JP2003149090A - 回転機の軸受診断装置 - Google Patents

回転機の軸受診断装置

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JP2003149090A
JP2003149090A JP2001346201A JP2001346201A JP2003149090A JP 2003149090 A JP2003149090 A JP 2003149090A JP 2001346201 A JP2001346201 A JP 2001346201A JP 2001346201 A JP2001346201 A JP 2001346201A JP 2003149090 A JP2003149090 A JP 2003149090A
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bearing
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diagnosis
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signal
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JP2001346201A
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Toshimasa Hirate
利昌 平手
Fumiaki Takeuchi
文章 竹内
Tatsuya Hirose
達也 廣瀬
Wataru Ito
伊藤  渉
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のファイルの中から振動信号とこれに対
応した診断情報を正確に読み出して軸受診断を行うこと
ができる回転機の軸受診断装置を提供する。 【解決手段】 回転機の軸受診断装置8は、ころがり軸
受2の振動を検出する加速度センサ15と、振動信号を
原音声信号に変換するPCカード17と、この原音声信
号及び診断情報を共通の診断データファイルに記録する
記録手段36と、ころがり軸受2の診断を行う診断機能
31と、原音声信号に基づいて振動音を出力する振動音
出力機能32等を備えて構成されている。診断機能31
は、診断データファイルに記録された原音声信号及び診
断情報に基づいて簡易診断を行い、ころがり軸受2に異
常が検出された場合には、精密診断によって異常箇所の
特定を行う。また、振動音出力機能32は、診断データ
ファイルに記録された原音声信号に基づいて振動音の出
力を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転機の軸受の振
動を検出して軸受の異常を診断する回転機の軸受診断装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、回転機例えば誘導電動機(以
下、単に電動機と称す)の軸受の振動を測定することに
より、軸受の異常を診断する電動機の軸受診断装置があ
る。このものでは、検出した振動信号を所定のフォーマ
ットに従って診断データファイルに記録し、この記録さ
れた振動信号を解析することに基づいて軸受の診断を行
うように構成されている。
【0003】しかしながら、従来の軸受診断装置には、
多数の振動信号が同時に取り込み可能に構成された汎用
の振動測定装置が組み込まれていたため、1つの入力ポ
ートにおける取り込み可能なデータ数は例えば1024
点程度と低く制限されていた。このため、従来の軸受診
断装置は振動信号の周波数分解能が低く、電動機の実回
転数が正確に検出できないという問題があった。また、
振動信号を記録したファイル形式は製造メーカー独自の
非汎用的なものなので、この振動信号を該軸受診断装置
以外のデータ処理装置例えばパソコン等で扱ったり、他
のデータ処理に利用するような応用性に欠けるという問
題もあった。しかも、振動信号を振動音として再生する
機能がないため、測定後の軸受診断時などに人間の耳で
振動音を確認することができないという問題もあった。
【0004】そこで、本出願人は、『特願2000−0
66845』において、振動信号をウェーブ形式の音声
信号に変換して記録し、この記録された音声信号を解析
することに基づいて軸受の診断を行う構成の軸受診断装
置を出願した。このものは、例えば汎用のウィンドウズ
OS(商品名:マイクロソフト社)がインストールされ
たパソコンを主体とし、このパソコンに標準装備された
A/D変換処理機能を利用して振動信号をウェーブ形式
の音声信号に変換し、このウェーブ形式の音声信号をウ
ェーブ形式ファイルとしてハードディスク等に記録する
ように構成されている。
【0005】この軸受診断装置では、例えばハードディ
スクに音声信号を記録することによって記録可能な音声
信号(振動信号)のデータ点数を大幅に増やすことがで
きるので、振動信号の周波数分解能を高め、電動機の実
回転数を正確に検出することができるようになった。ま
た、ウェーブ形式ファイルは汎用的なものなので、この
音声信号を本軸受診断装置以外のパソコン等で扱った
り、他のデータ処理に利用することが容易に行えるよう
になった。しかも、ウェーブ形式ファイルは、ウィンド
ウズOSに標準装備されたウィンドウズ・メディア・プ
レーヤー等により容易に音声として出力することができ
るので、測定後の軸受診断時などに人間の耳で振動音を
確認することができるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、軸受診断を
行う場合には、音声信号だけでなく、軸受の診断に必要
な診断情報(例えば音声信号の校正データ、電動機の指
令周波数、軸受の形状データなど)も必要となる。そし
て、前記した従来の軸受診断装置では、この診断情報は
音声信号とは別のファイルに記録され、軸受診断時に両
ファイルから音声信号及び診断情報を読み出すようにな
っていた。
