JP2003155468A - 熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の製造方法及び熱可塑性高分子用紫外線吸収剤 - Google Patents

熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の製造方法及び熱可塑性高分子用紫外線吸収剤

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JP2003155468A
JP2003155468A JP2001354404A JP2001354404A JP2003155468A JP 2003155468 A JP2003155468 A JP 2003155468A JP 2001354404 A JP2001354404 A JP 2001354404A JP 2001354404 A JP2001354404 A JP 2001354404A JP 2003155468 A JP2003155468 A JP 2003155468A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】それ自体が保存性及び耐熱性に優れ、本来的に
透明性を有し且つ高い混練温度及び成形温度を必要とす
るポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートに添
加・混練する場合であっても、その混練工程や混練物の
成形工程における作業性及び作業環境を損なわず、しか
も本来的な透明性を有する成形品を得ることができる熱
可塑性高分子用紫外線吸収剤を製造する方法及び熱可塑
性高分子用紫外線吸収剤を提供する。 【解決手段】特定の環状イミノエステル化合物を実質的
成分とし、且つ酸価を1×10−3〜1の範囲内に、ま
た塩素イオン濃度を1×10−1〜1×10ppmの
範囲内に調製したものを熱可塑性高分子用紫外線吸収剤
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性高分子用紫
外線吸収剤の製造方法及び熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤に関する。熱可塑性高分子から製造されるフィルムや
筐体等の各種成形品は一般に、紫外線暴露により変退色
や強度低下等の品質低下を生じる。このような品質低下
を防止するため、熱可塑性高分子やその成形品には多種
多様な紫外線吸収剤が使用されている。かかる紫外線吸
収剤には、使用時まで長期間に亘って貯蔵される実情と
の関係でそれ自体が保存性に優れ、またなかでも熱可塑
性高分子に添加・混練して用いる場合には、それ自体が
耐熱性に優れると共に熱可塑性高分子との混練工程や混
練物の成形工程における作業性及び作業環境を損なわ
ず、しかも熱可塑性高分子本来の特性、例えば透明性を
低下させることのないものであることが要求される。本
発明は、かかる要求に応える熱可塑性高分子用紫外線吸
収剤の製造方法及び熱可塑性高分子用紫外線吸収剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性高分子用紫外線吸収剤と
しては一般に、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸化合物系紫外
線吸収剤等が使用されている。しかし、これらの紫外線
吸収剤には概して、それ自体が耐熱性に劣るという問題
がある。そこで従来、かかる問題を改善する紫外線吸収
剤として環状イミノエステル化合物が提案されている
(特公昭62−5944、特公昭62−31027)。
しかし、この紫外線吸収剤には、それ自体は耐熱性に優
れているものの、保存性に劣り、またポリエチレンテレ
フタレートやポリカーボネートのように、紫外線吸収剤
との混練温度や混練物の成形温度が高い熱可塑性高分子
に添加・混練して用いる場合には特に、混練工程や成形
工程で昇華して作業性及び作業環境を損ない、しかもポ
リエチレンテレフタレートやポリカーボネートのような
熱可塑性高分子本来の特性、例えば透明性を低下させる
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、それ自体が保存性及び耐熱性に優れ、熱可
塑性高分子に添加・混練する場合であっても熱可塑性高
分子との混練工程や混練物の成形工程における作業性及
び作業環境を損なわず、しかも熱可塑性高分子本来の特
性、例えば透明性を有する成形品を得ることができる熱
可塑性高分子用紫外線吸収剤を製造する方法及び熱可塑
性高分子用紫外線吸収剤を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
前記の課題を解決するべく研究した結果、前記したそれ
自体は公知の環状イミノエステル化合物を製造するとき
に、製造物の酸価及び塩素イオン濃度を所定範囲内とな
るように調製することが正しく好適であることを見出し
た。
【0005】すなわち本発明は、下記のA工程、B工程
及びC工程を経ることを特徴とする熱可塑性高分子用紫
外線吸収剤の製造方法に係る。
【0006】A工程:アントラニル酸とテレフタル酸ジ
クロライドとを溶媒及びアルカリ存在下にアミド化反応
させ、生成したN,N’−ビス(o−カルボキシフェニ
ルテレフタルアミド)を含む固形分を分離する工程。 B工程:A工程で分離した固形分中のN,N’−ビス
(o−カルボキシフェニルテレフタルアミド)と無水酢
酸とを溶媒存在下にイミノエステル化反応させ、生成し
た下記の式1で示される環状イミノエステル化合物を含
む固形分を分離する工程。 C工程:B工程で分離した固形分をアルカリ性溶液で処
理し、更に水洗処理して、下記の式1で示される環状イ
ミノエステル化合物を実質的成分とし、且つ酸価を1×
10−3〜1の範囲内となるように、また塩素イオン濃
度を1×10 〜1×10ppmの範囲内となるよ
うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
