JP2003160845A - 鉄基合金およびその製造方法 - Google Patents

鉄基合金およびその製造方法

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JP2003160845A JP2001358942A JP2001358942A JP2003160845A JP 2003160845 A JP2003160845 A JP 2003160845A JP 2001358942 A JP2001358942 A JP 2001358942A JP 2001358942 A JP2001358942 A JP 2001358942A JP 2003160845 A JP2003160845 A JP 2003160845A
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carbide
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Takemi Sugawara
毅巳 菅原
Makoto Asami
誠 阿左美
Noriyuki Yamada
範之 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強化粒子を添加することなく優れたヤング
率、靱性、強度を有する鉄基合金およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 Ni:0.25〜4.75wt%、およ
び添付図面の図1に示す線aで囲まれた領域で示される
量のCとMoを含み、残部がFeおよび不可避的不純物
からなり、基地組織中にMC型炭化物を含む鉄基合金
である。オーステナイト化温度以上の温度から急冷して
固溶化処理を施し、これによってマルテンサイトと残留
オーステナイトの基地組織と未溶解炭化物の混合組織を
得る第1の熱処理工程と、共析変態温度区間でMC型
炭化物を析出させた後に冷却し、これによって低炭素オ
ーステナイトを析出させる第2の熱処理工程とにより、
上記鉄基合金を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いヤング率を示
すことにより剛性の向上が図られ、かつ、軽量コンパク
ト化に好適な鉄基合金およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄をベースとする鉄合金や鋼といったい
わゆる鉄基合金は、各種の構造用金属材料としてもっと
も広く利用されている。ところで、あらゆる分野におい
て軽量コンパクト化の要求が高まっている近年では、構
造用金属材料にもその要求を満たす特性が求められてい
る。そのため、従来は高強度化を図ることで対応してき
たが、そのような材料では、強度は満足しても剛性が不
足し、部品によっては軽量コンパクト化が進まないもの
がみられるようになってきている。
【0003】軽量化を図る上では、材料を軽い金属に置
換する手段があるが、例えば、アルミニウム合金やマグ
ネシウム合金等の軽合金に置換した場合、強度不足のた
め大型化してしまい、コンパクト化は達成しにくい。ま
た、セラミックスを用いて軽量化を図ったものもある
が、靱性が低い上にコストが高くなる等の理由から構造
材には適していない。さらに、鉄にセラミック粒子等の
強化粒子を添加した高ヤング率を示す鉄鋼材の研究も行
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記強
化粒子の添加においては、強化粒子と基地の密着状態が
完全ではなく、また、強化粒子が結晶粒界に偏析するの
で理論値通りのヤング率が得られないのに加え、強化粒
子の添加量の増加に伴って粒子どうしが凝集して粗大化
し靱性の低下を招くので、疲労強度との両立が困難であ
った。また、強化粒子の存在による高い変形抵抗と、強
化粒子の結晶粒界への偏析による延性の低下は、圧延等
の塑性加工を困難なものとするので、塑性加工によりγ
粒を微細化して靱性の向上を図ることが難しいという問
題もある。一方、従来の高強度材の代表的な材料組織で
あるマルテンサイトは、焼戻しを施すことにより靱性が
高くなるが、元来Cが少なく、かつそのCも大部分が鉄
中に固溶して存在するためFeC(セメンタイト)相
が少なく、FeC相の分散によるヤング率の向上は期
待できない。
【0005】したがって、本発明は、強化粒子を添加す
ることなく、ヤング率、靱性、強度等の機械的特性が高
いレベルで確保され、さらに、これらの特性を確保する
上で比重の上昇が抑えられ、結果として軽量コンパクト
化が図られる鉄基合金およびその製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、強化粒子の
添加に代わるヤング率向上の手段を鋭意研究した結果、
特定の元素の含有量を規定するとともに、適宜な熱処理
によって基地組織中にヤング率の向上に寄与する微細な
C型炭化物を生成させることにより、本発明の目的
が達成され得ることを見い出した。MC型炭化物と
は、Metal−C系の炭化物であり、Metal:C
の原子比が2:1のものを言う。本発明はこのような知
見に基づいてなされたものであって、本発明の鉄基合金
は、Ni:0.25〜4.75wt%、および添付図面
の図1に示す線aで囲まれた領域で示される量のCとM
oを含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
基地組織中にMC型炭化物を含むことを特徴としてい
る。MC型炭化物は、この場合、Cに対してMoが結
合して生成する析出型のMo炭化物からなる。
【0007】図2は、本発明の鉄基合金の組織を模式的
に示しており、同図に示すように、高い強度および靱性
を示すマルテンサイト(M)と、高い靱性を示すオース
テナイト(γ)からなる基地組織中に、MoC,Mo
C等のヤング率が高いMC型炭化物(MC)が点在
している。
【0008】本発明の鉄基合金は、Mn:0.5〜1.
