JP2003148199A - 内燃機関の燃料噴射制御方法、気筒間内部排気再循環率差判定方法及び装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御方法、気筒間内部排気再循環率差判定方法及び装置

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JP2003148199A
JP2003148199A JP2001342165A JP2001342165A JP2003148199A JP 2003148199 A JP2003148199 A JP 2003148199A JP 2001342165 A JP2001342165 A JP 2001342165A JP 2001342165 A JP2001342165 A JP 2001342165A JP 2003148199 A JP2003148199 A JP 2003148199A
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Japan
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fuel injection
cylinder
combustion engine
internal combustion
fuel
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Nobuyuki Shibagaki
信之 柴垣
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Toyota Motor Corp
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    • Y02T10/40Engine management systems

Abstract

(57)【要約】 【課題】バルブオーバラップ量の調整により内部排気再
循環率を所望の状態に制御する内燃機関において燃料消
費を抑制してカム形状やシャフト位置調整機構の製造公
差などに伴う燃焼性悪化を抑制する。 【解決手段】成層燃焼時に(S520で「YES」)燃
焼性が悪化した気筒がトルク変動判定処理にて検出され
た場合にはFwinj(i)=「ON」となっているの
で(S530で「NO」)、圧縮行程後期に1回燃料噴
射する状態(S540)から吸気行程と圧縮行程後期と
で2回の燃料噴射を行う状態(S550)に切り替えて
いる。このため燃焼室内で的確に点火がなされ燃焼室内
全体が着実にかつ緩やかに燃焼するので、燃焼性が改善
され失火も少なくなりトルク変動の悪化を抑制できる。
単なる燃料噴射量の増加により燃焼性悪化を抑制してい
るわけではないので比較的少ない燃料量で効果的に燃焼
性の悪化を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続的にバルブオ
ーバーラップ量が調整可能なバルブオーバーラップ調整
機構を用いて内部排気再循環率を制御する内燃機関にお
ける燃料噴射制御方法、気筒間内部排気再循環率差判定
方法及びこれらの装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の運転状態に応じて、吸気バル
ブあるいは排気バルブの作用角やリフト量を変更するこ
とにより、エンジン特性を好適に制御する可変バルブ特
性装置が知られている(特開平10−89033号)。
この可変バルブ特性装置では、カムシャフトに回転軸方
向にプロフィールが異なるカム、いわゆる3次元カムを
設け、回転軸方向でのカムシャフトの位置調整を行うこ
とで、カムプロフィールを連続的に変化させて適切な作
用角やリフト量に調整している。
【0003】更に、この可変バルブ特性装置では、用い
られている3次元カムにメインカム特性部位以外にサブ
カム特性部位を設けることにより、内部排気再循環のた
めに最適なリフトパターンを実現しようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、サブカム特性
部位の製造公差やカムシャフトの位置調整機構の製造公
差などにより気筒間の内部排気再循環率にばらつきが生
じ、このことに伴って一部の気筒での燃焼性悪化を招
き、失火増大やトルク変動増大などの問題が生じること
がある。このような燃焼性の悪化は、単に燃料全量を増
加すれば抑制することはできるが、燃費の悪化が問題と
なる。
【0005】本発明は、バルブオーバラップ量の調整に
より内部排気再循環率を所望の状態に制御する内燃機関
において、単なる燃料全量の増量に比較して燃料消費を
抑制して、カム形状やシャフト位置調整機構の製造公差
などに伴う燃焼性悪化を抑制することを目的とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1記載の内燃機関の燃料噴射制御方法は、連続的にバ
ルブオーバーラップ量が調整可能なバルブオーバーラッ
プ調整機構を用いて内部排気再循環率を制御する内燃機
関における燃料噴射制御方法であって、内部排気再循環
率に起因して燃焼性が悪化している気筒に対して全量増
加以外の燃料噴射態様変更を実行することにより、該当
気筒の燃焼性を改良することを特徴とする。
【0007】カム形状やシャフト位置調整機構の製造公
差などに伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が
所望の状態とならずに燃焼性が悪化するおそれがある。
このような場合に、燃焼性が悪化した気筒の燃料噴射態
様変更を実行して燃焼性の悪化を抑制することができ
る。ここで燃料噴射態様変更とは、全量増加以外、すな
わち単なる燃料噴射量全体の増加を含まない変更であ
る。例えば、燃料噴射する行程を切り替えたり、燃料を
噴射する行程を1行程から2行程に変更したり、逆に2
行程から1行程にしたり、2行程における燃料噴射量の
バランスを変更したり、燃料噴射時間の長さを変更した
り、あるいは成層燃焼時の燃料成層度を変更する処理な
どが、燃料噴射態様変更に相当する。
【0008】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
燃焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求
項2記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、請求項1
において、燃焼性の悪化に応じて該当気筒の前記燃料噴
射態様変更の程度を強めることを特徴とする。
【0009】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても、該当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度
を強めているので、十分に燃焼性の悪化を抑制すること
ができる。
【0010】請求項3記載の内燃機関の燃料噴射制御方
法は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバ
ルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率
を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法であっ
て、内部排気再循環率に起因してトルク変動が悪化して
いる気筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実
行することにより、該当気筒のトルク変動を抑制するこ
とを特徴とする。
【0011】カム形状やシャフト位置調整機構の製造公
差などに伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が
所望の状態とならずにトルク変動が悪化するおそれがあ
る。このような場合に、トルク変動が悪化した気筒の燃
料噴射態様変更を実行してトルク変動の悪化を抑制する
ことができる。ここで燃料噴射態様変更とは前述したご
とくである。
【0012】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
トルク変動悪化を抑制しているわけではないので、比較
的少ない燃料量で効果的にトルク変動悪化を抑制でき
る。請求項4記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、
請求項3において、トルク変動の悪化に応じて該当気筒
の前記燃料噴射態様変更の程度を強めることを特徴とす
る。
【0013】したがってトルク変動が一層悪化するよう
なことがあっても、該当気筒の前記燃料噴射態様変更の
程度を強めているので、十分にトルク変動の悪化を抑制
することができる。
【0014】請求項5記載の内燃機関の燃料噴射制御方
法は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバ
ルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率
を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法であっ
て、内部排気再循環率に起因して失火が増加している気
筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行する
ことにより、該当気筒の失火を抑制することを特徴とす
る。
【0015】カム形状やシャフト位置調整機構の製造公
差などに伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が
所望の状態とならずに失火が増加するおそれがある。こ
のような場合に、失火が増加した気筒の燃料噴射態様変
更を実行して失火の増加を抑制することができる。ここ
で燃料噴射態様変更とは前述したごとくである。
【0016】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
失火の増加を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に失火の増加を抑制できる。請求項
6記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、請求項5に
おいて、失火の増加に応じて該当気筒の前記燃料噴射態
様変更の程度を強めることを特徴とする。
【0017】したがって失火が一層増加するようなこと
があっても該当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度を強
めているので、十分に失火の増加を抑制することができ
る。請求項7記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、
請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関が成層燃焼
を実行している時には、前記燃料噴射態様変更は、燃料
成層度を低下する処理であることを特徴とする。
【0018】このように前記燃料噴射態様変更として、
燃料成層度の低下を実行することにより燃焼性の悪化、
トルク変動あるいは失火を抑制できる。燃料成層度とは
燃焼室内で燃料濃度の高い領域が偏っている程度を意味
し、燃焼室内全体の燃料濃度が均一となるほど燃料成層
度が低下していることになる。したがって成層燃焼にお
いて燃料成層度が低下することで、燃焼が確実となり燃
焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制できる。
【0019】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項8記載の内燃機関の燃料噴射制御方法
では、請求項7において、内燃機関が燃焼室内に直接燃
料を噴射する機関であり、該機関にて圧縮行程時の燃料
噴射のみを実行している時は、前記燃料噴射態様変更
は、1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の
燃料噴射との2回噴射を実行する処理への変更であるこ
とを特徴とする。
【0020】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時に燃料噴射のみを
実行している場合には、前記燃料噴射態様変更として
は、圧縮行程時の燃料噴射状態から、圧縮行程時の燃料
噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を1サイクル
内で実行する状態に変更するものであっても良い。吸気
行程時に噴射された燃料は、点火までには十分に燃焼室
内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成するため、燃焼性
の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制できる。
【0021】請求項9記載の内燃機関の燃料噴射制御方
法では、請求項8において、吸気行程時の燃料噴射量に
ついては、燃焼性の悪化、トルク変動の悪化又は失火の
増加に応じて燃料噴射量を増加させることを特徴とす
る。
【0022】したがって燃焼性の悪化、トルク変動の悪
化又は失火の増加が一層強まるようなことがあっても該
当気筒の吸気行程時の燃料噴射量増量の程度を強めてい
るので、十分に対応することができる。
【0023】請求項10記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項8において、前記2回噴射がなされて
いる場合には、内部排気再循環率に起因して不揃いとな
る各気筒の角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射
量を調整するために気筒毎に算出される気筒間補正値
を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させることを特
徴とする。
【0024】このように気筒間補正値を求めている場
合、2回噴射時には気筒間補正値を圧縮行程時の燃料噴
射量のみに反映させることで、各気筒の角速度が一律と
なるように気筒間の燃料噴射量を調整する。2回噴射が
なされる気筒では、気筒間補正値は増量を示す値となる
けれども、吸気行程時については燃料増量を行わないこ
とになり、燃料増量を最小限に止めることができ、燃費
の悪化を抑制することができる。
【0025】請求項11記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関
が燃焼室内に直接燃料を噴射する機関であり、該機関に
て1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃
料噴射との2回噴射を実行している時は、前記燃料噴射
態様変更は、吸気行程時の燃料噴射量を増加させ、ある
いは吸気行程時の燃料噴射のみ実行する処理であること
を特徴とする。
【0026】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも1サイクルに圧縮行程時の燃
料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行して
いる場合には、前記燃料噴射態様変更としては、吸気行
程時の燃料噴射量を増加させるか、あるいは吸気行程時
の燃料噴射のみ実行するものであっても良い。
【0027】吸気行程時に噴射された燃料は、点火まで
には十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成
するため、吸気行程時の燃料噴射量を増加させることに
より燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制でき
る。
【0028】又、圧縮行程時と吸気行程時との2回噴射
状態から、吸気行程時の燃料噴射のみにして、吸気行程
の燃料噴射で必要な燃料量の噴射を行うようにすること
により、全ての燃料が点火までには十分に燃焼室内に分
散して良好な燃焼雰囲気を形成するため燃焼性の悪化、
トルク変動あるいは失火を抑制できる。
【0029】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項12記載の内燃機関の燃料噴射制御方
法では、請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関が
成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射態様変更
は、燃料噴射時間を長くする処理であることを特徴とす
る。
【0030】このように燃料噴射態様変更としては、燃
料噴射時間を長くするものであっても良い。燃料噴射時
間を長くすることにより、同一量の燃料であっても燃焼
室内に比較的広範囲に分布することになり、より安定し
た燃焼雰囲気を形成する。このため、燃焼性の悪化、ト
ルク変動あるいは失火を抑制できる。
【0031】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項13記載の内燃機関の燃料噴射制御方
法では、請求項12において、燃焼性の悪化、トルク変
動の悪化又は失火の増加に応じて前記燃料噴射時間を長
くすることを特徴とする。
【0032】したがって燃焼性の悪化、トルク変動の悪
化又は失火の増加が一層強まるようなことがあっても該
当気筒の燃料噴射時間を長くして、より安定した燃焼雰
囲気を形成しているので十分に対応することができる。
【0033】請求項14記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項12又は13において、燃料圧力を低
くすることにより前記燃料噴射時間を長くすることを特
徴とする。
【0034】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0035】請求項15記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項12〜14のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くすると共
に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0036】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って適切な燃料濃度が点火時期にて点火プラグ周辺に到
達するように、燃料噴射時間を長くすると共に燃料噴射
時期を遅角させることにより、点火に適切な燃料濃度の
混合気が点火時期に点火プラグ周辺に到達するようにな
り、より安定した燃焼が可能となる。
【0037】請求項16記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項15において、前記燃料噴射時間を長
くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて前記
燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0038】このように燃料噴射時期の遅角の程度を、
燃料噴射時間の長さに応じたものとすることにより、よ
り安定した燃焼が可能となる。請求項17記載の内燃機
関の燃料噴射制御方法は、連続的にバルブオーバーラッ
プ量が調整可能なバルブオーバーラップ調整機構を用い
て内部排気再循環率を制御する内燃機関における燃料噴
射制御方法であって、内部排気再循環率に起因して不揃
いとなる各気筒の角速度が一律となるように気筒間の燃
料噴射量を調整するために気筒毎に算出される気筒間補
正値に基づいて、各気筒に対して全量増加以外の燃料噴
射態様変更を実行することにより、各気筒の燃焼性を改
良することを特徴とする。
【0039】ここではカム形状やシャフト位置調整機構
の製造公差などに伴って生じる燃焼性の悪化に対しては
気筒間補正値により対処している。ここで、気筒間補正
値とは、内部排気再循環率に起因して不揃いとなる各気
筒の角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調
整するために気筒毎に算出される値である。すなわち、
各気筒の角速度を比較することにより、平均的な角速度
よりも角速度が低い場合には該当気筒の燃料噴射量を増
量するために気筒間補正値は増加される。又、平均的な
角速度よりも角速度が高い場合には該当気筒の燃料噴射
量を減量するために気筒間補正値は減少される。このよ
うにして気筒間補正値が求められているため、燃焼性の
悪化は気筒間補正値の大きさとして現れる。
【0040】したがって各気筒毎に求められる気筒間補
正値に基づいて燃焼性の状態を判断して、燃焼性が悪化
していると認められる気筒に対して全量増加を除いた燃
料噴射態様変更を実行することにより、該当気筒の燃焼
性の悪化を抑制することができる。ここで燃料噴射態様
変更とは前述したごとくである。
【0041】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
燃焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求
項18記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、請求項
17において、内燃機関が成層燃焼を実行している時に
は、前記燃料噴射態様変更は、燃料成層度を低下する処
理であることを特徴とする。
【0042】このように前記燃料噴射態様変更として、
燃料成層度の低下を実行することにより燃焼室内全体の
燃料濃度が均一に近づき、燃焼が確実となって燃焼性の
悪化を抑制できる。
【0043】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項19記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項18において、前
記気筒間補正値の大きさに応じて、燃料成層度低下の程
度を強めることを特徴とする。
【0044】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても該当気筒の燃料成層度低下の程度を強めて
いるので燃焼室内全体の燃料濃度が一層均一に近づき、
燃焼がより確実となって、十分に燃焼性の悪化を抑制す
ることができる。
【0045】請求項20記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項17において、燃焼室内に直接燃料を
噴射する内燃機関にて圧縮行程時の燃料噴射のみを実行
している時は、前記燃料噴射態様変更は、1サイクルに
圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回
噴射を実行する処理であることを特徴とする。
【0046】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時のみで燃料噴射を
実行している場合には、前記燃料噴射態様変更として
は、圧縮行程時の燃料噴射状態から、圧縮行程時の燃料
噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を1サイクル
内で実行する状態に変更するものであっても良い。吸気
行程時に噴射された燃料は、点火までには十分に燃焼室
内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成するため、燃焼性
の悪化を抑制できる。
【0047】請求項21記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項20において、前記気筒間補正値は、
圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させることを特徴と
する。
【0048】気筒間補正値は、2回噴射時には圧縮行程
時の燃料噴射量のみに反映させることで、各気筒の角速
度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整する。
2回噴射がなされる気筒では、気筒間補正値は増量を示
す値となるけれども、吸気行程時については燃料増量を
行わないことになり、燃料増量を最小限に止めることが
でき、燃費の悪化を抑制することができる。
【0049】請求項22記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項17において、燃焼室内に直接燃料を
噴射する内燃機関にて1サイクルに圧縮行程時の燃料噴
射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行している
時は、前記燃料噴射態様変更は、吸気行程時の燃料噴射
量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行
する処理であることを特徴とする。
【0050】前述したごとく吸気行程時に噴射された燃
料は、点火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃
焼雰囲気を形成するため、吸気行程時の燃料噴射量を増
加させることにより燃焼性の悪化を抑制できる。
【0051】又、圧縮行程時と吸気行程時との2回噴射
状態から、吸気行程時の燃料噴射のみにして、吸気行程
の燃料噴射で必要な燃料量の噴射を行うようにすること
により、全ての燃料が点火までには十分に燃焼室内に分
散して良好な燃焼雰囲気を形成するため燃焼性の悪化を
抑制できる。
【0052】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項23記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項17において、内
燃機関が成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射
態様変更は、燃料噴射時間を長くする処理であることを
特徴とする。
【0053】このように燃料噴射態様変更としては、燃
料噴射時間を長くするものであっても良い。燃料噴射時
間を長くすることにより、同一量の燃料であっても燃焼
室内に比較的広範囲に分布することになり、より安定し
た燃焼雰囲気を形成する。このため、燃焼性の悪化を抑
制できる。
【0054】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項24記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項23において、前