収剤を得る工程。
【0007】
【式1】
【0008】また本発明は、下記のa工程及びb工程を
経ることを特徴とする熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の
製造方法に係る。 a工程:無水イサト酸とテレフタル酸ジクロライドとを
溶媒及びアルカリ存在下にイミノエステル化反応させ、
生成した前記の式1で示される環状イミノエステル化合
物を含む固形分を分離する工程。 b工程:a工程で分離した固形分をアルカリ性溶液で処
理し、更に水洗処理して、前記の式1で示される環状イ
ミノエステル化合物を実質的成分とし、且つ酸価を1×
10−3〜1の範囲内となるように、また塩素イオン濃
度を1×10 〜1×10ppmの範囲内となるよ
うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
収剤を得る工程。
【0009】更に本発明は、以上のような本発明に係る
製造方法によって得られる熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤に係る。
【0010】以下、本発明について更に詳細に説明する
が、本発明において、酸価はJIS−K0070により
測定される値を意味し、また塩素イオン濃度はチオシア
ン酸水銀発色法により測定される値を意味する。
【0011】先ず、前記したようなA工程、B工程及び
C工程を経る場合の本発明に係る製造方法について説明
する。A工程は、アントラニル酸とテレフタル酸ジクロ
ライドとを溶媒及びアルカリ存在下にアミド化反応さ
せ、生成したN,N’−ビス(o−カルボキシフェニル
テレフタルアミド)を含む固形分を分離する工程であ
る。アミド化反応に供するアントラニル酸とテレフタル
酸ジクロライドとの割合は特に制限されないが、アント
ラニル酸1モルに対し、テレフタル酸ジクロライドを
0.49〜0.51モルとするが好ましく、0.5モル
とするのがより好ましい。溶媒も特に制限されないが、
アントラニル酸の溶媒としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、水或はこれらの混合溶媒が好ましく、テレフ
タル酸ジクロライドの溶媒としては、アセトン、キシレ
ン等の非プロトン溶媒が好ましい。アルカリも特に制限
されず、これには例えば、1)水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、2)炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、3)炭
酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属
の炭酸水素塩、4)ピリジン等の有機アルカリ等が挙げ
られるが、アルカリとしては前記した溶媒との関係で該
溶媒に溶解するものを適宜選択して使用する。アルカリ
の使用量はアミド化反応により副生する塩酸を100%
中和する量とするのが好ましい。反応温度は10〜80
℃とするのが好ましく、20〜50℃とするのがより好
ましい。反応方法はアントラニル酸とアルカリとの混合
溶液又はスラリーにテレフタル酸ジクロライドの溶液を
加えてアミド化反応させる方法が好ましい。
【0012】A工程ではアントラニル酸とテレフタル酸
ジクロライドとのアミド化反応により、N,N’−ビス
(o−カルボキシフェニルテレフタルアミド)が生成す
る。生成したN,N’−ビス(o−カルボキシフェニル
テレフタルアミド)を含む反応系は、ここで用いる溶媒
やアルカリとの関係で、スラリー状になる場合と溶液状
になる場合とがある。スラリー状になる場合には、濾過
や遠心分離によりN,N’−ビス(o−カルボキシフェ
ニルテレフタルアミド)を含む固形分を分離し、また溶
液状になる場合には、溶媒を留去してN,N’−ビス
(o−カルボキシフェニルテレフタルアミド)を含む固
形分を分離する。かくして分離した固形分はそのままB
工程に供してもよいし、或は副生した塩をある程度除く
ために水洗し、乾燥してからB工程に供してもよい。
【0013】B工程は、A工程で分離した固形分を用
い、該固形分中のN,N’−ビス(o−カルボキシフェ
ニルテレフタルアミド)と無水酢酸とを溶媒存在下にイ
ミノエステル化反応させ、生成した式1で示される環状
イミノエステル化合物(以下、単に環状イミノエステル
化合物という)を含む固形分を分離する工程である。イ
ミノエステル化反応に供する固形分中のN,N’−ビス
(o−カルボキシフェニルテレフタルアミド)と無水酢
酸との割合は、N,N’−ビス(o−カルボキシフェニ
ルテレフタルアミド)1モルに対し、酢酸を通常4〜2
0モルとするが、5〜10モルとするのが好ましい。溶
媒は特に制限されないが、トルエンやキシレン等の芳香
族炭化水素が好ましい。反応温度は100〜180℃と
するのが好ましく、110〜140℃とするのがより好
ましい。反応方法はA工程で分離した固形分に無水酢酸
及び溶媒を加えて還流しつつイミノエステル化反応させ
る方法が好ましい。
【0014】B工程では、N,N’−ビス(o−カルボ
キシフェニルテレフタルアミド)と無水酢酸とのイミノ
エステル化反応により、環状イミノエステル化合物が生
成する。生成した環状イミノエステル化合物を含む反応
系はスラリー状になる。このB工程では、かかるスラリ
ーから、濾過や遠心分離により、環状イミノエステル化
合物を含む固形分を分離する。
【0015】C工程は、B工程で分離した環状イミノエ
ステル化合物を含む固形分をアルカリ性溶液で処理し、
更に水洗処理して、環状イミノエステル化合物を実質的
成分とし、且つ酸価を1×10−3〜1の範囲内となる
ように、また塩素イオン濃度を1×10−1〜1×10
ppmの範囲内となるように調製した調製物から成る
熱可塑性高分子用紫外線吸収剤を得る工程である。
【0016】環状イミノエステル化合物を含む固形分に
対するアルカリ処理及びその後の水洗処理をより具体的
に説明する。ヌッチェフィルター、オリバーフィルタ
