JP2003147121A - 全芳香族ポリエステルのケミカルリサイクル方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステルのケミカルリサイクル方法

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JP2003147121A
JP2003147121A JP2001351341A JP2001351341A JP2003147121A JP 2003147121 A JP2003147121 A JP 2003147121A JP 2001351341 A JP2001351341 A JP 2001351341A JP 2001351341 A JP2001351341 A JP 2001351341A JP 2003147121 A JP2003147121 A JP 2003147121A
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aromatic
aromatic polyester
dicarboxylic acid
wholly aromatic
monohydric alcohol
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JP2001351341A
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Tetsuo Ban
哲夫 伴
Akinobu Yoshisato
瑛信 善里
Masaharu Muramoto
雅晴 村元
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃全芳香族ポリエステルからそのモノマー成
分である芳香族ジカルボン酸ジエステルおよびビスフェ
ノール体を回収しリサイクルする方法に関するものであ
る。 【解決手段】 全芳香族ポリエステルを加圧下脂肪族一
価アルコール中150℃以上の温度で無触媒解重合反応
させ、芳香族ジカルボン酸ジエステル並びに芳香族ジヒ
ドロキシ化合物を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は廃全芳香族ポリエス
テル樹脂のリサイクル方法に関する。更に詳しくは、全
芳香族ポリエステルからそのモノマー成分である芳香族
ジカルボン酸ジエステルおよびビスフェノール体を回収
しリサイクルする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】全芳香族ポリエステル樹脂は、耐熱性、
透明性、耐衝撃性等に優れることから、レンズやライト
カバーなどに利用されている。これらの製品はその利用
が終了すると多くは廃棄物として、焼却されたり、地中
に埋め立てたりする方法で処理されている。これは資源
の無駄であるばかりでなく、環境汚染や炭酸ガス排出と
いった地球規模での社会問題ともなっている。したがっ
て、廃棄物となった芳香族ポリエステル樹脂を解重合分
解し、モノマーとして再利用するいわゆるケミカルリサ
イクルの方法が強く望まれている。が、これまでポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の
芳香族ポリエステルのケミカルリサイクル方法並びに芳
香族ポリカーボネートのケミカルリサイクル方法はいく
つかの方法が提案されているものの、全芳香族ポリエス
テルのケミカルリサイクル方法については、未だ有効な
方法は見出されていない。
【0003】全芳香族ポリエステルの解重合反応につい
ては、例えば特公平6−25086ではアンモニア水溶
液存在下で加水分解し、ビスフェノールA並びに芳香族
ジカルボン酸を得る方法が提案されている。しかしなが
らこの方法では解重合速度が遅いために水酸化アンモニ
ウム水溶液を加水分解触媒として比較的多量に必要とす
ること、そのためそれらの触媒の回収循環や中和等が煩
雑で、経済性を著しく損なうこと、その上、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物の塩を形成し,芳香族ジカルボン酸塩及
び潜在的なアミド化合物も同様に形成することから実用
的で有用な方法とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は全芳香族ポリ
エステルから脂肪族一価アルコールにより原料モノマー
のビスフェノール類と同時にもう一種類のモノマー成分
である芳香族ジカルボン酸部分を脂肪族一価アルコール
の芳香族ジカルボン酸ジエステルとして、できれば触媒
を用いることなく、より効率よく得ようというものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は廃全芳
香族ポリエステルの脂肪族一価アルコールによる解重合
