JP2003155410A - ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物および着雪氷防止部材 - Google Patents

ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物および着雪氷防止部材

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JP2003155410A
JP2003155410A JP2002234704A JP2002234704A JP2003155410A JP 2003155410 A JP2003155410 A JP 2003155410A JP 2002234704 A JP2002234704 A JP 2002234704A JP 2002234704 A JP2002234704 A JP 2002234704A JP 2003155410 A JP2003155410 A JP 2003155410A
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JP2002234704A
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English (en)
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Takemoto Nakai
壮元 中井
Takeshi Sawai
毅 沢井
Seiichiro Tanaka
誠一朗 田中
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Mitsubishi Chemical Corp
Dainippon Shikizai Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Dainippon Shikizai Kogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】降雪時および低温時の着雪氷防止効果と昇温時
の滑雪性能を兼ね備えた組成物を提供する。 【解決手段】少なくとも、特定のケイ素含有化合物とフ
ッ素含有化合物とを含有し、更に、必要に応じ、上記の
特定のケイ素含有化合物100重量部(但しSiO2
算)に対して25重量部以下の割合で他のケイ素含有化
合物を含有する塗膜またはフィルム用のケイ素成分およ
びフッ素成分含有組成物であって、塗膜またはフィルム
とした際、その表面のXPS定量分析による、ケイ素原
子の濃度が2〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が
1〜60原子%であるケイ素成分およびフッ素成分含有
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素成分および
フッ素成分含有組成物および着雪氷防止部材に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、船舶、海洋構造物、航空機類、
車両、家屋、送電鉄塔などの各種の分野においては、積
雪や氷結による被害の防止を目的として、種々の着雪氷
防止塗料が研究されている。
【0003】特に、次の理由により着雪氷防止効果を発
揮するオルガノポリシロキサンの使用は数多くの提案が
ある。すなわち、オルガノポリシロキサン場合は、塗膜
またはフィルムとした際、表面に炭化水素鎖が配列する
ため、表面エネルギーの低い撥水性表面を形成し、ま
た、ガラス転移温度が低いため、−30℃以下でもその
分子運動が凍結されず、氷結の際に水素結合の形成が困
難である。
【0004】そして、特開平2−147688号公報に
は、特定のアルコキシジメチルシロキサンを使用した組
成物が提案され、特開平3−84069号公報には、オ
ルガノポリシロキサンがブリードアウトしたり氷の離脱
と共に剥離することによる着雪氷防止効果の持続性の低
さを改良するため、加水分解性シリル基を有する特定の
有機ケイ素化合物とその他のモノマーから得られる共重
合体に水酸基含有樹脂を併用した組成物が提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来公知の組成物では着雪氷防止効果が十分であるとは
言えない。また、着雪氷防止効果は降雪時に要求される
が、降雪後には次の理由により滑雪性が望まれる。すな
わち、降雪後、気温が上昇すると、建物の屋根などの構
造物表面の積雪は、次第に水分を多く含んだベタ雪状へ
と変化する。そして、斯かるベタ雪は、構造物表面に付
着して剥離し難くなる、つまり滑雪性が低下する。そこ
で、斯かる状態では滑雪性の向上が望まれる。構造物の
勾配が45゜以下の場合は冠雪し易い。従って、滑雪性
に優れていることが特に望まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑み、降雪時および低温時の着雪氷防止効果と昇温時
の滑雪性能を兼ね備えた組成物を提供すべく鋭意検討を
重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、降雪時の
着雪氷防止効果に優れた組成物が必ずしも滑雪性に優れ
ている訳ではない。具体的には、雪と構造物表面との付
着力(着氷力)が小さい方が着雪氷防止には有利であ
る。また、雪と構造物との界面に水が存在すると水の粘
性(潤滑作用)により滑雪し易くなると考えられるが、
従来公知の着雪氷防止剤では表面の親水性が低く滑雪効
果は小さい。
【0007】本発明は、上記の知見を基に更に検討を重
ねた結果、完成されたものであり、その第1の要旨は、
少なくとも、以下に規定するA成分とB成分とを含有
し、更に、必要に応じ、A成分100重量部(但しSi
2換算)に対して25重量部以下の割合でA成分以外
のケイ素含有化合物を含有する塗膜またはフィルム用の
ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物であって、塗膜
またはフィルムとした際、その表面のXPS定量分析に
よる、ケイ素原子の濃度が2〜20原子%であり、フッ
素原子の濃度が1〜60原子%であることを特徴とする
ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物に存する。
