JP2003144936A - 有機化合物製造用触媒、及びこの触媒を用いた有機化合物の製造法 - Google Patents

有機化合物製造用触媒、及びこの触媒を用いた有機化合物の製造法

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JP2003144936A
JP2003144936A JP2001353670A JP2001353670A JP2003144936A JP 2003144936 A JP2003144936 A JP 2003144936A JP 2001353670 A JP2001353670 A JP 2001353670A JP 2001353670 A JP2001353670 A JP 2001353670A JP 2003144936 A JP2003144936 A JP 2003144936A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温和な条件下、付加又は置換反応等により有
機化合物を高い選択率及び収率で製造する。 【解決手段】 本発明は、下記式(I) 【化1】 (式中、Rはヒドロキシル基の保護基を示す。nは0又
は1を示す)で表されるN−置換環状イミド骨格を有す
るイミド系化合物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金
属含有化合物とで構成された有機化合物製造用触媒を提
供する。好ましいRは加水分解性保護基である。Rは、
例えば、カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン
酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を
除した基であってもよい。前記触媒は、さらに遷移金属
化合物を含んでいてもよい。上記の触媒の存在下、
(A)ラジカルを生成可能な化合物と、(B)ラジカル
捕捉性化合物とを反応させることにより、前記化合物
(A)と化合物(B)との付加若しくは置換反応生成物
又はそれらの誘導体を生成させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化、ニトロ化、
カルボキシル化、炭素−炭素結合形成反応などの反応に
有用な有機化合物製造用触媒、及び該触媒を用いた有機
化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化反応は、有機化学工業における最も
基本的な反応の一つであるため、種々の酸化法が開発さ
れている。資源及び環境上の観点から、好ましい酸化方
法は、分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利用する
触媒的な酸化法である。しかし、触媒的な酸化法では、
通常、酸素を活性化するために高温や高圧を必要とした
り、温和な条件で反応させるためにはアルデヒドなどの
還元剤の共存下で反応させる必要がある。そのため、触
媒的酸化法を用いて、温和な条件下で、アルコール、ケ
トン、カルボン酸等を簡易に且つ効率よく製造すること
は困難であった。
【0003】一方、メタンやエタンなどの低級炭化水素
のニトロ化は硝酸や二酸化窒素を用いて250〜300
℃の高温で行われている。しかし、炭素数の多い炭化水
素のニトロ化を上記条件下で行うと、基質が分解して目
的のニトロ化合物を収率よく得ることができない。ま
た、炭化水素類のニトロ化として混酸(硝酸と硫酸の混
合物)を用いる方法が広く利用されている。しかし、こ
の方法では、高濃度の強酸を大量に使用する必要があ
る。
【0004】また、炭化水素類に温和な条件で直接カル
ボキシル基を導入する方法はほとんど知られていない。
【0005】有機硫黄酸及びその塩の製造法として種々
の方法が知られている。例えば、スルホン酸の製造法と
して、チオールやジスルフィドを酸化剤により酸化する
方法、芳香族炭化水素と無水SO3−ピリジンやクロロ
硫酸とを反応させるフリーデルクラフト反応を利用する
方法、不飽和化合物へのラジカル付加反応により合成す
る方法などが利用されている。しかし、これらの方法
は、反応条件が厳しかったり、多量の副生物が併産され
るなどの問題点を有する。また、従来、非芳香族性の炭
化水素類を直接且つ効率的にスルホン化する方法は知ら
れていない。
【0006】炭素−炭素二重結合などを有する不飽和化
合物やヘテロ原子含有化合物に種々の化合物を付加させ
て有用な有機化合物を得る方法が知られている。例え
ば、塩基の存在下、マロン酸ジエステルなどの活性メチ
レン化合物とアクリロニトリルなどの電子吸引基を有す
るオレフィンとを反応させると、求核的な付加反応によ
り炭素−炭素結合が形成されて付加生成物が得られる
(マイケル付加反応)。また、酸又は塩基の存在下で2
種のカルボニル化合物を処理すると、一方のカルボニル
化合物が他方のカルボニル化合物に求核的に付加して、
炭素−炭素結合が形成され、アルドール縮合物が得られ
る。
【0007】しかし、これらの方法は、操作性、目的化
合物の収率などの点で必ずしも満足できるものではな
い。また、不飽和化合物の不飽和結合を形成する炭素原
子や橋かけ環式化合物などのメチン炭素原子などに、直
接ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシル
基、第3級炭素原子などを結合させることは困難であ
る。
【0008】また、ラジカル機構による炭素−炭素二重
結合への付加反応や炭素−炭素結合を形成するカップリ
ング反応も知られている。しかし、温和な条件下で、例
えば分子状酸素により効率よく付加又は置換反応生成物
又はその誘導体を得る方法はほとんどない。
【0009】特開平8−38909号公報及び特開平9
−327626号公報には、分子状酸素により有機基質
を酸化するための触媒として、特定の構造を有するイミ
ド化合物、又は前記イミド化合物と遷移金属化合物など
とで構成された酸化触媒が提案されている。特開平11
−239730号公報には、前記イミド化合物の存在
下、基質と、(i)窒素酸化物及び(ii)一酸化炭素と
酸素との混合物から選択された少なくとも1種の反応剤
とを接触させて、基質に、ニトロ基及びカルボキシル基
から選択された少なくとも1種の官能基を導入する方法
が開示されている。また、WO00/35835には、
特定のイミド化合物と該イミド化合物に対するラジカル
発生剤の存在下で2つの化合物を反応させ、ラジカル機
構により付加若しくは置換反応生成物又はそれらの酸化
生成物を製造する方法が開示されている。これらのイミ
ド化合物を触媒として用いる方法によれば、比較的温和
な条件下で、基質にヒドロキシル基や、ニトロ基、カル
ボキシル基などの酸素原子含有基を導入したり、炭素−
炭素結合を形成することが可能である。しかし、この方
法においても、目的化合物の収率、触媒の安定性、触媒
使用量等の点で必ずしも充分満足できるものではなかっ
た。また、ベンジル位やアリル位に炭素−水素結合を有
する基質を反応に用いる場合、該ベンジル位又はアリル
位の炭素原子にイミド化合物の窒素原子の隣接位の酸素
原子が結合したカップリング生成物が副生するなど、基
質とイミド化合物との反応生成物が副生しやすいという
問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、温和な条件下、付加又は置換反応等により有機化合
物を高い選択率及び収率で製造できる触媒と、それを用
いた有機化合物の製造法を提供することにある。本発明
の他の目的は、有機基質に温和な条件下で酸素原子含有
基を導入できる触媒と、それを用いた有機化合物の製造
法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、
安定性に優れ、触媒活性を長時間維持できる触媒を提供
することにある。本発明の他の目的は、少量で高い触媒
活性を示すラジカル反応触媒を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、高温でも安定性の高いラジカ
ル反応触媒を提供することにある。本発明の他の目的
は、基質との間でカップリング生成物等の反応生成物を
形成しにくいラジカル反応触媒を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のイミド系
化合物とアルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物
との存在下で、ラジカルを生成可能な化合物とラジカル
捕捉性化合物とを反応させると、温和な条件で対応する
付加若しくは置換反応生成物又はそれらの誘導体が得ら
れること、及び基質と触媒との反応生成物(カップリン
グ生成物等)の副生が抑制されることを見出し、本発明
を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、下記式(I)
【化3】 (式中、Rはヒドロキシル基の保護基を示す。nは0又
は1を示す)で表されるN−置換環状イミド骨格を有す
るイミド系化合物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金
属含有化合物とで構成された有機化合物製造用触媒を提
供する。
【0013】前記イミド系化合物には、下記式(1)
【化4】 (式中、Rはヒドロキシル基の保護基を示す。R1
2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シク
ロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボ
キシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシ
ルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
うち少なくとも2つが互いに結合して二重結合、又は芳
香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記
1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3
4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合し
て形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性
の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状イミ
ド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。n
は0又は1を示す)で表される化合物が含まれる。
【0014】Rは加水分解性保護基であるのが好まし
い。また、Rは酸からOH基を除した基であってもよ
い。前記酸には、例えば、カルボン酸、スルホン酸、炭
酸、カルバミン酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などが
含まれる。前記触媒は、さらに遷移金属化合物を含んで
いてもよい。
【0015】本発明は、また、上記触媒の存在下、
(A)ラジカルを生成可能な化合物と、(B)ラジカル
捕捉性化合物とを反応させて、前記化合物(A)と化合
物(B)との付加若しくは置換反応生成物又はそれらの
誘導体を生成させることを特徴とする有機化合物の製造
法を提供する。
【0016】ラジカルを生成可能な化合物(A)とし
て、(A1)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有す
るヘテロ原子含有化合物、(A2)炭素−ヘテロ原子二重
結合を有する化合物、(A3)メチン炭素原子を有する化
合物、(A4)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有
する化合物、(A5)非芳香族性環状炭化水素、(A6)共
役化合物、(A7)アミン類、(A8)芳香族化合物、(A
9)直鎖状アルカン、及び(A10)オレフィン類から選択
された化合物を使用できる。
【0017】また、ラジカル捕捉性化合物(B)とし
て、(B1)不飽和化合物、(B2)メチン炭素原子を有す
る化合物、(B3)ヘテロ原子含有化合物、及び(B4)酸
素原子含有反応剤から選択された化合物を使用できる。
前記酸素原子含有反応剤(B4)には、酸素、一酸化炭
素、窒素酸化物、硫黄酸化物、硝酸若しくは亜硝酸又は
これらの塩などが含まれる。
【0018】ラジカルを生成可能な化合物(A)とラジ
カル捕捉性化合物(B)との反応として、例えば、酸化
反応、カルボキシル化反応、ニトロ化反応、スルホン化
反応、カップリング反応又はこれらの組み合わせが例示
できる。
【0019】前記有機化合物の製造法には、芳香環にア
ルキル基又はその低次酸化基が結合している芳香族化合
物を酸素により酸化して対応する芳香族カルボン酸を生
成させる方法などが含まれる。
【0020】なお、本明細書では、「付加若しくは置
換」反応を、酸化やスルホン化等を含めた広い意味に用
いる。
【0021】
【発明の実施の形態】[イミド系化合物]本発明の有機
化合物製造用触媒は、前記式(I)で表されるN−置換
環状イミド骨格を有するイミド系化合物と、アルカリ金
属又はアルカリ土類金属含有化合物とで構成されてい
る。このイミド系化合物は、分子中に、式(I)で表さ
れるN−置換環状イミド骨格を複数個有していてもよ
い。また、分子中に、式(I)で表されるN−置換環状
イミド骨格に対応するN−ヒドロキシ環状イミド骨格
(Rが水素原子である環状イミド骨格)を有していても
よい。また、このイミド系化合物は、式(I)で表され
るN−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オ
キシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合してい
てもよい。
【0022】式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基
の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシ
ル基の保護基を用いることができる。このような保護基
として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブ
チル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基
(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例え
ば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、
2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例
えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロ
モベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル
基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メ
チルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシ
メチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−ト
リクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)
メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基な
ど)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1
−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエ
チル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエ
チル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロ
フラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−
ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒド
ロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒド
ロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル
基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基な
ど;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオ
ニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイ
ル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナ
ノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パル
ミトイル、ステアロイル基などのC1-20脂肪族アシル基
等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル
基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボ
ニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式ア
シル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル
基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンス
ルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンス
ルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホ
ニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メト
キシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカ
ルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基な
ど)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジ
ルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカ
ルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例
えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカ
ルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホ
ウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィ
ノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基
など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジ
フェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基
(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリ
ル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)
などが挙げられる。
【0023】また、式(I)で表されるN−置換環状イ
ミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨
格)が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、
例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリ
ル、アジポイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフ
タロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル
基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロ
ペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基な
どの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基と
アセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0024】好ましいRには、例えば、ヒドロキシル基
とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カ
ルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リ
ン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル
基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性
保護基などが含まれる。
【0025】式(I)において、nは0又は1を示す。
すなわち、式(I)は、nが0の場合は5員のN−置換
環状イミド骨格を表し、nが1の場合は6員のN−置換
環状イミド骨格を表す。
【0026】前記イミド系化合物の代表的な例として、
前記式(1)で表されるイミド化合物が挙げられる。こ
のイミド化合物において、置換基R1、R2、R3、R4
5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩
素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例え
ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、
デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基など
の炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の
直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
【0027】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、
デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、
オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特
に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
【0028】置換オキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカル
ボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカ
ルボニル、オクチルオキシカルボニル、デシルオキシカ
ルボニル、ドデシルオキシカルボニル、テトラデシルオ
キシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル、オク
タデシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−
カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル
基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシ
ルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカル
ボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカル
ボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキ
シカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特
に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジル
オキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル
基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)な
どが挙げられる。
【0029】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オク
タノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリ
ストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-30
脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂
肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シク
ロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基な
どのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;
ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが
例示できる。
【0030】アシルオキシ基としては、例えば、ホルミ
ルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチ
リルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピ
バロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオ
キシ、オクタノイルオキシ、ノナノイルオキシ、デカノ
イルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、
パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC
1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシル
オキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;
アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオ
キシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロ
アルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ
基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香
族アシルオキシ基などが例示できる。
【0031】前記置換基R1、R2、R3、R4、R5及び
6は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式
(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のう
ち少なくとも2つが互いに結合して、二重結合、または
芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好まし
い芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜
10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であっても
よいが、炭化水素環である場合が多い。このような環に
は、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環な
どの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シク
ロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロア
ルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネ
ン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素
環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有
していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。
前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環
は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル
基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、
アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよ
い。
【0032】前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又は
1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つ
が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若し
くは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN
−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されて
いてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6
が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル
基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−
置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、
1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つ
が互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち
少なくとも2つが互いに結合して芳香族性若しくは非芳
香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2
つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成
されていてもよい。さらに、前記R1、R2、R3、R4
5、R6、又はR1、R2、R 3、R4、R5及びR6のうち
少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又
は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)
中に示されるN−置換環状イミド基のN−ヒドロキシ体
(N−ヒドロキシ環状イミド基)が形成されていてもよ
い。
【0033】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化5】 (式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキ
シ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原
子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル
基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、
アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接す
る基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1
f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員のN
−置換環状イミド骨格若しくはそのN−ヒドロキシ体
(N−ヒドロキシ環状イミド骨格)を形成していてもよ
い。Rは前記に同じ)
【0034】置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、
アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキ
シル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカ
ルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記
1〜R6における対応する基と同様のものが例示され
る。
【0035】置換基R17〜R26において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシ
カルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキ
ルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。ま
た、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽
和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシ
ル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキ
シ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和
又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、
脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)など
が例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、
臭素原子が例示できる。置換基R17〜R22は、通常、水
素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキ
シル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン
原子である場合が多い。
【0036】好ましいイミド化合物のうち5員のN−置
換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、
例えば、N−アセトキシコハク酸イミド、N−アセトキ
シ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−アセトキシ
−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−アセトキシ−
α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ア
セトキシマレイン酸イミド、N−アセトキシヘキサヒド
ロフタル酸イミド、N,N′−ジアセトキシシクロヘキ
サンテトラカルボン酸イミド、N−アセトキシフタル酸
イミド、N−アセトキシテトラブロモフタル酸イミド、
N−アセトキシテトラクロロフタル酸イミド、N−アセ
トキシヘット酸イミド、N−アセトキシハイミック酸イ
ミド、N−アセトキシトリメリット酸イミド、N,N′
−ジアセトキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジア
セトキシナフタレンテトラカルボン酸イミド、N−バレ
リルオキシフタル酸イミド、N−ラウロイルオキシフタ
ル酸イミド、N−ベンゾイルオキシフタル酸イミド、
N,α,β−トリスアセトキシコハク酸イミド、N−ア
セトキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク
酸イミド、N−アセトキシ−α,β−ビス(バレリルオ
キシ)コハク酸イミド、N−アセトキシ−α,β−ビス
(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、N−アセトキシ
−α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸イミド、
N−アセトキシ−4−メトキシカルボニルフタル酸イミ
ド、N−アセトキシ−4−エトキシカルボニルフタル酸
イミド、N−アセトキシ−4−ペンチルオキシカルボニ
ルフタル酸イミド、N−アセトキシ−4−ドデシルオキ
シカルボニルフタル酸イミド、N−アセトキシ−4−フ
ェノキシカルボニルフタル酸イミド、N−アセトキシ−
4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタル酸イミド、
N−アセトキシ−4,5−ビス(エトキシカルボニル)
フタル酸イミド、N−アセトキシ−4,5−ビス(ペン
チルオキシカルボニル)フタル酸イミド、N−アセトキ
シ−4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)フタル
酸イミド、N−アセトキシ−4,5−ビス(フェノキシ
カルボニル)フタル酸イミドなどの式(1)におけるR
がアセチル基等のアシル基である化合物;N−メトキシ
メチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエト
キシメチルオキシ)フタル酸イミド、N−テトラヒドロ
ピラニルオキシフタル酸イミドなどの式(1)における
Rがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結
合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニル
オキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニル
オキシ)フタル酸イミドなどの式(1)におけるRがス
ルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミ
ドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又は
ホウ酸エステルなどの式(1)におけるRが無機酸から
OH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0037】好ましいイミド化合物のうち6員のN−置
換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、
例えば、N−アセトキシグルタルイミド、N−アセトキ
シ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−アセトキシ
−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−アセトキシ−
1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N′−ジア
セトキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸
ジイミド、N−アセトキシ−1,8−ナフタレンジカル
ボン酸イミド(N−アセトキシナフタル酸イミド)、
N,N′−ジアセトキシ−1,8;4,5−ナフタレン
テトラカルボン酸ジイミド、N−プロピオニルオキシ−
1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビ
ス(プロピオニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレ
ンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヘキサノイルオキシ
−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−
ビス(ヘキサノイルオキシ)−1,8;4,5−ナフタ
レンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)における
Rがアセチル基等のアシル基である化合物;N−メトキ
シメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミ
ド、N,N′−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,
8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなど
の式(1)におけるRがヒドロキシル基とアセタール又
はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N
−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカル
ボン酸イミド、N,N′−ビス(メタンスルホニルオキ
シ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジ
イミドなどの式(1)におけるRがスルホニル基である
化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボ
ン酸イミド又はN,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステ
ル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステル
などの式(1)におけるRが無機酸からOH基を除した
基である化合物などが挙げられる。
【0038】前記イミド系化合物は、対応するRが水素
原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)
に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を
導入することにより調製することができる。例えば、N
−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒドロキシフタル
酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でア
セチルハライドを反応させることにより得ることができ
る。また、これ以外の方法で製造することも可能であ
る。
【0039】なお、前記Rが水素原子である化合物(N
−ヒドロキシ環状イミド化合物)は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンと
を反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化
する方法により得ることができる。
【0040】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物から
誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−
ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、
N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,
8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸
ジイミドなど)のヒドロキシル基に保護基を導入するこ
とにより得られる化合物などが含まれる。
【0041】式(I)で表されるN−置換環状イミド骨
格を有するイミド系化合物は、反応において、単独で又
は2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド系化合
物は反応系内で生成させてもよい。また、式(I)で表
されるN−置換環状イミド骨格を有するイミド系化合物
と、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物(前記R
が水素原子である化合物)とを併用することもできる。
【0042】前記イミド系化合物の使用量は、広い範囲
で選択でき、例えば、反応成分(基質)1モルに対して
0.0000001〜1モル、好ましくは0.0000
01〜0.5モル、さらに好ましくは0.00001〜
0.4モル程度であり、0.0001〜0.35モル程
度である場合が多い。
【0043】[アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有
化合物]アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物
には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の単体も含ま
れる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物と
しては、例えば、アルカリ金属単体、アルカリ土類金属
単体、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカ
リ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ
金属又はアルカリ土類金属のフェノキシド、無機酸又は
有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などが
挙げられる。
【0044】アルカリ金属単体には、例えば、リチウ
ム、ナトリウム、カリウムなどが含まれる。アルカリ土
類金属単体には、例えば、マグネシウム、カルシウムな
どが含まれる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水
素化物としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カ
リウム、水素化カルシウムなどが挙げられる。アルカリ
金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウムなどが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土
類金属のアルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメ
トキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシ
ド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、マ
グネシウムメトキシドなどが挙げられる。アルカリ金属
又はアルカリ土類金属のフェノキシドとしては、例え
ば、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシドな
どが挙げられる。
【0045】無機酸のアルカリ金属塩としては、例え
ば、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カ
リウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ホウ酸ナ
トリウム、ホウ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウ
ム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウ
ムなどが挙げられる。無機酸のアルカリ土類金属塩とし
ては、例えば、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝
酸バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化
バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸
カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン
酸カルシウム、タングステン酸マグネシウム、タングス
テン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0046】有機酸のアルカリ金属塩としては、酢酸リ
チウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸
ナトリウム、ステアリン酸カリウム、シクロヘキサンカ
ルボン酸ナトリウム、シクロヘキサンカルボン酸カリウ
ム、ナフテン酸ナトリウム、ナフテン酸カリウム、安息
香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、メタンスルホン酸
ナトリウム、メタンスルホン酸カリウム、p−トルエン
スルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウ
ムなどの脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族
カルボン酸、スルホン酸などのアルカリ金属塩などが挙
げられる。
【0047】有機酸のアルカリ土類金属塩としては、例
えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、シクロヘキサンカルボン酸マグネシウム、シクロヘ
キサンカルボン酸カルシウム、ナフテン酸マグネシウ
ム、ナフテン酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安
息香酸カルシウム、メタンスルホン酸マグネシウム、メ
タンスルホン酸カルシウム、p−トルエンスルホン酸マ
グネシウム、p−トルエンスルホン酸カルシウムなどの
脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン
酸、スルホン酸などのアルカリ土類金属塩などが挙げら
れる。
【0048】アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化
合物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物の使用量
は、例えば、前記イミド系化合物1モルに対して、0.