ー、フィルタープレス等の濾過機、或はバスケット型遠
心分離機、デカンター型遠心分離機等の遠心分離機を用
いて分離した、環状イミノエステル化合物を含む固形分
の酸価を予め測定しておく。そして先ず、この固形分
に、ここで加えるアルカリを溶解する溶媒、例えば水、
アセトンやメタノール等の水性有機溶媒、或はこれらの
混合溶媒を固形分濃度が20〜30重量%となるよう加
えてスラリーとした後、予め測定しておいた酸価がアル
カリ処理後において1×10−3〜1の範囲内となるよ
うにアルカリを加え、10〜40℃で1〜2時間攪拌し
てアルカリ処理する。そしてアルカリ処理したスラリー
から環状イミノエステル化合物を含む固形分を分離し、
分離した固形分を塩素イオン濃度が1×10−1〜1×
10ppmの範囲内となるように水洗処理する。環状
イミノエステル化合物を含む固形分に対する以上説明し
たようなアルカリ処理は、酸価を調製するためだけでは
なく、後の水洗処理で塩素イオンを取り除き易くするた
めにも重要である。
【0017】アルカリ処理に用いるアルカリは特に制限
されず、これには例えば、1)ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド等の、アル
カリ金属のアルコキシド、2)水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、3)炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム等の、アルカリ金属の炭酸塩、4)
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の、アルカリ
金属の炭酸水素塩、5)アンモニア水、6)テトラメチ
ルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアン
モニウムハイドロオキサイド等の低級アルキル4級アン
モニウム水酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化ナト
リウム、炭酸ナトリウム等の無機のアルカリ金属塩が好
ましい。
【0018】水洗処理の条件も特に制限されないが、水
の使用量としては、固形分の重量に対して3〜20倍量
とするのが好ましく、5〜10倍量とするのがより好ま
しい。また水の温度としては20〜80℃が好ましい。
【0019】以上説明したように、環状イミノエステル
化合物を含む固形分に対してアルカリ処理及び水洗処理
を行なうが、水洗処理後に、固形分を分離及び乾燥し、
酸価及び塩素イオン濃度を測定して、酸価及び塩素イオ
ン濃度が所定範囲内になっていることを確認する。酸価
及び/又は塩素イオン濃度が高い場合には、前記したア
ルカリ処理及び水洗処理を繰り返し行なう。
【0020】かくして、A工程、B工程及びC工程を経
ることにより、環状イミノエステル化合物を実質的成分
とし、且つ酸価を1×10−3〜1の範囲内に、また塩
素イオン濃度を1×10−1〜1×10ppmの範囲
内に調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
収剤を得るが、C工程では、環状イミノエステル化合物
を99.9重量%以上100重量%未満の範囲内で含有
し、且つ酸価を3×10−3〜1×10−1の範囲内と
なるように、また塩素イオン濃度を1.5×10−1
5×10ppmの範囲内となるように調製するのが好
ましい。
【0021】次に、前記したようなa工程及びb工程を
経る場合の本発明に係る製造方法について説明する。a
工程は、無水イサト酸とテレフタル酸ジクロライドとを
溶媒及びアルカリ存在下にイミノエステル化反応させ、
生成した環状イミノエステル化合物を含む固形分を分離
する工程である。イミノエステル化反応に供する無水イ
サト酸とテレフタル酸ジクロライドとの割合は特に制限
されないが、無水イサト酸2モルに対して、テレフタル
酸ジクロライドを0.95〜1.05モルとするのが好
ましい。溶媒も特に制限されず、これには例えば、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の含窒素非
プロトン溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
溶媒、これらの混合溶媒が挙げられるが、なかでもアセ
トンが好ましい。アルカリも特に制限されず、これには
例えば、1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリ金属水酸化物、2)テトラメチルアンモニウムハ
イドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロ
オキサイド等の低級アルキル4級アンモニウム水酸化
物、3)ピリジン等の有機アルカリ等が挙げられるが、
なかでもピリジンが好ましい。これらのアルカリは前記
した溶媒との関係で該溶媒に溶解するものを適宜選択し
て使用する。アルカリの使用量はイミノエステル化反応
により副生する塩酸を100%中和する量とするのが好
ましい。反応温度は10〜80℃とするのが好ましく、
20〜50℃とするのがより好ましい。反応方法は無水
イサト酸とアルカリとの混合溶液又はスラリーにテレフ
タル酸ジクロライドの溶液を加えてイミノエステル化反
応させる方法が好ましい。
【0022】a工程では、無水イサト酸とテレフタル酸
ジクロライドとのイミノエステル化反応により、環状イ
ミノエステル化合物が生成する。生成した環状イミノエ
ステル化合物を含む反応系は、ここで用いる溶媒やアル
カリとの関係でスラリー状になる場合と、溶液状になる
場合とがある。スラリー状になる場合には、濾過や遠心
分離により環状イミノエステル化合物を含む固形分を分
離し、また溶液状になる場合には、溶媒を留去して環状
イミノエステル化合物を含む固形分を分離する。かくし
て分離した固形分はそのままb工程に供してもよいし、
或は副生した塩をある程度除くために水洗し、乾燥して
からb工程に供してもよい。