【0007】しかしながら、このような個別ファイルか
ら音声信号及び診断情報を読み出す方法では、ハードデ
ィスク等に記録されたファイル数が増加するにつれ、軸
受診断時にファイル名の誤指定等により読み出す振動信
号と診断情報との対応関係を誤ったり、既存の他のファ
イルに新たな振動信号や診断情報を誤って上書きしてし
まうなどのファイル処理上のミスが生じやすくなり、こ
れにより、誤診断を行ってしまうという問題が発生して
いた。
【0008】本発明は上述の事情に鑑みてなされたもの
であり、従ってその目的は、複数のファイルの中から振
動信号とこれに対応した診断情報を正確に読み出して軸
受診断を行うことができる回転機の軸受診断装置を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の回転機の
軸受診断装置は、回転機の軸受の振動を検出する振動検
出手段と、この振動検出手段により検出された振動信号
を音声信号に変換する信号変換手段と、この信号変換手
段により変換された音声信号及び軸受の診断に必要な診
断情報を共通の診断データファイルに記録する記録手段
と、前記診断データファイルから読み出した音声信号及
び診断情報に基づいて音声信号を周波数分析処理するこ
とにより回転機の実回転数を求め、この実回転数に基づ
いて軸受の特徴周波数を求め、この特徴周波数と前記周
波数分析処理された音声信号の周波数成分とを比較する
ことに基づいて軸受の異常を診断する診断手段と、前記
診断データファイルに記録された音声信号に基づいて音
声を出力する振動音出力手段とを具備することを特徴と
する。
【0010】このような構成によれば、軸受の振動を検
出した振動信号(音声信号)とこの軸受の診断に必要な
診断情報が共通の診断データファイルに記録されるの
で、この診断データファイルから音声信号とこれに対応
した診断情報を正確に読み出すことができ、これによ
り、正確な軸受診断を行うことができる。しかも、診断
データファイルに記録された音声信号に基づいて振動音
の出力を行うようにしたので、診断者は必要に応じて容
易に音声信号を音として確認することができる。
【0011】請求項2記載の回転機の軸受診断装置は、
複数の軸受の形状データが記録されたデータベースを備
え、記録手段は、前記データベースから診断に必要な診
断情報を読み出すための識別情報を診断情報として診断
データファイルに記録し、診断手段は、軸受の診断時
に、前記診断データファイルから読み出した識別情報に
基づいて前記データベースから形状データを選択して読
み出すことを特徴とする。
【0012】このような構成によれば、軸受毎に定めら
れた固定値である形状データを診断データファイル内に
記録する手間を省くことができる。しかも、データベー
スに記録された形状データの分だけ診断データファイル
のデータ量を少なくすることができるので、記録手段に
記録する診断データファイルの数を増やすことができ
る。
【0013】請求項3記載の回転機の軸受診断装置で
は、診断手段は、診断データファイルに記録された識別
情報の一部に未記録部分がある場合には、データベース
の中から所定の選択条件に基づいて診断に必要な形状デ
ータを選択して読み出すことを特徴とする。このような
構成によれば、診断データファイル内の識別情報の一部
に未記録部分がある場合にも、診断に必要な形状データ
を正確に選択して読み出すことができる。これにより、
診断者が例えば識別情報の一部が分からなくて未記録に
したりその一部を記録し忘れた場合などにも、診断者の
手を煩わせることなく効率よく軸受診断を行うことがで
きる。
【0014】請求項4記載の回転機の軸受診断装置で
は、選択条件は軸受診断の使用頻度が高い形状データを
優先して選択するように設定されていることを特徴とす
る。このような構成によれば、軸受診断装置の使用され
る環境に合わせて選択条件を設定することができる。こ
れにより、識別情報の一部に未記録部分がある場合にも
診断に必要な診断情報を正確に選択することができ、軸
受診断の信頼性を高めることができる。
【0015】請求項5記載の回転機の軸受診断装置で
は、記録手段は、診断情報を情報チャンクに記録し音声
信号をウェーブチャンクに記録するようにして診断デー
タファイルをウェーブ形式で記録することを特徴とす
る。このような構成によれば、汎用のウィンドウズOS
に標準装備されたウェーブ形式の記録機能を利用して、
音声信号及び診断情報を共通の診断データファイル内に
区分して記録することができる。しかも、該ウィンドウ
ズOSに標準装備されたウィンドウズ・メディア・プレ
ーヤー等を利用すれば、情報チャンクに記録された診断
情報を自動的に読み飛ばし、ウェーブチャンクに記録さ
れた音声信号を簡単に振動音として出力することができ
るので、診断者は軸受診断時などに振動音を容易に確認
することができる。
【0016】請求項6記載の回転機の軸受診断装置で
は、信号変換手段は、記録手段、診断手段及び振動音出
力手段を備えたパソコンに着脱可能に装着されることを
特徴とする。このような構成によれば、信号変換手段を
例えばPCカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)
カードなどとして構成することができ、持ち運び易さや
扱い易さの点で信号変換手段の利便性を高めることがで
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例につい
て、図面を参照しながら説明する。 <ころがり軸受の構造と、ころがり軸受の異常の診断方
法>まず、回転機たる誘導電動機(以下、単に電動機と
称す)1(図1参照)に装着されたころがり軸受2の構
造と、この電動機1を駆動させた状態でころがり軸受2
の振動の検出を行うことにより、ころがり軸受2の損傷
や欠陥等の異常を診断する方法について説明する。
【0018】図2に示すように、ころがり軸受2は、外
輪3,内輪4,転動体5,保持器6及び図示しないオイ
ルシート等の小部品から構成されている。図中の記号
