≦y≦1)層
であっても、ドナー不純物とアクセプタ不純物とをドー
ピングすることにより、ドナーとアクセプタとの間の遷
移エネルギが発光層のバンド間の遷移エネルギよりも小
さい場合には、そのAlxInyGa1-x-yN(0≦x<
1,0≦y≦1)層によって発光層のバンド間の遷移に
より得られる発光波長を吸収することができる。この場
合、好ましくは、光吸収層は、ドナー不純物とアクセプ
タ不純物とがドーピングされたInxGa1-xN(0<x
<0.15)層を含む。このように構成すれば、In組
成の低い(15%未満)InGaN層を吸収層として用
いることができるので、 発光層の結晶性を損なうこと
なく、光吸収により発振モードの安定化を図ることがで
きる。
【0019】なお、上記の窒化物系半導体発光素子にお
いて、発光層の下に形成された第1クラッド層をさらに
備え、光吸収層は、第1クラッド層下に形成された第1
光吸収層を含むようにしてもよい。このように構成すれ
ば、第1光吸収層により発光層の下方の光を吸収するこ
とができる。
【0020】上記の窒化物系半導体発光素子において、
光吸収層は、発光層上に、発光層と隣接しないように形
成された第2光吸収層を含むようにしてもよい。このよ
うに構成すれば、第2光吸収層により発光層の上方の光
を容易に吸収することができる。また、発光層上に光吸
収層を隣接しないので、発光層の発光を阻害することも
ない。
【0021】上記の第2光吸収層を含む構成において、
第2光吸収層は、電流ブロック層としての機能を有する
ようにしてもよい。このように構成すれば、電流ブロッ
ク層を別途形成する必要がないので、構造を簡素化する
ことができる。
【0022】上記の第2光吸収層を含む構成において、
第2光吸収層と発光層との間に形成された電流ブロック
層をさらに備えるようにしてもよい。このように構成す
れば、第2光吸収層により発光層の上方の光を吸収する
ことができるとともに、電流ブロック層によりリッジ部
以外の領域に電流が流れるのを防止することができる。
【0023】上記の第2光吸収層を含む構成において、
第2光吸収層は、電流ブロック層の中に配置されていて
もよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態を図面に基づいて説明する。
【0025】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実
施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した断面図
である。図1を参照して、この第1実施形態による窒化
物系半導体レーザ素子では、サファイア基板1上に、所
定の間隔を隔ててSiNからなるマスク層2が形成され
ている。マスク層2間に位置するサファイア基板1の表
面上には、約20nmの厚みを有するGaN低温バッフ
ァ層3が形成されている。GaN低温バッファ層3上に
は、選択横方向成長により結晶欠陥が低減された約5〜
10μmの厚みを有するGaN層4が形成されている。
また、GaN層4上には、約4〜4.5μmの厚みを有
するn型GaNコンタクト層5が形成されている。
【0026】ここで、この第1実施形態では、n型Ga
Nコンタクト層5上に、ドナー不純物としてのSiとア
クセプタ不純物としてのMgとがドーピングされた約1
0%のIn組成を有するInGaNからなるn側光吸収
層6が、約0.1μmの厚みを有するように形成されて
いる。このn側光吸収層6は、MQW発光層9の発振波
長よりも長い波長の吸収端を有するとともに、その吸収
端よりも短い波長の光を吸収する。つまり、このn側光
吸収層6は、MQW発光層9の発振波長の光を基板側か
ら吸収するために設けられている。
【0027】また、n側光吸収層6上には、約1.0μ
mの厚みを有するn型AlGaNクラッド層7、約0.