0001〜10モル、好ましくは0.005〜3モル、
さらに好ましくは0.01〜1モル程度である。また、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物の使用量
は、反応成分(基質)1モルに対して、例えば0.00
001モル%〜10モル%、好ましくは0.1モル%〜
5モル%程度である。 [助触媒]本発明では、(i)イミド系化合物、(ii)
アルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物ととも
に、(iii)助触媒を用いることもできる。助触媒とし
て遷移金属化合物が挙げられる。前記(i)及び(ii)
と遷移金属化合物とを併用することにより反応速度や反
応の選択性を向上させることができる。
【0049】遷移金属化合物を構成する遷移金属元素に
は、周期表3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチ
ノイド元素など)、4族元素(Ti、Zr、Hfな
ど)、5族元素(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、W
など)、7族元素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ru
など)、9族元素(Co、Rhなど)、10族元素(N
i、Pd、Ptなど)、11族元素(Cuなど)、12
族元素(Znなど)が含まれる。好ましい遷移金属元素
は周期表5〜11族元素であり、なかでも5族〜9族元
素が好ましく、とりわけV、Mo、Mn、Coなどが好
ましい。遷移金属元素の原子価は特に制限されず、例え
ば0〜6価程度である。
【0050】遷移金属化合物としては、前記遷移金属元
素の単体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハ
ロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、
オキソ酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ
酸塩、炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の
塩などの無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロ
ピオン酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩な
ど)、錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を
構成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコ
キシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシな
ど)、アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコ
キシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニルなど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニ
ル基、ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、
酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニル
ホスフィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン
化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、
NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレント
リアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有
化合物などが挙げられる。
【0051】遷移金属化合物の具体例としては、例え
ば、コバルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸
化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバル
ト、硫酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;
酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバ
ルトなどの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなど
の錯体等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げら
れる。また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バ
ナジウム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナ
ジル、硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナト
リウムなどの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナ
ト、バナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5
価のバナジウム化合物などが挙げられる。他の遷移金属
元素の化合物としては、前記コバルト又はバナジウム化
合物に対応する化合物などが例示される。遷移金属化合
物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。特
に、コバルト化合物とマンガン化合物とを組み合わせる
と反応速度が著しく向上することが多い。また、価数の
異なる複数の遷移金属化合物(例えば、2価の遷移金属
化合物と3価の遷移金属化合物)を組み合わせて用いる
のも好ましい。
【0052】前記遷移金属化合物の使用量は、例えば、
前記イミド系化合物1モルに対して、0.001〜10
モル、好ましくは0.005〜3モル程度である。ま
た、遷移金属化合物の使用量は、反応成分(基質)1モ
ルに対して、例えば0.00001モル%〜10モル
%、好ましくは0.1モル%〜5モル%程度である。
【0053】本発明では、また、助触媒として、少なく
とも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元
素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンタ
ーイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。
助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度
や反応の選択性を向上させることができる。
【0054】前記有機塩において、周期表15族元素に
は、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16
族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ま
しい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げら
れ、特に、N、P、Sなどが好ましい。
【0055】前記元素の原子に結合する有機基には、置
換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基など
が含まれる。炭化水素基としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜2
0程度)の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(ア
ルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8程度の脂環
式炭化水素基;フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素
基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン
原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例え
ば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基
など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置
換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置
換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、
エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキ
ル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、複素環基などが例示できる。好ましい炭化水素基
には、炭素数1〜30程度のアルキル基、炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基又はナフ
チル基)などが含まれる。前記置換オキシ基には、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など
が含まれる。
【0056】前記有機塩の代表的な例として、有機アン
モニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩
などの有機オニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム
塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチル
アンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムク
ロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ト
リエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリブチル
(ヘキサデシル)アンモニウムクロリド、ジ(オクタデ
シル)ジメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アン
モニウムクロリド、及び対応する第4級アンモニウムブ
ロミドなどの、窒素原子に4つの炭化水素基が結合した
第4級アンモニウム塩;ジメチルピペリジニウムクロリ
ド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、メチルキノリ
ニウムクロリドなどの環状第4級アンモニウム塩などが
挙げられる。また、有機ホスホニウム塩の具体例として
は、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチル
ホスホニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)ホ
スホニウムクロリド、トリエチルフェニルホスホニウム
クロリドなどの第4級ホスホニウムクロリド、及び対応
する第4級ホスホニウムブロミドなどの、リン原子に4
つの炭化水素基が結合した第4級ホスホニウム塩などが
挙げられる。有機スルホニウム塩の具体例としては、ト
リエチルスルホニウムイオジド、エチルジフェニルスル
ホニウムイオジドなどの、イオウ原子に3つの炭化水素
基が結合したスルホニウム塩などが挙げられる。
【0057】また、前記有機塩には、メタンスルホン酸
塩、エタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩、ドデ
カンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩(例え
ば、C 6-18アルキルスルホン酸塩);ベンゼンスルホン
酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン
酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸塩などのアルキル基で置換されていてもよい
アリールスルホン酸塩(例えば、C6-18アルキル−アリ
ールスルホン酸塩);スルホン酸型イオン交換樹脂(イ
オン交換体);ホスホン酸型イオン交換樹脂(イオン交
換体)なども含まれる。
【0058】前記有機塩の使用量は、例えば、前記イミ
ド系化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル程
度、好ましくは0.005〜0.08モル程度である。
【0059】本発明では、また、助触媒として、強酸
(例えば、pKa2(25℃)以下の化合物)を使用す
ることもできる。好ましい強酸には、例えば、ハロゲン
化水素、ハロゲン化水素酸、硫酸、ヘテロポリ酸などが
含まれる。強酸の使用量は、前記イミド系化合物1モル
に対して、例えば0.001〜3モル程度である。
【0060】本発明では、さらに、助触媒として、電子
吸引基が結合したカルボニル基を有する化合物を用いる
こともできる。電子吸引基が結合したカルボニル基を有
する化合物の代表的な例として、ヘキサフルオロアセト
ン、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロフェニルケト
ン、ペンタフルオロフェニルケトン、安息香酸などが挙
げられる。この化合物の使用量は、反応成分(基質)1
モルに対して、例えば0.0001〜3モル程度であ
る。
【0061】また、本発明では、系内に、ラジカル発生
剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。このよう
な成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素など)、
過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過酸化物
(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBH
P)等のヒドロペルオキシドなど)、硝酸又は亜硝酸若
しくはそれらの塩、二酸化窒素、ベンズアルデヒド等の
アルデヒドなどが挙げられる。これらの成分を系内に存
在させると、反応が促進される場合がある。前記成分の
使用量は、前記イミド系化合物1モルに対して、例えば
0.001〜3モル程度である。
【0062】本発明の触媒は、例えばラジカル反応触媒
として有用である。本発明の触媒は、前記式(I)にお
いてRに相当する基が水素原子であり且つ環を構成する
原子数(員数)が5である化合物(5員のN−ヒドロキ
シ環状イミド化合物)が触媒作用を示す反応に対して同
種の触媒作用を示すのに加え、前記5員のN−ヒドロキ
シ環状イミド化合物と比較して、(i)触媒活性が長時
間維持される、(ii)少量で高い触媒活性を示す、(ii
i)高温でも触媒活性を維持できる、(iv)基質と触媒
との反応生成物(例えば、ベンジル位又はアリル位に炭
素−水素結合を有する基質を反応に用いる場合において
は、該ベンジル位又はアリル位の炭素原子にイミド化合
物の窒素原子の隣接位の酸素原子が結合したカップリン
グ生成物など)が副生しにくいという大きな効果が奏さ
れる。従って、本発明の触媒は、前記5員のN−ヒドロ
キシ環状イミド化合物が触媒作用を示すすべての反応に
適用でき、且つ前記5員のN−ヒドロキシ環状イミド化
合物を触媒として用いた場合よりも大きな利益が得られ
る。
【0063】また、本発明の触媒は、前記式(I)で表
されるN−置換環状イミド骨格を有するイミド系化合物
のみで構成された触媒(アルカリ金属又はアルカリ土類
金属含有化合物を含まない触媒)と比較し、非酸性溶媒
中での反応、特に非プロトン性溶媒中での反応において
高い触媒活性を示す。より具体的には、前記式(I)で
表されるN−置換環状イミド骨格を有するイミド系化合
物のみで構成された触媒(アルカリ金属又はアルカリ土
類金属含有化合物を含まない触媒)は、酢酸などの酸性
溶媒中での反応に対しては高い触媒活性を示すが、ベン
ゾニトリルなどの非酸性溶媒中では、活性種が生成しに
くくなるためか、さほど高い触媒活性を示さない。これ
に対し、本発明の触媒は、酢酸などの酸性溶媒中だけで
なく、非酸性溶媒中(中性条件下など)においても極め
て高い活性を示す。これは、アルカリ金属若しくはアル
カリ土類金属の塩又は水酸化物が活性種の生成を促進す
るためと推測される。
【0064】本発明の触媒が触媒作用を示す反応の具体
的な例として、前記5員のN−ヒドロキシ環状イミド化
合物触媒に関する以下の文献に記載の反応が挙げられ
る。特開平8−38909号公報、特開平9−3276
26号公報、特開平10−286467号公報、特開平
10−316610号公報、特開平10−309469
号公報、特開平10−316625号公報、特開平11
−239730号公報、特開平10−310543号公
報、特開平11−49764号公報、特開平11−10
6377号公報、特開平11−226416号公報、特
開平11−228484号公報、特開平11−2284
81号公報、特開平11−315036号公報、特開平
11−300212号公報、特開平11−335304
号公報、特開2000−212116号公報、特開20
00−219650号公報、特開2000−21965
2号公報、特開2000−256304号公報、WO9
9/50204、WO00/35835、WO00/4
6145、WO00/61665、特開2000−32
7635号公報、特願平11−254977号、特願平
11−372177号、特願2000−648号、特願
2000−58054号、特願2000−67682
号、特願2000−67679号、特願2000−67
680号、特願2000−157356号、特願200
0−176494号、特願2000−179185号、
特願2000−209205号、特願2000−345
822号、特願2000−345823号、特願200
0−345824号等。
【0065】より具体的には、本発明の触媒の存在下、
例えば、(A)ラジカルを生成可能な化合物と(B)ラ
ジカル捕捉性化合物とを反応させることにより、前記化
合物(A)と化合物(B)との付加若しくは置換反応生
成物又はそれらの誘導体を生成させることができる。
【0066】[ラジカルを生成可能な化合物(A)]ラ
ジカルを生成可能な化合物(A)としては、安定なラジ
カルを生成しうる化合物であれば特に限定されないが、
その代表的な例として、(A1)ヘテロ原子の隣接位に炭
素−水素結合を有するヘテロ原子含有化合物、(A2)炭
素−ヘテロ原子二重結合を有する化合物、(A3)メチン
炭素原子を有する化合物、(A4)不飽和結合の隣接位に
炭素−水素結合を有する化合物、(A5)非芳香族性環状
炭化水素、(A6)共役化合物、(A7)アミン類、(A8)
芳香族化合物、(A9)直鎖状アルカン、及び(A10)オ
レフィン類などが挙げられる。
【0067】これらの化合物は、反応を阻害しない範囲
で種々の置換基を有していてもよい。置換基として、例
えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、
オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カ
ルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置
換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置
換アミノ基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複
素環基などが挙げられる。
【0068】ラジカルを生成可能な化合物(A)は、本
反応においてラジカル供与性化合物として機能する。
【0069】ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有
するヘテロ原子含有化合物(A1)としては、(A1-1)第
1級若しくは第2級アルコール又は第1級若しくは第2
級チオール、(A1-2)酸素原子の隣接位に炭素−水素結
合を有するエーテル又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素
結合を有するスルフィド、(A1-3)酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するアセタール(ヘミアセタールも
含む)又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有する
チオアセタール(チオヘミアセタールも含む)などが例
示できる。
【0070】前記(A1-1)における第1級若しくは第2
級アルコールには、広範囲のアルコールが含まれる。ア
ルコールは、1価、2価又は多価アルコールの何れであ
ってもよい。
【0071】代表的な第1級アルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノー
ル、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノー
ル、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノ
ール、1−ヘキサデカノール、2−ブテン−1−オー
ル、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘ
キサメチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの
炭素数1〜30(好ましくは1〜20、さらに好ましく
は1〜15)程度の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコ
ール;シクロペンチルメチルアルコール、シクロヘキシ
ルメチルアルコール、2−シクロヘキシルエチルアルコ
ールなどの飽和又は不飽和脂環式第1級アルコール;ベ
ンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、3
−フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコールなどの
芳香族第1級アルコール;2−ヒドロキシメチルピリジ
ンなどの複素環式アルコールが挙げられる。
【0072】代表的な第2級アルコールとしては、2−
プロパノール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノ
ール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ヘキサ
デカノール、2−ペンテン−4−オール、1,2−プロ
パンジオール、2,3−ブタンジオールや2,3−ペン
タンジオールなどのビシナルジオール類などの炭素数3
〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜1
5)程度の飽和又は不飽和脂肪族第2級アルコール;1
−シクロペンチルエタノール、1−シクロヘキシルエタ
ノールなどの、ヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基と脂環式炭化水素(シクロアルキル基な
ど)とが結合している第2級アルコール;シクロブタノ
ール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シク
ロオクタノール、シクロドデカノール、2−シクロヘキ
セン−1−オール、2−アダマンタノール、橋頭位にヒ
ドロキシル基を1〜4個有する2−アダマンタノール、
アダマンタン環にオキソ基を有する2−アダマンタノー
ルなどの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好
ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度の飽和又は不
飽和脂環式第2級アルコール(橋かけ環式第2級アルコ
ールを含む);1−フェニルエタノール、1−フェニル
プロパノール、1−フェニルメチルエタノール、ジフェ
ニルメタノールなどの芳香族第2級アルコール;1−
(2−ピリジル)エタノールなどの複素環式第2級アル
コールなどが含まれる。
【0073】さらに、代表的なアルコールには、1−ア
ダマンタンメタノール、α−メチル−1−アダマンタン
メタノール、α−エチル−1−アダマンタンメタノー
ル、α−イソプロピル−1−アダマンタンメタノール、
3−ヒドロキシ−α−メチル−1−アダマンタンメタノ
ール、3−カルボキシ−α−メチル−1−アダマンタン
メタノール、α−メチル−3a−パーヒドロインデンメ
タノール、α−メチル−4a−デカリンメタノール、8
a−ヒドロキシ−α−メチル−4a−デカリンメタノー
ル、α−メチル−4a−パーヒドロフルオレンメタノー
ル、α−メチル−4a−パーヒドロアントラセンメタノ
ール、α−メチル−8a−パーヒドロフェナントレンメ
タノール、α−メチル−2−トリシクロ[5.2.1.