【0008】<A成分>:テトラアルコキシシラン(a
1)、その部分加水分解縮合物(a2)、テトラアルコ
キシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に理論水
量以上の水を加えて得られる加水分解縮合物(a3)の
群から選択される1種以上の化合物 <B成分>:フッ素含有化合物
【0009】そして、本発明の第2の要旨は、上記の組
成物にて表面が形成されていることを特徴とする着雪氷
防止部材に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の組成物は、ケイ素成分と
して以下に規定するA成分とフッ素成分として以下に規
定するB成分とを含有する塗膜またはフィルム用のケイ
素成分およびフッ素成分含有組成物である。
【0011】本発明においては、A成分として、テトラ
アルコキシシラン(a1)、その部分加水分解縮合物
(a2)、テトラアルコキシシラン及び/又はその部分
加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる加
水分解縮合物(a3)の群から選択される1種以上の化
合物を使用する。
【0012】上記のテトラアルコキシシラン(a1)
は、オルソケイ酸Si(OH)4の有機エステルであ
り、一般式Si(OR)4(但しRはアルキル基を表
す)で表され、テトラアルキルシリケートとも呼ばれ
る。また、単にアルキルシリケートと呼ばれることもあ
る。
【0013】上記の一般式におけるアルキル基として
は、例えば、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。また、
これらのアルキル基の有する水素原子の一部をフッ素原
子で置換したフッ素化アルキル基であってもよい。ま
た、各アルキル基は同一であっても異なっていてもよ
い。
【0014】特に炭素数1〜4のアルキル基が好適であ
る。滑雪性発現の面からメチル基および/またはエチル
基が好ましく、全てのアルキルがメチル基であることが
更に好ましい。炭素数が4を超えるアルキル基の場合
は、本発明の組成物を均一な塗膜用組成物とするために
必要な有機溶剤の量が多くなる場合があり、しかも、加
水分解性に乏しく、得られる塗膜の屋外曝露に於けるS
iOH基(シラノール基)の生成が著しく緩慢となり、
滑雪性能の発現性が小さくなる傾向がある。
【0015】本発明においては、テトラアルコキシシラ
ン(a1)としては、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライ
ソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テト
ライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン
又はテトラt−ブトキシシランが好適に使用される。
【0016】テトラアルコキシシランの部分加水分解縮
合物(a2)としては、例えば、テトラメトキシシラン
の部分加水分解縮合物であるポリメトキシポリシロキサ
ンとして三菱化学(株)製「MKCシリケートMS5
1」、「MKCシリケートMS56」等が挙げられる。
【0017】テトラアルコキシシラン及び/又はその部
分加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる
加水分解縮合物(a3)は、上記の各成分の加水分解液
として入手することが出来る。ここで、理論水量とは、
アルコキシ基に対して0.5倍モルの水量であり、理論
水量以上の水の量としては、アルコキシ基に対して0.
5〜1倍モルの水量が好ましい。
【0018】前記のA成分の中では、テトラメトキシシ
ラン及び/又はこの部分加水分解縮合物は、加水分解反
応性が高くシラノール基を生成し易い。従って、これら
は、均一な液状組成物を調製するのに使用する後述の溶
媒の量が少なくて済み、危険物に該当せず、滑雪性効果
が高い組成物を容易に得ることができるため、特に好適
である。
【0019】本発明の組成物は、上記のA成分(Si
(OR)4等)以外のケイ素含有化合物として、例え
ば、ケイ素を介して直接結合した有機基を有するケイ素
化合物を含有することが出来る。
【0020】上記のケイ素化合物としては、例えば、各
種のシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロ
ポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチル
トリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシ
シラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメト
キシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルト
リメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソ
プロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベン
ジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロ
キシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル
トリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキ
シシラン等のトリアルコキシシラン化合物が挙げられ
る。
【0021】更に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエ
チルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメ
チルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジト
キシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン
化合物が挙げられる。
【0022】更に、メチルトリクロロシラン、ビニルト
リクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルジ
クロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロ
ロシラン、メチルビニルジクロロシラン、3−クロロプ
ロピルメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラ
ン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン化
合物が挙げられる。
【0023】更に、3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェ
ニレンジアミン、,N,N−ビス〔3−(メチルジメト
キシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビ
ス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジ
アミン、P−〔N−(2−アミノエチル)アミノメチ
ル〕フェネチルトリメトキシシラン等が挙げられる。ま
た、上記の各化合物の部分加水分解縮合物が挙げられ
る。
【0024】A成分(Si(OR)4等)以外のケイ素
含有化合物は、A成分に比し、加水分解可能な官能基量
が少なく、滑雪性発現に寄与する度合いが著しく低い。
従って、斯かるケイ素化合物を使用する場合、その使用
割合は、A成分(Si(OR)4等)100重量部(但
しSiO2換算)に対し、25重量部以下(好ましくは
10重量部以下)に制限される。
【0025】本発明においては、B成分としてフッ素含
有化合物を使用する。フッ素含有化合物としては、フッ
素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、
フッ素樹脂粉末が好適に使用される。これらの中では、
フッ素含有シランカップリング剤が好ましく、更に、フ
ッ素含有シランカップリング剤としては、以下の一般式
(I)で表されるパーフルオロアルキル基含有アルコキ
シシランが好ましい。
【0026】
【化2】 R−X−Si(OR2m(R13-m (I)
【0027】上記の一般式(I)中、Rはパーフルオ
ロアルキル基を表し、Xは二価の結合基を表し、R1
びR2は各々独立してアルキル基を表す。pは1〜4の
整数を表し、mは1〜3の整数を表す。
【0028】上記のパーフルオロアルキル基(R)に
おいて、炭素数は、通常3〜9、好ましくは5〜9、更
に好ましくは6〜8である。斯かるパーフルオロアルキ
ル基としては、例えば、パーフルオロプロピル基、パー
フルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフル
オロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオ
ロオクチル基、パーフルオロノニル基などが挙げられ
る。
【0029】上記の二価の結合基(X)としては、例え
ば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基などのアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基な
どのアリーレン基;−O−C(O)−NH−、−O−R
3−又は−S−R3−で表される基(但しR3はアルキレ
ン基を示す)、更に、これらが結合した基などが挙げら
れる。これらの中では、アルキレン基、−O−C(O)
−NH−、−O−R3−又は−S−R3−で表される基が
好ましく、特にアルキレン基が好ましい。そして、アル
キレン基の中では、炭素数2〜4のアルキレン基が好ま
しく、特にエチレン基またはプロピレン基が好ましい。
【0030】上記のアルキル基のR1及びR2としては、
炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1
〜4のアルキル基である。斯かるアルキル基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基
などが挙げられる。これらの中では、特にメチル基が好
ましい。
【0031】上記の整数pは、好ましくは2又は3であ
り、更に好ましくは2である。また、整数mは、好まし
くは2又は3であり、更に好ましくは3である。
【0032】一般式(I)で表されるフッ素含有シラン
カップリング剤(パーフルオロアルキル基含有アルコキ
シシラン)の具体例としては、1H,1H,2H,2H
−パーフロロヘキシルトリメトキシシラン、1H,1
H,2H,2H−パーフロロヘキシルトリエトキシシラ
ン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロ
ヘキシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2
H,3H,3H−パーフロロヘキシルトリエトキシシラ
ン、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルトリ
メトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロ
オクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2
H,3H,3H−パーフロロオクチルトリメトキシシラ
ン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロ
オクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H
−パーフロロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,
2H,2H−パーフロロデシルトリエトキシシラン、1
H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシル
トリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,
3H−パーフロロデシルトリエトキシシラン1H,1
H,2H,2H−パーフロロヘキシルジメトキシモノメ
チルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロヘキ
シルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,