1μmの厚みを有するn型GaN光ガイド層8、約15
%のIn組成を有するInGaNからなるMQW発光層
9、約20nmの厚みを有するp型AlGaNキャップ
層10、および、約0.1μmの厚みを有するp型Ga
N光ガイド層11がこの順序で形成されている。
【0028】また、p型GaN光ガイド層11上には、
凸部を有するp型AlGaNクラッド層12が形成され
ている。p型AlGaNクラッド層12の凸部上には、
p型GaNコンタクト層13が形成されている。p型A
lGaNクラッド層12の凸部と、p型GaNコンタク
ト層13とによって、電流通路部としてのリッジ部が構
成されている。
【0029】また、この第1実施形態では、p型GaN
コンタクト層13の上面以外の領域を覆うように、ドナ
ー不純物としてのSiとアクセプタ不純物としてのMg
とがドープされた約10%のIn組成を有するInGa
Nからなるp側光吸収層14が、約0.1μmの厚みを
有するように形成されている。このp側光吸収層14
は、n側光吸収層6と同様、MQW発光層9の発振波長
よりも長い波長の吸収端を有するとともに、その吸収端
よりも短い波長の光を吸収する。つまり、このp側光吸
収層14は、MQW発光層9の発振波長の光をリッジ部
側から吸収するために設けられている。
【0030】また、p型GaNコンタクト層13上に
は、p側電極16が形成されている。また、p側電極1
6以外の領域を覆うとともに、n型GaNコンタクト層
5の上面上に開口部を有するSiO2膜15が形成され
ている。SiO2膜15の開口部には、n型GaNコン
タクト層5の上面に接するように、n側電極18が形成
されている。また、p側電極16の上面およびSiO2
膜15を覆うように、p側パッド電極17が形成されて
いる。
【0031】第1実施形態では、上記のように、約15
%のIn組成を有するInGaNからなるMQW発光層
9の発振波長の光を吸収するとともに、ドナー不純物
(Si)とアクセプタ不純物(Mg)とがドーピングさ
れた約10%のIn組成を有するInGaNからなるn
側光吸収層6およびp側光吸収層14を設けることによ
って、n側光吸収層6およびp側光吸収層14がMQW
発光層9よりもバンドギャップの大きい材料(約10%
のIn組成を有するInGaN)からなる場合であって
も、ドナー不純物(Si)とアクセプタ不純物(Mg)
とをドーピングすることにより、ドナーとアクセプタと
の間の遷移エネルギがMQW発光層9のバンド間の遷移
エネルギよりも小さくなる。具体的には、In組成が約
10%のInGaNからなるn側光吸収層6およびp側
光吸収層14に、ドナー不純物であるSiとアクセプタ
不純物であるMgとをドープすると、約410nm〜約
430nmの発光が得られる。この発光波長は、ドナー
とアクセプタとの間の遷移エネルギに相当するので、4
00nm付近のMQW発光層9のバンド間の遷移エネル
ギよりも小さい。
【0032】これにより、n側光吸収層6およびp側光
吸収層14によってMQW発光層9のバンド間の遷移に
より得られる発光波長を吸収することができる。その結
果、従来のIn組成の高い(15%以上)InGaN光
吸収層を用いることなく光吸収を十分に行うことができ
るので、MQW発光層9の結晶性を損なうことなく、光
吸収による発振モードの安定化を図ることができる。
【0033】また、n側光吸収層6により基板側の光を
十分に吸収することができるので、従来のようにn型A
lGaNクラッド層7の厚みを大きくする必要がない。
そのため、クラック防止層を設ける必要もない。
【0034】また、第1実施形態では、リッジ部側に設
けたp側光吸収層14により光吸収を十分に行うことが
できるので、従来のようにp型AlGaNクラッド層1
2のリッジ部以外の厚みの薄い部分の厚みを高精度に制
御する必要もない。このため、素子の歩留まりおよび再
現性を向上させることができる。
【0035】また、この第1実施形態では、p側光吸収
層14が、電流ブロック層としての機能を有するように
構成することによって、電流ブロック層を別途形成する
必要がないので、構造を簡素化することができる。
【0036】図2〜図5は、図1に示した第1実施形態
による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明
するための断面図である。図1〜図5を参照して、以下
に、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製
造プロセスについて説明する。
【0037】まず、図2に示すように、サファイア基板
1上の所定領域に所定の間隔を隔ててSiNからなるマ
スク層2を形成する。マスク層2間に露出されたサファ
イア基板1の表面上に、GaN低温バッファ層3を約2
0nmの厚みで形成する。そして、マスク層2をマスク
として、選択横方向成長を用いて結晶欠陥が低減された
GaN層4を5〜10μmの厚みで形成する。GaN層
4上に、基板温度を約1000℃にした状態で、原料ガ
スとしてNH3およびトリメチルガリウム(TMG)を
用いるとともに、ドーパントガスとしてSiH4を用い
て、n型GaNコンタクト層5を約4μm〜約4.5μ