【0023】b工程は、a工程で分離した環状イミノエ
ステル化合物を含む固形分をアルカリ性溶液で処理し、
更に水洗処理して、環状イミノエステル化合物を実質的
成分とし、且つ酸価を1×10−1〜1の範囲内となる
ように、また塩素イオン濃度を1×10−1〜1×10
ppmの範囲内となるように調製した調製物から成る
熱可塑性高分子用紫外線吸収剤を得る工程である。かか
るb工程は前記したC工程と同じである。
【0024】かくして、a工程及びb工程を経ることに
より、環状イミノエステル化合物を実質的成分とし、且
つ酸価を1×10−3〜1の範囲内に、また塩素イオン
濃度を1×10−1〜1×10ppmの範囲内に調製
した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸収剤を得
るが、b工程では、環状イミノエステル化合物を99.
9重量%以上100重量%未満の範囲内で含有し、且つ
酸価を3×10−3〜1×10−1の範囲内となるよう
に、また塩素イオン濃度を1.5×10−1〜5×10
ppmの範囲内となるように調製するのが好ましい。
【0025】最後に、本発明に係る熱可塑性高分子用紫
外線吸収剤について説明する。本発明に係る熱可塑性高
分子用紫外線吸収剤は、前記したA工程、B工程及びC
工程を経る場合の本発明に係る製造方法、又は前記した
a工程及びb工程を経る場合の本発明に係る製造方法に
よって得られる熱可塑性高分子用紫外線吸収剤である。
【0026】本発明に係る熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤を適用する熱可塑性高分子は特に制限されず、これに
は例えば、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱
可塑性ポリエステル、2)ポリカーボネート、3)ポリ
スチレン、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン重合
体、4)アクリル重合体、5)アミド重合体、6)ポリ
フェニレンエーテル、7)ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、8)ポリオキ
シメチレン、9)ポリフェニレンスルフィド、10)乳
酸重合体、及び11)これらの熱可塑性高分子の任意の
混合物等が挙げられる。なかでも、本発明に係る熱可塑
性高分子用紫外線吸収剤は、高度の透明性を有し、且つ
高い混練温度及び成形温度を必要とする、ポリエチレン
テレフタレート、ポリカーボネートに対して添加・混練
する場合に、効果の発現が高い。本発明に係る熱可塑性
高分子用紫外線吸収剤は、それ自体が保存性及び耐熱性
に優れ、本来的に透明性を有し且つ高い混練温度及び成
形温度を必要とするポリエチレンテレフタレートやポリ
カーボネートに添加・混練する場合であっても、その混
練工程や混練物の成形工程における作業性及び作業環境
を損なわず、しかも本来的な透明性を有する成形品を得
ることができるのである。
【0027】本発明に係る熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤の熱可塑性高分子に対する使用量は特に制限されない
が、それを熱可塑性高分子に添加・混練する場合には通
常、熱可塑性高分子100重量部当たり0.1〜5重量
部の割合となるようにする。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係る熱可塑性高分子用紫
外線吸収剤の製造方法及び熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤の実施形態としては、次の1)〜3)が挙げられる。 1)アントラニル酸とテレフタル酸ジクロライドとをア
セトン及びピリジン存在下にアミド化反応させ、生成し
たN,N’−ビス(o−カルボキシフェニルテレフタル
アミド)を含む固形分を濾別する(A工程)。濾別した
固形分中のN,N’−ビス(o−カルボキシフェニルテ
レフタルアミド)と無水酢酸とをトルエン存在下にイミ
ノエステル化反応させ、環状イミノエステル化合物を含
む固形分を濾別する(B工程)。濾別した固形分をナト
リウムメトキシドメタノール溶液で処理し、更に水洗処
理して、環状イミノエステル化合物を99.93重量%
含有し、且つ酸価を5×10−3に、また塩素イオン濃
度を3×10−1ppmに調製した調製物から成る熱可
塑性高分子用紫外線吸収剤を得る(C工程)。以上のA
工程、B工程及びC工程を経る熱可塑性高分子用紫外線
吸収剤の製造方法。
【0029】2)無水イサト酸とテレフタル酸ジクロラ
イドとをアセトン及びピリジン存在下にイミノエステル
化反応させ、生成した環状イミノエステル化合物を含む
固形分を濾別する(a工程)、濾別した固形分を炭酸ナ
トリウム水溶液で処理し、更に水洗処理して、環状イミ
ノエステル化合物を99.97重量%含有し、且つ酸価
を9×10−2に、また塩素イオン濃度を3×10
pmに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線
吸収剤を得る(b工程)。以上のa工程及びb工程を経
る熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の製造方法。
【0030】3)前記した1)又は2)の製造方法によ
り得られる熱可塑性高分子用紫外線吸収剤。
【0031】以下、本発明の構成及び効果をより具体的
にするため、実施例及び比較例を挙げるが、本発明がこ
れらの実施例に限定されるというものではない。尚、以
下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%
は重量%を意味する。
【0032】
【実施例】試験区分1(熱可塑性高分子用紫外線吸収剤
の製造) ・実施例1 先ず、温度計、攪拌機、還流冷却器及び滴下ロートを備
えた四つ口フラスコに、アントラニル酸13.7g
(0.1モル)、無水炭酸ナトリウム5.19g(0.
