JP2003160699A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形体

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JP2003160699A
JP2003160699A JP2001362773A JP2001362773A JP2003160699A JP 2003160699 A JP2003160699 A JP 2003160699A JP 2001362773 A JP2001362773 A JP 2001362773A JP 2001362773 A JP2001362773 A JP 2001362773A JP 2003160699 A JP2003160699 A JP 2003160699A
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magnesium hydroxide
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thermoplastic resin
mol
interpolymer
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JP2001362773A
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English (en)
Inventor
Kan Uehara
原 完 上
Tomohiko Kimura
村 友 彦 木
Satoru Moriya
屋 悟 守
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)芳
香族ビニルもしくはビニリデンモノマー、および/また
はヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪族ビニルもしくは
ビニリデンモノマーから誘導されるポリマー単位1〜9
9モル%、および少なくとも1種の炭素原子数2〜20
のα- オレフィンから誘導されるポリマー単位1〜99
モル%からなる、実質的にランダムなインターポリマー
たとえばエチレン−スチレン共重合体20〜60重量%
と、(B)少なくとも2種の水酸化マグネシウム40〜
60重量%とを含有してなる。このインターポリマー
(A)は、シラングラフトされていてもよい。 【効果】本発明によれば、低温での耐脆化性に優れると
ともに、引張伸びと引張破断点強度とのバランス、さら
には耐傷付き性に優れた成形体を調製できる、成形性に
優れる熱可塑性樹脂組成物およびその成形体が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成物およ
びその成形体に関し、さらに詳しくは、特に電力ケーブ
ルのシース(鞘またはジャケット)材用および電線被覆
層形成用として好適な熱可塑性樹脂組成物、特にα- オ
レフィン・ビニルもしくはビニリデン化合物共重合体組
成物およびその成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、電力ケーブルのシース材お
よび一部絶縁材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)が多用
され、その柔軟性、難燃性、絶縁性が評価されてきた。
しかしながら、近年ポリ塩化ビニルが抱える環境問題か
ら、塩素、可塑剤を有しないエコ電線(ケーブル)すな
わち環境に配慮した電線(ケーブル)の開発が求められ
ている。
【0003】このような状況下で、ポリオレフィン、酢
酸ビニル共重合体等のベース樹脂に無機充填剤たとえば
単一種類の水酸化マグネシウムを配合した、通称エコ電
線材が開発されたが、水酸化マグネシウムとして滑剤処
理された水酸化マグネシウムをベース樹脂に添加する
と、伸び特性は良好であるものの、耐傷付き性が充分で
ない。また、シラン処理された水酸化マグネシウムをベ
ース樹脂に添加すると、耐傷付き性は良好であるもの
の、伸び特性が充分でない。しかも、このような従来の
電線材は、引張伸びと引張破断点強度とのバランスが必
ずしも十分でなく、しかも、押出性も、ポリ塩化ビニル
に比較して劣っており、生産性の低下につながってい
る。
【0004】そこで、本願発明者らは、上記問題を解決
すべく鋭意検討したところ、(A)芳香族ビニルもしく
はビニリデンモノマー、および/またはヒンダード脂肪
族もしくは環状脂肪族ビニルもしくはビニリデンモノマ
ーから誘導されるポリマー単位1〜99モル%、および
少なくとも1種の炭素原子数2〜20のα- オレフィン
から誘導されるポリマー単位1〜99モル%からなる、
実質的にランダムなインターポリマーたとえばエチレン
−スチレン共重合体20〜60重量%と、(B)滑剤処
理された水酸化マグネシウムとシラン処理された水酸化
マグネシウムとの混合物40〜80重量%とを配合した
熱可塑性樹脂組成物から、低温での耐脆化性に優れると
ともに、引張伸びと引張破断点強度とのバランスに優れ
た成形体を調製することができること、および、上記
(B)成分の代わりに、滑剤処理された水酸化マグネシ
ウムと無処理の水酸化マグネシウムとの混合物を配合し
た熱可塑性樹脂組成物から、引張破断点強度、耐傷付き
性(マルテンス硬度)および低温での耐脆化性に優れる
とともに、引張伸びと引張破断点強度とのバランスに優
れた成形体を調製することができることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、上記のような従来技術
に伴う問題を解決しようとするものであって、低温での
耐脆化性に優れるとともに、引張伸びと引張破断点強度
とのバランスに優れた成形体を調製することができる、
特に電力ケーブル(ないし電線)のシースおよび電線被
覆用途に好適な熱可塑性樹脂組成物、およびその成形体
を提供することにある。
【0006】また、本発明の他の目的は、引張破断点強
度、耐傷付き性(マルテンス硬度)および低温での耐脆
化性に優れるとともに、引張伸びと引張破断点強度との
バランスに優れた成形体を調製することができる、特に
電力ケーブル(ないし電線)のシースおよび電線被覆用
途に好適な熱可塑性樹脂組成物、およびその成形体を提
供することにある。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、
(A)(1)(a)少なくとも1種の芳香族ビニルもし
くはビニリデンモノマー、または(b)少なくとも1種
のヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪族ビニルもしくは
ビニリデンモノマー、または(c)少なくとも1種の芳
香族ビニルもしくはビニリデンモノマーと、少なくとも
1種のヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪族ビニルもし
くはビニリデンモノマーとの組み合わせから誘導される
ポリマー単位 1〜99モル%、および(2)少なくと
も1種の炭素原子数2〜20のα- オレフィンから誘導
されるポリマー単位 1〜99モル%からなる、少なく
とも1種の実質的にランダムなインターポリマー20〜
