JP2003154445A - マグネシウム合金の鋳造方法 - Google Patents

マグネシウム合金の鋳造方法

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JP2003154445A
JP2003154445A JP2001352696A JP2001352696A JP2003154445A JP 2003154445 A JP2003154445 A JP 2003154445A JP 2001352696 A JP2001352696 A JP 2001352696A JP 2001352696 A JP2001352696 A JP 2001352696A JP 2003154445 A JP2003154445 A JP 2003154445A
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Hideo Mizukami
英夫 水上
Minoru Ishikawa
稔 石川
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マグネシウム合金を鋳塊に鋳造する際に、鋳塊
上部の引け巣の生成を抑制する鋳造方法の提供。 【解決手段】マグネシウム合金の溶湯を鋳型内に注入す
る前に、下記(イ)式および(ロ)式を満足する条件で
鋳型上部を加熱する。 A≧20% ・・・(イ)、B≧100℃ ・・・
(ロ)、 ここで、A=(a/h)×100であり、aは湯面相当
位置を含む加熱する鋳型上部の長さ、hは注入直後の鋳
型内の湯面の全高さ、Bは加熱する部分の鋳型内表面の
温度である。また、別の方法として、鋳塊の上部に未凝
固の溶湯が存在する間に、その鋳塊の上部に圧力を付与
し始め、圧力を付与したまま凝固を完了させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウム合金
の溶湯を鋳塊に鋳造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金は、密度がアルミニウ
ム合金の約2/3で、実用金属材料中最も軽量であり、
切削性もよく、強度/密度の比が高く、また精錬法の進
歩により地金の純度が向上し耐食性のよいものが得られ
るようになり、自動車用、航空機用の材料として注目さ
れている。
【0003】マグネシウム合金は、通常、燃料ガスの燃
焼熱などを熱源とした密閉式るつぼ炉などを用いて溶解
される。その後、成分調整されたマグネシウム合金の溶
湯は、たとえば、製品に近い形状の精密な鋳型内に注入
(ダイカスト法)されたり、最終製品に加工するための
中間素材としての鋳塊を得るための鋳型内に注入(イン
ゴット法)される。
【0004】ダイカスト法では、溶湯に圧力を加えて精
密な鋳型内に溶湯を注入し、製品に近い形状の鋳物が鋳
造される。溶湯を加圧する目的は、精密な鋳型の細部に
まで溶湯を充填するためである。鋳造された鋳物は、切
削等の加工を施して最終製品に仕上げられる。しかし、
この方法は小型の鋳物を鋳造するのに適しているが、大
型の鋳物、板状の製品などを鋳造するには適していな
い。
【0005】大型の鋳物、板状の製品などには、最終製
品に加工するための中間素材としての鋳塊を得るインゴ
ット法が適している。鋳塊を得るインゴット法では、通
常、鉄製の鋳型が用いられ、マグネシウム合金の溶湯は
鋳型の上部または下部から鋳型内に注入される。注入さ
れた溶湯は鋳型内で凝固完了して鋳塊となり、その後、
鋳塊は鋳型から取り出される。
【0006】マグネシウム合金の溶湯が鋳塊に凝固する
際の凝固収縮率は約5%と大きく、鋳型内で溶湯が凝固
する際に、鋳塊上部に大きな引け巣が発生する。この引
け巣の部分を残したまま鋳塊を圧延または押し出し成形
しても、引け巣の部分は圧着せず、製品にまで欠陥とし
て残存する。また、引け巣があると鋳塊上部の形状が不
均一となり、圧延または押し出し成形そのものが困難と
なる場合がある。
【0007】通常、鋳塊上部の引け巣の部分を切断等に
よって除去した後に、圧延または押し出し成形がおこな
われる。そのため、鋳塊から製品に到るマグネシウム合
金の歩留が低下する。したがって、マグネシウム合金の
溶湯を鋳造して鋳塊を製造する際、鋳塊における引け巣
の生成を抑制することが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、マグ
ネシウム合金の溶湯を鋳塊に鋳造する際に、鋳塊上部の
引け巣の生成を抑制し、鋳塊から製品までのマグネシウ
ム合金の歩留を向上させるマグネシウム合金の溶湯の鋳