反応で得られる芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカ
ルボン酸ジエステルの有効成分を、工業的規模で効率よ
く経済的に分離回収する方法を鋭意研究し本発明に到達
したものである。かくして得られる芳香族ジヒドロキシ
化合物と芳香族ジカルボン酸ジエステル化合物はそのま
ま芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル並びに
芳香族ポリエステルカーボネートの原料として用いるこ
とができ、ケミカルリサイクルが完成した。
【0006】すなわち、本発明は全芳香族ポリエステル
を加圧下脂肪族一価アルコール中150℃以上の温度で
解重合反応させ、芳香族ジカルボン酸ジエステル並びに
芳香族ジヒドロキシ化合物を回収するに際し、(1)全
芳香族ポリエステル樹脂に加圧下脂肪族一価アルコール
中150℃以上の温度で解重合反応させる第1工程、
(2)第1工程で得られた反応混合物から芳香族ジカル
ボン酸ジエステルを晶析分離する第2工程、(3)第2
工程で残留した母液から脂肪族一価アルコールを蒸留に
より溜去する第3工程、(4)第3工程で残留した高沸
点の混合物に溶解度パラメーター(δs)が10.5以下
の溶媒により晶析し、芳香族ジヒドロキシ化合物を分離
する第4工程よりなることを特徴としている。
【0007】さらには全芳香族ポリエステルが2種類以
上の芳香族ジカルボン酸ジエステルからなる場合は、第
4工程に続き、(5)第4工程で残留した母液から、蒸
留又は溶解度パラメーター(δs)13.0以上の溶媒を
用いて晶析し、芳香族ジカルボン酸ジエステル(B)を
分離する第5工程を有することを特徴とするリサイクル
方法である。
【0008】本発明の対象となる全芳香族ポリエステル
は一般に工業で用いられている芳香族ジヒドロキシ化合
物と芳香族ジカルボン酸を主な成分とするものからな
る。かかる芳香族ジヒドロキシ化合物はビスフェノール
体と称してケミカルリサイクルの対象となっているモノ
マーであり、かかる芳香族ジヒドロキシ化合物或いはジ
フェノール体は、例えば、ジヒドロキシベンゼン類、ジ
ヒドロキシビフェニール、ジヒドロキシジフェニルエー
テル、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキ
シジフェニルスルフォン、ジヒドロキシジフェニルメタ
ン(ビスフェノールF)、ジヒドロキシジフェニルエタ
ン、ジヒドロキシジフェニルプロパン(ビスフェノール
A)、ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン(ビスフ
ェノールZ)、3,3,5−トリメチル−1,1−(ジ
ヒドロキシジフェニル)シクロヘキサン、α,α−(ジ
ヒドロキシジフェニル)ジイソプロピルベンゼン(ビス
フェノールM)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−メンタン(YP−90)、2,8−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,8−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタンあるいはこ
れらのビスフェノール体の混合物であり好適には、ビス
フェノールA,ビスフェノールZ、ビスフェノールM,
3,3,5−トリメチル−1,1−(ジヒドロキシジフ
ェニル)シクロヘキサンおよびYP−90が好適であ
り、なかんずくビスフェノールAが特に好適である。
【0009】また、かかる芳香族ジカルボン酸は、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルテレフタル
酸、メチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェ
ニルスルフォンジカルボン酸、ジフェニルインダンジカ
ルボン酸等を挙げることができ、これらの芳香族ジカル
ボン酸は単独で用いられても、複数が同時に用いられて
いても良い。なかでも好適にはテレフタル酸とイソフタ
ル酸を同時に用いるのが好適である。
【0010】本発明に従って解重合させる全芳香族ポリ
エステルは上述のビスフェノール体と芳香族ジカルボン
酸を主な成分とする重合物で、その重合方法はいかなる
ものであって良い。通常は芳香族ジカルボン酸の酸ハロ
ゲン化物と芳香族ジヒドロキシ化合物との界面重縮合法
および芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルと芳香
族ジヒドロキシ化合物との溶融重合法があるが、いずれ
の方法でもよくその製造法にはよらない。
【0011】さらには該全芳香族ポリエステルがカーボ
ネート結合を含んでいてもよいが、カーボネート結合は
全芳香族ポリエステルにポリカーボネートを共重合させ
