JP2003151482A - 電子検出装置 - Google Patents

電子検出装置

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JP2003151482A
JP2003151482A JP2001348682A JP2001348682A JP2003151482A JP 2003151482 A JP2003151482 A JP 2003151482A JP 2001348682 A JP2001348682 A JP 2001348682A JP 2001348682 A JP2001348682 A JP 2001348682A JP 2003151482 A JP2003151482 A JP 2003151482A
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voltage
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signal
electron beam
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JP2001348682A
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English (en)
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Masahiko Kuwata
正彦 桑田
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NIPPON DENSHI ENG
Jeol Ltd
Jeol Engineering Co Ltd
Original Assignee
NIPPON DENSHI ENG
Jeol Ltd
Jeol Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一次電子ビームの加速電圧が低くても、雑音
の混入なく高感度で電子の検出ができる電子検出装置を
実現する。 【解決手段】 半導体検出器11に加速して入射した電
子は、検出器の有感層に到達し、入射電子のエネルギー
に比例した電荷担体を発生させ、信号電流Isが流れ
る。信号電流Isは、電流電圧変換器17に入力し、出
力電圧を発生する。電圧出力は、AD変換器18におい
て入力電圧に相関するディジタルデータに変換される。
AD変換器18からのディジタルデータは、結合回路2
1によって直流成分であるバイアス電圧がキャンセルさ
れ、低電圧部22内のレシーバ23に伝送される。レシ
ーバ23で受信されたディジタルデータは、DA変換器
25に供給され、DA変換器25の出力信号は、陰極線
管等を含む画像表示部26に供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビームを試料
上で走査し、試料より発生する電子を検出し、この検出
信号に基づいて画像を得るようにした走査電子顕微鏡等
の電子検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走査電子顕微鏡に使用される反射電子検
出器としては、半導体ダイオードやシンチレーション検
出器が広く使用されている。ここで、走査電子顕微鏡の
分解能を向上させるために、試料と対物レンズの間の距
離を接近させる要求、および、試料より発生する各種の
異なる情報、例えば、2次電子やX線を検出するための
検出器類などが試料近傍に配置されるため、反射電子検
出器はできる限り小型であることが望まれる。その点に
おいて、半導体型の検出器は他の検出器に比べて優れて
いる。
【0003】半導体型の検出器としての接合型半導体ダ
イオードは、接合部またはその近傍に電子が入射する
と、信号電流が流れる。これを利用して、走査電子顕微
鏡の電子ビームが試料上を走査する際に発生した電子
を、このダイオードによって検出し、電子ビームの試料
上の走査位置と検出器からの信号を同期させて陰極線管
に表示させ、試料像を得るようにしている。なお、ダイ
オードの出力電流は、通常電圧信号に変換され、その電
圧信号が陰極線管の輝度変調信号として使用される。
【0004】図1は、反射電子検出器が配置された走査
電子顕微鏡の基本構成を示している。図において、電子
銃1から発生し陽極2によって加速された電子ビームE
Bは、コンデンサレンズ3と対物レンズ4とによって集