60重量%と、(B)少なくとも2種の水酸化マグネシ
ウム40〜80重量%とを含有してなることを特徴とし
ている。
【0008】前記インターポリマー(A)としては、少
なくとも1種の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマ
ーから誘導されるポリマー単位5〜65モル%、および
少なくとも1種の炭素原子数2〜20のα-オレフィン
から誘導されるポリマー単位35〜95モル%からな
る、実質的にランダムなインターポリマーが好ましく用
いられ、特にスチレンから誘導されるポリマー単位5〜
65モル%、および少なくとも1種の炭素原子数2〜1
0のα- オレフィンから誘導されるポリマー単位35〜
95モル%からなる、実質的にランダムなインターポリ
マーが好ましく用いられる。
【0009】また、前記インターポリマー(A)とし
て、少なくとも1種の芳香族ビニルもしくはビニリデン
モノマーから誘導されるポリマー単位5〜50モル%、
および少なくとも1種の炭素原子数2〜20のα-オレ
フィンから誘導されるポリマー単位50〜95モル%か
らなる、擬似ランダムなインターポリマーも好ましく用
いられ、特にスチレンから誘導されるポリマー単位5〜
50モル%、および少なくとも1種の炭素原子数2〜1
0のα- オレフィンから誘導されるポリマー単位50〜
95モル%からなる、擬似ランダムなインターポリマー
が好ましく用いられる。
【0010】ここに、擬似ランダムなインターポリマー
の「擬似」とは、特開平7−070223号公報に開示
されているように、インターポリマー分子構造中にビニ
ルもしくはビニリデンモノマーからなるホモポリマーセ
グメントが無いことを意味する。すなわち、擬似ランダ
ムなインターポリマーでは、ビニルもしくはビニリデン
モノマーの頭部から頭部、頭部から尾部への挿入は起こ
らない。
【0011】前記の(B)少なくとも2種類の水酸化マ
グネシウムは、表面処理の異なる少なくとも2種の水酸
化マグネシウムであることが望ましい。上記の、本発明
に係る熱可塑性樹脂組成物は、電線シース(ないし電力
ケーブルのシース)用および電線被覆用に好ましく用い
られる。本発明に係る成形体は、上記の、本発明に係る
熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴としている。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る熱可塑性樹脂
組成物およびその成形体について具体的に説明する。本
発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも1種の実
質的にランダムなインターポリマー(A)、および少な
くとも2種の水酸化マグネシウム(B)を含有してい
る。
【0013】インターポリマー(A) 本発明で用いられるインターポリマー(A)は、(A)
(1)(a)少なくとも1種の芳香族ビニルもしくはビ
ニリデンモノマー、または(b)ヒンダード脂肪族ビニ
ルモノマー、ヒンダード環状脂肪族ビニルモノマー、ヒ
ンダード脂肪族ビニリデンモノマーおよびヒンダード環
状脂肪族ビニリデンモノマーから選ばれる少なくとも1
種、または(c)少なくとも1種の芳香族ビニルもしく
はビニリデンモノマーと、ヒンダード脂肪族ビニルモノ
マー、ヒンダード環状脂肪族ビニルモノマー、ヒンダー
ド脂肪族ビニリデンモノマーおよびヒンダード環状脂肪
族ビニリデンモノマーから選ばれる少なくとも1種との
組み合わせから誘導されるポリマー単位 1〜99モル
%、および(2)少なくとも1種の炭素原子数2〜20
のα- オレフィンから誘導されるポリマー単位 1〜9
9モル%からなる、実質的にランダムなインターポリマ
ーである。
【0014】ここで用いる「インターポリマー」なる用
語は、少なくとも2種類のモノマーを重合してインター
ポリマーとしたときのコポリマーを意味する。ここで用
いる「コポリマー」は、少なくとも2種類のモノマーを
重合してコポリマーとしたときのポリマーを意味する。
ここで用いる、α- オレフィンと、芳香族ビニルモノマ
ー、芳香族ビニリデンモノマー、ヒンダード脂肪族ビニ
ルモノマー、ヒンダード環状脂肪族ビニルモノマー、ヒ
ンダード脂肪族ビニリデンモノマーまたはヒンダード環
状脂肪族ビニリデンモノマーとからなる実質的にランダ
ムなインターポリマーにおける「実質的にランダムな」
とは、ニューヨークのAcademic Press
1977年発行の「POLYMER SEQUENCE
DEDERMINATION,Carbon−13N
MR Method」の71〜78頁にJ.C.Ran
dallが記載しているように、該インターポリマーの
モノマー分布が「ベルヌーリの統計的モデル」により、
または「第1もしくは第2オーダーマルコビアンの統計
的モデル」によって記載できることを意味する。
【0015】好ましくは、少なくとも1種の炭素原子数
2〜20のα- オレフィンと芳香族ビニルもしくはビニ
リデンモノマーとからなる、実質的にランダムなインタ
ーポリマーは、3単位より多い芳香族ビニルもしくはビ
ニリデンモノマー(たとえばスチレンから誘導される繰
り返し単位が4単位以上のスチレンモノマー)のブロッ
ク中に、芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマーの合
計量の15%以上は含有しない。より好ましくは、この
インターポリマーは、高度のアイソタクティシティまた
はシンジオタクティシティによっては特徴づけられな
い。これは、実質的にランダムなインターポリマーの炭
素−13NMRスペクトルにおいてメソジアドシーケン
スまたはラセミジアドシーケンスのいずれかを示す主鎖
メチレンおよびメチン炭素に相当するピーク領域が主鎖
メチレンおよびメチン炭素の合計ピーク領域の75%を
超えるべきでないことを意味する。
【0016】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を調製す
るに適するインターポリマーには、1以上のα- オレフ
ィンを、1以上の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノ
マーおよび/または1以上のヒンダード脂肪族または環
状脂肪族ビニルもしくはビニリデンモノマーと重合させ
て得られたインターポリマーが包含されるが、これには
限定されない。
【0017】好ましいα- オレフィンの例としては、炭
素原子数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましく
は2〜8のα- オレフィンが挙げられる。中でも、エチ
レン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、
1-ヘキセン、および1-オクテンが特に好ましい。これら
のα- オレフィンは芳香族基を含まない。本発明で用い
られるインターポリマーの製造に用いるのに適する芳香
族ビニルもしくはビニリデンモノマーの例としては、次
式で示されるモノマーが挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】この式において、R1は、水素原子および
炭素原子数1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる
原子または基であり、好ましくは水素原子またはメチル
基である。各R2は、独立に水素原子および炭素原子数
1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる原子または
基であり、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0020】Arは、フェニル基、またはハロゲン原
子、炭素原子数1〜4のアルキル基および炭素原子数1
〜4のハロアルキル基からなる群から選ばれる1〜5個
の置換基で置換したフェニル基である。nは、0〜4の
整数であり、好ましくは0〜2、最も好ましくは0であ
る。芳香族モノビニルもしくはモノビニリデンモノマー
の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、α- メ
チルスチレン、t-ブチルスチレン、クロロスチレンなど
があり、これらの全ての異性体も含まれる。特に好まし
い芳香族モノビニルもしくはモノビニリデンモノマーと
しては、スチレンと、その低級アルキル−またはハロゲ
ン−置換誘導体がある。好ましいモノマーには、スチレ
ン、α- メチルスチレン、スチレンの低級アルキル(炭
素原子数1〜4のアルキル)−またはフェニル−環置換
誘導体、たとえばオルソ−、メタ−、パラ−メチルスチ
レン、環置換スチレン、パラ−ビニルトルエンまたはそ
の混合物がある。より好ましい芳香族モノビニルもしく
はモノビニリデンモノマーはスチレンである。
【0021】上記「ヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪
族ビニルもしくはビニリデン化合物」なる語は、次式で
示される化合物に相当する付加重合性のビニルもしくは
ビニリデンモノマーを意味する。
【0022】
【化2】
【0023】この式において、A1は、炭素原子数20
以下の立体的に嵩高い脂肪族または環状脂肪族置換基で
ある。R1は、水素原子および炭素原子数1〜4のアル
キル基からなる群から選ばれる原子または基であり、好
ましくは水素原子またはメチル基である。各R2は、独
立に水素原子および炭素原子数1〜4のアルキル基から
なる群から選ばれる原子または基であり、好ましくは水
素原子またはメチル基である。
【0024】R1とA1は、一緒になって環系を形成して
いてもよい。上記の「立体的に嵩高い」とは、この脂肪
族または環状脂肪族置換基を持つモノマーが標準のチー
グラーナッタ触媒によって、エチレン重合に匹敵する速
度では、通常付加重合できないことを意味する。好まし
いヒンダード脂肪族または環状脂肪族ビニルもしくはビ
ニリデン化合物は、エチレン性不飽和結合を持つ炭素原
子の1つが3級または4級置換されているモノマーであ
る。これらの置換基の例としては、シクロヘキシル、シ
クロヘキセニル、シクロオクテニル等の環状脂肪族基、
またはそれらの環アルキルまたはアリール置換誘導体が
ある。最も好ましいヒンダード脂肪族または環状脂肪族
ビニルもしくはビニリデン化合物は、シクロヘキサンお
よび置換シクロヘキサンの種々の異性体状ビニル−環置
換誘導体、および5-エチリデン-2- ノルボルネンであ
る。特に好ましいのは1-、3-および4-ビニルシクロヘキ
センである。
【0025】本発明で用いる1以上のα- オレフィン
と、1以上の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマー
および/または1以上のヒンダード脂肪族もしくは環状
脂肪族ビニルもしくはビニリデンモノマーとを重合した
インターポリマーは、実質的にランダムなコポリマーで
ある。これらのインターポリマーは、通常少なくとも一
の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマーおよび/ま
たはヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪族ビニルもしく
はビニリデンモノマーを1〜99モル%、好ましくは5
〜65モル%、より好ましくは5〜50モル%、そして
少なくとも1種の炭素原子数2〜20のα- オレフィン
を1〜99モル%、好ましくは35〜95モル%、より
好ましくは50〜95モル%含有する。
【0026】インターポリマー(A)の数平均分子量
(Mn)は、通常10,000以上、好ましくは20,
000〜1,000,000、より好ましくは50,0
00〜500,000である。ところで、実質的にラン
ダムなインターポリマーの製造中に加温下での芳香族ビ
ニルもしくはビニリデンモノマーの単独重合によって幾
分量のアタクチック芳香族ビニルもしくはビニリデンホ
モポリマーが生成しうる。芳香族ビニルもしくはビニリ
デンホモポリマーの存在は、一般的にいって本発明の目
的にとって好ましくなく無視はできない。所望により、
インターポリマーまたは芳香族ビニルもしくはビニリデ
ンホモポリマーのいずれか用の非溶媒を用いて溶液から
選択沈澱させる等の抽出技術により、芳香族ビニルもし
くはビニリデンホモポリマーをインターポリマーから分
離することができる。本発明の目的からすると、芳香族
ビニルもしくはビニリデンホモポリマーの存在量は、イ
ンターポリマーの合計量の20重量%以下、好ましくは
15重量%以下であることが望ましい。
【0027】実質的にランダムなインターポリマーは、
James C.Stevens等が1990年7月3
日出願した米国出願07/545,403(EP−A−
0,416,815に対応)および1995年6月6日
に出願され許可された米国出願08/469,828
(米国特許5,703,187)に記載のようにして製
造することができる。これらの米国出願における、これ
らの全ての開示をここに引用する。これらの重合反応の
好ましい操作条件は、圧力が大気圧〜3,000気圧、
温度が−30〜200℃である。それぞれのモノマーの
自動重合温度より高い温度で重合および未反応モノマー
除去を行なうと、フリーラジカル重合により幾分量のホ
モポリマー重合生成物が生成しうる。
【0028】本発明で用いられる実質的にランダムなイ
ンターポリマーを製造するための好ましい触媒および方
法の例は、EP−A−416,815に対応する199
0年7月3日出願の米国出願07/545,403;E
P−A−514,828に対応する1991年5月20
日出願の米国出願07/702,475;EP−A−5
20,732に対応する1992年5月1日出願の米国
出願07/876,268;1994年5月12日出願
の米国出願08/241,523(米国特許5,47
0,993);米国特許5,055,438;5,05
7,475;5,096,867;5,064,80
2;5,132,380;5,189,192;5,3
21,106;5,347,024;5,350,72
3;5,374,696;5,399,635および
5,556,928に開示されている。これらの全ての
開示をここに引用する。
【0029】本発明で用いられる実質的にランダムなα
- オレフィン/芳香族ビニルもしくはビニリデンインタ
ーポリマーはまた、WO95/32095 John
C.にBradfute等(W.R.Grace &
Co)が記載した方法、WO94/00500にR.