7wt%を含有していてもよい。Mnは脱酸効果、被削
性の向上効果を奏する他、γ相の生成に寄与する。ま
た、本発明の鉄基合金は、V:3wt%以下、Ti:
0.4wt%以下、Nb:0.6wt%以下、Cr:1
5wt%以下、B:0.005wt%以下のうちの1種
または2種以上を添加させることができる。V、Tiお
よびNbは炭化物生成元素であり、一方、CrおよびB
は基地強化元素である。
【0009】次に、本発明の鉄基合金の製造方法は、上
記本発明の鉄基合金を好適に製造する方法であって、N
i:0.25〜4.75wt%、および添付図面の図1
に示す線aで囲まれた領域で示される量のCとMoを含
み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鉄基合金
に対し、オーステナイト化温度以上の温度から急冷して
固溶化処理を施し、これによってマルテンサイトと残留
オーステナイトの基地組織と未溶解炭化物の混合組織を
得る第1の熱処理工程と、共析変態温度区間でMC型
炭化物を析出させた後に冷却し、これによって低炭素オ
ーステナイトを析出させる第2の熱処理工程とを有する
ことを特徴としている。
【0010】本発明の製造方法は、まず、上記組成から
なる鉄基合金の材料を溶製等の手段によって得る。この
とき、MoはMoCの状態で存在している。次に、必
要に応じて塑性加工等の成形加工を行った後に、第1の
熱処理工程でMo系炭化物が完全に固溶する900℃以
上、好ましくは1000℃以上の温度に加熱保持してか
ら、急冷する。急冷用の冷媒は、材料を十分に急冷可能
な容量を用意できれば水を用いてもよく、その場合に焼
割れ等の問題が生じるようであれば、油冷または塩浴焼
入れを採用することができる。第1の熱処理工程によっ
て得られる組織は、マルテンサイトと残留オーステナイ
ト(γ相)の基地組織と、主にMo系炭化物である固溶
されない未溶解炭化物との混合組織である。
【0011】第2の熱処理工程は、第1の熱処理工程で
得られた材料に対し焼戻しを行ってMC型炭化物を生
成させるとともに、γ相を析出させる工程である。焼戻
しは、共析変態温度(A1変態温度)で所定時間保持し
た後、冷却する。このとき、Niを0.25〜4.75
wt%含むことにより共析変態温度は操業上の温度ばら
つきを許容し得る温度区間を生じる。前記温度区間内で
は、フェライト、オーステナイト、炭化物の三者の共存
領域が形成されるので、この領域内に所定時間保持する
ことにより、マルテンサイトは焼戻しマルテンサイトお
よびオーステナイトに変態する。これらの変態の結果、
過飽和のMoが炭化物として析出する。変態のための保
持時間が短すぎると、MoCの析出が不十分となり、
保持時間が長すぎると焼戻しマルテンサイトがオーステ
ナイトに変態し、そのオーステナイトに炭素が固溶して
いくので、最終組織の焼戻しマルテンサイトが減少し、
代わりに高炭素オーステナイトから変態したパーライト
が生成するので、靱性が低下する。上記保持時間は30
〜120分の範囲でMC型炭化物が得られるが、45
〜105分であればMC型炭化物量が最大になるので
望ましい。
【0012】共析変態温度で焼戻しを行う理由は、共析
変態温度を下回る温度ではMC型炭化物の生成に長時
間を要し、共析変態温度を超えた温度ではマルテンサイ
トが速やかにオーステナイトに変態してしまうのでM
C型炭化物が得られず、ヤング率および強度が低下する
からである。
【0013】次に、保持後の冷却段階において、Niを
0.25〜4.75wt%含むことによりA1変態点以
下の温度においてフェライトからオーステナイトを生じ
る変態が起こる。このようにして生成するオーステナイ
トは固溶している炭素量が少ないので、きわめて高い靱
性と延性を持つ。なお、Niに加えてMnを0.5〜
1.7wt%含むと、共析変態温度区間がより拡大する
ので操業管理が容易になる。また、析出処理後の冷却時
にオーステナイト生成を補助する効果もある。
【0014】このような第1および第2の熱処理によっ