束され、極めて小さな径の電子ビームとして試料5に照
射される。この試料5の上方には、電子ビーム光軸を間
に挟んで一対の半導体検出器6a、6bが配置されてい
る。
【0005】この半導体検出器は、例えば、PN接合型
の検出器であり、この検出器6a、6bに試料5から発
生した反射電子が入射し、検出される。なお、対物レン
ズ4の上方には、走査コイル7が配置され、この走査コ
イル7に走査信号を流すことにより、試料5上の所定領
域が一次電子ビームEBによって走査される。
【0006】図2は、一次電子ビームの照射により試料
から発生する電子のエネルギースペクトルを示してい
る。エネルギーの低い領域Aでは、一次電子ビームの照
射によって試料物質から発生する2次電子が分布する。
また、一次電子ビームのエネルギーEiにほぼ等しいエ
ネルギーの高い領域Cでは、反射電子(主として弾性散
乱電子)が分布している。図1におけるPN接合型検出
器6a、6bと試料5とは同電位に置かれているため、
電子は、試料5から発生した時のエネルギーで検出器に
入射する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】半導体検出器の表面に
は、入射電子に感度を持たない不感層が存在する。図3
は、PN接合に入射する電子の加速電圧を変えたとき、
検出器の電極間に流れる電流を示したものであり、横軸
が電子の加速電圧(kV)、縦軸が電流(感度)であ
る。入射した電子によって検出器内で発生するキャリア
の量は、電子エネルギーの関数であるので、信号電流を
一次電子のエネルギーで規格化し、感度として示してい
る。
【0008】一次電子ビームの加速電圧が400V以下
で急激に感度が低下しているのは、検出器への電子進入
深さが入射線のエネルギーによるためであり、検出器表
面の不感層で発生したキャリアがトラップされ、信号電
流が流れないことによる。
【0009】図4は、PN接合型半導体検出器6によっ
て検出された信号の処理回路の概略を示している。PN
接合の有感領域に入射した電子は、そのエネルギーに比
例した数のキャリアを発生し、検出器6の電極には信号
電流が流れる。この信号電流は、電流電圧変換器8によ
って電圧信号に変換される。変換された電圧信号は、増
幅器9によって増幅された後、画像表示部10に供給さ
れる。
【0010】画像表示部10においては、例えば、走査
コイル7に供給される走査信号に同期した陰極線管が用
意されており、電圧信号は陰極線管の輝度変調信号とし
て使用されることから、陰極線管には、試料5上の電子
ビーム走査領域の反射電子像が表示される。なお、信号
電流量は、試料の形状や試料の平均原子番号などにより
異なるため、一次電子ビームEBを試料5上で走査する
ことによって、形状や組成の分布像が得られる。
【0011】ここで、試料と電子の相互作用によって試
料が破壊されることがないように、試料に照射する一次
電子ビームEBのエネルギーはできる限り低いこと、ま
た、ビーム電流も少ないことが望まれる。
【0012】PN接合の有感層に電子が入射して発生す
るキャリアの数、すなわち、信号電流は、入射電子のエ
ネルギーに比例するため、加速電圧が低い場合は、検出
感度が低くなる。この場合、増幅器9の増幅度を上げれ
ば信号量は増加するが、同時に雑音も増加するため、画
質の向上には結びつかない。
【0013】画質を向上させるためには、信号電流量を
増加させる必要がある。信号電流を増加させるには、一
次電子ビームの電流量を増加させれば良いが、そうする
と、上記したように、試料がダメージを受けることにな
る。また、一次電子ビームの電流量を増加させると、試
料に照射される電子ビームの径が太くなり、その結果と
して、画像分解能の低下が生ずる。このような理由によ
り、2kV以下の加速電圧では、PN接合型検出器は低
感度であるために使用できなかった。
【0014】検出感度は試料から発生した電子を加速し
て、検出器の有感層に到達せしめることによって向上さ
せることができる。しかしながら、PN接合型検出器全
体をを正の高電圧でバイアスする方法は、以下に示す技
術的な困難さがある。
【0015】一般に、走査電子顕微鏡の画像信号は、写
真撮影のための超低速走査から、テレビジョンと同等の
高速走査を行うために、DC近傍から1MHzないしは
4MHz程度までの広い周波数帯域が要求される。な
お、要求帯域幅は、通常、一次電子ビームの走査速度と
陰極線管上に表示される画像の分解能によって決まる。
【0016】なお、一次電子ビームの走査が遅いと、一