は、 D :ころがり軸受2のピッチ円直径 d :転動体5直径 r1:内輪4軌道の半径 r2:外輪3軌道の半径 α :接触角 を表している。
【0019】電動機1を駆動させた状態でころがり軸受
2の振動の検出を行うと、ころがり軸受2が正常な場合
には回転軸7(図1参照)の回転数に比例した周波数成
分の振動が検出される。一方、ころがり軸受2を構成す
る部品に損傷や欠陥等の異常がある状態でころがり軸受
2の振動の検出を行うと、回転軸7の回転数に比例した
周波数成分の振動とは異なる周波数成分の振動も検出さ
れる。このころがり軸受2に異常があるときにのみ検出
される周波数は特徴周波数と呼ばれている。この特徴周
波数は、ころがり軸受2を構成する夫々の部品の異常に
よって異なる周波数を示すものであり、以下の演算式で
求めることができる。但し、このときのころがり軸受2
は、 (a)内輪4及び外輪3と転動体5との間にすべり接触
はない (b)ラジアル、スラスト方向荷重を受けたときの各部
品の変形はない ものと仮定する。
【0020】(1)内輪4に異常があるときの特徴周波
【数1】
【0021】(2)外輪3に異常があるときの特徴周波
【数2】
【0022】(3)転動体5に異常があるときの特徴周
波数
【数3】
【0023】(4)保持器6に異常があるときの特徴周
波数
【数4】
【0024】ここで、 D :ころがり軸受2のピッチ円直径[mm] fr:回転軸7の回転速度[rps] d :転動体5直径[mm] Z :転動体5の数[整数] α :接触角[ラジアン] であり、各値は特徴周波数の算出に必要な形状データで
ある。
【0025】そして、電動機1を駆動させた状態で、こ
ろがり軸受2の振動の周波数成分を検出し、この周波数
成分に基づいて回転軸7の実回転速度(fr)を検出
し、この実回転速度に基づいて特徴周波数を算出し、こ
の算出された特徴周波数と検出された振動の周波数成分
とを比較することにより、ころがり軸受2の異常有無の
検出や異常箇所の特定などの軸受診断が行われる。参考
として、図3に、ころがり軸受2の各種異常と、これら
に対応する振動波形との関係を示す。
【0026】図3において、(a)は、回転軸7の回転
の周期サイクルを表している。(b)は、ころがり軸受
2が正常な場合に検出される振動波形を表している。
(c)は、オイルシートの潤滑不良やころがり軸受2の
均等摩耗が生じている場合に検出される振動波形を表し
ている。(d)は、回転軸7ところがり軸受2とのミス
アライメントが生じている場合に検出される振動波形を
表している。(e),(f),(g)及び(h)は、夫
々、外輪3,内輪4,移動体5及び保持器6に異常が生
じている場合に検出される振動波形を表している。
【0027】<電動機の軸受診断装置8の構成>図1
は、電動機の軸受診断装置(以下、単に診断装置と称
す)8の構成を示すブロック図である。この図1に示す
ように、電動機1の回転軸7の先端部、及び、負荷装置
9の回転軸10の先端部には、円柱状の接合板11及び
12が固定して装着されており、夫々の接合板11及び
12が接合され、ボルトで固定されることによって、電
動機1と負荷装置9とが接合されている。また、図4に
示すように、電動機フレーム13の両端には、回転軸7
を支えるためのころがり軸受2が装着されており、この
ころがり軸受2は電動機フレーム13のハウジング14
内に収容されている。
【0028】これらのころがり軸受2を収容するハウジ
ング14の外周面の上側部には、振動検出手段たる圧電
素子製の加速度センサ15が強固に取り付けられてい
る。これらの加速度センサ15では、電動機1の回転軸
7の回転によって振動を受けると、圧電素子によってそ
の振動がアナログの電気信号(振動信号)に変換され、
この振動信号が信号線16を介して信号変換手段たるP
Cカード17のL入力端子及びR入力端子に出力され
る。
【0029】PCカード17は、アンプ18及びA/D
変換器19を備えて構成されている。PCカード17で
は、まず、アンプ18にて、L入力端子及びR入力端子
より入力された振動信号が所定レベルの振幅に増幅され
る。尚、アンプ18のゲインは、PCカード17が接続
されたパソコン20(後述)にて設定されるようになっ
ている。続いて、A/D変換器19にて、増幅された振
動信号がウェーブ形式に基づいた最大44.1[kH
z]のサンプリング周波数でデジタルの音声信号(以
下、原音声信号と称す)にA/D変換される。そして、
この原音声信号がステレオ出力端子からパソコン20に
出力される。
【0030】パソコン20は、CPU21を主体とし、
フロッピー(登録商標)ディスク(FD)ドライブ装置
22,コンパクトディスク(CD)ドライブ装置23,
ハードディスク(HD)装置24,モニタ25,スピー
カ26,ROM27,RAM28,キーボード29,入
力インターフェース,出力インターフェース及びサウン
ドインターフェース(何れも図示せず)等を備えて構成
されている。尚、PCカード17は入力インターフェー
スに接続されている。また、パソコン20,FDドライ
ブ装置22,CDドライブ装置23,及び,HD装置2
4で記録手段36が構成されている。
【0031】CPU21には、ウィンドウズOSがイン
ストールされており、各種データをFD,CD又はHD
(以下、これらを単にディスクと称す)にウェーブ形式
で記録する機能が標準装備されている。そして、CPU
21では、詳細は後述するが、PCカード17から出力
された原音声信号をウェーブ形式でディスクに記録する
ようになっている。
【0032】HD装置24には、ころがり軸受診断用の
ソフトウェアがインストールされており、CPU21に
てこのソフトウェアを起動すると、CPU21内には診
断手段たる診断機能31,振動音出力手段たる振動音出
力機能32,情報処理機能33(何れも後述)が形成さ
れる。
【0033】診断機能31では、主に、校正用音声信号
(後述)に基づいて原音声信号の校正が行われ、校正済
音声信号が生成される。この校正済音声信号はウェーブ
形式でディスクに記録することも可能である。そして、
