JP2003148480A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2003148480A
JP2003148480A JP2001349596A JP2001349596A JP2003148480A JP 2003148480 A JP2003148480 A JP 2003148480A JP 2001349596 A JP2001349596 A JP 2001349596A JP 2001349596 A JP2001349596 A JP 2001349596A JP 2003148480 A JP2003148480 A JP 2003148480A
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JP2001349596A
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Takashi Murai
隆司 村井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】転動体と保持器との接触部(転動体の平面およ
び平面と曲率を有する外径との交点エッジ部)における
保持器の異常摩耗を防ぐための潤滑性の向上を図る。 【解決手段】一対の軌道輪間に複数の転動体が組み込ま
れ、上記各軌道輪は転動体の半径より大径状の軌道面か
らなる軌道溝をそれぞれ有し、その中に少なくとも一つ
の軌道輪は二つの軌道面からなり、上記各転動体は転が
り接触面となる外径が軸方向にも曲率を持ち、円周上に
それぞれ交互に交差状に配されると共に、各転動体の外
径が常に相対する一方の軌道輪の軌道面と他方の軌道輪
の軌道面にてそれぞれ一点づつ合計二点で接触し、前記
転動体6は平面6b,6bを有し、その平面6b,6b
には潤滑溜まりとなる凹部6d,6dを有し、かつ平面
6b,6bは曲率を有する外径6aとの交点Cを任意の
曲率Rで接続している。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ラジアル荷重と両
方向のアキシアル荷重、モーメント荷重を受けられる転
がり軸受に関するものであり、特に産業機械、ロボッ
ト、医療機器、食品機械、半導体/液晶製造装置、光学
及びオプトエレクトロニクス装置などに使われる。 【0002】 【従来の技術】一つの軸受でラジアル荷重と両方向のア
キシアル荷重、モーメント荷重を受けられるものとし
て、従来、図12に示すクロスローラ軸受、図13に示
す4点接触玉軸受、図14に示す3点接触玉軸受が知ら
れている。図12に示すクロスローラ軸受では、転動体
300がころであり、転動体300と軌道輪100,2
00が二箇所で線接触するので、モーメント剛性大の長
所を持つ。図13に示す4点接触玉軸受又は図14に示
す3点接触玉軸受では、転動体400が玉であり、転動
体400と軌道輪100,200と四箇所又は三箇所で
点接触するので、低トルク、作動円滑の長所を持つ。し
かしながら、クロスローラ軸受ではモーメント剛性大と
いう長所をもつ一方、転動体300と軌道輪100が線
接触するので、トルク及びトルク変動が大きいという短
所もある。4点接触玉軸受又は3点接触玉軸受は、転動
体400が玉なので、同寸法のクロスローラよりトルク
が小さい長所を持つ一方、モーメント剛性小という短所
もある。またアキシアル荷重に対してラジアル荷重が優
勢な場合又は純ラジアル荷重を受ける場合、各玉400
は軌道輪100,200と4点又は3点で接触するた
め、玉400のスピンが大きく、小さなスピン摩耗性能
は得られない。さらに通常スピン摩耗性能を少しでも改
善するため、軸受の隙間を正に設定されるので、結果と
して軸受のモーメント剛性が小さくなってしまう。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るため、4点接触玉軸受の場合の大きなスピンを除いて
さらに低トルクを有するラジアル荷重と両方向のアキシ
アル荷重、モーメント荷重を受けられる新規有用な転が
り軸受(特開2001−50264)を先に発明した。
すなわち、一対の軌道輪間に複数の転動体が組み込ま