2,6]デカンメタノール、6−ヒドロキシ−α−メチ
ル−2−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンメタ
ノール、α−メチル−2a−パーヒドロアセナフテンメ
タノール、α−メチル−3a−パーヒドロフェナレンメ
タノール、α−メチル−1−ノルボルナンメタノール、
α−メチル−2−ノルボルネン−1−メタノールなどの
橋かけ環炭化水素基を有するアルコール(ヒドロキシル
基が結合している炭素原子に橋かけ環炭化水素基が結合
している化合物など)も含まれる。
【0074】好ましいアルコールには、第2級アルコー
ル(例えば、2−プロパノール、s−ブチルアルコール
などの脂肪族第2級アルコール;1−シクロヘキシルエ
タノールなどのヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基(例えば、C 1-4アルキル基、C6-14
リール基など)と非芳香族性炭素環式基(例えば、C3
-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基など)と
が結合している第2級アルコール;シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、2−アダマンタノールなどの
3〜15員程度の脂環式第2級アルコール;1−フェニ
ルエタノールなどの芳香族第2級アルコール)、及び前
記橋かけ環炭化水素基を有するアルコールが含まれる。
【0075】前記(A1-1)における第1級若しくは第2
級チオールとしては、前記第1級若しくは第2級アルコ
ールに対応するチオールが挙げられる。
【0076】前記(A1-2)における酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するエーテルとしては、例えば、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチ
ルエーテル、ジアリルエーテル、メチルビニルエーテ
ル、エチルアリルエーテルなどの脂肪族エーテル類;ア
ニソール、フェネトール、ジベンジルエーテル、フェニ
ルベンジルエーテル等の芳香族エーテル類;ジヒドロフ
ラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、
テトラヒドロピラン、モルホリン、クロマン、イソクロ
マンなどの環状エーテル類(芳香環又は非芳香環が縮合
していてもよい)などが挙げられる。
【0077】前記(A1-2)における硫黄原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するスルフィドとしては、前記酸素
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するエーテルに対応
するスルフィドが挙げられる。
【0078】前記(A1-3)における酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するアセタールとしては、例えば、
アルデヒドとアルコールや酸無水物などから誘導される
アセタールが挙げられ、該アセタールには環状アセター
ル及び非環状アセタールが含まれる。前記アルデヒドと
して、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチル
アルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、デカナール
などの脂肪族アルデヒド;シクロペンタンカルバルデヒ
ド、シクロヘキサンカルバルデヒドなどの脂環式アルデ
ヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドな
どの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。また、前記ア
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
1−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコー
ルなどの一価アルコール;エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−
ジブロモ−1,3−プロパンジオールなどの二価アルコ
ールなどが挙げられる。代表的なアセタールとして、
1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、2−エチル−1,3−ジオキソランなどの1,3
−ジオキソラン化合物;2−メチル−1,3−ジオキサ
ンなどの1,3−ジオキサン化合物;アセトアルデヒド
ジメチルアセタールなどのジアルキルアセタール化合物
などが例示される。
【0079】前記(A1-3)における硫黄原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するチオアセタールとしては、前記
酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタール
に対応するチオアセタールが挙げられる。
【0080】前記炭素−ヘテロ原子二重結合を有する化
合物(A2)としては、(A2-1)カルボニル基含有化合
物、(A2-2)チオカルボニル基含有化合物、(A2-3)イ
ミン類などが挙げられる。カルボニル基含有化合物(A2
-1)には、ケトン及びアルデヒドが含まれ、例えば、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルs−ブチルケト
ン、メチルt−ブチルケトン、3−ペンタノン、メチル
デシルケトン、エチルイソプロピルケトン、イソプロピ
ルブチルケトン、メチルビニルケトン、メチルイソプロ
ペニルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、アセトフ
ェノン、メチル(2−メチルフェニル)ケトン、メチル
(2−ピリジル)ケトン、シクロヘキシルフェニルケト
ンなどの鎖状ケトン類;シクロプロパノン、シクロブタ
ノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチ
ルシクロヘキサノン、4−クロロシクロヘキサノン、イ
ソホロン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シク
ロデカノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノ
ン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘ
キサンジオン、1,4−シクロオクタンジオン、2,2
−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン、ビス
(4−オキソシクロヘキシル)メタン、4−(4−オキ
ソシクロヘキシル)シクロヘキサノン、2−アダマンタ
ノンなどの環状ケトン類;ビアセチル(2,3−ブタン
ジオン)、2,3−ペンタンジオン、3,4−ヘキサン
ジオン、ビベンゾイル(ベンジル)、アセチルベンゾイ
ル、シクロペンタン−1,2−ジオン、シクロヘキサン
−1,2−ジオンなどの1,2−ジカルボニル化合物
(α−ジケトン類など);アセトイン、ベンゾインなど
のα−ケトアルコール類;アセトアルデヒド、プロピオ
ンアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、スクシンア
ルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒドな
どの脂肪族アルデヒド;シクロヘキシルアルデヒド、シ
トラール、シトロネラールなどの脂環式アルデヒド;ベ
ンズアルデヒド、カルボキシベンズアルデヒド、ニトロ
ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、サリチルアル
デヒド、アニスアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフ
タルアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどの芳香族ア
ルデヒド;フルフラール、ニコチンアルデヒドなどの複
素環アルデヒドなどが挙げられる。
【0081】チオカルボニル基含有化合物(A2-2)とし
ては、前記カルボニル基含有化合物(A2-1)に対応する
チオカルボニル基含有化合物が挙げられる。
【0082】イミン類(A2-3)には、前記カルボニル基
含有化合物(A2-1)と、アンモニア又はアミン類(例え
ば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、シクロ
ヘキシルアミン、アニリンなどのアミン;ヒドロキシル
アミン、O−メチルヒドロキシルアミンなどのヒドロキ
シルアミン類;ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニ
ルヒドラジンなどのヒドラジン類など)とから誘導され
るイミン類(オキシムやヒドラゾンも含む)が含まれ
る。
【0083】前記メチン炭素原子を有する化合物(A3)
には、(A3-1)環の構成単位としてメチン基(すなわ
ち、メチン炭素−水素結合)を含む環状化合物、(A3-
2)メチン炭素原子を有する鎖状化合物が含まれる。
【0084】環状化合物(A3-1)には、(A3-1a)少な
くとも1つのメチン基を有する橋かけ環式化合物、(A3
-1b)環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物
(脂環式炭化水素など)などが含まれる。なお、前記橋
かけ環式化合物には、2つの環が2個の炭素原子を共有
している化合物、例えば、縮合多環式芳香族炭化水素類
の水素添加生成物なども含まれる。
【0085】橋かけ環式化合物(A3-1a)としては、例
えば、デカリン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビ
シクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.
1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、ビ
シクロ[3.3.3]ウンデカン、ツジョン、カラン、
ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレン、ノルボルナ
ン、ノルボルネン、カンファー、ショウノウ酸、カンフ
ェン、トリシクレン、トリシクロ[5.2.1.
3,8]デカン、トリシクロ[4.2.1.12,5]デカ
ン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、
エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリ
シクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、トリシクロ
[4.2.2.12,5]ウンデカン、エンドトリシクロ
[5.2.2.02,6]ウンデカン、アダマンタン、1
−アダマンタノール、1−クロロアダマンタン、1−メ
チルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、1
−メトキシアダマンタン、1−カルボキシアダマンタ
ン、1−メトキシカルボニルアダマンタン、1−ニトロ
アダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]ドデカン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロ
アセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロ
フェナレン、ペルヒドロインデン、キヌクリジンなどの
2〜4環式の橋かけ環式炭化水素又は橋かけ複素環化合
物及びそれらの誘導体などが挙げられる。これらの橋か
け環式化合物は、橋頭位(2環が2個の原子を共有して
いる場合には接合部位に相当)にメチン炭素原子を有す
る。
【0086】環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状
化合物(A3-1b)としては、1−メチルシクロペンタ
ン、1−メチルシクロヘキサン、リモネン、メンテン、
メントール、カルボメントン、メントンなどの、炭素数
1〜20(好ましくは1〜10)程度の炭化水素基(例
えば、アルキル基など)が環に結合した3〜15員程度
の脂環式炭化水素及びその誘導体などが挙げられる。環
に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(A3-1
b)は、環と前記炭化水素基との結合部位にメチン炭素
原子を有する。
【0087】メチン炭素原子を有する鎖状化合物(A3-
2)としては、第3級炭素原子を有する鎖状炭化水素
類、例えば、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサ
ン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2
−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメ
チルヘキサン、3−メチルオクタンなどの炭素数4〜2
0(好ましくは、4〜10)程度の脂肪族炭化水素類お
よびその誘導体などが例示できる。
【0088】前記不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合
を有する化合物(A4)としては、(A4-1)芳香族性環の
隣接位(いわゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン
基を有する芳香族化合物、(A4-2)不飽和結合(例え
ば、炭素−炭素不飽和結合、炭素−酸素二重結合など)
の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する非芳香族性
化合物などが挙げられる。
【0089】前記芳香族性化合物(A4-1)において、芳
香族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複素環の何れ
であってもよい。芳香族炭化水素環には、ベンゼン環、
縮合炭素環(例えば、ナフタレン、アズレン、インダセ
ン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、
ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮
合炭素環など)などが含まれる。芳香族性複素環として
は、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環
(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールな
どの5員環、4−オキソ−4H−ピランなどの6員環、
ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−
クロメンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ
原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、
イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オ
キソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェ
ンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含
む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾー
ル、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジ
ン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、
キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プ
リンなどの縮合環など)などが挙げられる。
【0090】なお、芳香族性環の隣接位のメチレン基
は、前記芳香族性環に縮合した非芳香族性環を構成する
メチレン基であってもよい。また、前記(A4-1)におい
て、芳香族性環と隣接する位置にメチル基とメチレン基
の両方の基が存在していてもよい。
【0091】芳香族性環の隣接位にメチル基を有する芳
香族化合物としては、例えば、芳香環に1〜6個程度の
メチル基が置換した芳香族炭化水素類(例えば、トルエ
ン、キシレン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−
エチル−3−メチルベンゼン、1−イソプロピル−4−
メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メチルベンゼ
ン、1−メトキシ−4−メチルベンゼン、メシチレン、
プソイドクメン、デュレン、メチルナフタレン、ジメチ
ルナフタレン、メチルアントラセン、4,4′−ジメチ
ルビフェニル、トルアルデヒド、ジメチルベンズアルデ
ヒド、トリメチルベンズアルデヒド、トルイル酸、トリ
メチル安息香酸、ジメチル安息香酸など)、複素環に1
〜6個程度のメチル基が置換した複素環化合物(例え
ば、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチル
チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジ
ン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、
2,4,6−トリメチルピリジン、4−メチルインドー
ル、2−メチルキノリン、3−メチルキノリンなど)な
どが例示できる。
【0092】芳香族性環の隣接位にメチレン基を有する
芳香族化合物としては、例えば、炭素数2以上のアルキ
ル基又は置換アルキル基を有する芳香族炭化水素類(例
えば、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,4−ジ
エチルベンゼン、ジフェニルメタンなど)、炭素数2以
上のアルキル基又は置換アルキル基を有する芳香族性複
素環化合物(例えば、2−エチルフラン、3−プロピル
チオフェン、4−エチルピリジン、4−ブチルキノリン
など)、芳香族性環に非芳香族性環が縮合した化合物で
あって、該非芳香族性環のうち芳香族性環に隣接する部
位にメチレン基を有する化合物(ジヒドロナフタレン、
インデン、インダン、テトラリン、フルオレン、アセナ
フテン、フェナレン、インダノン、キサンテン等)など
が例示できる。
【0093】不飽和結合の隣接位にメチル基又はメチレ
ン基を有する非芳香族性化合物(A4-2)には、例えば、
(A4-2a)いわゆるアリル位にメチル基又はメチレン基
を有する鎖状不飽和炭化水素類、(A4-2b)カルボニル
基の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する化合物が
例示できる。
【0094】前記鎖状不飽和炭化水素類(A4-2a)とし
ては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−
ヘキサジエン、1−オクテン、3−オクテン、ウンデカ
トリエンなどの炭素数3〜20程度の鎖状不飽和炭化水
素類が例示できる。前記化合物(A4-2b)には、ケトン
類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペン
タノン、アセトフェノンなどの鎖状ケトン類;シクロヘ
キサノンなどの環状ケトン類)、カルボン酸又はその誘
導体(例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタ
ン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、フェニル酢酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、及びこれらのエステルな
ど)などが含まれる。
【0095】前記非芳香族性環状炭化水素(A5)には、
(A5-1)シクロアルカン類及び(A5-2)シクロアルケン
類が含まれる。
【0096】シクロアルカン類(A5-1)としては、3〜
30員のシクロアルカン環を有する化合物、例えば、シ
クロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノ
ナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデ
カン、シクロヘキサデカン、シクロテトラコサン、シク
ロトリアコンタン、及びこれらの誘導体などが例示でき
る。好ましいシクロアルカン環には、5〜30員、特に
5〜20員のシクロアルカン環が含まれる。
【0097】シクロアルケン類(A5-2)には、3〜30
員のシクロアルケン環を有する化合物、例えば、シクロ
プロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオク
テン、シクロヘキセン、1−メチル−シクロヘキセン、
イソホロン、シクロヘプテン、シクロドデカエンなどの
ほか、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,5−シクロオクタジエンなどのシクロアルカジ
エン類、シクロオクタトリエンなどのシクロアルカトリ
エン類、及びこれらの誘導体などが含まれる。好ましい
シクロアルケン類には、3〜20員環、特に3〜12員
環を有する化合物が含まれる。
【0098】前記共役化合物(A6)には、共役ジエン類
(A6-1)、α,β−不飽和ニトリル(A6-2)、α,β−
不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、エステル、
アミド、酸無水物等)(A6-3)などが挙げられる。
【0099】共役ジエン類(A6-1)としては、例えば、
ブタジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、2−
エチルブタジエンなどが挙げられる。なお、共役ジエン
類(A6-1)には、二重結合と三重結合とが共役している
化合物、例えば、ビニルアセチレンなども含めるものと
する。
【0100】α,β−不飽和ニトリル(A6-2)として
は、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられ
る。α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(A6-3)
としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリ
ル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミドなど(メタ)アクリルアミド
誘導体などが挙げられる。
【0101】前記アミン類(A7)としては、第1級また
は第2級アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、
1,4−ブタンジアミン、ヒドロキシルアミン、エタノ
ールアミンなどの脂肪族アミン;シクロペンチルアミ
ン、シクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン;ベンジ
ルアミン、トルイジンなどの芳香族アミン;ピロリジ
ン、ピペリジン、ピペラジン、インドリンなどの環状ア
ミン(芳香族性又は非芳香族性環が縮合していてもよ
い)等が例示される。
【0102】前記芳香族炭化水素(A8)としては、ベン
ゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フェナントレン、
アントラセン、ナフタセン、アセアンスリレン、トリフ
ェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペ
リレン、ペンタセン、コロネン、ピランスレン、オバレ
ンなどの、少なくともベンゼン環を1つ有する芳香族化
合物、好ましくは少なくともベンゼン環が複数個(例え
ば、2〜10個)縮合している縮合多環式芳香族化合物
などが挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、1又は
2以上の置換基を有していてもよい。置換基を有する芳
香族炭化水素の具体例として、例えば、2−クロロナフ
タレン、2−メトキシナフタレン、1−メチルナフタレ
ン、2−メチルナフタレン、2−メチルアントラセン、
2−t−ブチルアントラセン、2−カルボキシアントラ
セン、2−エトキシカルボニルアントラセン、2−シア
ノアントラセン、2−ニトロアントラセン、2−メチル
ペンタレンなどが挙げられる。また、前記ベンゼン環に
は、非芳香族性炭素環、芳香族性複素環、又は非芳香族
性複素環が縮合していてもよい。
【0103】前記直鎖状アルカン(A9)としては、例え
ば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカ
ン、テトラデカン、ヘキサデカン等の炭素数1〜30程
度(好ましくは炭素数1〜20程度)の直鎖状アルカン
が挙げられる。
【0104】前記オレフィン類(A10)としては、置換
基(例えば、ヒドロキシル基、アシルオキシ基等の前記
例示の置換基など)を有していてもよいα−オレフィン
及び内部オレフィンの何れであってもよく、ジエンなど
の炭素−炭素二重結合を複数個有するオレフィン類も含
まれる。例えば、オレフィン類(A10)として、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテ
ン、1−ペンテン、2−ペンテン、2,4,4−トリメ
チル−2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、
2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、3−ヘ
キセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、1−
オクテン−3−オール、1−ヘプテン、1−オクテン、
2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、1−ノネ
ン、2−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ド
デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1,5
−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オク
タジエン、1−アセトキシ−3,7−ジメチル−2,6
−オクタジエン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルチオフェ
ンなどの鎖状オレフィン類;シクロプロペン、シクロブ
テン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテ
ン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シ
クロウンデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキ
サジエン、1,4−シクロヘプタジエン、シクロデカジ
エン、シクロドデカジエン、リモネン、1−p−メンテ
ン、3−p−メンテン、カルベオール、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[3.2.1]オ
クタ−2−エン、α−ピネン、2−ボルネンなどの環状
オレフィン類などが挙げられる。
【0105】上記のラジカルを生成可能な化合物は単独
で用いてもよく、同種又は異種のものを2種以上組み合
わせて用いてもよい。これらの化合物を2種以上、特に
異種の化合物を2種以上併用すると、例えば酸素などの
酸素原子含有ガスと反応させる場合などには、一方の基
質が他方の基質の共反応剤(共酸化剤など)として機能
し、反応速度が著しく向上することがある。
【0106】[ラジカル捕捉性化合物(B)]ラジカル
捕捉性化合物(B)としては、ラジカルと反応して安定
な化合物を生成しうるものであればよく、その代表的な
化合物として、(B1)不飽和化合物、(B2)メチン炭素
原子を有する化合物、(B3)ヘテロ原子含有化合物、及
び(B4)酸素原子含有反応剤(酸素原子含有ガス等)な
どが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよく
2種以上を併用してもよい。
【0107】また、これらの化合物は、反応を阻害しな
い範囲で種々の置換基を有していてもよい。置換基とし
て、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプ
ト基、オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チ
オ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換
又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換
又は無置換アミノ基、スルホ基、アルキル基、アルケニ
ル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水
素基、複素環基などが挙げられる。
【0108】不飽和化合物(B1)には、不飽和結合を有
する広範囲の化合物が含まれる。このような化合物とし
て、例えば、(B1-1)炭素−炭素不飽和結合の隣接位に
電子吸引基を有する不飽和化合物[活性オレフィン(電
子不足オレフィン)などの活性不飽和化合物]、(B1-
2)炭素−炭素三重結合を有する化合物、(B1-3)芳香
族性環を有する化合物、(B1-4)ケテン類、(B1-5)イ
ソシアネート又はチオシアネート化合物、(B1-6)非活
性オレフィンなどが例示できる。
【0109】前記活性不飽和化合物(B1-1)としては、
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)
アクリル酸フェニル、クロトン酸メチル、クロトン酸エ
チル、3−メチル−2−ブテン酸メチル、3−メチル−
2−ブテン酸エチル、2−ペンテン酸メチル、2−ペン
テン酸エチル、2−オクテン酸メチル、2−オクテン酸
エチル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、4,4,4−ト
リフルオロ−2−ブタン酸メチル、4,4,4−トリフ
ルオロ−2−ブタン酸エチル、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチ
ル、3−シアノアクリル酸メチル、3−シアノアクリル
酸エチルなどのα,β−不飽和エステル類;ビニルメチ
ルケトン、ビニルエチルケトン、メチル−1−プロペニ
ルケトンなどのα,β−不飽和ケトン類;プロペナー
ル、クロトンアルデヒドなどのα,β−不飽和アルデヒ
ド類;アクリロニトリル、メタクリロニトニルなどの
α,β−不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸、クロ
トン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類;(メタ)ア
クリルアミドなどのα,β−不飽和カルボン酸アミド
類;N−(2−プロペニリデン)メチルアミン、N−
(2−ブテニリデン)メチルアミンなどのα,β−不飽
和イミン類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン、β−メチルスチレンなどのスチレン誘導体等の
炭素−炭素不飽和結合の隣接位にアリール基が結合して
いる化合物;ブタジエン、イソプレン、2−クロロブタ
ジエン、2−エチルブタジエン、ビニルアセチレン、シ
クロペンタジエン誘導体などの共役ジエン類(二重結合
と三重結合とが共役している化合物も含む)等が挙げら
れる。
【0110】前記炭素−炭素三重結合を有する化合物
(B1-2)としては、メチルアセチレン、1−ブチンなど
が挙げられる。芳香族性環を有する化合物(B1-3)に
は、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族性炭素環を
有する化合物;ピロール環、フラン環、チオフェン環な
どの芳香族性複素環を有する化合物などが含まれる。ケ
テン類(B1-4)には、ケテン、2−メチルケテンなどが
含まれる。イソシアネート又はチオシアネート化合物
(B1-5)には、メチルイソシアネート、エチルイソシア
ネート、フェニルイソシアネート、メチルチオシアネー
ト、エチルチオシアネート、フェニルチオシアネートな
どが含まれる。
【0111】非活性オレフィン(B1-6)としては、α−
オレフィン及び内部オレフィンの何れであってもよく、
また、ジエンなど炭素−炭素結合を複数個有するオレフ
ィンも含まれる。非活性オレフィン(B1-6)の代表的な
例として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペン
テン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1
−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテ
ン、4−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデ
セン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、
1,7−オクタジエン等の鎖状オレフィン類(アルケン
類);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテ
ン、シクロデセン、シクロドデセンなどの環状オレフィ
ン類(シクロアルケン類)などが挙げられる。
【0112】メチン炭素原子を有する化合物(B2)とし
ては、前記(A3)として例示した化合物などが挙げられ
る。反応においては、化合物(A3)及び化合物(B2)と
して同一の化合物を用いてもよい。
【0113】へテロ原子含有化合物(B3)には、(B3-
1)イオウ原子を有する化合物、(B3-2)窒素原子を有
する化合物、(B3-3)リン原子を有する化合物、(B3-
4)酸素原子を有する化合物などが含まれる。イオウ原
子を有する化合物(B3-1)としては、例えば、スルフィ
ド類、チオール類などが挙げられる。窒素原子を有する
化合物(B3-2)としては、例えば、アミン類などが挙げ
られる。リン原子を有する化合物(B3-3)としては、例
えば、ホスファイト類などが挙げられる。また、酸素原
子を有する化合物(B3-4)としては、例えば、N−オキ
シド類などが挙げられる。
【0114】酸素原子含有反応剤(B4)には、酸素原子
含有ガス、硝酸若しくは亜硝酸又はこれらの塩(以下、
硝酸類と称する場合がある)などが含まれる。前記酸素
原子含有ガスには、沸点(又は昇華点)が45℃以下の
ものが含まれ、その代表的な例として、例えば、(B4-
1)酸素、(B4-2)一酸化炭素、(B4-3)窒素酸化物、
(B4-4)硫黄酸化物などが挙げられる。の酸素原子含有
反応剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用でき
る。
【0115】酸素(B4-1)は、分子状酸素、活性酸素の
何れであってもよい。分子状酸素は、特に制限されず、
純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴ
ン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気
を使用してもよい。酸素として分子状酸素を用いる場合
が多い。
【0116】一酸化炭素(B4-2)としては、純粋な一酸
化炭素を用いてもよく、不活性ガスで希釈したものを用
いてもよい。一酸化炭素と酸素とを併用すると、前記化
合物(A)との反応により高い収率でカルボン酸を得る
ことができる。
【0117】窒素酸化物(B4-3)には、Nxy(式中、
xは1又は2、yは1〜6の整数を示す)で表される化
合物が含まれる。この化合物において、xが1である場
合、yは通常1〜3の整数であり、xが2である場合、
yは通常1〜6の整数である。
【0118】窒素酸化物の代表的な例として、N2O、
NO、N23、NO2、N24、N25、NO3、N26
などが挙げられる。これらの窒素酸化物は単独で又は2
種以上組み合わせて使用できる。窒素酸化物は純粋なも
のであってもよく、窒素酸化物を主成分として含む混合
物であってもよい。窒素酸化物を主成分として含む混合
物として、例えば、硝酸酸化プロセスの排ガスなどを利
用できる。
【0119】好ましい窒素酸化物には、NO、N23
NO2、N25などが含まれる。N23は酸化二窒素
(N2O)及び/又は一酸化窒素(NO)と酸素との反
応で容易に得ることができる。より具体的には、冷却し
た反応器内に一酸化窒素(又は酸化二窒素)と酸素とを
導入して、青色の液体N23を生成させることにより調
製できる。したがって、N23を予め生成させることな
く、酸化二窒素(N2O)及び/又は一酸化窒素(N
O)と酸素とを反応系に導入することにより本発明の反
応を行ってもよい。窒素酸化物は酸素とともに用いるこ
とができる。例えば、NO2と酸素とを併用することに
より、生成物(例えばニトロ化合物)の収率をより向上
させることができる。
【0120】硫黄酸化物(B4-4)には、Spq(式中、
pは1又は2、qは1〜7の整数を示す)で表される化
合物が含まれる。この化合物において、pが1である場
合、qは通常1〜4の整数であり、pが2である場合、
qは通常3又は7である。
【0121】硫黄酸化物の代表的な例として、例えば、
SO、S23、SO2、SO3、S27、SO4などが挙
げられる。これらの硫黄酸化物は単独で又は2種以上を
組み合わせて使用できる。なお、三酸化硫黄として三酸
化硫黄を含む発煙硫酸を用いてもよい。
【0122】好ましい硫黄酸化物には、二酸化硫黄(S
2)及び三酸化硫黄(SO3)から選択された少なくと
も1種を主成分として含む硫黄酸化物が含まれる。硫黄
酸化物は酸素とともに用いることもできる。例えば、二
酸化硫黄(SO2)と酸素とを併用すると、前記化合物
(A)との反応により高い収率で対応するスルホン酸を
得ることができる。
【0123】硝酸や亜硝酸の塩としては、ナトリウム
塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム
塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属
塩;銀塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などのその他の金属
塩などが挙げられる。好ましい塩には、硝酸又は亜硝酸
のアルカリ金属塩等が含まれる。
【0124】硝酸類は、そのまま反応系に供給してもよ
いが、水溶液などの溶液の形態で反応系に供給すること
ができる。また、これらは反応系中で生成させて反応に
用いることもできる。
【0125】ラジカルを生成可能な化合物(A)とラジ
カル捕捉性化合物(B)との反応は、溶媒の存在下又は
不存在下で行われる。溶媒としては、例えば、酢酸、プ
ロピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、プロピオニ
トリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミ
ド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、
ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オク
タンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、
トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水
素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなど
のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステ
ル類;これらの混合溶媒など挙げられる。溶媒として、
酢酸などの有機酸類、アセトニトリルやベンゾニトリル
などのニトリル類、トリフルオロメチルベンゼンなどの
ハロゲン化炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類など
を用いる場合が多い。
【0126】ラジカルを生成可能な化合物(A)とラジ
カル捕捉性化合物(B)との比率は、両化合物の種類
(価格、反応性)や組み合わせなどにより適宜選択でき
る。例えば、化合物(A)を化合物(B)に対して過剰
(例えば、2〜50モル倍程度)に用いてもよく、逆
に、化合物(B)を化合物(A)に対して過剰に用いて
もよい。
【0127】本発明の方法は温和な条件において円滑に
反応が進行するという特徴を有する。反応温度は、前記
化合物(A)及び化合物(B)の種類や目的生成物の種
類などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜300
℃、好ましくは20〜200℃程度である。反応は、常
圧又は加圧下で行うことができ、加圧下で反応させる場
合には、通常、0.1〜10MPa(例えば、0.15
〜8MPa、特に1〜8MPa)程度である。反応時間
は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、10分〜48
時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0128】反応は、回分式、半回分式、連続式などの
慣用の方法により行うことができる。前記イミド系触媒
を系内に逐次的に添加すると、より高い転化率や選択率
で目的化合物を得ることができる場合が多い。また、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属含有化合物も、反応系
内に一括して添加してもよく、逐次的に添加してもよ
い。
【0129】反応終了後、反応生成物は、例えば、濾
過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマト
グラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分
離手段により分離精製できる。
【0130】本発明の方法によれば、ラジカルを生成可
能な化合物(A)とラジカル捕捉性化合物(B)の組み
合わせに応じて付加又は置換反応生成物[炭素−炭素結
合生成物(カップリング反応生成物等)、酸化生成物、
カルボキシル化生成物、ニトロ化生成物、スルホン化生
成物など]又はこれらの誘導体が生成する。
【0131】例えば、前記化合物(A)として、ヘテロ
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘテロ原子含有
化合物(A1)を用いる場合には、該ヘテロ原子の隣接位
が、不飽和化合物(B1)の不飽和結合を形成する原子
(例えば、炭素原子)、メチン炭素原子を有する化合物
(B2)の該メチン炭素原子、又はへテロ原子含有化合物
(B3)の該ヘテロ原子に結合して付加又は置換反応生成
物又はこれらの誘導体を与える。
【0132】また、前記化合物(A)として、炭素−ヘ
テロ原子二重結合を有する化合物(例えばカルボニル基
含有化合物)(A2)を用いる場合には、炭素−ヘテロ原
子二重結合に係る炭素原子(例えばカルボニル炭素原
子)とこの炭素原子に隣接する原子との間の結合が切断
され、該炭素−ヘテロ原子二重結合を含む原子団(例え
ばアシル基)が、前記化合物(B1)、(B2)又は(B3)
の上記部位に結合して付加又は置換反応生成物又はこれ
らの誘導体を与える。
【0133】さらに、ラジカルを生成可能な化合物
(A)として、メチン炭素原子を有する化合物(A3)を
用いる場合には、該メチン炭素原子が、前記化合物(B
1)、(B2)又は(B3)の上記部位に結合して対応する
付加又は置換反応生成物又はこれらの誘導体が生成す
る。
【0134】通常、ラジカル捕捉性化合物(B)とし
て、不飽和化合物(B1)を用いる場合には付加反応生成
物が、メチン炭素原子を有する化合物(B2)を用いる場
合には置換反応生成物(例えば、カップリング生成物)
が生成する。
【0135】また、ラジカル捕捉性化合物(B)として
酸素原子含有反応剤(B4)を用いて、ラジカルを生成可
能な化合物(A)と反応させると、酸素原子含有反応剤
の種類に応じた酸素原子含有基(例えば、ヒドロキシル
基、オキソ基、カルボキシル基、ニトロ基、硫黄酸基な
ど)を含む有機化合物が生成する。
【0136】さらに、本発明の方法では、ラジカルを生
成可能な化合物(A)やラジカル捕捉性化合物(B)を
2種以上用いることにより、置換又は付加反応が逐次的
に起こり、複雑な有機化合物をワンステップで得ること
が可能である。例えば、ラジカル捕捉性化合物(B)と
して不飽和化合物(B1)と酸素(B4-1)とを用いて前記
化合物(A)と反応させると、不飽和結合を形成する2
つの炭素原子のうち、一方の炭素原子に、前記のように
化合物(A)に由来する基が結合するとともに、他方の
炭素原子に酸素由来のヒドロキシル基が導入され得る。
【0137】本発明の方法において、反応機構の詳細は
必ずしも明らかではないが、反応の過程で、酸化活性種
[例えば、イミドN−オキシラジカル(>NO・)]が
生成し、これが前記化合物(A)から水素を引き抜い
て、例えば化合物(A1)ではヘテロ原子の隣接位の炭素
原子に、化合物(A2)では炭素−ヘテロ原子二重結合に
係る炭素原子に、化合物(A3)ではメチン炭素原子に、
化合物(A4)では不飽和結合の隣接位の炭素原子に、そ
れぞれラジカルを生成させ、このようにして生成したラ
ジカルが前記化合物(B)と反応して、対応する置換又
は付加反応生成物が生成するものと推測される。
【0138】また、上記反応で生成した付加又は置換反
応生成物は、その構造や反応条件により、反応系内にお
いて、さらに脱水反応、環化反応、脱炭酸反応、転位反
応、異性化反応などが進行して対応する誘導体が生成し
うる。
【0139】なお、ラジカルを生成可能な化合物(A)
とラジカル捕捉性化合物(B)との反応は、いわゆる重
合禁止剤(ハイドロキノンなど)ができるだけ少ない条
件下で行うのが好ましい。例えば、反応系内における重
合禁止剤の量は、好ましくは1000ppm以下、さら
に好ましくは100ppm以下である。上記重合禁止剤
の量が1000ppmを超えると反応速度が低下しやす
く、前記イミド系化合物や助触媒の量を多量に使用する
必要性が生じる場合がある。逆に、反応系内における重
合禁止剤の量が少ない場合には、反応速度が速くなり収
率が向上するとともに、反応成績の再現性が高く、目的
化合物を安定して製造できるという利点がある。従っ
て、重合禁止剤が添加されて販売されている(B1)不飽
和化合物などは、蒸留などにより重合禁止剤を除去した
後、反応に供するのが好ましい。このことは、化合物
(A)と化合物(B)とを前記イミド系化合物の存在下
で反応させる何れの反応についても当てはまる。
【0140】本発明では、ラジカルを生成可能な化合物
(A)とラジカル捕捉性化合物(B)とを適当に組み合
わせて反応させることにより、下記に示すような種々の
