JP2003159070A - 魚類低温誘導性プロモーター - Google Patents

魚類低温誘導性プロモーター

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JP2003159070A
JP2003159070A JP2001357880A JP2001357880A JP2003159070A JP 2003159070 A JP2003159070 A JP 2003159070A JP 2001357880 A JP2001357880 A JP 2001357880A JP 2001357880 A JP2001357880 A JP 2001357880A JP 2003159070 A JP2003159070 A JP 2003159070A
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fish
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low temperature
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Tomoaki Yamashita
倫明 山下
Shintairo Imamura
伸太朗 今村
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Fisheries Research Agency
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温刺激によって、魚類中に導入された外来
遺伝子の発現を誘導する低温誘導性プロモーターを提供
することを目的とする。 【解決手段】 低温誘導性のタンパク質であるCDC48を
コードするゼブラフィッシュCDC48遺伝子の上流に存在
するプロモーターを提供する。このプロモーターを外来
遺伝子に連結して魚類細胞に遺伝子導入することによっ
て外来遺伝子を低温下で発現させて整理機能の改変され
た魚類を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚類に導入された
外来遺伝子の発現を制御し得る低温誘導性プロモーター
に関する。さらに、本発明は、低温誘導性プロモーター
と外来遺伝子とを連結した遺伝子構築物及び該遺伝子構
築物を遺伝子導入したトランスジェニック魚類に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のバイオテクノロジーの進歩に伴
い、魚類に異種生物由来の特定の遺伝子を導入するトラ
ンスジェニック技術などの手法を用いて、成長ホルモン
遺伝子を導入して成長ホルモンの血中濃度を高めること
により、成長のよい魚類の作出が試みられており、トラ
ンスジェニックサーモンが実用化のレベルにまで達して
いる(Hew, C and Fletcher, G. L. : Transgenic Fish,
World Scientific, 1992,p. 1-274, Singapore) 。そ
してさらに今後の魚類遺伝子解析の進歩によって、耐病
性、ストレス耐性、成長、肉質など魚類の品質に関わる
性質が明らかにされることが期待される。将来、これら
の有用遺伝子を遺伝子工学的に魚類に導入することによ
り、生理機能や品質をより高めたトランスジェニック魚
類の作出が可能になる。そのため、魚類において外来遺
伝子の発現効率の高いプロモーターの開発が期待されて
いる。これまでに、魚類からはβアクチンプロモーター
や EF1αプロモーターなど常時強く発現するタイプのプ
ロモーターが有用であることが報告されている (木下政
人ら、蛋白質・核酸・酵素、第45巻、17号、p. 2954-29
61、 2001)。これらのプロモーターを用いた場合、外来
遺伝子が常に過剰に発現するため、外来遺伝子産物が魚
類の生理機能や代謝系に有害な影響をもたらす可能性が
ある。さらに、導入遺伝子を目的の時期に特異的に発現
させる手法として熱誘導性熱ショックプロモーターや重
金属誘導性メタロチオネイン遺伝子プロモーター、エス
トロゲン誘導性ビテロゲニンプロモーターなどが魚類で
利用されているが、これらの誘導性プロモーターを誘導
するためには、熱ストレスや薬剤の投与が必要であり
(山下倫明:比較内分泌ニュース、No.88 、p.22-29 、
1998)、このような処理は生体に対して強いストレスと
なるため、利用範囲が限定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するため、低温処理によって、魚類中に導入され
た外来遺伝子の発現を促進する低温誘導性プロモーター
を提供することを目的とする。