記気筒間補正値の大きさに応じて、前記燃料噴射時間を
長くすることを特徴とする。
【0055】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても該当気筒の燃料噴射時間を長くして、より
安定した燃焼雰囲気を形成しているので十分に対応する
ことができる。
【0056】請求項25記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項23又は24において、燃料圧力を低
くすることにより前記燃料噴射時間を長くすることを特
徴とする。
【0057】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0058】請求項26記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項23〜25のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くすると共
に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0059】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って適切な燃料濃度が点火時期にて点火プラグ周辺に到
達するように、燃料噴射時間を長くすると共に燃料噴射
時期を遅角させることにより、点火に適切な燃料濃度の
混合気が点火時期に点火プラグ周辺に到達するようにな
り、より安定した燃焼が可能となる。
【0060】請求項27記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項26において、前記燃料噴射時間を長
くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて前記
燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0061】このように燃料噴射時期の遅角の程度を、
燃料噴射時間の長さに応じたものとすることにより、よ
り安定した燃焼が可能となる。請求項28記載の内燃機
関の燃料噴射制御方法は、連続的にバルブオーバーラッ
プ量が調整可能なバルブオーバーラップ調整機構を用い
て内部排気再循環率を制御する内燃機関における燃料噴
射制御方法であって、成層燃焼時に内燃機関の運転状態
に応じて内部排気再循環率を制御した時に各気筒の角速
度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整するた
めに気筒毎に算出される気筒間補正値と、均質燃焼時に
内部排気再循環率をゼロとして内燃機関を運転した時に
各気筒の角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射量
を調整するために気筒毎に算出される気筒間補正値とに
基づいて燃焼性が悪化していると判定された場合に、全
量増加以外の燃料噴射態様変更を実行することにより、
燃焼性を改良することを特徴とする。
【0062】燃料噴射弁の噴射特性のばらつきがある
と、気筒間補正値の大きさに現れるものは内部排気再循
環率のばらつきとは限らなくなる。このため、成層燃焼
時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気再循環率を制
御した時に算出した気筒間補正値と、均質燃焼時に内部
排気再循環率をゼロとして内燃機関を運転した時に算出
した気筒間補正値と求める。前記均質燃焼時で内部排気
再循環率をゼロとした時の気筒間補正値には、燃料噴射
弁の噴射特性のばらつきは現れるが内部排気再循環率の
ばらつきは現れない。しかし、成層燃焼時に内部排気再
循環率を制御した時の気筒間補正値には、燃料噴射弁の
噴射特性のばらつきと内部排気再循環率のばらつきとの
両方が現れる。したがって、この2つの気筒間補正値に
基づけば、燃料噴射弁の噴射特性のばらつきをキャンセ
ルして、内部排気再循環率のばらつきのみを判断するこ
とができるようになる。
【0063】こうして内部排気再循環率に起因して燃焼
性が悪化している気筒の存在を判断できるようになり、
全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行することにより
燃焼性の悪化を抑制することができる。
【0064】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項29記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項28において、内
燃機関が成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射
態様変更は、燃料成層度を低下する処理であることを特
徴とする。
【0065】このように前記燃料噴射態様変更として、
燃料成層度の低下を実行することにより燃焼室内全体の
燃料濃度が均一に近づき、燃焼が確実となって燃焼性の
悪化を抑制できる。
【0066】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項30記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項29において、成
層燃焼時に算出される前記気筒間補正値から均質燃焼時
に算出される前記気筒間補正値を減算した値の大きさに
応じて、燃料成層度の低下程度を設定することを特徴と
する。
【0067】このように2つの気筒間補正値による減算
値の大きさに応じて、燃料成層度の低下程度を設定する
ことにより、効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求
項31記載の内燃機関の燃料噴射制御方法では、請求項
28において、燃焼室内に直接燃料を噴射する内燃機関
にて圧縮行程時の燃料噴射のみを実行している時は、前
記燃料噴射態様変更は、1サイクルに圧縮行程時の燃料
噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行する処
理であることを特徴とする。
【0068】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時のみに燃料噴射を
実行している場合には、前記燃料噴射態様変更として
は、圧縮行程時のみの燃料噴射状態から、圧縮行程時の
燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を1サイ
クル内で実行する状態に変更するものであっても良い。
吸気行程時に噴射された燃料は、点火までには十分に燃
焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成するため、燃
焼性の悪化を抑制できる。
【0069】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項32記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項31において、成
層燃焼時に得られた前記気筒間補正値は、圧縮行程時の
燃料噴射量のみに反映させることを特徴とする。
【0070】このように気筒間補正値を求めている場
合、2回噴射時には気筒間補正値を圧縮行程時の燃料噴
射量のみに反映させることで、各気筒の角速度が一律と
なるように気筒間の燃料噴射量を調整する。2回噴射が
なされる気筒では、気筒間補正値は増量を示す値となる
けれども、吸気行程時については燃料増量を行わないこ
とになり、燃料増量を最小限に止めることができ、燃費
の悪化を抑制することができる。
【0071】請求項33記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項28において、燃焼室内に直接燃料を
噴射する内燃機関にて1サイクルに圧縮行程時の燃料噴
射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行している
時は、前記燃料噴射態様変更は、吸気行程時の燃料噴射
量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行
する処理であることを特徴とする。
【0072】前述したごとく吸気行程時に噴射された燃
料は、点火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃
焼雰囲気を形成するため、吸気行程時の燃料噴射量を増
加させることにより燃焼性の悪化を抑制できる。しか
も、圧縮行程時については燃料増量は行う必要がないの
で、燃料増量を最小限に止めることができ、燃費の悪化
も抑制することができる。
【0073】又、圧縮行程時と吸気行程時との2回噴射
状態から、吸気行程時の燃料噴射のみにして、吸気行程
の燃料噴射で必要な燃料量の噴射を行うようにすること
により全ての燃料が点火までには十分に燃焼室内に分散
して良好な燃焼雰囲気を形成するため、燃焼性の悪化を
抑制できる。
【0074】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項34記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項28において、内
燃機関が成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射
態様変更は、燃料噴射時間を長くする処理であることを
特徴とする。
【0075】このように燃料噴射態様変更としては、燃
料噴射時間を長くするものであっても良い。燃料噴射時
間を長くすることにより、同一量の燃料であっても燃焼
室内に比較的広範囲に分布することになり、より安定し
た燃焼雰囲気を形成する。このため、燃焼性の悪化を抑
制できる。
【0076】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項35記載の内燃
機関の燃料噴射制御方法では、請求項34において、成
層燃焼時に算出される前記気筒間補正値から均質燃焼時
に算出される前記気筒間補正値を減算した値の大きさに
応じて、前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とす
る。
【0077】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても燃料噴射時間を長くして、より安定した燃
焼雰囲気を形成しているので十分に対応することができ
る。請求項36記載の内燃機関の燃料噴射制御方法で
は、請求項34又は35において、燃料圧力を低くする
ことにより前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とす
る。
【0078】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0079】請求項37記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項34〜36のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くすると共
に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0080】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って適切な燃料濃度が点火時期にて点火プラグ周辺に到
達するように、燃料噴射時間を長くすると共に燃料噴射
時期を遅角させることにより、点火に適切な燃料濃度の
混合気が点火時期に点火プラグ周辺に到達するようにな
り、より安定した燃焼が可能となる。
【0081】請求項38記載の内燃機関の燃料噴射制御
方法では、請求項37において、前記燃料噴射時間を長
くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて前記
燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0082】このように燃料噴射時期の遅角の程度を、
燃料噴射時間の長さに応じたものとすることにより、よ
り安定した燃焼が可能となる。請求項39記載の内燃機
関の燃料噴射制御方法では、請求項1〜38のいずれか
において、バルブオーバーラップ量の調整は、軸方向に
カムプロフィールが連続的に変化する3次元カムを吸気
カムと排気カムとの一方又は両方に用いて該3次元カム
の軸方向移動量を調整することによりなされることを特
徴とする。
【0083】バルブオーバーラップ量の調整は、上述の
ごとくに3次元カムを用いて、該カムの軸方向移動量を
調整する手法を挙げることができる。このようなバルブ
オーバーラップ調整では、3次元カムの製造公差やバル
ブオーバーラップ調整機構自体の製造公差などにより、
調整している内部排気再循環率が気筒間でばらつくこと
があり、燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火が増加
している気筒が存在する場合がある。このような場合に
も全量増加を除いた燃料噴射態様変更を実行することに
より、燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制す
ることができる。
【0084】請求項40記載の気筒間内部排気再循環率
差判定方法は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整
可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
再循環率を制御する内燃機関における内部排気再循環率
の気筒間差を判定する気筒間内部排気再循環率差判定方
法であって、成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて
内部排気再循環率を制御した時に各気筒の角速度が一律
となるように気筒間の燃料噴射量を調整するために気筒
毎に算出される気筒間補正値と、均質燃焼時に内部排気
再循環率をゼロとして内燃機関を運転した時に各気筒の
角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整す
るために気筒毎に算出される気筒間補正値とに基づい
て、内部排気再循環率の気筒間差を判定することを特徴
とする。
【0085】前述したごとく、燃料噴射弁の噴射特性に
気筒間でばらつきがある場合を考えると、均質燃焼時で
内部排気再循環率をゼロとした時の気筒間補正値には、
燃料噴射弁の噴射特性のばらつきは現れるが内部排気再
循環率のばらつきは現れない。しかし成層燃焼時に内部
排気再循環率を制御した時の気筒間補正値には、燃料噴
射弁の噴射特性のばらつきと内部排気再循環率のばらつ
きとの両方が現れる。このため、これら2つの気筒間補
正値に基づけば、燃料噴射弁の噴射特性のばらつきはキ
ャンセルして、内部排気再循環率の気筒間差を正確に判
定することができる。したがって上述した内燃機関の燃
料噴射制御方法に適用して各気筒における燃焼性の悪
化、トルク変動あるいは失火を適切に抑制することがで
きる。
【0086】請求項41記載の気筒間内部排気再循環率
差判定方法では、請求項40において、成層燃焼時に算
出される前記気筒間補正値から、均質燃焼時に算出され
る前記気筒間補正値を減算して求められた値に基づい
て、前記内部排気再循環率の気筒間差を判定することを
特徴とする。
【0087】このような減算値により、内部排気再循環
率の気筒間差に基づく燃焼性の悪化、トルク変動あるい
は失火の増大を正確に判断でき、この判断に基づいて燃
焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を適切に抑制する
ことができる。
【0088】請求項42記載の気筒間内部排気再循環率
差判定方法では、請求項40又は41において、バルブ
オーバーラップ量の調整は、軸方向にカムプロフィール
が連続的に変化する3次元カムを吸気カムと排気カムと
の一方又は両方に用いて該3次元カムの軸方向移動量を
調整することによりなされることを特徴とする。
【0089】バルブオーバーラップ量の調整は、上述の
ごとくに3次元カムを用いて、該カムの軸方向移動量を
調整する手法を挙げることができる。このようなバルブ
オーバーラップ調整では、3次元カムの製造公差やバル
ブオーバーラップ調整機構自体の製造公差などにより、
調整している内部排気再循環率が気筒間でばらつくこと
があり、燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火が増加
している気筒が存在する場合がある。このような場合に
も、上記気筒間補正値の差に基づいて、内部排気再循環
率の気筒間差を正確に判定することができ、上述した内
燃機関の燃料噴射制御方法に適用して各気筒における燃
焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を適切に抑制する
ことができる。
【0090】請求項43記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能な
バルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環
率を制御する内部排気再循環率制御手段と、内部排気再
循環率に起因して燃焼性が悪化している気筒を検出する
燃焼悪化気筒検出手段と、前記燃焼悪化気筒検出手段に
より内部排気再循環率に起因して燃焼性が悪化している
気筒が検出された場合には、該当気筒の燃焼性を改良す
るために該当気筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様
を変更する燃料噴射態様変更手段とを備えたことを特徴
とする。
【0091】内部排気再循環率制御手段による制御で
は、カム形状やシャフト位置調整機構の製造公差などに
伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が所望の状
態とならずに燃焼性が悪化するおそれがある。このよう
な燃焼性が悪化した気筒が燃焼悪化気筒検出手段にて検
出された場合には、燃料噴射態様変更手段は、燃焼性が
悪化した気筒の燃料噴射態様変更を実行することで燃焼
性の悪化を抑制することができる。
【0092】ここで燃料噴射態様変更とは、全量増加以
外、すなわち単なる燃料噴射量全体の増加を含まない変
更である。例えば、燃料噴射する行程を切り替えたり、
燃料を噴射する行程を1行程から2行程に変更したり、
逆に2行程から1行程にしたり、2行程における燃料噴
射量のバランスを変更したり、燃料噴射時間の長さを変
更したり、あるいは成層燃焼時の燃料成層度を変更する
処理などが、燃料噴射態様変更に相当する。
【0093】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
燃焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求
項44記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請求項
43において、前記燃料噴射態様変更手段は、燃焼性の
悪化に応じて該当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度を
強めることを特徴とする。
【0094】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても、燃料噴射態様変更手段が該当気筒の燃料
噴射態様変更の程度を強めているので、十分に燃焼性の
悪化を抑制することができる。
【0095】請求項45記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能な
バルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環
率を制御する内部排気再循環率制御手段と、内部排気再
循環率に起因してトルク変動が悪化している気筒を検出
するトルク変動悪化気筒検出手段と、前記トルク変動悪
化気筒検出手段により内部排気再循環率に起因してトル
ク変動が悪化している気筒が検出された場合には、該当
気筒のトルク変動を抑制するために該当気筒に対して全
量増加以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料噴射態様
変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0096】内部排気再循環率制御手段による制御で
は、カム形状やシャフト位置調整機構の製造公差などに
伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が所望の状
態とならずにトルク変動が悪化するおそれがある。この
ようなトルク変動が悪化した気筒がトルク変動悪化気筒
検出手段にて検出された場合には、燃料噴射態様変更手
段が、トルク変動が悪化した気筒の燃料噴射態様変更を
実行することでトルク変動の悪化を抑制することができ
る。ここで燃料噴射態様変更とは前述したごとくであ
る。
【0097】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
トルク変動悪化を抑制しているわけではないので、比較
的少ない燃料量で効果的にトルク変動悪化を抑制でき
る。請求項46記載の内燃機関の燃料噴射制御装置で
は、請求項45において、前記燃料噴射態様変更手段
は、トルク変動の悪化に応じて該当気筒の燃料噴射態様
変更の程度を強めることを特徴とする。
【0098】トルク変動が一層悪化するようなことがあ
っても、燃料噴射態様変更手段が該当気筒の燃料噴射態
様変更の程度を強めているので、十分にトルク変動の悪
化を抑制することができる。
【0099】請求項47記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置は、連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能な
バルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環
率を制御する内部排気再循環率制御手段と、内部排気再
循環率に起因して失火が増加している気筒を検出する失
火増加気筒検出手段と、前記失火増加気筒検出手段によ
り内部排気再循環率に起因して失火が増加している気筒
が検出された場合には、該当気筒の失火を抑制するため
に該当気筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を
実行する燃料噴射態様変更手段とを備えたことを特徴と
する。
【0100】内部排気再循環率制御手段による制御で
は、カム形状やシャフト位置調整機構の製造公差などに
伴って、気筒によっては、内部排気再循環率が所望の状
態とならずに失火が増加するおそれがある。このような
失火が増加した気筒が失火増加気筒検出手段にて検出さ
れた場合には、燃料噴射態様変更手段が、失火が増加し
た気筒の燃料噴射態様変更を実行することで失火の増加
を抑制することができる。ここで燃料噴射態様変更とは
前述したごとくである。
【0101】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
失火の増加を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に失火の増加を抑制できる。請求項
48記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請求項4
7において、前記燃料噴射態様変更手段は、失火の増加
に応じて該当気筒の燃料噴射態様変更の程度を強めるこ
とを特徴とする。
【0102】失火が一層増加するようなことがあって
も、燃料噴射態様変更手段が該当気筒の燃料噴射態様変
更の程度を強めているので、十分に失火の増加を抑制す
ることができる。
【0103】請求項49記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項43〜48のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行し
ている時には、燃料成層度を低下することを特徴とす
る。
【0104】燃料噴射態様変更手段は、燃料噴射態様変
更として燃料成層度の低下を実行することにより燃焼室
内全体の燃料濃度が均一に近づき、燃焼が確実となって
燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制できる。
燃料成層度とは燃焼室内で燃料濃度の高い領域が偏って
いる程度を意味し、燃焼室内全体の燃料濃度が均一とな
るほど燃料成層度が低下していることになる。
【0105】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項50記載の内燃機関の燃料噴射制御装
置では、請求項49において、前記内燃機関は燃焼室内
に直接燃料を噴射する機関であるとともに、前記燃料噴
射態様変更手段は、前記内燃機関にて圧縮行程時の燃料
噴射のみを実行している時は、1サイクルに圧縮行程時
の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行
する処理へ変更することを特徴とする。
【0106】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時に燃料噴射のみを
実行している場合には、燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射態様変更として、圧縮行程時の燃料噴射状態から圧
縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴
射を1サイクル内で実行する状態に変更する処理を実行
しても良い。吸気行程時に噴射された燃料は、点火まで
には十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成
するため、燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑
制できる。
【0107】請求項51記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項50において、前記燃料噴射態様変更
手段は、吸気行程時の燃料噴射量について、燃焼性の悪