049モル)及び水100mlを入れ、10分間攪拌して
溶解した。この四つ口フラスコに、テレフタル酸ジクロ
ライド10.2g(0.05モル)をアセトン300ml
に溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて室温下に1時間か
けて滴下した後、還流下に1時間アミド化反応させて、
N,N’−ビス(o−カルボキシフェニルテレフタルア
ミド)を含む固形分のスラリーを得た。このスラリーか
ら固形分を濾別し、水300mlで水洗した後、乾燥し
て、固形分19.7gを得た(A工程)。次に、乾燥し
た固形分19.7g、無水酢酸102g(1モル)及び
トルエン100mlを四つ口フラスコに入れ、還流下に6
時間イミノエステル化反応させ、室温まで冷却した後、
固形分を濾別した。濾別した固形分をアセトン100ml
で洗浄した後、乾燥して、環状イミノエステル化合物を
含む固形分17.4g(酸価2.3)を得た(B工
程)。最後に、この固形分17g及び水68gをフラス
コに入れ、攪拌下に、1%水酸化ナトリウム水溶液2.
79gを加え、25℃で30分間攪拌してアルカリ処理
をした。アルカリ処理した固形分を濾別し、60℃の温
水160gで水洗処理した。水洗処理した固形分を脱水
した後、100℃の熱風乾燥機で2時間乾燥して、微黄
色粉末16.5gを得た(C工程)。この微黄色粉末を
分析したところ、環状イミノエステル化合物を99.9
6%含有しており、酸価が3×10−3、塩素イオン濃
度が1.5×10−1ppmであった。これを熱可塑性
高分子用紫外線吸収剤(P−1)とした。
【0033】塩素イオン濃度は、チオシアン酸水銀発色
法により、次のように測定した。三角フラスコに熱可塑
性高分子用紫外線吸収剤(P−1)10.0gを精秤
し、イオン交換水10mlを加える。この三角フラスコに
空冷管を装着し、時々振とうしつつ90℃で一時間加温
する。室温まで冷却した後、濾別して濾液を得る。濾液
10mlを試験管に採取し、下記の硝酸第二鉄−硝酸溶液
2ml及び下記のチオシアン酸第二水銀溶液1mlを加えて
振とうする。チオシアン酸第二水銀溶液を加えてから1
0分後に、分光光度計にて460nmの吸光度を測定す
る。別に、試薬特級塩化ナトリウムの標準液を用いて検
量線を作成しておき、この検量線から熱可塑性高分子用
紫外線吸収剤(P−1)に含まれる塩素イオン濃度を求
める。 ・硝酸第二鉄−硝酸溶液:硝酸第二鉄200gを5N硝
酸500mlに溶解したもの チオシアン酸第二水銀溶液:チオシアン酸第二水銀1g
をメチルアルコール250mlに溶解したもの
【0034】・実施例2 先ず、実施例1と同様の四つ口フラスコに、アントラニ
ル酸13.7g(0.1モル)、ピリジン7.74g
(0.098モル)及びアセトン200mlを入れ、10
分間攪拌して溶解した。この四つ口フラスコに、テレフ
タル酸ジクロライド10.2g(0.05モル)をアセ
トン100mlに溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて室温
下に1時間かけて滴下した後、還流下に1時間アミド化
反応させて、N,N’−ビス(o−カルボキシフェニル
テレフタルアミド)を含む固形分のスラリーを得た。こ
のスラリーから固形分を濾別し、水300mlで水洗した
後、乾燥して、固形分17.9gを得た(A工程)。次
に、乾燥した固形分17.9g、無水酢酸102g(1
モル)及びトルエン100mlを四つ口フラスコに入れ、
還流下に6時間イミノエステル化反応させ、室温まで冷
却した後、固形分を濾別した。濾別した固形分をアセト
ン100mlで洗浄した後、乾燥して、環状イミノエステ
ル化合物を含む固形分15.1g(酸価1.4)を得た
(B工程)。最後に、この固形分14g及びメタノール
68gをフラスコに入れ、攪拌下に、1%ナトリウムメ
トキシドメタノール溶液1.88gを加え、25℃で3
0分間攪拌してアルカリ処理した。アルカリ処理した固
形分を濾別し、40℃の温水140gで水洗処理した。
水洗処理した固形分を脱水した後、100℃の熱風乾燥
機で2時間乾燥して、微黄色粉末13.5gを得た(C
工程)。この微黄色粉末を分析したところ、環状イミノ
エステル化合物を99.94%含有しており、酸価が5
×10−3、塩素イオン濃度が3×10−1ppmであ
った。これを熱可塑性高分子用紫外線吸収剤(P−2)
とした。
【0035】・実施例3 先ず、実施例1と同様の四つ口フラスコに、無水イサト
酸16.3g(0.1モル)、ピリジン7.74g
(0.098モル)及びアセトン200mlを入れ、10
分間攪拌して溶解した。この四つ口フラスコに、テレフ
タル酸ジクロライド10.2g(0.05モル)をアセ
トン100mlに溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて室温
下に1時間かけて滴下した後、還流下に1時間イミノエ
ステル化反応させて、環状イミノエステル化合物を含む
固形分のスラリーを得た。このスラリーから環状イミノ
エステル化合物を含む固形分を濾別し、水300mlで水
洗した後、乾燥して、固形分16.2g(酸価3.2)