B.Pannell(Exxon ChemicalP
atents,Inc.)が記載した方法、および「P
lastics Technology」、25頁(1
992年9月)に記載されている方法によっても製造す
ることができ、これらの全ての開示もここに引用する。
【0030】また、Francis J.Timmer
s等によって1996年9月4日に出願された米国出願
08/708,809(米国特許5,879,149)
に開示されている、少なくとも一のα- オレフィン/芳
香族ビニル/芳香族ビニル/α- オレフィンテトラドか
らなる実質的にランダムなインターポリマーも好まし
い。これらのインターポリマーは、ピーク対ピークノイ
ズの3倍以上の強度を持つ追加の信号をもつ。これらの
信号は43.75−44.25ppmと38.0−3
8.5ppmの化学シフト範囲に現れる。特にピークが
44.1、43.9および38.2ppmに観察され
る。プロトンテストNMR実験では、43.75−4
4.25ppmの化学シフト領域の信号がメチン炭素
で、38.0−38.5ppm領域の信号がメチレン炭
素であることを示している。
【0031】本発明で用いられる脂肪族α- オレフィン
および芳香族モノビニルもしくはモノビニリデン化合物
からなる擬似ランダムインターポリマーは、1990年
7月3日に出願された米国特許出願第545403号
(ヨーロッパ特許公開第0416815号に対応)に開
示されている。これらのインターポリマーは、−30〜
250℃の温度で、次式で示すような触媒、および所望
により好ましくは共触媒の存在下に重合を行なって製造
することができる。
【0032】
【化3】
【0033】ここで、各Cpは、それぞれの場合独立
に、Mにπ−結合した置換シクロペンタジエニル基であ
り、Eは、炭素またはケイ素原子であり、Mは、元素周
期律表の第IV族金属、好ましくはZrまたはHf、最も
好ましくはZrであり、各Rは、それぞれの場合独立
に、水素原子、またはヒドロカルビル、シラヒドロカル
ビルもしくはヒドロカルビルシリルであって、30以
下、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭
素またはケイ素原子を持つ基であり、各R’は、それぞ
れの場合独立に、水素原子、ハロゲン原子、またはヒド
ロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シラヒドロカルビ
ル、ヒドロカルビルシリルであって、30以下、好まし
くは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素またはケ
イ素原子を持つ基であるか、または2個のR’基が一緒
になってC1-10ヒドロカルビル置換1,3-ブタジエンを形
成しており、mは1または2である。特に好ましい置換
シクロペンタジエニル基としては、次式で示される基が
挙げられる。
【0034】
【化4】
【0035】ここで、各Rはそれぞれの場合独立に、水
素原子、またはヒドロカルビル、シラヒドロカルビルも
しくはヒドロカルビルシリルであって、30以下、好ま
しくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素または
ケイ素原子を持つ基であるか、または2個のR基が一緒
になってこれらの基の2価の誘導体を形成している。好
ましくはRはそれぞれの場合独立に、(異性体がある場
合は全異性体を含め)、水素、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ベンジル、フェニル
またはシリルであるか、または(可能な場合は)2個の
これらR基は一緒になってインデニル、フルオレニル、
テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニルま
たはオクタヒドロフルオレニル等の縮合環系を形成して
いる。
【0036】特に好ましい触媒の具体例としては、ラセ
ミ−(ジメチルシランジイル)-ビス-(2-メチル-4- フ
ェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ラセミ−
(ジメチルシランジイル)-ビス-(2-メチル-4- フェニ
ルインデニル)ジルコニウム1,4-ジフェニル-1,3- ブタ
ジエン、ラセミ−(ジメチルシランジイル)-ビス-(2-
メチル-4- フェニルインデニル)ジルコニウムジ−C
1-4 アルキル、ラセミ−(ジメチルシランジイル)-ビ
ス-(2-メチル-4- フェニルインデニル)ジルコニウム
ジ−C1-4 アルキル、ラセミ−(ジメチルシランジイ
ル)-ビス-(2-メチル-4- フェニルインデニル)ジルコ
ニウムジ−C1-4 アルコキシド、またはそれらの組み
合わせが挙げられる。
【0037】また、以下のチタン系拘束幾何触媒(Tita
nium-based constrained geometrycatalysts)として具
体的には、[N-(1,1-ジメチルエチル)-1,1- ジメチル
-1-[(1,2,3,4,5-η)-1,5,6,7-テトラヒドロ-s-イン
ダセン-1-イル]シランアミナト(2-)-N]チタンジメ
チル;(1-インデニル)(t-ブチルアミド)ジメチル―
シラン チタン ジメチル;((3-t-ブチル)(1,2,3,
4,5-η)-1- インデニル)(t-ブチルアミド)ジメチル
シラン チタン ジメチル;および(3-イソ- プロピ
ル)(1,2,3,4,5-η)-1- インデニル)(t-ブチルアミ
ド)ジメチルシラン チタン ジメチル、またはそれら
の組み合わせ等が挙げられる。
【0038】本発明で用いられるインターポリマーの別
の製造方法は、LongoおよびGrassi.(Ma
kromol.Chem.,Vol.191、2387
−2396頁(1990))、およびD’Anniel
lo等(Journal of Applied Po
lymer Science,Vol.58、1701
−1706頁(1995))に記載されており、そこで
はメチルアルミノオキサン(MAO)およびシクロペン
タジエニルチタントリクロリド(CpTiCl 3 )系
の触媒を用いてエチレンスチレンコポリマーを調製して
いる。また、XuおよびLin(Polymer Pr
eprints,Am.Chem.Soc.,Div.