2H,3H,3H−パーフロロヘキシルジメトキシモノ
メチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−
パーフロロヘキシルジエトキシモノエチルシラン、1
H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルジメトキシ
モノメチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロ
ロオクチルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,
2H,2H,3H,3H−パーフロロオクチルジメトキ
シモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,
3H−パーフロロオクチルジエトキシモノエチルシラ
ン、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルジメト
キシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H−パー
フロロデシルジエトキシモノエチルシラン、1H,1
H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシルジメト
キシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H,3
H,3H−パーフロロデシルジエトキシモノエチルシラ
ン等が挙げられる。
【0033】前記の一般式(I)で表されるフッ素含有
シランカップリング剤は、例えば、フッ素基含有化合物
とアルコキシシリル基含有化合物(シランカップリッン
グ剤)とを反応させて得ることが出来る。
【0034】フッ素基含有化合物としては、例えば、ヘ
キサフルオロイソプロパノール、2(パーフルオロ−n
−ブチル)エタノール、4,4,4トリフルオロ3,3
ジメトキシブタノール、ジメチル2,2,2トリフルオ
ロプロピオニルカルビノール、2(パーフルオロ−n−
ヘキシル)エタノール、3,3,4,4,5,5,6,
6オクタフルオロオクタン1,8ジオール、3(パーフ
ルオロ−n−ヘキシル)の他、一方の末端が上記と同様
のパーフルオロアルキル基であり、他方の末端がイソシ
アネート基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、
反応性二重結合を有する化合物などが挙げられる。
【0035】一方、シランカップリング剤としては、例
えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの他、
イソシアネート基を含有し、末端がトリアルコキシシラ
ンである化合物などが挙げられる。
【0036】フッ素基含有化合物とシランカップリッン
グ剤とを反応させる方法としては、例えば、二重結合を
有する各化合物についてはラジカル重合開始剤を使用し
て共重合させる方法の他、エポキシ基とアミノ基または
カルボキシル基との反応、イソシアネート基と水酸基、
アミノ基またはカルボキシル基との反応などを利用した
公知の方法を採用することが出来る。
【0037】前記のフッ素含有界面活性剤としては、例
えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオ
ロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアン
モニウム塩等の、パーフルオロアルキル基を有するパー
フルオロアルキルオリゴマー、パーフルオルエチレンオ
キサイド付加物、パーフルオルカルボン酸塩などが挙げ
られる。例えば、旭硝子(株)製の「SC−101」や
「SC−105」は、フッ素含有界面活性剤として好適
に使用することが出来る。
【0038】前記のフッ素樹脂粉末としては、例えば四
フッ化エチレン重合体が好適に使用され、その平均分子
量は、通常1,500〜20,000、好ましくは50
0〜15,000であり、その平均粒子径は、通常0.
1〜20μm、好ましくは0.1〜1μmである。
【0039】本発明の組成物は、前記のB成分(フッ素
含有化合物)以外に他の疎水性化合物を含有することが
出来る。他の疎水性化合物としては、シリコン樹脂粉
末、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。シリコ
ン樹脂粉末平均粒子径は、通常0.1〜20μm、好ま
しくは0.1〜1μmとされる。また、シリコーン系界
面活性剤としては、例えば、疎水基としてメチルポリシ
ロキサン、親水基としてポリアルキレンオキサイドを有
するものが挙げられる。具体的には、日本ユニカー
(株)社製の「SILWET L−7001」が好適に
使用される。
【0040】本発明の組成物は、A成分と相溶し得る樹
脂成分を更に含有することが好ましい。斯かる樹脂成分
は、ケイ素成分およびフッ素成分に対してマトリックス
として機能する。A成分と相溶し得る樹脂成分として
は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、飽和または不飽和ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの一般的な樹脂
から選択される1種以上が挙げられるが、以下に説明す
る各種のアクリル樹脂が好適に使用される。
【0041】本発明におけるアクリル樹脂は、ヒドロキ
シル基またはシリル基のうち1種類以上を含有している
ことが好ましい。更に、アクリル樹脂は、適宜、イソシ
アナート基、エポキシ基、カルボキシル基、ジアルキル
アミノエチル基、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基などの置
換基を一種以上を含有させることが出来る。
【0042】上記のヒドロキシル基またはシリル基は、
テトラメトキシシランの部分加水分解物との縮合反応に
利用することが出来、上記のエポキシ基、カルボキシル
基、ジアルキルアミノエチル基などは、基材との密着性
や架橋反応を進める効果がある。
【0043】アクリル樹脂は、各種のアクリル化合物
(単量体)の単独重合体または共重合体として得ること
が出来る。そして、斯かる単量体としては、メタクリル
酸、アクリル酸またはこれらの混合物の他、次の様な各
種のアクリル化合物が挙げられる。
【0044】例えば、アルキル(メタ)アクリレートの
