JP2003147417A - 金属ナノサイズ粒子とその製造方法 - Google Patents

金属ナノサイズ粒子とその製造方法

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JP2003147417A JP2001337283A JP2001337283A JP2003147417A JP 2003147417 A JP2003147417 A JP 2003147417A JP 2001337283 A JP2001337283 A JP 2001337283A JP 2001337283 A JP2001337283 A JP 2001337283A JP 2003147417 A JP2003147417 A JP 2003147417A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属の
安定なナノサイズ粒子を高純度に製造することのできる
技術を提供する。 【解決手段】 極性溶媒中で、銅、ニッケルまたはコバ
ルトから成る金属の金属塩とイオウ含有炭化フッ素系化
合物とを還元反応に供することによりイオウ含有炭化フ
ッ素系化合物により被覆された銅、ニッケルまたはコバ
ルトから成る金属のナノサイズ粒子が極性溶媒中に分散
された分散液を調製し、この分散液から溶媒を除去した
後、得られる固形物をフッ素系溶媒中に分散させて第二
の分散液を調製し、この第二の分散液に温エタノールま
たは温クロロホルムを添加し超音波処理した後、遠心分
離に供し、得られた沈澱を回収して再びフッ素系溶媒中
に分散させる操作を複数回繰り返した後、必要に応じ
て、超遠心濃縮分離操作を付加する。イオウ含有炭化フ
ッ素系化合物で被覆され、さらにはフッ素系溶媒に分散
されている状態で安定に保存、供給することのできる
銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ
粒子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナノサイズの金属
超微粒子の技術分野に属し、特に、銅、ニッケルまたは
コバルトから成る金属のナノサイズ粒子とその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】ナノサイズ、すなわち、直径
がナノメーターのオーダーの金属の粒子はその融点がバ
ルクのものと劇的に異なるため、低温度焼成によって使
用可能な導電性ペーストなどとしての応用が期待され
る。これまで、金や銀、パラジウムや白金などの貴金属
のナノサイズ粒子は安定に調製され、触媒や導電性材
料、着色材料として応用されてきた。貴金属から成る金
属のナノサイズ粒子を得るための代表的な方法の一つ
は、アルカンチオールなどを保護剤として金属超微粒子
のコロイド分散体を調製することである。しかしなが
ら、これらの貴金属ナノ粒子は、その素材が高価であ
り、供給の不安が生じる場合が無いわけではない。
【0003】これに対し、卑金属(軽遷移金属)である
銅、ニッケルまたはコバルトは安価で供給も十分にあ
る。特に、銅は導電性の電子材料として、また、ニッケ
ルやコバルトは磁性材料として機能し得るので、これら
の金属の安価で高純度のナノサイズ粒子が得られれば多
くの新しい用途が期待される。しかしながら、銅、ニッ
ケルまたはコバルトは容易に酸化されるため、合金では
なく単一金属の状態でナノサイズ粒子の供給は困難であ
り、上述したアルカンチオールのような保護剤を用いて
安定な分散体を調製することはできない。本発明の目的
は、以上のような現況に鑑み、銅、ニッケルまたはコバ
ルトから成る金属の安定なナノサイズ粒子を高純度に製
造することのできる技術を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、フ
ルオロカーボン鎖により被覆された銀のナノサイズ粒子
が特殊な自己集合性を示すことを明らかにし(T. Yonez
awa他、Adv. Mater.,2001, 140)、イオウ含有炭化フッ
素系化合物によって被覆・保護された銀のナノサイズ粒
子がフッ素系溶媒に分散された分散液から成る発色剤
(特願2000−155311)や撥水・撥油表面形成
剤を案出している(特願2001−069908)。本
発明者は、このたび、それらの技術を更に発展させるこ