画面を表示(描画)するのに時間がかかり、例えば、試
料中の観察点を探したりする時に見にくくなり、操作性
が悪くなる。このため、使用者側からは高速の描画が要
求される。この高速描画は、画像を構成する単位画素あ
たりの信号量が減少することを意味する。高い画像分解
能も使用者側からの要求であり、そのためには、100
〜400万画素が必要となる。この画素数を多くして、
精細な画像を得るためには、少なくとも走査速度を画素
数で割った周波数応答が必要となる。
【0017】検出器やプリアンプを高電圧に浮かせて、
試料から発生した電子を加速させて検出器に入射させる
場合、走査電子顕微鏡におけるコントラストや輝度調整
回路などの信号処理回路等低電圧で動作する回路と直流
的に絶縁しなければならない。この絶縁のためには、ア
ナログアイソレーションアンプが市販されており、それ
を用いることができる。
【0018】このアナログアイソレーションアンプは、
磁気結合、光結合素子などで直流的な絶縁が行われてい
るが、高速のアナログ結合素子は、周波数特性や直線
性、ダイナミックレンジなどの性能が充分ではなく、上
記直流的な絶縁の目的には使用できない。また、電圧信
号を周波数に変換して伝送し、低電圧部で周波数を電圧
信号に再変換する方法も、前記したアナログ方式と同様
に、周波数特性、ダイナミックレンジの点で不充分であ
る。
【0019】一方、低エネルギー側の検出限界を広げる
には、検出器のPN接合を浅くして、不感層幅を狭くす
ることが考えられる。しかしながら、一般に、PN接合
型検出器のPN接合部は、数百nmから数μmの深さに
形成され、これより浅い接合を形成すると、表面のシー
ト抵抗が増加し、雑音が増加するのみでなく、接合容量
とシート抵抗の効果によって応答速度が低下する。
【0020】また、1keV以下のエネルギーを有する
反射電子の進入深さは、数十nm以下である。入射した
電子によって発生したキャリアは、拡散によって接合に
到達し、信号電流が得られる。しかし、表面近傍はキャ
リアの捕捉確率が高いため感度が低下する。したがっ
て、より浅い接合深さとして、低エネルギー電子に対す
る感度を向上させる方法は、現実的ではない。
【0021】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、その目的は、一次電子ビームの加速電圧が低く
ても、雑音の混入なく高感度で電子の検出ができる電子
検出装置を実現するにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明に基づく電子検出
装置は、接合型半導体検出器および検出器に入射した電
子に応じて発生した信号電流を電圧に変換し、変換され
た電圧信号をディジタル信号に変換する回路にバイアス
電圧を印加し、変換されたディジタル信号の直流成分で
あるバイアス電圧をキャンセルするための結合回路とを
備え、結合回路からのディジタル信号を画像信号とした
ことを特徴としている。
【0023】本発明においては、接合型半導体検出器を
任意の正電圧に帯電させ、試料から発生した電子を加速
させて半導体検出器に入射させるようにしたので、半導
体検出器表面の不感層による感度低下なしに、高感度で
電子の検出が行われる。また、検出器に入射した電子に
よって生じた電気信号をAD変換し、AD変換されたデ
ィジタルデータを低電圧部のDA変換器に伝送し、アナ
ログ波形を再現するようにした。すなわち、高電圧部か
ら低電圧部への信号の伝送をディジタルで行うように構
成したので、雑音の混入がなくなり、ダイナミックレン
ジの大きい、かつ直線性の良い伝送を可能とした。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図5は本発明に基づく電子
検出装置に用いられる半導体検出器の断面図であり、図
6は図5に示した半導体検出器を用いた検出回路を示す
図である。図5において、円盤状のPN接合型半導体検
出器11は、半導体検出器の電気的絶縁のために、エポ
キシ樹脂よりなる円盤状のプリント基板12に接着され
ている。
【0025】この基板12と半導体検出器11の中心部
には一次電子ビームEBの通過孔が穿たれており、この
通過孔部分には、基板12が一次電子ビームEBによっ
て帯電しないように、接地電位の導電性のパイプ13が
設けられている。また、基板12と検出器11を覆うよ
うに接地電位の導電性のシールドカバー14が設けられ
ている。
【0026】シールドカバー14は前記パイプ13に接
