JP2003161349A - オートテンショナの設計方法 - Google Patents

オートテンショナの設計方法

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JP2003161349A
JP2003161349A JP2002357755A JP2002357755A JP2003161349A JP 2003161349 A JP2003161349 A JP 2003161349A JP 2002357755 A JP2002357755 A JP 2002357755A JP 2002357755 A JP2002357755 A JP 2002357755A JP 2003161349 A JP2003161349 A JP 2003161349A
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pulley
timing belt
spring
damper device
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JP2002357755A
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Hiroshi Suzuki
鈴木  寛
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H7/10Means for varying tension of belts, ropes, or chains by adjusting the axis of a pulley
    • F16H7/12Means for varying tension of belts, ropes, or chains by adjusting the axis of a pulley of an idle pulley
    • F16H7/1209Means for varying tension of belts, ropes, or chains by adjusting the axis of a pulley of an idle pulley with vibration damping means
    • F16H7/1236Means for varying tension of belts, ropes, or chains by adjusting the axis of a pulley of an idle pulley with vibration damping means of the fluid and restriction type, e.g. dashpot

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  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型でしかもタイミングベルト1の振動防止
効果の大きな構造を得る。 【構成】 揺動部材18に枢支したプーリ5を、捩りコ
イルばね28等の張力付与ばねの弾力によりタイミング
ベルト2に押し付ける。ダンパ装置34により、上記プ
ーリ5がタイミングベルト2から退避する方向への変位
を、緩徐に行わせる。このダンパ装置34を構成するシ
リンダ筒39内周面と、このシリンダ筒39内に嵌装さ
れたピストン外周面との間のリーク隙間の厚さを、所定
範囲内に規制する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明の対象となるオートテンシ
ョナは、自動車用エンジンのタイミングベルトに適正な
張力を付与する為に利用する。 【0002】 【従来の技術】エンジンのカムシャフトをクランクシャ
フトと同期して回転駆動する為に、段付ベルトであるタ
イミングベルトによる駆動装置が広く使用されている。
ところでこの様なタイミングベルトには、適正な張力を
付与する事が、タイミングベルト内周面の歯と駆動プー
リ及び従動プーリの外周面に形成した歯とがずれる、所
謂歯飛びを防止する為にも必要である。この為従来か
ら、ばねの弾力によりプーリをタイミングベルトの外周
面に押圧し、温度変化に拘らずこのタイミングベルトの
張力を一定に保つオートテンショナが、従来から広く使
用されている。 【0003】この様な目的で使用されるオートテンショ
ナには、次のの機能が要求される。 タイミングベルトの外周面を弾性的に押圧し、この
タイミングベルトに適正な張力を付与する機能。 タイミングベルトの一部でプーリにより抑え付けた
部分の張力が急激に上昇した場合に、直ちには退避せず
に当該部分を強く抑え付け、他の部分の張力が過度に低
下するのを防止する機能。 【0004】この為オートテンショナには、上記の機
能を持たせるべくばねを設け、上記の機能を持たせる
べくダンパ装置を設けている。ダンパ装置としては、例
えば特開昭63−180759号公報に記載されている
様に、両方向に亙ってダンパ機能を有する、所謂ワンウ
ェイ構造のものもある。しかしながら、タイミングベル
トの張力変動をより少なく抑える為には、片方向のみダ
ンパ機能を有し、タイミングベルトを押圧するプーリの
変位が、押圧方向には迅速に、反対方向には緩徐に行わ
れる様にする、所謂ツーウェイ構造のものが好ましい。 【0005】実開昭60−23355号公報には、この
様なツーウェイ構造のダンパ装置を備えたオートテンシ
ョナとして、図1〜2に示す様な構造が記載されてい
る。先ず図1はオートテンショナを組み込んだタイミン
グベルト駆動装置を示している。エンジンのクランクシ
ャフトの回転は、駆動プーリ1からタイミングベルト2
に伝達されて従動プーリ3、3及びこの従動プーリ3、
3をそれぞれの端部に固定したカムシャフト(図示せ
ず)を回転させる。3aはウォータポンプ等の補機を駆
動する為の従動プーリである。上記タイミングベルト2
の中間部で、上記駆動プーリ1と従動プーリ3との間部
分には、オートテンショナ4を構成するプーリ5を弾性
的に押圧し、このタイミングベルト2に適正な張力を付
与している。 【0006】上記プーリ5は、揺動部材6の中間部に、
図示しない第二軸により枢支されている。そしてこの揺
動部材6は第一軸である枢軸7により、固定の部分であ
るエンジンのシリンダブロックの前面に枢支されてい
る。又、上記揺動部材6の先端部に設けられた受部8と
シリンダブロックの前面との間には、図2に詳示する様
なダンパ装置9を設けている。このダンパ装置9は上記
揺動部材6とは別に、上記シリンダブロックの前面等に
固定している。このダンパ装置9は、シリンダ10に内
蔵した圧縮ばね11の弾力に基づき、その全長を伸長す
る方向の弾力を有する。上記プーリ5は、この圧縮ばね
11の弾力に基づき、上記タイミングベルト2に向け
て、弾性的に押圧される。又、このダンパ装置9は、上
記シリンダ10内に封入した粘性液体12と逆止弁13
との作用により、迅速に伸長するが圧縮は緩徐にしか行
われない。従って、上記オートテンショナ4は、前記し
たの機能を合わせ持つ。 【0007】上述した図1〜2に示したオートテンショ
ナ4の場合、プーリ5をタイミングベルト2に押圧する
為の弾力を、ダンパ装置9に内蔵した圧縮ばね11によ
り得ている為、このダンパ装置9が大型化する。即ち、
タイミングベルト2に十分な張力を付与する為には、上
記圧縮ばね11の弾力を大きくしなければならない。一
般的には、この弾力を10〜20kgf 程度確保する必要
がある為、上記圧縮ばね11の大きさ(長さ及び径)も
或る程度大きくなる事が避けられない。この結果、この
圧縮ばね11を組み込んだダンパ装置9が大型化してし
まう(長く、且つ太くなる)。シリンダブロックの前面
等の設置スペースは狭く、大きなダンパ装置9を含むオ
ートテンショナ4を設置する事は難しい場合が多い。 【0008】更に、上記図1〜2に示した従来構造の場
合には、ダンパ装置9の汎用性が乏しく、各種エンジン
に対応するオートテンショナを構成する為、多種類のダ
ンパ装置9を用意しなければならず、部品製作や部品管
理の繁雑化により、オートテンショナ4の製作費を高く
する。即ち、タイミングベルト2の張力の設定値は、エ
ンジンの排気量により異なるだけでなく、その型式(O
HCであるかDOHCであるか)等によっても微妙に異
なる。従って、上記圧縮ばね11の弾力も上記設定値に
合わせて変える必要があるが、圧縮ばね11の長さ及び
径は、その弾力を変えた場合に異なってしまう。この
為、この圧縮ばね11を内蔵したダンパ装置9の大きさ
も、上記設定値の違いに応じて種々異なったものとな
り、上述の様に製作費が高くなる原因となる。 【0009】これに対して、実開平6−47757号公
報には、ダンパ装置9を小型化でき、しかも張力の設定
値の異なる構造の場合もダンパ装置9を共用化できる構
造として、図3〜5に示す様なオートテンショナが記載
されている。この従来のオートテンショナには、例えば
図6に示す様なダンパ装置が組み込まれる。尚、この図
6に示したダンパ装置は、上記公報に記載されたダンパ
装置をより具体化したものである。この図3〜5に示し
たオートテンショナ並びに図6に示したダンパ装置は、
本発明を完成させる段階での実験に使用したオートテン
ショナ並びにダンパ装置と基本構造が同一のものである
為、少し詳しく説明する。 【0010】固定部材14は、中間部の取付孔15に挿
通したボルト(図示せず)により、シリンダブロック前
面等の固定の部分に固定される。この固定部材14の一
端部(図3〜5の上端部)に形成した円孔16には、円
管状の固定軸17の基端部を、内嵌固定している。この
固定軸17が第一軸である。そして、揺動部材18の基
端部(図3〜5の下端部)に形成した円筒部19を上記
固定軸17の周囲に、滑り軸受20を介して外嵌する事
により、上記固定軸17の周囲に揺動部材18の基端部
を、回転自在に支持している。そして、上記固定軸17
に挿通したボルト21をシリンダブロック前面等の固定
の部分に形成した螺子孔に螺合させ、上記取付孔15に
挿通した図示しないボルトとの共働により、上記固定部
材14の回転防止を図っている。 【0011】又、上記揺動部材18の先端部(図3〜5
の上端部)には、上記固定軸17と平行な第二軸を構成
する円形の凸部22を形成し、この凸部22の周囲にプ
ーリ5を、転がり軸受23により回転自在に支持してい
る。即ち、ボルト24を上記転がり軸受23を構成する
内輪25の中心孔及び座板26に通してからナット27
を緊締し、上記内輪25の中心孔周囲を抑え付けてい
る。この状態で、前記固定軸17は、プーリ5の外周面
よりも直径方向外側に位置する。 【0012】又、上記円筒部19の周囲には、捩りコイ
ルばね28のコイル部29を配置している。そして、こ
の捩りコイルばね28の一方の係止部30aを前記固定
部材14に形成した係止孔31aに係止し、他方の係止
部30bを上記揺動部材18に形成した係止孔31b
に、スリーブ32を介して挿入している。そして、この
捩りコイルばね28により上記揺動部材18に、前記固
定軸17を中心として、図3で時計方向に回動しようと
する弾力を付与している。 【0013】又、前記固定部材14の一部で、前記固定
軸17から離れた位置に設けた固定側腕片33には、ダ
ンパ装置34の基端部を支持している。一方、前記揺動
部材18の一部で、前記凸部22から離れた位置には揺
動側腕片35を設け、この揺動側腕片35に形成した凹
部36に、受ブロック37を内嵌固定している。そし
て、この受ブロック37の端面に、上記ダンパ装置34
を構成するプランジャ38の先端を突き当てている。 【0014】上記ダンパ装置34は、図6に示す様に、
シリンダ筒39の内部に粘性液体12を封入すると共
に、このシリンダ筒39の内部にピストン40を、軸方
向(図6の上下方向)に亙る変位自在に嵌装している。
このピストン40と上記シリンダ筒39の奥端面(図6
の下端面)との間には圧縮コイルばねである付勢ばね4
1を設けて、このピストン40をシリンダ筒39から突
出する方向に押圧している。上記プランジャ38は、そ
の基端面(図6の下端面)をこのピストン40に当接さ
せている。従って、上記付勢ばね41の弾力に基づいて
このピストン40が変位する(押し上げられる)と、上
記プランジャ38のシリンダ筒39からの突出量が増大
する。 【0015】上記ピストン40の中央部には通油路42
を形成して、上記ピストン40の軸方向両端面同士を連
通させている。そして、上記通油路42の下端開口部に
ボール43を、圧縮ばね44の弾力に基づいて押し付け
る事により、上記通油路42の下端開口を開閉する、ボ
ール弁式の逆止弁45を構成している。この逆止弁45
は、上記ピストン40が上記付勢ばね41の弾力に抗し
て変位(下降)する場合に閉じ、付勢ばね41の弾力に
より上昇する場合に開く。 【0016】尚、図3〜5に示したストッパピン46
は、前記捩りコイルばね28の弾力に拘らず、前記固定
軸17を中心とする揺動部材18の揺動を不能とする事
で、前記プーリ5へのタイミングベルト2の掛け渡し作
業を容易に行える様にするものである。即ち、上記揺動
部材18を捩りコイルばね28の弾力に抗し揺動させた
状態で、この揺動部材18に形成した小孔47と前記固
定部材14に形成した小孔48とを整合させ、上記スト
ッパピン46を両小孔47、48に挿通させておく。 【0017】この状態で、上記揺動部材18に支持され
たプーリ5が上記捩りコイルばね28の弾力により変位