る、あるいは全芳香族ポリエステルにポリカーボネート
をブレンドさせることにより導入することができる。ポ
リカーボネートは公知の方法であるビスフェノール体と
ホスゲンとの界面縮重合法およびビスフェノール体とジ
フェニルカーボネートのようなジアルキルカーボネート
との溶融重合法によって製造される重合物である。
【0012】また重合度も用途などにより異なっており
通常5,000から200,000の範囲にあるが、熱
可塑性を有しておればその重合度にはよらない。また本
発明は不要となり廃棄された全芳香族ポリエステルを対
象としているので、用途によって各種の侠雑物を含んで
いる場合があるがそれらはあらかじめ所定の方法で除か
れている方が好ましい。
【0013】本発明に用いられる脂肪族一価アルコール
としてはメタノール、エタノール、プロパノールなどが挙
げられるが、なかでもメタノール及びエタノールが好ま
しく、なかんずくメタノールが最も好ましい。
【0014】該全芳香族ポリエステルがカーボネート結
合を含んでいる場合は、カーボネート結合は本発明の方
法によって解重合反応に用いる脂肪族一価アルコールと
から得られるジアルキルカーボネートとなる。これで得
られるジアルキルカーボネートは、芳香族ポリエステル
カーボネートやポリカーボネート等の製造方法の一つで
ある溶融重合法でモノマー合成の中間体として用いられ
ており、原料へのリサイクルということができる。
【0015】しかもメタノールを使用した場合のジメチ
ルカーボネートは溶剤や医農薬原料として用いられる
他、ガソリンの添加物として用いられるものでもある。
【0016】本発明の最初の工程は上記全芳香族ポリエ
ステルと脂肪族一価アルコールとのエステル交換反応で
ある。供給される廃全芳香族ポリエステルは溶融状態で
あっても、固体であっても良く、また脂肪族一価アルコ
ールと一緒に供給しても良い。
【0017】反応温度は通常150℃〜300℃の範囲
で行われる。150℃以下の反応温度では反応が遅く反
応が完結するまで長時間を要するので好ましくない。反
応の上限温度は特に定めないが、350℃以上の高温度
ではアルキル化等の副反応が起こることがあり好ましく
ない。特に好ましい温度範囲としては220℃から28
0℃の範囲で、脂肪族一価アルコールの超臨界温度を含
む温度範囲である。
【0018】脂肪族一価アルコールの超臨界温度は例え
ばメタノールは239.4℃、エタノールは240.7℃
であり、そのときの臨界圧力はそれぞれ、8.1MPa
および6.1MPaである。またその超臨界点における
密度は0.272及び0.276で、液体状態の密度の1
/3程度であるが、高い溶解力と同時に高い拡散性を示
し、無触媒でも極めて高い反応速度で全芳香族ポリエス
テルの加溶媒分解反応が進むことが分かった。この超臨
界点近傍の反応条件が最も好都合である。同条件下では
極めて短時間で反応が完結し、しかも主な生成物の芳香
族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸ジエステル
は脂肪族一価アルコールの流体中に溶解した状態にあ
る。
【0019】反応圧力は、反応温度が通常脂肪族一価ア
ルコールの沸点を超えた温度で行われるので、密閉され
た容器中で加圧下に行われる。例えば150℃における
メタノールの蒸気圧は約1.4MPaなので反応圧力と
しては通常それ以上の圧力で行われる。好ましい解重合
反応温度200℃以上に対応して通常2.0MPa以
上、最も好ましい超臨界温度近傍においては通常5.0
MPa以上の圧力で加圧下におこなわれる。脂肪族一価
アルコールの超臨界温度近傍或いはそれ以上の温度では
反応圧力によって相分離は起こらないが流体の密度が変
化する。反応圧力が高いと流体の密度が高くなり流体粘
度が高くなって拡散性を損なってかえって効率が悪くな
る場合があり、通常反応圧力は35MPa以下で行われ
る。それ以上の圧力では、多くのエネルギーの消費を伴
うだけでなく、反応装置に高い強度が要求されるなど経
済的にも安全面でも好ましくない。
【0020】本発明の脂肪族一価アルコール中での全芳
香族ポリエステルの解重合反応は、通常無触媒で行われ
るが、反応速度をより速くし、選択性を上げる目的で触
媒存在下で行うこともできる。かかる触媒としては、通
常のエステルの加水分解やエステル交換反応に用いられ
る触媒等が挙げられる。たとえば、アルカリ金属、アル
カリ土類金属の水酸化物や塩類、亜鉛、ゲルマニウム、
スズ、鉛、チタン、ジルコニウム、アンチモンおよび希
土類金属の酸化物や塩類などが挙げられる。なおこのエ
ステル交換反応は回文式又は連続式のいずれで行っても
良い。
【0021】第1工程で得た分解反応物は第2工程に送
られ、第2工程にて芳香族ジカルボン酸ジエステルとし
て晶析分離される。第2工程で得た母液は必要に応じて
加熱されて第3工程に送られ、通常過剰に用いられる脂