とにより、銅、ニッケルまたはコバルトのような金属で
あっても酸化されることなく高純度のナノサイズ粒子に
調製され得る新しい技術を確立した。
【0005】かくして、本発明は、以下の各工程を含
む、銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサ
イズ粒子の製造方法を提供するものである。 (i)極性溶媒中で、銅、ニッケルまたはコバルトから
成る金属の金属塩と下記の式(I)で表されるイオウ含
有炭化フッ素系化合物とを還元反応に供することによ
り、前記イオウ含有炭化フッ素系化合物により被覆され
た銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイ
ズ粒子が前記溶媒中に分散された第一の分散液を調製す
る工程; R−(CF2)−(CH2)−SH (I) 但し、式(I)中、Rは、CF3または有機官能基を表
わし、mは1〜9の整数、nは1から3の整数を表す。 (ii)前記第一の分散液から溶媒を除去した後、得られ
る固形物をフッ素系溶媒中に分散させて第二の分散液を
調製する工程。 (iii)前記第二の分散液に温エタノールまたは温クロ
ロホルムを添加し超音波処理した後、遠心分離に供し、
得られた沈殿を回収して再びフッ素系溶媒中に分散さ
せ、この温エタノールまたは温クロロホルムの添加と超
音波処理、遠心分離およびフッ素系溶媒中への分散から
成る操作を2回以上繰り返す工程。 本発明に従う金属ナノサイズ粒子の製造方法における特
に好ましい態様においては、前記の(iii)の工程の後
に、超遠心濃縮分離操作を付加する。
【0006】本発明は、さらに、上記のごとき方法によ
って製造される銅、ニッケルまたはコバルトから成る金
属のナノサイズ粒子であって、上記の式(I)で表され
るイオウ含有炭化フッ素系化合物で被覆されている状
態、さらには、これがフッ素系溶媒に分散されている状
態で保存、供給することのできる金属ナノサイズ粒子を
提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、本発明者らによって案
出された既述の技術に基き、保護剤としてイオウ含有炭
化フッ素系化合物によって被覆・保護された銅、ニッケ
ルまたはコバルトの金属ナノサイズ粒子の分散系を調製
するとともに、これにとどまらず、その分散系から余剰
の保護剤などを可及的に除去することのできる手法を確
立することによって、電子材料や磁性材料として使用さ
れるのにも好適な高度に精製された銅、ニッケルまたは
コバルトの金属ナノサイズ粒子の取得を可能にしたもの
である。
【0008】以下、本発明の方法を構成する各工程に沿
って本発明の実施の形態を詳述する。炭化フッ素で被覆された金属ナノサイズ粒子分散液の調
製(工程(ii)) 本発明に従い銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属
のナノサイズ粒子を製造するには、先ず、式(I)で表
されるイオウ含有炭化フッ素系化合物により被覆された
銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ
粒子が溶媒中に分散された分散液(以下、第一の分散液
と呼ぶことがある)を調製する。このために、極性溶媒
中で、銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属の金属
塩と既述の式(I)で表されるイオウ含有炭化フッ素系
化合物とを還元反応に供する。
【0009】この還元操作は、本発明者らによる特願2
000−155311や特願2001−069908に
記述されたものと基本的には共通している。還元反応
は、一般に、還元剤として、水素化ホウ素ナトリウム、
水素化ホウ素カリウムなどアルカリ金属水素化ホウ素塩
もしくはアンモニウム水素化ホウ酸塩を用いて行う。温
度は常温以上の温度で行えるが、水素化ホウ酸塩が比較
的激しい還元剤であるため、あまり高温で還元すること
は望ましくない(通常は常温であるが、50℃程度まで
は許容できる)。
【0010】用いる溶媒は、イオウ含有炭化フッ素系化
合物と金属塩の双方を溶解し得るもので、例えば、水、
エタノール、メタノール、イソプロパノール、s−ブタ
ノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチ
ルヘキサノール、ブチルセルソルブ、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
テトラヒドロフランなどの極性溶媒である。金属塩とし
ては、酢酸銅、塩化ニッケル、塩化コバルトなどの上記
の極性溶媒中に均一に分散する酢酸塩、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩、塩酸塩などを用いることができる。金属塩
とフッ素系配位子(イオウ含有炭化フッ素系化合物)と
の混合比率は配位子/金属塩(モル/モル)で0.1以
上であり、0.3〜5までで十分に粒子が生成すること
を確認している。
【0011】保護剤となるイオウ含有炭化フッ素系化合
物としては、特願2000−155311や特願200
1−069908に記載されているものに類似のものの
中で、特に安定にかつ還元時において迅速に粒子表面の
保護が可能な式(I)のR−(CF2)−(CH2)−S
Hを用いる。Rとしては、特願2001−069908
に開示している撥水・撥油表面作製に用いられるような
場合には高い撥水性を持たせるためにCF3であること
が不可欠であったが、本発明においては、これに限ら
ず、適当な有機官能基であってもよい。すなわち、この
Rは用途に応じて合成法によって種々に変えることがで
き、一般的にはX−(CH2)−で表わすことができ
る。好適なXの例としては、メチル基、カルボン酸塩
基、スルホン酸塩基、4級アンモニウム基、フェニル基
などを挙げることができる。ここで、oは0以上の整数
であるが、最終的に得られる金属ナノ粒子の導電性を高
めるためには焼成後の有機成分の量は減らしたほうがよ
いという観点からできるだけ少ない方がよい。したがっ
て、oは一般に0〜3の整数である。なお、合成の都合
上、X−(CH2)−とフッ素鎖と−(CF2)−との間
がアミド基、エステル基またはエーテル基などで接続さ
れていることもある。炭化フッ素鎖は、特段に長いもの
は不要であり、逆に本発明の銅などの金属ナノサイズ粒
子を導電性ペーストなどに用いる観点からはあまり長い
ものは望ましくなく、したがって、mは1〜9の整数で
ある。炭化水素鎖の長さを定めるnは1〜3の整数であ
り、この炭化水素鎖は合成の都合上必須である。
【0012】還元反応は、一般的には、上述したような
保護剤(イオウ含有炭化フッ素系化合物)と金属塩とを
同一の極性溶媒に溶解させ、よく混合して、フッ素系配
位子(イオウ含有炭化フッ素系化合物)と金属塩との間
で錯形成させた後、上述したような水素化ホウ素ナトリ
ウムのような還元剤の水溶液を徐々に滴下することによ
って行い、これによって、イオウ含有炭化フッ素系化合
物によりそのイオウ原子を介して被覆された金属のナノ
サイズ粒子が極性溶媒中に分散された分散液(第一の分
散液)が得られる。
【0013】本発明における還元操作は、このような均
一系の反応によるのが一般的であるが、これに限られ
ず、不均一系の反応によることも可能である。すなわ
ち、保護剤が溶解している溶媒(フッ素系溶媒)と金属
塩が溶解している溶媒とが分離している状態でも、これ
らを一緒にすることにより金属塩とフッ素系配位子との
間で錯形成を起こし、フッ素系溶媒に金属イオンを相転
移させ、そこに水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤
の水溶液を徐々に滴下して、金属ナノサイズ粒子が溶媒
中に分散された分散液(第一の分散液)を得ることもで
きる。このようにして得られる本発明に従う分散液中の
銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ
粒子は、その粒子径が、一般に、1〜数十nmの範囲に
あり、特に約2〜10nmの範囲にあることが多い。
【0014】フッ素系溶媒への分散(工程(ii)) 上記の工程(i)で得られた第一の分散液は、次に、該
分散液を構成する溶媒(極性溶媒)を除去した後、得ら
れる固形物をフッ素系溶媒に分散させることにより第二
の分散液を調製する。ここで、フッ素溶媒とは、構成元
素としてフッ素を含有する化学構造式で表される溶媒で
あり、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、
クロロフルオロカーボン(CFC)、6フッ化ベンゼ
ン、フッ化エーテルなどが例示できる。