この校正済音声信号を周波数分析処理することにより、
ころがり軸受2の異常診断が行われる。
【0034】また、診断機能31には、図示はしない
が、簡易診断機能及び精密診断機能が形成されている。
簡易診断機能では、校正済音声信号を包絡線処理するこ
とにより得られた信号(以下、この信号を包絡線処理済
音声信号と称す)の重力加速度のピーク値が検出され、
このピーク値が所定の重力加速度に達している場合には
ころがり軸受2に異常有りとし、それ以外の場合には異
常無しとする判定がなされる。
【0035】精密診断機能では、簡易診断機能において
ころがり軸受2に異常有りと判定された場合に、校正済
音声信号を周波数分析処理することにより電動機1の実
回転数が検出され、この実回転数に基づいてころがり軸
受2の特徴周波数が算出され、この特徴周波数と包絡線
処理済音声信号の周波数成分とを比較することにより、
ころがり軸受2の異常箇所の特定が行われる。そして、
これら簡易診断機能及び精密診断機能において診断され
た結果は、モニタ25に出力される。
【0036】情報処理機能33では、校正済音声信号の
帯域遮断フィルター処理が行われ、帯域遮断音声信号が
生成される。この帯域遮断音声信号はウェーブ形式でデ
ィスクに記録することも可能である。
【0037】振動音出力機能32では、原音声信号,校
正済音声信号及び帯域遮断音声信号を振動音としてスピ
ーカ26から出力させる制御が行われる。この場合、原
音声信号及び校正済音声信号は、振動検出時のころがり
軸受2の振動音に相当する。また、帯域遮断音声信号
は、振動検出時のころがり軸受2の振動音から所定の周
波数帯域の振動成分をカットしたものに相当する。
【0038】また、HD装置24には、市販されている
ころがり軸受2の全種類の形状データを記録したデータ
ベース30が形成されている。そして、診断機能31で
は、後述する識別情報(ころがり軸受2のメーカ名及び
型式)により、データベース30の中から診断に必要な
形状データを選択して読み出すようになっている。しか
も、この選択は、識別情報であるメーカ名及び型式の何
れかが未記録の場合には、後述する選択条件に基づいて
行われるようになっている。
【0039】選択条件は、以下のように設定されてい
る。まず、データベース30内の形状データは、電動機
1の容量及び極数が等しいもの毎にグループ化されてお
り、各グループ毎に過去の診断時に使用された各形状デ
ータの使用回数が記録されている。そして、診断機能3
1にて形状データを選択する際に識別情報の一部が未記
録の場合には、電動機の容量及び極数に基づいて、該当
するグループの中から使用回数が一番多い形状データが
選択される。
【0040】<診断装置8の作用説明>次に、診断装置
8の作用について説明する。ころがり軸受診断用のソフ
トウェアを立ち上げると、モニタ25画面上には、図示
はしないが、ころがり軸受診断用のメインメニュー画面
が表示される。このメインメニュー画面では、まず、使
用する診断データファイル(後述)の設定が行われる。
これは、既存のものの中から選択するか、新規作成する
ことにより行われる。続いて、以下の項目が選択可能に
表示され、設定された診断データファイルに対して各項
目の処理が実行される。 ・≪初期設定≫ ・≪振動検出≫ ・≪軸受診断≫ ・≪振動音出力≫
【0041】以下、各項目の作用について説明する。
尚、ここで、診断情報とは、校正情報(原音声信号を校
正するための校正用音声信号等)、測定情報(PCカー
ド17内のアンプ18のゲイン設定値,測定場所及び測
定日時)、電動機情報(指令周波数,容量及び極数)及
び識別情報(ころがり軸受2のメーカ名及び型式)で構
成されているものとする。
【0042】≪初期設定≫メインメニュー画面から≪初
期設定≫が選択されると、モニタ25画面上には図示し
ない初期設定画面が表示される。この初期設定画面で
は、以下の各項目を選択することにより、校正情報,測
定情報,電動機情報及び識別情報の設定が行われる。
【0043】[校正情報の設定]ここでは、原音声信号
の振幅を重力加速度に対応付けるための校正に必要な校
正用音声信号の設定が行われる。まず、診断装置8は、
原音声信号の検出時と同一の加速度センサ15及びPC
カード17を装備したものとし、PCカード17内のア
ンプ18のゲインは原音声信号の検出時と同一値に設定
する。次に、正確な一定の重力加速度で振動させること
が可能な加振器等を用いて、例えば重力加速度1[G]
から10[G]まで1[G]置きまたは1[G]毎に振
動させる。
【0044】これにより、PCカード17では、各重力
加速度における加振器等の振動が検出され、ウェーブ形
式に基づいた最大44.1[kHz]のサンプリング周
波数でA/D変換が行われ、デジタルの校正用音声信号
が出力される。そして、記録手段36にて、この校正用
音声信号が診断データファイルに記録される。図5は、
加振器の重力加速度を1[G],2[G],3[G]に
設定して振動させたときの校正用音声信号の波形を示す
一例である。
【0045】このようにして複数の校正用音声信号の記
録が完了すると、診断機能31では、夫々の重力加速度
における校正用音声信号のピークの平均値が検出され、
これらのピークの平均値に基づいて、重力加速度と校正
用音声信号のピークの平均値との一次比例の近似直線
(以下、この近似直線を校正用近似直線と称す)が演算
により求められる。そして、記録手段36にて、この校
正用近似直線データが診断データファイルに記録され
る。これにより、校正用音声信号及び校正用近似直線デ
ータが診断データファイルに校正情報として記録され
る。
【0046】[測定情報の設定]ここでは、診断装置8
にて検出された原音声信号の振幅を最適化するためのア
ンプ18のゲインの設定が行われる。まず、電動機1を
駆動させ、診断装置8にて、ころがり軸受2の振動を原
音声信号として検出する。このとき、モニタ25画面上
に原音声信号の波形がリアルタイムで表示されるので、
診断者は、この波形を見ながら振幅が適正な大きさにな
るようにゲインを設定する。そして、このゲインは診断