有機化合物を得ることができる。
【0141】1.1,3−ジヒドロキシ化合物の製造 その第1の例を説明すると、本発明の触媒の存在下、下
記式(2)
【化6】 (式中、Ra、Rbは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示す。Ra、Rbは、互いに結合して、隣接する
炭素原子と共に環を形成してもよい)で表されるアルコ
ールと、(B11)下記式(3)
【化7】 (式中、Rc、Rd、Reは、同一又は異なって、水素原
子又は有機基を示し、Yは電子吸引性基を示す。Rc
d、Re、Yは互いに結合して、隣接する炭素原子又は
炭素−炭素結合とともに環を形成してもよい)で表され
る活性オレフィン及び(B41)酸素とを反応させること
により、下記式(4)
【化8】 (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Yは前記に同じ)
で表される1,3−ジヒドロキシ化合物を得ることがで
きる。この反応は、WO00/35835記載の方法
(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた
方法)に準じて行うことができる。
【0142】[アルコール]前記式(2)中、Ra、Rb
における有機基としては、本反応を阻害しないような有
機基(例えば、本方法における反応条件下で非反応性の
有機基)であればよく、例えば、炭化水素基、複素環式
基などが挙げられる。
【0143】前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪
族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20程度の
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(アルキル基、
アルケニル基及びアルキニル基)などが挙げられる。脂
環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜20(好
ましくは炭素数3〜15)程度の単環の脂環式炭化水素
基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等);橋か
け環炭化水素基などが挙げられる。芳香族炭化水素基と
しては、例えば、炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素
基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、種々の置
換基を有していてもよい。
【0144】Ra、Rbにおける複素環式基を構成する複
素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含ま
れる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子
として酸素原子を含む複素環、ヘテロ原子としてイオウ
原子を含む複素環、ヘテロ原子として窒素原子を含む複
素環などが挙げられる。これらの複素環式基は、置換基
を有していてもよい。
【0145】Ra、Rbが、互いに結合して、隣接する炭
素原子と共に形成する環としては、例えば、シクロペン
タン、シクロヘキサン、シクロドデカン、デカリン、ア
ダマンタン環などの3〜20員(好ましくは3〜15
員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度
の非芳香族性炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケ
ン環、橋かけ炭素環)などが挙げられる。これらの環
は、置換基を有していてもよく、また他の環(非芳香族
性環又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0146】好ましいRaには、水素原子、C1-4アルキ
ル基、C6-14アリール基などが含まれる。好ましいRb
には、水素原子、C1-10脂肪族炭化水素基、脂環式炭化
水素基などが含まれる。また、Ra、Rbが互いに結合し
て隣接する炭素原子と共に3〜15員(特に5〜8員)
程度の非芳香族性炭素環を形成するのも好ましい。
【0147】前記式(2)で表されるアルコールとして
は、前記(A1-1)における第1級若しくは第2級アルコ
ールとして例示したアルコールなどが挙げられる。
【0148】好ましいアルコールには、第2級アルコー
ル(例えば、2−プロパノール、s−ブチルアルコール
などの脂肪族第2級アルコール;1−シクロヘキシルエ
タノールなどのヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基(例えば、C 1-4アルキル基、C6-14
リール基など)と非芳香族性炭素環式基(例えば、C3
-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基など)と
が結合している第2級アルコール;シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、2−アダマンタノールなどの
3〜15員程度の脂環式第2級アルコール;1−フェニ
ルエタノールなどの芳香族第2級アルコール)、及び前
記Rbが橋かけ環炭化水素基であるアルコールが含まれ
る。
【0149】[活性オレフィン]前記式(3)で表され
る活性オレフィンにおいて、Rc、Rd、Reにおける有
機基としては、本反応を阻害しないような有機基(例え
ば、本方法における反応条件下で非反応性の有機基)で
あればよく、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、複素
環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ
カルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基な
ど)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基
(N−置換又は無置換アミド基)、シアノ基、ニトロ
基、硫黄酸基(スルホン酸基、スルフィン酸基)、硫黄
酸エステル基(スルホン酸エステル基、スルフィン酸エ
ステル基)、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、N−置換又は無置換アミノ基などが例示できる。前
記カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基は慣用の
保護基で保護されていてもよい。
【0150】前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。炭化水素基とし
ては、前記Ra、Rbにおける炭化水素基として例示した
基などが挙げられ、これらの炭化水素基は置換基を有し
ていてもよい。前記複素環式基としては、前記Ra、Rb
における複素環式基として例示した基などが挙げられ、
これらの複素環式基は置換基を有していてもよい。アル
コキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソ
プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブト
キシカルボニル基などのC1-6アルコキシ−カルボニル
基などが含まれる。アリールオキシカルボニル基には、
例えば、フェニルオキシカルボニル基などが含まれ、ア
ラルキルオキシカルボニル基には、例えば、ベンジルオ
キシカルボニル基などが含まれる。また、シクロアルキ
ルオキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチ
ルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル
基などが挙げられる。
【0151】置換カルバモイル基には、例えば、N−メ
チルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル基な
どが含まれる。スルホン酸エステル基には、スルホン酸
メチル、スルホン酸エチル基などのスルホン酸C1-4
ルキルエステル基などが含まれる。スルフィン酸エステ
ル基には、スルフィン酸メチル、スルフィン酸エチル基
などのスルフィン酸C1-4アルキルエステル基などが含
まれる。アシル基としては、例えば、アセチル、プロピ
オニル基などの脂肪族アシル基(例えば、C2- 7脂肪族
アシル基など)、ベンゾイル基などの芳香族アシル基な
どが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などの炭素数
1〜6程度のアルコキシ基などが挙げられる。N−置換
アミノ基には、例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,
N−ジエチルアミノ、ピペリジノ基などが含まれる。
【0152】好ましいRc、Rd、Reには、水素原子、
炭化水素基[例えば、C1-6脂肪族炭化水素基(特にC
1-4脂肪族炭化水素基など)、C6-14アリール基(フェ
ニル基など)、シクロアルキル基(3〜8員程度のシク
ロアルキル基など)、ハロアルキル基(例えば、トリフ
ルオロメチル基などのC1-6ハロアルキル基、特にC1-4
ハロアルキル基)など]、複素環式基、置換オキシカル
ボニル基(例えば、C1- 6アルコキシ−カルボニル基、
アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボ
ニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カ
ルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ
基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基
などが含まれる。Rc、Rdとして特に好ましい基は、水
素原子、C 1-6脂肪族炭化水素基(特にC1-4脂肪族炭化
水素基など)、C6-14アリール基(フェニル基など)、
シクロアルキル基(3〜8員程度のシクロアルキル基な
ど)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基
などのC1-6ハロアルキル基、特にC1-4ハロアルキル
基)など]、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-6
アルコキシ−カルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオ
キシカルボニル基など)、シアノ基などである。また、
特に好ましいReには、水素原子、C1-6脂肪族炭化水素
基(特にC1-4脂肪族炭化水素基など)などが挙げられ
る。
【0153】Rc、Rd、Re(RcとRd、RcとRe、Rd
とRe、又はRcとRdとRe)が互いに結合して隣接する
炭素原子又は炭素−炭素結合とともに形成する環として
は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シ
クロオクタン、シクロドデカン環などの3〜20員程度
の脂環式炭素環(シクロアルカン環、シクロアルケン環
等)などが挙げられる。これらの環は置換基を有してい
てもよく、また他の環(非芳香族性環又は芳香族性環)
が縮合していてもよい。
【0154】電子吸引基Yとしては、例えば、メトキシ
カルボニル、エトキシカルボニル基などのアルコキシカ
ルボニル基;フェノキシカルボニル基などのアリールオ
キシカルボニル基;ホルミル、アセチル、プロピオニ
ル、ベンゾイル基などのアシル基;シアノ基;カルボキ
シル基;カルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル
基などの置換又は無置換カルバモイル基;−CH=N−
R(Rは、アルキル基など);フェニル、ナフチル基な
どのアリール基;ビニル、1−プロペニル、エチニル基
などの1−アルケニル基又は1−アルキニル基などが挙
げられる。
【0155】Rc、Rd、Reの少なくとも1つとYとが
互いに結合して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合
とともに形成してもよい環には、例えば、シクロペンタ
ジエン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環などが
挙げられる。式(3)で表される活性オレフィンの代表
的な例としては、前記活性不飽和化合物(B1-1)として
例示した化合物などが挙げられる。
【0156】[反応]式(2)で表されるアルコールと
式(3)で表される活性オレフィン及び酸素との反応
は、前記化合物(A)と化合物(B)との反応について
記載した方法に従って行うことができる。この反応で
は、系内で生成した式(2)で表されるアルコールに対
応する1−ヒドロキシアルキルラジカルが、式(3)で
表される活性オレフィンの不飽和結合を構成する2つの
炭素原子のうち基Yのβ位の炭素原子を攻撃して付加す
るとともに、付加によりα位に生成したラジカルに酸素
が攻撃することにより、式(4)で表される1,3−ジ
ヒドロキシ化合物が生成するものと推測される。
【0157】なお、反応で生成した前記式(4)で表さ
れる化合物において、Yがアルコキシカルボニル基、ア
リールオキシカルボニル基などのエステル基やカルボキ
シル基などの場合には、後述するように、系内でさらに
環化反応が進行して、前記式(6)で表されるフラノン
誘導体(α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン誘導体)
が生成しうる。上記フラノン誘導体の収率は、例えば、
前記助触媒の種類や量を調整したり、前記付加反応(又
は、その後の酸化)の後、さらに熟成することにより向
上できる。この熟成期の反応温度は付加反応の反応温度
より高く設定してもよい。また、前記フラノン誘導体
は、式(4)で表される化合物を単離し、例えば、溶媒
に溶解させ、必要に応じて加熱することにより製造する
こともできる。溶媒としては、特に限定されず、後述の
溶媒のほか、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水
素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;アセトン、
シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランなどのエーテル;メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール等のアルコール等を使用でき
る。この場合の反応温度は、例えば0〜150℃、好ま
しくは30〜100℃程度である。
【0158】2.α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
誘導体の製造 本発明の触媒の存在下、前記式(2)で表されるアルコ
ールと、下記式(5)
【化9】 (式中、Rc、Rd、Re、Rfは、同一又は異なって、水
素原子又は有機基を示す。Rc、Rd、Reは互いに結合
して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに環
を形成してもよい)で表されるα,β−不飽和カルボン
酸誘導体及び(B41)酸素とを反応させることにより、
下記式(6)
【化10】 (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Reは前記に同じ)で表
されるα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン誘導体を得
ることができる。この反応は、WO00/35835記
載の方法(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒
を用いた方法)に準じて行うことができる。
【0159】[アルコール]式(2)で表されるアルコ
ールとしては、前記1,3−ジヒドロキシ化合物の製造
の場合と同様のものを使用できる。
【0160】[α,β−不飽和カルボン酸誘導体]前記
式(5)におけるRc、Rd、Reとしては、前記式
(3)おけるRc、Rd、Reと同様である。Rfにおける
有機基としては、反応を阻害しないような有機基(例え
ば、本方法における反応条件下で非反応性の有機基)、
例えば、炭化水素基、複素環式基などが例示できる。な
お、式(5)で表される化合物が式(5)中に示されて
いる−CO2f基の他に置換オキシカルボニル基を有し
ている場合、前記−CO2f基は環化反応に関与するも
のの、他の置換オキシカルボニル基はそのままの形で生
成物中に残存しうるので、該他の置換オキシカルボニル
基は非反応性の有機基に含まれる。
【0161】Rc及びRdのうち少なくとも一方が、ハロ
アルキル基、置換オキシカルボニル基、カルボキシル
基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ
基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基などの電子吸引性有機
基である場合には、特に高い収率で目的物であるα−ヒ
ドロキシ−γ−ブチロラクトン誘導体を得ることができ
る。
【0162】前記Rfは、水素原子又は炭化水素基であ
る場合が多く、例えばC1-6アルキル基(特にC1-4アル
キル基)、C2-6アルケニル基(特にC2-4アルケニル
基)、C6-10アリール基などであるのが好ましい。
【0163】式(5)で表されるα,β−不飽和カルボ
ン酸誘導体の代表的な例として、例えば、(メタ)アク
リル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)
アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸エステ
ル;クロトン酸;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル
などのクロトン酸エステル;3−メチル−2−ブテン
酸;3−メチル−2−ブテン酸メチル、3−メチル−2
−ブテン酸エチルなどの3−メチル−2−ブテン酸エス
テル;2−ペンテン酸:2−ペンテン酸メチル、2−ペ
ンテン酸エチルなどの2−ペンテン酸エステル;2−オ
クテン酸;2−オクテン酸メチル、2−オクテン酸エチ
ルなどの2−オクテン酸エステル;桂皮酸;桂皮酸メチ
ル、桂皮酸エチルなどの桂皮酸エステル;4,4,4−
トリフルオロ−2−ブテン酸;4,4,4−トリフルオ
ロ−2−ブテン酸メチル、4,4,4−トリフルオロ−
2−ブテン酸エチルなどの4,4,4−トリフルオロ−
2−ブテン酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ジメチ
ル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステル;フ
マル酸;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどのフ
マル酸エステル;3−シアノアクリル酸;3−シアノア
クリル酸メチル、3−シアノアクリル酸エチルなどの3
−シアノアクリル酸エステルなどの炭素数2〜15程度
のα,β−不飽和カルボン酸又はそのエステル(C1-6
アルキルエステル、C2-6アルケニルエステル、アリー
ルエステルなど)などが挙げられる。
【0164】[反応]式(2)で表されるアルコールと
式(5)で表されるα,β−不飽和カルボン酸誘導体及
び酸素との反応は、前記化合物(A)と化合物(B)と
の反応について記載した方法に従って行うことができ
る。
【0165】本発明の方法では、反応中間生成物とし
て、下記式(7)
【化11】 (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rfは前記に同じ)
で表されるα,γ−ジヒドロキシカルボン酸誘導体(前
記式(4)で表される化合物の1種)が生成する。この
化合物は、系内で生成した前記式(2)で表されるアル
コールに対応する1−ヒドロキシアルキルラジカルが、
式(5)で表されるα,β−不飽和カルボン酸誘導体の
β位を攻撃して付加するとともに、付加によりα位に生
成したラジカルに酸素が攻撃することにより生成するも
のと推測される。そして、生成した式(7)で表される
α,γ−ジヒドロキシカルボン酸誘導体が反応条件下で
閉環することにより目的物である式(6)で表されるα
−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン誘導体が生成する。
【0166】なお、式(2)で表されるアルコールとし
て、第1級アルコールを用いた場合(Ra=水素原子の
場合)には、系内でアシルラジカル[RbC(=O)
・]が生成するためか、前記式(6)で表される化合物
のほか、下記式(8)
【化12】 (式中、Rb、Rc、Rd、Re、Rfは前記に同じ)で表
されるβ−アシル−α−ヒドロキシカルボン酸誘導体が
生成する場合がある。なお、α−ヒドロキシ−γ−ブチ
ロラクトン誘導体は、前記のように、式(7)で表され
るα,γ−ジヒドロキシカルボン酸誘導体を単離し、例
えば、溶媒に溶解させ、必要に応じて加熱することによ
り製造することもできる。
【0167】3.共役不飽和化合物の製造 本発明の触媒の存在下、下記式(2a)
【化13】 (式中、Ri、Rjは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示す。Ri、Rjは、互いに結合して、隣接する
炭素原子と共に環を形成していてもよい)で表されるア
ルコールと、下記式(3a)
【化14】 (式中、Rd、Reは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示し、Yは電子吸引基を示す。Rd、Re、Y
は、互いに結合して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素
結合とともに環を形成してもよい)で表される活性オレ
フィン及び酸素とを反応させることにより、下記式
(9)
【化15】 (式中、Rd、Re、Ri、Rj、Yは前記に同じ)で表さ
れる共役不飽和化合物を得ることができる。この反応
は、WO00/35835記載の方法(5員のN−ヒド
ロキシ環状イミド化合物触媒を用いた方法)に準じて行
うことができる。
【0168】前記式(2a)中、Ri、Rjにおける有機基
としては、前記Ra、Rbにおける有機基と同様であり、
i、Rjが互いに結合して隣接する炭素原子と共に形成
する環としては、Ra、Rbが互いに結合して隣接する炭
素原子と共に形成する環と同様のものが挙げられる。
【0169】好ましいRiには、水素原子、C1-4アルキ
ル基、C6-14アリール基などが含まれる。好ましいRj
には、水素原子、C1-10脂肪族炭化水素基(特にC1-10
アルキル基)、脂環式炭化水素基(C3-15シクロアルキ
ル基又はシクロアルケニル基;橋かけ環炭化水素基等)
などが含まれる。また、Ri、Rjが互いに結合して隣接
する炭素原子と共に3〜15員(特に5〜8員)程度の
非芳香族性炭素環を形成するのも好ましい。
【0170】前記式(2a)で表されるアルコールとして
は、広範囲の第1級アルコールが挙げられる。その代表
的な例として、エタノール、1−プロパノール、1−ブ
タノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタ
ノール、1−ヘキサノールなどの炭素数2〜30(好ま
しくは2〜20、さらに好ましくは2〜15)程度の飽
和又は不飽和脂肪族第1級アルコール;シクロペンチル
メチルアルコール、シクロヘキシルメチルアルコールな
どの飽和又は不飽和脂環式第1級アルコール;2−フェ
ニルエチルアルコール、3−フェニルプロピルアルコー