mの厚みで成長させる。次に、基板温度を1000℃付
近から800℃付近に下げた後、原料ガスとしてN
3、トリエチルガリウム(TEG)およびトリメチル
インジウム(TMI)を用いるとともに、ドーパントガ
スとしてドナー不純物であるSiを含むSiH4と、ア
クセプタ不純物であるMgを含むCp2Mg(シクロペ
ンタジエニルマグネシウム)とを用いて、SiとMgと
がドープされた約10%のIn組成を有するInGaN
からなるn側光吸収層6を、約0.1μmの厚みで成長
させる。
【0038】この後、基板温度を800℃付近から10
00℃付近に上げた後、原料ガスとして、NH3、TM
Gおよびトリメチルアルミニウム(TMA)を用いると
ともに、ドーパントガスとしてSiH4を用いて、n型
AlGaNクラッド層7を、約1.0μmの厚みで成長
させる。そして、原料ガスとしてNH3およびTMGを
用いるとともに、ドーパントガスとしてSiH4を用い
て、n型GaN光ガイド層8を約0.1μmの厚みで成
長させる。この後、基板温度を1000℃付近から80
0℃付近に低下させた状態で、原料ガスとしてNH3
トリエチルガリウム(TEG)およびTMIを用いると
ともに、ドーパントガスとしてSiH4を用いて、約1
5%のIn組成を有するInGaNからなるMQW発光
層9を成長させる。
【0039】さらに、原料ガスとして、NH3、TM
A、TMGを用いるとともに、ドーパントガスとしてC
2Mgを用いて、p型AlGaNキャップ層10を、
約20nmの厚みで成長させる。そして、基板温度を8
00℃付近から1000℃付近に上昇させた状態で、原
料ガスとしてNH3およびTMGを用いるとともに、ド
ーパントガスとしてCp2Mgを用いて、p型GaN光
ガイド層11を、約0.1μmの厚みで成長させる。そ
の後、原料ガスとしてNH3、TMAおよびTMGを用
いるとともに、ドーパントガスとしてCp2Mgを用い
て、p型AlGaNクラッド層12を約0.3μmの厚
みで成長させる。そして、原料ガスとしてNH3および
TMGを用いるとともに、ドーパントガスとしてCp2
Mgを用いて、p型GaNコンタクト層13を、約0.
07μmの厚みで成長させる。
【0040】この後、結晶成長を一旦中断する。そし
て、図3に示すように、p型GaNコンタクト層13上
の所定領域にSiNからなるマスク層19を形成する。
そのマスク層19をマスクとして、p型GaNコンタク
ト層と、p型AlGaNクラッド層12の一部とをエッ
チングすることによって、リッジ部を形成する。
【0041】その後、図4に示すように、再び、800
℃付近に基板温度を上昇させた状態で、原料ガスとして
NH3、TEGおよびTMIを用いるとともに、ドーパ
ントガスとしてSiH4およびCp2Mgを用いて、Si
とMgとがドープされた約10%のIn組成を有するI
nGaNからなるp側光吸収層14を、0.1μmの厚
みで成長させる。この場合、p側光吸収層14は、Si
Nからなるマスク層19を選択成長マスクとして成長す
るので、マスク層19上には成長しない。この後、p側
光吸収層14からn型GaNコンタクト層5までの一部
領域を除去することによって、n型GaNコンタクト層
5の上面を露出させる。これにより、図5に示されるよ
うな形状が得られる。この後、マスク層19を除去す
る。
【0042】最後に、図1に示したように、p型GaN
コンタクト層13上に、p側電極16を形成する。そし
て、p側電極16以外の領域を覆うとともに、n型Ga
Nコンタクト層5の上面上に開口部を有するように、S
iO2膜15を形成する。この後、p側電極13上にp
側パッド電極17を形成するとともに、SiO2膜の開
口部内でn型GaNコンタクト層5の上面に接触するよ
うにn側電極18を形成する。この後、劈開により素子
分離を行うことによって、第1実施形態による窒化物系
半導体レーザ素子が完成される。
【0043】(第2実施形態)図6は、本発明の第2実
施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した断面図
である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異
なり、導電性のZrB 2基板を用いた場合の例を示して
いる。
【0044】まず、この第2実施形態による窒化物系半
導体レーザ素子では、ZrB2基板21上に、約1μm
〜約3μmの厚みを有するn型GaN高温バッファ層2
2が形成されている。
【0045】ここで、この第2実施形態では、n型Ga
N高温バッファ層22上に、ドナー不純物であるSiと
アクセプタ不純物であるZnとがドーピングされたGa
N層からなるn側光吸収層23が、約0.2μmの厚み
を有するように形成されている。このn側光吸収層23
は、MQW発光層26の発振波長よりも長い波長の吸収
端を有するとともに、その吸収端よりも短い波長の光を
吸収する。つまり、このn側光吸収層23は、MQW発
光層26の発振波長による光を基板側から吸収するため
に設けられている。
【0046】n側光吸収層23上には、約1.0μmの
厚みを有するn型AlGaNクラッド層24が形成され
ている。n型AlGaNクラッド層24上には、約0.