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)〜(3)に示す鋳造方法にある。 (1)マグネシウム合金の溶湯を鋳型内に注入する前
に、下記(イ)式および(ロ)式を満足する条件で鋳型
上部を加熱するマグネシウム合金の鋳造方法。
【0010】A≧20% ・・・(イ) B≧100℃ ・・・(ロ) ここで、A=(a/h)×100であり、aは湯面相当
位置を含む加熱する鋳型上部の長さ、hは注入直後の鋳
型内の湯面の全高さ、Bは加熱する部分の鋳型内表面の
温度である。 (2)鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在する間に、その
鋳塊の上部に圧力を付与し始め、圧力を付与したまま凝
固を完了させるマグネシウム合金の鋳造方法。 (3)鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在する間に、その
上方から予め100℃以上に加熱した金型を押し当て、
その後凝固の進行とともに金型を下方に押し下げて、凝
固収縮量に相当する鋳塊高さの0.5〜1倍の高さを圧
下して、凝固を完了させる上記(2)に記載のマグネシ
ウム合金の鋳造方法。
【0011】本発明で規定する「加熱する部分の鋳型内
表面の温度」とは、たとえば、接触式の熱電対を用いた
測温方法などにより測定される鋳型内表面の温度を意味
する。また、本発明で規定する「予め100℃以上に加
熱した金型」とは、加熱後の金型の表面を、たとえば、
接触式の熱電対を用いた測温方法などにより測定した温
度が100℃以上であることを意味する。
【0012】マグネシウム合金には、通常、アルミニウ
ム、亜鉛、マンガン、鉄などの合金元素が含有される。
これらマグネシウム合金の溶湯は、凝固する過程で共晶
反応を起こすので、液相線温度と固相線温度の温度領域
が長い。また、凝固時に溶質の再分配が生じるため、化
学組成に対応した固相線温度が実質的に低下し、凝固が
完了する温度が低下する。
【0013】これら液相線と固相線との間の温度領域が
長いこと、固相線温度が低下することなどから、マグネ
シウム合金の溶湯の凝固時間は長くなる。さらに、マグ
ネシウム合金の溶湯を鋳造した鋳塊の凝固収縮率は約5
%と大きい。これらのことから、鋳型内でマグネシウム
合金の溶湯が凝固する際に、鋳塊上部に大きな引け巣が
生成する。
【0014】ところで、溶鋼を鋳塊に鋳造する際にも、
鋳塊上部に引け巣が生成するが、通常、引け巣の容量に
相当する押し湯部が鋳塊上部に設けられる。押し湯部に
存在する未凝固の溶鋼が、凝固の進行とともに生成する
引け巣に供給され、鋳塊の本体部に引け巣が生成するこ
とを防止している。凝固完了後に、この押し湯部は切り
捨てられる。
【0015】マグネシウム合金の溶湯を鋳塊に鋳造する
際に押し湯部を設けようとすると、溶鋼の鋳造に比較し
て引け巣が大きいことから、押し湯部を大きくする必要
がある。したがって、溶湯から得られる健全な鋳塊の割
合が著しく少なくなる。そこで、マグネシウム合金の溶
湯を鋳塊に鋳造する際に、押し湯部を少なくする方法、
または押し湯部を設けない方法を検討し、本発明に到っ
た。
【0016】溶鋼の鋳造に比べて、マグネシウム合金の
溶湯の鋳造では、鋳塊の高さ方向に長く伸びた引け巣が
生成することが特徴である。これは、生成しかけている
引け巣に未凝固のマグネシウム合金の溶湯が供給されに
くいためである。すなわち、鋳型の側面から成長するマ
グネシウム合金の凝固殻の凝固速度が速く、最終凝固部
であり、引け巣が生成する鋳塊の中心部に供給される未
凝固の溶湯の量が不足しやすいためである。
【0017】そこで、押し湯部を少なくする方法とし
て、上記(1)の方法により、溶湯を鋳型内に注入する
前に、鋳型上部を加熱して鋳型上部の温度を高める。こ
れにより、鋳塊上部の未凝固の溶湯の凝固が遅れるの
で、生成されつつある引け巣の部分に未凝固の溶湯の供
給が可能となり、引け巣の生成が抑制されることがわか
った。鋳型上部を加熱することにより、鋳型の側面から
成長する凝固殻の凝固速度が遅くなり、最終凝固部であ
る鋳塊の中心部に供給される溶湯の量が確保され、鋳塊
の高さ方向における引け巣の生成領域は短くなる。ただ
し、水平方向での引け巣の生成領域は広くなる。
【0018】また、押し湯部を設けない方法として、上
記(2)の方法により、鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存
在する間に、その鋳塊の上部に圧力を付与し始め、圧力
を付与したまま凝固を完了させることにより、引け巣の
生成が抑制されることがわかった。