化、トルク変動の悪化又は失火の増加に応じて燃料噴射
量を増加させることを特徴とする。
【0108】燃焼性の悪化、トルク変動の悪化又は失火
の増加が一層強まるようなことがあっても、燃料噴射態
様変更手段は、該当気筒の吸気行程時の燃料噴射量増量
の程度を強めているので、十分に対応することができ
る。
【0109】請求項52記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項50において、内部排気再循環率に起
因して不揃いとなる各気筒の角速度が一律となるように
気筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を各
気筒毎に算出する気筒間補正値算出手段と、前記燃料噴
射態様変更手段により前記2回噴射がなされている場合
には、前記気筒間補正値算出手段にて算出される気筒間
補正値を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させる気
筒間補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0110】このように気筒間補正値算出手段にて気筒
間補正値を求めている場合、2回噴射時には、気筒間補
正手段は、気筒間補正値を圧縮行程時の燃料噴射量のみ
に反映させている。このことで、各気筒の角速度が一律
となるように気筒間の燃料噴射量を調整している。2回
噴射がなされる気筒では、気筒間補正値は増量を示す値
となるけれども、吸気行程時については燃料増量を行わ
ないことになり、燃料増量を最小限に止めることがで
き、燃費の悪化を抑制することができる。
【0111】請求項53記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項43〜48のいずれかにおいて、前記
内燃機関は燃焼室内に直接燃料を噴射する機関であると
ともに、前記燃料噴射態様変更手段は、前記内燃機関に
て1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃
料噴射との2回噴射を実行している時は、吸気行程時の
燃料噴射量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射
のみ実行する処理へ変更することを特徴とする。
【0112】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも1サイクルに圧縮行程時の燃
料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行して
いる場合には、燃料噴射態様変更手段は、燃料噴射態様
変更として、吸気行程時の燃料噴射量を増加させるか、
あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行しても良い。
【0113】吸気行程時に噴射された燃料は、点火まで
には十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成
するため、吸気行程時の燃料噴射量を増加させることに
より燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火を抑制でき
る。
【0114】又、圧縮行程時と吸気行程時との2回噴射
状態から、吸気行程時の燃料噴射のみにして、吸気行程
の燃料噴射で必要な燃料量の噴射を行うようにすること
により、全ての燃料が点火までには十分に燃焼室内に分
散して良好な燃焼雰囲気を形成するため燃焼性の悪化、
トルク変動あるいは失火を抑制できる。
【0115】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項54記載の内燃機関の燃料噴射制御装
置では、請求項43〜48のいずれかにおいて、前記燃
料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行して
いる時には、燃料噴射時間を長くすることを特徴とす
る。
【0116】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時間を長くしても良い。燃料噴射時間を長くするこ
とにより、同一量の燃料であっても燃焼室内に比較的広
範囲に分布することになり、より安定した燃焼雰囲気を
形成する。このため、燃焼性の悪化、トルク変動あるい
は失火を抑制できる。
【0117】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火の増加を抑
制できる。請求項55記載の内燃機関の燃料噴射制御装
置では、請求項54において、前記燃料噴射態様変更手
段は、燃焼性の悪化、トルク変動の悪化又は失火の増加
に応じて前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とす
る。
【0118】したがって燃焼性の悪化、トルク変動又は
失火が一層強まるようなことがあっても、燃料噴射態様
変更手段は、該当気筒の燃料噴射時間を長くして、より
安定した燃焼雰囲気を形成しているので、十分に対応す
ることができる。
【0119】請求項56記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項54又は55において、前記燃料噴射
態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、前記
燃料噴射時間を長くすることを特徴とする。
【0120】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0121】請求項57記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項54〜56のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする
と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0122】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って燃料噴射態様変更手段は、適切な燃料濃度が点火時
期にて点火プラグ周辺に到達するように、燃料噴射時間
を長くすると共に燃料噴射時期を遅角させている。この
ことにより点火に適切な燃料濃度の混合気が点火時期に
点火プラグ周辺に到達するようになり、より安定した燃
焼が可能となる。
【0123】請求項58記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項57において、前記燃料噴射態様変更
手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前記燃
料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角させ
ることを特徴とする。
【0124】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時期の遅角の程度を、燃料噴射時間の長さに応じた
ものとしているので、より安定した燃焼が可能となる。
請求項59記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、連続
的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバルブオーバ
ーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率を制御する
内部排気再循環率制御手段と、内部排気再循環率に起因
して不揃いとなる各気筒の角速度が一律となるように気
筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を各気
筒毎に算出する気筒間補正値算出手段と、前記気筒間補
正値算出手段にて算出される気筒間補正値に基づいて、
各気筒の燃焼性を改良するために各気筒に対して全量増
加以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料噴射態様変更
手段とを備えたことを特徴とする。
【0125】燃料噴射態様変更手段は、カム形状やシャ
フト位置調整機構の製造公差などに伴って生じる燃焼性
の悪化に対しては、気筒間補正値により対処している。
ここで気筒間補正値とは、気筒間補正値算出手段が、内
部排気再循環率に起因して不揃いとなる各気筒の角速度
が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整するため
に気筒毎に算出する値である。すなわち、気筒間補正値
算出手段は、各気筒の角速度を比較することにより、平
均的な角速度よりも角速度が低い場合には該当気筒の燃
料噴射量を増量するために気筒間補正値を増加し、平均
的な角速度よりも角速度が高い場合には該当気筒の燃料
噴射量を減量するために気筒間補正値を減少している。
このようにして気筒間補正値が求められているため、燃
焼性の悪化は気筒間補正値の大きさとして現れる。
【0126】したがって燃料噴射態様変更手段は、各気
筒毎に求められる気筒間補正値に基づいて燃焼性の状態
を判断して、燃焼性が悪化していると認められる気筒に
対して全量増加を除いた燃料噴射態様変更を実行するこ
とにより、該当気筒の燃焼性の悪化を抑制することがで
きる。ここで燃料噴射態様変更とは前述したごとくであ
る。
【0127】本発明では単なる燃料噴射量の増加により
燃焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少
ない燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求
項60記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請求項
59において、前記内燃機関は成層燃焼が可能な機関で
あり、前記燃料噴射態様変更手段は、前記内燃機関が成
層燃焼を実行している時には、燃料成層度を低下するこ
とを特徴とする。
【0128】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射態様変更として、燃料成層度の低下を実行すること
により燃焼室内全体の燃料濃度が均一に近づき、燃焼が
確実となって燃焼性の悪化を抑制できる。
【0129】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項61記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項60において、前
記燃料噴射態様変更手段は、前記気筒間補正値の大きさ
に応じて、燃料成層度低下の程度を強めることを特徴と
する。
【0130】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても該当気筒の燃料成層度低下の程度を強めて
いるので、燃焼室内全体の燃料濃度が一層均一に近づ
き、燃焼がより確実となって十分に燃焼性の悪化を抑制
することができる。
【0131】請求項62記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項59において、前記内燃機関は燃焼室
内に直接燃料を噴射する機関であり、前記燃料噴射態様
変更手段は、前記内燃機関にて圧縮行程時の燃料噴射の
みを実行している時は、1サイクルに圧縮行程時の燃料
噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行するこ
とを特徴とする。
【0132】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時のみで燃料噴射を
実行している場合には、燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射態様変更としては、圧縮行程時の燃料噴射状態か
ら、圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との
2回噴射を1サイクル内で実行する状態に変更する処理
を実行しても良い。吸気行程時に噴射された燃料は、点
火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気
を形成するため、燃焼性の悪化を抑制できる。
【0133】請求項63記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項62において、前記燃料噴射態様変更
手段は、前記気筒間補正値算出手段にて算出される前記
気筒間補正値を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映さ
せることを特徴とする。
【0134】燃料噴射態様変更手段は、2回噴射時に
は、気筒間補正値を圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映
させることで、各気筒の角速度が一律となるように気筒
間の燃料噴射量を調整する。2回噴射がなされる気筒で
は、気筒間補正値は増量を示す値となるけれども、吸気
行程時については燃料増量を行わないことになり、燃料
増量を最小限に止めることができ、燃費の悪化を抑制す
ることができる。
【0135】請求項64記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項59において、前記内燃機関は燃焼室
内に直接燃料を噴射する機関であり、前記燃料噴射態様
変更手段は、前記内燃機関にて1サイクルに圧縮行程時
の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行
している時は、吸気行程時の燃料噴射量を増加させ、あ
るいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行することを特徴と
する。
【0136】前述したごとく吸気行程時に噴射された燃
料は、点火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃
焼雰囲気を形成するため、燃料噴射態様変更手段は、吸
気行程時の燃料噴射量を増加させることにより燃焼性の
悪化を抑制できる。
【0137】又、燃料噴射態様変更手段は、圧縮行程時
と吸気行程時との2回噴射状態から、吸気行程時の燃料
噴射のみにして、吸気行程の燃料噴射で必要な燃料量の
噴射を行うようにすることにより、全ての燃料が点火ま
でには十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形
成するため燃焼性の悪化を抑制できる。
【0138】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項65記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項59において、前
記燃料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行
している時には、燃料噴射時間を長くすることを特徴と
する。
【0139】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時間を長くしても良い。燃料噴射時間を長くするこ
とにより、同一量の燃料であっても燃焼室内に比較的広
範囲に分布することになり、より安定した燃焼雰囲気を
形成する。このため、燃焼性の悪化を抑制できる。
【0140】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項66記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項65において、前
記燃料噴射態様変更手段は、前記気筒間補正値算出手段
にて算出される前記気筒間補正値の大きさに応じて前記
燃料噴射時間を長くすることを特徴とする。
【0141】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても、燃料噴射態様変更手段は、該当気筒の燃
料噴射時間を長くして、より安定した燃焼雰囲気を形成
しているので、十分に対応することができる。
【0142】請求項67記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項65又は66において、前記燃料噴射
態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、前記
燃料噴射時間を長くすることを特徴とする。
【0143】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0144】請求項68記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項65〜67のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする
と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0145】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って燃料噴射態様変更手段は、適切な燃料濃度が点火時
期にて点火プラグ周辺に到達するように、燃料噴射時間
を長くすると共に燃料噴射時期を遅角させている。この
ことにより点火に適切な燃料濃度の混合気が点火時期に
点火プラグ周辺に到達するようになり、より安定した燃
焼が可能となる。
【0146】請求項69記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項68において、前記燃料噴射態様変更
手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前記燃
料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角させ
ることを特徴とする。
【0147】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時期の遅角の程度を、燃料噴射時間の長さに応じた
ものとしているので、より安定した燃焼が可能となる。
請求項70記載の内燃機関の燃料噴射制御装置は、成層
燃焼と均質燃焼とが実行可能な内燃機関において、連続
的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバルブオーバ
ーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率を制御する
内部排気再循環率制御手段と、均質燃焼時に内部排気再
循環率をゼロとして内燃機関を運転した時に、各気筒の
角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整す
るための気筒間補正値を各気筒毎に算出する均質燃焼時
気筒間補正値算出手段と、成層燃焼時に内燃機関の運転
状態に応じて内部排気再循環率を制御した時に、各気筒
の角速度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整
するための気筒間補正値を各気筒毎に算出する成層燃焼
時気筒間補正値算出手段と、前記成層燃焼時気筒間補正
値算出手段にて算出された気筒間補正値と前記均質燃焼
時気筒間補正値算出手段にて算出された気筒間補正値と
に基づいて燃焼性の悪化を判定する気筒間補正値判定手
段と、前記気筒間補正値判定手段にて燃焼性が悪化して
いると判定された場合には、燃焼性を改良するために全
量増加以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料噴射態様
変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0148】燃料噴射弁の噴射特性のばらつきがある
と、気筒間補正値の大きさに現れるものは内部排気再循
環率のばらつきとは限らなくなる。このため、均質燃焼
時気筒間補正値算出手段が、均質燃焼時に内部排気再循
環率をゼロとして内燃機関を運転した時に気筒間補正値
を算出する。更に、成層燃焼時気筒間補正値算出手段
が、成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気
再循環率を制御した時に気筒間補正値を算出する。
【0149】前記均質燃焼時で内部排気再循環率をゼロ
とした時の気筒間補正値には、燃料噴射弁の噴射特性の
ばらつきは現れるが内部排気再循環率のばらつきは現れ
ない。しかし成層燃焼時に内部排気再循環率を制御した
時の気筒間補正値には、燃料噴射弁の噴射特性のばらつ
きと内部排気再循環率のばらつきとの両方が現れる。し
たがって、気筒間補正値判定手段は、これら2つの気筒
間補正値に基づくことにより、燃料噴射弁の噴射特性の
ばらつきをキャンセルして、内部排気再循環率のばらつ
きによる燃焼性の悪化を判定することができる。
【0150】このことにより燃料噴射態様変更手段は、
全量増加を除いた燃料噴射態様変更を適切に実行でき、
燃焼性の悪化を適切に抑制することができる。そして、
このことにより比較的少ない燃料量で効果的に燃焼性の
悪化を抑制できる。
【0151】請求項71記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項70において、前記燃料噴射態様変更
手段は、内燃機関が成層燃焼を実行している時には、燃
料成層度を低下することを特徴とする。
【0152】このように燃料噴射態様変更手段が、燃料
噴射態様変更として、燃料成層度の低下を実行してい
る。このことにより燃焼室内全体の燃料濃度が均一に近
づき、燃焼が確実となって燃焼性の悪化を抑制できる。
そして、このことにより比較的少ない燃料量で効果的に
燃焼性の悪化を抑制できる。
【0153】請求項72記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項71において、前記燃料噴射態様変更
手段は、前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて算出
された気筒間補正値から前記均質燃焼時気筒間補正値算
出手段にて算出された気筒間補正値を減算した値の大き
さに応じて、燃料成層度の低下程度を設定することを特
徴とする。
【0154】このように燃料噴射態様変更手段が前記減
算値の大きさに応じて、燃料成層度の低下程度を設定す
ることにより、効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。請
求項73記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請求
項70において、前記燃料噴射態様変更手段は、燃焼室
内に直接燃料を噴射する内燃機関にて圧縮行程時の燃料
噴射のみを実行している時は、1サイクルに圧縮行程時
の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行
することを特徴とする。
【0155】このように燃焼室内に直接燃料を噴射する
内燃機関であって、しかも圧縮行程時のみに燃料噴射を
実行している場合には、燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射態様変更として、圧縮行程時のみの燃料噴射状態か
ら、圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との
2回噴射を1サイクル内で実行する状態に変更する処理
を実行しても良い。吸気行程時に噴射された燃料は、点
火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気
を形成するため、燃焼性の悪化を抑制できる。
【0156】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項74記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項73において、前
記燃料噴射態様変更手段は、成層燃焼時気筒間補正値算
出手段にて算出された前記気筒間補正値を、圧縮行程時
の燃料噴射量のみに反映することを特徴とする。
【0157】このように成層燃焼時気筒間補正値算出手
段にて気筒間補正値を求めている場合、燃料噴射態様変
更手段が2回噴射を実行する状態となった時には、気筒
間補正値を圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させてい
る。このことで、各気筒の角速度が一律となるように気
筒間の燃料噴射量を調整している。2回噴射がなされる
気筒では、気筒間補正値は増量を示す値となるけれど
も、吸気行程時については燃料増量を行わないことにな
り、燃料増量を最小限に止めることができ、燃費の悪化
を抑制することができる。
【0158】請求項75記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項70において、前記燃料噴射態様変更
手段は、燃焼室内に直接燃料を噴射する内燃機関にて1
サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴
射との2回噴射を実行している時は、吸気行程時の燃料
噴射量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ
実行することを特徴とする。
【0159】前述したごとく吸気行程時に噴射された燃
料は、点火までには十分に燃焼室内に分散して良好な燃
焼雰囲気を形成するため、燃料噴射態様変更手段が吸気
行程時の燃料噴射量を増加させることにより燃焼性の悪
化を抑制できる。しかも、圧縮行程時については燃料増
量は行う必要がないので、燃料増量を最小限に止めるこ
とができ、燃費の悪化も抑制することができる。
【0160】又、燃料噴射態様変更手段が、圧縮行程時
と吸気行程時との2回噴射状態から、吸気行程時の燃料
噴射のみにして、吸気行程の燃料噴射で必要な燃料量の
噴射を行うようにすることにより全ての燃料が点火まで
には十分に燃焼室内に分散して良好な燃焼雰囲気を形成
するため、燃焼性の悪化を抑制できる。
【0161】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項76記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項70において、前