データファイルに記録される。また、測定場所及び測定
日時の設定が可能であり、設定された測定場所及び測定
日時は診断データファイルに記録される。尚、これら測
定場所及び測定日時はころがり軸受2の診断には必要な
いので、未記録であっても特に問題はない。
【0047】[電動機情報の設定]ここでは、電動機1
の指令周波数,容量及び極数の設定が行われる。指令周
波数は、電動機1を駆動させた時のものを入力すること
により行われ、容量及び極数は、電動機1に付された銘
板等に記載されているものを入力することにより行われ
る。そして、これら指令周波数,容量及び極数は診断デ
ータファイルに記録される。尚、容量及び極数は、診断
データファイルに識別情報が未記録の場合にデータベー
ス30の中から形状データを推定するのに使用されるも
のであり、診断データファイルに識別情報が記録されて
いる場合には未記録であってもよい。
【0048】[識別情報の設定]ここでは、ころがり軸
受2の形状データをデータベース30の中から選択する
ための識別情報(ころがり軸受2のメーカ名及び型式)
の設定が行われる。これは、電動機1に付された銘板等
に記載されている識別情報を入力することにより行わ
れ、診断データファイルに記録される。尚、この識別情
報は、前記銘板等に識別情報が記載されていない場合に
は未記録であってもよい。以上のようにして、校正情
報,測定情報,電動機情報及び識別情報の設定が行われ
る。尚、これらの診断情報は、任意の順番で設定するこ
とが可能であり、必要に応じて修正したり書き換えるこ
とができるようになっている。
【0049】次に、図6は、診断データファイル即ちウ
ェーブ形式ファイル内のデータ領域構造を示す図であ
る。この図6に示すように、ウェーブ形式ファイルのデ
ータ領域は、情報チャンク34とウェーブチャンク35
で形成されている。
【0050】ここで、ウェーブチャンク35は音声用の
データを記録するためのデータ領域である。このウェー
ブチャンク35に記録された音声用のデータは、ウィン
ドウズOSに標準装備されたウィンドウズ・メディア・
プレーヤー等にて簡単に読み出してスピーカ26から音
声として出力させることができる。そして、診断装置8
では、原音声信号をこのウェーブチャンク35に記録す
るようになっている。
【0051】一方、情報チャンク34はユーザが任意に
データを記録することができるデータ領域である。この
情報チャンク34に記録されたデータは、ウィンドウズ
・メディア・プレーヤー等では自動的に読み飛ばされ
る。そして、診断装置8では、診断情報をこの情報チャ
ンク34に記録するようになっている。
【0052】≪振動検出≫メインメニュー画面から≪振
動検出≫が選択されると、モニタ25画面上には図示し
ない振動検出画面が表示される。ここでは、ころがり軸
受2の振動検出が行われる。以下、図7のフローチャー
トを参照しながら振動検出の作用について説明する。
【0053】ステップS1では、サンプリング周波数の
設定が行われる。ここで、ウェーブ形式に基づくサンプ
リング周波数は、最大44.1[kHz]であり、設定
可能なサンプリング周波数は、44.1[kHz]、及
び、その分周周波数(例えば、22.05[kHz],
11.025[kHz]等)である。本実施例では、サ
ンプリング周波数として、44.1[kHz]が設定さ
れている。そして、サンプリング周波数が入力される
と、ステップS2に移行する。
【0054】ステップS2では、検出開始キーの入力待
ち状態となっている。このとき、電動機1のころがり軸
受2に加速度センサ15が固定して装着されているこ
と、及び、電動機1の駆動装置(図示せず)に設定され
た指令周波数に基づいて、電動機1が定常状態で駆動し
ていることを確認する。そして、これらの確認により、
ころがり軸受2の振動検出が可能となった場合に検出開
始キーが入力され、ステップS3に移行する。
【0055】ステップS3では、PCカード17におい
て、設定されたサンプリング周波数に基づいて、振動信
号のA/D変換が行われ、原音声信号が生成される。
尚、PCカード17には、2つの加速度センサ15にて
検出された振動信号がステレオ方式で入力されており、
異なる2つの振動信号が同時に並列処理されて、2つの
原音声信号が生成されるようになっている。そして、ス
テップS4に移行する。
【0056】ステップS4では、原音声信号がウェーブ
形式のデータに変換され、診断データファイルのウェー
ブチャンク35にステレオ方式で記録される。以上説明
した≪初期設定≫及び≪振動検出≫は任意の順番で行う
ことが可能であり、これらにより、一つの診断データフ
ァイルに原音声信号及び診断情報が記録されるようにな
っている。
【0057】≪軸受診断≫メインメニュー画面から≪軸
受診断≫が選択されると、モニタ25画面上には図示し
ない軸受診断画面が表示される。ここでは、診断データ
ファイルに記録された原音声信号及び診断情報に基づい
て、ころがり軸受2の診断が行われる。以下、図8のフ
ローチャートを参照しながら診断の作用について説明す
る。
【0058】ステップT1では、診断データファイルか
ら原音声信号及び診断情報が読み出される。そして、ス
テップT2に移行する。ステップT2では、診断情報内
の識別情報に基づいて、データベース30の中から診断
に必要な形状データの読み出しが行われる。ここで、識
別情報の一部が未記録の場合には、診断情報内の電動機
情報(容量及び極数)に対応した選択条件に基づいて形
状データの選択が行われる。尚、電動機情報の一部が未
記録の場合には、モニタ25画面上に形状データを入力
する画面が表示され、診断者により形状データの入力が
行われる。そして、ステップT3に移行する。
【0059】ステップT3では、ころがり軸受2の異常
を判定するための重力加速度の値(以下、異常判定用重
力加速度と称す)の入力が行われる。そして、ステップ
T4に移行する。ステップT4では、診断情報内の校正
用近似直線データに基づいて原音声信号の1サンプル毎
の校正が行われ、校正済音声信号が生成される。この校