【0015】第一の分散液から、その溶媒を除去するに
は、分散液全体を加熱し、金属ナノサイズ粒子の凝集体
を沈澱させ、沈澱物をデカンテーションまたはろ取によ
って取り出す。別の方法として、分散液全体を溶媒留去
してもよい。このようにして得られた固形物をフッ素系
溶媒中に導入し、攪拌して分散させることにより、イオ
ウ含有炭化フッ素系化合物により被覆された銅、ニッケ
ルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ粒子がフッ
素系溶媒中に分散された第二の分散液が得られる。この
際、フッ素系溶媒とともに水を加えて水溶性成分(未反
応還元剤やその反応副生成物)を取り出し、分液してフ
ッ素系溶媒のみを取り出すようにすることが好ましい。
なお、極性溶媒として水と混合しない極性溶媒やフッ素
溶媒を用いて第一の分散液を調製した場合には、水部分
を取り除いた後、前述のように、加温して沈澱を生じさ
せて、フッ素系溶媒に分散させるか、または、全体を溶
媒留去してフッ素系溶媒を加える。
【0016】精製工程(工程(iii)) 銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ
粒子がイオウ含有炭化フッ素系化合物により被覆・保護
されてフッ素系溶媒中に分散された第二の分散液は、次
に、本発明の方法における最も特徴的な工程である精製
工程に付される。この精製工程は、余剰の保護剤(イオ
ウ含有炭化フッ素系化合物)を可及的に除去することに
より、銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノ
サイズ粒子を有用性を高めるためのものである。この精
製工程は、上記のごとき第二の分散液に温エタノールま
たは温クロロホルムを添加し超音波処理した後、遠心分
離に供し、得られた沈澱を回収して再びフッ素系溶媒中
に分散させることから成る。
【0017】温エタノールまたは温クロロホルムとは、
エタノールまたはクロロホルムを45〜55℃(例えば
50℃前後)に加温したものであり、大過剰に(一般に
第二の分散液に対して3倍量以上)添加する。次に、加
温(45〜55℃、例えば50℃前後)したまま、超音
波処理(超音波洗浄)を行う。さらに、大過剰の極性溶
媒(エタノールまたはクロロホルム)の投入によって生
じる細かな凝集体を遠心分離操作によって濃縮し、沈澱
を回収し、再びフッ素系溶媒に溶解させる。遠心分離操
作は、通常の遠心分離機を用いて5000rpm以上の
速度で行うのが好ましい。本発明に従えば、温エタノー
ルまたは温クロロホルムの添加と超音波処理、遠心分
離、およびフッ素系溶媒中への再分散から成る操作を複
数回、一般的には5〜6回繰り返す。
【0018】このような操作により、金属ナノサイズ粒
子の被覆・保護に寄与していない余剰のフッ素系配位子
(イオウ含有炭化フッ素系化合物)が除去され、その結
果、金属ナノサイズ粒子(イオウ含有炭化フッ素系化合
物で被覆・保護された銅、ニッケルまたはコバルトのナ
ノサイズ粒子)は、極性溶媒には分散しなくなり、フッ
素系溶媒にのみ分散するような高度に精製されたものと
なる。
【0019】更なる精製が必要とされる場合、例えば、
導電性が著しく向上した電子材料として銅のナノサイズ
粒子を用いるような場合には、超遠心濃縮分離操作を付
加することが好ましい。すなわち、上記の工程(iii)
で得られた分散液を加温(一般的には45〜55℃、例
えば50℃前後)した状態で超音波照射した後、超遠心
濃縮分離操作によって濃縮し、沈澱を回収し、さらに溶
媒(温エタノールまたは温クロロホルム)にて洗浄し、
余剰のフッ素系配位子(イオウ含有炭化フッ素系化合
物)を極力除去する。超遠心濃縮分離操作は、9000
0×g以上の遠心加速度を加えて実施する。
【0020】金属ナノサイズ粒子 以上のような操作によって得られる銅、ニッケルまたは
コバルトから成る金属のナノサイズ粒子は、イオウ含有
炭化フッ素系化合物によって被覆・保護されフッ素系溶
媒中に分散された状態で酸化されることもなく長期間に
わたり安定に保持される。必要に応じて、フッ素溶媒を
除去し真空乾燥して粉末にすることもでき、この状態で
も長期間安定に保持され得る。使用に際しては加熱に供
することにより保護剤(イオウ含有炭化フッ素系化合
物)を外せばよい。一般的には200〜300℃の低温
で保護剤は焼失される。その際、余剰の保護剤が予め可