【0019】さらに、鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在
する間に、その上方から予め加熱した金型を押し当て、
その後凝固の進行とともに金型を下方に押し下げて、凝
固収縮量に相当する鋳塊高さを圧下して、凝固を完了さ
せることにより、引け巣の生成をより効果的に抑制でき
ることがわかった。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、鋳型上部を加熱することに
より、押し湯部を少なくする本発明の方法を、以下に説
明する。図1は、鋳型を加熱する本発明の方法を適用し
た例を示す断面図である。鋳型1の上部に配置した加熱
装置2により鋳型上部を加熱し、その後、マグネシウム
合金の溶湯を鋳造し、鋳塊3を製造した例を示す。鋳塊
上部の破線は鋳型上部を加熱した場合の引け巣の部分の
形状を、また実線は鋳型上部を加熱しない場合の引け巣
の部分の形状を示す。後述する発熱体を鋳型上部に巻き
付けた加熱装置の例を示す。また、図中に示すaは湯面
相当位置を含む加熱する鋳型上部の長さであって、鋳型
の高さ方向における長さを、hは注入直後の鋳型内の湯
面の全高さを、符号bの一点鎖線は、鋳型内に溶湯を注
入完了したときの湯面を意味する。
【0021】鋳型は、マグネシウム合金の鋳造に通常用
いられる鉄製の鋳型を用いることができる。通常の炭素
鋼でもよいし、SUS430などのステンレス鋼でもよ
い。後述する鋳型の加熱装置に誘導加熱装置を用いる場
合には、誘導加熱できる炭素鋼などの鋳型とする。
【0022】加熱装置には、抵抗加熱、誘導加熱などを
用いることができる。抵抗加熱の場合には、発熱体を鋳
型上部の外周に巻き付けることにより鋳型上部を加熱す
ることができる。その際、発熱体が露出していないシー
ス型発熱体を用いるのがよい。発熱体が露出している
と、鋳型に溶湯を注入する際に発生するマグネシウム蒸
気と発熱体とが反応して、マグネシウム蒸気が発火する
危険性がある。誘導加熱の場合には、誘導コイルを鋳型
上部の外周に配置することにより、鋳型上部を加熱する
ことができる。
【0023】鋳型上部を加熱する本発明の方法では、マ
グネシウム合金の溶湯を鋳型内に注入する前に、前述の
(イ)式および(ロ)式を満足する条件で鋳型上部を加
熱し、その後に溶湯を鋳型内に注入する。
【0024】湯面相当位置を含む加熱する鋳型上部の長
さaの部分を加熱する際に、マグネシウム合金の溶解
し、鋳造する量は予め求まるので、注入後の鋳型内の溶
湯の湯面の高さも予め求めることができる。
【0025】鋳型を加熱する鋳型上部の長さaは、注入
直後の鋳型内の湯面相当位置を含む高さ方向の長さとす
るが、湯面より下方の鋳型の部分をより多く加熱するの
が望ましい。
【0026】湯面相当位置を含む加熱する鋳型上部の長
さaの注入直後の鋳型内の湯面の全高さhに対する割合
で前述の(イ)式で規定する割合Aが20%未満では、
とくに引け巣の下部に鋳型を加熱する効果が及ばず、長
い引け巣が生成する。また、加熱する部分の鋳型内表面
の温度で前述の(ロ)式で規定する温度Bが100℃未
満では、未凝固の溶湯が速く凝固し、引け巣の部分に未
凝固の溶湯が十分に供給できない。これら加熱する鋳型
上部の割合Aおよび鋳型内表面の温度Bの条件を同時に
満たす必要がある。
【0027】上記割合Aは40%以上、かつ上記温度B
は300℃以上とするのがより望ましい。引け巣の部分
の生成がより効果的に抑制される。
【0028】また、上記割Aの上限は60%、かつ上記
温度Bの上限は600℃とするのが望ましい。それらの
上限を超えると、効果が飽和するばかりでなく、加熱す
る装置が過大となり、設備費および製造コストが著しく
高くなる。
【0029】つぎに、鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在
する間に、その鋳塊の上部に圧力を付与し始め、圧力を
付与したまま凝固を完了させる、押し湯部を設けない本
発明の方法を、以下に説明する。鋳塊の上部に圧力を付
与する本発明の方法では、未凝固の溶湯が存在する鋳塊
の上部に圧力を付与し、圧力を付与したまま凝固を完了
させる。これにより、引け巣は圧着されて、その生成が
抑制される。
【0030】未凝固の溶湯が存在する鋳塊の上部に圧力
を付与する方法は、鋳型上部の雰囲気を密閉し、雰囲気
に圧力を付与する方法でもよいし、後述する金型を未凝
固の溶湯が存在する鋳塊の上部に押し付ける方法でもよ
い。凝固が進行する過程で、鋳塊の上部が圧下され、引
け巣が圧着されればよい。未凝固の溶湯が存在する鋳塊
の上部に付与する圧力は、鋳塊の大きさにもよるが0.