【0004】さらに、本発明は、該誘導性プロモーター
に外来遺伝子を連結した遺伝子構築物及びこの遺伝子構
築物を遺伝子導入したトランスジェニック魚類に関す
る。本発明におけるトランスジェニック魚類は、とりわ
け環境耐性や耐病性、魚類の品質に関わる外来遺伝子を
低温条件下で発現させて、生理機能を改変した魚類を提
供することができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、配列表配列番号1の塩基配列とその相補
鎖からなる誘導性プロモーターを提供する。該プロモー
ターは、低温誘導性CDC48タンパク質をコードするゼブ
ラフィッシュCDC48のプロモーター領域であるため、外
来遺伝子に該プロモーター領域を連結すれば、魚体の低
温処理によって、外来遺伝子の発現を誘導することがで
きる。
【0006】すなわち、本発明は次のとおりの遺伝子、
この遺伝子を外来遺伝子に連結した遺伝子構築物及びこ
の遺伝子構築物を遺伝子導入したトランスジェニック魚
類に関する。 (1) 次の(a) 又は(b) の塩基配列からなる遺伝子 (a) 配列表配列番号1で表される塩基配列 (b) 配列表配列番号1で表される塩基配列において1若
しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加さ
れ、かつ低温誘導性プロモーター活性を有する塩基配
列。 (2) 前記(1) に記載の遺伝子と外来遺伝子とが連結して
いる遺伝子構築物。 (3) 前記(2)に記載の遺伝子構築物が遺伝子導入された
トランスジェニック魚類。 (4) 外来遺伝子がレポーター遺伝子である前記(3) に記
載のトランスジェニック魚類。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、配列表配列番号1の塩
基配列とその相補鎖からなる遺伝子である。この遺伝子
はゼブラフィッシュのCDC48 遺伝子のプロモーター領域
に由来するものである。なお、魚類のCDC48 は、本発明
者らによってニジマス培養細胞の低温誘導性タンパク質
として同定されたものである (M.Yamashita,N.Ojima an
d T.Sakamoto:FEBS Letters, 382,261-264(1996)) 。こ
のCDC48 は、酵母の細胞分裂周期遺伝子CDC48 の類縁体
であって、その cDNA は806 残基のアミノ酸をコードし
ており、分子量は97kDa であり、2つのATPaseドメイン
とヌクレオチド結合配列を持っている。ゼブラフィッシ
ュCDC48 の推定アミノ酸配列は哺乳類及び酵母のCDC48
とそれぞれ93%及び63%の相同性を示す。このCDC48 mR
NA及びタンパク質はゼブラフィッシュ胚由来ZE細胞を30
℃から15℃へ低温処理することによって20日後に誘導さ
れる。
【0008】このように、魚類のCDC48タンパク質は、
低温培養下のニジマス培養細胞から単離された低温誘導
性タンパク質として知られている。このタンパク質の低
温誘導性の発現は、遺伝子の転写レベルで誘導されるこ
とが推定されている。
【0009】本発明のプロモーター(以下 CDC48プロモ
ーターと称する)は、前記CDC48遺伝子の上流に位置
し、魚類を20℃以下で飼育・培養した低温条件下で、そ
の発現が誘導される。
【0010】本発明者らは、CD48遺伝子のプロモーター
領域について検討したところ前記のようなプロモーター
を見出し単離することができた。すなわち、本発明のCD
C48プロモーターは、配列表配列番号1に示されている
ように、1206塩基対の塩基配列とその相補鎖からなる。
【0011】この CDC48プロモーターには、 436〜45
3 位に存在するDfd 結合部位; 576〜582 位および 7
42〜751 位に存在するCdxA結合部位; 701〜711 位に
存在するGATAボックス様配列; 752〜760 位に存在す
るCre-BP結合配列; 765〜771 位に存在するE2F結合
配列;817〜832位に存在するC/EBP結合配列;894〜
902 位に存在するTATAボックス配列が含まれる。プロモ
ーター領域及びその相補鎖に含まれるこれらの配列はCD
C48プロモーターの低温誘導性に重要な役割を担ってい
ると考えられる。
【0012】従って、CDC48プロモーター領域の機能に
重要な役割を果たしているこれらの部分、すなわち上記
〜に示した配列以外の配列(以下、「非必須配列」
という)中に欠失、置換、又は付加を行っても、低温誘
導性プロモーターの機能は維持されるものと推定され、
このような修飾を行った遺伝子も本発明の範囲に含まれ
る。各非必須配列に対する欠失、置換は、好ましくは50
%以下の塩基が置換、欠失されるように行う。また、各