Polym.Chem.)Vol.35、686、68
7頁(1994))は、MgCl2 /TiCl4/Nd
Cl3/Al(iBu)3 触媒を用いて、スチレンとプ
ロピレンとのランダムコポリマーを調製している。さら
に、Lu等(Journal of Applied
Polymer Science,Vol.53、14
53−1460頁(1994))は、TiCl4/Nd
Cl3/MgCl2/Al(Et)3 触媒を用いるエチ
レンとスチレンとの共重合を報告している。
【0039】ザーネット(Sernets)とミュルハプト(Mulh
aupt)(Macromol. Chem. Phys., v.197, pp. 1071-108
3, 1997)は、Me2Si(Me4Cp)(N-t-ブチル)Ti
Cl2/メチルアルミノキサン、チーグラー・ナッタ触
媒を使用したスチレンとエチレンとの共重合における重
合条件の影響について記述している。 ブリッジ型メタ
ロセン触媒により製造されたエチレン−スチレン共重合
体については、アライ、トシアキと鈴木(Polymer Prepr
ints,Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem.)Vol.38, p.
349, 350, 1997)及び米国特許5,652,315(三
井東圧化学(株))に記載されている。 α- オレフィ
ン/芳香族ビニルモノマーからなるインターポリマー
(例えばプロピレン/スチレンやブテン/スチレン)の
製法については、米国特許5,244,996(三井石
油化学工業(株))または米国特許5,652,315
(三井石油化学工業(株))に記載されており、またド
イツ公報DE19711339A1や米国特許5,88
3,213(電気化学工業(株))などにも記載されて
いる。 上記で開示されたインターポリマー成分調製方
法は参照文献として本発明に組み込まれる。 アリア、
トオル等によりPolymerPreprints Vol. 39, No. 1, Mar
ch 1998において開示されているエチレン/スチレンラ
ンダム共重合体もまた本発明の成分として使用できる。
【0040】本発明に好適に用いられる擬似ランダムイ
ンターポリマーを製造するに好適な触媒および方法の例
は、1990年7月3日に出願された米国特許出願第5
45403号(ヨーロッパ特許公開第0416815
号)、1990年7月3日に出願された米国特許出願5
47718号(ヨーロッパ特許公開第468651
号)、1991年5月20日に出願された米国特許出願
第702475号(ヨーロッパ特許公開第514828
号)、1992年5月1日に出願された米国特許出願第
876268号(ヨーロッパ特許公開第520732
号)、1993年1月21日に出願された米国特許出願
第8003号(米国特許5,374,696)、199
3年6月24日に出願された米国特許出願第82197
号(WO95/00526に対応)、ならびに米国特許
出願第5055436、5057475、509686
7、5064802、5132380および51891
92号の各明細書に開示されており、これらのすべて
は、本発明の参考として引用する。本発明で用いられる
インターポリマー(A)は、シラングラフトされている
ことが好ましい。
【0041】このシラングラフトされたインターポリマ
ー(A)は、シランカップリング剤を用いるとともに、
シラングラフトを促進させるために過酸化物を併用して
調製される。本発明においては、このシラングラフトさ
れたインターポリマー(A)には、シラングラフトされ
ていないインターポリマー(A)、水酸化マグネシウム
(B)、シランカップリング剤および過酸化物を、種々
の従来公知の方法で溶融混合することにより、得られた
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物中に、生成しているシ
ラングラフトされたインターポリマー(A)を含む。
【0042】上記シランカップリング剤としては、具体
的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、γ- メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ- メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γー メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(βー メ
トキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシランなどが挙げられる。中で
も、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
が好ましい。
【0043】シランカップリング剤は、インターポリマ
ー(A)および水酸化マグネシウム(B)の合計100
重量%に対して、通常0.1〜2.5重量%、好ましく
は0.2〜2重量%の割合で用いられる。シランカップ
リング剤を上記割合で用いると、インターポリマー
(A)および水酸化マグネシウム(B)を含む熱可塑性
樹脂組成物を速いシラングラフト速度で、かつ、適度な
シラングラフト度が得られ、その結果、引張伸びと引張
破断点強度とのバランスに優れる成形体、たとえば電線
被覆層を形成することができる。
【0044】本発明では、上記したように、過酸化物
は、インターポリマー(A)のシラングラフト反応を促
すために、シランカップリング剤とともに用いられる。
このよう過酸化物としては、有機ペルオキシド、具体的
には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペ
ルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t- ブチルペル
オキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ペルオキシドベンゾ
エート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブ
チルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(t-ブチ
ルペルオキシド)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ
(t-ブチルペルオキシド)ヘキサン、t-ブチルペルベン
ゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチル
ペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec- オクトエー
ト、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、
t-ブチルペルジエチルアセテート;アゾビスイソブチロ
ニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが挙げられ
る。
【0045】これらのうちでは、ジクミルペルオキシ