5〜30MPaが望ましい。
【0031】鋳塊の上部に圧力を付与する本発明の方法
では、未凝固の溶湯が存在する鋳塊の上部に、その上方
から予め100℃以上に加熱した金型を押し当て、その
後凝固の進行とともに金型を下方に押し下げて、凝固収
縮量に相当する鋳塊高さの0.5〜1倍の高さを圧下し
て、凝固を完了させるのが望ましい。
【0032】金型の加熱温度が100℃未満では、注入
直後の溶湯の湯面に金型を押し付けた際、溶湯の凝固が
促進され、引け巣に未凝固の溶湯が十分供給されなかっ
たり、金型で引け巣を十分圧下できない場合がある。
【0033】金型を下方に押し下げて鋳塊を高さ方向に
圧下する際、凝固収縮量に相当する鋳塊高さの0.5倍
未満の高さの圧下では、圧下効果が小さく引け巣が残存
する。また、凝固収縮量に相当する鋳塊高さの1倍を超
える高さの圧下では、圧下効果が飽和するのみならず、
圧下装置が過大となり、設備費および製造コストが著し
く高くなる。
【0034】図2は、未凝固の溶湯が存在する鋳塊の上
部に金型を押し当てる本発明の方法を適用した例を示す
断面図である。
【0035】予め100℃以上に加熱した金型4を、鋳
型上部の内部に配置して、鋳造直後の溶湯の表面に押し
当てる。その後、凝固の進行とともに金型を高さ方向に
押し下げ、鋳塊を高さ方向に圧下する。鋳塊の高さ方向
の圧下を完了する時期は、たとえば、鋳型の外表面に取
り付けた熱電対で測温した鋳型表面の温度が、マグネシ
ウム合金の固相線温度以下になった時期とするのがよ
い。
【0036】図中の符号5は金型を上下方向に動かすた
めの金型に接続したピストン、符号6は金型に設けたガ
ス抜き用の孔、符号7は金型の加熱装置を示す。ピスト
ンの駆動装置は図示を省略している。また、図中の符号
8は未凝固の溶湯、符号9は凝固殻を示す。
【0037】鋳型は、前述と同じ鉄製の鋳型を用いるこ
とができる。また金型は、鋳型と同じ材料とすることが
できる。金型の水平断面形状は、鋳型水平断面における
内面形状にほぼ相当する形状とするのが望ましい。その
際、金型と鋳型内表面との距離が、鋳型内面を上下の移
動が抵抗なく移動できる程度の距離となるような、金型
の大きさとするのがよい。凝固が進行中の鋳塊上部を効
果的に圧下できる。
【0038】また、金型の高さ方向の大きさ(厚さ)
は、鋳型の大きさおよび鋳型内に注入する溶湯の重さに
よるが、たとえば500kgの溶湯を注入する鋳型の場
合で、金型の厚さは50mm程度とするのがよい。金型
の接続したピストンを上下方向に動かす駆動装置は、空
気圧式、油圧式などを用いることができる。
【0039】金型には、ガス抜き用の孔を設けるのがよ
い。凝固が進行し、引け巣が生成しかけている鋳塊上部
に金型を押し付けて鋳塊を圧下する際、圧下した金型に
よって引け巣が密閉されるのを防止して、効果的に引け
巣を圧下するためである。引け巣が密閉されると、引け
巣に存在する空気または生成したガスが鋳型の外部に抜
けず、鋳塊上部に閉じこめられて、凝固完了後に引け巣
が残存する。引け巣が消失した後も金型を圧下すると、
未凝固の溶湯がガス抜き用の孔から出る場合があるが、
その際には、圧下を中断すればよい。
【0040】金型を加熱する装置として、抵抗加熱方式
などを用いることができる。発熱体を金型の内部に配置
することにより金型を加熱できる。
【0041】
【実施例】本発明の鋳造方法の効果を、実施例1〜3に
基づいて詳細に説明する。 (実施例1)鋳型上部を加熱することによる引け巣の生
成の抑制効果を確認するために、以下に説明する試験を
おこなった。質量%で、Al:3%、Zn:1%を含有
するマグネシウム合金500kgを鉄製のるつぼ内に装
入し、るつぼを高周波誘導加熱することにより、マグネ
シウム合金を溶解した。るつぼ内の雰囲気は、Arガス
の雰囲気とした。装入したマグネシウム合金は、温度が
融点直上に達した際に完全溶解した。溶湯の温度を75
0℃で保持し、その後、溶湯を鋳型内に上注ぎ方法によ
り注入した。鋳型の大きさは、内径500mm、肉厚5
0mm、高さ1500mmである。また、鋳型の材質は
SUS430とした。