て得られた材料組織は、焼戻しマルテンサイトと低炭素
オーステナイトからなる基地組織中にMC型炭化物が
点在する組織となるので、高い強度およびヤング率と、
優れた靱性を示す。
【0015】本発明の鉄基合金中に含まれる上記M
型炭化物は、含有量が多ければ多いほどヤング率が向上
するが、体積率が100%の場合にはセラミックスであ
り、靱性、延性、機械加工性、コスト等の諸条件をバラ
ンスよく満足させる上で、適宜な量が求められる。M
C型炭化物は、靱性、延性等の機械的特性の面からは体
積率32%が上限とされるが、コストを考慮すると体積
率の上限は25%が好ましい。また、含有量の下限とし
ては、ヤング率を向上させる上で体積率17%以上が必
要とされる。
【0016】本発明で得られる鉄基合金の基地組織は、
低C濃度である亜共析が好ましい。本発明の鉄基合金の
基本組成は、C濃度が比較的高く、通常ならば過共析組
織となる。一般的に炭素鋼は、C濃度が高ければ高いほ
ど靱性および延性は低下し、これは、炭化物が網目状に
析出することに起因する。そこで、基地組織を亜共析化
させて低C濃度にするには、共析温度よりも高い温度で
炭化物を生成させて基地組織のC濃度を低下させる。そ
のためには、Feよりも活性でヤング率の高い炭化物を
生成する元素の添加が有効であり、上記V,Ti,N
b,B等がそれらに好適な元素である。溶融状態から固
化する際の初晶あるいは初析におけるこれら元素の炭化
物により、基地組織のC濃度が共析濃度を下回り、亜共
析化する。炭化物は網目状よりは片状、片状よりは球状
の方が靱性および延性が向上する。亜共析中の炭化物は
球状に生成しやすいので、基地組織は亜共析が好ましい
のである。
【0017】次に、本発明の鉄基合金に含まれる各元素
の数値限定の根拠を述べる。 CおよびMo:図1に示す線aで囲まれた領域で示され
る量 この領域内にCおよびMoの含有量が制御されることに
より、MC型以外の炭化物の生成が抑制されるととも
に、MC型炭化物の体積率が17〜32%に制御され
る。本発明は、体積率に関してこの数値を達成すること
を目的としている。
【0018】Ni:0.25〜4.75wt% Niは、本発明における第2の熱処理工程において共析
変態温度に操業のばらつきを許容し得る温度区間を生じ
させ、その区間内でのMC型炭化物の生成を可能にす
る。また、保持後の冷却段階においてフェライトからオ
ーステナイトを生成させ、材質の剛性、強度および靱性
を向上させる。Niが0.25wt%を下回ると上記効
果が得られない。一方、Niが4.75wt%を超える
と、最終組織中にCを多く固溶した高炭素オーステナイ
ト相が現れるため、強度、靱性および延性が低下する。
したがって、Niの含有量を0.25〜4.75wt%
とした。
【0019】Mn:0.5〜1.7wt% Mnは脱酸効果を有することから鉄鋼には必ず添加され
る。さらに、Sと化合物を形成することにより被削性の
向上に寄与する。また、Niと合わせて添加することに
より、本発明における第2の熱処理工程において共析変
態温度に操業のばらつきを許容し得る温度区間を拡大さ
せ、その区間内でのMC型炭化物の生成を容易にす
る。また、保持後の冷却段階においてオーステナイト生
成を補助する。Mnが0.5wt%を下回ると、Niと
の併用添加による本発明の第2の熱処理工程における効
果が得られない。一方、Mnが1.7wt%を超える
と、最終組織中にCを多く固溶した高炭素オーステナイ
ト相が現れるため、強度、靱性および延性が低下する。
したがって、Mnの含有量を0.5〜1.7wt%とし
た。
【0020】V:3wt%以下 VはV炭化物を生成し、晶出、析出の生成形態を持つ。
V炭化物(VC)は密度が小さく鉄よりもヤング率が高
く、また、鉄との相性もよく高速度鋼にも用いられる。
Vは生成エネルギーが高いため高温で生成し、低温で生
成する炭化物の核となって複炭化物となるので、3wt
%以下の添加が望ましい。
【0021】Ti:0.4wt%以下 Tiは炭化物生成元素として有効であり、晶出、析出双