アルキル基(特に炭素数1〜6のアルキル基)にエポキ
シ基が置換された化合物(例えば、グリシジルメタクリ
レート、グリシジルアクリレート等)、メタクリル酸ア
ルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウ
リル等)、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸ラウリル等)、ヒドロキシ基含有(メタ)ア
クリル酸エステル(例えば、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等)、2−
(メタ)アクリロイルオキシアルキルジカルボン酸エス
テル類(例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルコハク酸モノエステル、2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフタル酸モノエステル、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタル酸ジエス
テル等)、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト類(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート
等)、各種のアリルグリシジルエーテル類、モノ(2−
メタクリロイルオキシ)アシッドホスフェート、モノ
(2−アクリロイルオキシ)アシッドホスフェート等が
挙げられる。
【0045】本発明においては、特にシリル基含有アク
リル樹脂(共重合体)が好ましく、特にシリル基がオル
ガノキシシリル基である共重合体が好ましい。
【0046】上記の様なシリル基含有アクリル樹脂は、
次の(1)〜(4)の単量体を共重合させることによっ
て製造することが出来る。
【0047】(1)ビニル基含有アルコキシシラン (2)ビニル基含有ポリシロキサン (3)水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又は
アクリル酸エステル (4)メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エス
テル
【0048】特に、本発明の組成物に最善のコーティン
グ物性を付与するために、上記(1)〜(4)の化合物
の共重合体製造時の使用割合は、ビニル基含有アルコキ
シシラン0.1〜20重量%、ビニル基含有ポリシロキ
サン0.1〜20重量%、水酸基を有するメタクリル酸
エステル及び/又はアクリル酸エステル10〜30重量
%、メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステ
ル40〜80重量%であることが好ましい。
【0049】上記の(3)の具体例としては、アクリル
酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸
ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレング
リコール、アクリル酸グリセロール、アクリル酸2−ヒ
ドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプ
ロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸ポリエチレ
ングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコー
ル、メタクリル酸グリセロール等が挙げられる。
【0050】上記の(4)においてエステル基の炭素数
は1〜12が好ましい。そして、これらの具体例として
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペ
ンチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ビニル、
メタクリル酸アリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸
ステアリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベン
ジル等が挙げられる。
【0051】上記(1)〜(4)の単量体の共重合に際
し、炭素数3以上の有機酸を単量体に混合して使用する
のが好ましく、その使用割合は、単量体および有機酸の
合計量に対する割合として0.1〜5重量%である。ま
た、重合触媒には過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のラジカル開始剤が使用され、その使用割
合は、全単量体の合計量に対する割合として、通常0.
1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。
【0052】共重合は、バルク重合、溶液重合の何れで
もよいが、溶液重合が塗装のための配合工程に最も好ま
しい。溶液重合に使用する有機溶媒としてはアルコール
類が挙げられ、その具体例として、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソ
アミルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が
挙げられる。その他、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類を使用してもよい。アクリル樹脂の製造
(共重合)は、通常、60〜150℃、2〜10時間の
条件下で行われ、アクリル樹脂の分子量は3,000〜
300,000であることが好ましい。
【0053】本発明の組成物には、現場塗装(常温)で
速やかに硬化する造膜性を付与するため、通常、溶媒
(又は分散媒)が配合される。斯かる溶媒としては、ア
ルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル
類、ケトン類、エーテル類などが挙げられる。
【0054】アルコール類としては、メタノール、エタ
ノール、イソプロピルアルコール、nブタノール、イソ
ブタノール、オクタノール等が挙げられ、グリコール誘
導体としては、エチレングリコール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等が挙