記燃料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行
している時には、燃料噴射時間を長くすることを特徴と
する。
【0162】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時間を長くしても良い。燃料噴射時間を長くするこ
とにより、同一量の燃料であっても燃焼室内に比較的広
範囲に分布することになり、より安定した燃焼雰囲気を
形成する。このため、燃焼性の悪化を抑制できる。
【0163】このことにより比較的少ない燃料量で効果
的に燃焼性の悪化を抑制できる。請求項77記載の内燃
機関の燃料噴射制御装置では、請求項76において、前
記燃料噴射態様変更手段は、前記成層燃焼時気筒間補正
値算出手段にて算出された気筒間補正値から前記均質燃
焼時気筒間補正値算出手段にて算出された気筒間補正値
を減算した値の大きさに応じて、前記燃料噴射時間を長
くすることを特徴とする。
【0164】したがって燃焼性が一層悪化するようなこ
とがあっても、燃料噴射態様変更手段は、燃料噴射時間
を長くして、より安定した燃焼雰囲気を形成しているの
で、十分に対応することができる。
【0165】請求項78記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項76又は77において、前記燃料噴射
態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、前記
燃料噴射時間を長くすることを特徴とする。
【0166】このように燃料圧力を低く調整することで
単位時間当たりに噴射量が減少するので、燃料を不必要
に増加させることなく容易に燃料噴射時間を長くするこ
とができ、燃費を抑制できる。
【0167】請求項79記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項76〜78のいずれかにおいて、前記
燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする
と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする。
【0168】尚、燃料噴射時間を長くすると自ずと燃料
噴射時期は早期となるが、このことにより点火プラグに
到達する適切な燃料濃度の混合気も早期となる。したが
って燃料噴射態様変更手段は、適切な燃料濃度が点火時
期にて点火プラグ周辺に到達するように、燃料噴射時間
を長くすると共に燃料噴射時期を遅角させている。この
ことにより点火に適切な燃料濃度の混合気が点火時期に
点火プラグ周辺に到達するようになり、より安定した燃
焼が可能となる。
【0169】請求項80記載の内燃機関の燃料噴射制御
装置では、請求項79において、前記燃料噴射態様変更
手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前記燃
料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角させ
ることを特徴とする。
【0170】このように燃料噴射態様変更手段は、燃料
噴射時期の遅角の程度を、燃料噴射時間の長さに応じた
ものとしているので、より安定した燃焼が可能となる。
請求項81記載の内燃機関の燃料噴射制御装置では、請
求項43〜80のいずれかにおいて、内燃機関の吸気カ
ムと排気カムとの一方又は両方は、軸方向にカムプロフ
ィールが連続的に変化する3次元カムとして形成されて
おり、前記バルブオーバーラップ調整機構は、前記3次
元カムの軸方向移動量を調整することによりバルブオー
バーラップ量を調整することを特徴とする。
【0171】バルブオーバーラップ調整機構によるバル
ブオーバーラップ量の調整は、上述のごとくに3次元カ
ムを用いて、該カムの軸方向移動量を調整する機構を挙
げることができる。このようなバルブオーバーラップ調
整機構では、3次元カムの製造公差やバルブオーバーラ
ップ調整機構自体の製造公差などにより、調整している
内部排気再循環率が気筒間でばらつくことがあり、燃焼
性の悪化、トルク変動あるいは失火が増加している気筒
が存在する場合がある。このような場合にも、燃料噴射
態様変更手段が、全量増加を除いた燃料噴射態様変更を
実行することにより、燃焼性の悪化、トルク変動あるい
は失火を抑制することができる。
【0172】請求項82記載の気筒間内部排気再循環率
差判定装置は、成層燃焼と均質燃焼とが実行可能な内燃
機関において、連続的にバルブオーバーラップ量が調整
可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
再循環率を制御する内燃機関における内部排気再循環率
の気筒間差を判定する気筒間内部排気再循環率差判定装
置であって、均質燃焼時に内部排気再循環率をゼロとし
て内燃機関を運転した時に、各気筒の角速度が一律とな
るように気筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間補
正値を各気筒毎に算出する均質燃焼時気筒間補正値算出
手段と、成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部
排気再循環率を制御した時に、各気筒の角速度が一律と
なるように気筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間
補正値を各気筒毎に算出する成層燃焼時気筒間補正値算
出手段と、前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて算
出された気筒間補正値と前記均質燃焼時気筒間補正値算
出手段にて算出された気筒間補正値とに基づいて、内部
排気再循環率の気筒間差を判定する気筒間内部排気再循
環率差判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0173】前述したごとく燃料噴射弁の噴射特性に気
筒間でばらつきがある場合を考えると、均質燃焼時気筒
間補正値算出手段が算出する気筒間補正値には、燃料噴
射弁の噴射特性のばらつきは現れるが内部排気再循環率
のばらつきは現れない。しかし、成層燃焼時気筒間補正
値算出手段が算出する気筒間補正値には、燃料噴射弁の
噴射特性のばらつきと内部排気再循環率のばらつきとの
両方が現れる。
【0174】このため気筒間内部排気再循環率差判定手
段はこれら2つの気筒間補正値に基づくことにより、燃
料噴射弁の噴射特性のばらつきをキャンセルして内部排
気再循環率の気筒間差を正確に判定することができる。
したがって上述した内燃機関の燃料噴射制御方法や燃料
噴射制御装置に適用して燃焼性の悪化、トルク変動ある
いは失火を適切に抑制することができる。
【0175】請求項83記載の気筒間内部排気再循環率
差判定装置では、請求項82において、前記気筒間内部
排気再循環率差判定手段は、前記成層燃焼時気筒間補正
値算出手段にて算出された気筒間補正値から、前記均質
燃焼時気筒間補正値算出手段にて算出された気筒間補正
値を減算した値に基づいて内部排気再循環率の気筒間差
を判定することを特徴とする。
【0176】このような減算値に基づくことにより、気
筒間内部排気再循環率差判定手段は、内部排気再循環率
の気筒間差を容易に判定でき、この判定により燃焼性の
悪化、トルク変動あるいは失火の増大を正確に判断で
き、この判断に基づいて燃焼性の悪化、トルク変動ある
いは失火を適切に抑制することができる。
【0177】請求項84記載の気筒間内部排気再循環率
差判定装置では、請求項82又は83において、内燃機
関の吸気カムと排気カムとの一方又は両方は、軸方向に
カムプロフィールが連続的に変化する3次元カムとして
形成されており、前記バルブオーバーラップ調整機構
は、前記3次元カムの軸方向移動量を調整することによ
りバルブオーバーラップ量を調整することを特徴とす
る。
【0178】バルブオーバーラップ調整機構は、上述の
ごとくに3次元カムを用いて、該カムの軸方向移動量を
調整する機構を挙げることができる。このようなバルブ
オーバーラップ調整機構では、3次元カムの製造公差や
バルブオーバーラップ調整機構自体の製造公差などによ
り、調整している内部排気再循環率が気筒間でばらつく
ことがあり、燃焼性の悪化、トルク変動あるいは失火が
増加している気筒が存在する場合がある。このような場
合にも、気筒間内部排気再循環率差判定手段は、上記差
に基づいて、内部排気再循環率の気筒間差を正確に判定
することができ、上述した内燃機関の燃料噴射制御方法
や燃料噴射制御装置に適用して燃焼性の悪化、トルク変
動あるいは失火を適切に抑制することができる。
【0179】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は、車両に
搭載された直列6気筒の筒内噴射型ガソリンエンジン
(以下「エンジン」と略す)2及びその電子制御ユニッ
ト(以下、「ECU」と称す)4の概略構成を示してい
る。ただし図1では1つの気筒の構成を中心として示し
ている。ここでエンジン2の出力は変速機(図示略)を
介して最終的に車輪に走行駆動力として伝達される。エ
ンジン2には、燃焼室10内に燃料を直接噴射する燃料
噴射弁12と、噴射された燃料に点火する点火プラグ1
4とがそれぞれ設けられている。燃焼室10に接続して
いる吸気ポート16は吸気バルブ18の駆動により開閉
される。吸気ポート16に接続された吸気通路20の途
中にはサージタンク22が設けられ、サージタンク22
の上流側にはスロットルモータ24によって開度が調節
されるスロットルバルブ26が設けられている。このス
ロットルバルブ26の開度(スロットル開度TA)によ
り吸気量が調整される。スロットル開度TAはスロット
ル開度センサ28により検出され、サージタンク22内
の吸気圧PMは、サージタンク22に設けられた吸気圧
センサ30により検出されて、ECU4に読み込まれて
いる。
【0180】燃焼室10に接続している排気ポート32
は排気バルブ34の駆動により開閉される。排気ポート
32に接続された排気通路36の途中には上流側にエン
ジン始動時に多量に放出されるHCやCO成分を除去す
るためのO2ストレージ機能を有する三元触媒であるス
タートキャタリスト38が設けられ、下流にはNOx吸
蔵還元触媒40が設けられている。
【0181】ここで吸気バルブ18は、後述するごとく
軸方向で変化するカムプロフィールを有する3次元吸気
カム50により、カムフォロア50bを介してリフトさ
れることで開閉駆動される。又、排気バルブ34は、軸
方向でのカムプロフィールは一定の平カムである排気カ
ム52により、カムフォロア52bを介してリフトされ
ることで開閉駆動される。エンジン2のクランク軸54
の回転に吸気カムシャフト50a及び排気カムシャフト
52aが連動することにより3次元吸気カム50及び排
気カム52がエンジン回転数NEの1/2の回転数で回
転し、吸気バルブ18及び排気バルブ34がエンジンの
行程に対応して開閉駆動される。
【0182】ECU4はデジタルコンピュータを中心と
して構成されているエンジン制御回路である。このEC
U4は、スロットル開度センサ28及び吸気圧センサ3
0以外に、アクセルペダル44の踏み込み量(アクセル
開度ACCP)を検出するアクセル開度センサ56から
の信号を入力している。更に、ECU4は、クランク軸
54の回転からエンジン回転数NEを検出するエンジン
回転数センサ58、吸気カムシャフト50aの回転から
基準クランク角を決定する基準クランク角センサ60、
吸気カムシャフト50aの軸方向のスライド量を検出す
るためのシャフト位置センサ62、スタートキャタリス
ト38の上流側に設けられて排気成分から空燃比を検出
する空燃比センサ64、スタートキャタリスト38とN
Ox吸蔵還元触媒40との間に設けられて排気成分中の
酸素を検出する第1O2センサ66及びNOx吸蔵還元
触媒40の下流に設けられて排気成分中の酸素を検出す
る第2O2センサ68からそれぞれ信号を入力してい
る。尚、このようなセンサ以外にも、図示省略している
が、車速センサなどのエンジン制御に必要なセンサが設
けられている。
【0183】ECU4は、上述した各種センサからの検
出内容に基づいて、エンジン2の燃料噴射時期、燃料噴
射量、及びスロットル開度TAを適宜制御する。このこ
とにより、燃焼形態については成層燃焼と均質燃焼との
間で切り替えがなされている。本実施の形態1では、冷
間時などの状態を除いた通常運転時においては、図2に
示すごとくエンジン回転数NEと負荷率eklqとのマ
ップに基づいて、燃焼形態が決定されている。ここで負
荷率eklqは、最大機関負荷に対する現在の負荷の割
合を示すものとして、例えばアクセル開度ACCPとエ
ンジン回転数NEとをパラメータとするマップから求め
られる値である。
【0184】燃焼形態が成層燃焼に設定された場合に
は、スロットルバルブ26は可成り開いた状態となり、
吸気量に対して理論空燃比よりも可成り少ない量の燃料
が、圧縮行程、特に圧縮行程後期に噴射されるように制
御される。この結果、点火時期においては点火プラグ1
4近傍に層状に存在する点火可能な濃い混合気に点火が
なされて成層燃焼が行われる。
【0185】一方、燃焼形態が均質燃焼に設定された場
合には、アクセル開度ACCPの程度に応じてスロット
ルバルブ26の開度が調整され、理論空燃比となる量
(場合により理論空燃比よりも濃くなる量)の燃料が吸
気行程中に噴射されるように制御される。この結果、点
火時期においては燃焼室10内全体を占める理論空燃比
(場合により理論空燃比より濃厚)でかつ均質な混合気
に点火がなされて均質燃焼が行われる。
【0186】更に、ECU4は、上述した各種センサか
らの検出内容に基づいて、目標スライド量vsldtを
設定することでシャフトスライド機構70を駆動して、
吸気カムシャフト50aの軸方向でのスライド量を適宜
制御する。この場合の目標スライド量vsldtは、予
め実験により求められているエンジン運転状態をパラメ
ータとするマップ、ここではエンジン回転数NEと負荷
率eklqとをパラメータとするマップから得られた基
本スライド量vsldを用いて、次式1にて算出され
る。
【0187】
【数1】 vsldt ← vsld + vadj … [式1] ここでスライド補正量vadjはシャフトスライド機構
70による内部排気再循環(以下、「内部EGR」と称
する)率と実際の内部EGR率との差を学習して得られ
た補正量である。例えば、安定したアイドル時において
エンジン回転数NEと負荷率eklqとをパラメータと
して予め得られている目標吸気圧マップから目標吸気圧
PMtを求め、この目標吸気圧PMtとなるようにスラ
イドした場合に、基本スライド量vsldとの間のずれ
分を学習してスライド補正量vadjに設定したもので
ある。
【0188】このようにエンジン運転状態に応じて吸気
カムシャフト50aのスライド量を調整し、3次元吸気
カム50のカムプロフィールにより吸気バルブ18の開
弁タイミングの進角量を連続的に調整することで、内部
EGR率を無段階に調量できる内部EGR制御を実行し
ている。
【0189】次に3次元吸気カム50について説明す
る。図3の斜視図に示すごとく3次元吸気カム50のカ
ムプロフィールは、カム面80において吸気カムシャフ
ト50aの回転軸方向(矢印S方向)に連続的に変化し
ている。なお図3の矢印Cは吸気カムシャフト50aの
回転方向を示している。
【0190】図4(A)は3次元吸気カム50の正面
図、図4(B)は左側面図を示す。図示するごとく3次
元吸気カム50においては、ノーズ82の高さは回転軸
方向では一定とされている。そして3次元吸気カム50
の方向R側の端面(以下、「第1端面」と称する)84
側では、バルブ開き側とバルブ閉じ側とはほぼ左右対称
なカムプロフィールである。しかし3次元吸気カム50
の方向F側の端面(以下、「第2端面」と称する)86
側では左右対称なカムプロフィールではなく、バルブ閉
じ側は第1端面84側と同じカムプロフィールである
が、バルブ開き側の方は第1端面84側よりも高いリフ
トパターンとされている。なお、図4(A)において破
線の円はリフト量ゼロのカム高さを示している。
【0191】したがって、吸気バルブ18のリフト量で
表す3次元吸気カム50のプロフィールは、3次元吸気
カム50のノーズ82によるピーク位置を0°CA(ク
ランク角)として表すと、第2端面86側のカム面80
では図5(A)のごとくであり、第1端面84側のカム
面80では図5(B)のごとくである。尚、実際には3
次元吸気カム50のノーズ82によるピーク位置は0°
CAに配置されるとは限らない。
【0192】図示したごとく、第2端面86側のカムプ
ロフィールはピーク位置のバルブ開き側に台地状にサブ
カムCsubが形成されている。第1端面84側にはサ
ブカムCsubは存在しない。このため、第2端面86
側での3次元吸気カム50の作用角dθ12は、第1端
面84側での作用角dθ11よりもバルブの開弁タイミ
ング側が大きく進角している。
【0193】尚、実際のクランク角に対応するリフトパ
ターンは図6に示すごとくとなる。ここで、図6(A)
は第2端面86側のカム面80がカムフォロア50bに
当接した場合のリフトパターンであり、図6(B)は第
1端面84側のカム面80がカムフォロア50bに当接
した場合のリフトパターンである。又、一点鎖線は排気
バルブ34のリフトパターンを示している。したがっ
て、図6(A)に示す第2端面86側のカム面80のリ
フトパターンでは、排気バルブ34とのバルブオーバー
ラップは最大バルブオーバーラップ量Rpmaxであ
り、図6(B)にて示す第1端面84側のカム面80の
リフトパターンでは、最小バルブオーバーラップ量Rp
minである。
【0194】3次元吸気カム50における第1端面84
と第2端面86との間のカム面80は、第1端面84側
のプロフィールと第2端面86側のプロフィールとの間
で連続的に変化している。このため、シャフトスライド
機構70の駆動により、図6(A)の最大バルブオーバ
ーラップ量Rpmaxと図6(B)の最小バルブオーバ
ーラップ量Rpminとの間の任意のバルブオーバーラ
ップ量となるように吸気バルブ18のリフトパターンを
無段階に調整することができる。
【0195】シャフトスライド機構70について説明す
る。シャフトスライド機構70は、図7に示すごとく、
シリンダチューブ90と、このシリンダチューブ90内
に配置されたシャフト移動用ピストン92と、オイルコ
ントロールバルブ(以下、「OCV」と略す)94とを
備えている。シリンダチューブ90はタイミングスプロ
ケット96と一体に形成されている。タイミングスプロ
ケット96はクランク軸54(図1)とはタイミングチ
ェーン(図示略)にて連結されている。このことにより
エンジン2の回転に連動してシリンダチューブ90全体
がエンジン回転数NEの1/2の回転数で回転すること
ができる。
【0196】シャフト移動用ピストン92は吸気カムシ
ャフト50aに固定されている。このシャフト移動用ピ
ストン92により、シリンダチューブ90内は軸方向
に、第1圧力室90aと第2圧力室90bとに区画され
ている。第1圧力室90a側には圧縮状態のスプリング
98が配置されているが、第2圧力室90b側にはスプ
リングは配置されていない。したがってスプリング98
は、シャフト移動用ピストン92を図示左方向に付勢し
ている。
【0197】更に第2圧力室90b側には、シャフト移
動用ピストン92からスプライン部92aが軸方向に円
筒状に突出して設けられている。このスプライン部92
aは、シリンダチューブ90の内周面に形成されている
ストレートスプライン部90cに噛み合っている。した
がってシリンダチューブ90内でシャフト移動用ピスト
ン92が軸方向に移動しても、タイミングスプロケット
96と吸気カムシャフト50aとの間に位相差が生じな
いようにされている。
【0198】第1圧力室90a及び第2圧力室90bに
はOCV94を介してオイルポンプPから作動油が供給
される。OCV94は、電磁ソレノイド式4ポート3位
置切替バルブとして構成されている。図示しているごと
くの電磁ソレノイドの消磁状態では、第2圧力室90b
内の作動油は排出通路100を介してオイルパン102
内へ戻される。第1圧力室90a内へは供給通路104
を介してオイルポンプPから高圧の作動油が供給され
る。したがってシャフト移動用ピストン92を図示左側
に移動させることができ、連動する吸気カムシャフト5
0aを同様に移動させることができる。又、電磁ソレノ
イドが100%励磁された状態では、第2圧力室90b
内へは供給通路104を介してオイルポンプPから高圧
の作動油が供給される。第1圧力室90aの作動油は排
出通路100を介してオイルパン102内へ戻される。
したがってシャフト移動用ピストン92を図示右側に移
動させることができ、連動する吸気カムシャフト50a
を同様に移動させることができる。更に電磁ソレノイド
への給電を中程度の状態に制御すると、各圧力室90
a,90bは供給通路104にも排出通路100にも接
続されずに密封される。したがってシャフト移動用ピス
トン92を停止させることができ、吸気カムシャフト5
0aの軸方向位置を固定することができる。
【0199】このようにしてECU4はOCV94に対
する通電制御を行うことにより、シャフト移動用ピスト
ン92をスプリング98の付勢力とともに図示左側に移
動させてバルブオーバーラップ量を最小バルブオーバー
ラップ量Rpmin側に連続的に変化させることができ
る。そしてシャフト移動用ピストン92をスプリング9
8の付勢力に抗して図示右側に移動させてバルブオーバ
ーラップ量を最大バルブオーバーラップ量Rpmax側
に連続的に変化させることができる。このことにより任
意のバルブオーバーラップ量を実現することができる。
そして吸気カムシャフト50aの位置を固定すれば、バ
ルブオーバーラップ量を一定に維持することができる。
【0200】尚、内部EGR率とバルブオーバーラップ
量との関係は、最小バルブオーバーラップ量Rpmin
では内部EGRはなされないが、最小バルブオーバーラ
ップ量Rpminよりもバルブオーバーラップ量を増加
させることにより、バルブオーバーラップ量の増加に応
じて内部EGR率が増加するように3次元吸気カム50
及びシャフトスライド機構70が設定してある。尚、吸
気カムシャフト50aに対する3次元吸気カム50の取
り付け位置公差を考慮して、最小バルブオーバーラップ
量Rpmin側のシャフト移動限界位置は、全ての気筒
において内部EGR率が完全に「0%」となるように設
定されている。
【0201】ECU4は、エンジン2の始動完了後に
は、燃焼方式を均質燃焼に固定した状態でアイドル運転
を行い、アイドル回転数フィードバック制御によりエン
ジン回転数NEが予め定められたアイドル回転数となる
ようにスロットルバルブ26を駆動してスロットル開度
TAを調整する。こうしたアイドル回転数フィードバッ
ク制御によるスロットル開度調整により、エンジン2の
吸気量がアイドル回転を実現できる値に調整される。
【0202】そしてECU4は、マップとして予め用意
されている標準エンジンのアイドル時でのエンジン回転
数NE、吸気圧PM及びスロットル開度TAの間の対応
関係を用いて、アイドル回転数フィードバック制御時の
実エンジン回転数NE及び実吸気圧PMとに基づいて標
準スロットル開度を算出する。そして、この標準スロッ
トル開度と実スロットル開度TAとの差により、スロッ
トル開度補正量を学習している。このことによりECU
4はスロットルバルブ26の駆動により標準エンジンと
同じようにスロットル開度TAの制御を実行することが
できる。このようにスロットル開度補正量の学習が完了
した後に成層燃焼のアイドル回転数フィードバック制御
に移行している。
【0203】ここでトルク変動の検出に関連して、エン
ジン回転数センサ58とNE信号について説明する。エ
ンジン回転数センサ58は図8に示すごとく、クランク
軸54に取り付けられてクランク軸54の回転とともに
回転するロータ58aと、ロータ58aの外周に設けら
れた歯列に対向して設けられたピックアップ部58bと
から構成されている。ロータ58aの外周には10°間
隔で34個の歯PK1〜PK34が形成されている。そ
して、歯PK1と歯PK34との間は、10°間隔にし
て2歯が欠けた部分、すなわち欠歯PKBが形成されて
いる。
【0204】ピックアップ部58bは、クランク軸54
の回転により、これら34個の歯PK1〜PK34が対
向位置を通過すると各歯PK1〜PK34の通過毎にパ
ルス信号が得られるように構成されている。このパルス
信号と各気筒の行程状態との関係を図9に示す。図9に
おいてNE信号にて示した矢印は歯PK1〜PK34の
通過によるパルス信号の発生を表している。ECU4で
はこのパルス信号を3つカウントする毎に、クランクカ
ウンタCCRNKを「0」から「23」までカウントア
ップする処理を繰り返している。又、欠歯PKBでは2
つ分のパルス信号が抜けるので、ECU4はパルス間隔
の長さから欠歯PKBであることを判断して、クランク
カウンタCCRNKを「18」から「19」へ、あるい
は「6」から「7」へ変更している。尚、図示している
ごとく、本例では欠歯PKBは、#2気筒(第2気筒を
表す:他の気筒についても同じ)及び#5気筒の圧縮上
死点後(ATDC)の60CA°〜90°CAの間にピ
ックアップ部58bを通過するように設定されている。
【0205】次にECU4により実行される制御の内、
エンジン回転数センサ58のパルス信号の出力間隔に基
づいてトルク変動を検出し、このトルク変動状態から燃
料噴射態様を切り替える処理について説明する。
【0206】図10は角速度計測処理のフローチャート
を示している。本処理は10°CA毎に、すなわちNE
信号のパルス出力毎に繰り返し実行される処理である。
本処理が開始されると、まず各気筒毎に設定されている
角速度計測用に測定される第1回転経過時間Ta
(1),Ta(2),Ta(3),Ta(4),Ta
(5),Ta(6)及び第2回転経過時間Tb(1),
Tb(3),Tb(4),Tb(6)のいずれかの計時
開始タイミングか否かが判定される(S110)。ここ
で()内の数字は気筒番号を示している。
【0207】上記第1回転経過時間は、図9に示したご
とく#1〜#6気筒について、それぞれATDC0°C
A〜ATDC30°CAの30°CA幅の角度領域を回
転するに必要な時間であり、上記第2回転経過時間は、
#1,#3,#4,#6気筒については、それぞれAT
DC60°CA〜ATDC90°CAの30°CA幅の
角度領域を回転するに必要な時間である。#2,#5気
筒における第2回転経過時間は、ATDC50°CA〜
ATDC100°CAの50°CA幅の角度領域を回転
するに必要な時間である。尚、図9では#1,#5気筒