非必須配列に対して付加される塩基は、好ましくは各非
必須配列の長さの50% までである。
【0013】CDC48プロモーターは、魚類の低温飼育・
培養条件下で、その下流に連結した遺伝子を誘導するの
で、該プロモーターに目的のタンパク質をコードする遺
伝子を連結して魚類または魚類培養細胞に遺伝子導入す
れば、これらの20℃以下の低温条件下において、前記魚
類または魚類細胞の中で前記の目的のタンパク質を効率
よく高レベルに発現させることが可能となる。
【0014】CDC48プロモーター領域を導入し得る魚類
としては、ゼブラフィッシュ、メダカ、コイ科、サケ
科、ヒラメ、ティラピアなど、養殖魚を含む魚類を例示
することができる。本発明のCDC48プロモーターは、用
途に応じた種々のトランスジェニック魚類を作出するた
めに使用することができる。
【0015】CDC48プロモーター領域に連結すべき外来
遺伝子には、緑色蛍光タンパク質(GFP;green fluores
cent protein)、代謝酵素、筋肉タンパク質、抗菌・抗
ウイルス性因子等をコードする遺伝子及びこれらの組み
合わせが例示できるが、本発明の遺伝子はこれらに限定
されるものではない。
【0016】本発明においては、このCDC48プロモータ
ー領域に所望の遺伝子を連結した遺伝子構築物を作製す
る。そしてこの遺伝子構築物を魚類に遺伝子導入する。
魚類に遺伝子導入するには、受精卵にマイクロインジェ
クション法で顕微注入する方法や培養細胞・受精卵への
電気穿孔法、パーティクルガン法等の当業者に周知の方
法を使用することができる(山下倫明:比較内分泌ニュ
ース、No. 88、p. 22-29、 1998)。
【0017】
【実施例】以下実施例によって、本発明をさらに詳細に
記載するが、この実施例の記載は、いかなる意味におい
ても、請求項に記載した本発明の技術的範囲を限定する
ことを意図するものではない。
【0018】
【実施例1】本実施例では、ゼブラフィッシュCDC48プ
ロモーターのクローニングについて説明する。クローニ
ングは、ゼブラフィッシュCDC48遺伝子のcDNA断片(2.4
kbp)をプローブとしてプラークハイブリダイゼーション
法によって行った(Sambrook, J., Fritsch, E. F., an
d Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual. 2nd edn, Cold Spring Harbor Laboratory
Press, Cold SpringHarbor)。制限酵素部位を含む2
種類のプライマー (5'-AAGCTTCGAT GGCTTCGGGT GGAGAATCCA AAAACG-3'
(配列表配列番号2) および5'-GGATCCTTAT CCGTAAAGAT CATCATCGTT GTC-3'
(配列表配列番号3); 下線部は制限酵素部位を示す)を作製し、ExTaq(宝酒
造株式会社)を用いるPCR法によってゼブラフィッシュC
DC48cDNAを増幅した。このPCR産物を1%アガロースゲル
を用いる電気泳動によって分離したのち,DNA断片を調
製して,pTARGET Mammalian Expression Vector System
(プロメガ社)を用いてpTARGETベクター(プロメガ
社)にサブクローン化した。さらに,このプラスミドDN
Aを制限酵素Hind III およびBamHIを用いて切断したの
ち,1%アガロースゲルを用いて2.4 kbpのDNA断片を分
離し,このDNAバンドからDNA断片を調製した。このcDNA
を,BcaBEST DNA Labeling Kit(宝酒造株式会社)を
用いて,[α-32P]dCTP(AmershamPharmacia Biotech
社)で放射能標識し,プローブとして用いた。ゼブラフ
ィッシュラムダFIX IIゲノムDNAライブラリー(Strata
gene社)を12×9cmの角形シャーレ1枚当たり,2万個
のプラークとなるように,ファージクローンを培養し
た。ナイロンメンブランフィルター(HyBond N+,Amers
ham Pharmacia Biotech社)にファージを転写したの
ち,上述の放射性プローブを用いて,Rapid-Hyb Buffer
(Amersham Pharmacia Biotech社)を使ってハイブリダ
イゼーションを行った。
【0019】反応後,2× SSC buffer(0.3 M NaClを含
む 0.03 Mクエン酸ナトリウム水溶液)で,フィルター
を洗浄したのち,X線フィルムに感光させて,陽性のフ
ァージクローンを同定した。このファージからQIAGEN L
ambda Midi Kit (Qiagen社)を用いて,ファージDNAを
精製した。このDNAを制限酵素Pst Iで消化したのち,サ