ド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ
(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5
- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキ
ルペルオキシドが好ましく用いられる。過酸化物は、イ
ンターポリマー(A)および水酸化マグネシウム(B)
の合計100重量%に対して、通常0.005〜0.1
5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%の割合で
用いられる。過酸化物を上記割合で用いると、シランカ
ップリング剤をインターポリマー(A)にシラングラフ
トさせる反応を適度に促すことができる。
【0046】本発明においては、インターポリマー
(A)は、インターポリマー(A)および水酸化マグネ
シウム(B)の合計100重量%に対して、20〜60
重量%、好ましくは25〜60重量%、さらに好ましく
は25〜50重量%の割合で用いられる。インターポリ
マー(A)を上記割合で用いると、引張伸びと引張破断
点強度とのバランスに優れた成形体を調製することがで
きる、成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0047】水酸化マグネシウム(B) 本発明では、少なくとも2種類の水酸化マグネシウム
(B)が用いられる。本発明で用いられる水酸化マグネ
シウム(B)は、表面処理の異なる少なくとも2種の水
酸化マグネシウムであることが望ましい。このような水
酸化マグネシウム(B)としては、具体的には、(1)
滑剤処理された水酸化マグネシウム(B−1)と無処理
の水酸化マグネシウム(B−2)、または(2)滑剤処
理された水酸化マグネシウム(B−1)とシラン処理さ
れた水酸化マグネシウム(B−3)のいずれかであるこ
とが好ましい。特に、(1)滑剤処理された水酸化マグ
ネシウム(B−1)と無処理の水酸化マグネシウム(B
−2)が好ましい。
【0048】前記の滑剤処理された水酸化マグネシウム
(B−1)と無処理の水酸化マグネシウム(B−2)と
の重量比[(B−1)/(B−2)]は、5/95〜9
5/5、好ましくは20/80〜80/20、さらに好
ましくは20/80〜50/50であることが望まし
い。これらの水酸化マグネシウムを上記範囲内の重量比
で用いると、低温での耐脆化性に優れるとともに、引張
伸びと引張破断点強度とのバランスに優れた成形体を調
製することができる熱可塑性樹脂組成物が得られる。こ
の組成物は、特に電力ケーブル(ないし電線)のシース
および電線被覆用途に好適である。
【0049】また、前記の滑剤処理された水酸化マグネ
シウム(B−1)とシラン処理された水酸化マグネシウ
ム(B−3)との重量比[(B−1)/(B−3)]
は、5/95〜95/5、好ましくは20/80〜80
/20、さらに好ましくは20/80〜50/50であ
ることが望ましい。これらの水酸化マグネシウムを上記
範囲内の重量比で用いると、引張破断点強度、耐傷付き
性(マルテンス硬度)および低温での耐脆化性に優れる
とともに、引張伸びと引張破断点強度とのバランスに優
れた成形体を調製することができる熱可塑性樹脂組成物
が得られる。この組成物は、特に電力ケーブル(ないし
電線)のシースおよび電線被覆用途に好適である。
【0050】水酸化マグネシウムの滑剤処理に際して用
いられる滑剤としては、特に制限はないが、たとえば流
動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワッ
クス等の炭化水素系滑剤;ステアリン酸、オレイン酸、
12- ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸系滑剤;ステア
リルアルコール等の高級アルコール系滑剤;ステアリン
酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等
の脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属せ
っけん系滑剤;ブチルステアレート、グリセリンモノス
テアレート、グリセリンモノオレート等のエステル系滑
剤などが挙げられる。
【0051】これらの滑剤の中でも、ステアリン酸、オ
レイン酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸カルシウム等
の金属せっけん系滑剤が好ましい。水酸化マグネシウム
の滑剤処理方法としては、従来公知の方法、たとえば水
酸化マグネシウムを投入したヘンシェルミキサーを回転
させながら、溶融させた滑剤をヘンシェルミキサー内部
にスプレー噴霧させる方法や、ヘンシェルミキサーに、
水酸化マグネシウムおよび滑剤を入れて、回転させ、そ
の発熱により水酸化マグネシウムの表面を滑剤でコーテ
ィングする方法などの方法が挙げられる。
【0052】また、水酸化マグネシウムのシラン処理に
際して用いられるシラン化合物としては、アルコキシ基
を有するシラン化合物、いわゆるシランカップリング剤
たとえばγ- アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシランなどが挙げられる。水酸化マグネシウ
ムのシラン処理方法としては、従来公知の方法、たとえ
ば水もしくは溶剤に溶解させたシランカップリング剤を
100℃以下に加熱し、この溶液中に水酸化マグネシウ
ムを入れ、よく分散したスラリーを作り、このスラリー
を処理液から分離、乾燥後、150℃以下に一旦加熱処
理した後、さらに300℃以下に加熱するなどの方法が
挙げられる。
【0053】本発明で用いられる滑剤処理された水酸化
マグネシウム(B−1)、無処理の水酸化マグネシウム
(B−2)、シラン処理された水酸化マグネシウム(B
−3)は、それぞれ平均粒子径が0.5〜10μm、好
ましくは0.5〜5μmであることが引張伸びおよび引
張破断点強度等の機械的物性の面から望ましい。本発明
においては、少なくとも2種の水酸化マグネシウム
(B)は、インターポリマー(A)および水酸化マグネ
シウム(B)の合計100重量%に対して、40〜80
重量%、好ましくは40〜75重量%、さらに好ましく
は50〜75重量%の割合で用いられる。少なくとも2
種の水酸化マグネシウム(B)を上記割合で用いると、
低温での耐脆化性に優れるとともに、引張伸びと引張破
断点強度とのバランスに優れた成形体を調製することが
できる熱可塑性樹脂組成物が得られる。特に、滑剤処理
された水酸化マグネシウム(B−1)と無処理の水酸化
マグネシウム(B−2)とを併用すると、上記特性に優
れるだけでなく、さらに耐傷付き性にも優れた成形体を
調製することができる熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0054】熱可塑性樹脂組成物 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記のインターポ
リマー(A)および少なくとも2種の水酸化マグネシウ
ム(B)、および必要に応じてシランカップリング剤、
過酸化物を上述した特定の割合で含有している。本発明