げられる。
【0055】炭化水素類としては、ベンゼン、ケロシ
ン、トルエン、キシレン等が挙げられ、エステル類とし
て、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸
メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられ、ケトン類とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、アセチルアセトン等が挙げられ、エーテル類
としては、エチルエーテル、ブチルエーテル、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサン、フラン、テ
トラヒドロフラン等が挙げられる。
【0056】本発明においては、例えば、水−界面活性
剤系の分散媒を使用することも出来る。界面活性剤とし
ては、アニオン、カチオン又はノニオン性の界面活性剤
が一般的である。
【0057】アニオン性界面活性剤としては、カルボン
酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル
塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、1
〜3級アミンの有機酸または無機酸の塩、四級アンモニ
ウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩などが挙
げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタンジ
アルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルのエチ
レングリコール縮合物、脂肪族アルコールポリエチレン
グリコール縮合物、アルキルフェノールポリエチレング
リコール縮合物、ポリプロピレングリコールポリエチレ
ングリコール縮合物などが挙げられる。これらの界面活
性剤は、水−界面活性剤系の分散媒中の割合として、通
常0.1〜5重量%である。分散(乳化)は、適当量の
水を使用し、ホモミキサー、コロイドミル、超音波など
の公知の方法で行なうことが出来る。
【0058】本発明のケイ素成分およびフッ素成分含有
組成物の最大の特徴は、塗膜またはフィルムとした際、
その表面のXPS定量分析によるケイ素原子の濃度が2
〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子
%である点にある。なお、塗膜またはフィルムの表面に
現れる原子種としては、フッ素およびケイ素の他、炭
素、酸素などが挙げられる。
【0059】XPS(XPS:X−ray Photoelectron
Spectroscopy:エックス線光電子分光法)分析は、例
えば、次の(1)及び(2)に示す様な装置および条件
で行なうことが出来る。
【0060】(1)装置としてPHI社製「model
5800」を使用し、その条件として入射X線に単色化
AlKα線(150W、照射ビーム径:800μm)と
電子中和銃を併用して測定する方法。
【0061】(2)装置としてPHI社製の「Quan
tum2000」を使用し、その条件として入射X線に
単色化AlKα線(30.2W、照射ビーム径:150
μm)と電子中和銃を併用して測定する方法。
【0062】本発明の組成物は、上記の条件を満足する
ことにより、特に、−10℃〜−0.1℃の様な広範囲
の温度領域における着雪氷防止効果を発揮する。斯かる
効果は、従来の組成物では得られなかった驚くべき効果
である。
【0063】すなわち、ケイ素原子の濃度が5原子%未
満の場合は、撥水性が向上して水膜形成が困難となり滑
雪性能が低下し、20原子%を超える場合は、水膜が形
成し易くなり着雪し易くなり、しかも、膜が堅くなり割
れ易くなる。フッ素原子の濃度が1原子%未満の場合
は、水膜が成形し易くなって着雪し易くなり、60原子
%を超える場合は、雪の融点(−3〜0℃)で超撥水性
となって水膜形成が不十分となり、着雪し易く且つ滑雪
し難くなる。
【0064】ケイ素原子の濃度は、好ましくは5〜20
原子%であり、更に好ましくは10〜20原子%であ
り、特に好ましくは10〜15原子%である。フッ素原
子のモル濃度は、好ましくは5〜40原子%、更に好ま
しくは10〜30原子%、特に好ましくは20〜30原
子%である。
【0065】本発明の組成物においては、ケイ素原子に
対するフッ素原子の原子比が0.1〜30であることが
好ましい。斯かる原子比は、好ましくは0.5〜10、
更に好ましくは1〜5である。上記の原子比が0.1未
満の場合は、着雪氷防止能低下の傾向が強まり、30を
超える場合は、水膜形成が困難となり、滑雪性が低下す
る傾向が強まる。
【0066】塗膜またはフィルムの表面が前記の条件を
満足する本発明の組成物は、前記のA成分とB成分とを
均一に混合することにより調製される。この際、前記の
A成分100重量部(但しSiO2換算)に対し、前記の
B成分は、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜
50重量部の割合で配合される。B成分の割合が0.1
重量部未満での場合は、着雪氷防止効果が低く、100
重量部を超える場合は、塗膜の強度、基材に対する付着
性が低下する。
【0067】前記のアクリル樹脂を使用する場合、その
使用割合は、ケイ素原子100重量部(但しSiO2換
算)に対する割合として、通常20〜2,000重量
部、好ましくは30〜1,000重量部、更に好ましく
は50〜400重量部である。アクリル樹脂の配合量が
少ない場合は、造膜後の塗膜にクラック発生する危険性
があり、逆に多すぎる場合は、耐擦傷性、耐酸性雨性、
耐汚染性が劣る。
【0068】また、前記の溶媒または分散媒を使用する
場合、その使用割合は、全組成物中のケイ素原子(但し
SiO2換算)の濃度を考慮して決定される。すなわち、
全組成物中のケイ素原子(但しSiO2換算)の濃度は、
通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上
とされる。ケイ素原子の濃度が0.05重量%未満の場
合は、滑雪性および着雪氷防止効果の発現性が乏しくな
る。通常、ケイ素原試qの濃度の上限は20重量%であ
る。
【0069】本発明においては、水とアルコール等の溶