れ、上記各軌道輪は転動体の半径より大径状の軌道面か
らなる軌道溝をそれぞれ有し、その中に少なくとも一つ
の軌道輪は二つの軌道面からなり、上記各転動体は転が
り接触面となる外径が軸方向にも曲率を持ち、円周上に
それぞれ交互に交差状に配されると共に、各転動体の外
径が常に相対する一方の軌道輪の軌道面と他方の軌道輪
の軌道面にてそれぞれ一点づつ合計二点で接触する構成
とし、これにより次のような新規有用な作用効果を有す
る転がり軸受を提供した。 外内輪の間には、転動体は円周上に交互に交錯するよ
うに配されるので、一つの軸受でラジアル荷重と両方向
のアキシアル荷重、モーメント荷重を受けられる。 各転動体は、外内軌道輪といつも二個所しか接触して
いないので、従来の4点接触玉軸受又は3点接触玉軸受
における大きいスピンによる滑りが小さく、耐スピン摩
耗特性が向上できる。 また、必要により軸受隙間を小さく又は負に設定でき
るので、高モーメント剛性を実現できる。 さらに、転動体と軌道輪は点接触するので、クロスロ
ーラに比べ、転がり抵抗が低く、低トルク化を実現する
ことができる。 しかし、上記した転がり軸受にあっても、転動体である
玉は少なくとも玉の一部に平面等を持ち、常に相対する
一方の軌道輪の軌道面と他方の軌道輪の軌道面以外の軌
道面との干渉を防ぐこととすると同時に、転動体と保持
器との接触部(転動体の平面および平面と曲率を有する
外径との交点エッジ部)における保持器の異常摩耗を防
ぐための潤滑性の向上が課題となっている。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に本発明が成した技術的手段は、一対の軌道輪間に複数
の転動体が組み込まれ、上記各軌道輪は転動体の半径よ
り大径状の軌道面からなる軌道溝をそれぞれ有し、その
中に少なくとも一つの軌道輪は二つの軌道面からなり、
上記各転動体は転がり接触面となる外径が軸方向にも曲
率を持ち、円周上にそれぞれ交互に交差状に配されると
共に、各転動体の外径が常に相対する一方の軌道輪の軌
道面と他方の軌道輪の軌道面にてそれぞれ一点づつ合計
二点で接触している転がり軸受において、転動体は少な
くとも一平面以上を有し、その平面には潤滑溜まりとな
る凹部を有し、かつ平面は曲率を有する外径との交点を
任意の曲率Rで接続されている。なお、これらの形状生
成は、切削あるいは鍛造成形など適宜選べばよい。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図に
基づいて説明する。尚、本実施形態は、本発明の説明に
あたって開示される一実施形態にすぎず何等限定解釈さ
れるものではなく、本発明の範囲内において自由に変更
可能である。 【0006】本発明転がり軸受は、例えば、産業機械、
ロボット、医療機器、食品機械、半導体/液晶製造装
置、光学及びオプトエレクトロニクス装置などにおいて
使用される。転がり軸受は、軌道輪(外輪)1の内径
と、軌道輪(内輪)2の外径間に形成される軌道溝3に
複数の転動体6,6…が組込まれてなる。軌道輪1,2
は、夫々一体、またはそのいずれか一方あるいは双方共
が幅方向の任意箇所で軸方向に二分割され、ボルト・リ
ベット等で一体に組み立てられるものであってもよい。
なお、二分割する場合で、フランジ部分がある場合に
は、フランジ部分の固定を二分割された軌道輪の固定作
用を兼ねるものとしてもよい。この場合に、フランジの
形状構造は、特に限定解釈されず、またフランジの軸方
向寸法は対称でも非対称でも良く特に限定されず本発明
の範囲内で設計変更可能である。また、フランジと取付
け相手部品との取付け位置精度を向上するためにフラン
ジにインローなどを造っても良い。 【0007】軌道溝3は、転動体6の半径よりも大きな
半径の軌道面4,5により形成されている。また、少な
くともいずれか一方の軌道輪1,2の軌道溝3の軌道面
4,5は、夫々が転動体6の半径よりも大きな半径の二
つの軌道面4a,4b若しくは5a,5bから構成され
ている。各軌道面4(若しくは4a・4b),5(若し
くは5a・5b)の形状は、転動体6の転がりに適切な
形状を有しているものであれば、断面アーチ状あるいは
V字状等任意で、また曲線状あるいは直線状等のいずれ