についてのみ第1回転経過時間及び第2回転経過時間を
示している。
【0208】もし#2,#5気筒における第2回転経過
時間を、ATDC60°CA〜ATDC90°CAの角
度領域にて検出しようとした場合は、欠歯PKBの両側
で隣接する歯PK1,PK34にて検出することにな
る。しかし、この2つの歯PK1,PK34はエンジン
回転数NEに対して他の歯PK2〜PK33とは異なっ
たパルス出力タイミングの変化を示すため、計時結果を
他の気筒と比較することができない。したがって#2,
#5気筒における第2回転経過時間は、ATDC50°
CA〜ATDC100°CAの50°CA幅の角度領域
での回転経過時間を計測して用いている。
【0209】したがって前述したステップS110では
30°CA幅の角度領域の計時を開始するタイミングを
判断している。すなわち#1,#3,#4,#6気筒に
ついてはATDC0°CAあるいはATDC60°C
A、#2,#5気筒については、ATDC0°CAか否
かを判断している。そしてステップS110で「YE
S」と判定されると、ECU4は30°CA幅の計時開
始を設定する(S120)。この処理によりECU4内
のタイマーカウンタの内容が「0」に戻されて、計時が
開始される。こうして一旦本処理を終了する。
【0210】ステップS110にて「NO」と判定され
ると、次に第2回転経過時間Tb(2),Tb(5)の
計時開始タイミングか否かが判定される(S130)。
すなわち50°CA幅の角度領域の計時を開始するタイ
ミング(#2,#5気筒のATDC50°CA)か否か
を判断している。そしてステップS130で「YES」
と判定されると、ECU4は50°CA幅の計時開始を
設定する(S140)。この処理によりECU4内のタ
イマーカウンタの内容が「0」に戻されて、計時が開始
される。こうして一旦本処理を終了する。
【0211】ステップS130にて「NO」と判定され
た場合には、第1回転経過時間Ta(1)〜Ta(6)
及び第2回転経過時間Tb(1)〜Tb(6)のいずれ
かの計時終了タイミングか否かが判定される(S15
0)。すなわち#1,#3,#4,#6気筒について
は、ATDC30°CAあるいはATDC90°CA、
#2,#5気筒については、ATDC30°CAあるい
はATDC100°CAか否かを判断している。そして
ステップS150で「YES」と判定されると、第1回
転経過時間Ta(1)〜Ta(6)及び第2回転経過時
間Tb(1)〜Tb(6)のいずれかの計測時間が得ら
れているので、この計測時間から各気筒の該当する角度
領域での角速度ωa(n),ωb(n)が算出される
(S160)。ここでnは各気筒番号を表し、第1角速
度ωa(n)は、#n気筒の第1回転経過時間Ta
(n)から求めた角速度であり、第2角速度ωb(n)
は、#n気筒の第2回転経過時間Tb(n)から求めた
角速度である。#1〜#6気筒については次式2のごと
く、第1角速度ωa(n)が求められる。
【0212】
【数2】 ωa(n) ← 30°CA / Ta(n) … [式2] 又、#1,#3,#4,#6気筒については次式3のご
とく、第2角速度ωb(n)が求められる。
【0213】
【数3】 ωb(n) ← 30°CA / Tb(n) … [式3] 又、#2,#5気筒については次式4のごとく、第2角
速度ωb(n)が求められる。
【0214】
【数4】 ωb(n) ← 50°CA / Tb(n) … [式4] 上述したごとく角速度計測処理により角速度ωa
(n),ωb(n)が算出されたことによりトルク変動
dlnが算出される。トルク変動dln算出処理を図1
1のフローチャートに示す。本処理は10°CA毎に繰
り返し実行される処理であり、前記角速度計測処理(図
10)の次に実行される処理である。
【0215】本処理が開始されると、まずいずれかの気
筒について第1角速度ωa(n)と第2角速度ωb
(n)との両者が新しく算出されたか否かが判定される
(S210)。新しく算出されていなければ(S210
で「NO」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0216】第1角速度ωa(n)と第2角速度ωb
(n)との両者が新しく算出された気筒が存在すれば
(S210で「YES」)、次式5に示すごとくトルク
値dn(n)が算出される(S220)。
【0217】
【数5】 dn(n) ← {ωb(n)}2 −{ωa(n)}2 … [式5] ここで「{x}2 」は、xの2乗を表している。
【0218】各気筒において燃焼が行われると燃焼圧に
よってクランク軸54の角速度は第1角速度ωa(n)
から第2角速度ωb(n)へ上昇する。このときエンジ
ン2の回転慣性モーメントをIとすると燃焼圧によって
運動エネルギが(1/2)・I・{ωa(n)}2 から
(1/2)・I・{ωb(n)}2 へ上昇する。概略的
には、この運動エネルギの上昇量分(1/2)・I・
({ωb(n)}2 −{ωa(n)}2 )がトルクに
対応しているのでトルクは、{ωb(n)}2 −{ωa
(n)}2 に比例することになる。したがって、ここで
はトルクの代用として、{ωb(n)}2 −{ωa
(n)}2 をトルク値dn(n)として表して以下の処
理に用いている。
【0219】次に次式6に示すごとく1サイクル(72
0°CA)間のトルク変動dln(n)が絶対値として
算出される(S230)。
【0220】
【数6】 dln(n) ← |dnold(n) − dn(n)| … [式6] ここで「dnold(n)」は、1サイクル前において
#n気筒について算出されたトルク値dn(n)であ
る。
【0221】こうして一旦本処理を終了する。上述した
ステップS220,S230の処理が、各気筒について
第1角速度ωa(n)と第2角速度ωb(n)との両者
が新しく算出される毎に実行されて、各気筒のトルク変
動dln(n)が繰り返し算出される。
【0222】次にトルク変動判定処理をについて説明す
る。トルク変動判定処理のフローチャートを図12に示
す。本処理は10°CA毎に繰り返し実行される処理で
あり、前記トルク変動dln算出処理(図11)の次に
実行される。
【0223】本処理が開始されると、まずタイマーカウ
ント値tcが基準データ抽出時間TCX(例えば30秒
間)以上となったか否かが判定される(S310)。こ
こで述べるECU4による一連の処理の初期設定におい
てはタイマーカウント値tcが「0」に設定されてタイ
マーカウント値tcのカウントが開始されるので、最初
はステップS310で「NO」と判定される。そして次
に前記トルク変動dln算出処理(図11)にてトルク
変動dln(n)が算出された直後か否かが判定される
(S320)。直後でなければ(S320で「N
O」)、このまま本処理を一旦終了する。
【0224】トルク変動dln(n)の算出直後であれ
ば(S320で「YES」)、このトルク変動dln
(n)がトルク変動増大判定値DLNX以上か否かが判
定される(S330)。dln(n)<DLNXであれ
ば(S330で「NO」)、このまま本処理を一旦終了
する。
【0225】dln(n)≧DLNXであれば(S33
0で「YES」)、#n気筒におけるトルク変動カウン
タcdln(n)の値をインクリメントする(S34
0)。そして本処理を一旦終了する。
【0226】以後、タイマーカウント値tcが基準デー
タ抽出時間TCXに達するまでは(S310で「N
O」)、前記トルク変動dln算出処理(図11)にて
新しくトルク変動dln(n)が求められる毎に(S3
20で「YES」)、dln(n)≧DLNXであれば
(S330で「YES」)、#n気筒のトルク変動カウ
ンタcdln(n)に「1」が加算される処理(S34
0)が繰り返される。
【0227】そしてtc≧TCXとなると(S310で
「YES」)、変数iに「1」を設定する(S35
0)。次に#i気筒の燃料成層度低下フラグFwinj
(i)が「ON」か否かが判定される(S360)。こ
こで燃料成層度低下フラグFwinj(i)は、#i気
筒にて成層燃焼が実行されている時に、燃料成層度を低
下させるかあるいは通常の燃料成層度に維持するか否か
を決定するためのフラグであり、ステップS400,S
410に示すごとく設定されて、後述する燃料噴射時期
制御処理及び燃料噴射量制御処理において用いられるフ
ラグである。
【0228】Fwinj(i)=「OFF」であれば
(S360で「NO」)、トルク変動増加判定回数CN
Xには、基本トルク変動増加判定回数CNXBの値がそ
のまま設定される(S370)。又、Fwinj(i)
=「ON」であれば(S360で「YES」)、トルク
変動増加判定回数CNXには、基本トルク変動増加判定
回数CNXBの値からヒステリシス幅分αを減算した値
が設定される(S380)。すなわちFwinj(i)
=「ON」の場合はトルク変動増加判定回数CNXの値
は、Fwinj(i)=「OFF」の場合に比較して小
さい値にされている。
【0229】そして、次に#i(=1)気筒のトルク変
動カウンタcdln(i)がトルク変動増加判定回数C
NX以上か否かが判定される(S390)。cdln
(i)<CNXであれば(S390で「NO」)、#i
気筒の燃料成層度低下フラグFwinj(i)に「OF
F」を設定する(S400)。又、cdln(i)≧C
NXであれば(S390で「YES」)、#i気筒の燃
料成層度低下フラグFwinj(i)に「ON」を設定
する(S410)。
【0230】ステップS400又はステップS410の
次には、i=6か否かが判定される(S420)。最初
は、i=1であるので(S420で「NO」)、次に変
数iの値がインクリメントされる(S430)。このこ
とによりi=2となり、ステップS360に戻って、F
winj(i)=「ON」か否かが判定される(S36
0)。この判定結果により、トルク変動増加判定回数C
NXに該当する値が設定され(S370,S380)、
そして、#i気筒のトルク変動カウンタcdln(i)
がトルク変動増加判定回数CNX以上か否かを判定する
(S390)。このステップS390の判定結果によっ
て、#i気筒の燃料成層度低下フラグFwinj(i)
に「ON」又は「OFF」を設定する(S400,S4
10)。そして、i=2であることから(S420で
「NO」)、変数iの値がインクリメントされて(S4
30)、i=3となる。そして、再度#i(=3)気筒
について、前記ステップS360から処理が繰り返さ
れ、#i気筒の燃料成層度低下フラグFwinj(i)
に「ON」又は「OFF」を設定する(S400,S4
10)。
【0231】以後、i=4,5,6についても同様な処
理を実行して、各燃料成層度低下フラグFwinj
(i)に「ON」又は「OFF」を設定する(S40
0,S410)。
【0232】そしてi=6であると判定されると(S4
20で「YES」)、次に全気筒のトルク変動カウンタ
cdln(1)〜cdln(6)に「0」が設定される
(S440)。次にタイマーカウント値tcを「0」に
戻して基準データ抽出時間TCXのカウントを再開させ
(S450)、本処理を一旦終了する。
【0233】このようにして設定される各燃料成層度低
下フラグFwinj(1)〜Fwinj(6)が参照さ
れる燃料噴射時期制御処理及び燃料噴射量制御処理につ
いて説明する。
【0234】燃料噴射時期制御処理を図13に示す。本
燃料噴射時期制御処理は、120°CA毎に繰り返し実
行される処理である。本処理が開始されると、まず前記
図2に示したマップから、負荷率eklqとエンジン回
転数NEとに基づいて燃焼形態が設定される(S51
0)。次に、このように設定された燃焼形態が成層燃焼
か否かが判定される(S520)。成層燃焼であれば
(S520で「YES」)、次に今回の制御周期にて燃
焼噴射時期の設定対象となっている#i気筒の燃料成層
度低下フラグFwinj(i)が「OFF」か否かが判
定される(S530)。
【0235】Fwinj(i)=「OFF」であれば
(S530で「YES」)、#i気筒に対しては圧縮行
程後期で1回の燃料噴射されるように燃料噴射時期が設
定され(S540)、一旦本処理を終了する。
【0236】Fwinj(i)=「ON」であれば(S
530で「NO」)、#i気筒に対しては吸気行程と圧
縮行程後期とでそれぞれ燃料噴射されるように燃料噴射
時期が設定され(S550)、一旦本処理を終了する。
【0237】又、ステップS520にて成層燃焼でな
く、均質燃焼に設定されたと判定された場合には(S5
20で「NO」)、#i気筒に対しては吸気行程で1回
の燃料噴射がなされるように燃料噴射時期が設定され
(S560)、一旦本処理を終了する。
【0238】燃料噴射量制御処理を図14に示す。本燃
料噴射量制御処理は120°CA毎に繰り返し実行され
る処理であり、前記燃料噴射時期制御処理(図13)の
次に実行される処理である。本処理が開始されると、ま
ず燃焼形態として成層燃焼が設定されているか否かが判
定される(S610)。成層燃焼が設定されていれば
(S610で「YES」)、次に#i気筒に対しては成
層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)を、予め実験
により求められてECU4のROM内に記憶されている
成層燃焼用マップfcomから、負荷率eklqとエン
ジン回転数NEとに基づいて算出する(S620)。
【0239】次に、今回の制御周期にて燃焼噴射時期の
設定対象となっている#i気筒の燃料成層度低下フラグ
Fwinj(i)が「OFF」か否かが判定される(S
630)。Fwinj(i)=「OFF」であれば(S
630で「YES」)、圧縮行程後期に噴射するための
燃料噴射量Qcom(i)に前記成層燃焼時基準燃料噴
射量Qcomb(i)を設定し(S635)、このまま
一旦本処理を終了する。したがって成層燃焼時にFwi
nj(i)=「OFF」であればステップS620にて
設定された成層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)
により圧縮行程後期に1回のみの燃料噴射がなされる。
【0240】一方、Fwinj(i)=「ON」であれ
ば(S630で「NO」)、#i気筒に対して2回噴射
の内で吸気行程時に噴射する燃料噴射量Qsuc(i)
を、予め実験により求められてECU4のROM内に記
憶されている2回噴射用吸気行程噴射量マップfsuc
から、負荷率eklqとエンジン回転数NEとに基づい
て算出する(S640)。
【0241】そして次にステップS620にて求めた成
層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)からステップ
S640にて求めた燃料噴射量Qsuc(i)を減算し
て、圧縮行程後期に噴射するための燃料噴射量Qcom
(i)を算出する(S650)。こうして一旦本処理を
終了する。したがって成層燃焼時にFwinj(i)=
「ON」であれば、ステップS640にて設定された吸
気行程用燃料噴射量Qsuc(i)にて吸気行程時に1
回目の燃料噴射がなされ、引き続いてステップS650
にて設定された燃料噴射量Qcom(i)に基づいて圧
縮行程後期に2回目の燃料噴射がなされることになる。
【0242】又、ステップS610にて均質燃焼である
と判定された場合には(S610で「NO」)、次に均
質燃焼時基準燃料噴射量Qhomb(i)算出処理が実
行される(S660)。この均質燃焼時基準燃料噴射量
Qhomb(i)算出処理では、エンジン回転数NEと
吸気圧PMとから求められる基本燃料噴射量に対して、
空燃比センサ64の検出値に基づいて目標空燃比にする
ための空燃比フィードバック制御係数にて補正したり、
加速時増量などの補正を実行して、#i気筒の均質燃焼
時基準燃料噴射量Qhomb(i)を求める。
【0243】そして、このように求められた均質燃焼時
基準燃料噴射量Qhomb(i)を吸気行程にて噴射す
るための燃料噴射量Qhom(i)に設定し(S66
5)、一旦本処理を終了する。したがって、均質燃焼時
であればステップS665にて設定された#i気筒の燃
料噴射量Qhom(i)にて吸気行程時に燃料噴射がな
される。
【0244】上述した構成において、シャフトスライド
機構70がバルブオーバーラップ調整機構に、ECU4
によりシャフトスライド機構70を駆動して実行される
エンジン運転状態に応じた吸気カムシャフト50aの軸
方向でのスライド量の調整処理が内部排気再循環率制御
手段としての処理に、角速度計測処理(図10)、トル
ク変動dln算出処理(図11)及びトルク変動判定処
理(図12)がトルク変動悪化気筒検出手段としての処
理に、燃料噴射時期制御処理(図13)のステップS5
30,S550及び燃料噴射量制御処理(図14)のス
テップS630〜S650が燃料噴射態様変更手段とし
ての処理に相当する。尚、角速度計測処理(図10)、
トルク変動dln算出処理(図11)及びトルク変動判
定処理(図12)については、内部EGR率に起因して
燃焼性が悪化したことをトルク変動にて検出していると
も言え、又、内部EGR率に起因して失火が増加したこ
とをトルク変動にて検出しているとも言えるので、燃焼
悪化気筒検出手段にも又、失火増加気筒検出手段にも相
当する。
【0245】以上説明した本実施の形態1によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).シャフトスライド機構70による内部EGR率
の調整は、主として成層燃焼時に実行されるが、3次元
吸気カム50の形状やシャフトスライド機構70自体の
製造公差などに伴って、気筒によっては、内部EGR率
が所望の状態とならずに、成層燃焼時の燃焼性が悪化し
て、失火やトルク変動が悪化するおそれがある。このよ
うな燃焼性が悪化した気筒が、角速度計測処理(図1
0)、トルク変動dln算出処理(図11)及びトルク
変動判定処理(図12)にて検出された場合には、通常
の成層燃焼時では圧縮行程後期に1回燃料噴射する状態
から、吸気行程と圧縮行程後期とで2回の燃料噴射を行
う状態に切り替えている。
【0246】このように内部EGR率に起因して、トル
ク変動、失火を含めた燃焼性の悪化が生じている気筒に
対しては、1サイクルに2回の燃料噴射がなされるた
め、吸気行程で噴射された燃料分は点火時までには十分
に燃焼室10内全体に均一に分散し、圧縮行程後期にて
噴射された燃料は点火時には点火プラグ14にて点火可
能な混合気として燃焼室10内にて層状に存在すること
になる。このため、点火プラグ14のスパークによりま
ず層状の点火可能な混合気に点火されて、その後、燃焼
室10内全体に均一濃度に存在する混合気を燃焼させて
行くことになる。したがって燃焼室10内にては的確な
点火がなされ、かつ燃焼室10内全体が着実にかつ緩や
かに燃焼する。このため燃焼性が改善され、失火も少な
くなり、トルク変動の悪化を抑制することができる。
【0247】ここでは単なる燃料噴射量の増加により燃
焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少な
い燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。 [実施の形態2]本実施の形態では、前記実施の形態1
の構成に加えて、各気筒の角速度が一律となるように気
筒間の燃料噴射量を調整するために気筒毎に算出される
気筒間補正係数kgtpc(1)〜kgtpc(6),
kgtps(1)〜kgtps(6)[気筒間補正値に
相当]を算出している。この内、成層燃焼時気筒間補正
係数kgtpc(1)〜kgtpc(6)は成層燃焼時
において各気筒の角速度が一律となるように計算され、
均質燃焼時気筒間補正係数kgtps(1)〜kgtp
s(6)は均質燃焼時において各気筒の角速度が一律と
なるように計算される係数値である。ここでは成層燃焼
時気筒間補正係数kgtpc(1)〜kgtpc(6)
は、気筒間で角速度を一律にするために、これら6つの
値の平均は「1.00」となるように計算され、同様に
均質燃焼時気筒間補正係数kgtps(1)〜kgtp
s(6)についても、これら6つの値の平均は「1.0
0」となるように計算されている。したがって、「1.
00」より大きい気筒間補正係数が算出された気筒は燃
料噴射量が増量され、「1.00」より小さい気筒間補
正係数が算出された気筒は燃料噴射量が減量される。
【0248】ここで気筒間補正係数を算出する処理は、
例えば特開平5−321742号(特許第308909
4)公報などに開示されているごとく、図9に示した各
気筒のATDC0°CAからATDC120°CAまで
の回転経過時間T120(1)〜T120(6)に基づ
いて各気筒の膨張行程での角速度を比較することによ
り、平均的な角速度よりも角速度が低い場合には該当気
筒の燃料供給量を増量するために気筒間補正係数を増加
し、平均的な角速度よりも角速度が高い場合には該当気
筒の燃料供給量を減量するために気筒間補正係数を減少
する処理を行って各気筒の角速度を一律のものとするた
めの気筒間補正係数を求めている。ここでは、図9に示
したごとくATDC0°CAからATDC120°CA
までの回転経過時間の測定は欠歯PKBには影響されな
いパルス間の計時となるため、気筒間補正係数は#2,
#5気筒を含めた6気筒全てについて同一タイミングの
パルスを用いて算出されている。
【0249】尚、ここで用いられる気筒間補正係数kg
tpc(1)〜kgtpc(6),kgtps(1)〜
kgtps(6)は、気筒間の角速度を一律にするよう
に求められた補正値であれば良く、上述した文献に記載
された算出手法に限定されるものではない。
【0250】本実施の形態においては、気筒間補正係数
kgtpc(1)〜kgtpc(6),kgtps
(1)〜kgtps(6)は、前記実施の形態1の燃料
噴射量制御処理(図14)の代わりに実行される図15
に示す燃料噴射量制御処理に用いられて燃料噴射量を補
正する。尚、図15の処理の内でステップS610〜S
630,S640,S660については、前記実施の形
態1の図14に示した処理と同一である。異なるのはス
テップS635,S650,S665が無くなり、ステ
ップS655,S670,S680が実行される点であ
る。本実施の形態2の他の構成については前記実施の形
態1と同じである。
【0251】燃料噴射量制御処理(図15)が開始され
ると、まず燃焼形態として成層燃焼が設定されているか
否かが判定される(S610)。成層燃焼が設定されて
いれば(S610で「YES」)、次に#i気筒に対し
ては成層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)を成層
燃焼用マップfcomから、負荷率eklqとエンジン
回転数NEとに基づいて算出する(S620)。
【0252】次に今回の制御周期にて燃焼噴射時期の設
定対象となっている#i気筒の燃料成層度低下フラグF
winj(i)が「OFF」か否かが判定される(S6
30)。Fwinj(i)=「OFF」であれば(S6
30で「YES」)、次式7に示すごとく成層燃焼時気
筒間補正係数kgtpc(i)と成層燃焼時基準燃料噴
射量Qcomb(i)との積により圧縮行程後期に噴射
するための燃料噴射量Qcom(i)が設定される(S
670)。
【0253】
【数7】 Qcom(i) ← Qcomb(i) × kgtpc(i) … [式7] こうして一旦本処理を終了する。したがって成層燃焼時
にFwinj(i)=「OFF」であればステップS6
70にて設定された燃料噴射量Qcom(i)に基づい
て圧縮行程後期に1回のみの燃料噴射がなされる。
【0254】一方、Fwinj(i)=「ON」であれ
ば(S630で「NO」)、#i気筒に対して2回噴射
の内で吸気行程時に噴射する燃料噴射量Qsuc(i)
を2回噴射用吸気行程噴射量マップfsucから、負荷
率eklqとエンジン回転数NEとに基づいて算出する
(S640)。
【0255】そして次にステップS620にて求めた成
層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)からステップ
S640にて求めた燃料噴射量Qsuc(i)を減算し
て、新たな成層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)
として設定する(S655)。次にステップS655に
て設定した成層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)
を用いて、前記式7の計算を実行して、燃料噴射量Qc
om(i)を設定する(S670)。こうして一旦本処
理を終了する。
【0256】したがって成層燃焼時にFwinj(i)
=「ON」であれば、ステップS640にて設定された
吸気行程用燃料噴射量Qsuc(i)にて#i気筒の吸
気行程時に1回目の燃料噴射がなされ、引き続いてステ
ップS670にて設定された燃料噴射量Qcom(i)
に基づいて#i気筒の圧縮行程後期に2回目の燃料噴射
がなされる。
【0257】又、ステップS610にて均質燃焼である
と判定された場合には(S610で「NO」)、次に均
質燃焼時基準燃料噴射量Qhomb算出処理にて均質燃
焼時基準燃料噴射量Qhomb(i)が前記実施の形態
1で述べたごとく算出される(S660)。
【0258】そして次に次式8に示すごとく均質燃焼時
気筒間補正係数kgtps(i)と均質燃焼時基準燃料
噴射量Qhomb(i)との積により均質燃焼時燃料噴
射量Qhom(i)が設定される(S680)。
【0259】
【数8】 Qhom(i) ← Qhomb(i) × kgtps(i) … [式8] こうして一旦本処理を終了する。したがって均質燃焼時
であればステップS680にて設定された燃料噴射量Q
hom(i)にて#i気筒の吸気行程時に燃料噴射がな
される。
【0260】このようにステップS670にて成層燃焼
時気筒間補正係数kgtpc(i)により成層燃焼時基
準燃料噴射量Qcomb(i)が補正されて成層燃焼時
における各気筒間の角速度が一律となるように制御さ
れ、ステップS680にて均質燃焼時気筒間補正係数k
gtps(i)により均質燃焼時燃料噴射量Qhom
(i)が補正されて均質燃焼時における各気筒間の角速
度が一律となるように制御される。
【0261】上述した構成において、ECUにより行わ
れる成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc(1)〜kg
tpc(6)を求める処理が気筒間補正値算出手段とし
ての処理に、燃料噴射量制御処理(図15)のステップ
S670が気筒間補正手段としての処理に相当する。
【0262】以上説明した本実施の形態2によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).前記実施の形態1の効果を生じる。 (ロ).1サイクルに吸気行程と圧縮行程後期とで2回