媒を配合した組成物が推奨される。水の配合は、前記の
A成分(Si(OR)4等)を加水分解してシラノール
基を形成させ、親水性効果を増進させる効果がある。各
成分の配合割合は次の通りである。すなわち、前記のA
成分100重量部に対し、水は、通常1〜100重量
部、好ましくは10〜50重量部、アルコール等の溶媒
は、通常100〜5,000重量部、好ましくは500
〜2,000重量部とされる。
【0070】本発明の組成物は、塗膜またはフィルムと
した際、前記のA成分とB成分とが表面において相溶
し、均一に分散している。従って、本発明の組成物は、
屋外に暴露して雪氷との接触および摩擦を繰り返し受け
た場合、上記の各成分の脱落、摩耗、減少などが起ら
ず、効果の持続性が高い。
【0071】本発明の組成物は、各種の基材に塗布され
着雪氷防止部材として使用される。基材としては、例え
ば、屋根、電線、電線用鉄塔、道路標識、船舶、航空機
の機体、翼等、自動車や列車の車両、ガラス、ソーラー
パネル、樹脂塗膜を有する屋外品などが挙げられる。ま
た、本発明の組成物は、金属、ガラス、有機塗膜、樹脂
成型品、各種の積層体(複合体)など任意の素材に適用
することが出来、特に、積層体としては、合成樹脂シー
トの両面に金属シートを積層した複合体(例えば三菱化
学産資株式会社の商品名「アルポリック」等)が好適に
使用される。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
すいるが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、以下の例にお
いて、使用した試薬は次の通りである。
【0073】(1)A成分:テトラメトキシシランの部
分加水分解縮合物であるポリメトキシポリシロキサン
(三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」)
【0074】(2)B成分:フッ素含有シランカップリ
ング剤(信越化学工業(株)製「KBM7803」:ヘ
プタデカフルオロデシルトリメトキシシラン)又はフッ
素含有界面活性剤(旭硝子(株)製「サーフロンSC−
101」)
【0075】(3)アクリル樹脂:メタクリル酸エステ
ル共重合体(昭和高分子(株)製「A−52−40」)
アクリル共重合体(日本合成化学工業(株)製「C−6
880」)シリコーン変成アクリル樹脂(チッソ(株)
製「SCT−8101」)
【0076】(4)混合溶剤(A):工業用エタノール
33.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート34.0重量部、キシレン13.3重量
部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.3
重量部、イソプロピルアルコール6.2重量部(合計1
00.0重量部)から成る混合溶剤
【0077】(5)混合溶剤(B):工業用メタノール
33.0重量部、アセト酢酸メチル34.0重量部、メ
チルイソブチルケトン13.0重量部、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル13.0重量部、イソプロピ
ルアルコール7.0重量部(合計100.0重量部)か
ら成る混合溶剤
【0078】(6)有機金属触媒:アセチルアセトンア
ルミニウム
【0079】また、以下の例で採用したXPS定量分析
法および実暴露試験方法は次の通りである。
【0080】<XPS定量分析法>実施例1及び比較例
1については、明細書の本文に記載した(1)の方法を
採用し、実施例2〜12については、明細書の本文に記
載した(2)の方法を採用した。
【0081】<天然雪に対する暴露試験方法>北海道工
業試験所内にある暴露台に試験塗膜を水平から45゜の
角度をつけて設置し、試験塗膜上における冠雪量の程度
(冠雪の面積割合)を目視観察し、雪無しの場合を
「0」、全面冠雪の場合を「10」とする11段階で評
価した。
【0082】<人工雪に対する暴露試験方法>人工降雪
室内にある暴露台に試験塗膜を水平から45゜の角度を
つけて設置し、人工降雪機により、気温−10℃(塗膜
表面温度)、降雪速度2.5cm/hrの条件で新雪相
当(密度0.15g/ml)の雪を降らせ、試験塗膜上
における冠雪量の程度(冠雪の面積割合)を目視観察
し、雪無しの場合を「0」、全面冠雪の場合を「10」
とする11段階で評価した。
【0083】実施例1 混合溶剤(A)45.2重量部、ポリメトキシポリシロ
キサン3.4重量部、イオン交換水1.0重量部、有機
金属触媒0.3重量部を室温にて撹拌して十分に混合
し、65℃にて2時間熟成した。その後、40℃まで冷
却した後、混合溶剤(A)45.2重量部、フッ素含有
シランカップリング剤0.5重量部、メタクリル酸エス
テル共重合体3.6重量部を逐次添加して塗布液(1)
を得た。次いで、アルミ板に塗布液(1)を乾燥厚さが
2μmとなる様に均一に塗布し、室温で7日間乾燥させ
て硬化させた。そして、2001年2月24日から3月
8日までの間、天然雪に対する暴露試験を行った。表1
及び表2に塗膜のXPS定量分析の結果および天然雪に
対する暴露試験の結果を示す。
【0084】比較例1 実施例1において、フッ素含有シランカップリング剤
0.5重量部の代わりに、フッ素含有界面活性剤1.6
7重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして
塗布液(2)を得た。そして、実施例1と同様に天然雪
に対する暴露試験を行なった。表1及び表2に塗膜のX
PS定量分析の結果および天然雪に対する暴露試験の結
果を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】天然雪に対する暴露試験の結果から次のこ
とが考察された。すなわち、−7℃付近での着氷雪防止
効果は明らかに実施例1が優れており、試験板には降雪
時にも積雪せず、着雪氷防止効果が優れていた。一方、
−3℃付近での滑雪性能は実施例と比較例で顕著な差は
見られなかった。以上のことから、本発明の組成物を使
用した場合、滑雪性も有し、降雪時の着雪氷も防止で
き、滑雪性と着雪氷防止性を両立できることが分かる。
【0088】実施例2〜7 混合溶剤(B)56.68重量部、ポリメトキシポリシ
ロキサン30.77重量部、有機金属触媒のメタノール
溶液(濃度5重量%)6.15重量部を室温にて撹拌し