肪族一価アルコールを溜去される。この工程では、以下
の第4工程をより効率よく行うために残留する脂肪族一
価アルコールの量を反応生成物中の芳香族ジヒドロキシ
化合物に対してモル比で2モル倍以下、好ましくは1モ
ル倍以下特に好ましくは0.5モル倍以下にすることが
必要である。この脂肪族一価アルコールの溜去は任意の
蒸発機で行われるが、滞留時間の短い例えば薄膜式のも
のが好ましい。
【0022】第4工程では第3工程で残留した高沸点の
混合物から溶解度パラメーター(δ s)が10.5以下の
溶媒により晶析し、芳香族ビスフェノールを分離する。
【0023】発明者らはK.L.Hoyのモル牽引力の
概念(J.Paint Technol.,42,7
6)(1970)より導かれた溶解度パラメーターを利
用し、溶媒を選択した。
【0024】Hoyは数種の原子や原子団について、蒸
気圧測定より求めたモル牽引定数Gを定義し、下記式 δ=dΣG/M (式中、δは溶解度パラメーター、dは密度、Gはモル
牽引定数、Mは分子量を意味する)を用いて、分子構造
式から溶解度パラメーター(δ)の値を推測できるとし
ている。溶解度パラメーター(δ)の値の算出に関する
さらなる詳細については原報を参照することができる。
それによれば、各溶媒の物性データ(蒸発潜熱、ある温
度での密度、及び分子量)を用いてモル牽引乗数Gを推
算することができる。そして本発明においては、溶解度
パラメーターδsが10.5以下の溶媒を第2工程で残留
した母液に添加し、該母液中の芳香族ジヒドロキシ化合
物を選択的に折出せしめ、次いで分離回収することがで
きる。溶解度パラメーターδsのより好ましい範囲とし
ては10.0〜8.0を挙げることができる。一般的な
傾向として、溶媒の溶解度パラメーターδsがより大き
い数値のものでは芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解し晶
析の選択性が悪くなるので好ましくないことがある。ま
た溶解度パラメーターδsが8.0以下の溶媒ではこれ
も芳香族ジヒドロキシ化合物だけでなく芳香族ジカルボ
ン酸ジエステルも殆ど溶解せず、やはり晶析の選択性が
乏しい傾向があって好ましくないことがある。
【0025】第4工程で用いられる溶媒としては、炭素
数8以下の芳香族炭化水素化合物が好ましく、具体的に
はベンゼン(δs;9.1)、トルエン(δs;8.
8)、キシレン類(δs;8.5〜8.8)などの芳香族
炭化水素溶媒が挙げられる。これら溶解度パラメーター
δsが10.5以下の溶媒の中で、科学的に安定で回収循
環が容易であり、最終目的物を汚染せずかつ予測される
不純物を除去できる比較的低沸点の溶媒が最も好まし
く、なかんずくベンゼン、トルエンが適当と考えられ
る。そして、これらの溶媒の用いる量は、それぞれの溶
媒の芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジカルボン酸ジ
エステルに対するそれぞれの溶解度と、未分解の全芳香
族ポリエステル(オリゴマー)や残存する脂肪族一価ア
ルコールの量によって決められる。ここで用いられる溶
解度パラメーターδsが10.5以下の溶媒としては、
通常芳香族ジヒドロキシ化合物に対する溶解度が低く
(例えば溶媒100gに対する室温での溶解度が1以
下)、芳香族ジカルボン酸ジエステルに対する溶解度が
比較的大きい(例えば溶媒100gに対する室温での溶
解度が10以上)ものが選ばれるが、芳香族ジカルボン
酸ジエステルが溶解性を維持できる量を目安として用い
られる。従って実際に用いる溶媒の量は、その溶媒の溶
解性(溶解度差)や処理温度(差)及び共雑物の量など
によって異なるが、例えば、ベンゼンを用いた場合、第
3工程より得られる母液の100重量部当たり50〜2
00重量部の範囲で用いられる。この晶析の方法は通常
の手段を用いて行うことができ、またこの結晶化の方法
を繰り返すことによってより高められた純度で芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を分離回収し、その母液をあわせて次
の工程に供すこともできる。
【0026】該全芳香族ポリエステルが2種類以上の芳
香族ジカルボン酸ジエステルからなる全芳香族ポリエス
テルである場合は、第4工程に続き、(5)第4工程で
残留した母液から蒸留又は溶解度パラメーター(δs
13.0以上の溶媒を用いて晶析し、芳香族ジカルボン
酸ジエステル(B)を分離する第5工程を有する。すな
わち、第4工程で得た母液を第5工程で蒸留または溶解
度パラメーターδs13.0以上の溶媒を用いて晶析し、
芳香族ジカルボン酸ジエステル(B)を分離回収する。
いずれにしてもこの工程では、まず第4工程で用いた溶
媒は蒸発回収して、次にその残渣をそのまま高真空下で
の蒸留によって芳香族ジカルボン酸ジエステル(B)を
分離回収するか、その残渣に溶解度パラメーター13.