ル、桂皮アルコールなどの芳香族第1級アルコール;2
−(2−ヒドロキシエチル)ピリジンなどの複素環式ア
ルコールが挙げられる。
【0171】前記式(3a)で表される化合物は、前記式
(3)で表される化合物のうちRcが水素原子である化
合物に相当する。式(3a)中のRd、Re、Yは前記式
(3)と同様である。
【0172】反応は前記1,3−ジヒドロキシ化合物の
製造に準じて行うことができる。なお、この反応では、
前記式(9)で表される共役不飽和化合物のほか、前記
式(4)に対応する化合物(式(4)において、Ra
ijCH基、Rb=Rc=Hである化合物)、及び式
(3a)の化合物としてY=CO2fである化合物を用い
る場合には、前記式(6)に対応する化合物(式(6)
において、Ra=RijCH基、Rb=Rc=Hである化
合物)が生成しうる。
【0173】例えば、n−プロピルアルコールとアクリ
ル酸エチルとを反応させた場合には、目的物であるソル
ビン酸エチルが生成するほか、条件により、式(4)に
対応する2,4−ジヒドロキシヘキサン酸エチル及び式
(6)に対応する4−エチル−2−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンが生成する。
【0174】式(9)で表される共役不飽和化合物は、
先ず前記式(4)に対応するジヒドロキシ化合物(式
(4)において、Ra=RijCH基、Rb=Rc=Hで
ある化合物)が生成し、次いでこの化合物から2分子の
水が脱離することにより生成するものと推測される。反
応生成物は前記と同様の分離手段により分離精製でき
る。
【0175】4.β−ヒドロキシアセタール化合物の製
造 本発明の触媒の存在下、下記式(10)
【化16】 (式中、Rk、Rm、Rnは、同一又は異なって、水素原
子又は有機基を示す。Rm、Rnは、互いに結合して、式
中に示される隣接する2個の酸素原子及び炭素原子とと
もに環を形成していてもよい)で表されるアセタール
と、前記式(3)で表される活性オレフィン及び酸素と
を反応させることにより、下記式(11)
【化17】 (式中、Rc、Rd、Re、Rk、Rm、Rn、Yは前記に同
じ)で表されるβ−ヒドロキシアセタール化合物を製造
できる。この反応は、WO00/35835記載の方法
(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた
方法)に準じて行うことができる。
【0176】式(10)中、Rk、Rm、Rnにおける有機
基としては、前記Ra、Rbにおける有機基と同様のもの
が挙げられる。Rm、Rnが互いに結合して隣接する2個
の酸素原子及び炭素原子と共に形成する環としては、
1,3−ジオキソラン環、1,3−ジオキサン環などが
挙げられる。これらの環にはアルキル基やハロゲン原子
などの置換基が結合していてもよい。
【0177】好ましいRkには、水素原子;C1-10脂肪
族炭化水素基(特に、C1-4アルキル基);C3-15程度
の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケ
ニル基、橋かけ環炭化水素基);C6-14アリール基など
が含まれる。好ましいRm、Rnとしては、水素原子、C
1-6脂肪族炭化水素基(特に、C1-4アルキル基)、C3-
10程度の脂環式炭化水素基などが挙げられる。また、R
m、Rnが互いに結合して隣接する2個の酸素原子及び炭
素原子と共に環を形成するのも好ましい。式(10)で表
されるアセタールとしては、前記(A1-3)において酸素
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタールとし
て例示された化合物が挙げられる。その代表的な例に
は、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオ
キソラン、2−エチル−1,3−ジオキソランなどの
1,3−ジオキソラン化合物;2−メチル−1,3−ジ
オキサンなどの1,3−ジオキサン化合物;アセトアル
デヒドジメチルアセタールなどのジアルキルアセタール
化合物等が含まれる。
【0178】式(3)で表される活性オレフィンは前記
と同様である。反応は前記本発明の有機化合物の製造法
に従って行うことができる。また、反応生成物は前記と
同様の分離手段により分離精製できる。
【0179】なお、この反応では、先ず式(10)で表さ
れるアセタールに対応する1,1−ジ置換オキシアルキ
ルラジカルが生成し、これが式(3)で表される活性オ
レフィンの不飽和結合を構成する2つの炭素原子のうち
基Yのβ位の炭素原子を攻撃して付加するとともに、付
加によりα位に生成したラジカルに酸素が攻撃すること
により、式(11)で表されるβ−ヒドロキシアセタール
化合物が生成するものと推測される。
【0180】5.ヒドロキシ化合物の製造 本発明の触媒の存在下、下記式(12)
【化18】 (式中、Ro、Rp、Rqは、同一又は異なって、有機基
を示す。Ro、Rp、Rqは、互いに結合して、隣接する
炭素原子とともに環を形成していてもよい)で表される
メチン炭素原子を有する化合物と、前記式(3)で表さ
れる活性オレフィン及び酸素とを反応させることによ
り、下記式(13)及び(14)
【化19】 (式中、Rc、Rd、Re、Ro、Rp、Rq、Yは前記に同
じ)から選択された少なくとも1種のヒドロキシ化合物
を得ることができる。この反応は、WO00/3583
5記載の方法(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物
触媒を用いた方法)に準じて行うことができる。
【0181】式(12)中、Ro、Rp、Rqにおける有機
基としては、前記Ra、Rbにおける有機基と同様のもの
が挙げられる。好ましい有機基には、C1-10脂肪族炭化
水素基(特に、C1-4アルキル基)、C3-15程度の脂環
式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル
基、橋かけ環炭化水素基);C6-14アリール基などが含
まれる。
【0182】Ro、Rp、Rq(RoとRp、RpとRq、Ro
とRq、又はRoとRpとRq)が互いに結合して隣接する
炭素原子と共に形成する環としては、例えば、シクロペ
ンタン、シクロヘキサン環などの3〜20員(好ましく
は3〜15員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜
8員)程度の単環の脂環式炭素環(シクロアルカン環、
シクロアルケン環);例えば、アダマンタン環、パーヒ
ドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン
環、パーヒドロアントラセン環、パーヒドロフェナント
レン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、
パーヒドロアセナフテン環、パーヒドロフェナレン環、
ノルボルナン環、ノルボルネン環など2〜4環程度の橋
かけ環式炭素環が挙げられる。これらの環は、置換基を
有していてもよい。
【0183】RoとRpとRqが互いに結合して隣接する
炭素原子と共に橋かけ環式炭素環を形成する場合、式
(12)に示されるメチン炭素原子は橋頭位の炭素原子で
あるのが好ましい。
【0184】式(12)で表されるメチン炭素原子を有す
る化合物としては、前記メチン炭素原子を有する化合物
(A3)、例えば、橋かけ環式化合物(A3-1a)、環に炭
化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(A3-1b)、
メチン炭素原子を有する鎖状化合物(A3-2)として例示
された化合物が挙げられる。
【0185】式(3)で表される活性オレフィンは前記
と同様である。反応は前記本発明の有機化合物の製造法
に従って行うことができる。また、反応生成物は前記と
同様の分離手段により分離精製できる。
【0186】この反応では、式(12)で表される化合物
の該メチン炭素部位にラジカルが生成し、これが式
(3)で表される活性オレフィンの不飽和結合を構成す
る2つの炭素原子のうち基Yのβ位の炭素原子又はα位
の炭素原子を攻撃して付加するとともに、付加によりα
位又はβ位にそれぞれ生成したラジカルに酸素が攻撃す
ることにより、式(13)で表されるヒドロキシ化合物又
は式(14)で表されるヒドロキシ化合物が生成するもの
と考えられる。
【0187】このようにして製造される式(13)で表さ
れるヒドロキシ化合物のうち、好ましい化合物には、R
oとRpとRqが互いに結合して隣接する炭素原子と共に
橋かけ環式炭素環(例えば、アダマンタン環など)を形
成し、Rc、Rd、Reがそれぞれ水素原子又はC1-4アル
キル基であり、Yがアルコキシカルボニル基(例えば、
1-4アルコキシ−カルボニル基)、アリールオキシカ
ルボニル基、アシル基(例えば、C1-4アシル基、ベン
ゾイル基など)又はカルボキシル基である化合物が含ま
れる。このような化合物は、医薬、農薬などの精密化学
品の原料や機能性高分子の原料等として有用である。
【0188】6.カルボニル化合物の製造(1) 本発明の触媒の存在下、前記式(12)で表されるメチン
炭素原子を有する化合物と、下記式(3b)
【化20】 (式中、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示し、Yは電子吸引基を示す。Rc、Rd、Y
は、互いに結合して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素
結合とともに環を形成していてもよい)で表される活性
オレフィン及び酸素とを反応させることにより、下記式
(15)
【化21】 (式中、Rc、Rd、Ro、Rp、Rq、Yは前記に同じ)
で表されるカルボニル化合物を得ることができる。この
反応は、WO00/35835記載の方法(5員のN−
ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた方法)に準じ
て行うことができる。
【0189】この方法は、前記ヒドロキシ化合物の製造
において、式(3)で表される活性オレフィンとしてR
eが水素原子である化合物を用いた場合に相当する。こ
の場合には、前記式(13)に相当する化合物(Re
H)及び/又は式(14)に相当する化合物(Re=H)
の代わりに、又は前記化合物に加えて、式(15)で表さ
れるカルボニル化合物が生成する。両化合物の生成比率
は、例えば、反応温度、触媒量、助触媒(遷移金属化合
物)の種類などの反応条件を適宜選択することにより調
整できる。
【0190】式(15)で表されるカルボニル化合物は、
式(13)に相当する化合物(Re=H)が系内でさらに
酸化されて生成するものと考えられる。
【0191】こうして製造される式(15)で表されるカ
ルボニル化合物のうち、好ましい化合物には、RoとRp
とRqが互いに結合して隣接する炭素原子と共に橋かけ
環式炭素環(例えば、アダマンタン環など)を形成し、
c、Rdがそれぞれ水素原子又はC1-4アルキル基であ
り、Yがアルコキシカルボニル基(例えば、C1-4アル
コキシ−カルボニル基)、アリールオキシカルボニル
基、アシル基(例えば、C 1-4アシル基、ベンゾイル基
など)又はカルボキシル基である化合物が含まれる。こ
のような化合物は、医薬、農薬などの精密化学品の原料
や機能性高分子の原料等として有用である。
【0192】7.電子吸引基含有化合物の製造 本発明の触媒の存在下、前記式(12)で表されるメチン
炭素原子を有する化合物と、下記式(3c)
【化22】 (式中、Reは水素原子又は有機基を示し、Yは電子吸
引基を示す)で表される活性オレフィン及び酸素とを反
応させることにより、下記式(16)
【化23】 (式中、Re、Ro、Rp、Rq、Yは前記に同じ)で表さ
れる電子吸引基含有化合物を得ることができる。この反
応は、WO00/35835記載の方法(5員のN−ヒ
ドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた方法)に準じて
行うことができる。
【0193】この方法は、前記ヒドロキシ化合物の製造
において、式(3)で表される活性オレフィンとしてR
c及びRdが水素原子である化合物を用いた場合に相当す
る。この場合には、前記式(13)に相当する化合物(R
c=Rd=H)、前記式(14)に相当する化合物(Rc
d=H)、前記式(15)に相当する化合物(Rc=Rd
=H、Re=Hの場合のみ)の代わりに、又は前記化合
物に加えて、式(16)で表される化合物が生成する。前
記各化合物の生成比率は、例えば、反応温度、触媒量、
助触媒(遷移化合物)の種類などの反応条件を適宜選択
することにより調整できる。
【0194】式(16)で表される化合物は、式(14)に
相当する化合物(Rc=Rd=H)のメチロール基が系内
でさらに酸化されてカルボキシル基となり、これが脱炭
酸することにより生成するものと考えられる。
【0195】こうして製造される式(16)で表されるカ
ルボニル化合物のうち、好ましい化合物には、RoとRp
とRqが互いに結合して隣接する炭素原子と共に橋かけ
環式炭素環(例えば、アダマンタン環など)を形成し、
eが水素原子又はC1-4アルキル基であり、Yがアルコ
キシカルボニル基(例えば、C1-4アルコキシ−カルボ
ニル基)、アリールオキシカルボニル基、アシル基(例
えば、C1-4アシル基、ベンゾイル基など)又はカルボ
キシル基である化合物が含まれる。このような化合物
は、医薬、農薬などの精密化学品の原料や機能性高分子
の原料等として有用である。
【0196】8.アルコールの製造 本発明の触媒の存在下、必要に応じて酸素の存在下、前
記式(2)で表されるアルコールと前記式(12)で表さ
れるメチン炭素原子を有する化合物とを反応させること
により、下記式(17)
【化24】 (式中、Ra、Rb、Ro、Rp、Rq、Yは前記に同じ)
で表されるアルコールを得ることができる。この反応
は、WO00/35835記載の方法(5員のN−ヒド
ロキシ環状イミド化合物触媒を用いた方法)に準じて行
うことができる。
【0197】式(2)で表されるアルコールとしては、
前記1,3−ジヒドロキシ化合物の製造の場合と同様の
ものを使用できる。また、式(12)で表されるメチン炭
素原子を有する化合物としては、前記ヒドロキシ化合物
の製造の場合と同様の化合物を用いることができる。な
お、この方法では、式(12)で表されるメチン炭素原子
を有する化合物は、ラジカル捕捉性化合物(B2)として
機能すると考えられる。
【0198】反応は前記本発明の有機化合物の製造法に
従って行うことができる。また、反応生成物は前記と同
様の分離手段により分離精製できる。
【0199】この反応では、系内で生成した式(2)の
アルコールに対応する1−ヒドロキシアルキルラジカル
が、式(12)で表される化合物のメチン炭素原子を攻撃
することにより、式(17)で表されるアルコールが生成
するものと考えられる。
【0200】9.カップリング生成物の製造 本発明の触媒の存在下、必要に応じて酸素の存在下、下
記式(12a)
【化25】 (式中、Ro1、Rp1、Rq1は、同一又は異なって、有機
基を示す。Ro1、Rp1、Rq1は互いに結合して、隣接す
る炭素原子とともに環を形成していてもよい)で表され
るメチン炭素原子を有する化合物と、下記式(12b)
【化26】 (式中、Ro2、Rp2、Rq2は、同一又は異なって、有機
基を示す。Ro2、Rp2、Rq2は互いに結合して、隣接す
る炭素原子とともに環を形成していてもよい)で表され
るメチン炭素原子を有する化合物とを反応させることに
より、下記式(18)
【化27】 (式中、Ro1、Rp1、Rq1、Ro2、Rp2、Rq2は前記に
同じ)で表されるカップリング生成物(炭化水素類)を
得ることができる。この反応は、WO00/35835
記載の方法(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触
媒を用いた方法)に準じて行うことができる。
【0201】式(12a)及び式(12b)中、Ro1、Rp1
q1、Ro2、Rp2、Rq2における有機基及び好ましい有
機基としては、前記Ro、Rp、Rqの場合と同様のもの
が挙げられる。また、Ro1、Rp1、Rq1(Ro1とRp1
p1とRq1、Ro1とRq1、又はRo1とRp1とRq1)が互
いに結合して隣接する炭素原子と共に形成する環、
o2、Rp2、Rq2(Ro2とRp2、Rp2とRq2、Ro2とR
q2、又はRo2とRp2とRq2)が互いに結合して隣接する
炭素原子と共に形成する環としては、前記Ro、Rp、R
qが互いに結合して隣接する炭素原子と共に形成する環
と同様のものが挙げられる。
【0202】式(12a)、式(12b)で表されるメチン炭
素原子を有する化合物としては、前記メチン炭素原子を
有する化合物(A3)、例えば、橋かけ環式化合物(A3-1
a)、環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物
(A3-1b)、メチン炭素原子を有する鎖状化合物(A3-
2)として例示された化合物が挙げられる。式(12a)で
表される化合物と式(12b)で表される化合物は同一の
化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。
【0203】反応は前記本発明の有機化合物の製造法に
従って行うことができる。また、反応生成物は前記と同
様の分離手段により分離精製できる。
【0204】この反応では、式(12a)で表される化合
物の該メチン炭素部位にラジカルが生成し、これが式
(12b)で表される化合物のメチン炭素原子を攻撃する
ことにより、前記式(18)で表されるカップリング生成
物が生成するものと考えられる。
【0205】10.カルボニル化合物の製造(2) 本発明の触媒の存在下、必要に応じて酸素の存在下、下
記式(19)
【化28】 (式中、Rgは水素原子又は有機基を示す)で表される
アルデヒドと、下記式(20)
【化29】 (式中、Rc、Rd、Re、Rhは、同一又は異なって、水
素原子又は有機基を示す。Rc、Rd、Re、Rhは、互い
に結合して、隣接する炭素原子又は炭素−炭素とともに
環を形成していてもよい)で表されるオレフィン類とを
反応させることにより、下記式(21)
【化30】 (式中、Rc、Rd、Re、Rh、Rgは前記に同じ)で表
されるカルボニル化合物を得ることができる。
【0206】式(19)中、Rgにおける有機基として
は、前記Ra、Rbにおける有機基と同様のものが挙げら
れる。式(19)で表されるアルデヒドとしては、前記カ
ルボニル基含有化合物(A2-1)において例示したアルデ
ヒドなどを使用できる。
【0207】式(20)中、Rc、Rd、Reは前記と同様
であり、Rhにおける有機基は、前記Rc、Rd、Reと同
様である。式(20)で表されるオレフィン類としては、
例えば、前記非活性オレフィン(B1-6)、活性不飽和化
合物(B1-1)として例示した化合物などを使用できる。
【0208】反応は前記本発明の有機化合物の製造法に
従って行うことができる。また、反応生成物は前記と同
様の分離手段により分離精製できる。
【0209】この反応では、式(19)で表される化合物
から対応するアシルラジカルが生成し、これが式(20)
で表される化合物の二重結合を構成する炭素原子を攻撃
することにより、前記式(21)で表されるカルボニル化
合物が生成するものと考えられる。
【0210】11.β−アシルオキシカルボン酸又はβ−
アシルオキシケトンの製造 本発明の触媒の存在下、酸素の存在下で、前記式(2)
で表されるアルコールと、下記式(22)
【化31】 (式中、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は
有機基を示し、Re1、R rは、同一又は異なって、水素
原子、炭化水素基又は複素環式基を示す。Rc、R dは、
互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成して
いてもよい)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合
物とを反応させることにより、下記式(23)
【化32】 (式中、Zは、前記式(22)においてRe1が水素原子で
ある場合にはヒドロキシル基を示し、Re1が炭化水素基
又は複素環式基である場合には該Re1を示す。R a
b、Rc、Rd、Rrは前記に同じ)で表されるβ−アシ
ルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンが生成
する[特願2000−648号(5員のN−ヒドロキシ
環状イミド化合物触媒を用いた例)参照]。
【0211】有機基、炭化水素基、複素環式基、Rc
びRdが隣接する炭素原子と共に形成する環としては、
前記と同様の基が挙げられる。
【0212】この反応では、例えば、2−プロパノール
とメチルビニルケトンとを反応させることにより、3−
アセトキシ−3−メチルブタン酸が得られる。また、2
−プロパノールとアクロレインとを反応させることによ
り、3−ホルミルオキシ−3−メチルブタン酸が得られ
る。
【0213】反応は前記本発明の有機化合物の製造法に
従って行うことができる。また、反応生成物は前記と同
様の分離手段により分離精製できる。
【0214】この反応では、系内で生成した前記式
(2)で表されるアルコールに対応する1−ヒドロキシ
アルキルラジカルが、式(22)で表されるα,β−不飽
和カルボニル化合物のβ位を攻撃して付加するととも
に、付加によりα位に生成したラジカルに酸素が攻撃す
ることにより、下記式(24)
【化33】 (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re1、Rrは前記に同
じ)で表されるα,γ−ジヒドロキシカルボニル化合物
が生成し、さらにアシル基(RrC=O基)の転位と該
アシル基が結合していた炭素原子の酸化とを伴って、目
的物である式(23)で表されるβ−アシルオキシカルボ
ン酸又はβ−アシルオキシケトンが生成するものと推測
される。なお、前記式(22)においてRe1が水素原子で
あるα,β−不飽和カルボニル化合物を原料として用い
た場合には、対応するβ−アシルオキシカルボン酸が生
成し、Re1が炭化水素基又は複素環式基であるα,β−
不飽和カルボニル化合物を原料として用いた場合には、
対応するβ−アシルオキシケトンが生成する。
【0215】12.ポリアクリルアミド系重合体の製造 本発明の触媒と前記ラジカルを生成可能な化合物(A)
の存在下では、α,β−不飽和カルボン酸アミド類が温
和な条件下で重合して、対応するポリアクリルアミド系
重合体が得られる[特願2000−345822号(5
員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた例)
参照]。前記α,β−不飽和カルボン酸アミド類の代表
的な例として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−
メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、クロ
トン酸アミド等が挙げられる。反応温度は、原料の種類
などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜150℃、
好ましくは10〜100℃程度である。反応温度を調整
することにより、ポリマーの分子量をコントロールする
ことができる。反応生成物は、例えば、沈殿、再沈殿等
により分離精製できる。
【0216】13.酸素原子含有基を含む有機化合物の製
造 本発明の触媒の存在下、前記ラジカルを生成可能な化合
物(A)と、酸素原子含有反応剤(B4)とを反応させる
ことにより、酸素原子含有基を含む有機化合物を製造す
ることができる。
【0217】この反応は溶媒の存在下又は不存在下で行
われる。溶媒としては前記の溶媒を使用できる。前記イ
ミド系化合物の使用量は、化合物(A)1モルに対し
て、例えば0.0000001〜1モル、好ましくは
0.000001〜0.5モル、さらに好ましくは0.