に係る熱可塑性樹脂組成物には、上記のインターポリマ
ー(A)および水酸化マグネシウム(B)、またはイン
ターポリマー(A)、水酸化マグネシウム(B)、シラ
ンカップリング剤および過酸化物の他に、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、滑剤などの添加
剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することが
できる。
【0055】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記
のインターポリマー(A)と、水酸化マグネシウム
(B)と、必要に応じて配合される添加剤とを、種々の
従来公知の方法で溶融混合することにより調製される。
すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記各
成分を同時に、または逐次的に、たとえばヘンシェルミ
キサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボン
ブレンダー等に装入して混合した後、単軸押出機、多軸
押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練す
ることによって得られる。
【0056】これらの内でも、多軸押出機、ニーダー、
バンンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用
すると、各成分がより均一に分散された高品質の熱可塑
性樹脂組成物が得られる。また、これらの任意の段階で
必要に応じて前記添加剤、たとえば酸化防止剤などを添
加することもできる。
【0057】成形体 本発明に係る成形体は、上記のようにして得られる、本
発明に係る熱可塑性樹脂組成物を用い、従来公知の種々
の溶融成形法、たとえば押出成形、回転成形、カレンダ
ー成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの方法に
より、種々の形状に成形することができる。
【0058】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を電線シ
ースおよび電線被覆の用途に使用する場合、本発明に係
る成形体は、電線シースおよび被覆層であり、この電線
シースおよび被覆層は、従来公知の方法たとえば押出方
法により電線の周囲に形成される。上記のようにして得
られる、本発明に係る成形体は、引張伸び(JIS K
6301)が300%以上、通常300〜800%であ
ることが望ましく、引張破断点強度(Ts)(JIS
K 6301)は、10MPa以上であることが望まし
い。また、脆化温度(JIS C 3005)は、0℃以
下、通常−15℃以下であることが望ましい。
【0059】さらに、本発明に係る成形体のマルテンス
硬度(耐傷付き性の指標)は、8以上(1/mm)、好
ましくは10以上(1/mm)であることが望ましい。
マルテンス硬度は、東京衝機社製のマルテンス硬度引掻
硬度試験機を用いて、厚さ3mmの試験片に引っ掻き圧
子20gの荷重を加え試料を引き掻いた時に生じる溝幅
を測定し、その逆数を算出し、その値をマルテンス硬度
(1/mm)とする。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、低温での耐脆化性(耐
寒性)に優れるとともに、引張伸びと引張破断点強度と
のバランスに優れた成形体を調製することができる熱可
塑性樹脂組成物、およびその成形体を提供することがで
きる。特に、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物中のイン
ターポリマー(A)がシラングラフトされている場合、
引張伸びと引張破断点強度とのバランスにより優れた成
形体が得られる。また、水酸化マグネシウムとして滑剤
処理された水酸化マグネシウムと無処理の水酸化マグネ
シウムとを併用した場合には、低温での耐脆化性に優れ
るとともに、引張伸びと引張破断点強度とのバランスに
優れるだけでなく、さらに引張破断点強度および耐傷付
き性(マルテンス硬度)により優れた成形体が得られ
る。
【0061】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、上記
のような効果を有するので、各種成形体、たとえば電線
被覆、テープ、フィルム、シート、パイプ、ブロー成形
体などの用途に好適であり、特に電線シースおよび電線
被覆の用途に好適である。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例により何ら限定されるものではな
い。なお、本発明の実施例、比較例における熱可塑性樹
脂組成物の引張伸び、引張破断点強度、マルテンス硬度
および脆化温度は、下記の試験方法に従って測定した。 (1)引張伸びおよび引張破断点強度 JIS K 6301に準拠して、JIS 3号ダンベル
を用い、スパン間20mm、引張速度200mm/分に
て引張試験を行ない、引張伸びおよび引張破断点強度を
測定した。 (2)マルテンス硬度(耐傷付き性の指標) 東京衝機社製のマルテンス硬度引掻硬度試験機を用い
て、厚さ3mmの試験片に引っ掻き圧子10g、20
g、30g、50gの荷重を加え試料を引き掻いた時に
生じる溝幅を測定し、その逆数を算出し、その値をマル
テンス硬度(1/mm)とした。 (3)脆化温度(低温での耐脆化性の指標) 脆化温度は、JIS C 3005に準拠して、試験を行
ない、測定した。
【0063】また、実施例等で用いたインターポリマー
(エチレン−スチレン共重合体)、滑剤処理された水酸
化マグネシウム、シラン処理された水酸化マグネシウ
ム、無処理の水酸化マグネシウム、シリコーン、カップ
リング剤、開始剤(過酸化物)および滑剤は、次の通り
である。インターポリマー エチレン−スチレン共重合体(インターポリマー)(E
SI-30); スチレン含量:30重量% MI(ASTM D 1238,190℃、2.16荷重):1g/10分滑剤処理された水酸化マグネシウム (1)水酸化マグネシウム(B−1−1); 商品名 キスマ5B、協和化学工業(株)製 平均粒子径:0.6μm (2)水酸化マグネシウム(B−1−2); 商品名 マグシーズN−1、神島化学(株)製 平均粒子径:4μm無処理の水酸化マグネシウム 水酸化マグネシウム(B−2−1); 商品名 UD−650、宇部マテリアルズ(株)製 平均粒子径:2μmシラン処理された水酸化マグネシウム 水酸化マグネシウム(B−3−1) 商品名 キスマ5LH、協和化学工業(株)製 平均粒子径:0.6μmシリコーン ポリオルガノシロキサン; 商品名 SH6018、東レ・ダウコーニング(株)製カップリング剤 ビニルトリメトキシシラン; 商品名 SZ6300、東レ・ダウコーニング(株)製開始剤 1,1-ジ-t- ブチルペルオキシ-3,3,5- トリメチルシクロ
ヘキサン; 商品名 パーヘキサ3M、日本油脂(株)製]滑 剤 (1)滑剤(a) エチレンビスエルカ酸アミド (2)滑剤(b) 商品名 ファルパックL−1014、日本油脂(株)製
【0064】
【実施例1】エチレン−スチレン共重合体(ESI−3