であってもよく特に限定されるものではないが、例えば
円心をクロスに配置した両円弧で形成されたゴシックア
ーチなどが適用される。また、本実施形態では、内輪2
の軌道面5a,5bの交点に研削逃げを形成して、研削
加工が容易になる構造としたが、研削逃げを形成せずに
連続した楕円形状の軌道溝を形成することも可能であ
る。 【0008】転動体6は、転がり接触面となる外径6a
が軸方向に曲率を持ち、かつ軌道面4(4a・4b),
5(5a・5b)の夫々の半径よりも小径の半径を有す
る任意形状で、該転動体6は、隣接する転動体6が夫々
交互に交差状に配されると共に、各転動体6の外径6a
が、常に一方の軌道輪1の軌道面4(4a・4b)と他
方の軌道輪2の軌道面5(5a・5b)にて夫々一点ず
つ合計二点で接触している。例えば、図2に示す転動体
6は、一組の平面(相対面)6b,6bを有する上下切
断状玉(玉の上下部分を切断して相対面6b,6bを形
成した構造のものをいう。以下同じ。)で、その平面6
b,6bの中心位置に潤滑溜りとなる僅かに円錐台状
(本実施形態では、玉中心に向けて先細り状)にへこん
だ凹部6dを設け、該平面6b,6bと、曲率を有する
外径6aとの交点Cを、任意の曲率Rで接続した構成と
する。そして、該転動体6は、平面6b,6bに垂直す
る自転中心軸6cが夫々交差状となるように夫々の転動
体6,6…が組込まれると共に、各転動体6の外径6a
が、常に一方の軌道輪1の軌道面4(4a・4b)と他
方の軌道輪2の軌道面5(5a・5b)にて夫々一点ず
つの合計二点で接触している。凹部6dは、特に図示形
状に限定されず、例えば、図示例とは逆に、玉中心に向
けて拡開状とする円錐台形状としてもよい。また、半球
状・円筒状・角筒状または径方向に横長スリット状の溝
(単数本若しくは複数本)などの所望形状でもよく、平
面6bの任意な箇所に一箇所若しくは複数箇所設けるこ
とができる。さらに、複数箇所設ける場合は夫々が連通
していても独立していてもよく、また夫々同一形状でな
くともよく任意形状が選択できる。そしてこの凹部6d
には、所望な潤滑剤(グリース又はオイルなど)Gを封
入する。また、転動体6は、図6に示すように、上下の
いずれかを切断状として一平面6eを形成してなる片面
切断状玉であってもよく、この場合も平面6eには、上
述したと同様の潤滑溜りとなる僅かにへこんだ凹部6d
を設け、さらに該平面6eと、曲率を有する外径6aと
の交点Cを、任意の曲率Rで接続した構成とする。図5
は、この図6に示した転動体(片面切断状玉)6を外内
輪1,2間に組込んだ転がり軸受の一実施形態を示す。
外輪1と内輪2の構成については上述した説明の通りで
ある。なお、本実施形態では、外輪1の軌道面4のみが
転動体6の半径よりも大きな半径の二つの軌道面4a,
4bからなり、内輪2の軌道面5は単一の軌道面とし
た。 【0009】図2に示す転動体6の具体的構成の一例を
示すと次の通りである。 玉径D:φ6.35mm、 平面間距離W:4.5mm、 凹部:約φ1.5mm、深さ:0.2mm程度 外径と平面との交点:1mmのRで接続 図6に示す転動体6の具体的構成の一例を示すと次の通
りである。 玉径D:φ6.35mm 平面間距離W:5.425mm 凹部:約φ1.5mm、深さ:0.2mm程度 外径と平面との交点:1mmのRで接続 【0010】図1,図6に示すように、転動体6は保持
器7によって案内されるが、特に転動体6の接触角に対
する変動に対しては、転動体6の平面6b(6e)が保
持器7のポケット幅面によって案内されるので、通常こ
の接触部分の潤滑が問題になる。しかし、本発明による
と転動体6の平面6b(6e)に潤滑溜まりとなる凹部
6dを設けるため、保持器7と転動体平面6b(6e)
の接触部は、この凹部6dにあるグリースGの基油(グ
リース潤滑時)または油(油潤滑時)によって常に良好
な油膜形成に寄与するので保持器7の異常摩耗などは生
じなくなる。また、保持器ポケット内において転動体6
がポケットすきま内で倒れた場合においても平面6b
(6e)と曲率を持つ外径6aとの交点Cを任意の曲率
Rで接続しているため、保持器7に対して転動体6のエ
ッジ部による異常摩耗をおこすこともない。また、これ