00001〜0.4モルであり、0.0001〜0.3
モル程度である場合が多い。この反応では、前記遷移金
属化合物(例えば、バナジウム化合物、モリブデン化合
物、マンガン化合物、コバルト化合物など)等の助触媒
を併用すると、反応が著しく促進される場合が多い。
【0218】酸素原子含有反応剤(B4)は、ガス状の場
合、例えば、窒素やアルゴンなどの不活性ガスで希釈し
て用いてもよい。また、酸素原子含有反応剤(B4)は単
独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
2種以上の酸素原子含有反応剤(B4)を併用することに
より、分子内に、例えば、ヒドロキシル基、オキソ基、
カルボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基などから選択
された2種以上の異種官能基を導入することができる。
なお、この場合、2種以上の酸素原子含有反応剤(B4)
を同時に用いてもよく、逐次的に用いてもよい。
【0219】酸素原子含有反応剤(B4)の使用量は、そ
の種類により異なり、反応性や操作性等を考慮して適宜
選択できる。例えば、酸素原子含有反応剤(B4)として
酸素(B4-1)を用いる場合、酸素の使用量は、化合物
(A)1モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル
以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは
2〜50モル程度である。化合物(A)に対して過剰モ
ルの酸素を使用する場合が多い。
【0220】酸素原子含有反応剤(B4)として一酸化炭
素(B4-2)と酸素(B4-1)を併用する場合、化合物
(A)1モルに対して1モル以上(例えば、1〜100
モル程度)の一酸化炭素と0.5モル以上(例えば、
0.5〜50モル程度)の酸素を用いることが多い。こ
の場合、一酸化炭素と酸素の割合は、一酸化炭素/酸素
(モル比)=1/99〜99.99/0.01、好まし
くは10/90〜99/1程度である。
【0221】酸素原子含有反応剤(B4)として窒素酸化
物(B4-3)を用いる場合、該窒素酸化物の使用量は、窒
素酸化物の種類や化合物(A)の種類等に応じて適宜選
択でき、化合物(A)1モルに対して1モル以上であっ
てもよく、1モル未満であってもよい。なお、窒素酸化
物(例えば、二酸化窒素等)の使用量を、化合物(A)
1モルに対して1モル未満(例えば、0.0001モル
以上1モル未満)、好ましくは0.001〜0.8モ
ル、さらに好ましくは0.005〜0.25モル程度と
すると、窒素酸化物の転化率及び反応の選択性が大幅に
向上する。
【0222】二酸化窒素(NO2)と酸素とを組み合わ
せて使用すると、ニトロ化反応などの反応速度が大きく
向上する。この場合、酸素の使用量は、二酸化窒素1モ
ルに対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好
ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モ
ル程度である。
【0223】酸素原子含有反応剤として硫黄酸化物(B4
-4)を用いる場合、該硫黄酸化物の使用量は、硫黄酸化
物の種類や化合物(A)の種類等に応じて適宜選択でき
るが、一般には、化合物(A)1モルに対して1〜50
モル、好ましくは1.5〜30モル程度の範囲から選択
できる。硫黄酸化物の大過剰雰囲気下で反応を行っても
よい。また、硫黄酸化物(例えば、二酸化硫黄)と酸素
とを併用する場合、その割合は、例えば、前者/後者
(モル比)=10/90〜90/10、さらに好ましく
は前者/後者(モル比)=30/70〜70/30程度
である。
【0224】反応温度は、化合物(A)や酸素原子含有
反応剤の種類等に応じて適当に選択できる。例えば、酸
素原子含有ガスとして酸素(B4-1)を用いる場合には、
反応温度は0〜300℃、好ましくは20〜250℃程
度である。
【0225】酸素原子含有反応剤として一酸化炭素(B4
-2)と酸素(B4-1)とを用いる場合には、反応温度は、
例えば0〜200℃程度、好ましくは10〜150℃程
度である。また、酸素原子含有反応剤として窒素酸化物
(B4-3)又は硫黄酸化物(B4-4)を用いる場合(酸素を
併用する場合も含む)の反応温度は、例えば0〜150
℃程度、好ましくは10〜125℃程度である。反応圧
力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。加圧下で行
う場合には、通常、0.1〜10MPa、好ましくは
0.2〜7MPa程度である。反応は、回分式、半回分
式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0226】反応終了後、反応生成物は、例えば、濾
過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムク
ロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせ
ることにより分離精製できる。
【0227】この方法によれば、温和な条件下、酸素原
子含有ガスの種類に応じた反応生成物を収率よく得るこ
とができる。
【0228】より具体的には、酸素原子含有反応剤とし
て酸素(B4-1)を用いた場合には、酸化反応が進行して
対応する酸化生成物が得られる[特開平8−38909
号公報、特開平9−327626号公報、特開平10−
286467号公報、特開2000−219650号公
報(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用い
た例)参照]。例えば、化合物(A)として前記ヘテロ
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘテロ原子含有
化合物(A1)を用いると、該ヘテロ原子の隣接位の炭素
原子が酸化される。例えば、第1級アルコールからは対
応するアルデヒド又はカルボン酸が生成し、第2級アル
コールからは対応するケトンなどが生成する。また、
1,3−ジオールからは対応するヒドロキシケトン、
1,2−ジオールからは酸化開裂により対応するカルボ
ン酸を得ることができる[特開2000−212116
号公報、特開2000−219652号公報(5員のN
−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた例)参
照]。さらに、エーテルから対応するエステル又は酸無
水物を得ることできる[特開平10−316610号公
報(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用い
た例)参照]。さらにまた、第1級又は第2級アルコー
ルから過酸化水素を生成させることもできる[WO00
/46145(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物
触媒を用いた例)参照]。
【0229】化合物(A)として炭素−ヘテロ原子二重
結合を有する化合物(A2)を用いた場合には、ヘテロ原
子の種類等に応じた酸化反応生成物が得られる。例え
ば、ケトン類を酸化すると、開裂してカルボン酸等が生
成し、例えばシクロヘキサノンなどの環状ケトン類から
は、アジピン酸などのジカルボン酸が得られる。また、
第2級アルコール(例えばベンズヒドロール等)などの
ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘテロ原
子含有化合物(A1)等を共反応剤(共酸化剤)として用
いると、温和な条件下でバイヤービリガー型の反応が進
行して、環状ケトン類からは対応するラクトン類を、鎖
状ケトン類からは対応するエステルをそれぞれ収率よく
得ることができる[WO99/50204(5員のN−
ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた例)参照]。
また、アルデヒド類からは対応するカルボン酸が生成す
る。
【0230】また、化合物(A)としてメチン炭素原子
を有する化合物(A3)を用いると、メチン炭素にヒドロ
キシル基が導入されたアルコール誘導体を高い収率で得
ることができる。例えば、アダマンタンなどの橋かけ環
式炭化水素類(A3-1a)を酸化すると、橋頭位にヒドロ
キシル基が導入されたアルコール誘導体、例えば、1−
アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール及び
1,3,5−アダマンタントリオールを高い選択率で得
ることができる。イソブタンなどのメチン炭素原子を有
する鎖状化合物(A3-2)からは、t−ブタノールなどの
第3級アルコールを高い収率で得ることができる[特開
平10−310543号公報(5員のN−ヒドロキシ環
状イミド化合物触媒を用いた例)参照]。
【0231】化合物(A)として不飽和結合の隣接位に
炭素−水素結合を有する化合物(A4)を用いると、不飽
和結合の隣接位が効率よく酸化されて、アルコールやカ
ルボン酸、ケトンなどが生成する。例えば、不飽和結合
の隣接位にメチル基を有する化合物からは、第1級アル
コール類又はカルボン酸類を高い収率で得ることができ
る[特開平8−38909号公報、特開平9−3276
26号公報、特開平11−106377号公報(5員の
N−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた例)参
照]。また、不飽和結合の隣接位にメチレン基やメチン
基を有する化合物からは、反応条件に応じて、第2級若
しくは第3級アルコール、ケトン又はカルボン酸を収率
よく得ることができる。
【0232】より具体的には、芳香環にアルキル基又は
その低次酸化基(ヒドロキシアルキル基、ホルミル基、
ホルミルアルキル基、又はオキソ基を有するアルキル
基)が結合している芳香族化合物からは、前記アルキル
基又はその低次酸化基が酸化され、芳香環にカルボキシ
ル基が結合した芳香族カルボン酸が生成する。例えば、
トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ベ
ンズアルデヒド、これらの混合物からは安息香酸;p−
キシレン、p−イソプロピルトルエン、p−ジイソプロ
ピルベンゼン、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸、
p−カルボキシベンズアルデヒド、これらの混合物から
はテレフタル酸;m−キシレン、m−トルアルデヒド、
m−カルボキシベンズアルデヒド、これらの混合物など
からはイソフタル酸;プソイドクメン、ジメチルベンズ
アルデヒド、ジメチル安息香酸、これらの混合物からは
トリメリット酸;デュレン、トリメチルベンズアルデヒ
ド、トリメチル安息香酸、これらの混合物からはピロメ
リット酸;3−メチルキノリン等からは3−キノリンカ
ルボン酸がそれぞれ収率よく得られる。β−ピコリンか
らはニコチン酸が得られる。
【0233】また、例えば、炭素−炭素二重結合の隣接
位にメチレン基を有する化合物からは、第2級アルコー
ル類又はケトン類を得ることができる。この場合、酢酸
コバルト(II)や硝酸コバルト(II)などのpKa8.
0以下の酸のコバルト(II)塩を助触媒として用いる
と、前記メチレン基の炭素原子にオキソ基が導入された
対応する共役不飽和カルボニル化合物が高い収率で得ら
れる。より具体的には、バレンセンからヌートカトンを
高収率で得ることができる。
【0234】化合物(A)として非芳香族性環状炭化水
素(A5)を用いると、環を構成する炭素原子にヒドロキ
シ基、ヒドロペルオキシ基又はオキソ基が導入されたア
ルコール、ヒドロペルオキシド又はケトン、又は反応条
件により、環が酸化的に開裂して対応するジカルボン酸
が生成する。例えば、シクロヘキサンからは、条件を適
宜選択することにより、シクロヘキシルアルコール、シ
クロヘキシルペルオキシド、シクロヘキサノン又はアジ
ピン酸を選択性良く得ることができる。また、シクロヘ
キサン等のシクロアルカンから、ビス(1−ヒドロキシ
シクロヘキシル)ペルオキシド等のビス(1−ヒドロキ
シシクロアルキル)ペルオキシドが得られる[特願20
00−345824号(5員のN−ヒドロキシ環状イミ
ド化合物触媒を用いた例)参照]。さらに、強酸を助触
媒として用いることにより、アダマンタンからアダマン
タノンを収率良く得ることができる[特開平10−30
9469号公報(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合
物触媒を用いた例)参照]。
【0235】化合物(A)として共役化合物(A6)を用
いると、その構造により各種化合物が生成する。例え
ば、共役ジエン類の酸化によりアルケンジオールなどが
生成する。具体的には、ブタジエンを酸化すると、2−
ブテン−1,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオ
ールなどが得られる。α,β−不飽和ニトリルやα,β
−不飽和カルボン酸又はその誘導体を酸化すると、α,
β−不飽和結合部位が選択的に酸化されて、前記不飽和
結合が単結合となり、且つβ位が、ホルミル基、アセタ
ール基(アルコール存在下で反応させた場合)又はアシ
ルオキシ基(カルボン酸存在下で反応させた場合)に変
換されるた化合物が得られる。より具体的には、例え
ば、メタノールの存在下で、アクリロニトリル及びアク
リル酸メチルを酸化すると、それぞれ、3,3−ジメト
キシプロピオニトリル及び3,3−ジメトキシプロピオ
ン酸メチルが生成する。
【0236】化合物(A)としてアミン類(A7)を用い
ると、対応するシッフ塩基、オキシムなどが生成する。
また、化合物(A)として芳香族化合物(A8)を用いる
場合、不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有する化
合物(例えばフルオレン等)(A4)などを共反応剤(共
酸化剤)として共存させると、対応するキノン類が収率
良く生成する[特開平11−226416号公報、特開
平11−228484号公報(5員のN−ヒドロキシ環
状イミド化合物触媒を用いた例)参照]。また、直鎖状
アルカン(A9)からはアルコール、ケトン、カルボン酸
などが生成する。
【0237】さらに、化合物(A)としてオレフィン類
(A10)を用いる場合、対応するエポキシ化合物を得る
ことができる[特開平11−49764号公報、WO9
9/50204(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合
物触媒を用いた例)参照]。特に、第2級アルコールな
どのヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘテ
ロ原子含有化合物(A1)や不飽和結合の隣接位に炭素−
水素結合を有する化合物(A4)などを共反応剤(共酸化
剤)として共存させると、温和な条件下でエポキシ化反
応が進行して、対応するエポキシドを収率よく得ること
ができる。
【0238】また、本発明の触媒の存在下、シクロアル
カン、シクロアルカノール及びシクロアルカノンから選
択された少なくとも1種の化合物と酸素原子含有反応剤
としての酸素(B4-1)とアンモニアとを反応させると、
対応するラクタムが生成する[特願2000−3458
23号(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を
用いた例)参照]。より具体的には、前記本発明の触媒
の存在下、シクロヘキサン、シクロヘキサノール及びシ
クロヘキサノンから選択された少なくとも1種の化合物
と酸素とアンモニアとを反応させると、ε−カプロラク
タムが得られる。
【0239】酸素原子含有反応剤として一酸化炭素(B4
-2)と酸素(B4-1)とを用いた場合には、カルボキシル
化反応が円滑に進行し、対応するカルボン酸を収率よく
得ることができる[特開平11−239730号公報
(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた
例)参照]。例えば、化合物(A)としてメチン炭素原
子を有する化合物(A3)を用いた場合には、該メチン炭
素原子にカルボキシル基が導入され、不飽和結合の隣接
位に炭素−水素結合を有する化合物(A4)では、該炭素
−水素結合に係る炭素原子にカルボキシル基が導入され
る。また、シクロヘキサンなどの非芳香族性環状炭化水
素(A5)からは、環を構成する炭素原子にカルボキシル
基が結合したカルボン酸が生成する。
【0240】酸素原子含有反応剤として窒素酸化物(B4
-3)を用いた場合には、主にニトロ化反応が進行し、対
応するニトロ化合物等が得られる[特開平11−239
730号公報(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物
触媒を用いた例)参照]。例えば、化合物(A)として
メチン炭素原子を有する化合物(A3)を用いると、該メ
チン炭素原子がニトロ化され、不飽和結合の隣接位に炭
素−水素結合を有する化合物(A4)を用いると、該炭素
−水素結合に係る炭素原子がニトロ化される。また、シ
クロヘキサンなどの非芳香族性環状炭化水素(A5)から
は、環を構成する炭素原子にニトロ基が結合した対応す
る環状ニトロ化合物が生成し、さらにはヘキサンなどの
直鎖状アルカン(A9)であっても、対応するニトロアル
カンが生成する。酸素原子含有反応剤として二酸化窒素
を用いる場合、基質を二酸化窒素に対して過剰量用いる
と、ニトロ化反応が効率よく進行する[特開2000−
327635号(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合
物触媒を用いた例)参照]。
【0241】なお、化合物(A)として芳香族性環の隣
接位(いわゆるベンジル位)にメチル基を有する化合物
(例えば、トルエン)を用いると、該メチル基の炭素原
子にニトロ基が導入されるが、条件により、該メチル基
がホルミル化された対応する芳香族アルデヒド(例え
ば、ベンズアルデヒド)や、芳香族性環にニトロ基が導
入された化合物が生成する場合がある。さらに、芳香族
性環の隣接位にメチレン基を有する化合物(例えば、エ
チルベンゼン)を基質として用いると、該メチレン基が
ニトロ化されたニトロ化合物(例えば、α−ニトロエチ
ルベンゼン)が生成するとともに、反応条件により、該
メチレン基がオキシム化されたオキシム化合物(例え
ば、アセトフェノンオキシム)が生成する場合がある。
【0242】酸素原子含有反応剤として一酸化窒素を用
いると、エーテルから、エーテル結合が開裂して生成し
た、対応するアルデヒドなどを得ることができる[特開
平11−315036号公報、特願平11−25497
7号(5員のN−ヒドロキシ環状イミド化合物触媒を用
いた例)参照]。例えば、フタランからフタルアルデヒ
ドを高い収率で得ることができる。また、酸素原子含有
反応剤として一酸化窒素を用いると、シクロアルカンか
ら対応するシクロアルカノンオキシムが得られる[特願
2000−157356号(5員のN−ヒドロキシ環状
イミド化合物触媒を用いた例)参照]。例えば、シクロ
ヘキサンからシクロヘキサノンオキシムが生成する。
【0243】本発明の触媒とハロゲン(塩素等)又はベ
ックマン転位触媒の存在下で、メチレン基を有する鎖状
又は環状化合物と一酸化窒素等の窒素酸化物とを反応さ
せると、対応するアミド又はラクタムが生成する[特願
平11−372177号(5員のN−ヒドロキシ環状イ
ミド化合物触媒を用いた例)参照]。例えば、シクロヘ
キサンからε−カプロラクタムが得られる。
【0244】酸素原子含有反応剤として前記硝酸類を用
いると、前記窒素酸化物(B4-3)を用いた場合と同様、
主にニトロ化反応が進行し、対応するニトロ化合物等が
得られる[特願2000−58054号(5員のN−ヒ
ドロキシ環状イミド化合物触媒を用いた例)参照]。例
えば、基質として前記不飽和結合に隣接する部位に炭素
−水素結合を有する化合物(A4)を用いると、該炭素−
水素結合に係る炭素原子がニトロ化される。また、基質
としてメチン炭素原子を有する化合物(A3)を用いる
と、該メチン炭素原子がニトロ化される。さらに、基質
として非芳香族性環状炭化水素(A5)を用いると、環を
構成する炭素原子にニトロ基が導入され、例えば、シク
ロヘキサンなどのシクロアルカン類からは対応するニト
ロシクロアルカン類が生成する。また、ヘテロ原子の隣