及的に除去されているので、フッ素を含むガスの発生は
少なく環境上の問題を最少にしながら、高純度の銅、ニ
ッケルまたはコバルトから成るナノサイズ粒子が得られ
る。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の特徴をさらに具体的に説明
するため実施例および参考例を示すが、本発明はこれら
の例によって限定されるものではない。実施例1 エタノールに、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ
オクタンチオール(以下、F8と記すことがある)
(1.5mM)と酢酸銅(5mM、30mL)を導入
し、丸底フラスコに入れた。得られた混合溶液をしばら
くの間ゆっくり攪拌したところ、系内は薄い青色から緑
がかった色に変わり、銅とF8との間で錯体が形成され
たことが理解された。その後、常時均一になるよう烈し
く攪拌し、水素化ホウ素ナトリウム(0.074g)の
水溶液(5mL)を、徐々に一定量ずつ滴下する。溶液
は、青緑から褐色に変化し、銅のナノ粒子(ナノサイズ
粒子)が生成したことが判明した。滴下終了後、約3時
間攪拌を続けた。調製直後は沈澱物等は見られず、均一
なナノ粒子分散液であり、その平均粒径は2.4nmで
あった(図1のTEM写真参照)。放置したところ、白
色沈澱が生じた場合があり、そのときにはこれをろ過し
た。このろ物は水に可溶であり、余剰の水素化ホウ素ナ
トリウム塩であると理解される。ろ液は黄色から褐色の
ままであって、有色の沈澱は生じず、さらに、この色は
数ヵ月変色せず、銅が酸化されイオン化されることなく
安定に保持されていることが示唆された。この溶液(分
散液)をそのまま溶媒留去し、フッ素系溶媒としてHC
FC−225(旭硝子製)を加えると該フッ素系溶媒は
褐色となり、銅のナノ粒子がフッ素系溶媒に移動したこ
とが理解された。また、残存していると考えられる水溶
性の塩(余剰の水素化ホウ素ナトリウムおよびその反応
副生成物)を除去するために水を添加し分液した。得ら
れたナノ粒子分散液を50℃近くまで加温すると、褐色
の沈澱が得られたので、これをろ取し、HCFCを添加
して攪拌したところ、これに分散した。50℃に加温し
た温エタノールを加え、超音波処理ののち、6000r
pmで遠心分離を行い濃縮し洗浄する操作を5回繰り返
すことにより、褐色粉末を得ることができた。この粉末
はHCFCのみに分散し、エタノールなどの極性溶媒中
には分散しなかった。さらに、100000×gで超遠
心分離を行った。加熱試験を行い熱分析したところ、約
230℃で顕著な重量変化が認められ、配位子(保護
剤)が外れ(図2の熱天秤グラフ参照)、銅になること
が確認された。
【0022】参考例 保護剤として従来より貴金属に用いられているデカンチ
オールを用い、このデカンチオールのトルエン溶液と酢
酸銅水溶液を同一モル濃度(10mM、各15mL)導
入し、丸底フラスコに入れた。得られた混合溶液をしば
らくの間、ゆっくり攪拌した。これに水素化ホウ素ナト
リウム(0.074g)の水溶液(5mL)を、徐々に
一定量ずつ滴下した。溶液は青緑から茶色に変化し、ナ
ノ粒子が生成したことを示した。実際、TEM写真でも
粒子の生成が確認された。しかしながら、数日放置する
と青色の溶液になった。これは銅が2価のイオンにもど
ったと考えられる。実際、TEM観察すると、調製直後
は数十nmの粒径をもつ粒子が観察される(図3)が、
数日後、糸状の会合体が見られた(図4)。これは、銅
−チオール錯体がエタノール中で会合したものと理解さ
れる。このように、アルキルチオール錯体がエタノール
中で会合したものと理解される。このように、アルキル
チオールを保護剤としては銅のナノ粒子は安定に生成し
得ないことが示された。
【0023】実施例2 メタノールに1H,1H,2H,2H−パーフルオロデ
カンチオールと塩化ニッケルを同一モル濃度(5mM、
15mL)で導入し、丸底フラスコに入れた。最初緩や
かに攪拌したのち、常時均一になるよう烈しく攪拌し、
水素化ホウ素ナトリウム(0.4M、5mL)の水溶液
を徐々に滴下した。放置した後、白色沈澱が生じた場合
にはろ過した。滴下後、エバポレータで溶媒留去した
後、HCFC−225を加え、よく溶解させた後、水を
少量加え、残留する沈澱を溶解させた。分液し、HCF
C−225成分を取り出し乾燥した。濃縮後、50℃に