【0042】溶湯を注入する前に、鋳型上部を加熱し、
その後に溶湯を注入した。加熱装置は抵抗加熱方式と
し、発熱体が露出していないシース型発熱体(最大出力
10KW)を鋳型上部の外周に巻き付けた。加熱する鋳
型上部の範囲は、溶湯を注入した後の鋳型内の湯面を含
む、鋳型の高さ方向の長さ900mmまでの範囲内で変
化させた。
【0043】後述する表1では、前述の(イ)式で規定
する鋳型の加熱領域の割合A(%)を表示しているが、
たとえば、この加熱領域の割合Aが20%とは、湯面相
当位置を含む鋳型上部であって、注入直後の鋳型内の湯
面の全高さの20%の長さに相当する範囲までの領域の
鋳型上部を加熱することを意味する。加熱温度は最高6
00℃までとし、その範囲内の温度で種々変更した。鋳
型の加熱温度は、接触式の熱電対を用いて、鋳型内面の
温度を測定した。また、一部の試験では鋳型を加熱しな
かった。
【0044】凝固完了後、鋳塊を鋳型から取り出し、鋳
塊を縦断して、鋳塊上部の引け巣の生成状況を調査し
た。鋳型を加熱しない比較例の試験における引け巣の生
成した長さ(高さ)をベースとして、その他の試験にお
ける引け巣の生成した高さを指数表示した。その際、鋳
型を加熱しない比較例の試験における引け巣の生成高さ
の指数を1とした。試験条件および試験結果を表1に示
す。
【0045】
【表1】
【0046】比較例の試験では、鋳型を加熱しないか、
または加熱しても加熱する鋳型上部の加熱領域の割合A
を5%または10%と小さくして加熱した。鋳型上部を
加熱しなかった比較例の試験では、鋳型上部の温度は室
温近傍の25℃であり、引け巣は鋳塊上端から高さ方向
に380mm(この引け巣の大きさをベースの指数1と
した)にわたって、著しく大きな形状で生成した。鋳型
上部の加熱領域の割合Aを10%として、加熱温度を1
00〜600℃とした比較例の試験でも、引け巣は大き
く生成し、その生成高さの指数は0.5〜0.8であっ
た。鋳型上部の加熱領域を5%とし、加熱温度を100
〜600℃とした比較例の試験では、引け巣は大きく生
成し、その生成高さの指数は0.7〜0.95であっ
た。
【0047】本発明例の試験では、鋳型上部の加熱領域
の割合Aを、最小の範囲で20%、最大の範囲で60%
とした。また、加熱温度は100〜600℃の範囲内の
温度とした。引け巣の生成は少なく、その生成高さの指
数は最大で0.3であり、良好な結果であった。とく
に、鋳型上部の加熱領域の割合Aを40%以上で、加熱
温度を300℃以上の温度とした本発明例の試験では、
引け巣は生成せず、その生成高さの指数は零であり、と
くに良好な結果であった。 (実施例2)金型を用いて鋳塊を高さ方向に圧下するこ
とによる引け巣の生成の抑制効果を確認するために、以
下に説明する試験をおこなった。質量%で、Al:3
%、Zn:1%を含有するマグネシウム合金500kg
を鉄製のるつぼ内に装入し、るつぼを高周波誘導加熱す
ることにより、マグネシウム合金を溶解した。るつぼ内
の雰囲気は、Arガスの雰囲気とした。装入したマグネ
シウム合金は、温度が融点直上に達した際に完全溶解し
た。溶湯の温度を750℃で保持し、その後、溶湯を鋳
型内に上注ぎ方法により注入した。この合金の凝固収縮
率は約5%であることを、静滴法を用いて確認した。
【0048】鋳型の大きさは、内径500mm、肉厚5
0mm、高さ1500mmである。また、鋳型の材質は
SUS430とした。
【0049】鋳型内に溶湯を注入後、約30秒経過した
後、外径499mm、高さ50mmの大きさで予め10
0〜500℃に加熱した金型を溶湯の湯面に押し当て、
その後、約5分経過した後、鋳塊を高さ方向に圧下し
た。金型の加熱は、発熱体を金型の内部に配置した抵抗
加熱方式によりおこなった。一部の試験では、金型を加
熱しなかった。金型はSUS430製で、水平断面の中
央部に上下に貫通する内径5mmのガス抜き用の孔を配
置している。鋳塊全高さに対する圧下する高さの割合を
変化させた。また、比較例の一部の試験では、鋳塊を圧
下しなかった。
【0050】凝固完了後、鋳塊を鋳型から取り出し、鋳