噴射する時には、成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc
(i)を圧縮行程用燃料噴射量Qcom(i)のみに反
映させている。このことで、各気筒の角速度が一律とな
るように気筒間の燃料噴射量を調整できる。これととも
に2回噴射がなされる気筒では燃焼性が悪化しているた
め、成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc(i)は増量
を示す値となるけれども、吸気行程用燃料噴射量Qsu
c(i)については増量を行わないので、燃料増量を最
小限に止めることができ、燃費の悪化を抑制することが
できる。
【0263】[実施の形態3]本実施の形態では、前記
実施の形態2と同様に図13,15の処理を実行する。
ただし角速度計測処理(図10)、トルク変動dln算
出処理(図11)及びトルク変動判定処理(図12)の
代わりに、図16に示す気筒間補正係数算出条件設定処
理及び図17に示す気筒間補正差算出処理が実行され点
が実施の形態2と異なる。尚、図16,17の処理は1
20°CA毎に繰り替えし実行される処理である。
【0264】気筒間補正係数算出条件設定処理(図1
6)が開始されると、まず気筒間補正係数算出完了フラ
グFkgtpが「OFF」か否かが判定される(S71
0)。この気筒間補正係数算出完了フラグFkgtp
は、後述するステップS730及びステップS750の
各状態で全気筒の気筒間補正係数の算出を完了した場合
に「ON」に設定されるフラグである。尚、気筒間補正
係数算出完了フラグFkgtpは、エンジン始動時の初
期設定、あるいは一定距離の走行完了毎に「OFF」に
設定される。
【0265】ここで気筒間補正係数算出完了フラグFk
gtp=「OFF」であれば(S710で「YE
S」)、次に気筒間補正係数を求めるための均質燃焼条
件が成立しているか否かが判定される(S720)。均
質燃料条件が成立していなければ(S720で「N
O」)、次に気筒間補正係数を算出するための成層燃焼
条件が成立しているか否かが判定される(S740)。
成層燃焼条件が成立していなければ(S740で「N
O」)、このまま一旦本処理を終了する。
【0266】ステップS720にて均質燃焼条件が成立
した場合には(S720で「YES」)、次にECU4
はシャフトスライド機構70を駆動して、吸気カムシャ
フト50aのスライド位置を前記図7において最も左の
位置とすることにより全ての気筒において内部EGR率
を完全に「0%」とし、燃焼形態として理論空燃比によ
る均質燃焼を設定する(S730)。すなわち、吸気行
程にて理論空燃比となる燃料量を燃料噴射弁から燃焼室
内に噴射させる。
【0267】このことにより前記実施の形態2にて述べ
た気筒間補正係数算出処理により、均質燃焼時に気筒間
の角速度を一律にするための均質燃焼時気筒間補正係数
kgtps(1)〜kgtps(6)が算出されること
になる。
【0268】次に気筒間補正係数を算出するための成層
燃焼条件が成立しているか否かが判定される(S74
0)。均質燃焼時気筒間補正係数kgtps(1)〜k
gtps(6)の算出が完了していない間は、ここでは
成層燃焼条件は成立しないので(S740で「N
O」)、一旦本処理を終了する。
【0269】全気筒が内部EGR率=「0%」の状態に
て理論空燃比の均質燃焼が継続することで、均質燃焼時
気筒間補正係数kgtps(1)〜kgtps(6)の
算出が完了し、その後、成層燃焼がなされるエンジン運
転状態となって成層燃焼が実行されることで、気筒間補
正係数を算出するための成層燃焼条件が成立する(S7
40で「YES」)。
【0270】したがって次にECUはエンジン運転状態
に応じた内部EGR率が達成されるようにシャフトスラ
イド機構を駆動して成層燃焼を行うように設定し(S7
50)、一旦本処理を終了する。すなわちバルブオーバ
ーラップによる内部EGRが実行され、圧縮行程後期に
て燃料噴射弁から燃焼室内に燃料が噴射される。
【0271】このことにより前記実施の形態2にて述べ
た気筒間補正係数算出処理により、成層燃焼時に気筒間
の角速度を一律にするための成層燃焼時気筒間補正係数
kgtpc(1)〜kgtpc(6)が算出されること
になる。
【0272】こうして成層燃焼時気筒間補正係数kgt
pc(1)〜kgtpc(6)の算出が完了すると、ス
テップS740にて「NO」と判定される。気筒間補正
差算出処理(図17)について説明する。本処理が開始
されると、まず気筒間補正係数算出完了フラグFkgt
pが「OFF」否かが判定される(S805)。最初は
Fkgtp=「OFF」であるので(S805で「YE
S」)、次に均質燃焼時気筒間補正係数kgtps
(1)〜kgtps(6)と成層燃焼時気筒間補正係数
kgtpc(1)〜kgtpc(6)とが共に算出が完
了したか否かが判定される(S810)。上述した均質
燃焼時気筒間補正係数kgtps(1)〜kgtps
(6)と成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc(1)〜
kgtpc(6)とが共に算出完了していない場合には
(S810で「NO」)、このまま一旦本処理を終了す
る。
【0273】均質燃焼時気筒間補正係数kgtps
(1)〜kgtps(6)と成層燃焼時気筒間補正係数
kgtpc(1)〜kgtpc(6)とが共に算出完了
した場合には(S810で「YES」)、気筒間補正係
数算出完了フラグFkgtpに「ON」が設定される
(S820)。このことにより、以後、再度、Fkgt
p=「OFF」に設定されるまでは、前記気筒間補正係
数算出条件設定処理(図16)のステップS710にて
は「NO」と設定されて、図16での実質的な処理はな
されずに直ちに処理が終了するようになる。
【0274】ステップS820の次には変数iに「1」
が設定される(S830)。そして#i気筒の気筒間補
正差dkgtp(i)が次式9のごとく、成層燃焼時気
筒間補正係数kgtpc(i)から均質燃焼時気筒間補
正係数kgtps(i)を減算した値として算出される
(S840)。
【0275】
【数9】 dkgtp(i) ← kgtpc(i) − kgtps(i) … [式9] シャフトスライド機構70において3次元吸気カム50
の形状やシャフトスライド機構70自体の製造公差など
により気筒間に内部EGR率の差が生じているが、この
内部EGR率の差が、成層燃焼時に求められる成層燃焼
時気筒間補正係数kgtpc(i)に反映されている。
更に本実施の形態では、燃料噴射弁12において製造公
差により霧化程度や霧化時の燃料噴射形状や噴射速度に
差が生じているとすると、この差も成層燃焼時気筒間補
正係数kgtpc(i)に反映されている。
【0276】一方、均質燃焼時気筒間補正係数kgtp
s(i)を求めるための均質燃焼時には、前述したごと
く全気筒が確実に内部EGR率が「0%」である状態に
シャフトスライド機構70を駆動している。このことか
ら、均質燃焼時気筒間補正係数kgtps(i)には燃
料噴射弁12の気筒間差が現れるのみであり、3次元吸
気カム50の形状やシャフトスライド機構70自体の製
造公差による気筒間差は現れない。したがって前記式9
の計算により、#i気筒の気筒間補正差dkgtp
(i)には、燃料噴射弁12の気筒間差は相殺されて消
失し、3次元吸気カム50の形状やシャフトスライド機
構70自体の製造公差による内部EGR率の気筒間差が
現れることになる。
【0277】#i気筒の気筒間補正差dkgtp(i)
が求められると、次に#i気筒の気筒間補正差dkgt
p(i)が、限界値LIMkgtpを越えているか否か
が判定される(S850)。dkgtp(i)≦LIM
kgtpであれば(S850で「NO」)、#i気筒の
燃料成層度低下フラグFwinj(i)に「OFF」を
設定する(S860)。dkgtp(i)>LIMkg
tpであれば(S850で「YES」)、#i気筒の燃
料成層度低下フラグFwinj(i)に「ON」を設定
する(S870)。
【0278】ステップS860又はステップS870の
次は変数iが「6」か否かが判定される(S880)。
最初はi=1であるので(S880で「NO」)、変数
iをインクリメントして(S890)、ステップS84
0の処理に戻る。次は、i=2であるので、#2気筒に
ついて気筒間補正差dkgtp(2)を算出し(S84
0)、ステップS850の判定にて#2気筒の燃料成層
度低下フラグFwinj(2)の内容を決定する(S8
60,S870)。このような処理を、#3,#4,#
5,#6の気筒についてそれぞれ繰り返し、各気筒にお
ける燃料成層度低下フラグFwinj(i)の内容を決
定する。
【0279】こうしてi=6となれば(S880で「Y
ES」)、このまま一旦本処理を終了する。次の制御周
期では、直前の制御周期のステップS820で気筒間補
正係数算出完了フラグFkgtpが「ON」に設定され
ているので(S805で「NO」)、本処理では実質的
な処理はなされなくなる。
【0280】このようにして、全気筒の燃料成層度低下
フラグFwinj(i)が決定されると、前述した燃料
噴射時期制御処理(図13)では成層燃焼時には、燃料
成層度低下フラグFwinj(i)が「OFF」の場合
は(S530で「YES」)、#i気筒に対して1サイ
クルに圧縮行程後期の燃料噴射のみが行われ、燃料成層
度低下フラグFwinj(i)が「ON」の場合は(S
530で「NO」)、#i気筒に対して1サイクルに吸
気行程と圧縮行程後期とで2回の燃料噴射が行われる。
そして、燃料噴射量制御処理(図15)では成層燃焼時
において1サイクルに2回の燃料噴射が行われる場合
は、圧縮行程後期の噴射に対してのみ成層燃焼時気筒間
補正係数kgtpc(i)により燃料の気筒間補正が実
行される。
【0281】上述した構成において、前記気筒間補正係
数算出条件設定処理(図16)のステップS730の下
に実行される均質燃焼時気筒間補正係数kgtps
(1)〜kgtps(6)を算出する処理が均質燃焼時
気筒間補正値算出手段としての処理に、前記気筒間補正
係数算出条件設定処理(図16)のステップS750の
下に実行される成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc
(1)〜kgtpc(6)を算出する処理が成層燃焼時
気筒間補正値算出手段としての処理に、気筒間補正差算
出処理(図17)が気筒間補正値判定手段としての処理
に、燃料噴射時期制御処理(図13)及び燃料噴射量制
御処理(図15)が燃料噴射態様変更手段としての処理
に相当する。
【0282】又、この内、前記気筒間補正係数算出条件
設定処理(図16)のステップS730の下に実行され
る均質燃焼時気筒間補正係数kgtps(1)〜kgt
ps(6)を算出する処理、前記気筒間補正係数算出条
件設定処理(図16)のステップS750の下に実行さ
れる成層燃焼時気筒間補正係数kgtpc(1)〜kg
tpc(6)を算出する処理、及び気筒間補正差算出処
理(図17:気筒間内部排気再循環率差判定手段として
の処理に相当)の組み合わせが、気筒間内部排気再循環
率差判定装置としての処理に相当する。
【0283】以上説明した本実施の形態3によれば、以
下の効果が得られる。 (イ).シャフトスライド機構70による内部EGR率
の調整は、主として成層燃焼時に実行されるが、3次元
吸気カム50の形状やシャフトスライド機構70自体の
製造公差などに伴って、気筒によっては、内部EGR率
が所望の状態とならずに、成層燃焼時の燃焼性が悪化す
るおそれがある。このような燃焼性の悪化した気筒が、
気筒間補正差dkgtp(i)の大きさを判定すること
により検出された場合には、通常の成層燃焼時の燃料噴
射である圧縮行程後期に1回噴射する状態から、吸気行
程と圧縮行程後期とで2回の燃料噴射を行う状態に切り
替えている。
【0284】このように1サイクルに2回の燃料噴射が
なされるため、吸気行程で噴射された燃料分は点火時ま
でには十分に燃焼室内全体に均一に分散し、圧縮行程後
期にて噴射された燃料は点火時には点火プラグにて点火
可能な混合気として燃焼室内にて層状に存在することに
なる。このため、点火プラグのスパークによりまず層状
の点火可能な混合気に点火されて、その後、燃焼室内全
体に均一濃度に存在する混合気を燃焼させて行く。した
がって、燃焼室内にては的確な点火がなされ、かつ燃焼
室10内全体が着実に燃焼する。このため燃焼性が改善
される。
【0285】ここでは単なる燃料噴射量の増加により燃
焼性悪化を抑制しているわけではないので、比較的少な
い燃料量で効果的に燃焼性の悪化を抑制できる。 (ロ).前記式9のごとくに成層燃焼時気筒間補正係数
kgtpc(i)から均質燃焼時気筒間補正係数kgt
ps(i)を減算した値として気筒間補正差dkgtp
(i)を計算することにより、燃料噴射弁の気筒間差の
影響を防止している。このため燃料噴射弁に気筒間差が
存在していても、内部EGR率の気筒間差に起因して燃
焼性が悪化している気筒の存在が気筒間補正差dkgt
p(i)の値により適切に判定できる。このため、該当
する気筒に対して燃料噴射態様変更を適切に実行でき、
燃焼性悪化を適切に抑制することができる。
【0286】(ハ).前記実施の形態2の(ロ)の効果
を生じる。 [実施の形態4]本実施の形態では、前記実施の形態3
と同様に気筒間補正係数算出条件設定処理(図16)及
び気筒間補正差算出処理(図17)が実行される。そし
て燃料噴射時期制御処理(図13)の代わりに図18に
示す燃料噴射時期制御処理が行われ、燃料噴射量制御処
理(図15)の代わりに図19に示す燃料噴射量制御処
理が行われる(尚、図18,19において図13,15
と同一ステップ番号の処理は、図13,15にて対応す
る処理と同一である)。そして図20に示す燃圧制御処
理及び図22に示す燃料噴射進角算出処理が実行され
る。
【0287】燃料噴射時期制御処理(図18)では、ま
ず前記図2に示したマップに基づいて負荷率eklqと
エンジン回転数NEとに基づいて燃焼形態が設定される
(S510)。次にこのように設定された燃焼形態が成
層燃焼か否かが判定される(S520)。成層燃焼であ
れば(S520で「YES」)、#i気筒に対しては圧
縮行程後期で燃料噴射されるように燃料噴射時期が設定
され(S540)、一旦本処理を終了する。
【0288】一方、均質燃焼であると判定された場合に
は(S520で「NO」)、#i気筒に対しては吸気行
程で燃料噴射されるように燃料噴射時期が設定され(S
560)、一旦本処理を終了する。
【0289】燃料噴射量制御処理(図19)では、まず
成層燃焼か否かが判定され(S610)、成層燃焼であ
れば(S610で「YES」)、次に#i気筒に対して
は成層燃焼時基準燃料噴射量Qcomb(i)を成層燃
焼用マップfcomから、負荷率eklqとエンジン回
転数NEとに基づいて算出する(S620)。そして、
前記式7に示したごとくQcomb(i)と成層燃焼時
気筒間補正係数kgtpc(i)との積により圧縮行程
用燃料噴射量Qcom(i)が設定される(S67
0)。
【0290】一方、均質燃焼であると判定された場合に
は(S610で「NO」)、次に前述したごとく均質燃
焼時基準燃料噴射量Qhomb(i)算出処理が実行さ
れる(S660)。そして前記式8に示したごとくQh
omb(i)と均質燃焼時気筒間補正係数kgtps
(i)との積により均質燃焼時燃料噴射量Qhom
(i)が設定される(S680)。
【0291】このようにステップS670により圧縮行
程用燃料噴射量Qcom(i)が算出されて成層燃焼時
における各気筒間の角速度が一律となるように制御さ
れ、ステップS680により均質燃焼時燃料噴射量Qh
om(i)が算出されて均質燃焼時における各気筒間の
角速度が一律となるように制御される。
【0292】燃圧制御処理(図20)について説明す
る。本処理は短時間周期で繰り替えし実行される処理で
ある。本処理が開始されると、まずエンジン2の運転状
態に応じた基本目標燃料圧力Ptbが算出される(S9
10)。ここでエンジン運転状態としては、負荷率ek
lq及びエンジン回転数NEが用いられ、これらのエン
ジン運転状態に基づいて、予め実験にて求められてEC
UのROMに記憶されている目標燃料圧力マップfpt
から基本目標燃料圧力Ptbが算出される。
【0293】次に前記気筒間補正差算出処理(図17)
において決定されている全気筒の燃料成層度低下フラグ
Fwinj(1),・・・・,Fwinj(6)が全て
「OFF」か否かが判定される(S920)。全て「O
FF」であれば(S920で「YES」)、燃焼性が悪
化している気筒は存在しないとして、実際に用いられる
目標燃料圧力PtにステップS910にて求められた基
本目標燃料圧力Ptbが設定されて(S930)、本処
理を一旦終了する。このことによりECUにおいては高
圧燃料ポンプの吐出量を調整することにより、燃料噴射
弁における燃料圧力が目標燃料圧力Ptとなるように制
御する。
【0294】全気筒の燃料成層度低下フラグFwinj
(1),・・・・,Fwinj(6)の内で1つでも
「ON」の気筒が存在した場合には(S920で「N
O」)、次式10に示すごとく気筒間補正差dkgtp
(1)〜dkgtp(6)の内で最大の値dkgtpm
axを抽出する(S940)。
【0295】
【数10】 dkgtpmax ← Max(dkgtp(1)〜dkgtp(6)) … [式10] ここでMax()は()内の値の最大値を抽出する演算
子を表している。
【0296】次にこうして抽出された最大気筒間補正差
dkgtpmaxに基づいて、予め実験にて設定されて
ECUのROM内に記憶されている減圧補正係数マップ
fkpbから減圧補正係数kpbを算出する(S95
0)。減圧補正係数kpbは「1.0」以下のプラスの
値として設定されており、減圧補正係数マップfkpb
は図21に示すごとくの傾向を示している。
【0297】次に減圧補正係数kpbを用いて、次式1
1に示すごとく基本目標燃料圧力Ptbを補正して実際
に用いられる目標燃料圧力Ptが算出される(S96
0)。
【0298】
【数11】 Pt ← Ptb・kpb … [式11] こうして一旦本処理を終了する。このことによりECU
においては高圧燃料ポンプの吐出量を調整することによ
り、燃料噴射弁における燃料圧力が減圧補正された目標
燃料圧力Ptとなるように制御する。
【0299】燃料噴射進角算出処理(図22)について
説明する。本処理は120°CA毎に繰り返し実行され
る処理であり、気筒間補正差算出処理(図17)の次に
実行される。
【0300】燃料噴射進角算出処理(図22)が開始さ
れると、エンジン2の運転状態に応じた基本燃料噴射進
角Ainjbが算出される(S1010)。ここでエン
ジン運転状態としては、負荷率eklq及びエンジン回
転数NEが用いられ、これらのエンジン運転状態に基づ
いて、予め実験にて求められてECUのROMに記憶さ
れている基本燃料噴射進角マップfainjから基本燃
料噴射進角Ainjbが算出される。
【0301】次に前記気筒間補正差算出処理(図17)
において決定されている全気筒の燃料成層度低下フラグ
Fwinj(1),・・・・,Fwinj(6)が全て
「OFF」か否かが判定される(S1020)。全て
「OFF」であれば(S1020で「YES」)、前記
燃圧制御処理(図20)にて減圧補正(S940〜S9
60)はなされていないので、実際に用いられる燃料噴
射進角AinjにステップS1010にて求められた基
本燃料噴射進角Ainjbが設定されて(S103
0)、本処理を一旦終了する。
【0302】全気筒の燃料成層度低下フラグFwinj
(1),・・・・,Fwinj(6)の内で1つでも
「ON」の気筒が存在した場合には(S1020で「N
O」)、前記燃圧制御処理(図20)にて減圧補正(S
940〜S960)がなされているので、前記燃圧制御
処理(図20)にて求められている最大気筒間補正差d
kgtpmaxに基づいて、予め実験にて設定されてE
CUのROM内に記憶されている噴射遅角補正量マップ
fdinjから噴射遅角補正量dinjを算出する(S
1040)。噴射遅角補正量マップfdinjは図23
に示すごとくの傾向を示している。尚、噴射遅角補正量
マップfdinjのパラメータは、最大気筒間補正差d
kgtpmaxの代わりに、目標燃料圧力Ptでも良
く、実際に測定される燃料圧力でも良く、又、燃料噴射
量と燃料圧力とから算出される燃料噴射時間でも良い。
【0303】次に噴射遅角補正量dinjを用いて、次
式12に示すごとく基本燃料噴射進角Ainjbを補正
して実際に用いられる燃料噴射進角Ainjを算出する
(S1050)。
【0304】
【数12】 Ainj ← Ainjb − dinj … [式12] こうして一旦本処理を終了する。
【0305】燃料噴射弁から燃焼室内に燃料を噴射する
際には、前記ステップS1030又はステップS105
0にて算出された燃料噴射進角Ainjを用いて、基準
タイミングから燃料噴射進角Ainj前に噴射されるよ
うに噴射タイミングが制御される。このためステップS
1050では、ステップS1030を実行した場合に比
較して、噴射遅角補正量dinj分遅角されて燃料噴射
が実行されることになる。
【0306】上述した構成において、燃圧制御処理(図
20)及び燃料噴射進角算出処理(図22)が燃料噴射
態様変更手段としての処理に相当する。以上説明した本
実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
【0307】(イ).3次元吸気カム50の形状やシャ
フトスライド機構70自体の製造公差などにより生じた
内部EGR率の気筒間差に起因して燃焼性が悪化した気
筒が、気筒間補正差dkgtp(i)の大きさを判定す
ることにより、1つでも検出された場合には、成層燃焼
時の圧縮行程後期になされる燃料噴射の噴射時間を長く
している。このように燃料噴射時間を長くすることによ
り、燃焼室内の燃料は層状であっても比較的広範囲に分
布することになり、より安定した燃焼雰囲気を形成する
ので燃焼性の悪化を抑制できる。
【0308】ここでは単なる燃料噴射量の増加により燃
焼性悪化を抑制しているわけではなく、特に、燃料圧力
低下により噴射時間を長時間化して燃焼性悪化を抑制し
ているので、燃料を不必要に増加させることなく燃費を
効果的に抑制できる。
【0309】しかも、最大気筒間補正差dkgtpma
xが大きくなるほど燃料圧力を低下させて噴射時間をよ
り長時間化しているので、燃焼性が一層悪化するような
ことがあっても、より安定した燃焼雰囲気を形成でき、
燃焼性悪化に十分に対応することができる。
【0310】(ロ).更に、最大気筒間補正差dkgt
pmaxの大きさに応じて噴射遅角補正量dinjを大
きくしている。すなわち、燃料噴射時間の長さに応じて
燃料噴射時期を遅角させているので、常に適切な燃料濃
度の混合気が点火時期にて点火プラグ周辺に到達するよ
うになり、より安定した燃焼が可能となる。
【0311】[実施の形態5]本実施の形態では、前記
実施の形態4とは異なり各気筒の燃料噴射弁に対する燃
料圧力が個々に調整できるようにされている。例えば、
各燃料噴射弁に対して個々に高圧燃料ポンプを設け、E
CU4が各高圧燃料ポンプの吐出量を調整している。
又、燃圧制御処理(図20)の代わりに図24の燃圧制
御処理が120°CA毎に繰り返し実行され、燃料噴射
進角算出処理(図22)の代わりに図25の燃料噴射進
角算出処理が120°CA毎に繰り返し実行される。他
の構成は前記実施の形態4と同じである。
【0312】燃圧制御処理(図24)について説明す
る。本処理は気筒間補正差算出処理(図17)の次に実
行される。本処理が開始されると、まず前記実施の形態
4のステップS910(図20)と同じ目標燃料圧力マ
ップfptにより、エンジン運転状態、具体的には負荷
率eklq及びエンジン回転数NEに基づいて基本目標
燃料圧力Ptbが算出される(S1110)。
【0313】次に今回の制御周期で対象となっている#
i気筒について前記気筒間補正差算出処理(図17)に
おいて決定されている燃料成層度低下フラグFwinj
(i)が「OFF」か否かが判定される(S112
0)。Fwinj(i)=「OFF」であれば(S11
20で「YES」)、#i気筒の燃焼性は悪化していな
いとして、#i気筒に対して実際に設定される目標燃料
圧力Pt(i)にステップS1110にて求められた基
本目標燃料圧力Ptbが設定されて(S1130)、本
処理を一旦終了する。このことによりECUにおいては
高圧燃料ポンプの吐出量を調整することにより、#i気
筒の燃料噴射弁における燃料圧力が目標燃料圧力Pt
(i)となるように制御する。
【0314】Fwinj(i)=「ON」であった場合
には(S1120で「NO」)、#i気筒について前記
気筒間補正差算出処理(図17)において算出されてい
る気筒間補正差dkgtp(i)に基づいて、前記実施
の形態4のステップS950(図20)と同じ減圧補正
係数マップfkpbから減圧補正係数kpbを算出する
(S1140)。
【0315】次に減圧補正係数kpbを用いて、次式1
3に示すごとく基本目標燃料圧力Ptbを補正して#i
気筒に対して実際に用いられる目標燃料圧力Pt(i)
が算出される(S1150)。
【0316】
【数13】 Pt(i) ← Ptb・kpb … [式13] こうして一旦本処理を終了する。このことによりECU
においては高圧燃料ポンプの吐出量を調整することによ
り、#i気筒の燃料噴射弁における燃料圧力を、減圧補
正された目標燃料圧力Pt(i)となるように制御す
る。
【0317】燃料噴射進角算出処理(図25)について
説明する。本処理は120°CA毎に繰り返し実行され
る処理であり、気筒間補正差算出処理(図17)の次に
実行される。
【0318】本処理が開始されると、前記実施の形態4
のステップS1010(図22)と同じ基本燃料噴射進
角マップfainjから、エンジン運転状態、具体的に
は負荷率eklq及びエンジン回転数NEに基づいて基
本燃料噴射進角Ainjbが算出される(S121
0)。
【0319】次に前記気筒間補正差算出処理(図17)
において決定されている#i気筒の燃料成層度低下フラ
グFwinj(i)が「OFF」か否かが判定される
(S1220)。Fwinj(i)=「OFF」であれ
ば(S1220で「YES」)、前記燃圧制御処理(図
24)にて減圧補正(S1140,S1150)はなさ
れていないので、#i気筒に対して実際に設定される燃
料噴射進角Ainj(i)にステップS1210にて求
められた基本燃料噴射進角Ainjbが設定されて(S
1230)、本処理を一旦終了する。
【0320】Fwinj(i)=「ON」の場合には
(S1220で「NO」)、前記燃圧制御処理(図2
4)にて減圧補正(S1140,S1150)がなされ
ているので、#i気筒について前記気筒間補正差算出処
理(図17)において算出されている気筒間補正差dk
gtp(i)に基づいて、前記実施の形態4のステップ