する事はなくなるので、このプーリ5にタイミングベル
ト2を掛け渡す作業を容易に行える。タイミングベルト
2を掛け渡した後に上記ストッパピン46を引き抜け
ば、上記プーリ5は、捩りコイルばね28の弾力に基づ
いて、上記タイミングベルト2に押圧される。 【0018】上述の様に構成されるオートテンショナの
使用状態に於いては、捩りコイルばね28の弾力に基づ
いて揺動部材18が揺動し、この揺動部材18の先端部
に回転自在に支持されたプーリ5を、タイミングベルト
2に向け弾性的に押圧する。プーリ5がタイミングベル
ト2に押し付けられる事で、上記揺動部材18の揺動は
制限され、この揺動部材18に設けた揺動側腕片35が
それ以上変位する事がなくなる。この為、固定部材14
の固定側腕片33に支持されたダンパ装置34を構成す
るピストン40が付勢ばね41の弾力により変位する
と、プランジャ38のシリンダ筒39からの突出量が増
大し、このプランジャ38の先端が揺動側腕片35の先
端部に支持した受ブロック37に押し付けられた状態と
なる。 【0019】この状態からタイミングベルト2が弛む
と、捩りコイルばね28の弾力に基づいて揺動部材18
が、固定軸17を中心として図3の時計方向に揺動し、
上記プーリ5をタイミングベルト2の動きに追従させ
る。この際、上記プランジャ38の変位は少し遅れる
為、このプランジャ38の先端と上記受ブロック37と
が離隔する。従って、タイミングベルト2が弛む際に
は、プーリ5をタイミングベルト2の動きに追従させる
べく揺動部材18を回転させる事に対し、上記ダンパ装
置34が全く抵抗とはならず、上記プーリ5をタイミン
グベルト2の動きに対し迅速に追従させて、このタイミ
ングベルト2の張力が低下する事を防止する。 【0020】上記プランジャ38は付勢ばね41の弾力
により、上記揺動部材18の動きよりも少しだけ遅れ
て、その先端部が上記受ブロック37に衝合するまで、
シリンダ筒39から突出する。この様に、付勢ばね41
の弾力に基づいてシリンダ筒39からプランジャ38を
押し出す際には、ダンパ装置34内の逆止弁45が開く
為、ピストン40並びにプランジャ38の変位は比較的
迅速に行われ、極く短時間の後に、このプランジャ38
の先端が上記受ブロック37に衝合する。 【0021】反対にタイミングベルト2の張力が増大す
ると、上記揺動部材18が捩りコイルばね28の弾力に
抗して、固定軸17を中心として図3の反時計方向に揺
動する傾向となる。この状態では、上記受ブロック37
が上記プランジャ38の先端に押し付けられる。この
為、上記揺動部材18を回動させる為には、このプラン
ジャ38及びピストン40を、付勢ばね41の弾力及び
ダンパ抵抗に抗して、シリンダ筒39内に押し込まなけ
ればならない。 【0022】この際、ダンパ装置34に内蔵された逆止
弁45を構成するボール43は、通油路42の開口部に
押し付けられ、ピストン40の両側を連通する通油路4
2は閉じられる。この為、ピストン40の下側に存在す
る粘性液体12は、ピストン40外周面とシリンダ筒3
9内周面との間のリーク隙間を通じてのみ流れる。そし
て、このリーク隙間を流れた粘性液体12が、上記ピス
トン40の上端縁部に形成した切り欠き49、49(図
6)を通じて上記ピストン40の上側に流れ込み、上記
ピストン40が下降する。従って、このピストン40並
びにプランジャ38の変位は緩徐にしか行われなくな
る。この結果、上記揺動部材18に支持されたプーリ5
の変位も、上記ダンパ装置34の作用により緩徐にしか
行われなくなり、上記タイミングベルト2はプーリ5に
より抑え付けられ、このタイミングベルト2の振動が成
長する事がなくなる。 【0023】上述の図3〜6に示した従来構造の場合に
は、プーリ5をタイミングベルト2に押圧する為の弾力
は専用の捩りコイルばね28により得ている。ダンパ装
置34に内蔵した付勢ばね41は、このダンパ装置34
を伸長させる役目しか持たない為、特に大きな弾力を必
要とせず、上記ダンパ装置34が大型化する事はない。
又、張力の設定値が異なる複数種類のオートテンショナ
に同一種類のダンパ装置34を使用できる為、部品製
作、部品管理の簡略化により、製作費の低廉化を図れ
る。 【0024】張力付与の為のばねをダンパ装置伸長用の
ばねから独立させる構造は、この他にも、特開昭58−
121344号公報、同61−294249〜50号公
報、同62−271910号公報、同62−27414
2〜4号公報、特開平2−89839号公報に記載され
ている様に従来から知られている。又、実開平1−10
0953号公報には、張力付与の為のばねをダンパ装置
伸長用のばねから独立させると共に、ダンパ装置を構成
する油室とリザーブ室とを抵抗の大きな流路により連通
させて、振動減衰効果を大きくする発明が記載されてい
る。 【0025】 【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者の
研究により、単に張力付与の為のばねをダンパ装置伸長
用のばねから独立させただけでは、タイミングベルト2
の振動を十分に防止できない事が分った。即ち、エンジ
ンの運転時にタイミングベルト2は、エンジンから伝わ
る振動の他、クランクシャフトから伝達される動力の変
動(大きさ及び速度)等により振動する。そして、上記
タイミングベルト2の張力が細かく変化する。即ち、エ
ンジンの運転時に上記タイミングベルト2の張力は、エ
ンジンの回転数に比例した周波数で、正弦波( sinカー
ブ)的に変化する。 【0026】優れたオートテンショナは、上記捩りコイ
ルばね28等の張力付与の為のばねによりタイミングベ
ルト2に付与する張力が適正であるだけでは足りず、上
記張力の変動による振動を十分に抑え付けられるもので
なければならない。これに対して、例えば図3〜6に示
した従来構造で単にダンパ装置34を(図1〜2に示し
た従来構造の第1例に比べて)小型化した場合、ダンパ
装置34の性能が不十分となる。より具体的には、上記
タイミングベルト2の一部でプーリ5により抑え付けら
れた部分の張力が急上昇した場合に、上記ダンパ装置3
4の全長が比較的簡単に縮み、上記プーリ5が比較的簡
単に(タイミングベルト2から退避する方向に)変位し
てしまう。この結果、上記タイミングベルト2の振動を
十分に抑える事ができず、このタイミングベルト2がば
たついてしまう。前記実開平1−100953号公報に
記載された発明の場合も、タイミングベルト2の張力が
急に低下した場合の問題に対応する為の構造であって、
上述の様に張力が急上昇した場合にタイミングベルト2
を十分に抑え付ける事を考慮したものではない。 【0027】本発明は、この様な事情に鑑みて発明した
ものであって、ダンパ装置を小型化した場合でも、この
ダンパ装置に十分なダンパ能力を持たせて、タイミング
ベルトの張力変動を最小限に抑える事ができるオートテ
ンショナを提供するものである。 【0028】 【課題を解決する為の手段】本発明のオートテンショナ
は、固定の部分に直接若しくはこの固定の部分に固定さ
れた固定部材を介して支持された第一軸と、この第一軸
を中心として揺動自在な揺動部材と、この揺動部材の一
部で上記第一軸と離隔した部分に設けられた、上記第一
軸と平行な第二軸と、この第二軸の周囲に回転自在に支
持されたプーリと、このプーリをタイミングベルトに向
け押圧する弾力を上記揺動部材に付与すべく、上記固定
の部分若しくは固定部材と上記揺動部材との間に設けら
れた張力付与ばねと、上記固定の部分若しくは固定部材
と上記揺動部材との間に設けられ、この揺動部材が上記
張力付与ばねの弾力に抗して変位する事に対する抵抗と
なるダンパ装置とを備える。 【0029】そして、このダンパ装置は、内部に粘性液
体を封入したシリンダ筒と、このシリンダ筒の内部に軸
方向に亙る変位自在に嵌装されたピストンと、このピス
トンとシリンダ筒との間に設けられ、このピストンを一
方向に付勢する付勢ばねと、この付勢ばねの弾力に基づ
く上記ピストンの変位に伴って、上記シリンダ筒からの
突出量を増すプランジャと、上記ピストンの軸方向両端
面同士を連通する通油路と、この通油路と直列に設けら
れ、上記ピストンが上記付勢ばねの弾力に基づいて変位
する場合にのみ開く逆止弁とを備えたものであり、且
つ、上記張力付与ばねは上記シリンダ筒外に設けられれ
いる。 【0030】更に、本発明のオートテンショナでは、上
記シリンダ筒の内径rmmと上記ピストンの外径dmmとの
差の半分である(r−d)/2で表されるリーク隙間の
厚さhmmを、それぞれが下記の式により求められるh1
とh2 との間で、且つ、0.002mm(2μm)以上に
規制している。 (m1 +B12 )d2x/dt2 +B2 {(3πνρLd
3 )/4h3 }dx/dt +(B31 +B42 )x=a
sin(2πft) 尚、この式中、m1 は、上記揺動部材及びこの揺動部材
と共に揺動する部材の揺動慣性質量の合計( kg )を、
2 は、上記ダンパ装置の伸縮に伴ってシリンダ筒内で
軸方向に変位する部材の慣性質量の合計( kg )を、ν
は、オートテンショナの使用状態での上記粘性液体の動
粘度(mm2/s )を、ρは、同じく使用状態での上記粘性
液体の密度(kg/mm3)を、Lは、上記シリンダ筒の内周
面と上記ピストンの外周面との間に存在する微小なリー
ク隙間の軸方向長さ(mm)を、K1 は、上記張力付与ば
ねのばね定数( kg/s2)を、K2 は、上記付勢ばねのば
ね定数( kg/s2)を、B1 、B2 、B4 は、上記揺動部
材に関する、上記プーリと上記ダンパ装置との間での変
位運動方向係数を、B3 は、上記揺動部材に関する、上
記プーリと上記張力付与ばねとの間での変位運動方向係
数を、aは、使用状態での上記タイミングベルトの張力
変動に伴う上記プーリへの入力荷重の変動の片振幅(kg
・mm/s2)を、fは、使用状態で最も有害となる、上記
タイミングベルトの振動の周波数(Hz)を、tは時間
(s )を、xは、上記タイミングベルトの振動に伴う上
記プーリの変位(mm)を、dx/dt は、上記タイミングベ
ルトの張力変動に伴うプーリの変位速度(mm/s)を、d2
x/dt2 は、上記タイミングベルトの張力変動に伴うプー
リの変位加速度(mm/s2 )を、xp-p は、上記タイミン
グベルトの張力変動に伴うプーリの変位幅、言い換えれ
ば、タイミングベルトの一部でプーリにより抑え付けら
れた部分が一方向に最も振れた状態での位置と他方向に
最も振れた状態での位置との差である、タイミングベル
トの振幅(mm)を、それぞれ表している。尚、エンジン
の運転時にオートテンショナの温度は、季節にもよる
が、80〜120℃程度に上昇する。従って、粘性液体
の動粘度νや密度ρの様に、温度変化の影響を無視でき
ない値は、使用状態の温度(例えば100℃)での値を
用いる。熱膨張に伴う寸法変化は実際上無視できる。仮
に無視できない場合、各寸法は総て使用状態での寸法と
する。又、使用状態で最も有害となるタイミングベルト
の振動の周波数は、エンジンの気筒数や排気量、ガソリ
ンエンジンであるかディーゼルエンジンであるか等で多
少異なるが、一般的な4気筒エンジンの場合にはガソリ
ンエンジン、ディーゼルエンジン共、50Hzを使用す
る。これは、回転数が1500rpm時にタイミングベ
ルトの振動が最も大きくなり、しかもその二次振動が最
も有害となる為である(1500÷60×2=50(H
z))。エンジンの回転数がこれよりも低い場合には振
動エネルギが小さくなり、反対に高い場合にはエンジン
の回転が滑になって振動が少なくなる。又、上記h1
は、xp-p /2(片振幅)が0.7mmとなる上記リーク
隙間の厚さ( mm )であり、h2 は、同じくxp-p /2
が0.05mmとなる上記リーク隙間の厚さ( mm )であ
る。 【0031】 【作用】上述の様に構成される本発明のオートテンショ
ナの場合、プーリをタイミングベルトに押し付ける為の
弾力は、ダンパ装置の外に設けた張力付与ばねにより得
る。この為、ダンパ装置に内蔵する付勢ばねの弾力は、
このダンパ装置を伸長させられるだけのものであれば足
りる。従って、付勢ばねは小さなもので済み、ダンパ装
置の小型化を図れ、オートテンショナを限られた空間に
設置可能となる。 【0032】又、タイミングベルトが弛んだ場合には上
記プーリが、張力付与ばねの弾力により直ちに上記タイ
ミングベルトに追従し、このタイミングベルトの張力が
低下する事を防止する。従って、タイミングベルトの内
周面に形成した歯と、駆動、従動、或はガイドプーリの
外周面に形成した歯とがずれる、所謂歯飛びが発生する
のを確実に防止できる。 【0033】又、ダンパ装置を構成するシリンダ筒の内
周面とピストンの外周面との間に存在する円筒状のリー
ク隙間の厚さhを規制する事で、タイミングベルトの振
動に伴うプーリの変位幅xp-p を、0.1〜1.4mmの
範囲に規制できる。変位幅x p-p を1.4mm以下にする
事で、上記プーリにより抑え付けられたタイミングベル
トの振れを小さく抑える事ができる。この結果、タイミ
ングベルトによる駆動部分に異常振動が発生したり、或
は歯飛びが発生したりする事を有効に防止できる。即
ち、本発明者の行った実験によると、一般的な乗用車用
エンジン(1000〜3000ccクラス)に組み込まれ
たタイミングベルトの場合には、上記変位幅xp-p
1.4mm以内に抑えれば、タイミングベルトの振動に基
づく不具合(振動、騒音、歯飛び等の発生)を確実に防
止できる事が分った。上記リーク隙間の厚さhをh1
下に抑える(h<h1 )事で、上記変位幅xp-p を1.