1μmの厚みを有するn型GaN光ガイド層25が形成
されている。n型GaN光ガイド層25上には、約15
%のIn組成を有するInGaNからなるMQW発光層
26が形成されている。MQW発光層26上には、約2
0nmの厚みを有するp型AlGaNキャップ層27が
形成されている。p型AlGaNキャップ層27上に
は、約0.1μmの厚みを有するp型GaN光ガイド層
28が形成されている。p型GaN光ガイド層28上に
は、約0.3μmの厚みを有するp型AlGaNクラッ
ド層29が形成されている。
【0047】また、この第2実施形態では、p型AlG
aNクラッド層29のリッジ部の上面以外の領域を覆う
ように、ドナー不純物であるSiとアクセプタ不純物で
あるZnとがドーピングされたGaNからなるp側光吸
収層30が、約0.2μmの厚みで形成されている。こ
のp側光吸収層30は、MQW発光層26の発振波長よ
りも長い波長の吸収端を有するとともに、その吸収端よ
りも短い波長の光を吸収する。つまり、このp側光吸収
層30は、MQW発光層26の発振波長による光をリッ
ジ部側から吸収するために設けられている。
【0048】p型AlGaNクラッド層29のリッジ部
の上面に接触するとともに、p側光吸収層30を覆うよ
うに、約0.07μmの厚みを有するp型GaNコンタ
クト層31が形成されている。p型GaNコンタクト層
31上には、p側電極32が形成されている。また、導
電性のZrB2基板の裏面上には、n側電極33が形成
されている。
【0049】第2実施形態では、上記のように、約15
%のIn組成を有するInGaNからなるMQW発光層
26の下方および上方に、それぞれ、ドナー不純物であ
るSiとアクセプタ不純物であるZnとがドーピングさ
れたGaNからなるn側光吸収層23およびp側光吸収
層30を設けることによって、n側光吸収層23および
p側光吸収層30がMQW発光層26よりもバンドギャ
ップの大きい材料(GaN)からなる場合であっても、
ドナー不純物(Si)とアクセプタ不純物(Zn)とを
ドーピングすることにより、ドナーとアクセプタとの間
の遷移エネルギがMQW発光層26のバンド間の遷移エ
ネルギよりも小さくなる。具体的には、GaNからなる
n側光吸収層23およびp側光吸収層30に、ドナー不
純物であるSiとアクセプタ不純物であるZnとをドー
プすると、約430nmの発光が得られる。この発光波
長は、ドナーとアクセプタとの間の遷移エネルギに相当
するので、400nm付近のMQW発光層26のバンド
間の遷移エネルギよりも小さい。
【0050】これにより、n側光吸収層23およびp側
光吸収層30によって、MQW発光層26のバンド間の
遷移により得られる発光波長を吸収することができる。
このため、In組成の高い(15%以上)InGaN光
吸収層を用いることなく、光吸収を十分に行うことがで
きる。その結果、n側光吸収層23の上方に形成される
MQW発光層26の結晶性を損なうことなく、光吸収に
より発振モードの安定化を図ることができる。
【0051】また、第2実施形態では、リッジ部の上面
以外の部分を覆うように、SiとZnとがドーピングさ
れたGaNからなるp側光吸収層30を設けることによ
って、リッジ部側の光吸収を十分に行うことができるの
で、p型AlGaNクラッド層29のリッジ部以外の部
分の厚みを高精度に制御する必要がない。このため、素
子の歩留まりおよび再現性を向上させることができる。
【0052】また、この第2実施形態では、p側光吸収
層30が、電流ブロック層としての機能を有するように
構成することによって、電流ブロック層を別途形成する
必要がないので、構造を簡素化することができる。
【0053】図7〜図10は、図6に示した第2実施形
態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説
明するための断面図である。次に、図6〜図10を参照
して、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の
製造プロセスについて説明する。
【0054】まず、図7に示すように、ZrB2基板2
1上に、基板温度を約1000℃にした状態で、NH3
ガスを供給することによって、ZrB2基板21の表面
を窒化する。その後、原料ガスとしてTMGを用いると
ともに、ドーパントガスとしてSiH4を用いて、Zr
2基板21上に、n型GaN高温バッファ層22を約
1μm〜約3μmの厚みで成長させる。そして、原料ガ
スとしてNH3およびTMGを用いるとともに、ドーパ
ントガスとしてSiを含むSiH4とZnを含むDEZ
(ジエチルジンク)とを用いて、GaNからなるn側光
吸収層23を、約0.2μmの厚みで成長させる。その
後、原料ガスとしてNH3、TMGおよびTMAを用い
るとともに、ドーパントガスとしてSiH4を用いて、
n型AlGaNクラッド層24を約1.0μmの厚みで
成長させる。
【0055】そして、原料ガスとしてNH3およびTM
Gを用いるとともに、ドーパントガスとしてSiH4