を得た(a工程)。次に、乾燥した固形分15g及び水
48gをフラスコに入れ、攪拌下に、1%炭酸ナトリウ
ム水溶液4.54gを加え、30℃で30分間攪拌して
アルカリ処理をした。アルカリ処理した固形分を濾別
し、60℃の温水130gで水洗処理した。水洗処理し
た固形分を脱水した後、100℃の熱風乾燥機で2時間
乾燥して、微黄色粉末14.3gを得た(b工程)。こ
の微黄色粉末を分析したところ、環状イミノエステル化
合物を99.92%含有しており、酸価が9×1
−2、塩素イオン濃度が3×10ppmであった。
これを熱可塑性高分子用紫外線吸収剤(P−3)とし
た。
【0036】・実施例4 先ず、実施例1と同様の四つ口フラスコに、アントラニ
ル酸13.7g(0.1モル)、水酸化カリウム5.3
2g(0.095モル)及び水100mlを入れ、10分
間攪拌して溶解した。この四つ口フラスコに、テレフタ
ル酸ジクロライド10.2g(0.05モル)をアセト
ン200mlに溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて室温下
に1時間かけて滴下した後、還流下に1時間アミド化反
応させて、N,N’−ビス(o−カルボキシフェニルテ
レフタルアミド)を含む固形分のスラリーを得た。この
スラリーから固形分を濾別し、水100mlで水洗した
後、乾燥して、固形分19.8gを得た(A工程)。次
に、乾燥した固形分19.8g、無水酢酸102g(1
モル)及びトルエン100mlを四つ口フラスコに入れ、
還流下に4時間イミノエステル化反応させ、室温まで冷
却した後、固形分を濾別した。濾別した固形分をアセト
ン100mlで洗浄した後、乾燥して、環状イミノエステ
ル化合物を含む固形分15.6g(酸価5.1)を得た
(B工程)。最後に、この固形分15g及び水35gを
フラスコに入れ、攪拌下に、1%水酸化カリウム水溶液
7.65gを加え、25℃で30分間攪拌してアルカリ
処理をした。アルカリ処理した固形分を濾別し、60℃
の温水100gで水洗処理した。水洗処理した固形分を
脱水した後、100℃の熱風乾燥機で2時間乾燥して、
微黄色粉末14.35gを得た(C工程)。この微黄色
粉末を分析したところ、環状イミノエステル化合物を9
9.71%含有しており、酸価が8×10−1、塩素イ
オン濃度が9×10ppmであった。これを熱可塑性
高分子用紫外線吸収剤(P−4)とした。
【0037】・比較例1 実施例1で得られた熱可塑性高分子用紫外線吸収剤(P
−1)10g及び1×10−2%水酸化ナトリウム水溶
液1000mlをビーカーに入れ、ホモミキサーで1時間
攪拌した後、固形分を濾別した。濾別した固形分及び水
1000mlをビーカーに入れ、更にホモミキサーで1時
間攪拌した後、固形分を濾別した。以上の操作を合計3
回繰り返して行ない、濾別した固形分を100℃で1時
間乾燥して、微黄色粉末を得た。この微黄色粉末を分析
したところ、環状イミノエステル化合物を100.00
%含有しており、酸価が6×10−4、塩素イオン濃度
が5×10−2ppmであった。これを熱可塑性高分子
用紫外線吸収剤(R−1)とした。
【0038】・比較例2 アルカリ処理を行なわないこと以外は実施例1と同様に
して、微黄色粉末17.0gを得た。この微黄色粉末を
分析したところ、環状イミノエステル化合物を99.2
0%含有しており、酸価が1.4、塩素イオン濃度が
1.8×10ppmであった。これを熱可塑性高分子
用紫外線吸収剤(R−2)とした。
【0039】試験区分2(熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤の紫外線吸収能及び保存性の評価) ・紫外線吸収能 試験区分1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤
1.0mgを、試薬特級1,1,2,2−テトラクロルエ
タン200mlに溶解し、分光光度計(日立製作所社製の
分光光度計U−2000)を用いて350nmの透過率
を測定して、下記の基準で評価した。結果を表1にまと
めて示した。 評価基準 ◎:透過率が25%未満 ○:透過率が25%以上26%未満 △:透過率が26%以上
【0040】・保存性 試験区分1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤1
0gをシャーレにとり、温度40℃で湿度50%の恒温
恒湿器に6か月間保存した。保存前後の熱可塑性高分子
用紫外線吸収剤の酸価を測定し、増加した酸価を下記の
基準により評価した。 評価基準 ◎:増加した酸価が1×10−2未満 ○:増加した酸価が1×10−2以上1×10−1未満 △:増加した酸価が1×10−1以上1未満 ×:増加した酸価が1以上
【0041】試験区分3(熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤をポリエチレンテレフタレートに添加・混練した場合
の評価) 試験区分1で調製した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤を
極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレートに添加