まで平面6b(6e)と曲率を持つ外径6aとの交点C
に鋭利なエッジが生じ、転動面(外径6a)の球状加工
後にエッジ部の丸めを行っていたが、あらかじめ任意の
曲率Rで接続するため、転動面の球状加工後のエッジ部
の丸め工程が不要となり、前述の保持器7に対する異常
摩耗もなくすことができる。 【0011】転動体6は、その上下の切断幅は特に限定
されず、また上下の切断割合は、均等あるいは均等でな
いものであってもよく、本発明の範囲内で任意に選択可
能である。すなわち、転動体6の相対面6b,6bは、
対称であっても非対称であってもよくいずれも本発明の
範囲内である。このように二平面が非対称である転動体
は、特に高速回転の場合に用いられる。この場合の転動
体6は、非対称の平面(相対面)の大端側が、軸受の内
輪に向くように配することで、転動体の回転がより安定
になり、より低トルクを実現することが出来る。尚、転
動体6の全体形状、相対面6b,6bの有無や、外径6
aにおける軸方向の曲率の大小等は、上記具体的形状に
何等限定されるものではなく、本発明の範囲内において
任意に変更可能である。すなわち、例えば、相対面6
b,6bに代えて、非平行状の両面を備え、該両面に垂
直する自転中心軸6cを有するものとしてもよい。 【0012】また、転動体6,6…の組込みは、隣接す
る転動体6,6における各相対面6b・6b,6b・6
bに垂直する自転中心軸6c,6cが交互に交差状とな
るようにするが、その交差状態は直交状・非直交状のい
ずれでも構わない。転動体6の交差状に配される方式
は、両方のなりで数が同じなら、特に限定されず、すな
わち、転動体6が1ヶ毎に交差してもよく、1ヶ毎に交
差しなくとも両方のなりで数が同じなら、2ヶずつ交差
あるいは2ヶ1ヶ1ヶ2ヶ等のように交差していてもよ
くいずれも本発明の範囲内である。 【0013】各転動体6の運動は、保持器7あるいはセ
パレータ(スぺーサ)9で案内される。図3は図2に示
す転動体用の保持器、図4は図2に示す転動体用のセパ
レータで、図7と図8は図6に示す転動体用の保持器、
図11は図6に示す転動体用のセパレータの一例を示
す。保持器7、セパレータ(スぺーサ)9は、転動体6
を保持案内するポケット8…、あるいは溝10,凹面1
2を夫々有する形状であれば、特に限定されるものでは
なく本発明の範囲内で任意に選択変更可能である。保持
器7の案内方式は特に限定されるものではなく、内輪案
内でも、外輪案内でも、転動体案内でもよい。また、保
持器7の構成・形状などは特に限定されるものではな
く、例えば一体型でも、幾つかの部分から形成したもの
でも良い。 【0014】例えば、まず図3に示す保持器7を説明す
ると、保持器7は、隣接する各転動体6,6を自転中心
軸6c,6cが夫々交差状になるように交互に組み込み
可能なポケット8…を、円環体の円周上で転動体6…数
量と同一数量をもって等間隔で、かつ交互に交差状に配
して構成されている実施の形態である。各ポケット8…
の軸方向の両側面8a,8bは、交互に平行しかつ軸受
の回転軸と垂直でも平行でもなく、転動体6の接触角と
同等レベルの一定の角度(傾斜状)となっている。各ポ
ケット8…の軸方向の両側面8a,8b間の距離は、転
動体6の幅よりやや大きく構成されている。上記ポケッ
ト8の形状は、傾斜状の平行な両側面8a,8bを有す
ると共に、両側面8a,8b間の距離を転動体6の幅よ
りもやや大きく形成されているものであれば、そのポケ
ット全体形状は特に限定解釈されるものではなく本発明
の範囲内で変更可能である。なお、本実施形態では、円
周上で転動体6…数量と同一数量のポケット8…が等間
隔で、かつ交互に交差状に配されているが、特に限定さ
れず、両方のなりで数が同じなら、2ケずつ交差あるい
は2ケ1ケ1ケ2ケ等のように交差していても良く本発
明の範囲内である。種々の因子の影響により、回転中の
転動体にはスピン又はスキューが発生する可能性があ
り、転動体の姿勢が上手く制御できないと、軸受の回転
抵抗が大きくなったり、スムースに回転できなくなった
りする可能性がある。従って、本実施形態によれば、保
持器7のポケット8が転動体6の接触角と同等レベルの
一定角度と大体同じとした平行状両側面8a,8bを備