塊を縦断して、鋳塊上部の内部の引け巣の生成状況を調
査した。鋳塊を圧下しない比較例の試験における引け巣
の生成した高さをベースとして、その他の試験における
引け巣の生成した高さを指数表示した。その際、鋳塊を
圧下しない比較例の試験における引け巣の生成高さの指
数を1とした。試験条件および試験結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】比較例の試験では、金型を加熱しないか、
または加熱しても100℃とした。また、金型による鋳
塊の圧下については、圧下有りまたは無しとした。金型
を加熱せず、かつ鋳塊を圧下しなかった比較例の試験で
は、引け巣は鋳塊上端から高さ方向に380mm(この
引け巣の大きさをベースの指数1とした)にわたって、
著しく大きな形状で生成した。
【0053】金型を加熱せず、鋳塊全高さに対する圧下
する高さの割合を3%として鋳塊を圧下した比較例の試
験では、引け巣は大きく生成し、その生成高さの指数は
0.7であった。
【0054】さらに、金型を100℃に加熱したが、鋳
塊を圧下しなかった比較例の試験では、鋳塊の圧下効果
がなく、引け巣は著しく生成し、その指数は1であっ
た。また、金型を100℃に加熱し、鋳塊全高さに対す
る圧下する高さの割合を2%として鋳塊を圧下した比較
例の試験でも、引け巣は生成し、その生成高さの指数は
0.5であった。
【0055】本発明例の試験では、金型を100、20
0または500℃に予め加熱し、鋳塊全高さに対する圧
下する高さの割合を3または5%として圧下した。これ
らの試験では鋳塊上部に引け巣は生成せず、とくに良好
な結果であった。
【0056】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、マグネシウ
ム合金を鋳塊に鋳造する際に、鋳塊上部の引け巣の生成
を抑制することができ、そのため鋳塊から製品までのマ
グネシウム合金の歩留を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳型を加熱する本発明の方法を適用した例を示
す断面図である。
【図2】未凝固の溶湯が存在する鋳塊の上部に金型を押
し当てる本発明の方法を適用した例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1:鋳型、 2:加熱装置、3:鋳塊、
4:金型、5:ピストン、 6:ガス抜き用の孔、
7:加熱装置、 8:未凝固の溶湯、9:凝固殻、
a:鋳型を加熱する部分で鋳型の高さ方向における長
さ、h:鋳型の全高さ、b:鋳型内に溶湯を注入完了し
たときの湯面。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム合金の溶湯を鋳型内に注入す
    る前に、下記(イ)式および(ロ)式を満足する条件で
    鋳型上部を加熱することを特徴とするマグネシウム合金
    の鋳造方法。 A≧20% ・・・(イ) B≧100℃ ・・・(ロ) ここで、A=(a/h)×100であり、aは湯面相当
    位置を含む加熱する鋳型上部の長さ、hは注入直後の鋳
    型内の湯面の全高さ、Bは加熱する部分の鋳型内表面の
    温度である。
  2. 【請求項2】鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在する間
    に、その鋳塊の上部に圧力を付与し始め、圧力を付与し
    たまま凝固を完了させることを特徴とするマグネシウム
    合金の鋳造方法。
  3. 【請求項3】鋳塊の上部に未凝固の溶湯が存在する間
    に、その上方から予め100℃以上に加熱した金型を押
    し当て、その後凝固の進行とともに金型を下方に押し下
    げて、凝固収縮量に相当する鋳塊高さの0.5〜1倍の
    高さを圧下して、凝固を完了させることを特徴とする請
    求項2に記載のマグネシウム合金の鋳造方法。
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