続されているが、試料5に対向する面は開放されてい
る。このカバー14の開放されている部分には、カバー
14に電気的に絶縁された状態で、導電性のグリッド電
極15が取り付けられている。このような検出器アッセ
ンブリーは、一次電子ビームEBの光軸に対して、軸対
称に設けられている。
【0027】図6において、グリッド電極15には、高
電圧電源16より、試料5からの電子e-が加速されて
半導体検出器11に入射するように任意の正の高電圧が
印加される。また、半導体検出器11と、検出信号電流
を電圧信号に変換する電流電圧変換器17と、電流電圧
変換器17からの信号をディジタル信号に変換するA―
D変換器18よりなるフロントエンド部19は、高電圧
電源20によって正の高電圧にバイアスされている。
【0028】AD変換器18により変換されたディジタ
ル信号は、フォトカプラや容量結合、パルストランスな
どの結合回路21に供給され、低電圧回路部22内のデ
ィジタルデータを受信するレシーバ23に供給される。
この結合回路21は、供給される信号の直流成分である
バイアス電圧をキャンセルする。
【0029】レシーバ23で受信されたディジタルデー
タは、データの通過帯域を制御するディジタル信号処理
素子(DSP)24を経て、ディジタルデータに基づい
たアナログ波形を再現するDA変換器25に供給され
る。DA変換器25の出力信号は、陰極線管等を含む画
像表示部26に供給される。このような構成の動作を次
に説明する。
【0030】試料5に一次電子ビームEBを照射した結
果、試料5から発生した反射電子は、正の電圧(例えば
100V)が印加されたグリッド電極15に引き寄せら
れ、正の高電圧(例えば1kV)にバイアスされた半導
体検出器11に加速されて入射して信号電流を発生させ
る。このグリッド電極15の働きの一つは、正にバイア
スされたフロントエンド部19によって、試料近傍の電
界が不均一となり、その結果生じる画像歪を少なくする
ことである。
【0031】さて、半導体検出器11に加速して入射し
た電子は、検出器の有感層に到達し、半導体を構成する
原子を励起する。その結果、入射電子のエネルギーに比
例したキャリアを発生する。キャリアは、半導体検出器
11の電極に収集され、信号電流Isが流れる。
【0032】信号電流Isは、帰還抵抗Rfの電流電圧
変換器17に入力し、出力電圧Vo(=−Rf×Is)
を発生する。電圧出力Voは、必要に応じて増幅された
後、AD変換器18において入力電圧に相関するディジ
タルデータに変換される。通常、増幅回路には、 線形
増幅回路が使用されるが、入力のダイナミックレンジが
大きい場合は、ログ(Log)アンプが使用される。A
D変換器18におけるAD変換周波数は、走査電子顕微
鏡像の表示に必要な周波数帯域の2倍以上に設定され
る。
【0033】例えば、1MHzの帯域が必要な場合、2
MHz以上の変換周波数が選択される。また、SN比を
向上させるため、十分早い周波数でサンプリングを行
い、出力デシメーション(間引き)する。例えば、AD
変換器は32MHzで変換を行い、ディジタルデータ
は、16データごとにその平均値をとり、2MHz周期
で出力される。
【0034】AD変換器18からのディジタルデータ
は、結合回路21によって直流成分であるバイアス電圧
がキャンセルされ、低電圧部22内のレシーバ23に伝
送される。レシーバ23で受信されたディジタルデータ
は、データの通過帯域を制御するディジタル信号処理素
子(DSP)24を経て、ディジタルデータに基づいた
アナログ波形を再現するDA変換器25に供給される。
DA変換器25の出力信号は、陰極線管等を含む画像表
示部26に供給される。
【0035】このように、接合型半導体検出器11を任
意の正電圧に帯電させ、試料5から発生した電子を加速
させて半導体検出器に入射させるようにしたので、半導
体検出器表面の不感層による感度低下なしに、高感度で
電子の検出が行われる。また、検出器に入射した電子に
よって生じた電気信号をAD変換し、AD変換されたデ
ィジタルデータを低電圧部のDA変換器に伝送し、アナ
ログ波形を再現するようにした。すなわち、高電圧部か
ら低電圧部への信号の伝送をディジタルで行うように構
成したので、雑音の混入がなくなり、ダイナミックレン
ジの大きい、かつ直線性の良い伝送が可能となった。
【0036】なお、試料5への一次電子ビームEBの照
射によって、試料から発生する2次電子と反射電子とで
は、異なった情報を有している。すなわち、2次電子