加温したエタノールを加え、超音波処理した後、遠心分
離により濃縮し、洗浄することを数度繰り返し、HCF
C−225にしか分散しない固体を得た。得られた分散
液は安定で、長期間変色はせず、安定なニッケルのナノ
粒子ができていることが分かる。TEM写真(図5)か
ら平均粒径は6.5nm程度であることが分かった。X
PS(X線光電子分子法)から、ニッケルが生成してい
ることが示された(図6)。
【0024】
【発明の効果】本発明は、銅、ニッケルまたはコバルト
のような酸化性の大きい金属について安定なナノサイズ
粒子を実現させたものであり、これらの金属のナノサイ
ズ粒子の電子材料や磁性材料などとしての用途の発展に
資することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って調製された銅のナノサイズ粒子
の構造を示すTEM(透過電子顕微鏡)写真である。
【図2】本発明に従って調製された銅のナノサイズ粒子
から保護剤から外れる様子を観察するために行った熱分
析における熱天秤グラフである。
【図3】本発明に対する参考例として実施したアルカン
チオールを保護剤とする実験における銅のナノサイズ粒
子の構造を示すTEM写真で、調製直後に観察したもの
である。
【図4】本発明に対する参考例として実施したアルカン
チオールを保護剤とする実験における銅のナノサイズ粒
子の構造を示すTEM写真で、数日後に観察したもので
ある。
【図5】本発明に従って調製されたニッケルのナノサイ
ズ粒子の構造を示すTEM写真である。
【図6】本発明に従って調製されたニッケルのナノサイ
ズ粒子について行ったXPS(X線光電子分光分析)測
定のXPSチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K017 BA03 BA05 CA08 DA01 EJ01 EJ02 FA29 FB07 4K018 BA02 BA04 BB04 BC30 BD01 BD04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)極性溶媒中で、銅、ニッケルまた
    はコバルトから成る金属の金属塩と下記の式(I)で表
    されるイオウ含有炭化フッ素系化合物とを還元反応に供
    することにより、前記イオウ含有炭化フッ素系化合物に
    より被覆された銅、ニッケルまたはコバルトから成る金
    属のナノサイズ粒子が前記溶媒中に分散された第一の分
    散液を調製する工程; R−(CF2)−(CH2)−SH (I) 〔式(I)中、Rは、CF3または有機官能基を表わ
    し、mは1〜9の整数、nは1から3の整数を表す。〕 (ii)前記第一の分散液から溶媒を除去した後、得られ
    る固形物をフッ素系溶媒中に分散させて第二の分散液を
    調製する工程;および (iii)前記第二の分散液に温エタノールまたは温クロ
    ロホルムを添加し超音波処理した後、遠心分離に供し、
    得られた沈殿を回収して再びフッ素系溶媒中に分散さ
    せ、この温エタノールまたは温クロロホルムの添加と超
    音波処理、遠心分離およびフッ素系溶媒中への分散から
    成る操作を2回以上繰り返す工程;を含むことを特徴と
    する銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサ
    イズ粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(iii)の工程の後に、超遠心濃縮
    分離操作を付加することを特徴とする請求項1の金属ナ
    ノサイズ粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記の式(I)で表されるイオウ含有炭
    化フッ素系化合物で被覆されていることを特徴とする
    銅、ニッケルまたはコバルトから成る金属のナノサイズ
    粒子。 R−(CF2)−(CH2)−SH (I) 〔式(I)中、Rは、CF3または有機官能基を表わ
    し、mは1〜9の整数、nは1から3の整数を表す。〕
  4. 【請求項4】 フッ素系溶媒に分散されている請求項3
    の金属ナノサイズ粒子。
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