S1040(図22)と同じ噴射遅角補正量マップfd
injから噴射遅角補正量dinjを算出する(S12
40)。尚、噴射遅角補正量マップfdinjのパラメ
ータは、気筒間補正差dkgtp(i)の代わりに、目
標燃料圧力Pt(i)でも良く、実際に測定される#i
気筒の燃料圧力でも良く、又、#i気筒の燃料噴射量と
#i気筒の燃料圧力とから算出される#i気筒の燃料噴
射時間でも良い。
【0321】次に噴射遅角補正量dinjを用いて、次
式14に示すごとく基本燃料噴射進角Ainjbを補正
して実際に#i気筒に設定される燃料噴射進角Ainj
(i)を算出する(S1250)。
【0322】
【数14】 Ainj(i) ← Ainjb − dinj … [式14] こうして一旦本処理を終了する。
【0323】#i気筒の燃料噴射弁から#i気筒の燃焼
室内に燃料を噴射する際には、前記ステップS1230
又はステップS1250にて算出された燃料噴射進角A
inj(i)を用いて、基準タイミングから燃料噴射進
角Ainj(i)前に噴射されるように噴射タイミング
が制御される。このためステップS1250ではステッ
プS1230を実行した場合に比較して、噴射遅角補正
量dinj分遅角されて燃料噴射が実行されることにな
る。
【0324】上述した構成において、燃圧制御処理(図
24)及び燃料噴射進角算出処理(図25)が燃料噴射
態様変更手段としての処理に相当する。以上説明した本
実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
【0325】(イ).3次元吸気カムの形状やシャフト
スライド機構自体の製造公差などにより生じた内部EG
R率の気筒間差に起因して燃焼性が悪化した気筒が、気
筒間補正差dkgtp(i)の大きさを判定することに
より検出された場合には、成層燃焼時において、該当す
る気筒に対して圧縮行程後期になされる燃料噴射の噴射
時間を長くしている。このように燃料噴射時間を長くす
ることにより、燃焼室内の燃料は層状であっても比較的
広範囲に分布することになり、より安定した燃焼雰囲気
を形成するので燃焼性の悪化を抑制できる。
【0326】ここでは単なる燃料噴射量の増加により燃
焼性悪化を抑制しているわけではなく、特に、燃料圧力
低下により噴射時間を長時間化して燃焼性悪化を抑制し
ているので、燃料を不必要に増加させることなく燃費を
効果的に抑制できる。
【0327】しかも、気筒間補正差dkgtp(i)が
大きくなるほど燃料圧力を低下させて燃料噴射時間をよ
り長時間化しているので、燃焼性が一層悪化するような
ことがあっても、より安定した燃焼雰囲気を形成でき、
燃焼性悪化に十分に対応することができる。
【0328】(ロ).更に、気筒間補正差dkgtp
(i)の大きさに応じて噴射遅角補正量dinjを大き
くしている。すなわち燃料噴射時間の長さに応じて燃料
噴射時期を遅角させているので、常に適切な燃料濃度の
混合気が点火時期にて点火プラグ周辺に到達するように
なり、より安定した燃焼が可能となる。
【0329】[その他の実施の形態] (a).前記実施の形態1,2において、#i気筒の燃
料成層度低下フラグFwinj(i)に「ON」が設定
された場合には、2回噴射を実行していたが、これとと
もに更に#i気筒のトルク変動カウンタcdln(i)
の大きさに応じて、#i気筒の吸気行程時の燃料噴射を
増量しても良い。
【0330】(b).前記実施の形態3〜5において
は、燃料噴射弁の気筒間差を考慮して、気筒間補正差d
kgtp(i)を算出して燃焼性の悪化を判断していた
が、燃料噴射弁の気筒間差が存在しない場合、あるいは
他の手段で燃料噴射弁の気筒間差が補償されている場合
には、気筒間補正差dkgtp(i)を燃焼性悪化の判
断に用いずに、成層燃焼時気筒間補正係数kgtpcの
大きさにより燃焼性の悪化を判定しても良い。
【0331】(c).前記実施の形態4,5において、
最大気筒間補正差dkgtpmaxあるいは気筒間補正
差dkgtp(i)に応じて減圧補正係数kpbを次第
に低下させたが、最大気筒間補正差dkgtpmaxあ
るいは気筒間補正差dkgtp(i)に応じて減圧補正
係数を低下させずに、固定した減圧補正係数(<1.
0)を設定しても良い。噴射遅角補正量dinjについ
ても同様である。
【0332】(d).前記実施の形態4,5に対して、
更に実施の形態3のごとく2回噴射処理を組み合わせて
も良い。 (e).前記実施の形態4,5においては燃焼性の悪化
を気筒間補正差dkgtp(i)に基づいて判断した
が、前記実施の形態1.2のごとくトルク変動カウンタ
cdln(i)により判断しても良い。
【0333】(f).前記実施の形態1〜3において
は、成層燃焼は燃料成層度低下フラグFwinj(i)
に「OFF」が設定されている通常の成層燃焼時では圧
縮行程後期に1回の燃料噴射を実行するものであった
が、通常の成層燃焼時において1サイクルに吸気行程時
と圧縮行程後期とで2回の燃料噴射を実行させるように
する手法が考えられる。この場合には、Fwinj
(i)=「ON」となった場合には、吸気行程時の燃料
噴射量を増量し、この増量分を圧縮行程後期の燃料噴射
量から減量させるようにしても良い。又、全て吸気行程
時の燃料噴射量に切り替えても良い。前記(b)で述べ
た実施の形態3の変形例及び前記(d)についても同様
である。
【0334】(g).前記実施の形態1〜3において、
上記(f)に述べたごとく通常の成層燃焼時に吸気行程
時と圧縮行程後期とで2回の燃料噴射を実行させるよう
にした場合には、Fwinj(i)=「ON」となった
場合には、前記実施の形態4,5のごとく燃料圧力を低
下させて燃料噴射時間を長くしても良いし、更に噴射時
期を遅角させても良い。前記(b)で述べた実施の形態
3の変形例及び前記(d)についても同様である。
【0335】(h).前記各実施の形態においては、全
気筒の吸気カムが1本のシャフトに取り付けられていた
が、各気筒の吸気カム毎にそれぞれシャフトスライド機
構を設けたものであっても良い。この場合にも各気筒に
設けられたシャフトスライド機構間における内部EGR
率の違いに起因した燃焼性の悪化を防止できる。
【0336】(i).前記各実施の形態においては、吸
気バルブの開弁タイミングを早めることにより吸気ポー
ト側に燃焼室内の排気を逆流させ、吸気行程時に吸気ポ
ート側の排気を燃焼室内に導入することで、内部EGR
を実現していたが、吸気カムは通常の平カムとし排気カ
ムを3次元カムとして排気バルブの閉弁タイミングを遅
くすることにより内部EGRを実行するようにしても良
い。すなわち排気バルブの閉弁タイミングを遅くするこ
とにより、吸気行程において排気ポート側に排出されて
いた排気を再度燃焼室内に導入する手法である。このよ
うにしても前記各実施の形態と同様な制御を実行するこ
とができる。又、吸気カムと排気カムとを共に3次元カ
ムとして、吸気バルブの早開き及び排気バルブの遅閉じ
を共に行うことにより、内部EGRを実行しても良い。
【0337】(j).前記各実施の形態において、シャ
フトスライド機構の3次元吸気カムとしては、図5に示
したごとくのサブカムCsubを備えたものを用いた
が、これ以外に、図26に示すごとくの台地形状のサブ
カムCsubを設けないものでも良い。すなわち図26
の例では、吸気バルブのリフトパターン全体が大きくな
り且つ進角することにより、吸気バルブの開弁タイミン
グθiが進角調整可能とされている。図26(A)は、
シャフトスライド機構によるスライド量は0mmであ
り、吸気バルブの開弁タイミングθiが最遅角状態にあ
るので排気バルブとのバルブオーバーラップは最小とな
っている。この状態では、エンジンの燃焼室から排出さ
れる排気は吸気ポートから吸気通路内に逆流することは
ない。したがって内部EGR率は「0%」である。図2
6(B)は、シャフトスライド機構のスライド量を最大
に調整したことにより吸気バルブの開弁タイミングθi
が最進角状態にあり、排気バルブとのバルブオーバーラ
ップは最大となっている。この状態では吸気バルブの開
弁が早期となり、排気行程において燃焼室内の排気の一
部は吸気ポートから吸気通路内に逆流することになる。
したがって、一旦、吸気通路に逆流した排気は吸気行程
にて再度燃焼室内に戻され、内部EGRが行われる。こ
のように図26(A)と(B)との間でスライド量を任
意に調整することにより、連続的な内部EGR率調整を
実現することができる。尚、図26のリフトパターンは
吸気バルブの場合であったが、排気バルブに適用し、排
気バルブのリフトパターン全体が大きくなり且つ遅角す
ることにより、内部EGR率を連続的に調整できるよう
にしても良い。また吸気バルブと排気バルブとの両方に
適用しても良い。
【0338】(k).前記各実施の形態においては、内
燃機関の一例として直列6気筒の筒内噴射型ガソリンエ
ンジンを挙げて説明したが、本発明は、他の内燃機関、
例えばV型6気筒のガソリンエンジンにも適用でき、6
気筒以外に4気筒その他の気筒数のエンジンにも適用で
きる。
【0339】(l).前記各実施の形態においては、成
層燃焼時には少なくとも圧縮行程後期での燃料噴射が含
まれていたが、エンジンによっては圧縮行程後期に限ら
ず、圧縮行程の中期でも良く、前期でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としてのエンジン及びECUの概
略構成図。
【図2】燃焼形態を決定するためのマップの構成説明
図。
【図3】実施の形態1にて用いられる3次元吸気カムの
斜視図。
【図4】上記3次元吸気カムの形状説明図。
【図5】吸気バルブのリフト量で表す上記3次元吸気カ
ムのプロフィール説明図。
【図6】上記3次元吸気カムによるバルブオーバーラッ
プ状態説明図。
【図7】実施の形態1のシャフトスライド機構の構成説
明図。
【図8】実施の形態1にて用いられるエンジン回転数セ
ンサの構成説明図。
【図9】パルス信号と各気筒の行程状態との関係を示す
グラフ。
【図10】実施の形態1のECUにより実行される角速
度計測処理のフローチャート。
【図11】同じくトルク変動dln算出処理のフローチ
ャート。
【図12】同じくトルク変動判定処理のフローチャー
ト。
【図13】同じく燃料噴射時期制御処理のフローチャー
ト。
【図14】同じく燃料噴射量制御処理のフローチャー
ト。
【図15】実施の形態2のECUにより実行される燃料
噴射量制御処理のフローチャート。
【図16】実施の形態3のECUにより実行される気筒
間補正係数算出条件設定処理のフローチャート。
【図17】同じく気筒間補正差算出処理のフローチャー
ト。
【図18】実施の形態4のECUにより実行される燃料
噴射時期制御処理のフローチャート。
【図19】同じく燃料噴射量制御処理のフローチャー
ト。
【図20】同じく燃圧制御処理のフローチャート。
【図21】上記燃圧制御処理にて用いられる減圧補正係
数マップの構成を示すグラフ。
【図22】実施の形態4のECUにより実行される燃料
噴射進角算出処理のフローチャート。
【図23】上記燃料噴射進角算出処理にて用いられる噴
射遅角補正量マップの構成を示すグラフ。
【図24】実施の形態5のECUにより実行される燃圧
制御処理のフローチャート。
【図25】同じく燃料噴射進角算出処理のフローチャー
ト。
【図26】他の形状のカムによるバルブオーバーラップ
状態説明図。
【符号の説明】
2…エンジン、4…ECU、10…燃焼室、12…燃料
噴射弁、14…点火プラグ、16…吸気ポート、18…
吸気バルブ、20…吸気通路、22…サージタンク、2
4…スロットルモータ、26…スロットルバルブ、28
…スロットル開度センサ、30…吸気圧センサ、32…
排気ポート、34…排気バルブ、36…排気通路、38
…スタートキャタリスト、40…NOx吸蔵還元触媒、
44…アクセルペダル、50…3次元吸気カム、50a
…吸気カムシャフト、50b…カムフォロア、52…排
気カム、52a…排気カムシャフト、52b…カムフォ
ロア、54…クランク軸、56…アクセル開度センサ、
58…エンジン回転数センサ、58a…ロータ、58b
…ピックアップ部、60…基準クランク角センサ、62
…シャフト位置センサ、64…空燃比センサ、66…第
1O2センサ、68…第2O2センサ、70…シャフト
スライド機構、80…カム面、82…ノーズ、84…第
1端面、86…第2端面、90… シリンダチューブ、
90a…第1圧力室、90b…第2圧力室、90c…ス
トレートスプライン部、92…シャフト移動用ピスト
ン、92a…スプライン部、94…OCV、96…タイ
ミングスプロケット、98…スプリング、100…排出
通路、102…オイルパン、104…供給通路、P…オ
イルポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/02 325 F02D 41/02 325F 330 330A 41/34 41/34 E H L 43/00 301 43/00 301G 301H 301J 301Z 45/00 364 45/00 364B 368 368Z Fターム(参考) 3G018 AA05 AB17 BA04 BA34 DA74 DA75 FA09 GA08 3G084 AA03 AA04 BA11 BA13 BA14 BA15 BA23 DA11 DA28 EB22 EC01 EC03 FA10 FA19 FA24 FA26 FA30 FA32 FA33 FA38 FA39 3G092 AA01 AA06 AA09 AA11 BB01 BB06 BB08 BB12 BB13 DA01 DA02 DA03 DA12 DE03S DE09S DF04 DF05 EA01 EA04 FA05 FA15 HC06X HD06Z HE01Z HE03Z HE04Z HE07Z HF08Z 3G301 HA01 HA04 HA06 HA16 HA19 JA04 JA21 JA23 LA07 LB04 LB06 MA11 MA19 MA26 MA27 MA28 NE01 NE12 PC00Z PC09Z PD09Z PE01Z PE03Z PE04Z PE07Z PF03Z

Claims (84)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続的にバルブオーバーラップ量が調整可
    能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再
    循環率を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法で
    あって、 内部排気再循環率に起因して燃焼性が悪化している気筒
    に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行するこ
    とにより、該当気筒の燃焼性を改良することを特徴とす
    る内燃機関の燃料噴射制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、燃焼性の悪化に応じて
    該当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度を強めることを
    特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  3. 【請求項3】連続的にバルブオーバーラップ量が調整可
    能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再
    循環率を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法で
    あって、 内部排気再循環率に起因してトルク変動が悪化している
    気筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行す
    ることにより、該当気筒のトルク変動を抑制することを
    特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、トルク変動の悪化に応
    じて該当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度を強めるこ
    とを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  5. 【請求項5】連続的にバルブオーバーラップ量が調整可
    能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気再
    循環率を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法で
    あって、 内部排気再循環率に起因して失火が増加している気筒に
    対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行すること
    により、該当気筒の失火を抑制することを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、失火の増加に応じて該
    当気筒の前記燃料噴射態様変更の程度を強めることを特
    徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機
    関が成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射態様
    変更は、燃料成層度を低下する処理であることを特徴と
    する内燃機関の燃料噴射制御方法。
  8. 【請求項8】請求項7において、内燃機関が燃焼室内に
    直接燃料を噴射する機関であり、該機関にて圧縮行程時
    の燃料噴射のみを実行している時は、前記燃料噴射態様
    変更は、1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程
    時の燃料噴射との2回噴射を実行する処理への変更であ
    ることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  9. 【請求項9】請求項8において、吸気行程時の燃料噴射
    量については、燃焼性の悪化、トルク変動の悪化又は失
    火の増加に応じて燃料噴射量を増加させることを特徴と
    する内燃機関の燃料噴射制御方法。
  10. 【請求項10】請求項8において、前記2回噴射がなさ
    れている場合には、内部排気再循環率に起因して不揃い
    となる各気筒の角速度が一律となるように気筒間の燃料
    噴射量を調整するために気筒毎に算出される気筒間補正
    値を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させることを
    特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃
    機関が燃焼室内に直接燃料を噴射する機関であり、該機
    関にて1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時
    の燃料噴射との2回噴射を実行している時は、前記燃料
    噴射態様変更は、吸気行程時の燃料噴射量を増加させ、
    あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行する処理である
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃
    機関が成層燃焼を実行している時には、前記燃料噴射態
    様変更は、燃料噴射時間を長くする処理であることを特
    徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  13. 【請求項13】請求項12において、燃焼性の悪化、ト
    ルク変動の悪化又は失火の増加に応じて前記燃料噴射時
    間を長くすることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御
    方法。
  14. 【請求項14】請求項12又は13において、燃料圧力
    を低くすることにより前記燃料噴射時間を長くすること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  15. 【請求項15】請求項12〜14のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くする
    と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御方法。
  16. 【請求項16】請求項15において、前記燃料噴射時間
    を長くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて
    前記燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  17. 【請求項17】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法
    であって、 内部排気再循環率に起因して不揃いとなる各気筒の角速
    度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整するた
    めに気筒毎に算出される気筒間補正値に基づいて、各気
    筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行する
    ことにより、各気筒の燃焼性を改良することを特徴とす
    る内燃機関の燃料噴射制御方法。
  18. 【請求項18】請求項17において、内燃機関が成層燃
    焼を実行している時には、前記燃料噴射態様変更は、燃
    料成層度を低下する処理であることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  19. 【請求項19】請求項18において、前記気筒間補正値
    の大きさに応じて、燃料成層度低下の程度を強めること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  20. 【請求項20】請求項17において、燃焼室内に直接燃
    料を噴射する内燃機関にて圧縮行程時の燃料噴射のみを
    実行している時は、前記燃料噴射態様変更は、1サイク
    ルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との
    2回噴射を実行する処理であることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  21. 【請求項21】請求項20において、前記気筒間補正値
    は、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反映させることを特
    徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  22. 【請求項22】請求項17において、燃焼室内に直接燃
    料を噴射する内燃機関にて1サイクルに圧縮行程時の燃
    料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行して
    いる時は、前記燃料噴射態様変更は、吸気行程時の燃料
    噴射量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ
    実行する処理であることを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御方法。
  23. 【請求項23】請求項17において、内燃機関が成層燃
    焼を実行している時には、前記燃料噴射態様変更は、燃
    料噴射時間を長くする処理であることを特徴とする内燃
    機関の燃料噴射制御方法。
  24. 【請求項24】請求項23において、前記気筒間補正値
    の大きさに応じて、前記燃料噴射時間を長くすることを
    特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  25. 【請求項25】請求項23又は24において、燃料圧力
    を低くすることにより前記燃料噴射時間を長くすること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  26. 【請求項26】請求項23〜25のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くする
    と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御方法。
  27. 【請求項27】請求項26において、前記燃料噴射時間
    を長くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて
    前記燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  28. 【請求項28】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内燃機関における燃料噴射制御方法
    であって、 成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気再循
    環率を制御した時に各気筒の角速度が一律となるように
    気筒間の燃料噴射量を調整するために気筒毎に算出され
    る気筒間補正値と、均質燃焼時に内部排気再循環率をゼ
    ロとして内燃機関を運転した時に各気筒の角速度が一律
    となるように気筒間の燃料噴射量を調整するために気筒
    毎に算出される気筒間補正値とに基づいて燃焼性が悪化
    していると判定された場合に、全量増加以外の燃料噴射
    態様変更を実行することにより、燃焼性を改良すること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  29. 【請求項29】請求項28において、内燃機関が成層燃
    焼を実行している時には、前記燃料噴射態様変更は、燃
    料成層度を低下する処理であることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  30. 【請求項30】請求項29において、成層燃焼時に算出
    される前記気筒間補正値から均質燃焼時に算出される前
    記気筒間補正値を減算した値の大きさに応じて、燃料成