は、反射電子よりも浅い試料表面の凹凸情報をもたらす
のに対して、反射電子はより深い発生領域を持ってい
る。また、反射電子の発生率は、原子番号に依存するこ
とから、試料の元素情報をもたらす。
【0037】上記のことから、接合型半導体検出器11
への高圧電源20からのバイアス電圧を可変とするこ
と、または、検出器11と試料5との間に配置したグリ
ッド電極15に高電圧電源16から印加する電圧を可変
とし、それらの電圧を適宜な値とすることにより、反射
電子のみを検出器11に導き、2次電子をカットして、
反射電子のみによる画像を得ることが可能となる。
【0038】図7は、本発明の他の実施の形態を示して
おり、図6に示した構成と同一ないしは類似の構成要素
には同一番号が付されている。図7では、ディジタル信
号処理素子(DSP)24の出力信号をDA変換器でア
ナログ信号に変換することなく、ディジタル信号の状態
で、パーソナルコンピュータのごときディジタル画像表
示部27に供給し、像を得るようにしている。
【0039】図8は、本発明の他の実施の形態を示して
いる。この実施の形態では、2つの接合型半導体検出器
11a、11bが設けられている。この2つの検出器
は、図面上は詳細に示されていないが、一次電子ビーム
の光軸に対して軸対称に配置されている。
【0040】検出器11a、11bのそれぞれの検出電
流は、電流電圧変換器17a、17bに供給されて電圧
信号に変換される。この2種の電圧信号は、スイッチS
Wを有した加減算回路30に供給される。加減算回路3
0で加算あるいは減算された信号は、AD変換器18に
よってディジタル信号に変換される。変換されたディジ
タル信号は、容量結合回路(カプラ)31によって直流
分がカットされ、レシーバ23に供給される。
【0041】この図8の実施の形態では、スイッチSW
を切り換えて2種の信号を加算すれば、試料表面の組成
像が得られ、2種の信号を減算すれば、試料表面の凹凸
像が得られる。なお、この実施の形態では、検出信号が
アナログの状態で演算を行うようにしたが、個々の検出
信号をAD変換し、得られたディジタル信号を演算する
ようにしても良い。
【0042】図9も本発明の他の実施の形態を示してい
る。この図9においては、半導体検出器11a、11b
が一次電子ビームEBの軸に平行に配置されている。更
に、試料5上の一次電子ビームの照射点から半導体検出
器の受光面を遮蔽するために、導電性の遮蔽板32が設
けられている。検出器11bと遮蔽板32の間にはギャ
ップが設けられている。
【0043】ここで、反射電子は、試料の原子情報をも
たらすが、試料内における発生位置が2次電子よりも深
いため、表面構造の分解能は2次電子よりも劣る。この
ため、反射電子をカットして、2次電子情報のみが必要
とされる場合がある。一定の電界強度を有する電場中を
電子が走行するとき、高エネルギーの電子より、低エネ
ルギーの電子の方が電場によって曲がりやすい。
【0044】このことを利用して、図9の構成では、半
導体検出器に電源20よりバイアス電圧を印加するよう
にしている。この結果、試料5からの2次電子e1は、
エネルギーが低いので、検出器11a、11bに印加さ
れた電圧により、大きく曲げられて検出器に入射する。
その一方、試料5からの反射電子e2は、エネルギーが
高いので、曲がりが小さいため、検出器11a、11b
には入射しないことになる。
【0045】この結果、検出器11a、11bによって
2次電子のみが検出されることになり、2次電子像を得
ることができる。なお、検出器11a、11bの前面
に、それぞれ図5、図6で用いたと同様なグリッド電極
15を配置し、グリッド電極と検出器へ印加する電圧の
値を適宜調節すれば、任意のエネルギーを有する電子の
みを検出することができ、簡易エネルギー分析を行うこ
とができる。なお、PN接合型半導体検出器11a、1
1bの角度を変えるような構造とすれば、検出器の前面
を試料5に対向させて図5の状態にして、反射電子を検
出する構成にすることができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に基づく電
子検出装置は、接合型半導体検出器および検出器に入射
した電子に応じて発生した信号電流を電圧に変換し、変
換された電圧信号をディジタル信号に変換する回路にバ
イアス電圧を印加し、変換されたディジタル信号の直流
成分であるバイアス電圧をキャンセルするための結合回
路とを備え、結合回路からのディジタル信号を画像信号
とするように構成した。