4mm以下に規制できる。 【0034】又、上記変位幅xp-p を0.1mm以上確保
するので、タイミングベルトの張力が急上昇してプーリ
が強く押された場合に、このタイミングベルトの張力を
急上昇させる為のエネルギを或る程度吸収できる。この
結果、タイミングベルトの耐久性を十分に確保できる。
即ち、タイミングベルトの張力が上昇した場合にも、プ
ーリが全く退避方向に変位しないと、上記タイミングベ
ルトの内周面に形成した歯の一部で、駆動プーリや従動
プーリの外周面の歯と噛合した部分に過大な応力が加わ
る。この結果、上記タイミングベルトの内周面の歯が破
損し易くなる。これに対して本発明の場合には、上記リ
ーク隙間の厚さhをh2 以上にする(h>h2 )事で、
上記変位幅xp-p を0.1mm以上確保できる為、タイミ
ングベルトの耐久性を確保できる。 【0035】更に、上記リーク隙間の厚さhを0.00
2mm(2μm)以上確保している為、ダンパ装置を組み
立てるべく、上記シリンダ筒内にピストンを挿入する作
業を、工場レベルで十分に行える。逆に言えば、h2
h<h1 を満たした場合でも、h<0.002mmである
と、ダンパ装置の組立作業が困難になる。即ち、本発明
のオートテンショナに組み込むダンパ装置の場合には、
上記リーク隙間の厚さhを所望値に規制する必要があ
る。この所望値を加工精度で実現する事は難しい場合も
あり、例えば予め内径rを測定したシリンダ筒と、やは
り予め外径dを測定したピストンとを、所望のリーク隙
間の厚さhを実現すべく(h=(r−d)/2が所望値
となるべく)選択嵌合させる事も考えられる。しかしな
がら、この様な選択嵌合の手法を採用する場合でも、h
>0.002mmを確保しないと、上記シリンダ筒とピス
トンとを組み合わせる事は難しい。そこで、上記リーク
隙間の厚さhを0.002mm以上確保する事とした。 【0036】 【実施例】次に、本発明の実施例を説明しつつ、本発明
を完成させるまでの過程を説明する。本発明者は、図3
〜5に示す様なオートテンショナに組み込まれる、図6
に示す様なダンパ装置34の振動減衰能力を知る為、図
7に略示する様な実験装置を使用して、数多くのダンパ
装置の振動減衰能力を測定した。この実験装置では、プ
ーリ50a、50bに掛け渡したタイミングベルト2a
をばね51により緊張している。更に、ばね52により
揺動部材53を介して上記プーリ50aに所定の弾力を
付与し、上記ベルト2aに所定の張力を付与している。
そして、このタイミングベルト2aの張力を加振機54
により正弦波的に変化させると同時に、この張力の変動
をロードセル55により、上記プーリ50aの変位を非
接触式の変位センサ56により、それぞれ測定する。本
発明者は、この様な実験装置により、オートテンショナ
を構成するプーリ50aの変位特性、延てはタイミング
ベルト2aのばたつきにダンパ装置34の小型化が及ぼ
す影響に就いて検証した。 【0037】この結果第一に、シリンダ筒39(図6)
の内周面とピストン40(図6)の外周面との間に存在
するリーク隙間が小さいダンパ装置34の場合には、ダ
ンパ性能が良好である事が確認された。例えば、シリン
ダ筒39の内径rmmとピストン40の外径dmmとの差の
半分として(r−d)/2で表される、上記リーク隙間
の厚さhが2.5〜3.5μm程度のダンパ装置34
は、非常に良好なダンパ性能を発揮した。そこで本発明
者は、ダンパ性能の向上が上記リーク隙間の減少による
ものか否かを確認する為、上記ダンパ装置34を加工し
て上記リーク隙間の厚さhのみを大きくしたダンパ装置
34を、上記図7に示す実験装置に設置して実験を行っ
たところ、ダンパ性能が劣化する事が確認された。 【0038】この結果、リーク隙間の厚さhの減少がダ
ンパ性能の向上に役立つ事を確認できたが、適正なリー
ク隙間の厚さhはダンパ装置34の大きさにより異な
り、単にリーク隙間の厚さhを絶対値で規制しただけで
は、十分に満足できるダンパ性能を得られない事も、本
発明者の実験により分った。即ち、本発明者は、上記リ
ーク隙間の厚さhと上記ピストン40の外径dとを種々
変えて、前述した図7の実験装置によりプーリ5の変位
を測定する実験を行ったところ、外径dに応じて十分な
ダンパ性能を得られるリーク隙間の厚さh、特にその上
限値が異なる事が分った。この様に変位を測定する実験
の条件のうち、上記外径d及び厚さh以外の条件は、次
の通りである。 【0039】 タイミングベルト2aの張力変動(振動) : ±30kgf の正弦波 タイミングベルト2aの張力変動の周波数 : 50Hz 粘性液体12(図6)の動粘度 : 32cSt 尚、粘性液体12の動粘度は、オートテンショナ用ダン
パ装置に封入する粘性液体として一般的に使用されるオ
イルの、オートテンショナの一般的な使用状態温度であ
る100℃での動粘度に合わせた。 【0040】第一の測定実験は、ピストン40の外径d
を11.4mmとし、シリンダ筒39の内周面と上記ピス
トン40の外周面との間に存在する微小なリーク隙間の
軸方向長さL(ピストン40の長さとほぼ一致する)を
10mmとし、シリンダ筒39の内径rとピストンの外径
dとの差の半分として(r−d)/2で表される、上記
リーク隙間の厚さhを変える事で、この厚さhがダンパ
装置34の性能に及ぼす影響に就いて測定した。ダンパ
装置34の性能は、タイミングベルト2の張力変動に伴
うプーリ5の変位幅xp-p により判定し、この変位幅x
p-p の半分である片振幅xp-p /2を、上記厚さhと共
に次の表1と図8とに示す。 【0041】 【表1】 【0042】又、この実験の過程で、上記片振幅xp-p
/2が0.7mmを越えた場合(変位幅xp-p が1.4mm
を越えた場合)には、タイミングベルト2の振動が好ま
しくない程度に大きい事が分った。この前提で、上記表
1及び図8の記載を見ると、ピストン40の外径dが1
1.4mmである、上記ダンパ装置34の性能は、リーク
隙間の厚さhが14μmまでは十分に良好であるが、こ
の厚さhが14μmから16μmに増加するだけで、急
激に性能が低下する事が分る。尚、図8(後述する図9
〜10も同様)中、○×は上記片振幅xp-p /2の実測
値を示しているが、このうちの○は十分な振動防止効果
を得られたもの(片振幅が0.7mm以下だったもの)、
即ち本発明の実施例となるものを、×は振動防止効果が
不十分であったもの(片振幅が0.7mmを越えたも
の)、即ち本発明の技術的範囲から外れた比較例となる
ものを、それぞれ表している。 【0043】第二の測定実験は、ピストン40の外径d
を8.0mmとし、その他の条件は上記第一の測定実験と
同じにして、プーリ5の片振幅xp-p /2を測定した。
この結果を、リーク隙間の厚さhと共に、次の表2と図
9とに示す。 【0044】 【表2】 【0045】この表2及び図9の記載から明らかな通
り、ピストン40の外径dが8.0mmであるダンパ装置
34の性能は、リーク隙間の厚さhが9μmまでは十分
に良好であるが、この厚さhが9μmから11μmに増
加する過程で、実用性を損なう程度に性能が低下する事
が分った。 【0046】第三の測定実験は、ピストン40の外径d
を13.0mmとし、その他の条件は上記第一、第二の測
定実験と同じにして、プーリ5の片振幅xp-p /2を測
定した。この結果を、リーク隙間の厚さhと共に、次の
表3と図10とに示す。 【0047】 【表3】 【0048】この表3及び図10の記載から明らかな通
り、ピストン40の外径dが13.0mmであるダンパ装
置34の性能は、リーク隙間の厚さhが14μmまでは
十分に良好であるが、この厚さhが14μmから18μ
mに増加する過程で、急激に性能が低下する事が分っ
た。 【0049】これら一連の測定実験から明らかな通り、
ピストン40の外径dに応じて、十分なダンパ性能を得
られるリーク隙間の厚さh、特にその上限値が異なる。
そこで、ダンパ装置34の大きさが異なった場合にも十
分な性能を得られる技術の実現が必要となった。この様
な事情に鑑みて本発明者は、次の様な過程で、本発明を
完成させた。 【0050】先ず、タイミングベルト2の変位幅xp-p
の許容値として0.1〜1.4mmを設定した。即ち、前
記片振幅xp-p /2を0.05〜0.7mm(0.05mm
≦(xp-p /2)≦0.7mm)とした。このうちの上限
値(xp-p /2=0.7mm)は、前述した各測定実験の
際、片振幅xp-p /2が0.7mmを越えた場合にタイミ
ングベルト2の振動が好ましくない程度に大きくなった
事に基づく。 【0051】又、下限値は、タイミングベルト2の内周
面に形成した歯に無理な応力が加わらない様にすべく規
制する。即ち、タイミングベルト2の張力が急上昇して
プーリ5が強く押された場合に、このプーリ5が全く動
かないと、このタイミングベルト2の張力を急上昇させ
る方向(引っ張り方向)に作用するエネルギを吸収でき
ない。この結果、タイミングベルト2の耐久性を十分に
確保できなくなる。即ち、タイミングベルト2の張力が
急上昇した場合に、プーリ5が全く退避方向に変位しな
いと、上記タイミングベルト2の内周面に形成した歯の
一部で、駆動プーリ1や従動プーリ3、3a(図1)の
外周面の歯と噛合した部分に過大な応力が加わる。この
結果、上記タイミングベルト2の内周面の歯が破損し易
くなる。この様な不都合を解消する為には、上記片振幅
p-p /2を0.05mm以上確保して、上記エネルギを
或る程度吸収させる必要がある。片振幅xp-p /2をこ
の程度確保しても、歯飛びが発生する可能性はない。 【0052】そこで、これらを合わせて、0.05mm<
(xp-p /2)<0.7mmが、性能が良好なオートテン
ショナを構成するダンパ装置の必要条件であるとした。
そこで、この条件から前記リーク隙間の厚さhを求める
べく、図11に示した振動モデルを考えた。この図11
は、タイミングベルト2とオートテンショナとの係合部
の模式図である。m1 は揺動部材18及びこの揺動部材
18と共に揺動する部材の揺動慣性質量(kg)を、m2
はダンパ装置34の伸縮に伴ってシリンダ筒39内で軸
方向に変位する部材の慣性質量(kg)の合計を、K1
プーリ5をタイミングベルト2に押圧する為の、(捩り
コイルばね28(図3〜5)等の)張力付与ばね57の
ばね定数( kg/s2)を、K2 はダンパ装置34を伸長さ
せる為の付勢ばね41のばね定数( kg/s2)を、それぞ
れ表している。 【0053】そして、次に示す振動基礎方程式に、図1
1に示した振動系を当て嵌めつつ、ダンパ装置34の大
きさが異なった場合にも十分な性能を得られる技術を実
現させた。本発明の基礎となる振動基礎方程式は、 m(d2x/dt2 )+C(dx/dt )+Kx=a sin(2πf
t) で表される。この振動基礎方程式中、mは慣性質量(k
g)を、Cは粘性減衰係数(kg/s)を、Kはばね定数(
kg/s2)を、aは入力荷重の片振幅(kg・mm/s2)を、f
は入力荷重の周波数(Hz)を、tは時間(s)を、xは
変位(mm)を、dx/dt は変位速度(mm/s)を、d2x/dt2
は変位加速度(mm/s2 )を、それぞれ表している。そし
て、この様な振動基礎方程式の各項に、次の様に実際の
オートテンショナの構成要件を代入して、実際のオート
テンショナに適用して有効な式を得た。 【0054】先ず、第1項中の慣性質量mに関して、オ
ートテンショナの場合には、次のに示した2通りの
ものが存在する。 揺動部材18及びこの揺動部材18と共に揺動する
部材の揺動慣性質量m1( kg ) このm1 には、揺動部材18自体の慣性質量の他、この
揺動部材18の先端部に枢支されたプーリ5及びこのプ
ーリ5を支持する為の転がり軸受等の慣性質量も含まれ
る。即ち、このm1 は、揺動部材18と共に揺動変位す
る部材の慣性質量の合計値である。尚、この揺動慣性質
量m1 は、上記プーリ5の揺動変位方向の慣性質量であ
る。従って、上記プーリ5及び転がり軸受等、プーリ5
の回転中心の周囲に均等に存在する部材の質量m5 はそ
のまま加える。これに対して上記揺動部材18の質量m
18は次の式により求め、この質量m18を、上記プーリ5
及び転がり軸受等の質量m5 に加えて、上記揺動慣性質
量m1 (m1 =m5 +m18)とする。 m18=M・LG /LP この式中、Mは揺動部材18の質量、LG は揺動部材1
8の揺動中心からこの揺動部材18の重心までの距離、
P はプーリ5の回転中心と揺動部材18の揺動中心と
の距離(第一軸である固定軸17の中心と第二軸として
機能するボルト24の中心との距離、次述する図12参
照)を、それぞれ表している。 ダンパ装置34の伸縮に伴ってシリンダ筒39内で
軸方向に変位する部材の慣性質量の合計m2 ( kg ) 即ち、このm2 は、ピストン40、プランジャ38、逆
止弁45の構成各部材等、シリンダ筒39内で軸方向に