接位に炭素−水素結合を有する非芳香族性複素環化合物
では、該炭素−水素結合に係る炭素原子がニトロ化さ
れ、ヘキサンなどの直鎖状アルカン(A9)からは対応す
るニトロアルカンが生成する。
【0245】この反応では、前記イミド系化合物と硝酸
類とが反応してイミドN−オキシラジカルが生成し、こ
れが基質から水素原子を引き抜いてラジカルを生成さ
せ、このラジカルに、系中で生成した二酸化窒素が付加
して、対応するニトロ化合物が生成するものと考えられ
る。
【0246】酸素原子含有反応剤として硫黄酸化物(B4
-4)を用いた場合には、スルホン化やスルフィン化反応
が進行し、対応する有機硫黄酸又はその塩が得られる。
例えば、化合物(A)としてメチン炭素原子を有する化
合物(A3)を用いると、該メチン炭素原子に硫黄酸基が
導入され、不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有す
る化合物(A4)を用いると、該炭素−水素結合に係る炭
素原子に硫黄酸基(スルホン酸基、スルフィン酸基等)
が導入される。また、シクロヘキサンなどの非芳香族性
環状炭化水素(A5)からは、環を構成する炭素原子に硫
黄酸基が結合した有機硫黄酸が生成する。生成した有機
硫黄酸は、慣用の方法、例えば、水などの適当な溶媒中
で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アル
カリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、アル
カリ土類金属炭酸塩、アミン類、チオ尿素類、イソチオ
尿素類などと反応させることにより、対応する有機硫黄
酸塩に変換できる。
【0247】
【発明の効果】本発明によれば、温和な条件下、付加又
は置換反応等により、ヒドロキシル基、オキソ基、カル
ボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基などの酸素原子含
有基を有する有機化合物や、炭素−炭素結合生成物、又
はそれらの誘導体(環化誘導体など)を高い選択率及び
収率で製造できる。また、有機基質に温和な条件下で酸
素原子含有基を導入できる。
【0248】本発明の触媒は、安定性に優れ、触媒活性
を長時間維持できる。また、ラジカル反応において、少
量で高い触媒活性を示すとともに、高温反応においても
安定性が高い。さらに、非酸性溶媒や非プロトン性溶媒
中での反応においても、高い触媒活性を示す。また、基
質と触媒との反応生成物の副生を抑制できる。より具体
的には、例えば、基質としてベンジル位やアリル位に炭
素−水素結合を有する化合物(炭素−炭素不飽和結合の
隣接位に炭素−水素結合を有する化合物)を用いた場合
に、該ベンジル位又はアリル位の炭素原子にイミド化合
物の窒素原子の隣接位の酸素原子が結合したカップリン
グ生成物の副生が顕著に抑制される。
【0249】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。なお、反応生成物の同定は、NM
R、IR、GC−MSにより行った。
【0250】調製例1(N−ベンゾイルオキシフタルイ
ミドの合成) 攪拌機、温度計を備えた3Lフラスコに、N−ヒドロキ
シフタルイミド100g(613ミリモル)、ピリジン
53.3g(674ミリモル)、1,4−ジオキサン1
100gを入れ、室温で攪拌した。これにベンゾイルク
ロライド94.8g(674ミリモル)を1時間かけて
滴下し、さらに室温で2時間攪拌した。次いで、純水1
100gを30分間かけて滴下したところ、副生した塩
は溶解し、目的物であるN−ベンゾイルオキシフタルイ
ミドの結晶が析出した。さらに1時間攪拌、熟成した
後、結晶をヌッチェにて濾過し、適量の水で洗浄し、減
圧下60℃で乾燥することにより、N−ベンゾイルオキ
シフタルイミドを162g(604ミリモル)得た。N
−ベンゾイルオキシフタルイミドの収率はN−ヒドロキ
シフタルイミド基準で98.6%であった。
【0251】実施例1 フラスコに、フルオレン1.662g(10ミリモ
ル)、N−ベンゾイルオキシフタルイミド0.534g
(2ミリモル)、酢酸マンガン(II)四水和物0.01
2g(0.05ミリモル)、コバルト(II)アセチルア
セトナート0.015g(0.05ミリモル)、安息香
酸カリウム・一水和物0.043g(0.2ミリモル)
及びベンゾニトリル6.05gを入れ、酸素雰囲気下
(1atm=0.1MPa)、140℃で6時間攪拌し
た。冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分
析した結果、フルオレンの転化率は100%であり、フ
ルオレノンが93%の収率で生成していた。なお、高速
液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−(フ
ルオレン−9−イルオキシ)フタルイミドが4%の収率
で副生していた。
【0252】比較例1 安息香酸カリウム・一水和物を用いなかった点以外は実
施例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの
転化率は61%であり、フルオレノンが53%、フルオ
レノールが2%の収率で生成していた。
【0253】実施例2 反応温度を120℃にした点以外は実施例1と同様の操
作を行った。その結果、フルオレンの転化率は100%
であり、フルオレノンが95%の収率で生成していた。
なお、高速液体クロマトグラフィーにより分析した結
果、N−(フルオレン−9−イルオキシ)フタルイミド
が4%の収率で副生していた。
【0254】比較例2 安息香酸カリウム・一水和物を用いなかった点以外は実
施例2と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの
転化率は44%であり、フルオレノンが33%、フルオ
レノールが3%の収率で生成していた。
【0255】実施例3 反応温度を100℃にした点以外は実施例1と同様の操
作を行った。その結果、フルオレンの転化率は78%で
あり、フルオレノンが74%の収率、フルオレノールが
2%の収率で生成していた。なお、高速液体クロマトグ
ラフィーにより分析した結果、N−(フルオレン−9−
イルオキシ)フタルイミドが2%の収率で副生してい
た。また、触媒として用いたN−ベンゾイルオキシフタ
ルイミドの63%が残存していた。
【0256】比較例3 N−ベンゾイルオキシフタルイミドの代わりにN−ヒド
ロキシフタルイミドを0.326g(2ミリモル)用い
た以外は、実施例3と同様の操作を行った。反応液をガ
スクロマトグラフィーにより分析した結果、フルオレン
の転化率は75%であり、フルオレノンが59%の収率
で生成していた。なお、高速液体クロマトグラフィーに
より分析した結果、N−(フルオレン−9−イルオキ
シ)フタルイミド(フルオレンとN−ヒドロキシフタル
イミドとのカップリング生成物)が12%の収率で副生
していた。また、触媒として用いたN−ヒドロキシフタ
ルイミドは残存していなかった。
【0257】比較例4 安息香酸カリウム・一水和物を用いなかった点以外は実
施例3と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの
転化率は28%であり、フルオレノンが25%、フルオ
レノールが3%の収率で生成していた。
【0258】実施例4 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに硝酸ナトリウム
を0.017g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施
例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転
化率は87%であり、フルオレノンが81%の収率、フ
ルオレノールが1%の収率で生成していた。
【0259】実施例5 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに安息香酸ナトリ
ウムを0.029g(0.2ミリモル)用いた点以外は
実施例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレン
の転化率は100%であり、フルオレノンが89%の収
率で生成していた。
【0260】実施例6 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに酢酸カリウムを
0.020g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施例
1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転化
率は100%であり、フルオレノンが91%の収率で生
成していた。
【0261】実施例7 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに酢酸ナトリウム
を0.016g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施
例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転
化率は86%であり、フルオレノンが80%、フルオレ
ノールが1%の収率で生成していた。
【0262】実施例8 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに炭酸ナトリウム
を0.061g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施
例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転
化率は96%であり、フルオレノンが88%、フルオレ
ノールが1%の収率で生成していた。
【0263】実施例9 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに水酸化ナトリウ
ムを0.008g(0.2ミリモル)用いた点以外は実
施例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの
転化率は97%であり、フルオレノンが86%、フルオ
レノールが1%の収率で生成していた。
【0264】実施例10 安息香酸カリウム・一水和物の代わりにモリブデン酸ナ
トリウム(Na2MoO4)を0.048g(0.2ミリ
モル)用いた点以外は実施例1と同様の操作を行った。
その結果、フルオレンの転化率は100%であり、フル
オレノンが90%の収率で生成していた。
【0265】実施例11 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに酢酸カルシウム
を0.035g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施
例1と同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転
化率は78%であり、フルオレノンが68%の収率、フ
ルオレノールが2%の収率で生成していた。
【0266】実施例12 安息香酸カリウム・一水和物の代わりにステアリン酸ナ
トリウムを0.061g(0.2ミリモル)用いた点以
外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、フルオ
レンの転化率は100%であり、フルオレノンが89%
の収率で生成していた。
【0267】比較例5 安息香酸カリウム・一水和物の代わりに安息香酸を0.
024g(0.2ミリモル)用いた点以外は実施例1と
同様の操作を行った。その結果、フルオレンの転化率は
68%であり、フルオレノンが62%の収率、フルオレ
ノールが5%の収率で生成していた。
【0268】比較例6 N−ベンゾイルオキシフタルイミドを用いなかった点以
外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、フルオ
レンの転化率は1.5%であり、フルオレノンが1.2
%の収率で生成していた。
【0269】実施例13 安息香酸カリウム・一水和物の使用量を0.011g
(0.05ミリモル)とした点以外は実施例1と同様の
操作を行った。その結果、フルオレンの転化率は100
%であり、フルオレノンが93%の収率で生成してい
た。
【0270】実施例14 N−ベンゾイルオキシフタルイミドの代わりにN−アセ
トキシフタルイミドを0.410g(2ミリモル)用い
た点以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、
フルオレンの転化率は93%であり、フルオレノンが8
6%の収率、フルオレノールが0.1%の収率で生成し
ていた。
【0271】比較例7 安息香酸カリウム・一水和物を加えなかった点以外は実
施例14と同様の操作を行った。その結果、フルオレン
の転化率は68%であり、フルオレノンが58%の収
率、フルオレノールが3%の収率で生成していた。
【0272】実施例15 フラスコに、フルオレン1.662g(10ミリモ
ル)、N−アセトキシフタルイミド0.410g(2ミ
リモル)、酢酸マンガン(II)四水和物0.012g
(0.05ミリモル)、コバルト(II)アセチルアセト
ナート0.015g(0.05ミリモル)、安息香酸カ
リウム・一水和物0.011g(0.05ミリモル)及
びベンゾニトリル6.05gを入れ、酸素雰囲気下(1
atm=0.1MPa)、120℃で6時間攪拌した。
冷却後、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析し
た結果、フルオレンの転化率は99%であり、フルオレ
ノンが88%の収率、フルオレノールが0.1%の収率
で生成していた。
【0273】実施例16 コバルト(II)アセチルアセトナートの代わりに酢酸コ
バルト(II)四水和物を0.013g(0.05ミリモ
ル)用いた点以外は実施例1と同様の操作を行った。そ
の結果、フルオレンの転化率は100%であり、フルオ
レノンが93%の収率で生成していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 35/38 C07C 35/38 45/36 45/36 49/675 49/675 C07D 209/48 C07B 61/00 300 // C07B 61/00 300 C07D 209/48 Z Fターム(参考) 4C204 BB04 CB04 DB30 EB03 FB03 GB01 4G069 AA02 BA21A BA21B BB02A BB04A BB05A BB05B BB06A BB06B BB07A BB08A BB12A BB12B BC01A BC02A BC02B BC03A BC03B BC08A BC09A BC09B BC12A BC29A BC30A BC38A BC49A BC53A BC57A BC59A BC59B BC61A BC62A BC62B BC65A BC67A BC67B BC69A BE08A BE08B BE11A BE11B BE19A BE19B BE37A BE37B BE38A BE38B CB07 CB25 CB46 CB74 CB78 CB79 4H006 AA02 AA05 AB40 AC12 AC23 AC25 AC41 AC44 AC48 4H039 CA10 CA42 CA60 CA62 CA66 CC30 CF10 CG10 CH10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、Rはヒドロキシル基の保護基を示す。nは0又
    は1を示す)で表されるN−置換環状イミド骨格を有す
    るイミド系化合物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金
    属含有化合物とで構成された有機化合物製造用触媒。
  2. 【請求項2】 イミド系化合物が、下記式(1) 【化2】 (式中、Rはヒドロキシル基の保護基を示す。R1
    2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シク
    ロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボ
    キシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシ
    ルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
    うち少なくとも2つが互いに結合して二重結合、又は芳
    香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記
    1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3
    4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合し
    て形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性
    の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状イミ
    ド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。n
    は0又は1を示す)で表される化合物である請求項1記
    載の有機化合物製造用触媒。
  3. 【請求項3】 Rが加水分解性保護基である請求項1又
    は2記載の有機化合物製造用触媒。
  4. 【請求項4】 Rが酸からOH基を除した基である請求
    項1又は2記載の有機化合物製造用触媒。
  5. 【請求項5】 酸が、カルボン酸、スルホン酸、炭酸、
    カルバミン酸、硫酸、硝酸、リン酸又はホウ酸である請
    求項4記載の有機化合物製造用触媒。
  6. 【請求項6】 さらに遷移金属化合物を含む請求項1記
    載の有機化合物製造用触媒。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかの項に記載の有機
    化合物製造用触媒の存在下、(A)ラジカルを生成可能
    な化合物と、(B)ラジカル捕捉性化合物とを反応させ
    て、前記化合物(A)と化合物(B)との付加若しくは
    置換反応生成物又はそれらの誘導体を生成させることを
    特徴とする有機化合物の製造法。
  8. 【請求項8】 ラジカルを生成可能な化合物(A)が、
    (A1)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘ
    テロ原子含有化合物、(A2)炭素−ヘテロ原子二重結合
    を有する化合物、(A3)メチン炭素原子を有する化合
    物、(A4)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有す
    る化合物、(A5)非芳香族性環状炭化水素、(A6)共役
    化合物、(A7)アミン類、(A8)芳香族化合物、(A9)
    直鎖状アルカン、及び(A10)オレフィン類から選択さ
    れた化合物である請求項7記載の有機化合物の製造法。
  9. 【請求項9】 ラジカル捕捉性化合物(B)が、(B1)
    不飽和化合物、(B2)メチン炭素原子を有する化合物、
    (B3)ヘテロ原子含有化合物、及び(B4)酸素原子含有
    反応剤から選択された化合物である請求項7記載の有機
    化合物の製造法。
  10. 【請求項10】 酸素原子含有反応剤(B4)が、酸素、
    一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、硝酸若しくは亜
    硝酸又はこれらの塩から選択された少なくとも1種であ
    る請求項7記載の有機化合物の製造法。
  11. 【請求項11】 ラジカルを生成可能な化合物(A)と
    ラジカル捕捉性化合物(B)との反応が酸化反応、カル
    ボキシル化反応、ニトロ化反応、スルホン化反応、カッ
    プリング反応又はこれらの組み合わせである請求項7記
    載の有機化合物の製造法。
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