0以上の溶媒を加えて晶析により芳香族ジカルボン酸ジ
エステル(B)を分離回収するかいずれかの方法を用い
てモノマー成分である芳香族ジカルボン酸ジエステル
(B)を分離回収する。
【0027】蒸留する場合、蒸留装置は任意の装置を使
用することができるが、コスト低減及び品質劣化防止の
ために滞留量が少なく、滞留時間の短いものが使用され
る。例えば、流下液膜式蒸発器、薄膜蒸発器、螺旋管蒸
発器、或いは循環もしくは上昇膜蒸発器などが適切であ
る。また蒸留後の残渣はそのまま第1工程に戻すことが
できる。
【0028】溶解度パラメーターδsが13.0以上の
溶媒を用いる晶析分離を行う場合、その具体的溶媒とし
ては、メタノールあるいはエタノールが挙げられ、メタ
ノールが好ましい。例えばメタノールのビスフェノール
Aに対する溶解度はメタノール100重量部に対し室温
で409重量部であるが、イソフタル酸ジメチルのそれ
は10重量部程度である。従って、第4工程で用いる溶
媒の量に比べて通常この工程で晶析に用いる溶媒は比較
的少ない量で済ますことができる。晶析後の母液はメタ
ノールを十分除いた後、第1工程或いは第4工程に戻す
こともできる。
【0029】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0030】[実施例1]全内容積500mlオートク
レーブ中に全芳香族ポリエステル樹脂ペレット(ユニチ
カ製U−ポリマー)45gとメタノール300gを仕込
み、マグネチックスターラーで撹拌しながら昇温、25
0℃に達してから同温度で30分保持した。圧力は7.
6MPaであった。反応後急冷して室温まで達した後、
内容物を取り出した。内容物をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、25.7gのビスフェノールA、1
1.5gのテレフタル酸ジメチルおよび11.3gのイ
ソフタル酸ジメチルが含まれていることが分かった。
【0031】この反応混合物を1000mlのフラスコ
に移して加温下に約10分撹拌し、室温まで静置する。
結晶を炉別し、少量(約30ml)のメタノールで洗浄
し、約10.4gの結晶と、洗液と母液を合わせ約31
0gのメタノール溶液を得た。それぞれガスクロマトグ
ラフィーにより分析した結果、結晶は純度約98%のテ
レフタル酸ジメチルであり、メタノール溶液中には2
5.5gのビスフェノールA、11.0gのイソフタル
酸ジメチル及び1.0gのテレフタル酸ジメチルが含ま
れていた。結晶に約100mlのメタノールを加えて3
0分撹拌し、数時間静置した後、ろ過し、結晶として純
度99%以上のテレフタル酸ジメチル9.3gを得た。
【0032】メタノール溶液を合わせて、メタノールを
溜去した後、ベンゼン100gを加えて撹拌し室温で一
晩放置した後、ろ過すると、約25gの結晶が得られ
る。その結晶をガスクロマトグラフィーで分析すると、
純度約95%のビスフェノールAであった。ろ液をガス
クロマトグラフィーで分析すると、ベンゼン溶液中には
約11gのイソフタル酸ジメチルが含まれていた。
【0033】[実施例2]全内容積113mlオートク
レーブ中に特開2001−206942号記載の方法で
得られた全芳香族ポリエステルカーボネート樹脂ペレッ
ト5gとメタノール30gを仕込み、マグネチックスタ
ーラーで撹拌しながら昇温、250℃に達してから同温
度で30分保持した。圧力は7.6MPaであった。反
応後急冷して室温まで達した後、内容物を取り出した。
内容物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、2.