変位する部材の慣性質量の合計値である。 【0055】これら両慣性質量m1 、m2 の和が、前記
振動基礎方程式の左辺第1項の質量mになる。但し、揺
動部材18及びこの揺動部材18と共に揺動する部材の
揺動慣性質量m1 は、そのまま加える事ができるのに対
して、シリンダ筒39内で軸方向に変位する部材の慣性
質量の合計m2 は、上記ダンパ装置34の動きが揺動部
材18に伝達される割合を考慮した係数を掛ける必要が
ある。即ち、図12に示す様に、プーリ5の回転中心と
揺動部材18の揺動中心との距離(上述の様に、固定軸
17の中心とボルト24の中心との距離)をLP とし、
揺動部材18の揺動中心とダンパ装置34のプランジャ
38がこの揺動部材18を押圧する点との距離をLD
した場合に、上記慣性質量m2 は梃子の原理から明らか
な通り、上記揺動部材18の揺動に関して、LD /LP
の割合で影響を及ぼす。そこで、LD /LP =B1 なる
係数を、上記シリンダ筒39内で軸方向に変位する部材
の慣性質量の合計値m2 に掛けて、上記揺動慣性質量m
1 に加える。これらから明らかな通り、前記した振動基
礎方程式の左辺第1項の質量mは、実際のオートテンシ
ョナに適用する場合に、 m=(m1 +B12 ) で置換される。 【0056】次に、前記振動基礎方程式の左辺第2項の
粘性減衰係数C(kg/s)に就いて説明する。この粘性減
衰係数Cは、ダンパ装置34がその全長を縮める事に対
する抵抗となる程度、即ち、次述するリーク隙間58
(図13参照)の絞り抵抗を表すもので、次式で求めら
れる。 C=(3πνρLd3 )/4h3 この式を構成する符号のうち、寸法に関するものに就い
て、ダンパ装置34の内部を模式的に示した図13に示
す。尚、上記式により上記粘性減衰係数Cを求める前提
として、図13に示す様に、シリンダ筒39とピストン
40とが同心に位置し、これらシリンダ筒39の内周面
とピストン40の外周面との間に、その厚さhが全周に
亙って変化する事のない、円筒形のリーク隙間58が存
在するものとする。従って上記厚さhは、上記シリンダ
筒39の内径rと上記ピストン40の外径dとの差の半
分である、(r−d)/2で表される。非同心の場合に
は、偏心の程度に応じて所定の係数が掛け合わされ、上
記Cの値が小さくなるが、ピストン40をその軸方向に
傾斜する事なく押圧すべく、好ましい設計を行えば、非
同心となる事によるCの値の低下は、事実上無視でき
る。 【0057】上記リーク隙間58の厚さh(mm)の他、
上記式を構成する符号は、それぞれ次のものを表してい
る。 ν : 粘性液体12の動粘度(mm2/s ) ρ : 粘性液体12の密度(kg/mm3) L : 上記リーク隙間58の軸方向長さ(mm) d : 上記ピストン40の外径(mm) 【0058】上述の様にして求められる粘性減衰係数C
を前記振動基礎方程式に代入するに就いては、やはり上
記ダンパ装置34の動きが揺動部材18に伝達される割
合を考慮した係数を掛ける必要がある。即ち、図12に
示す様に、プーリ5の回転中心と揺動部材18の揺動中
心との距離(第一軸である固定軸17の中心と第二軸で
あるボルト24の中心との距離)をLP とし、揺動部材
18の揺動中心とダンパ装置34のプランジャ38がこ
の揺動部材18を押圧する点との距離をLD とした場合
に、上記ダンパ装置34による抵抗は梃子の原理から明
らかな通り、上記揺動部材18の揺動に関して、LD
P の割合で影響を及ぼす。そこで、L D /LP =B2
(=B1 )なる係数を上記粘性減衰係数Cを表わす式に
掛ける必要がある。従って、実際のオートテンショナを
考える場合に、前記振動基礎方程式中の粘性減衰係数C
は、 C=B2 {(3πνρLd3 )/4h3 } となる。 【0059】次に、前記振動基礎方程式の左辺第3項の
ばね定数Kに就いて説明する。プーリ5をタイミングベ
ルト2に押圧する為のばねとしては、捩りコイルばね2
8(図3〜5参照)等の張力付与ばね57(図11参
照)と、ダンパ装置34を伸長させる為の付勢ばね41
との二つのばねが存在する。このうち、張力付与ばね5
7のばね定数をK1 ( kg/s2)とし、上記付勢ばね41
のばね定数をK2 ( kg/s2)とする。これら各ばね定数
1 、K2 の和が、前記振動基礎方程式の左辺第3項の
Kに相当するが、上記各ばね28、57の弾力がそのま
まプーリ5をタイミングベルト2に押圧する弾力にはな
らない。 【0060】即ち、揺動部材18の揺動中心(第一軸)
と上記各ばね28、57の作用点及びプーリ5の回転中
心(第二軸)との距離に応じて上記各ばね定数K1 、K
2 に、梃子の原理により定まる係数を掛けた状態で、こ
れら両定数K1 、K2 を加えなければならない。例えば
図14に示す様に、上記揺動中心から張力付与ばね57
の作用点までの距離をLK1とし、上記揺動中心と上記付
勢ばね41の作用点(ダンパ装置34のプランジャ38
と揺動部材18との当接点)との距離をLD とし、プー
リ5の回転中心と揺動部材18の揺動中心との距離(第
一軸である固定軸17の中心と第二軸であるボルト24
の中心との距離)をLP とした場合に、上記張力付与ば
ね57のばね定数K1 にはLK1/LP なる係数B3 を掛
け合わせ、上記付勢ばね41のばね定数K2 にはLD
P なる係数B4 (=B1 =B2)を掛け合わせた上で
合計する。従って、実際のオートテンショナを考える場
合に、前記振動基礎方程式中のばね定数Kは、 K=B31 +B42 となる。尚、上記各ばね57、41のばね定数K1 、K
2 は、揺動部材18の揺動中心(第一軸である固定軸1
7)を中心とする円弧の接線方向に対する大きさで求め
る。ばねの弾力の作用方向が上記接線方向に対し角度θ
だけ傾斜していた場合には、上記各ばね定数K1 、K2
には、上記各係数B3 、B4 の他に cosθも合わせて掛
け合わせる。前記粘性減衰係数Cの場合も同様である。 【0061】次に、前記振動基礎方程式の右辺に就いて
説明する。この右辺は、タイミングベルト2の張力変動
を表している。前述の様に図7に示した実験装置による
測定時に上記タイミングベルト2aに付与する張力を、
加振機54により正弦波的に変化させた。従って、試験
時に於けるタイミングベルト2aの張力変動は、上記右
辺に記載された様に、 a sin(2πft) で表される。この張力変動を表す式中、aは使用状態で
の上記タイミングベルト2aの張力変動に伴うプーリ5
への入力荷重の変動の片振幅(kg・mm/s2)を、tは時
間(s)を、fは上記タイミングベルト2aの振動の周
波数(Hz)を、それぞれ表している。 【0062】以上により、前記した振動基礎方程式をオ
ートテンショナの解析に適用できる式に変えられる。即
ち、 m(d2x/dt2 )+C(dx/dt )+Kx=a sin(2πf
t) で表される振動基礎方程式に、 m=(m1 +B12 ) C=B2 {(3πνρLd3 )/4h3 } K=B31 +B42 を、それぞれ代入する事で、 (m1 +B12 )d2x/dt2 +B2 {(3πνρLd3 )/4h3 }dx/dt +(B31 +B42 )x=a sin(2πft) −−− (1) なる、オートテンショナの解析、即ちプーリ5の変位x
を求める為に使用可能な2階微分方程式を得られた。 【0063】そこで、本発明者は、この(1)式を利用
する事により、小型でしかも性能の良好なオートテンシ
ョナを得られるものと考え、この(1)式によりオート
テンショナを構成するダンパ装置の寸法を規制する事の
適否に就いて検証した。この検証は、前記表1〜3及び
図8〜10に記載した測定値に基づいて行った。尚、こ
の検証を行うに就いて、図14(図3〜5も同様)に示
す様なオートテンショナを用意した。又、表1〜3に示
す様に各種変化させたピストンの外径d及びリーク隙間
の厚さh以外の数値に就いては、実測により求め、或は
実験装置により設定した。これら実測値及び設定値を次
に示す。 【0064】実測値 m1 +B12 =0.3(kg) 実験に使用したオートテンショナの設定値 B2 =1 ν=32(cSt )=32(mm2/s ) ρ=0.98×10-6(kg/mm3) L=10(mm) B31 +B42 =4900(kg/s2 ) 実験装置による設定条件 a=2.94×105 (kg・mm/s2) f=50(Hz) 【0065】これらの条件を上記(1)式に代入し、こ
の(1)式をルンゲ・クッタ法を使用して、リーク隙間
の厚さhの変化に伴うプーリ5の変位xを求め、この変
位xより変位幅xP-P 、更には片振幅xp-p /2を求め
た。尚、ルンゲ・クッタ法に関しては、日本機械学会編
『機械工学便覧、基礎編』のA3−196〜197等に
記載されている。上記片振幅に関する計算値を前記図8
〜10に、それぞれ破線で示す。図8に示した破線は、
ピストン40の直径dが11.4mmの場合に於ける、上
記厚さhと片振幅xp-p /2との関係を、図9に示した
破線は同じくd=8.0mmの場合に於ける両者の関係
を、図10に示した破線は同じくd=13mmの場合に於
ける両者の関係を、それぞれ表している。これら図8〜
10に記載した破線と、同じく図8〜10に○×で記載
した実測値とを比較すれば明らかな通り、前記(1)式
による計算値は実測値に近似したものとなる。尚、符号
○に対応する寸法を有するダンパ装置34を組み込んだ
オートテンショナが本発明の実施例となり、符号×に対
応する寸法を有するダンパ装置34を組み込んだオート
テンショナが本発明の技術的範囲から外れた比較例とな
る事は、前述した通りである。 【0066】これらの事から、ダンパ装置34の大きさ
が異なった場合にも(1)式により、十分な性能を得ら
れるオートテンショナの実現が可能である事が分る。例
えば、前述した様に、タイミングベルト2の耐久性を確
保しつつ、このタイミングベルト2が有害な程振れる事
を防止する為には、上記片振幅xp-p /2を0.05〜
0.7mmの範囲に収めれば良い。そこで、この片振幅の
数値と上記外径dに関する3種類の数値(11.4mm、
8.0mm、13.0mm)とから、それぞれの外径dに関
する上記リーク隙間の厚さhの上限値及び下限値を、収
束計算により求めると、次の表4の様になる。この収束
計算の概要は次の通りである。先ず、前記(1)式に厚
さhとして適当な2通りの値を代入し、その結果得られ
た片振幅xp-p /2を判定する。そして、所定の片振幅
p-p /2に近づけるべく、一方のhの値を変える計算
を、所望の片振幅xp-p /2に極く近い値が得られるま
で、繰り返し行う。尚、この表4で、上記厚さhを表す
数値の単位はμmである。 【0067】 【表4】 【0068】例えば、ピストン40の外径が11.4mm
の場合には、上記厚さhを6.0μm以上にすれば、プ
ーリ5の片振幅を0.05mm以上確保して、タイミング
ベルト2の耐久性を確保でき、上記厚さhを14.5μ
m以下に抑えれば、プーリの片振幅を0.7mm以下に抑
えて、タイミングベルト2に有害な振れが生じない様に
できる事が分る。 【0069】本発明のオートテンショナの場合には、上
述の様にして求められた式により、ダンパ装置34を構
成するシリンダ筒39の内周面とピストン40の外周面
との間のリーク隙間58(図13)の厚さhを所定範囲
に規制するので、上記ダンパ装置34として、小型でし
かもダンパ性能が優れた装置を使用できる。この為に本
発明のオートテンショナは、小型でエンジンの限られた
スペースに設置容易であるにも拘らず、上記タイミング
ベルト2の振動防止効果が大きい。尚、本発明のオート
テンショナの特徴は、上述の様にダンパ装置34を構成
するシリンダ筒39の内周面とピストン40の外周面と
の間のリーク隙間58の厚さhを所定範囲に規制する点
にある。従って本発明は、実験に供した、前記図3〜5
に示した構造のオートテンショナに限らず、前記各公報
に記載された様な構造にも適用できる。次に、本発明が
適用可能である、出願済で未公開の構造に就いて説明す
る。 【0070】図15〜18は、この様に本発明が実施可
能な未公開先願の構造の第1例として、実願平5−29
569号に記載された構造を示している。尚、この図1
5〜18に示した構造の特徴は、構造を簡略化すべく、
前述の図3〜5に示した従来構造から固定部材14を省
略し、これに合わせてダンパ装置34a設置部分及びダ
ンパ装置34aの形状、構造を工夫した点にある。その
他の部分の構成及び作用は、上記図3〜5に示した従来
構造と同様であるから、同等部分に就いては同一符号を
付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、こ
の第1例の構造の特徴部分を中心に説明する。 【0071】揺動部材18は、その基端部(図15〜1
6の下端部)に形成した円筒部19に、第一軸であるボ
ルト21を挿通する事により、シリンダブロック前面等