・混練した場合の耐熱性、作業性及び透明性を下記の方
法で評価した。結果を表1にまとめて示した。
【0042】・耐熱性 ポリエチレンテレフタレートチップ100部と試験区分
1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをド
ライブレンドし、2軸エクストルーダーを用いて280
℃で混練しつつ、溶融押し出しし、水冷して、ペレット
とした後、100℃で5時間真空乾燥し、真空乾燥した
ペレット10gを試験管に入れ、300℃のオーブンで
10分間加熱溶融したもの(B)と、60分間加熱溶融
したもの(T)とを用意した。双方の外観を肉眼観察
し、下記の基準で評価した。 評価基準 ○:BとTとに差がなく、Tに焼け等の異常も認められ
ない。 △:BよりもTが僅に黄色化しているが、Tに焼け等の
異常は認められない。 ×:BよりもTが明らかに黄色化しており、Tの一部に
焼けが認められる。
【0043】・作業性 ポリエチレンテレフタレートチップ100部と試験区分
1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをド
ライブレンドし、2軸エクストルーダーを用いて280
℃で混練しつつ、溶融押し出しする操作を6時間連続し
て行ない、エキストルーダーのベント口への付着物の有
無を、溶融押し出し開始から1時間後、3時間後、6時
間後に肉眼観察して、下記の基準で評価した。尚、この
付着物は、主として、操作中に昇華した環状イミノエス
テル化合物が付着したもので、これが多いほど、作業環
境を損なうことにもなる。 評価基準 ◎:6時間後において付着物が認められない。 ○:3時間後において付着物は認められないが、6時間
後において付着物が認められる。 △:1時間後において付着物は認められないが、3時間
後において付着物が認められる。 ×:1時間後において付着物が認められる。
【0044】・透明性 ポリエチレンテレフタレートチップ100部と試験区分
1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをド
ライブレンドし、2軸エクストルーダーを用いて280
℃で混練しつつ、Tダイより溶融押し出しし、約50℃
の冷却ロールで冷却して、厚さ約1mmの非晶性のシート
を作製した。別に、熱可塑性高分子用紫外線吸収剤をブ
レンドしないで同様に作製したシートをブランクとし
て、下記の基準で評価した。 評価基準 ◎:ブランクと同等の透明性を有する。 ○:ブランクと比べて極僅かに曇りがある。 △:ブランクと比べて僅かに曇りがある。 ×:ブランクと比べて明らかに曇りがある。
【0045】試験区分4(熱可塑性高分子用紫外線吸収
剤をポリカーボネートに添加・混練した場合の評価) 試験区分1で製造した熱可塑性高分子用紫外線吸収剤を
ポリカーボネートチップ(帝人化成社製の商品名パンラ
イト)に添加・混練した場合の耐熱性、作業性及び透明
性を下記の方法で評価した。結果を表1にまとめて示し
た。
【0046】・耐熱性 ポリカーボネートチップ100部と試験区分1で製造し
た熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをドライブレン
ドし、2軸エクストルーダーを用いて290℃で混練し
つつ、溶融押し出しし、水冷して、ペレットとした後、
100℃で5時間真空乾燥した。そして以下、試験区分
3と同様に評価した。
【0047】・作業性 ポリカーボネートチップ100部と試験区分1で製造し
た熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをドライブレン
ドし、2軸エクストルーダーを用いて290℃で混練し
つつ、溶融押し出しする操作を6時間連続して行なっ
た。そして以下、試験区分3と同様に評価した。
【0048】・透明性 ポリカーボネートチップ100部と試験区分1で製造し
た熱可塑性高分子用紫外線吸収剤2部とをドライブレン
ドし、2軸エクストルーダーを用いて290℃で混練し
つつTダイより溶融押し出しし、約50℃の冷却ロール
で冷却して、厚さ約1mmのシートを作製した。そして以
下、試験区分3と同様に評価した。
【0049】
【表1】
【0050】表1において、 含有率:熱可塑性高分子用紫外線吸収剤中における環状
イミノエステル化合物の含有率(%) PET:ポリエチレンテレフタレート PC:ポリカーボネート
【0051】表1の結果からも明らかなように、実施例
1〜4の各熱可塑性高分子用紫外線吸収剤はいずれも、
紫外線吸収能、保存性、耐熱性、作業性及び透明性の全
てを充足している。なかでも、環状イミノエステル化合
物の含有率が99.9重量%以上100重量%未満で、
酸価が3×10−3〜1×10−1の範囲内にあり、ま
た塩素イオン濃度が1.5×10−1〜5×10pp
mの範囲内にある実施例1〜3の各熱可塑性高分子用紫
外線吸収剤が優れている。対して比較例1の熱可塑性高
分子用紫外線吸収剤は、実質的に酸価の原因となる酸性
物質や塩素イオンを殆ど含有しない環状イミノエステル
化合物純品から成るものであるが、保存性、作業性及び