正済音声信号は、診断者の必要に応じて、診断データフ
ァイルのウェーブチャンクに記録することができるよう
になっている。そして、ステップT5に移行する。
【0060】ステップT5では、ころがり軸受2の異常
の有無を判定するための簡易診断が実行される。この簡
易診断の詳細を、図9のフローチャートを参照しながら
説明する。ステップU1では、校正済音声信号の中か
ら、重力加速度のピーク値の検出が行われる。これは、
校正済音声信号の全サンプル値を1サンプル毎に比較す
ることにより行われる。そして、ステップU2に移行す
る。ステップU2では、ステップU1で検出された校正
済音声信号のピーク値と、図8のステップT3で入力さ
れた異常判定用重力加速度の値との比較が行われ、異常
判定用重力加速度の値よりも校正済音声信号のピーク値
のほうが大きい場合には、ころがり軸受2に異常有りと
判定される。そして、図8のステップT6に移行する。
【0061】ステップT6では、簡易診断の結果によ
り、ころがり軸受2に異常が無いと判定された場合に
は、ステップT8に移行する。また、ころがり軸受2に
異常が有ると判定された場合には、ステップT7に移行
して、精密診断が行われる。この精密診断の詳細を図1
0のフローチャートを参照しながら説明する。ステップ
V1では、校正済音声信号の高速フーリエ変換処理が行
われる。この高速フーリエ変換処理は、校正済音声信号
の連続した16384点のデータに基づいて行われる。
尚、校正済音声信号のサンプリング周波数は44.1
[kHz]であるので、この高速フーリエ変換処理によ
る周波数分解能は約2.7[Hz]となる。
【0062】図11に、一例として、外輪3に異常があ
るころがり軸受2の診断を行った場合に生成された校正
済音声信号を高速フーリエ変換処理したときの周波数分
布波形を示す。この図11に示すように、校正済音声信
号の周波数成分は、特定の周波数領域で重力加速度の振
幅が大きな部分が複数有ることがわかる。以下、これら
の周波数領域を極大領域と呼ぶこととする。これらの極
大領域は、電動機1の実回転速度や、ころがり軸受2を
構成する部品の特徴周波数、及び、これらの周波数の高
調波成分である。
【0063】続いて、ステップV2では、高速フーリエ
変換処理された校正済音声信号の周波数成分から、電動
機1の実回転速度の検出が行われる。具体的には、校正
済音声信号の周波数成分中の複数の極大領域の中から、
診断情報内の周波数指令の値に最も近い極大領域が検出
され、この極大領域の極大値を示す周波数が電動機1の
実運転周波数(実回転速度)として検出される。そし
て、ステップV3に移行する。
【0064】ステップV3では、検出された実回転速
度、及び、図8のステップT2において読み出された形
状データに基づいて、ころがり軸受2の特徴周波数が算
出される。そして、ステップV4に移行する。ステップ
V4では、校正済音声信号の高調波ノイズ成分を除去す
るために、校正済音声信号の包絡線処理が行われ、包絡
線処理済音声信号が生成される。そして、ステップV5
に移行する。
【0065】ステップV5では、包絡線処理済音声信号
の高速フーリエ変換処理が行われる。この高速フーリエ
変換処理も、包絡線処理済音声信号の連続した1638
4点のデータに基づいて行われ、周波数分解能は約2.
7[Hz]となる。これにより、低周波領域(例えば1
0[Hz]〜100[Hz]の周波数領域)に接近して
現れる転動体5及び保持器6の特徴周波数を明確に識別
することが可能となる。
【0066】図12に、一例として、外輪3に異常があ
るころがり軸受2の診断を行った場合の包絡線処理済音
声信号を、フーリエ変換処理したときの周波数分布波形
を示す。この図12に示すように、電動機1の実回転周
波数(実回転速度)、外輪3の特徴周波数、及び、これ
らの周波数の高調波成分が検出されていることがわか
る。
【0067】続いて、ステップV6では、ころがり軸受
2の特徴周波数と、包絡線処理済音声信号の周波数成分
との比較が行われる。まず、図12に示すように、包絡
線処理済音声信号の周波数成分において、夫々の特徴周
波数と一致する周波数での重力加速度の値の検出が行わ
れる。次に、これら検出された重力加速度の値の中で、
一番大きな値を示す特徴周波数が検出される。そして、
この検出された特徴周波数に対応するころがり軸受2の
部品が、ころがり軸受2の異常の主要因として特定され
る。図12に示す例では、夫々の特徴周波数における重
力加速度の値の中で、外輪3に相当する特徴周波数の重
力加速度の値が一番大きいので、外輪3に異常があると
特定される。そして、図8のステップT8に移行する。
【0068】ステップT8では、簡易診断及び精密診断
の診断結果を受けて、この診断結果のモニタ25への表
示が行われる。また、診断者の必要に応じて、診断結果
を診断データファイルの情報チャンクに記録することも
可能である。
【0069】≪振動音出力≫メインメニュー画面から≪
振動音出力≫が選択されると、モニタ25画面上には図
示しない振動音出力画面が表示される。ここでは、診断
データファイルに記録された原音声信号及び校正済音声
信号と、校正済音声信号を帯域遮断フィルター処理する
ことにより生成した帯域遮断音声信号を振動音として出
力する処理が行われる。以下、図13のフローチャート
を参照しながら振動音出力の作用について説明する。
【0070】ステップW1では、原音声信号、校正済音
声信号、又は、帯域遮断音声信号の中から振動音として
出力するものの選択が行われる。ここで、原音声信号が
選択された場合にはステップW2に移行し、校正済音声
信号が選択された場合にはステップW3に移行し、帯域
遮断音声信号が選択された場合にはステップW4に移行
する。
【0071】ステップW2では、原音声信号が音声再生
処理され、振動音としてスピーカ26から出力される。
ステップW3では、校正済音声信号が音声再生処理さ
れ、振動音としてスピーカ26から出力される。
【0072】ステップW4では、校正済音声信号の高速
フーリエ変換処理が行われる。ここでの高速フーリエ変