て十分に混合した。次いで、イオン交換水6.5重量部
を添加して5分撹拌した後、60℃で2時間撹拌を続行
した。その後、表3に記載のアクリル樹脂を同表に示す
量添加し、60℃で2時間撹拌を続行した。次いで、表
3に記載のフッ素含有化合物を同表に示す量添加し、6
0℃で2時間撹拌を続行した。次いで、室温まで冷却し
た後、表3に示す量の混合溶剤(B)(希釈用)を添加
して塗布液を得た。次いで、アルミ板に塗布液を乾燥厚
さが2μmとなる様に均一に塗布し、室温で7日間乾燥
させて硬化させた。そして、人工雪に対する暴露試験を
行った。表3に暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結
果および人工雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0089】実施例8 実施例2において、表4に記載の試薬を同表に示す量で
使用したこと以外は、実施例2と同様にして塗布液を
得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に暴露試験
前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対する
暴露試験の結果を示す。
【0090】実施例9 実施例2において、アクリル樹脂とフッ素含有化合物の
添加順序を逆にしたこと以外は、実施例2と同様にして
塗布液を得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に
暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪
に対する暴露試験の結果を示す。
【0091】実施例10〜12 実施例2において、希釈用混合溶剤(B)の添加後に表
4に示す量のフッ素含有界面活性剤を添加して室温で1
時間撹拌したこと以外は、実施例2と同様にして塗布液
を得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に暴露試
験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対す
る暴露試験の結果を示す。ただし、実施例11及び12
においては、フッ素含有シランカプリング剤および希釈
用混合溶剤(B)の使用量を表4に示す様に変更した。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【発明の効果】本発明により、降雪時および低温時の着
雪氷防止効果と昇温時の滑雪性能を兼ね備えた組成物が
提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/18 C09K 3/18 (72)発明者 沢井 毅 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 田中 誠一朗 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4H020 AB01 4J002 BG042 BG052 CP021 EX017 EX026 EX036 EX037 EX067 EX077 GL00 HA05 4J038 CL001 CL002 DL021 DL022 GA15 JC31 JC32 JC35 JC36 KA03 KA09 NA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、以下に規定するA成分とB
    成分とを含有し、更に、必要に応じ、A成分100重量
    部(但しSiO2換算)に対して25重量部以下の割合
    でA成分以外のケイ素含有化合物を含有する塗膜または
    フィルム用のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物で
    あって、塗膜またはフィルムとした際、その表面のXP
    S定量分析による、ケイ素原子の濃度が2〜20原子%
    であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子%であること
    を特徴とするケイ素成分およびフッ素成分含有組成物。 <A成分>:テトラアルコキシシラン(a1)、その部
    分加水分解縮合物(a2)、テトラアルコキシシラン及
    び/又はその部分加水分解縮合物に理論水量以上の水を
    加えて得られる加水分解縮合物(a3)の群から選択さ
    れる1種以上の化合物 <B成分>:フッ素含有化合物
  2. 【請求項2】 ケイ素原子に対するフッ素原子の原子比
    が0.1〜30である請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 フッ素含有化合物がフッ素含有シランカ
    ップリング剤またはフッ素含有界面活性剤である請求項
    1又は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 フッ素含有シランカップリング剤が以下
    の一般式(I)で表されるパーフルオロアルキル基含有
    アルコキシシランである請求項3に記載の組成物。 【化1】 R−X−Si(OR2m(R13-m (I) (一般式(I)中、Rはパーフルオロアルキル基を表
    し、Xは二価の結合基を表し、R1及びR2は各々独立し
    てアルキル基を表す。pは1〜4の整数を表し、mは1
    〜3の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 A成分と相溶し得る樹脂成分を更に含有
    する請求項1〜4の何れかに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂成分がシリル基含有アクリル樹脂で
    ある請求項5に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 シリル基がオルガノキシシリル基である
    請求項6に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかに記載の組成物に
    て表面が形成されていることを特徴とする着雪氷防止部
    材。
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