え、該ポケット両側面8a,8bにより、転動体6のス
ピン、スキューなどによる転動体6の姿勢変化が抑えら
れ、軸受の姿勢保持ができるため、軸受の低トルク化を
実現することができる。 【0015】図4に示すセパレータ9は、転動体6の直
径よりも小径状で、隣接して保持する各転動体6,6を
上述の通り自転中心軸6c,6cが夫々交差状になるよ
うに保持する凹状円弧溝10,10を、相対面11,1
1に交差状に形成している。この円弧溝10の曲率半径
は、転動体外径6aの曲率半径と略同一、あるいは大き
いものとしてもよく任意である。このようにセパレータ
9を使用すれば軸受全体がコンパクト化できる。 【0016】次に図7に示す保持器7について説明する
と、保持器7は、隣接する各転動体6,6を平面6e,
6eに垂直する自転中心軸6c,6cが夫々交差状にな
るように交互に組み込み可能なポケット8,8…を、周
方向に交互に形成している。ポケット8は、転動体6よ
りも僅かに大径状の円弧面8cと、該円弧面8cの端部
間を結ぶフラット面8dとで平面視ドーム状に構成され
ており、外径7a側の一辺8eと内径7b側の一辺8f
とは、外径7a側から内径7b側に向けて傾斜面8gで
連絡し、外径7a側の開口幅w1よりも内径7b側の開
口幅w2を大径に構成している(図7・図8(a))。
そして、周方向に隣接する各ポケット7の円弧面7aの
中心は、同一の円周上に配されて、平面視幅方向に外径
7a側の一辺8eの位置をずらして配されている。すな
わち、周方向に隣接する各ポケット7は、その傾斜面8
gが各ポケット7毎に交互左右に配される(図7参
照)。従って、本実施形態に示す保持器7を使用する
と、各ポケット8に配される転動体6は、隣接する夫々
の転動体6,6の自転中心軸6c,6cが交互に交差状
となるように、夫々のカット面6e,6eが外径7a
側、すなわち外輪1側に向くように保持される。また、
図8(b)に示すように、傾斜面8gの延長線上に同傾
斜状に外径7aに立上げ形成される片側倒れ防止片8h
を設ける構造を採用することも可能である。該片側倒れ
防止片8hは特に図示形状に限定されるものではなく、
転動体6の回転に影響のない程度の構成であれば本発明
の範囲内である。 【0017】次に、図9に示す保持器7について説明す
ると、保持器7は、ポケット8が平面視矩形状に構成さ
れ、周方向に延びる外径7a側の一辺8eと、その下方
内径7b側に存する一辺8fとは外径7a側から内径7
b側に向けて傾斜面8gで連絡し、外径7a側の開口幅
w1よりも内径7b側の開口幅w2を大径に構成してい
る(図9・図10)。そして、周方向に配される各ポケ
ット8は、平面視幅方向に交互に位置をずらして配され
る。すなわち、周方向に隣接する各ポケット8は、その
傾斜面8gが各ポケット8毎に交互左右に配される(図
9)。本実施形態の保持器7とすれば、図7の保持器7
よりもグリース保持空間が大きく取れる。その他の作用
効果は図7に示す保持器形態と同様である。 【0018】図11に示すような凹面12を有するセパ
レータ(スペーサ)9は、転動体6の直径よりも小径状
で、隣接して保持する各転動体6,6を上述の通り平面
6e,6eに垂直する自転中心軸6c,6cが夫々交差
状になるように保持する凹面12,12を、相対面1
1,11に交差状に形成している。すなわち、凹面12
の段部12aに転動体の平面6eを対向せしめて保持す
る。なお、本実施形態に示すセパレータ形状は一実施形
態にすぎず、何等限定されることなく任意に設計変更可
能である。 【0019】転動体と軌道面との間における予圧の付与
される状態は特に限定されず、すなわち、製造段階で予
圧が付与されても付与されなくてもよくいずれも本発明
の範囲内である。また、軸受内部隙間は必要により小さ
くまたは負(マイナス)に設定する。それにより軸受の
より高モーメント剛性を実現できる。 【0020】なお、図5で13は密封板を示し、該密封
板13は、接触形シール若しくは非接触形シール、また
は非接触形シールドのいずれかが該当し、その形状は特
に限定されるものではなく、本発明の範囲内で周知の形
状のものが適宜選択される。密封板13の配置方式は特