の固定の部分59に、固定部材14(図3〜5)を介す
る事なく、直接枢支している。20は滑り軸受である。
そして、捩りコイルばね28の係止部30aを、上記固
定の部分59に形成した係止孔31aに係止している。
そして、この捩りコイルばね28により上記揺動部材1
8に、前記ボルト21を中心として、図15で時計方向
に回動しようとする弾力を付与している。尚、上記係止
部30aを固定の部分59に係止する場合、係止孔31
aに係止する他、係止溝や固定の部分59に設けたピン
等の係止片により係止しても良い。 【0072】又、前記揺動部材18に設けた揺動側腕片
35には凹部36aを形成し、この凹部36aにダンパ
装置34aを内嵌している。一方、上記固定の部分59
の一部で前記ボルト21から離れた位置には突片61を
設け、この突片61の端面に、上記ダンパ装置34aの
他端を対向させている。このダンパ装置34aの基本構
造は、前記図6に示した構造と同じである為、対応する
部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。但
し、本実施例に使用するダンパ装置34aは、図6に示
したダンパ装置34に比べてプランジャ38aの径を太
くしている。そして、上記ダンパ装置34aを構成する
シリンダ筒39を上記凹部36aに内嵌支持するのに、
上記プランジャ38a側を凹部36aの奥にして、軸方
向に亙る摺動自在に挿入している。そして、上記シリン
ダ筒39の底面部を、前記突片61に当接させている。
この為、揺動部材18の揺動に伴なってシリンダ筒39
の端部が、上記凹部36aから突出方向に変位する。上
述の様に構成される、図15〜18に示したオートテン
ショナの場合、固定部材14(図3〜5)を省略してい
る為、オートテンショナ全体を小型、軽量に構成でき
る。この結果、より狭い設置空間への取り付けが可能に
なる。 【0073】次に、図19〜20は本発明が実施可能な
未公開先願の構造の第2例として、特願平6−1355
95号に記載された構造を示している。尚、この図19
〜20に記載した構造の特徴は、オートテンショナを組
み込んだエンジンの設計の自由度を増大させるべく、捩
りコイルばね28の設置位置を揺動部材18との関係で
規制した点にある。その他の部分の構成及び作用は、前
述の図3〜5に示した従来構造と同様であるから、同等
部分には同一符号を付して重複する説明を省略し、以
下、この第2例の構造の特徴部分を中心に説明する。 【0074】オートテンショナを装着すべきシリンダブ
ロックの前面で、固定軸17から直径方向外方に、揺動
部材18の大きさ分以上外れた部分には、保持筒62を
固設している。この保持筒62は、上記固定軸17と平
行である。又、上記シリンダブロックの前面でこの保持
筒62から外れた部分には、係止ピン63を固設してい
る。この係止ピン63も、上記固定軸17と平行であ
る。尚、これら保持筒62及び係止ピン63は、上記シ
リンダブロックの前面に直接固設する他、これら保持筒
62及び係止ピン63を固設した取付板を上記前面に固
定する様にしても良い。 【0075】上記保持筒62の周囲には、捩りコイルば
ね28のコイル部29を、緩く外嵌している。この捩り
コイルばね28の一端部(図19の右下端部)には上記
保持筒62と平行な第一係止部64を、他端部(図19
の左部)にはく字形に折れ曲がった第二係止部65を、
それぞれ形成している。そして、このうちの第一係止部
64を揺動部材18に形成した係止孔66に挿入し、第
二係止部65を上記係止ピン63に係止している。この
状態で上記揺動部材18には、前記固定軸17を中心に
図19で時計方向に揺動する方向の弾力が付与される。
尚、上記係止孔66には、ステンレス鋼、銅等により造
られたスリーブ67を内嵌し、上記第一係止部64は、
このスリーブ67内に挿入している。これは、アルミニ
ウム合金製の揺動部材18に形成された係止孔66の内
周面が、ばね鋼製の第一係止部64により削られる事を
防止する為である。揺動部材18を鉄製とすれば、この
様なスリーブ67は省略しても良い。 【0076】上述の様に構成される第2例のオートテン
ショナの場合、上記捩りコイルばね28のコイル部29
を揺動部材18から、固定軸17の直径方向外方に外れ
た部分に設置している為、これら揺動部材18と捩りコ
イルばね28との組み合わせの自由度が増す。即ち、前
記図3〜5に示した従来構造並びに図15〜18に示し
た第1例の構造の様に、捩りコイルばね28のコイル部
29を固定軸17の周囲に設置する場合には、これら捩
りコイルばね28と揺動部材18との組み合わせ位置が
一元的に定まる。これに対して、コイル部29を揺動部
材18から外れた部分に設置すれば、これら捩りコイル
ばね28と揺動部材18との組み合わせ位置が各種存在
する事になる。この結果、より限られた空間への設置が
可能になる等、オートテンショナを組み込んだエンジン
の設計の自由度が増す。 【0077】次に、図21は、本発明が実施可能な未公
開先願の構造の第3例として、やはり特願平6−135
595号に記載された構造を示している。この第3例の
構造の場合には捩りコイルばね28のコイル部29を支
持する為の保持筒62を、固定軸17に関して、プーリ
5と反対側に設けている。又、揺動部材18の一部に切
り欠き68を形成し、この切り欠き68に、上記捩りコ
イルばね28の第一係止部64を係止している。又、受
ブロック37は、上記保持筒62及び係止ピン63と共
に取付基板69の前面に固定している。ストッパピン4
6は、この取付基板69と上記揺動部材18との間に掛
け渡される。その他の構成及び作用は、上述した第2例
と同様である。 【0078】次に、図22は、本発明が実施可能な未公
開先願の構造の第4例として、やはり特願平6−135
595号に記載された構造を示している。この第4例の
構造の場合には、シリンダブロック70の前面に固定し
た取付基板69の前面(図22の上面)に、固定軸17
と受ブロック37(図21参照)とを固設している。揺
動部材18はこのうちの固定軸17の先半部(図22の
上半部)に、滑り軸受を介して外嵌する事により枢支
し、ボルト21によりこの固定軸17からの抜け止めを
図られている。又、捩りコイルばね28のコイル部29
は、上記固定軸17の基半部を囲む、上記先半部よりも
大径となった取付基板69のボス部71に緩く外嵌して
いる。そして、この捩りコイルばね28の第一係止部6
4を上記揺動部材18に形成した係止孔に、第二係止部
65を上記取付基板69に固設した係止ピン63に、そ
れぞれ係止している。 【0079】この第4例の構造の場合には、上記捩りコ
イルばね28のコイル部29と揺動部材18とが上記固
定軸17の周囲に、軸方向(図22の上下方向。実際の
場合にはシリンダブロック70の前面に対し直角となる
水平方向。)にずれた状態で設置される。この為、上記
コイル部29が大径であっても、このコイル部29と揺
動部材18とが干渉しなくなる。この結果、前述した第
2例並びに上述した第3例と同様に、より限られた空間
への設置が可能になる等、オートテンショナを組み込ん
だエンジンの設計の自由度が増す。 【0080】次に、図23〜24は、本発明が実施可能
な未公開先願の構造の第5例として、特願平6−141
681号に記載された構造を示している。尚、この第5
例の構造の特徴は、ダンパ装置34を確実に機能させる
べく、このダンパ装置34の取付位置を伸縮方向に亙っ
て調節自在とした点にある。その他の部分の構成及び作
用は、前述の図3〜5に示した従来構造、並びに上述し
た第1〜4例の構造と同様であるから、同等部分には同
一符号を付して重複する説明を省略し、以下、この第5
例の特徴部分を中心に説明する。 【0081】固定軸17と係止ピン63とは、固定の部
分であるエンジンのシリンダブロックの前面に、直接或
は取付基板を介して、支持固定している。この第5例の
オートテンショナの場合には、図3〜5に示した従来構
造の場合の様な固定部材14を設けない代わりに、上記
係止ピン63とホルダ72とを設けている。張力付与の
為の捩りコイルばね28の両端に設けられた係止部30
a、30bのうち、一方の係止部30aは、上記係止ピ
ン63に係止している。 【0082】上記ホルダ72の中央部には、上方が開口
した保持部73が設けられており、この保持部73内
に、上記ダンパ装置34の下端部を嵌合支持している。
又、この保持部73の両側には1対の取付フランジ7
4、74を設け、各取付フランジ74、74に、上記ダ
ンパ装置34の伸縮方向である鉛直方向に長い長孔8
1、81を形成している。上記ホルダ72は、これら両
長孔81、81を挿通した取付ボルト75、75によ
り、前記固定の部分であるエンジンのシリンダブロック
の前面に、直接或は取付基板を介して、支持固定してい
る。 【0083】上述の様に構成される、図23に示した第
5例のオートテンショナをエンジンに組み付ける作業
は、次の様に行う。先ず、揺動部材18の先端に枢支し
たプーリ5にタイミングベルト2を掛け渡す。この際、
適当な治具を使用して上記揺動部材18を、捩りコイル
ばね28の弾力に抗して図23の反時計方向に変位させ
る。そして、上記タイミングベルト2をプーリ5の外周
面に引っ掛けた状態で、上記治具により揺動部材18に
加えていた力を取り除き、上記プーリ5を上記タイミン
グベルト2に、上記捩りコイルばね28の弾力により押
し付ける。この結果このタイミングベルト2には、製造
誤差等によるタイミングベルト2の長さ寸法の違いに関
係なく、捩りコイルばね28の弾力に応じた張力が付与
される。尚、上記捩りコイルばね28の一端に形成した
係止部30aを係止ピン63に係止せず、この捩りコイ
ルばね28による弾力を上記揺動部材18に付与しない
状態で上記ベルト2をプーリ5に引っ掛けた後、上記係
止部30aを上記係止ピン63に係止して、タイミング
ベルト2に上記張力を付与する事もできる。 【0084】一方、上記ダンパ装置34の下端部を嵌合
したホルダ72を、取付ボルト75、75により、上記
揺動部材18の揺動側腕片35の下方に取り付ける。こ
の際、上記ダンパ装置34は、図24に示す様なストッ
パ部材76により、その全長を最も縮めた状態にしてお
く。このストッパ部材76は、十分な剛性を有する金属
板の上下両端部を同方向に直角に折り曲げて上板77と
下板78とし、上板77に切り欠き79を形成して成
る。このストッパ部材76の使用時、切り欠き79を上
記ダンパ装置34を構成するプランジャ38の頸部80
に係合させると同時に、上記下板78を上記ホルダ72
の下面に当接させる。この状態では、上記ダンパ装置3
4の全長が最も縮まった状態のままに保持される。 【0085】そこで、上記捩りコイルばね28の弾力に
より上記プーリ5をタイミングベルト2に押圧し、ダン
パ装置34の全長を縮めた状態のまま、上記ホルダ72
の取付位置を調節して、上記プランジャ35の上端部を
上記揺動側腕片35に支持した受ブロック37の下面に
当接させる。この際、前記取付ボルト75、75は未だ
弛めた状態のままとしておく。従って上記ホルダ72及
びダンパ装置34の上下位置は、取付ボルト75、75
が長孔81、81に沿って変位自在な分だけ調節自在で
あり、上記プランジャ35の上端部と受ブロック66の
下面とを確実に当接させる事ができる。 【0086】そして、この様にプランジャ35の上端部
と受ブロック37の下面とを当接させた状態のまま、上
記取付ボルト75、75を緊締し、上記ホルダ72をシ
リンダブロックの前面に固定する。上記ストッパ部材7
6は、この様に取付ボルト75、75を緊締した後、取
り外す。ストッパ部材76を取り外す事で上記ダンパ装
置34のプランジャ38は、付勢ばね41(図6)の弾
力により上昇させられる。そしてこのプランジャ38の
上端は、上記付勢ばね41の弾力により、上記受ブロッ
ク37の下面に押し付けられる。 【0087】これらプランジャ38の上端と受ブロック
37の下面とは、上述の様に、プーリ5がタイミングベ
ルト2に押し付けられた状態で突き当てられている。従
って、上記ストッパ部材76を取り外し、ダンパ装置3
4を伸長傾向とする事で、このダンパ装置34が、揺動
部材18に設けた受ブロック37と固定の部分であるシ
リンダブロック前面に支持固定されたホルダ72との間
で確実に突っ張る。 【0088】次に、図25は、本発明が実施可能な未公
開先願の構造の第6例として、やはり特願平6−141
681号に記載された構造を示している。この第6例の
構造の場合には、揺動部材18にホルダ72を、左右1
対の長孔81、81に挿通した取付ボルト75、75に
より固定している。受ブロック37は、シリンダブロッ
ク前面側に固定している。その他の構成並びに作用は、
上述の第5例と同様である。 【0089】尚、前記図3〜5に示した従来構造、並び
に上記各例の場合には、回転しない固定軸17に揺動部