用いて、n型GaN光ガイド層25を約0.1μmの厚
みで成長する。その後、基板温度を1000℃付近から
800℃付近に下げた状態で、原料ガスとしてNH3
TEGおよびTMIを用いるとともに、ドーパントガス
としてSiH4を用いて、約15%のIn組成を有する
InGaNからなるMQW活性層26を成長させる。さ
らに、原料ガスとしてNH3、TMAおよびTMGを用
いるとともに、ドーパントガスとしてCp2Mgを用い
て、p型AlGaNキャップ層27を約20μmの厚み
で成長する。その後、基板温度を800℃付近から10
00℃付近に上昇させた状態で、原料ガスとしてNH3
およびTMGを用いるとともに、ドーパントガスとして
Cp2Mgを用いて、p型GaN光ガイド層28を、約
0.1μmの厚みで成長させる。そして、原料ガスとし
てNH3、TMAおよびTMGを用いるとともに、ドー
パントガスとしてCp2Mgを用いて、p型AlGaN
クラッド層29を、約0.3μmの厚みで成長させる。
【0056】この後、結晶成長を一旦中断する。そし
て、図8に示すように、p型AlGaNクラッド層29
上の所定領域にSiNからなるマスク層34を形成した
後、そのマスク層34をマスクとして、p型AlGaN
クラッド層29をエッチングすることによって、リッジ
部を形成する。
【0057】次に、図9に示すように、マスク層34を
マスクとして、基板温度を1000℃付近にした状態
で、原料ガスとしてNH3およびTMGを用いるととも
に、ドーパントガスとしてSiH4およびDEZを用い
て、GaNからなるp側光吸収層30を、約0.2μm
の厚みで選択成長させる。この場合、p側光吸収層30
は、マスク層34をマスクとして選択成長されるので、
マスク層34上にはp側光吸収層30は形成されない。
この後、SiNからなるマスク層34をウェットエッチ
ングにより除去する。
【0058】その後、再び、1000℃付近に基板温度
をした状態で、原料ガスとしてNH 3およびTMGを用
いるとともに、ドーパントガスとしてCp2Mgを用い
て、図6に示したようなp型GaNコンタクト層31
を、約0.07μmの厚みで成長させる。
【0059】この後、p型GaNコンタクト層31上
に、p側電極32を形成するとともに、ZrB2基板2
1の裏面にn側電極33を形成する。最後に劈開により
素子分離を行うことによって、第2実施形態による窒化
物系半導体レーザ素子が形成される。
【0060】(第3実施形態)図11は、本発明の第3
実施形態による窒化物系半導体レーザ素子を示した断面
図である。図11を参照して、この第3実施形態では、
導電性のGaN基板を用いるとともに、電流ブロック層
とは別にp側光吸収層を設けた例を示している。以下、
詳細に説明する。
【0061】この第3実施形態による窒化物系半導体レ
ーザ素子では、導電性を有する低結晶欠陥のGaN基板
41上に、約1μm〜約3μmの厚みを有するn型Ga
N高温バッファ層42が形成されている。
【0062】ここで、第3実施形態では、n型GaN高
温バッファ層42上に、ドナー不純物であるSiとアク
セプタ不純物であるMgとがドーピングされた約10%
のIn組成を有するInGaNからなるn側光吸収層4
3が、約0.1μmの厚みで形成されている。このn側
光吸収層43は、MQW発光層46の発振波長よりも長
い波長の吸収端を有するとともに、その吸収端よりも短
い波長の光を吸収する。つまり、このn側光吸収層43
は、MQW発光層46の発振波長による光を基板側から
吸収するために設けられている。
【0063】そのn側光吸収層43上には、約1.0μ
mの厚みを有するn型AlGaNクラッド層44、約
0.1μmの厚みを有するn型GaN光ガイド層45、
約15%のIn組成を有するInGaNからなるMQW
発光層46、p型AlGaNキャップ層47、約0.1
μmの厚みを有するp型GaN光ガイド層48がこの順
序で形成されている。
【0064】また、p型GaN光ガイド層48上には、
約0.3μmの厚みの凸部を有するp型AlGaNクラ
ッド層49が形成されている。p型AlGaNクラッド
層49の凸部の上面以外の領域を覆うように、約0.2
μmの厚みを有するアンドープAlGaNからなる電流
ブロック層50が形成されている。
【0065】また、この第3実施形態では、電流ブロッ
ク層50を覆うように、ドナー不純物であるSiとアク
セプタ不純物であるMgとがドーピングされた約10%
のIn組成を有するInGaNからなるp側光吸収層5
1が、約0.05μmの厚みで形成されている。このp
側光吸収層51は、MQW発光層46の発振波長よりも
長い波長の吸収端を有するとともに、その吸収端よりも
短い波長の光を吸収する。つまり、このp側光吸収層5
1は、MQW発光層46の発振波長による光をリッジ部
側から吸収するために設けられている。
【0066】また、p型AlGaNクラッド層49の凸
部の上面上に接するとともに、p側光吸収層51を覆う
ように、約0.07μmの厚みを有するp型GaNコン
タクト層52が形成されている。また、そのp型GaN