0)36重量部と、滑剤処理された水酸化マグネシウム
(B−1−1)20重量部と、シラン処理された水酸化
マグネシウム(B−3−1)40重量部と、前記シリコ
ーン3重量部と、前記カップリング剤0.8重量部と、
前記開始剤0.03重量部と、前記滑剤(a)1重量部
とを、バンバリーミキサーを用い、樹脂温度190℃で
溶融混練、造粒を行ない、熱可塑性樹脂組成物のペレッ
トを得た。
【0065】得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを
用いて、プレス成形を190℃で行ない、プレス成形体
を得た。得られた成形体について、引張伸び、引張破断
点強度、マルテンス硬度、脆化温度を上記した方法に従
って行なった。その結果を第1表に示す。
【0066】
【比較例1〜2、実施例2および比較例3〜4】実施例
1において、第1表に示す組成割合にした以外は、実施
例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物のペレット、プ
レス成形体を調製した。得られた成形体について、引張
伸び、引張破断点強度、マルテンス硬度、脆化温度を上
記した方法に従って行なった。
【0067】その結果を第1表に示す。
【0068】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守 屋 悟 千葉県市原市千種海岸3 三井化学株式会 社内 Fターム(参考) 4F071 AA15X AA18 AA22X AA67 AA76 AE17 AF13 AF15 AF21 AF25 AF43 BA01 BB03 4J002 BB041 BB101 BB141 BB171 BB191 BC011 BC041 BC081 BC091 BQ001 DE076 FB086 FB096 FD016 GQ01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(1)(a)少なくとも1種の芳香
    族ビニルもしくはビニリデンモノマー、または(b)少
    なくとも1種のヒンダード脂肪族もしくは環状脂肪族ビ
    ニルもしくはビニリデンモノマー、または(c)少なく
    とも1種の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマー
    と、少なくとも1種のヒンダード脂肪族もしくは環状脂
    肪族ビニルもしくはビニリデンモノマーとの組み合わせ
    から誘導されるポリマー単位 1〜99モル%、および
    (2)少なくとも1種の炭素原子数2〜20のα- オレ
    フィンから誘導されるポリマー単位 1〜99モル%か
    らなる、少なくとも1種の実質的にランダムなインター
    ポリマー20〜60重量%と、(B)少なくとも2種の
    水酸化マグネシウム40〜80重量%とを含有してなる
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記インターポリマー(A)が、少なくと
    も1種の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマーから
    誘導されるポリマー単位5〜65モル%、および少なく
    とも1種の炭素原子数2〜20のα- オレフィンから誘
    導されるポリマー単位35〜95モル%からなる、実質
    的にランダムなインターポリマーであることを特徴とす
    る請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記インターポリマー(A)が、スチレン
    から誘導されるポリマー単位5〜65モル%、および少
    なくとも1種の炭素原子数2〜10のα- オレフィンか
    ら誘導されるポリマー単位35〜95モル%からなる、
    実質的にランダムなインターポリマーであることを特徴
    とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記インターポリマー(A)が、少なくと
    も1種の芳香族ビニルもしくはビニリデンモノマーから
    誘導されるポリマー単位5〜50モル%、および少なく
    とも1種の炭素原子数2〜20のα- オレフィンから誘
    導されるポリマー単位50〜95モル%からなる、擬似
    ランダムなインターポリマーであることを特徴とする請
    求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記インターポリマー(A)が、スチレン
    から誘導されるポリマー単位5〜50モル%、および少
    なくとも1種の炭素原子数2〜10のα- オレフィンか
    ら誘導されるポリマー単位50〜95モル%からなる、
    擬似ランダムなインターポリマーであることを特徴とす
    る請求項1または4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記水酸化マグネシウム(B)が、表面処
    理の異なる少なくとも2種の水酸化マグネシウムである
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】前記水酸化マグネシウム(B)が、(1)
    滑剤処理された水酸化マグネシウム(B−1)と無処理
    の水酸化マグネシウム(B−2)、または(2)滑剤処
    理された水酸化マグネシウム(B−1)とシラン処理さ
    れた水酸化マグネシウム(B−3)のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1または6に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】前記水酸化マグネシウム(B)が、(1)
    滑剤処理された水酸化マグネシウム(B−1)と無処理
    の水酸化マグネシウム(B−2)であることを特徴とす
    る請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記の滑剤処理された水酸化マグネシウム
    (B−1)と無処理の水酸化マグネシウム(B−2)と
    の重量比[(B−1)/(B−2)]が5/95〜95
    /5であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】前記の滑剤処理された水酸化マグネシウ
    ム(B−1)とシラン処理された水酸化マグネシウム
    (B−3)との重量比[(B−1)/(B−3)]が5
    /95〜95/5であることを特徴とする請求項7に記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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JP2005336318A (ja) * 2004-05-26 2005-12-08 Shin Etsu Chem Co Ltd ノンハロゲン難燃樹脂組成物

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