材18の円筒部19を外嵌し、この円筒部19の回動に
伴って上記揺動部材18が揺動する様にしているが、こ
れとは逆の構造を採用する事もできる。即ち、上記揺動
部材18の側に軸を固定し、固定の部分若しくは固定部
材14に円筒部を固定して、軸の回動に伴って上記揺動
部材18が揺動する様に構成しても良い。 【0090】 【発明の効果】本発明のオートテンショナは、以上に述
べた通り構成され作用する為、十分なダンパ性能を確保
して、タイミングベルトの振動防止を有効に図れる。
又、タイミングベルトの耐久性も十分に確保できる。し
かも、小型に構成できて、エンジンのシリンダブロック
の限られたスペースに設置可能になる為、エンジン設計
の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】 【図1】従来の第1例のオートテンショナを付設したエ
ンジンのタイミングベルト駆動装置を示す正面図。 【図2】図1のA部を、一部を切断した状態で示す拡大
図。 【図3】従来のオートテンショナの第2例を示す正面
図。 【図4】同部分切断側面図。 【図5】同分解斜視図。 【図6】第2例の構造に組み込まれたダンパ装置の断面
図。 【図7】オートテンショナの振動防止性能を試験する為
の実験装置を示す略正面図。 【図8】タイミングベルトの振れの片振幅とリーク隙間
との関係の第1例を示す線図。 【図9】同第2例を示す線図。 【図10】同第3例を示す線図。 【図11】タイミングベルトとオートテンショナとの振
動モデルを示す図。 【図12】ダンパ装置と揺動部材とに関する変位運動方
向係数を説明する為の、オートテンショナの部分切断正
面図。 【図13】粘性減衰係数を説明する為の、シリンダ筒と
ピストンとの嵌合部を示す略断面図。 【図14】張力付与ばねと揺動部材とに関する変位運動
方向係数を説明する為の、オートテンショナの部分切断
正面図。 【図15】本発明が実施可能な未公開先願の構造の第1
例を示す、オートテンショナの正面図。 【図16】同じく分解斜視図。 【図17】第1例に組み込まれたダンパ装置の収縮状態
を示す断面図。 【図18】同じく伸長状態を示す断面図。 【図19】本発明が実施可能な未公開先願の構造の第2
例を示す、オートテンショナの正面図。 【図20】同じく部分切断側面図。 【図21】本発明が実施可能な未公開先願の構造の第3
例を示す、オートテンショナの正面図。 【図22】同第4例を示す、オートテンショナの側面
図。 【図23】同第5例を示す、オートテンショナの正面
図。 【図24】ストッパ部材の斜視図。 【図25】本発明が実施可能な未公開先願の構造の第6
例を示す、オートテンショナの正面図。 【符号の説明】 1 駆動プーリ 2、2a タイミングベルト 3、3a 従動プーリ 4 オートテンショナ 5 プーリ 6 揺動部材 7 枢軸 8 受部 9 ダンパ装置 10 シリンダ 11 圧縮ばね 12 粘性液体 13 逆止弁 14 固定部材 15 取付孔 16 円孔 17 固定軸 18 揺動部材 19 円筒部 20 滑り軸受 21 ボルト 22 凸部 23 転がり軸受 24 ボルト 25 内輪 26 座板 27 ナット 28 捩りコイルばね 29 コイル部 30a、30b 係止部 31a、31b 係止孔 32 スリーブ 33 固定側腕片 34、34a ダンパ装置 35 揺動側腕片 36、36a 凹部 37 受ブロック 38、38a プランジャ 39 シリンダ筒 40 ピストン 41 付勢ばね 42 通油路 43 ボール 44 圧縮ばね 45 逆止弁 46 ストッパピン 47、48 小孔 49 切り欠き 50a、50b プーリ 51、52 ばね 53 揺動部材 54 加振機 55 ロードセル 56 変位センサ 57 張力付与ばね 58 リーク隙間 59 固定の部分 61 突片 62 保持筒 63 係止ピン 64 第一係止部 65 第二係止部 66 係止孔 67 スリーブ 68 切り欠き 69 取付基板 70 シリンダブロック 71 ボス部 72 ホルダ 73 保持部 74 取付フランジ 75 取付ボルト 76 ストッパ部材 77 上板 78 下板 79 切り欠き 80 頸部 81 長孔
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成14年12月24日(2002.12.
24) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】発明の名称 【補正方法】変更 【補正内容】 【発明の名称】 オートテンショナの設計方法 【手続補正2】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】特許請求の範囲 【補正方法】変更 【補正内容】 【特許請求の範囲】 【請求項1】 固定の部分に直接若しくはこの固定の部
分に固定された固定部材を介して支持された第一軸と、
この第一軸を中心として揺動自在な揺動部材と、この揺
動部材の一部で上記第一軸と離隔した部分に設けられ
た、上記第一軸と平行な第二軸と、この第二軸の周囲に
回転自在に支持されたプーリと、このプーリをタイミン
グベルトに向け押圧する弾力を上記揺動部材に付与すべ
く、上記固定の部分若しくは固定部材と上記揺動部材と
の間に設けられた張力付与ばねと、上記固定の部分若し
くは固定部材と上記揺動部材との間に設けられ、この揺
動部材が上記張力付与ばねの弾力に抗して変位する事に
対する抵抗となるダンパ装置とを備え、 このダンパ装置は、内部に粘性液体を封入したシリンダ
筒と、このシリンダ筒の内部に軸方向に亙る変位自在に
嵌装されたピストンと、このピストンとシリンダ筒との
間に設けられ、このピストンを一方向に付勢する付勢ば
ねと、この付勢ばねの弾力に基づく上記ピストンの変位
に伴って、上記シリンダ筒からの突出量を増すプランジ
ャと、上記ピストンの軸方向両端面同士を連通する通油
路と、この通油路と直列に設けられ、上記ピストンが上
記付勢ばねの弾力に基づいて変位する場合にのみ開く逆
止弁とを備えたものであり、且つ、上記張力付与ばねは
上記シリンダ筒外に設けられているオートテンショナ
設計する、オートテンショナの設計方法であって、 上記揺動部材及びこの揺動部材と共に揺動する部分の揺
動慣性質量の合計をm 1 kgとし、 上記ダンパ装置の伸縮に伴ってシリンダ筒内で軸方向に
変位する部材の慣性質量の合計をm2 kgとし、 オートテンショナの使用状態での上記粘性液体の動粘度
をνmm2/s とし、 同じく使用状態での上記粘性液体の密度をρkg/mm3
し、 上記シリンダ筒の内周面と上記ピストンの外周面との間
に存在する微小なリーク隙間の軸方向長さをLmmとし、 上記ピストンの外径をdmmとし、 上記シリンダ筒の内径rmmと上記ピストンの外径dmmと
の差の半分として(r−d)/2で表される、上記リー
ク隙間の厚さをhmmとし、 上記張力付与ばねのばね定数をK1 kg/s2 とし、 上記付勢ばねのばね定数をK2 kg/s2 とし、 上記揺動部材に関する、上記プーリと上記ダンパ装置と
の間での変位運動方向係数をB1 、B2 、B4 とし、 上記揺動部材に関する、上記プーリと上記張力付与ばね
との間での変位運動方向係数をB3 とし、 使用状態での上記タイミングベルトの張力変動に伴う上
記プーリへの入力荷重の変動の片振幅をakg・mm/s2
し、 使用状態で最も有害となる、上記タイミングベルトの振
動の周波数をfHzとし、 時間をts とし、 上記タイミングベルトの振動に伴う上記プーリの変位を
xmmとし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位速度を
dx/dt mm/sとし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位加速度
をd2x/dt2 mm/s2 とし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位幅をx
p-p mmとした場合に、 (m1 +B12 )d2x/dt2 +B2 {(3πνρLd
3 )/4h3 }dx/dt +(B31 +B42 )x=a
sin(2πft) なる式より求められる、 xp-p /2が0.7mmとなる上記リーク隙間の厚さをh
1 mmとし、xp-p /2が0.05mmとなる上記リーク隙
間の厚さをh2 mmとした場合に、上記hをh2 以上1
以下で、且つ、0.002mm以上とすべく、前記ピスト
ンの外径dと前記シリンダの内径rとを規定するオート
テンショナの設計方法。 【請求項2】 ピストンの外径dが8〜13mmの範囲で
ある場合に、リーク隙間の厚さhを6.8〜9μmの範
囲で規制する、請求項1に記載したオートテンショナの
設計方法。 【手続補正3】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0027 【補正方法】変更 【補正内容】 【0027】本発明は、この様な事情に鑑みて発明した
ものであって、ダンパ装置を小型化した場合でも、この
ダンパ装置に十分なダンパ能力を持たせて、タイミング
ベルトの張力変動を最小限に抑える事ができるオートテ
ンショナの設計方法を提供するものである。 【手続補正4】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0028 【補正方法】変更 【補正内容】 【0028】 【課題を解決する為の手段】本発明の対象となるオート
テンショナは、固定の部分に直接若しくはこの固定の部
分に固定された固定部材を介して支持された第一軸と、
この第一軸を中心として揺動自在な揺動部材と、この揺
動部材の一部で上記第一軸と離隔した部分に設けられ
た、上記第一軸と平行な第二軸と、この第二軸の周囲に
回転自在に支持されたプーリと、このプーリをタイミン
グベルトに向け押圧する弾力を上記揺動部材に付与すべ
く、上記固定の部分若しくは固定部材と上記揺動部材と
の間に設けられた張力付与ばねと、上記固定の部分若し
くは固定部材と上記揺動部材との間に設けられ、この揺
動部材が上記張力付与ばねの弾力に抗して変位する事に
対する抵抗となるダンパ装置とを備える。 【手続補正5】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0029 【補正方法】変更 【補正内容】 【0029】そして、このダンパ装置は、内部に粘性液
体を封入したシリンダ筒と、このシリンダ筒の内部に軸
方向に亙る変位自在に嵌装されたピストンと、このピス
トンとシリンダ筒との間に設けられ、このピストンを一
方向に付勢する付勢ばねと、この付勢ばねの弾力に基づ
く上記ピストンの変位に伴って、上記シリンダ筒からの
突出量を増すプランジャと、上記ピストンの軸方向両端
面同士を連通する通油路と、この通油路と直列に設けら
れ、上記ピストンが上記付勢ばねの弾力に基づいて変位
する場合にのみ開く逆止弁とを備えたものであり、且
つ、上記張力付与ばねは上記シリンダ筒外に設けられて
いる。 【手続補正6】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0030 【補正方法】変更 【補正内容】 【0030】更に、本発明のオートテンショナの設計方
では、上記シリンダ筒の内径rmmと上記ピストンの外
径dmmとの差の半分である(r−d)/2で表されるリ
ーク隙間の厚さhmmを、それぞれが下記の式により求め
られるh1 mmとh2 mmとの間(h1 ≦h≦h2で、且
つ、0.002mm(2μm)以上とすべく、上記ピスト
ンの外径dと上記シリンダ筒の内径rとを規定する。 (m1 +B12 )d2x/dt2 +B2 {(3πνρLd
3 )/4h3 }dx/dt +(B31 +B42 )x=a
sin(2πft) 尚、この式中、m1 は、上記揺動部材及びこの揺動部材
と共に揺動する部材の揺動慣性質量の合計( kg )を、
2 は、上記ダンパ装置の伸縮に伴ってシリンダ筒内で
軸方向に変位する部材の慣性質量の合計( kg )を、ν
は、オートテンショナの使用状態での上記粘性液体の動
粘度(mm2/s )を、ρは、同じく使用状態での上記粘性
液体の密度(kg/mm3)を、Lは、上記シリンダ筒の内周
面と上記ピストンの外周面との間に存在する微小なリー
ク隙間の軸方向長さ(mm)を、K1 は、上記張力付与ば
ねのばね定数( kg/s2)を、K2 は、上記付勢ばねのば
ね定数( kg/s2)を、B1 、B2 、B4 は、上記揺動部
材に関する、上記プーリと上記ダンパ装置との間での変
位運動方向係数を、B3 は、上記揺動部材に関する、上
記プーリと上記張力付与ばねとの間での変位運動方向係
数を、aは、使用状態での上記タイミングベルトの張力
変動に伴う上記プーリへの入力荷重の変動の片振幅(kg
・mm/s2)を、fは、使用状態で最も有害となる、上記
タイミングベルトの振動の周波数(Hz)を、tは時間