コンタクト層52を覆うように、p側電極53が形成さ
れている。また、導電性のGaN基板41の裏面上に
は、n側電極54が形成されている。
【0067】第3実施形態では、上記のように、約15
%のIn組成を有するMQW発光層46の下方および上
方に、それぞれ、ドナー不純物であるSiおよびアクセ
プタ不純物であるMgがドープされた約10%のIn組
成を有するInGaNからなるn側光吸収層43および
p側光吸収層51を設けることによって、上記第1実施
形態と同様、n側光吸収層43およびp側光吸収層51
によりMQW発光層46のバンド間の遷移により得られ
る発光波長を吸収することができる。これにより、従来
のIn組成の高い(15%以上)InGaN光吸収層を
用いることなく、光吸収を十分に行うことができる。こ
のため、n側光吸収層43の上方に位置するMQW発光
層46の結晶性を損なうことなく、光吸収により発振モ
ードの安定化を図ることができる。
【0068】また、リッジ部側に、SiとMgとがドー
ピングされた約10%のIn組成を有するInGaNか
らなるp側光吸収層51を設けることによって、リッジ
部側の光吸収を十分に行うことができるので、p型Al
GaNクラッド層49のリッジ部以外の部分の厚みを高
精度に制御する必要がない。このため、素子の歩留まり
および再現性を向上させることができる。
【0069】図12〜図15は、図11に示した第3実
施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセス
を説明するための断面図である。次に、図11〜図15
を参照して、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ
素子の製造プロセスについて説明する。
【0070】まず、図12に示すように、基板温度を1
000℃付近にした状態で、原料ガスとしてNH3およ
びTMGを用いるとともに、ドーパントガスとしてSi
4を用いて、GaN基板41上に、n型GaN高温バ
ッファ層42を約1μm〜約3μmの厚みで成長させ
る。その後、基板温度を1000℃付近から800℃付
近へと下げた後、原料ガスとしてNH3、TEGおよび
TMIを用いるとともに、ドーパントガスとしてSiH
4およびCp2Mgを用いて、約10%のIn組成を有す
るInGaNからなるSiとMgとがドーピングされた
n側光吸収層43を、約0.1μmの厚みで成長させ
る。その後、基板温度を800℃付近から1000℃付
近に上げた後、原料ガスとしてNH3、TMGおよびT
MAを用いるとともに、ドーパントガスとしてSiH4
を用いて、n型AlGaNクラッド層44を、約1.0
μmの厚みで成長させる。さらに、原料ガスとしてNH
3およびTMGを用いるとともに、ドーパントガスとし
てSiH4を用いて、n型GaN光ガイド層45を、約
0.1μmの厚みで成長させる。
【0071】その後、基板温度を1000℃付近から8
00℃付近に下げた後、原料ガスとしてNH3、TEG
およびTMIを用いるとともに、ドーパントガスとして
SiH4を用いて、約15%のIn組成を有するInG
aNからなるMQW発光層46を成長させる。その後、
原料ガスとしてNH3、TMAおよびTMGを用いると
ともに、ドーパントガスとしてCp2Mgを用いて、p
型AlGaNキャップ層47を成長させる。さらに、基
板温度を800℃付近から1000℃付近に上昇させた
状態で、原料ガスとしてNH3およびTMGを用いると
ともに、ドーパントガスとしてCp2Mgを用いて、p
型GaN光ガイド層48を、約0.1μmの厚みで成長
させる。この後、原料ガスとして、NH3、TMAおよ
びTMGを用いるとともに、ドーパントガスとしてCp
2Mgを用いて、p型AlGaNクラッド層49を、約
0.3μmの厚みで成長させる。
【0072】この後、結晶成長を一旦中断した後、図1
3に示すように、p型AlGaNクラッド層49上の所
定領域にSiNからなるマスク層55を形成する。そし
て、そのマスク層55をマスクとして、p型AlGaN
クラッド層49をドライエッチングすることによって、
リッジ部を形成する。
【0073】さらに、図14に示すように、マスク層5
5をマスクとして、基板温度を再び約1000℃付近に
上昇させた後、原料ガスとしてNH3、TMGおよびT
MAを用いて、アンドープAlGaNからなる電流ブロ
ック層50を約0.2μmの厚みで成長させる。その
後、基板温度を1000℃付近から800℃付近に下げ
た後、原料ガスとしてNH3、TEGおよびTMIを用
いるとともに、ドーパントガスとしてSiH4およびC
2Mgの両方を用いて、約10%のIn組成を有する
InGaNからなるSiとMgとがドーピングされたp
側光吸収層51を、約0.05μmの厚みで成長させ
る。この場合、SiNからなるマスク層55上には、電
流ブロック層50およびp側光吸収層51は成長されな
い。この後、マスク層55を除去する。
【0074】次に、図15に示すように、再び基板温度
を1000℃付近にした状態で、原料ガスとしてNH3