に限定されるものではなく、必要により、両側に配置し
ても、片側に配置してもよく、いずれも本発明の範囲内
である。密封面は外輪側でも、内輪側でも、いずれも本
発明の範囲内である。シールの形状、例えばリップ形状
等は特に限定されるものではなく、密封面と線接触で
も、面接触でも、いずれも本発明の範囲内である。ま
た、芯金の有無も自由で、必要に応じて芯金を有するタ
イプと有しないタイプとを使い分けるものとしても良く
特に限定解釈されるものではない。また、外輪1・内輪
2のシール溝構造も特に限定されず本発明の範囲内で適
宜変更可能である。密封板13の有無は特に限定される
ものではなく、必要により設置しても、設置しなくて
も、いずれも本発明の範囲内である。なお、図1の実施
形態においては、特に密封板を図示していないが、必要
により上述の通り配することもできる。 【0021】 【発明の効果】本発明は、少なくとも一平面以上の平面
を有し、その平面には、潤滑溜まりとなる凹部を有し、
また平面と曲率を有する外径との交点をあらかじめ接線
Rで接続してなる転動体を保持器を介して外内輪間に組
み込んでいるため、先の特開2001−50264に開
示の発明の作用効果と共に、次のような特有の作用効果
を奏する。 (1)保持器と転動体平面の接触部は、潤滑溜りとなる
凹部にあるグリースの基油(グリース潤滑時)または油
(油潤滑時)によって常に良好な油膜形成に寄与するの
で保持器の異常摩耗などは生じなくなる。 (2)転動体がポケット隙間内で倒れた場合においても
平面と曲率を持つ外径との交点を任意の曲率Rで接続さ
れているため、保持器に対しては異常摩耗を起こすこと
はない。 (3)これまで平面と曲率を持つ外径との交点に鋭利な
エッジが生じ転動面の球状加工後にエッジ部の丸めを行
っていたが、本発明によれば、あらかじめ任意の曲率R
で接続されているため、転動面の球状加工後のエッジ部
の丸め工程が不要となり、更なるコスト低減効果が得ら
れる。 (4)上述のように転動体のコスト低減が図れる結果、
装置全体としてのコスト低減ともなる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図。 【図2】転動体の一実施形態を示す断面図。 【図3】図2に示す転動体の保持器の一実施形態を示す
斜視図。 【図4】セパレータの一実施形態を示す斜視図。 【図5】他の形態の転動体を組み込んだ本発明の縦断面
図。 【図6】図5の軸受に組み込んだ転動体を示す断面図。 【図7】図6に示す転動体の保持器の一実施形態を一部
省略して示す平面図。 【図8】図7に示す保持器の断面図。 【図9】図6に示す転動体の保持器の他の実施形態を一
部省略して示す平面図。 【図10】図9に示す保持器の断面図。 【図11】図6に示す転動体のセパレータの一実施形態
を示す斜視図。 【図12】従来技術の一例で、クロスローラ軸受の縦断
面図。 【図13】従来技術の一例で、4点接触玉軸受の縦断面
図。 【図14】従来技術の一例で、3点接触玉軸受の縦断面
図。 【符号の説明】 1:外輪 2:内輪 4,5:軌道面 6:転動体 6a:外径 6b,6e:平面 6c:自転中心軸 6d:凹部(潤滑溜り) C:外径と平面との交点
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】一対の軌道輪間に複数の転動体が組み込ま
    れ、上記各軌道輪は転動体の半径より大径状の軌道面か
    らなる軌道溝をそれぞれ有し、その中に少なくとも一つ
    の軌道輪は二つの軌道面からなり、上記各転動体は転が
    り接触面となる外径が軸方向にも曲率を持ち、円周上に
    それぞれ交互に交差状に配されると共に、各転動体の外
    径が常に相対する一方の軌道輪の軌道面と他方の軌道輪
    の軌道面にてそれぞれ一点づつ合計二点で接触している
    転がり軸受において、転動体は少なくとも一平面以上を
    有し、その平面には潤滑溜まりとなる凹部を有し、かつ
    平面は曲率を有する外径との交点を任意の曲率Rで接続
    されていることを特徴とする転がり軸受。
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