    層度の低下程度を設定することを特徴とする内燃機関の
    燃料噴射制御方法。
  31. 【請求項31】請求項28において、燃焼室内に直接燃
    料を噴射する内燃機関にて圧縮行程時の燃料噴射のみを
    実行している時は、前記燃料噴射態様変更は、1サイク
    ルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との
    2回噴射を実行する処理であることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  32. 【請求項32】請求項31において、成層燃焼時に得ら
    れた前記気筒間補正値は、圧縮行程時の燃料噴射量のみ
    に反映させることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御
    方法。
  33. 【請求項33】請求項28において、燃焼室内に直接燃
    料を噴射する内燃機関にて1サイクルに圧縮行程時の燃
    料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行して
    いる時は、前記燃料噴射態様変更は、吸気行程時の燃料
    噴射量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ
    実行する処理であることを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御方法。
  34. 【請求項34】請求項28において、内燃機関が成層燃
    焼を実行している時には、前記燃料噴射態様変更は、燃
    料噴射時間を長くする処理であることを特徴とする内燃
    機関の燃料噴射制御方法。
  35. 【請求項35】請求項34において、成層燃焼時に算出
    される前記気筒間補正値から均質燃焼時に算出される前
    記気筒間補正値を減算した値の大きさに応じて、前記燃
    料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関の燃料
    噴射制御方法。
  36. 【請求項36】請求項34又は35において、燃料圧力
    を低くすることにより前記燃料噴射時間を長くすること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  37. 【請求項37】請求項34〜36のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更は、前記燃料噴射時間を長くする
    と共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内
    燃機関の燃料噴射制御方法。
  38. 【請求項38】請求項37において、前記燃料噴射時間
    を長くする場合には、前記燃料噴射時間の長さに応じて
    前記燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御方法。
  39. 【請求項39】請求項1〜38のいずれかにおいて、バ
    ルブオーバーラップ量の調整は、軸方向にカムプロフィ
    ールが連続的に変化する3次元カムを吸気カムと排気カ
    ムとの一方又は両方に用いて該3次元カムの軸方向移動
    量を調整することによりなされることを特徴とする内燃
    機関の燃料噴射制御方法。
  40. 【請求項40】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内燃機関における内部排気再循環率
    の気筒間差を判定する気筒間内部排気再循環率差判定方
    法であって、 成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気再循
    環率を制御した時に各気筒の角速度が一律となるように
    気筒間の燃料噴射量を調整するために気筒毎に算出され
    る気筒間補正値と、均質燃焼時に内部排気再循環率をゼ
    ロとして内燃機関を運転した時に各気筒の角速度が一律
    となるように気筒間の燃料噴射量を調整するために気筒
    毎に算出される気筒間補正値とに基づいて、内部排気再
    循環率の気筒間差を判定することを特徴とする気筒間内
    部排気再循環率差判定方法。
  41. 【請求項41】請求項40において、成層燃焼時に算出
    される前記気筒間補正値から、均質燃焼時に算出される
    前記気筒間補正値を減算して求められた値に基づいて、
    前記内部排気再循環率の気筒間差を判定することを特徴
    とする気筒間内部排気再循環率差判定方法。
  42. 【請求項42】請求項40又は41において、バルブオ
    ーバーラップ量の調整は、軸方向にカムプロフィールが
    連続的に変化する3次元カムを吸気カムと排気カムとの
    一方又は両方に用いて該3次元カムの軸方向移動量を調
    整することによりなされることを特徴とする気筒間内部
    排気再循環率差判定方法。
  43. 【請求項43】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内部排気再循環率制御手段と、 内部排気再循環率に起因して燃焼性が悪化している気筒
    を検出する燃焼悪化気筒検出手段と、 前記燃焼悪化気筒検出手段により内部排気再循環率に起
    因して燃焼性が悪化している気筒が検出された場合に
    は、該当気筒の燃焼性を改良するために該当気筒に対し
    て全量増加以外の燃料噴射態様を変更する燃料噴射態様
    変更手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  44. 【請求項44】請求項43において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、燃焼性の悪化に応じて該当気筒の前記燃料
    噴射態様変更の程度を強めることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  45. 【請求項45】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内部排気再循環率制御手段と、 内部排気再循環率に起因してトルク変動が悪化している
    気筒を検出するトルク変動悪化気筒検出手段と、 前記トルク変動悪化気筒検出手段により内部排気再循環
    率に起因してトルク変動が悪化している気筒が検出され
    た場合には、該当気筒のトルク変動を抑制するために該
    当気筒に対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行
    する燃料噴射態様変更手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  46. 【請求項46】請求項45において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、トルク変動の悪化に応じて該当気筒の燃料
    噴射態様変更の程度を強めることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  47. 【請求項47】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内部排気再循環率制御手段と、 内部排気再循環率に起因して失火が増加している気筒を
    検出する失火増加気筒検出手段と、 前記失火増加気筒検出手段により内部排気再循環率に起
    因して失火が増加している気筒が検出された場合には、
    該当気筒の失火を抑制するために該当気筒に対して全量
    増加以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料噴射態様変
    更手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  48. 【請求項48】請求項47において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、失火の増加に応じて該当気筒の燃料噴射態
    様変更の程度を強めることを特徴とする内燃機関の燃料
    噴射制御装置。
  49. 【請求項49】請求項43〜48のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実
    行している時には、燃料成層度を低下することを特徴と
    する内燃機関の燃料噴射制御装置。
  50. 【請求項50】請求項49において、前記内燃機関は燃
    焼室内に直接燃料を噴射する機関であるとともに、 前記燃料噴射態様変更手段は、前記内燃機関にて圧縮行
    程時の燃料噴射のみを実行している時は、1サイクルに
    圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回
    噴射を実行する処理へ変更することを特徴とする内燃機
    関の燃料噴射制御装置。
  51. 【請求項51】請求項50において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、吸気行程時の燃料噴射量について、燃焼性
    の悪化、トルク変動の悪化又は失火の増加に応じて燃料
    噴射量を増加させることを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  52. 【請求項52】請求項50において、 内部排気再循環率に起因して不揃いとなる各気筒の角速
    度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整するた
    めの気筒間補正値を各気筒毎に算出する気筒間補正値算
    出手段と、 前記燃料噴射態様変更手段により前記2回噴射がなされ
    ている場合には、前記気筒間補正値算出手段にて算出さ
    れる気筒間補正値を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反
    映させる気筒間補正手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  53. 【請求項53】請求項43〜48のいずれかにおいて、
    前記内燃機関は燃焼室内に直接燃料を噴射する機関であ
    るとともに、 前記燃料噴射態様変更手段は、前記内燃機関にて1サイ
    クルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射と
    の2回噴射を実行している時は、吸気行程時の燃料噴射
    量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行
    する処理へ変更することを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  54. 【請求項54】請求項43〜48のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実
    行している時には、燃料噴射時間を長くすることを特徴
    とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  55. 【請求項55】請求項54において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、燃焼性の悪化、トルク変動の悪化又は失火
    の増加に応じて前記燃料噴射時間を長くすることを特徴
    とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  56. 【請求項56】請求項54又は55において、前記燃料
    噴射態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、
    前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  57. 【請求項57】請求項54〜56のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長く
    すると共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とす
    る内燃機関の燃料噴射制御装置。
  58. 【請求項58】請求項57において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前
    記燃料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角
    させることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  59. 【請求項59】連続的にバルブオーバーラップ量が調整
    可能なバルブオーバーラップ調整機構を用いて内部排気
    再循環率を制御する内部排気再循環率制御手段と、 内部排気再循環率に起因して不揃いとなる各気筒の角速
    度が一律となるように気筒間の燃料噴射量を調整するた
    めの気筒間補正値を各気筒毎に算出する気筒間補正値算
    出手段と、 前記気筒間補正値算出手段にて算出される気筒間補正値
    に基づいて、各気筒の燃焼性を改良するために各気筒に
    対して全量増加以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料
    噴射態様変更手段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  60. 【請求項60】請求項59において、前記内燃機関は成
    層燃焼が可能な機関であり、前記燃料噴射態様変更手段
    は、前記内燃機関が成層燃焼を実行している時には、燃
    料成層度を低下することを特徴とする内燃機関の燃料噴
    射制御装置。
  61. 【請求項61】請求項60において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記気筒間補正値の大きさに応じて、燃料
    成層度低下の程度を強めることを特徴とする内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
  62. 【請求項62】請求項59において、前記内燃機関は燃
    焼室内に直接燃料を噴射する機関であり、前記燃料噴射
    態様変更手段は、前記内燃機関にて圧縮行程時の燃料噴
    射のみを実行している時は、1サイクルに圧縮行程時の
    燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を実行す
    ることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  63. 【請求項63】請求項62において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記気筒間補正値算出手段にて算出される
    前記気筒間補正値を、圧縮行程時の燃料噴射量のみに反
    映させることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  64. 【請求項64】請求項59において、前記内燃機関は燃
    焼室内に直接燃料を噴射する機関であり、前記燃料噴射
    態様変更手段は、前記内燃機関にて1サイクルに圧縮行
    程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射との2回噴射を
    実行している時は、吸気行程時の燃料噴射量を増加さ
    せ、あるいは吸気行程時の燃料噴射のみ実行することを
    特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  65. 【請求項65】請求項59において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行している時に
    は、燃料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  66. 【請求項66】請求項65において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記気筒間補正値算出手段にて算出される
    前記気筒間補正値の大きさに応じて前記燃料噴射時間を
    長くすることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  67. 【請求項67】請求項65又は66において、前記燃料
    噴射態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、
    前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  68. 【請求項68】請求項65〜67のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長く
    すると共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とす
    る内燃機関の燃料噴射制御装置。
  69. 【請求項69】請求項68において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前
    記燃料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角
    させることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  70. 【請求項70】成層燃焼と均質燃焼とが実行可能な内燃
    機関において、 連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバルブオ
    ーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率を制御
    する内部排気再循環率制御手段と、 均質燃焼時に内部排気再循環率をゼロとして内燃機関を
    運転した時に、各気筒の角速度が一律となるように気筒
    間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を各気筒
    毎に算出する均質燃焼時気筒間補正値算出手段と、 成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気再循
    環率を制御した時に、各気筒の角速度が一律となるよう
    に気筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を
    各気筒毎に算出する成層燃焼時気筒間補正値算出手段
    と、 前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて算出された気
    筒間補正値と前記均質燃焼時気筒間補正値算出手段にて
    算出された気筒間補正値とに基づいて燃焼性の悪化を判
    定する気筒間補正値判定手段と、 前記気筒間補正値判定手段にて燃焼性が悪化していると
    判定された場合には、燃焼性を改良するために全量増加
    以外の燃料噴射態様変更を実行する燃料噴射態様変更手
    段と、 を備えたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装
    置。
  71. 【請求項71】請求項70において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行している時に
    は、燃料成層度を低下することを特徴とする内燃機関の
    燃料噴射制御装置。
  72. 【請求項72】請求項71において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて
    算出された気筒間補正値から前記均質燃焼時気筒間補正
    値算出手段にて算出された気筒間補正値を減算した値の
    大きさに応じて、燃料成層度の低下程度を設定すること
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  73. 【請求項73】請求項70において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、燃焼室内に直接燃料を噴射する内燃機関に
    て圧縮行程時の燃料噴射のみを実行している時は、1サ
    イクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃料噴射
    との2回噴射を実行することを特徴とする内燃機関の燃
    料噴射制御装置。
  74. 【請求項74】請求項73において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて算出
    された前記気筒間補正値を、圧縮行程時の燃料噴射量の
    みに反映することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御
    装置。
  75. 【請求項75】請求項70において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、燃焼室内に直接燃料を噴射する内燃機関に
    て1サイクルに圧縮行程時の燃料噴射と吸気行程時の燃
    料噴射との2回噴射を実行している時は、吸気行程時の
    燃料噴射量を増加させ、あるいは吸気行程時の燃料噴射
    のみ実行することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御
    装置。
  76. 【請求項76】請求項70において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、内燃機関が成層燃焼を実行している時に
    は、燃料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  77. 【請求項77】請求項76において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて
    算出された気筒間補正値から前記均質燃焼時気筒間補正
    値算出手段にて算出された気筒間補正値を減算した値の
    大きさに応じて、前記燃料噴射時間を長くすることを特
    徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  78. 【請求項78】請求項76又は77において、前記燃料
    噴射態様変更手段は、燃料圧力を低くすることにより、
    前記燃料噴射時間を長くすることを特徴とする内燃機関
    の燃料噴射制御装置。
  79. 【請求項79】請求項76〜78のいずれかにおいて、
    前記燃料噴射態様変更手段は、前記燃料噴射時間を長く
    すると共に、燃料噴射時期を遅角させることを特徴とす
    る内燃機関の燃料噴射制御装置。
  80. 【請求項80】請求項79において、前記燃料噴射態様
    変更手段は、前記燃料噴射時間を長くする場合には、前
    記燃料噴射時間の長さに応じて前記燃料噴射時期を遅角
    させることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  81. 【請求項81】請求項43〜80のいずれかにおいて、
    内燃機関の吸気カムと排気カムとの一方又は両方は、軸
    方向にカムプロフィールが連続的に変化する3次元カム
    として形成されており、 前記バルブオーバーラップ調整機構は、前記3次元カム
    の軸方向移動量を調整することによりバルブオーバーラ
    ップ量を調整することを特徴とする内燃機関の燃料噴射
    制御装置。
  82. 【請求項82】成層燃焼と均質燃焼とが実行可能な内燃
    機関において、 連続的にバルブオーバーラップ量が調整可能なバルブオ
    ーバーラップ調整機構を用いて内部排気再循環率を制御
    する内燃機関における内部排気再循環率の気筒間差を判
    定する気筒間内部排気再循環率差判定装置であって、 均質燃焼時に内部排気再循環率をゼロとして内燃機関を
    運転した時に、各気筒の角速度が一律となるように気筒
    間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を各気筒
    毎に算出する均質燃焼時気筒間補正値算出手段と、 成層燃焼時に内燃機関の運転状態に応じて内部排気再循
    環率を制御した時に、各気筒の角速度が一律となるよう
    に気筒間の燃料噴射量を調整するための気筒間補正値を
    各気筒毎に算出する成層燃焼時気筒間補正値算出手段
    と、 前記成層燃焼時気筒間補正値算出手段にて算出された気
    筒間補正値と前記均質燃焼時気筒間補正値算出手段にて
    算出された気筒間補正値とに基づいて、内部排気再循環
    率の気筒間差を判定する気筒間内部排気再循環率差判定
    手段と、 を備えたことを特徴とする気筒間内部排気再循環率差判
    定装置。
  83. 【請求項83】請求項82において、前記気筒間内部排
    気再循環率差判定手段は、前記成層燃焼時気筒間補正値
    算出手段にて算出された気筒間補正値から、前記均質燃
    焼時気筒間補正値算出手段にて算出された気筒間補正値
    を減算した値に基づいて内部排気再循環率の気筒間差を
    判定することを特徴とする気筒間内部排気再循環率差判
    定装置。
  84. 【請求項84】請求項82又は83において、内燃機関
    の吸気カムと排気カムとの一方又は両方は、軸方向にカ
    ムプロフィールが連続的に変化する3次元カムとして形
    成されており、 前記バルブオーバーラップ調整機構は、前記3次元カム
    の軸方向移動量を調整することによりバルブオーバーラ
    ップ量を調整することを特徴とする気筒間内部排気再循
    環率差判定装置。
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