ザンブロットによって,制限酵素地図を作製した結果,
10 kbp, 3.4 kbp, 2.5 kbp, 2.0 kbpおよび 0.6 kbpのD
NAバンドが上記のcDNAプローブと反応することがわかっ
た。これらのDNA断片を1%アガロースゲルを用いる電気
泳動で分離したのち,それぞれのDNA断片をゲルから抽
出し,制限酵素Pst Iで切断したプラスミドベクターpBl
uescript II(Stratagene 社)にサブクローニングし
た。これらのクローンの遺伝子配列をABI社373型DNAシ
ークエンサーで解析したところ,3.4 kbpのDNA断片の配
列の一部がCDC48cDNAの5'末端の配列と一致し,その上
流域に本遺伝子のプロモーター配列を見いだした。配列
表の配列番号1に記載の配列を有するゼブラフィッシュ
CDC48の5'上流域1206 bpを得た。該配列は、Dfd結合部
位、CdxA結合部位、GATAボックス様配列、Cre-BP結合配
列、E2F結合配列、C/EBP結合配列、TATAボックス様配列
を含んでいた。
【0020】
【実施例2】本遺伝子の低温処理に伴う発現パターン
を,実施例1で述べたcDNAプローブを用いてノーザンブ
ロット分析で調べた。ゼブラフィッシュ胚由来培養細胞
株であるZE細胞を,直径10cmの細胞培養シャーレ(Corn
ing社)を用いて,5%の牛胎仔血清を含むライボビッツ
L-15培地(GibcoBRL社)で培養した。最適な培養温度30
℃から15℃の低温条件に変化させ,低温下で培養した。
この培養細胞からTRISOLReagent(GibcoBRL社)を用い
て全RNAを抽出した。低温での培養日数の異なる細胞か
ら抽出した全RNAをSambrookらの方法(Sambrook, J., F
ritsch, E. F., and Maniatis, T. (1989) Molecular C
loning: A Laboratory Manual. 2nd edn,Cold Spring H
arbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor)に従っ
て,0.8%アガロースゲルで電気泳動し,ノーザンブロッ
ト分析に供した(図1)。実施例1で述べた放射性のゼ
ブラフィッシュCDC48cDNAプローブを用いて,低温下で
培養したZE細胞におけるCDC48mRNAの発現を調べた。そ
の結果,CDC48mRNAレベルは15℃での低温馴化に伴って
増大した。一方,対照としてHeat shock cognate prote
in HSC70遺伝子の発現を調べたが,低温に伴った変化は
見られなかった。このことから、ゼブラフィッシュCDC4
8遺伝子は転写レベルで低温誘導性を示すことが明らか
となった。
【0021】
【実施例3】本実施例では、実施例1で取得したゼブラ
フィッシュCDC48遺伝子のプロモーターの塩基配列に基
づき、制限酵素部位を含む2種類のプライマー(5'-CGC
GGATCCCTGCAGATTGCTTCTCCCGCAAAAAGATAT-3'(配列表配
列番号4)および5'-CCCCTCGAGGAATTCCTCTGATTAGCGTTAT
GCTTTTGG-3'(配列表配列番号5);下線部は制限酵素
部位を示す)を作製し、ExTaq(宝酒造)を用いるPCR法
によってCDC48プロモーターの末端に制限酵素部位を付
加した。レポーター遺伝子であるGFP遺伝子をコードす
るベクターpEGFP-1(Clontech社)を発現系に用いた。
このCDC48プロモーターDNAを制限酵素BamH1で切断した
のち, BamH1 で切断したpEGFP-1にDNA Ligation Kit V
er. 2(宝酒造株式会社)を用いて連結し,大腸菌DH5α
株に形質転換して,GFPの発現プラスミドを構築した
(図2)。プラスミドDNAとプロモーターDNAとの連結部
分の塩基配列はDNAシークエンサーで分析して確認し
た。この発現プラスミドをゼブラフィッシュZE細胞にエ
レクトロポレーション法(尾島信彦・山下倫明:魚類細
胞への外来遺伝子導入法,動物細胞工学ハンドブック
(日本動物細胞工学会編),朝倉書店,p. 290-291, 20
00)によって,エレクトロポレーターII(Invitrogen
社)を用いて,825 V/cmおよび1000μFの電気条件で電
気パルスを与えて導入した。この培養細胞を10cmの細胞
培養シャーレを用いて,5%の牛胎仔血清を含むライボ
ビッツL-15培地で培養した。培養1日後に,蛍光倒立顕
微鏡(オリンパス光学工業株式会社)でGFPの蛍光発現
が観察された(図3)。このことから,本プロモーター
が転写活性を有することが確認された。
【0022】トランスジェニック魚類の作製は,山下の