換処理も、図10のステップV1やステップV5で行わ
れたものと同様にして、データ点数が16384点での
演算が行われる。そして、ステップW5に移行する。ス
テップW5では、診断者により、校正済音声信号の帯域
遮断フィルター処理を行うための周波数帯域の設定が行
われる。そして、ステップW6に移行する。
【0073】ステップW6では、設定された周波数帯域
に基づいて、高速フーリエ変換処理された校正済音声信
号の帯域遮断フィルター処理が行われる。そして、ステ
ップW7に移行する。ステップW7では、帯域遮断フィ
ルター処理された校正済音声信号の逆高速フーリエ変換
処理が行われ、再び、時間成分の校正済音声信号に変換
される。そして、ステップW8に移行する。
【0074】ステップW8では、振動音出力時の音声の
連続性を確保するために、逆高速フーリエ変換処理され
た校正済音声信号の窓関数処理が行われ、これによって
帯域遮断音声信号が生成される。そして、ステップW9
に移行する。ステップW9では、帯域遮断音声信号が音
声再生処理され、振動音としてスピーカ26から出力さ
れる。
【0075】このように本実施例によれば、電動機1を
駆動させた状態で加速度センサ15にてころがり軸受2
の振動を検出し、PCカード17にて振動を原音声信号
に変換し、記録手段36にて原音声信号ところがり軸受
2の診断に必要な診断情報を共通の診断データファイル
に記録するようにした。そして、診断機能31にて診断
データファイルに記録された原音声信号及び診断情報に
基づいて簡易診断を行い、ころがり軸受2に異常が検出
された場合には、精密診断によって異常箇所の特定を行
うようにした。また、振動音出力機能32にて診断デー
タファイルに記録された原音声信号に基づいて振動音の
出力を行うようにした。
【0076】このような構成によれば、ころがり軸受2
の振動を検出した原音声信号と、このころがり軸受2の
診断に必要な診断情報とが共通の診断データファイルに
記録されるので、この診断データファイルから原音声信
号とこれに対応した診断情報を正確に読み出すことがで
き、これにより、正確な軸受診断を行うことができる。
しかも、診断データファイルに記録された原音声信号に
基づいて振動音の出力を行うようにしたので、診断者は
必要に応じて容易に音声信号を音として確認することが
できる。
【0077】また、HD装置24内に市販されているこ
ろがり軸受2の全種類の形状データを記録したデータベ
ース30を設け、診断機能31では、軸受診断時に診断
データファイルに記録された識別情報に基づいてデータ
ベース30から診断に必要な形状データを選択して読み
出すようにしたので、ころがり軸受2毎に定められた固
定値である形状データを診断データファイル内に記録す
る手間を省くことができる。しかも、データベース30
に記録された形状データの分だけ診断データファイルの
データ量を少なくすることができるので、ディスクに記
録する診断データファイル数を増やすことができる。
【0078】また、診断機能31では、診断データファ
イルに記録された識別情報の一部に未記録部分がある場
合には、所定の選択条件に基づいてデータベース30の
中から診断に必要な形状データを選択して読み出すよう
にしたので、識別情報の一部に未記録部分がある場合に
も、診断に必要な形状データを正確に選択して読み出す
ことができる。これにより、診断者が例えば識別情報の
一部が分からなくて未記録にしたり識別情報の一部を記
録し忘れた場合などにも、診断者の手を煩わせることな
く効率よく軸受診断を行うことができる。
【0079】また、選択条件は、過去に行われた軸受診
断時における使用頻度が高い形状データを優先して選択
するように設定したので、診断装置8の使用される環境
に合わせて選択条件を設定することができる。これによ
り、識別情報の一部に未記録部分がある場合にも診断に
必要な診断情報を正確に選択することができ、軸受診断
の信頼性を高めることができる。
【0080】また、記録手段36は、診断情報を情報チ
ャンクに記録し原音声信号をウェーブチャンクに記録す
るようにして診断データファイルをウェーブ形式で記録
するようにしたので、汎用のウィンドウズOSに標準装
備されたウェーブ形式の記録機能を利用して、音声信号
及び診断情報を共通の診断データファイル内に区分して
記録することができる。しかも、該ウィンドウズOSに
標準装備されたウィンドウズ・メディア・プレーヤー等
を利用すれば、情報チャンクに記録された診断情報を自
動的に読み飛ばし、ウェーブチャンクに記録された原音
声信号を簡単に振動音として出力することができるの
で、診断者は軸受診断時などに振動音を容易に確認する
ことができる。
【0081】また、信号変換手段をPCカード17で構
成し、このPCカード17をパソコン20に着脱式で装
着できるようにしたので、持ち運び易さや扱い易さの点
で信号変換手段の利便性を高めることができる。
【0082】尚、本発明は、上記し、且つ図面に示す実
施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形、
拡張が可能である。上記実施例では、形状データを記録
するデータベースを設けたが、これは必要に応じて設け
ればよく、例えば、形状データを診断データファイルに
記録するようにしてデータベースを設けない構成として
もよい。
【0083】上記実施例では、診断データファイルに記
録された識別情報の一部に未記録部分がある場合には、
所定の選択条件に基づいてデータベースの中から診断に
必要な形状データを選択して読み出すようにしたが、こ
の機能は必要に応じて設ければよい。上記実施例では、
軸受診断の使用頻度が高い形状データを優先して選択す
るように選択条件を設定したが、これは必要に応じて設
定すればよい。また、選択条件の内容はこれに限定され
るものではなく、任意に設定すればよい。
【0084】上記実施例では、記録手段は、診断情報を
情報チャンクに記録し音声信号をウェーブチャンクに記
録するようにして診断データファイルをウェーブ形式で
記録するようにしたが、この機能は必要に応じて設けれ