およびTMGを用いるとともに、ドーパントガスとして
Cp2Mgを用いて、p型GaNコンタクト層52を、
約0.07μmの厚みで成長させる。
【0075】最後に、図11に示したように、p型Ga
Nコンタクト層52上に、p側電極53を形成するとと
もに、導電性のGaN基板41の裏面に、n側電極54
を形成する。そして、劈開により素子分離を行うことに
よって、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子
が完成される。
【0076】なお、今回開示された実施形態は、すべて
の点で例示であって制限的なものではないと考えられる
べきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明
ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請
求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が
含まれる。
【0077】たとえば、上記実施形態では、GaNから
なるn側光吸収層およびp側光吸収層のドナー不純物と
してSiを用いるとともにアクセプタ不純物としてZn
を用い、InGaNからなるn側光吸収層およびp側光
吸収層のドナー不純物としてSiを用いるとともにアク
セプタ不純物としてMgを用いる例を示したが、本発明
はこれに限らず、他のドナー不純物およびアクセプタ不
純物を用いてもよい。
【0078】具体的には、図16に示すように、GaN
からなるn側光吸収層およびp側光吸収層に対しては、
ドナー不純物として、Si、Ge、SnまたはOを用い
ることができるとともに、アクセプタ不純物として、Z
nまたはLiを用いることができる。また、InGaN
からなるn側光吸収層およびp側光吸収層に対しては、
ドナー不純物として、Se、Si、Ge、SnまたはO
を用いることができるとともに、アクセプタ不純物とし
て、Cd、Be、Mg、ZnまたはLiを用いることが
できる。
【0079】また、上記実施形態では、n側光吸収層お
よびp側光吸収層をGaNまたはInGaNによって形
成したが、本発明はこれに限らず、InAlGaN、G
aNPまたはGaAlNPにドナー不純物とアクセプタ
不純物とをドーピングしたn側光吸収層およびp側光吸
収層を用いても同様の効果を得ることができる。
【0080】また、上記第1および第3実施形態では、
約10%のIn組成を有するInGaNからなるn側光
吸収層およびp側光吸収層を形成したが、本発明はこれ
に限らず、15%未満のIn組成を有するInGaNか
らなるn側光吸収層およびp側光吸収層であれば、同様
の効果を得ることができる。
【0081】また、上記実施形態では、n側およびp側
の両方に光吸収層を形成する例を示したが、本発明はこ
れに限らず、n側またはp側の一方のみに光吸収層を形
成するようにしてもよい。
【0082】また、上記実施形態では、基板として、サ
ファイア基板、ZrB2基板およびGaN基板を用いる
例を示したが、本発明はこれに限らず、サファイア基板
以外のスピネル基板などの絶縁性基板や、GaN基板以
外のSiC基板、Si基板、GaAs基板などの半導体
基板からなる導電性基板や、ZrB2基板以外のMB
2(Mは、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
Crなどの金属元素)で表されるホウ素化合物基板(特
に六方晶の(0001)面を有するホウ素化合物基板が
好ましい)を用いてもよい。
【0083】また、上記第3実施形態では、p側光吸収
層を電流ブロック上に形成する例を示したが、本発明は
これに限らず、p側光吸収層の上および下に電流ブロッ
ク層を形成するようにしてもよい。すなわち、p側光吸
収層が電流ブロック層の中に配置されるようにしてもよ
い。
【0084】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、In組
成の高いInGaN光吸収層を用いることなく、光吸収
を十分に行うことができるので、光吸収層上の発光層の
結晶性を損なうことなく、光吸収により発振モードの安
定化を図ることができる。また、リッジ部側に光吸収層
を配置することによって、リッジ部側の光吸収を十分に
行うことができるので、クラッド層のリッジ部以外の部
分の厚みを高精度に制御する必要がない。このため、素
子の歩留まりおよび再現性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レ
ーザ素子を示した断面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図3】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図4】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図5】図1に示した第1実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図6】本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レ