方の形態で生成する。Ti炭化物(TiC)はVを固溶
するので複炭化物を生成しやすい。したがって、Tiの
含有量を0.4wt%以下とした。
【0022】Nb:0.6wt%以下 NbはVと同様に炭化物生成元素として有効であり、晶
出、析出双方の形態で生成する。Nb炭化物(NbC)
はV炭化物よりも比剛性がやや劣り、ヤング率の向上よ
りも基地の強化として有効である。これらを鑑み、Nb
の含有量を0.6wt%以下とした。
【0023】Cr:15wt%以下 Crの添加量は工具鋼並みとし、最大添加量を15wt
%とした。なお、構造用鋼として使用する場合は、3.
5wt%以下が望ましい。
【0024】B:0.005wt%以下 Bの添加量はB鋼並みとし、最大添加量を0.005w
t%とした。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (1)CとMoの最適範囲を求める実施例 下記の実施例および比較例の鉄基合金を製造し、これら
の炭化物の体積率を求めることにより、本発明の目的を
達成し得るCとMoの最適な含有量の範囲を確かめた。
【0026】〈実施例1〜12〉CおよびMoの含有量
が表1に示す実施例1〜12の鉄基合金材料をそれぞれ
100kg溶解して調製した後、鋳造、熱間圧延を経て
直径20mmの丸棒状のサンプルを得た。次いで、実施
例1〜12のサンプルにつき、1100℃の温度に保持
した状態から水冷する第1の熱処理工程を行い、続い
て、640℃で1時間加熱した後に空冷する第2の熱処
理工程を行った。
【0027】
【表1】
【0028】〈比較例1〜11〉CおよびMoの含有量
が表1に示す比較例1〜11の鉄基合金からなるサンプ
ルを上記実施例と同様にして得、これらサンプルにつき
実施例と同様の熱処理を行った。
【0029】図1は、実施例1〜12と比較例1〜11
のC含有量とMo含有量の組み合わせを示しており、同
図における線aで囲まれた領域が本発明で定められるC
含有量とMo含有量の組み合わせである。
【0030】次いで、上記各実施例および各比較例の各
サンプルにつき、炭化物の体積率:MoC%、M
%、MC%およびこれらの総和であるVf%を調べ
た。その結果を表1に併記する。ここで、MoCおよ
びMはMC型炭化物であり、ヤング率の向上に
最も寄与する重要な炭化物である。また、MCは金属
元素6(W,Fe,Mnのうちの1種または2種以上)
に炭素1が結びついた炭化物で、ヤング率の向上にはほ
とんど寄与しない。なお、炭化物の体積率の測定方法
は、X線回折装置(RIGAKU社製:RINT−20
00)を用いて測定した。
【0031】表1の測定結果によれば、本発明の実施例
ではMC型以外の炭化物の生成が抑制されるととも
に、MC型炭化物の体積率が17〜30%に制御され
ており、したがって、ヤング率、靱性、延性等の各種特
性が高いレベルで確保されることが推測される。一方、
本発明に対する比較例では、MC型以外の炭化物が生
成しているか、あるいはMC型炭化物の体積率が上記
範囲を逸脱することから、本発明の目的は達成されない
ことが推測される。
【0032】図3は、実施例5の鉄基合金の金属組織を
示す顕微鏡写真である。この写真によると、基地組織
は、第1の熱処理によりマルテンサイト化した後、第2
の熱処理により焼戻された焼戻しマルテンサイト組織と
オーステナイトであり、そこに炭化物(MoC)が分
散している。オーステナイトは、第2の熱処理の冷却中
に基地組織から析出するものであり、このため、Cが少
ない状態からの析出となり、きわめて粘性が高い特性を
有する。
【0033】(2)特性試験 表2に示す実施例13と比較例12の成分を有する鉄基
合金材料を、上記実施例1〜12と同様に溶製、鋳造、
圧延して直径20mmの丸棒状のサンプルを得た。これ
らサンプルから、比重、ヤング率、疲労強度、引張り強
さの4つの特性を測定するための所定形状の試験片を、
切削加工により作製した。次いで、実施例13の試験片