(s )を、xは、上記タイミングベルトの振動に伴う上
記プーリの変位(mm)を、dx/dt は、上記タイミングベ
ルトの張力変動に伴うプーリの変位速度(mm/s)を、d2
x/dt2 は、上記タイミングベルトの張力変動に伴うプー
リの変位加速度(mm/s2 )を、xp-p は、上記タイミン
グベルトの張力変動に伴うプーリの変位幅、言い換えれ
ば、タイミングベルトの一部でプーリにより抑え付けら
れた部分が一方向に最も振れた状態での位置と他方向に
最も振れた状態での位置との差である、タイミングベル
トの振幅(mm)を、それぞれ表している。尚、エンジン
の運転時にオートテンショナの温度は、季節にもよる
が、80〜120℃程度に上昇する。従って、粘性液体
の動粘度νや密度ρの様に、温度変化の影響を無視でき
ない値は、使用状態の温度(例えば100℃)での値を
用いる。熱膨張に伴う寸法変化は実際上無視できる。仮
に無視できない場合、各寸法は総て使用状態での寸法と
する。又、使用状態で最も有害となるタイミングベルト
の振動の周波数は、エンジンの気筒数や排気量、ガソリ
ンエンジンであるかディーゼルエンジンであるか等で多
少異なるが、一般的な4気筒エンジンの場合にはガソリ
ンエンジン、ディーゼルエンジン共、50Hzを使用す
る。これは、回転数が1500rpm時にタイミングベ
ルトの振動が最も大きくなり、しかもその二次振動が最
も有害となる為である(1500÷60×2=50(H
z))。エンジンの回転数がこれよりも低い場合には振
動エネルギが小さくなり、反対に高い場合にはエンジン
の回転が滑らかになって振動が少なくなる。又、上記h
1 は、xp-p /2(片振幅)が0.7mmとなる上記リー
ク隙間の厚さ( mm )であり、h2 は、同じくxp-p
2が0.05mmとなる上記リーク隙間の厚さ( mm )
である。 【手続補正7】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0031 【補正方法】変更 【補正内容】 【0031】 【作用】上述の様に構成される本発明の対象となるオー
トテンショナの場合、プーリをタイミングベルトに押し
付ける為の弾力は、ダンパ装置の外に設けた張力付与ば
ねにより得る。この為、ダンパ装置に内蔵する付勢ばね
の弾力は、このダンパ装置を伸長させられるだけのもの
であれば足りる。従って、付勢ばねは小さなもので済
み、ダンパ装置の小型化を図れ、オートテンショナを限
られた空間に設置可能となる。 【手続補正8】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0033 【補正方法】変更 【補正内容】 【0033】又、ダンパ装置を構成するシリンダ筒の内
周面とピストンの外周面との間に存在する円筒状のリー
ク隙間の厚さhを規制する事で、タイミングベルトの振
動に伴うプーリの変位幅xp-p を、0.1〜1.4mmの
範囲に規制できる。変位幅x p-p を1.4mm以下にする
事で、上記プーリにより抑え付けられたタイミングベル
トの振れを小さく抑える事ができる。この結果、タイミ
ングベルトによる駆動部分に異常振動が発生したり、或
は歯飛びが発生したりする事を有効に防止できる。即
ち、本発明者の行った実験によると、一般的な乗用車用
エンジン(1000〜3000ccクラス)に組み込まれ
たタイミングベルトの場合には、上記変位幅xp-p
1.4mm以内に抑えれば、タイミングベルトの振動に基
づく不具合(振動、騒音、歯飛び等の発生)を確実に防
止できる事が分った。上記リーク隙間の厚さhをh1
下に抑える(h≦h1 )事で、上記変位幅xp-p を1.
4mm以下に規制できる。 【手続補正9】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0034 【補正方法】変更 【補正内容】 【0034】又、上記変位幅xp-p を0.1mm以上確保
するので、タイミングベルトの張力が急上昇してプーリ
が強く押された場合に、このタイミングベルトの張力を
急上昇させる為のエネルギを或る程度吸収できる。この
結果、タイミングベルトの耐久性を十分に確保できる。
即ち、タイミングベルトの張力が上昇した場合にも、プ
ーリが全く退避方向に変位しないと、上記タイミングベ
ルトの内周面に形成した歯の一部で、駆動プーリや従動
プーリの外周面の歯と噛合した部分に過大な応力が加わ
る。この結果、上記タイミングベルトの内周面の歯が破
損し易くなる。これに対して本発明の場合には、上記リ
ーク隙間の厚さhをh2 以上にする(h≧h2 )事で、
上記変位幅xp-p を0.1mm以上確保できる為、タイミ
ングベルトの耐久性を確保できる。 【手続補正10】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0035 【補正方法】変更 【補正内容】 【0035】更に、上記リーク隙間の厚さhを0.00
2mm(2μm)以上確保している為、ダンパ装置を組み
立てるべく、上記シリンダ筒内にピストンを挿入する作
業を、工場レベルで十分に行える。逆に言えば、2
h≦h1 を満たした場合でも、h<0.002mmである
と、ダンパ装置の組立作業が困難になる。即ち、本発明
のオートテンショナに組み込むダンパ装置の場合には、
上記リーク隙間の厚さhを所望値に規制する必要があ
る。この所望値を加工精度で実現する事は難しい場合も
あり、例えば予め内径rを測定したシリンダ筒と、やは
り予め外径dを測定したピストンとを、所望のリーク隙
間の厚さhを実現すべくh=(r−d)/2が所望値
となるべく選択嵌合させる事も考えられる。しかしな
がら、この様な選択嵌合の手法を採用する場合でも、
≧0.002mmを確保しないと、上記シリンダ筒とピス
トンとを組み合わせる事は難しい。そこで、上記リーク
隙間の厚さhを0.002mm以上確保する事とした。 【手続補正11】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0036 【補正方法】変更 【補正内容】 【0036】 【実施例】次に、本発明の実施例を説明しつつ、本発明
を完成させるまでの過程を説明する。本発明者は、図3
〜5に示す様なオートテンショナに組み込まれる、図6
に示す様なダンパ装置34の振動減衰能力を知る為、図
7に略示する様な実験装置を使用して、数多くのダンパ
装置の振動減衰能力を測定した。この実験装置では、プ
ーリ50a、50bに掛け渡したタイミングベルト2a
をばね51により緊張している。更に、ばね52により
揺動部材53を介して上記プーリ50aに所定の弾力を
付与し、上記タイミングベルト2aに所定の張力を付与
している。そして、このタイミングベルト2aの張力を
加振機54により正弦波的に変化させると同時に、この
張力の変動をロードセル55により、上記プーリ50a
の変位を非接触式の変位センサ56により、それぞれ測
定する。本発明者は、この様な実験装置により、オート
テンショナを構成するプーリ50aの変位特性、延ては
タイミングベルト2aのばたつきにダンパ装置34の小
型化が及ぼす影響に就いて検証した。 【手続補正12】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0050 【補正方法】変更 【補正内容】 【0050】先ず、タイミングベルト2の変位幅xp-p
の許容値として0.1〜1.4mmを設定した。即ち、前
記片振幅xp-p /2を0.05〜0.7mm0.05mm
≦(xp-p /2)≦0.7mmとした。このうちの上限
値(xp-p /2=0.7mm)は、前述した各測定実験の
際、片振幅xp-p /2が0.7mmを越えた場合にタイミ
ングベルト2の振動が好ましくない程度に大きくなった
事に基づく。 【手続補正13】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0052 【補正方法】変更 【補正内容】 【0052】そこで、これらを合わせて、0.05mm≦
(xp-p /2)≦0.7mmが、性能が良好なオートテン
ショナを構成するダンパ装置の必要条件であるとした。
そこで、この条件から前記リーク隙間の厚さhを求める
べく、図11に示した振動モデルを考えた。この図11
は、タイミングベルト2とオートテンショナとの係合部
の模式図である。m1 は揺動部材18及びこの揺動部材
18と共に揺動する部材の揺動慣性質量(kg)を、m2
はダンパ装置34の伸縮に伴ってシリンダ筒39内で軸
方向に変位する部材の慣性質量(kg)の合計を、K1
プーリ5をタイミングベルト2に押圧する為の、捩り
コイルばね28(図3〜5)等の張力付与ばね57の
ばね定数( kg/s2)を、K2 はダンパ装置34を伸長さ
せる為の付勢ばね41のばね定数( kg/s2)を、それぞ
れ表している。 【手続補正14】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0059 【補正方法】変更 【補正内容】 【0059】次に、前記振動基礎方程式の左辺第3項の
ばね定数Kに就いて説明する。プーリ5をタイミングベ
ルト2に押圧する為のばねとしては、捩りコイルばね2
8(図3〜5参照)等の張力付与ばね57(図11参
照)と、ダンパ装置34を伸長させる為の付勢ばね41
との二つのばねが存在する。このうち、張力付与ばね5
7のばね定数をK1 ( kg/s2)とし、上記付勢ばね41
のばね定数をK2 ( kg/s2)とする。これら各ばね定数
1 、K2 の和が、前記振動基礎方程式の左辺第3項の
Kに相当するが、上記各ばね57、41の弾力がそのま
まプーリ5をタイミングベルト2に押圧する弾力にはな
らない。 【手続補正15】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0060 【補正方法】変更 【補正内容】 【0060】即ち、揺動部材18の揺動中心(第一軸)
と上記各ばね57、41の作用点及びプーリ5の回転中
心(第二軸)との距離に応じて上記各ばね定数K1 、K
2 に、梃子の原理により定まる係数を掛けた状態で、こ
れら両定数K1 、K2 を加えなければならない。例えば
図14に示す様に、上記揺動中心から張力付与ばね57
の作用点までの距離をLK1とし、上記揺動中心と上記付
勢ばね41の作用点(ダンパ装置34のプランジャ38
と揺動部材18との当接点)との距離をLD とし、プー
リ5の回転中心と揺動部材18の揺動中心との距離(第
一軸である固定軸17の中心と第二軸であるボルト24
の中心との距離)をLP とした場合に、上記張力付与ば
ね57のばね定数K1 にはLK1/LP なる係数B3 を掛
け合わせ、上記付勢ばね41のばね定数K2 にはLD
P なる係数B4 (=B1 =B2)を掛け合わせた上で
合計する。従って、実際のオートテンショナを考える場
合に、前記振動基礎方程式中のばね定数Kは、 K=B31 +B42 となる。尚、上記各ばね57、41のばね定数K1 、K
2 は、揺動部材18の揺動中心(第一軸である固定軸1
7)を中心とする円弧の接線方向に対する大きさで求め
る。ばねの弾力の作用方向が上記接線方向に対し角度θ
だけ傾斜していた場合には、上記各ばね定数K1 、K2
には、上記各係数B3 、B4 の他に cosθも合わせて掛
け合わせる。前記粘性減衰係数Cの場合も同様である。 【手続補正16】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0069 【補正方法】変更 【補正内容】 【0069】本発明のオートテンショナの設計方法の
合には、上述の様にして求められた式により、ダンパ装
置34を構成するシリンダ筒39の内周面とピストン4
0の外周面との間のリーク隙間58(図13)の厚さh
を所定範囲に規制するので、上記ダンパ装置34とし
て、小型でしかもダンパ性能が優れた装置を使用でき
る。この為に本発明の設計方法により造ったオートテン
ショナは、小型でエンジンの限られたスペースに設置容
易であるにも拘らず、上記タイミングベルト2の振動防
止効果が大きい。尚、本発明のオートテンショナの設計
方法の特徴は、上述の様にダンパ装置34を構成するシ
リンダ筒39の内周面とピストン40の外周面との間の
リーク隙間58の厚さhを所定範囲に規制すべく、上記
ピストン40の外径dと上記シリンダ筒39の内径rと
を規定する点にある。従って本発明は、実験に供した、
前記図3〜5に示した構造のオートテンショナに限ら
ず、前記各公報に記載された様な構造にも適用できる。
次に、本発明が適用可能である、出願済の構造に就いて
説明する。 【手続補正17】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0070 【補正方法】変更 【補正内容】 【0070】図15〜18は、この様に本発明が実施