ばよい。上記実施例では、信号変換手段をPCカードに
適用したが、例えばコンパクトフラッシュカードに適用
してもよい。尚、これらは必要に応じて適用すればよ
い。
【0085】上記実施例では、振動検出手段を圧電素子
製の加速度センサに適用したが、これに限定されるもの
ではなく、要は振動を電気信号に変換するものであれば
よい。上記実施例では、ころがり軸受の診断を行うよう
にしたが、これに限定されるものではなく、例えばすべ
り軸受の診断を行うようにしてもよい。上記実施例で
は、誘導電動機の軸受診断を行うようにしたが、交流電
動機や直流電動機など回転機全般の軸受診断に適用でき
る。
【0086】
【発明の効果】以上の記述で明らかなように、本発明の
回転機の軸受診断装置は、共通の診断データファイルに
記録された音声信号及び診断情報を読み出すことに基づ
いて軸受の診断を行うようにしたので、前記診断データ
ファイルから音声信号とこれに対応した診断情報を正確
に読み出すことができ、これにより、正確な軸受診断を
行うことができる。しかも、診断データファイルに記録
された音声信号を振動音として出力可能にしたので、診
断者は必要に応じて容易に音声信号を音として確認する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回転機の軸受診断装置
の構成図
【図2】ころがり軸受の構成を示す図((a)は正面
図、(b)は断面図)
【図3】ころがり軸受の各種異常と振動波形との関係を
示す図
【図4】回転機のころがり軸受部の断面図
【図5】校正用音声信号の波形図
【図6】診断データファイルの構成図
【図7】振動検出の作用を示すフローチャート
【図8】軸受診断の作用を示すフローチャート
【図9】簡易診断の作用を示すフローチャート
【図10】精密診断の作用を示すフローチャート
【図11】校正済音声信号の高速フーリエ変換処理の一
例を示す波形図
【図12】包絡線処理済音声信号の高速フーリエ変換処
理の一例を示す波形図
【図13】振動音出力の作用を示すフローチャート
【符号の説明】
図面中、1は誘導電動機(回転機)、2はころがり軸受
(軸受)、3は外輪、4は内輪、5は転動体、6は保持
器、7は回転軸、8は診断装置(回転機の軸受診断装
置)、15は加速度センサ(振動検出手段)、17はP
Cカード(信号変換手段)、20はパソコン、22はF
Dドライブ装置、23はCDドライブ装置、24はHD
装置、30はデータベース、31は診断機能(診断手
段)、32は振動音出力機能(振動音出力手段)、34
は情報チャンク、35はウェーブチャンク、36は記録
手段を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 達也 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株 式会社東芝三重工場内 (72)発明者 伊藤 渉 三重県三重郡朝日町大字繩生2121番地 株 式会社東芝三重工場内 Fターム(参考) 2G024 AC01 BA15 CA13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機の軸受の振動を検出する振動検出
    手段と、 この振動検出手段により検出された振動信号を音声信号
    に変換する信号変換手段と、 この信号変換手段により変換された音声信号及び軸受の
    診断に必要な診断情報を共通の診断データファイルに記
    録する記録手段と、 前記診断データファイルから読み出した音声信号及び診
    断情報に基づいて音声信号を周波数分析処理することに
    より回転機の実回転数を求め、この実回転数に基づいて
    軸受の特徴周波数を求め、この特徴周波数と前記周波数
    分析処理された音声信号の周波数成分とを比較すること
    に基づいて軸受の異常を診断する診断手段と、 前記診断データファイルに記録された音声信号に基づい
    て振動音を出力する振動音出力手段とを具備することを
    特徴とする回転機の軸受診断装置。
  2. 【請求項2】 複数の軸受の形状データが記録されたデ
    ータベースを備え、 記録手段は、前記データベースから診断に必要な診断情
    報を読み出すための識別情報を診断情報として診断デー
    タファイルに記録し、 診断手段は、軸受の診断時に、前記診断データファイル
    から読み出した識別情報に基づいて前記データベースか
    ら形状データを選択して読み出すことを特徴とする請求
    項1記載の回転機の軸受診断装置。
  3. 【請求項3】 診断手段は、診断データファイルに記録
    された識別情報の一部に未記録部分がある場合には、デ
    ータベースの中から所定の選択条件に基づいて診断に必
    要な形状データを選択して読み出すことを特徴とする請
    求項2記載の回転機の軸受診断装置。
  4. 【請求項4】 選択条件は、軸受診断の使用頻度が高い
    形状データを優先して選択するように設定されているこ
    とを特徴とする請求項3記載の回転機の軸受診断装置。
  5. 【請求項5】 記録手段は、診断情報を情報チャンクに
    記録し音声信号をウェーブチャンクに記録するようにし
    て診断データファイルをウェーブ形式で記録することを
    特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の回転機の軸
    受診断装置。
  6. 【請求項6】 信号変換手段は、記録手段、診断手段及
    び振動音出力手段を備えたパソコンに着脱可能に装着さ
    れることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の
    回転機の軸受診断装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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