ーザ素子を示した断面図である。
【図7】図6に示した第2実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図8】図6に示した第2実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図9】図6に示した第2実施形態による窒化物系半導
体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図で
ある。
【図10】図6に示した第2実施形態による窒化物系半
導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面図
である。
【図11】本発明の第3実施形態による窒化物系半導体
レーザ素子を示した断面図である。
【図12】図11に示した第3実施形態による窒化物系
半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面
図である。
【図13】図11に示した第3実施形態による窒化物系
半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面
図である。
【図14】図11に示した第3実施形態による窒化物系
半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面
図である。
【図15】図11に示した第3実施形態による窒化物系
半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための断面
図である。
【図16】本発明の光吸収層の構成材料とドナー不純物
およびアクセプタ不純物との組み合わせを示した図であ
る。
【図17】従来の窒化物系半導体レーザ素子を示した断
面図である。
【符号の説明】
9、26、46 MQW発光層(発光層) 6、23、43 n側光吸収層(光吸収層) 14、30、51 p側光吸収層(光吸収層) 1 サファイア基板 21 ZrB2基板 41 GaN基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 康彦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA04 AB14 AB17 AB18 AC08 AC19 AF02 AF04 AF09 BB12 CA12 DA55 DA57 DA63 DA67 5F073 AA13 AA45 AA74 AA89 BA06 CA07 CB02 CB05 CB19 EA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の発振波長を有する発光層と、 前記発光層の上および下の少なくとも一方に形成され、
    前記発光層の発振波長の光を吸収するとともに、ドナー
    不純物とアクセプタ不純物とがドーピングされた光吸収
    層とを備えた、窒化物系半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記発光層は、井戸層を含み、 前記光吸収層のバンドギャップは、前記井戸層のバンド
    ギャップよりも大きい、請求項1に記載の窒化物系半導
    体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記光吸収層は、前記発光層の発振波長
    よりも長い波長の吸収端を有するとともに、前記吸収端
    よりも短い波長の光を吸収する、請求項1または2に記
    載の窒化物系半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記光吸収層は、ドナー不純物とアクセ
    プタ不純物とがドーピングされたAlxInyGa1-x-y
    N(0≦x<1,0≦y≦1)層を含む、請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の窒化物系半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記光吸収層は、ドナー不純物とアクセ
    プタ不純物とがドーピングされたInxGa1-xN(0<
    x<0.15)層を含む、請求項4に記載の窒化物系半
    導体発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008091910A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Osram Opto Semiconductors Gmbh 半導体レーザ
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