については上記実施例1〜12と同様の熱処理を施し、
一方、比較例12の試験片には一般的な浸炭処理(浸炭
雰囲気からの焼入れ後、低温で焼戻し)を施した。
【0034】
【表2】
【0035】次に、実施例13および比較例12の各試
験片に仕上げの切削加工を施し、それら試験片を用いて
上記4つの特性を調べた。測定方法は以下の通りであ
る。
【0036】・比重 アルキメデス法に基づき、試験片の大気中での重量およ
び水中での重量(体積)をそれぞれ上皿天秤により測定
して双方の測定値から計算した。 ・ヤング率 超音波法を用いた。すなわち、超音波を試験片に当てて
縦波と横波の反射時間から速度を計り、比重から算出し
た。 ・疲労強度 小野式回転曲げ疲労試験機(東京試験機製作所社製:F
TO−10H)を用いて測定した。 ・引張り強さ 引張り試験機(島津製作所社製:AG−5000C)に
より、荷重をロードセル、伸びは歪みゲージを用いて測
定した。これらの結果を、表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3から明らかなように、本発明に係る実
施例13は、比較例12の鉄基合金と同等の比重であり
ながらも、比較例12と比べると機械的諸特性が優れて
おり、したがって、軽量コンパクト化を達成できること
が確かめられた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
強化粒子を添加することなく、ヤング率、靱性、延性等
の各種特性が高いレベルで確保され、さらに、これらの
特性を確保する上で比重の上昇が抑えられるので、軽量
コンパクト化に好適な鉄基合金として有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例と本発明に対する比較例の鉄
基合金のC含有量とMo含有量の関係を示す図である。
【図2】 本発明の鉄基合金の金属組織を模式的に示す
図である。
【図3】 実施例の鉄基合金の金属組織を示す顕微鏡写
真である。
【符号の説明】
M…マルテンサイト MC…MC型炭化物 γ…オーステナイト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 範之 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:0.25〜4.75wt%、およ
    び添付図面の図1に示す線aで囲まれた領域で示される
    量のCとMoを含み、残部がFeおよび不可避的不純物
    からなり、基地組織中にMC型炭化物を含むことを特
    徴とする鉄基合金。
  2. 【請求項2】 Mn:0.5〜1.7wt%を含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の鉄基合金。
  3. 【請求項3】 V:3wt%以下、Ti:0.4wt%
    以下、Nb:0.6wt%以下、Cr:15wt%以
    下、B:0.005wt%以下のうちの1種または2種
    以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の
    鉄基合金。
  4. 【請求項4】 Ni:0.25〜4.75wt%、およ
    び添付図面の図1に示す線aで囲まれた領域で示される
    量のCとMoを含み、残部がFeおよび不可避的不純物
    からなる鉄基合金に対し、オーステナイト化温度以上の
    温度から急冷して固溶化処理を施し、これによってマル
    テンサイトと残留オーステナイトの基地組織と未溶解炭
    化物の混合組織を得る第1の熱処理工程と、 共析変態温度区間でMC型炭化物を析出させた後に冷
    却し、これによって低炭素オーステナイトを析出させる
    第2の熱処理工程とを有することを特徴とする鉄基合金
    の製造方法。
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