能な構造の第1例として、実願平5−29569号に記
載された構造を示している。尚、この図15〜18に示
した構造の特徴は、構造を簡略化すべく、前述の図3〜
5に示した従来構造から固定部材14を省略し、これに
合わせてダンパ装置34a設置部分及びダンパ装置34
aの形状、構造を工夫した点にある。その他の部分の構
成及び作用は、上記図3〜5に示した従来構造と同様で
あるから、同等部分に就いては同一符号を付して重複す
る説明を省略若しくは簡略にし、以下、この第1例の構
造の特徴部分を中心に説明する。 【手続補正18】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0073 【補正方法】変更 【補正内容】 【0073】次に、図19〜20は本発明が実施可能な
構造の第2例として、特願平6−135595号に記載
された構造を示している。尚、この図19〜20に記載
した構造の特徴は、オートテンショナを組み込んだエン
ジンの設計の自由度を増大させるべく、捩りコイルばね
28の設置位置を揺動部材18との関係で規制した点に
ある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図3〜5
に示した従来構造と同様であるから、同等部分には同一
符号を付して重複する説明を省略し、以下、この第2例
の構造の特徴部分を中心に説明する。 【手続補正19】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0077 【補正方法】変更 【補正内容】 【0077】次に、図21は、本発明が実施可能な構造
の第3例として、やはり特願平6−135595号に記
載された構造を示している。この第3例の構造の場合に
は捩りコイルばね28のコイル部29を支持する為の保
持筒62を、固定軸17に関して、プーリ5と反対側に
設けている。又、揺動部材18の一部に切り欠き68を
形成し、この切り欠き68に、上記捩りコイルばね28
の第一係止部64を係止している。又、受ブロック37
は、上記保持筒62及び係止ピン63と共に取付基板6
9の前面に固定している。ストッパピン46は、この取
付基板69と上記揺動部材18との間に掛け渡される。
その他の構成及び作用は、上述した第2例と同様であ
る。 【手続補正20】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0078 【補正方法】変更 【補正内容】 【0078】次に、図22は、本発明が実施可能な構造
の第4例として、やはり特願平6−135595号に記
載された構造を示している。この第4例の構造の場合に
は、シリンダブロック70の前面に固定した取付基板6
9の前面(図22の上面)に、固定軸17と受ブロック
37(図21参照)とを固設している。揺動部材18は
このうちの固定軸17の先半部(図22の上半部)に、
滑り軸受を介して外嵌する事により枢支し、ボルト21
によりこの固定軸17からの抜け止めを図られている。
又、捩りコイルばね28のコイル部29は、上記固定軸
17の基半部を囲む、上記先半部よりも大径となった取
付基板69のボス部71に緩く外嵌している。そして、
この捩りコイルばね28の第一係止部64を上記揺動部
材18に形成した係止孔に、第二係止部65を上記取付
基板69に固設した係止ピン63に、それぞれ係止して
いる。 【手続補正21】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0080 【補正方法】変更 【補正内容】 【0080】次に、図23〜24は、本発明が実施可能
な構造の第5例として、特願平6−141681号に記
載された構造を示している。尚、この第5例の構造の特
徴は、ダンパ装置34を確実に機能させるべく、このダ
ンパ装置34の取付位置を伸縮方向に亙って調節自在と
した点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の
図3〜5に示した従来構造、並びに上述した第1〜4例
の構造と同様であるから、同等部分には同一符号を付し
て重複する説明を省略し、以下、この第5例の特徴部分
を中心に説明する。 【手続補正22】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0085 【補正方法】変更 【補正内容】 【0085】そこで、上記捩りコイルばね28の弾力に
より上記プーリ5をタイミングベルト2に押圧し、ダン
パ装置34の全長を縮めた状態のまま、上記ホルダ72
の取付位置を調節して、上記プランジャ38の上端部を
上記揺動側腕片35に支持した受ブロック37の下面に
当接させる。この際、前記取付ボルト75、75は未だ
弛めた状態のままとしておく。従って上記ホルダ72及
びダンパ装置34の上下位置は、取付ボルト75、75
が長孔81、81に沿って変位自在な分だけ調節自在で
あり、上記プランジャ38の上端部と受ブロック37
下面とを確実に当接させる事ができる。 【手続補正23】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0088 【補正方法】変更 【補正内容】 【0088】次に、図25は、本発明が実施可能な構造
の第6例として、やはり特願平6−141681号に記
載された構造を示している。この第6例の構造の場合に
は、揺動部材18にホルダ72を、左右1対の長孔8
1、81に挿通した取付ボルト75、75により固定し
ている。受ブロック37は、シリンダブロック前面側に
固定している。その他の構成並びに作用は、上述の第5
例と同様である。 【手続補正24】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】0090 【補正方法】変更 【補正内容】 【0090】 【発明の効果】本発明のオートテンショナの設計方法
は、以上に述べた通り構成され作用する為、十分なダン
パ性能を確保して、タイミングベルトの振動防止を有効
に図れる。又、タイミングベルトの耐久性も十分に確保
できる。しかも、小型に構成できて、エンジンのシリン
ダブロックの限られたスペースに設置可能になる為、エ
ンジン設計の自由度が向上する。 【手続補正25】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】図面の簡単な説明 【補正方法】変更 【補正内容】 【図面の簡単な説明】 【図1】従来の第1例のオートテンショナを付設したエ
ンジンのタイミングベルト駆動装置を示す正面図。 【図2】図1のA部を、一部を切断した状態で示す拡大
図。 【図3】従来のオートテンショナの第2例を示す正面
図。 【図4】同部分切断側面図。 【図5】同分解斜視図。 【図6】第2例の構造に組み込まれたダンパ装置の断面
図。 【図7】オートテンショナの振動防止性能を試験する為
の実験装置を示す略正面図。 【図8】タイミングベルトの振れの片振幅とリーク隙間
との関係の第1例を示す線図。 【図9】同第2例を示す線図。 【図10】同第3例を示す線図。 【図11】タイミングベルトとオートテンショナとの振
動モデルを示す図。 【図12】ダンパ装置と揺動部材とに関する変位運動方
向係数を説明する為の、オートテンショナの部分切断正
面図。 【図13】粘性減衰係数を説明する為の、シリンダ筒と
ピストンとの嵌合部を示す略断面図。 【図14】張力付与ばねと揺動部材とに関する変位運動
方向係数を説明する為の、オートテンショナの部分切断
正面図。 【図15】本発明が実施可能な構造の第1例を示す、オ
ートテンショナの正面図。 【図16】同じく分解斜視図。 【図17】第1例に組み込まれたダンパ装置の収縮状態
を示す断面図。 【図18】同じく伸長状態を示す断面図。 【図19】本発明が実施可能な構造の第2例を示す、オ
ートテンショナの正面図。 【図20】同じく部分切断側面図。 【図21】本発明が実施可能な構造の第3例を示す、オ
ートテンショナの正面図。 【図22】同第4例を示す、オートテンショナの側面
図。 【図23】同第5例を示す、オートテンショナの正面
図。 【図24】ストッパ部材の斜視図。 【図25】本発明が実施可能な構造の第6例を示す、オ
ートテンショナの正面図。 【手続補正26】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図12 【補正方法】変更 【補正内容】 【図12】 【手続補正27】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】図15 【補正方法】変更 【補正内容】 【図15】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 固定の部分に直接若しくはこの固定の部
    分に固定された固定部材を介して支持された第一軸と、
    この第一軸を中心として揺動自在な揺動部材と、この揺
    動部材の一部で上記第一軸と離隔した部分に設けられ
    た、上記第一軸と平行な第二軸と、この第二軸の周囲に
    回転自在に支持されたプーリと、このプーリをタイミン
    グベルトに向け押圧する弾力を上記揺動部材に付与すべ
    く、上記固定の部分若しくは固定部材と上記揺動部材と
    の間に設けられた張力付与ばねと、上記固定の部分若し
    くは固定部材と上記揺動部材との間に設けられ、この揺
    動部材が上記張力付与ばねの弾力に抗して変位する事に
    対する抵抗となるダンパ装置とを備え、 このダンパ装置は、内部に粘性液体を封入したシリンダ
    筒と、このシリンダ筒の内部に軸方向に亙る変位自在に
    嵌装されたピストンと、このピストンとシリンダ筒との
    間に設けられ、このピストンを一方向に付勢する付勢ば
    ねと、この付勢ばねの弾力に基づく上記ピストンの変位
    に伴って、上記シリンダ筒からの突出量を増すプランジ
    ャと、上記ピストンの軸方向両端面同士を連通する通油
    路と、この通油路と直列に設けられ、上記ピストンが上
    記付勢ばねの弾力に基づいて変位する場合にのみ開く逆
    止弁とを備えたものであり、且つ、上記張力付与ばねは
    上記シリンダ筒外に設けられているオートテンショナで
    あって、 上記揺動部材及びこの揺動部材と共に揺動する部分の揺
    動慣性質量の合計をm 1 kgとし、 上記ダンパ装置の伸縮に伴ってシリンダ筒内で軸方向に
    変位する部材の慣性質量の合計をm2 kgとし、 オートテンショナの使用状態での上記粘性液体の動粘度
    をνmm2/s とし、 同じく使用状態での上記粘性液体の密度をρkg/mm3
    し、 上記シリンダ筒の内周面と上記ピストンの外周面との間
    に存在する微小なリーク隙間の軸方向長さをLmmとし、 上記ピストンの外径をdmmとし、 上記シリンダ筒の内径rmmと上記ピストンの外径dmmと
    の差の半分として(r−d)/2で表される、上記リー
    ク隙間の厚さをhmmとし、 上記張力付与ばねのばね定数をK1 kg/s2 とし、 上記付勢ばねのばね定数をK2 kg/s2 とし、 上記揺動部材に関する、上記プーリと上記ダンパ装置と
    の間での変位運動方向係数をB1 、B2 、B4 とし、 上記揺動部材に関する、上記プーリと上記張力付与ばね
    との間での変位運動方向係数をB3 とし、 使用状態での上記タイミングベルトの張力変動に伴う上
    記プーリへの入力荷重の変動の片振幅をakg・mm/s2
    し、 使用状態で最も有害となる、上記タイミングベルトの振
    動の周波数をfHzとし、 時間をts とし、 上記タイミングベルトの振動に伴う上記プーリの変位を
    xmmとし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位速度を
    dx/dt mm/sとし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位加速度
    をd2x/dt2 mm/s2 とし、 上記タイミングベルトの振動に伴うプーリの変位幅をx
    p-p mmとした場合に、 (m1 +B12 )d2x/dt2 +B2 {(3πνρLd
    3 )/4h3 }dx/dt +(B31 +B42 )x=a
    sin(2πft) なる式より求められる、 xp-p /2が0.7mmとなる上記リーク隙間の厚さをh
    1 mmとし、xp-p /2が0.05mmとなる上記リーク隙
    間の厚さをh2 mmとした場合に、上記hをh2よりも大
    きく、h1 よりも小さくし、且つ、上記hを0.002
    mmよりも大きくしたオートテンショナ。
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