方法(山下倫明:比較内分泌ニュース,No. 88, p. 22-2
9, 1998)に従って行った。マイクロインジェクションに
はプラスミドDNAを50 μg/mlになるように滅菌蒸留水で
希釈した。ゼブラフィッシュ(Danio Rerio)の受精卵1
細胞期の細胞質にベクターのDNA溶液をガラスキャピラ
リーを用いて,マイクロインジェクション法により注入
した。DNAを導入した胚を滅菌水中で28.5℃で培養し
た。受精後12時間から48時間の胚を蛍光実体顕微鏡(SZ
X12, オリンパス光学工業株式会社)で観察し,GFPの蛍
光を発する遺伝子導入個体を選別した(図3)。このF0
世代の胚を成魚まで飼育した。孵化した仔魚には培養し
たゾウリムシ,アルテミア幼生および市販配合餌料(テ
トラミンTM,Tetra社)を与えて成魚まで飼育した。成
熟したF0世代の遺伝子導入個体と野生型魚を交配して,
F1世代の受精卵を得た。F0世代の胚の場合と同様に,
蛍光実体顕微鏡下で,GFPの蛍光を発するF1世代の遺伝
子導入個体を選別した。また,このF1世代の胚(受精2
日後)を試料として,抗GFPモノクローナル抗体(Clont
ech社)を用いるウエスタンブロット法(ECLウエスタン
ブロッティング検出システム, Amersham Pharmacia Bi
otech社製)によって導入遺伝子から発現したGFPタンパ
ク質の存在を確認した。このようにして,導入遺伝子が
次世代(F1世代)に伝達され,GFPが発現しているトラ
ンスジェニックゼブラフィッシュを系統化した。
【0023】
【発明の効果】本発明は、魚類において低温下で、その
下流に連結された遺伝子の発現を誘導し得るプロモータ
ーを提供する。該プロモーターは、ゼブラフィッシュCD
C48遺伝子の上流に位置して、低温でCDC48の発現を誘導
するDNA配列である。本発明のプロモーターに所望の外
来遺伝子を連結した遺伝子構築物を魚類に導入すれば、
低温で魚類またはその培養細胞で該外来遺伝子を発現す
る。このように本発明のプロモーターは、魚類に導入し
た外来遺伝子を低温刺激によって作用させることがで
き、魚類の遺伝子工学を展開する上で、多くの目的に適
用し得る。
【0024】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 独立行政法人水産総合研究センター <120> Cold-inducible promoter for fish <130> SUIKEN11 <160> 5
【0025】 <210> 1 <211> 1206 <212> DNA <213> Danio rerio <400> ctgcagaata ataaattaaa gaactttgaa aatctctgat tagcgttatg cttttggaat 60 ggacatgaag ctttgatatt ttacagcatg atcttgaaga attaaaaagg tttgaaatct 120 aggtcaaaga tgaaatgtta cattttaatg tctgttttaa ataagattca cagaagtgat 180 tttatagaca tacaaacagt taaaatagtg tcgccttgaa agtttgaaat aaagttttgg 240 aaaataaaat ctcaaaatat agatgaaata atgtggccat cttcattcag tttaacacat 300 tttttcgata aataaaaaaa aaataaaccc tgtctaacct gcactttaat aaaacatcta 360 aaggaataaa tgatcatggt aaattaattg attaaaaacg tactgctaaa aattactaca 420 aaaatattgg aaactatatg aagacaggaa tacaatgcat atgtgtttcc tgaatgttcc 480 tgtgatcttt ctacagacta atatagatgt tattttcgcc atgttgccta ttataagtat 540 tttatctgac agttttgttg aacacacaca cacacataaa tatatcattg taaaaatttg 600 ttattgttag aaataaatcc aaataaacaa gccactaaaa actgctttac aaagacatga 660 cagttagcca atgtagccta cattttattg tgacagtaat ataagatagg tcttctccag 720 attttctctg cgttacagtt aatttagaaa tattacgcaa catatttggc gcttcgtgta 780 tgttgagatt acctaacttt ggatacagaa