透明性が悪い。また比較例2の熱可塑性高分子用紫外線
吸収剤は、酸価の原因となる酸性物質や塩素イオンを多
く含有し、したがって環状イミノエステル化合物の含有
率がそれだけ低いものから成っているが、そもそも紫外
線吸収能に劣り、耐熱性及び透明性が悪い。
【0052】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、それ自体が保存性及び耐熱性に優れ、本来的に
透明性を有し且つ高い混練温度及び成形温度を必要とす
るポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートに添
加・混練する場合であっても、その混練工程や混練物の
成形工程における作業性及び作業環境を損なわず、しか
も本来的な透明性を有する成形品を得ることができると
いう効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市橋 哲夫 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4C056 AA02 AB01 AC02 AD03 AE04 AF01 DA05 DB04 DC01 4J002 CF061 CG001 EU236 FD056

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のA工程、B工程及びC工程を経る
    ことを特徴とする熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の製造
    方法。 A工程:アントラニル酸とテレフタル酸ジクロライドと
    を溶媒及びアルカリ存在下にアミド化反応させ、生成し
    たN,N’−ビス(o−カルボキシフェニルテレフタル
    アミド)を含む固形分を分離する工程。 B工程:A工程で分離した固形分中のN,N’−ビス
    (o−カルボキシフェニルテレフタルアミド)と無水酢
    酸とを溶媒存在下にイミノエステル化反応させ、生成し
    た下記の式1で示される環状イミノエステル化合物を含
    む固形分を分離する工程。 C工程:B工程で分離した固形分をアルカリ性溶液で処
    理し、更に水洗処理して、下記の式1で示される環状イ
    ミノエステル化合物を実質的成分とし、且つ酸価を1×
    10−3〜1の範囲内となるように、また塩素イオン濃
    度を1×10 〜1×10ppmの範囲内となるよ
    うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
    収剤を得る工程。 【式1】
  2. 【請求項2】 C工程において、式1で示される環状イ
    ミノエステル化合物を99.9重量%以上100重量%
    未満の範囲内で含有し、且つ酸価を3×10 −3〜1×
    10−1の範囲内となるように、また塩素イオン濃度を
    1.5×10 −1〜5×10ppmの範囲内となるよ
    うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
    収剤を得る請求項1記載の熱可塑性高分子用紫外線吸収
    剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記のa工程及びb工程を経ることを特
    徴とする熱可塑性高分子用紫外線吸収剤の製造方法。 a工程:無水イサト酸とテレフタル酸ジクロライドとを
    溶媒及びアルカリ存在下にイミノエステル化反応させ、
    生成した下記の式1で示される環状イミノエステル化合
    物を含む固形分を分離する工程。 b工程:a工程で分離した固形分をアルカリ性溶液で処
    理し、更に水洗処理して、下記の式1で示される環状イ
    ミノエステル化合物を実質的成分とし、且つ酸価を1×
    10−3〜1の範囲内となるように、また塩素イオン濃
    度を1×10 〜1×10ppmの範囲内となるよ
    うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
    収剤を得る工程。 【式1】
  4. 【請求項4】 b工程において、式1で示される環状イ
    ミノエステル化合物を99.9重量%以上100重量%
    未満の範囲内で含有し、且つ酸価を3×10 −3〜1×
    10−1の範囲内となるように、また塩素イオン濃度を
    1.5×10 −1〜5×10ppmの範囲内となるよ
    うに調製した調製物から成る熱可塑性高分子用紫外線吸
    収剤を得る請求項1記載の熱可塑性高分子用紫外線吸収
    剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つの項記載の
    製造方法によって得られる熱可塑性高分子用紫外線吸収
    剤。
  6. 【請求項6】 ポリエチレンテレフタレート及び/又は
    ポリカーボネート用のものである請求項5記載の熱可塑
    性高分子用紫外線吸収剤。
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