【0047】その結果、接合型半導体検出器を任意の正
電圧に帯電させ、試料から発生した電子を加速させて半
導体検出器に入射させることができるので、半導体検出
器表面の不感層による感度低下なしに、高感度で電子の
検出を行うことができる。また、検出器に入射した電子
によって生じた電気信号をAD変換し、AD変換された
ディジタルデータを低電圧部のDA変換器に伝送し、ア
ナログ波形を再現するようにした。すなわち、高電圧部
から低電圧部への信号の伝送をディジタルで行うように
構成したので、雑音の混入がなくなり、ダイナミックレ
ンジの大きい、かつ直線性の良い伝送が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の基本
構成を示す図てある。
【図2】一次電子ビームの照射により試料から発生する
電子のエネルギースペクトルを示す図である。
【図3】PN接合に入射する電子の加速電圧を変えたと
き、検出器の電極間に流れる電流を示す図である。
【図4】PN接合型半導体検出器によって検出された信
号の処理回路の概略を示す図である。
【図5】本発明に使用される検出器の一例を示す図であ
る。
【図6】本発明に基づく電子検出回路の一例を示す図で
ある。
【図7】本発明に基づく電子検出回路の他の例を示す図
である。
【図8】本発明に基づく電子検出回路の他の例を示す図
である。
【図9】本発明に使用される検出器の他の例を示す図で
ある。
【符号の説明】
11 接合型半導体検出器 15 グリッド電極 16 高電圧電源 17 電流電圧変換器 18 AD変換器 19 フロントエンド部 20 高電圧電源 21 結合回路 22 低電圧部 23 レシーバ 24 ディジタル信号処理素子(DSP) 25 DA変換器 26 画像表示部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G21K 5/04 G21K 5/04 M H04N 1/028 H04N 1/028 A Fターム(参考) 2G088 EE29 FF10 GG21 KK20 5B047 AA30 AB02 BA02 BB01 BC14 CB22 DB01 DB10 5C033 NN02 NP01 NP06 5C051 AA01 BA02 DB01 DB07 DB28 DC03 DC07 DE01 DE15 FA00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合型半導体検出器と、検出器に入射し
    た電子に応じて発生した信号電流を電圧に変換する電流
    電圧変換器と、変換された電圧信号をディジタル信号に
    変換するAD変換器と、検出器と電流電圧変換器とAD
    変換器にバイアス電圧を印加する電源と、AD変換器に
    よって変換されたディジタル信号の直流成分であるバイ
    アス電圧をキャンセルするための結合回路とを備えてお
    り、結合回路からのディジタル信号を画像信号とした電
    子検出装置。
  2. 【請求項2】 結合回路からのディジタル信号をアナロ
    グ信号に変換するDA変換器を設け、DA変換器の出力
    信号を画像信号とした請求項1記載の電子検出装置。
  3. 【請求項3】 結合回路からのディジタル信号をディジ
    タル画像表示装置に供給するようにした請求項1記載の
    電子検出装置。
  4. 【請求項4】 接合型半導体検出器は円盤状に形成され
    て円盤状の絶縁性基板に取り付けられ、円盤状検出器と
    基板の中心部には一次電子ビームの通過孔が設けられて
    おり、この一次電子ビームの通過孔には筒状の導電性部
    材が設けられている請求項1〜3記載の電子検出装置。
  5. 【請求項5】 検出器の試料側の前面にグリッド電極を
    設け、このグリッド電極に任意の電圧を印加できるよう
    に構成した請求項1〜4記載の電子検出装置。
  6. 【請求項6】 検出器の有感領域を一次電子ビームの光
    軸に対して軸対称に分割し、その出力信号を加算および
    減算する回路を設けた請求項1〜5記載の電子検出装
    置。
  7. 【請求項7】 接合型半導体検出器を一次電子ビームの
    軸に平行に配置し、試料上の一次電子ビームの照射点か
    ら検出器表面を遮蔽する導電性の遮蔽板を設けた請求項
    1〜3記載の電子検出装置。
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