acacggccta tttggcaata gactagatgg 840 cattttgaca cttctgctca accgagcaac aatttaatca gatcctccgg agccaataaa 900 aaatagacaa ttcacaacgc agcagaaatt aaaccaatcg caataaaccg tcaaagccac 960 ccagaccaat aatattttag ctcttccgcg attggccaat cggtcgacgc aggatatcgc 1020 gacgtatgct ctgattggct catcattcaa tgggcgagga aacttttttc cccgcagagt 1080 tgatgttagc aagctaatcc agtgcagagg taaagaaaaa aaagctagtg tgaaggttgg 1140 aatcggtcac tcaagagagc tactcatttc catcaactat ttatatcttt ttgcgggaga 1200 agcaat 1206
【0026】 <210> 2 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Primer <400> aagcttcgat ggcttcgggt ggagaatcca aaaacg 36
【0027】 <210> 3 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Primer <400> ggatccttat ccgtaaagat catcatcgtt gtc 33
【0028】 <210> 4 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Primer <400> cgcggatccc tgcagattgc ttctcccgca aaaagatat 39
【0029】 <210> 5 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Primer <400> cccctcgagg aattcctctg attagcgtta tgcttttgg 39
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロモーターによる遺伝子発現の低温
誘導性を示す。ノーザンブロット分析によって、ゼブラ
フィッシュ由来培養細胞において、30℃から15℃へ低温
処理した際に生じるCDC48mRNAの低温誘導性の測定結果
を示す。対照実験として,heat shock cognate protein
HSC70遺伝子のmRNAの測定結果も示す。
【図2】本発明のプロモーターを含む発現プラスミドの
構造を示す模式図を示す。
【図3】本発明のプロモーターの制御下によるGFP蛍光
タンパク質の発現を示す。ゼブラフィッシュ培養細胞
(1)およびトランスジェニックゼブラフィッシュの胚
(2)における導入遺伝子発現による緑色蛍光を観察し
た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(a) 又は(b) の塩基配列からなる遺
    伝子 (a) 配列表の配列番号1で表される塩基配列 (b) 配列表配列番号1で表される塩基配列において1若
    しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換若しくは付加さ
    れ、かつ低温誘導性プロモーター活性を有する塩基配
    列。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の遺伝子と外来遺伝子と
    が連結している遺伝子構築物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の遺伝子構築物が遺伝子
    導入されたトランスジェニック魚類。
  4. 【請求項4】 外来遺伝子がレポーター遺伝子である請
    求項3に記載のトランスジェニック魚類。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112708626A (zh) * 2021-02-01 2021-04-27 浙江省淡水水产研究所 一种乌鳢源金属硫蛋白基因、检测引物、试剂盒及检测方法

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CN112708626A (zh) * 2021-02-01 2021-04-27 浙江省淡水水产研究所 一种乌鳢源金属硫蛋白基因、检测引物、试剂盒及检测方法

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