87gのビスフェノールA、1.67gのテレフタル酸
ジメチル、0.72gのイソフタル酸ジメチルおよび
0.10gのジメチルカーボネートが含まれていること
が分かった。
【0034】この反応混合物を100mlのフラスコに
移して加温下に約10分撹拌し、室温まで静置する。
結晶を炉別し、少量(約5ml)のメタノールで洗浄
し、約1.71gの結晶と、洗液と母液を合わせ約33
gのメタノール溶液を得た。それぞれガスクロマトグラ
フィーにより分析した結果、結晶は純度約98%のテレ
フタル酸ジメチルであり、メタノール溶液中には2.8
5gのビスフェノールA、0.71gのイソフタル酸ジ
メチル、0.10gのテレフタル酸ジメチル及び0.1
0gのジメチルカーボネートが含まれていた。結晶に約
5mlのメタノールを加えて30分撹拌し、数時間静置
した後、ろ過し、結晶として純度99%以上のテレフタ
ル酸ジメチル1.66gを得た。
【0035】メタノール溶液を合わせて、メタノールを
溜去した後、トルエン10gを加えて撹拌し室温で一晩
放置した後、ろ過すると、約2.8gの結晶が得られ
る。その結晶をガスクロマトグラフィーで分析すると、
純度約97%のビスフェノールAであった。ろ液をガス
クロマトグラフィーで分析すると、トルエン溶液中には
約0.61gのイソフタル酸ジメチルが含まれていた。
【0036】
【発明の効果】本発明によって不要となった全芳香族ポ
リエステル廃棄物を解重合し、主な原料モノマーである
ビスフェノール体と芳香族ジカルボン酸ジエステルを回
収しリサイクルすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 625 B01D 9/02 625A B01J 3/00 B01J 3/00 A C07C 27/02 C07C 27/02 37/50 37/50 39/08 39/08 67/03 67/03 69/80 69/80 A C08J 11/24 C08J 11/24 // C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 村元 雅晴 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F301 AA25 CA09 CA12 CA24 CA41 CA51 CA65 CA72 CA73 4H006 AA02 AC42 AC48 AC91 AD11 AD15 BB14 BC10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ポリエステルを加圧下脂肪族一
    価アルコール中150℃以上の温度で解重合反応させ、
    芳香族ジカルボン酸ジエステル並びに芳香族ジヒドロキ
    シ化合物を回収するに際し、(1)全芳香族ポリエステ
    ル樹脂に加圧下脂肪族一価アルコール中150℃以上の
    温度で解重合反応させる第1工程、(2)第1工程で得
    られた反応混合物から芳香族ジカルボン酸ジエステルを
    晶析分離する第2工程、(3)第2工程で残留した母液
    から脂肪族一価アルコールを蒸留により溜去する第3工
    程、(4)第3工程で残留した高沸点の混合物に溶解度
    パラメーター(δs)が10.5以下の溶媒により晶析
    し、芳香族ジヒドロキシ化合物を分離する第4工程より
    なることを特徴とする全芳香族ポリエステルのリサイク
    ル方法。
  2. 【請求項2】 該全芳香族ポリエステルがカーボネート
    結合を含むことを特徴とする請求項1に記載の全芳香族
    ポリエステルのリサイクル方法。
  3. 【請求項3】 該全芳香族ポリエステルが、2種類以上
    の芳香族ジカルボン酸ジエステルからなり、第4工程に
    続き(5)第4工程で残留した母液から、蒸留又は溶解
    度パラメーター(δs)13.0以上の溶媒を用いて晶析
    し、芳香族ジカルボン酸ジエステル(B)を分離する第
    5工程を有することを特徴とする請求項1〜2のいずれ
    かに記載の全芳香族ポリエステルのリサイクル方法。
  4. 【請求項4】 工程1の解重合反応を無触媒で行う請求
    項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程1の解重合反応を脂肪族一価アルコ
    ールの超臨界流体中で行う請求項1〜4のいずれかに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 工程4の晶析溶媒として炭素数8以下の
    芳香族炭化水素化合物を用いる請求項1〜5のいずれか
    に記載の方法。
  7. 【請求項7】 工程5の晶析溶媒としてメタノールを用
    いる請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
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