JP2003144805A - 油水分離装置 - Google Patents

油水分離装置

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JP2003144805A
JP2003144805A JP2001352519A JP2001352519A JP2003144805A JP 2003144805 A JP2003144805 A JP 2003144805A JP 2001352519 A JP2001352519 A JP 2001352519A JP 2001352519 A JP2001352519 A JP 2001352519A JP 2003144805 A JP2003144805 A JP 2003144805A
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Hisashi Isokami
尚志 磯上
Norihide Saho
典英 佐保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、油を含む被処理水中から高除
去率で油分を除去し、含水率の低い油汚泥を得ることが
できる装置を提供することにある。 【解決手段】被処理水を、エマルジョン化生成手段ある
いは油相除去手段により、含有油をエマルジョン化し、
これに磁性粉及び凝集剤を注入して磁性フロックを形成
し、前記磁性フロックを磁気力により吸引分離して大気
中で回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油を含む水を対象とし
た油水分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海底油田から採油する場合、大量の海水
も産出されてしまう。この産出水は、大量に油分を含ん
でいるためそのまま海洋へ放流することは海洋汚染につ
ながり、放流することができない。また、船舶事故など
による重油の流出事故等や、産業プロセスの廃水等にお
いても油を含んだ水から油分を除去する必要性は極めて
大きい。
【0003】これに対し、例えば「Experience of Prod
uced Water Treatment in the North Sea、 Marine Pol
lution Bulletin、 Vol.29、 No.6-12、 (1994)、 p312
-316」の公知文献には、採油時における産出水の処理に
関する記述がある。この公知文献によると、液体サイク
ロンにより油と水を分離することにより油分を除去して
いる。しかし、被処理水中にエマルジョン化した油が含
まれており、このエマルジョン化した油を除去すること
ができないため、十分な除去率を上げられないのが現状
である。
【0004】一方、エマルジョン化した油と水の分離に
関しては、例えば特開平7-310077号公報に乳化破壊剤の
使用の例があり、油相と水相の分離を行う例が記載され
ているが、本公知例では廃水側にはかなりの油分が残っ
てしまい、その処理に関する記述は無い。
【0005】また、特開平11-290610号公報に、乳化破
壊を起こさせて油水分離した廃水を微生物分解処理する
例が記載されているが、大量の油汚濁水を処理する場合
には、処理速度の点で実用上の問題が生じる。また、自
然界の水中には浮遊固形物が多数存在し、これらのう
ち、砂等の比重が水より大きいものは油相ではなく、水
相側に分離されてしまう。油分は水中の固形物表面に吸
着することも多く、上記方法では高除去率の分離は難し
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、油を含む
水から油分を高速、かつ高除去率で分離する有効な方法
は現状では無い。処理水中の油濃度を低減させようとす
ればするほど、処理速度は遅くなり、油汚泥中の含水率
が多くなるのが現状である。
【0007】本発明の目的は、被処理水中に含まれる油
分を高除去率で除去することが可能な油水分離装置をす
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、油を含有す
る被処理水から油成分を除去する油水分離装置におい
て、油相を除去する手段あるいは油相を油エマルジョン
に変換する手段と、油エマルジョンを除去する手段とを
有し、前記油相除去手段あるいは油相エマルジョン変換
手段の後段に前記油エマルジョン除去手段を有すること
により達成される。
【0009】また、上記目的は、前記油エマルジョン除
去手段が凝集により油エマルジョンと磁性粒子を含んだ
フロックを形成させ、該フロックを磁気分離により除去
することにより達成される。
【0010】また、上記目的は、前記油エマルジョン除
去手段が除去したフロックを大気中で回収する手段を備
えたことにより達成される。
【0011】また、上記目的は、前記油相除去手段が液
体サイクロンであることにより達成される。
【0012】また、上記目的は、前記油相エマルジョン
変換手段がミキサーを組み込んだ循環系を形成している
ことにより達成される。
【0013】また、上記目的は、前記油相エマルジョン
変換手段がスタティックミキサーであることにより達成
される。
【0014】また、上記目的は、前記凝集課程により形
成したフロックを多数含む中間処理水のpHが7以下で
あることにより達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1により説
明する。図1は、本発明を備えた油水分離装置の概略を
説明する図である。図1において、油を含んだ被処理水
(原水と称す)1は、原水タンク2に一旦溜められる。
原水1中の油は水面近傍に薄く広がると同時にエマルジ
ョン化して水中に分散する。本実施例では、原水タンク
2からでた配管にインラインミキサー3を介して再び原
水タンク2に戻るような循環経路4が設けられており、
インラインミキサー3を運転して循環経路4内で原水を
循環させることにより原水タンク2内の水中油はエマル
ジョン化する。循環系3、4を所定時間運転させて原水
中の油がエマルジョン化した後で、インラインミキサー
3を止めて原水バルブ5を開ける。
【0016】これにより、エマルジョン化した油を含む
原水は凝集槽6に流れ込む。この時、原水に泥、砂、塩
等の2mm以下程度の小さな固形物が入っていると、これ
らの固形物は流れとともに凝集槽6に流入する。固形物
によっては、油が表面に吸着しているものも存在する。
凝集槽6では、鉄やアルミニウムの塩である凝集剤、例
えば硫酸第2鉄や塩化第1鉄、ポリ塩化アルミニウム等を
加えて凝集を起こさせる。この時、同時にマグネタイト
(四三酸化鉄)等の強磁性体の粒子を添加することによ
り、油のエマルジョン粒子、水中の固形物、磁性粒子が
凝集してフロックが形成される(凝集槽6においてフロ
ックを形成した水を以下、中間処理水と称す)。
【0017】ここで、前記循環経路4によってエマルジ
ョン化が十分に行えていないと、均一にフロックを形成
することができず、凝集剤の必要投入量が多くなる上
に、汚泥発生量が増える。さらに、フロックにとりこま
れなかった油相が下流に流出して排水に含有するととも
に、下流の分離装置を油で汚染してしまう。また、凝集
反応において、凝集剤は通常酸性を示すものが多いた
め、水酸化ナトリウム等のアルカリを入れてpHを調整
するのが望ましいが、例えばポリ鉄(硫酸第2鉄)を使
用した場合にはpHが5〜7程度で最適に凝集反応を起
こすため、場合によっては水酸化ナトリウムを入れずに
pHを最適値に保持するのが良い場合もある。さらに、
凝集課程中に高分子ポリマー等を注入することによって
フロックの強度を高めることも可能である。この中間処
理水を分離部7に通水する。
【0018】分離部7には、回転濾過膜8が存在し、濾
過膜によって濾過されて回転濾過膜8内部に処理水14
を得ることができる。濾過膜のメッシュはフロックの除
去率を考慮すると50μm以下が望ましい。また、処理速
度を考慮すると、20μm〜50μm程度が適している。回
転濾過膜8に堆積したフロックは洗浄装置9による洗浄
水によって剥がされ、回転円筒体10近傍に落とされ
る。回転円筒体10の内側には、永久磁石、超電導バル
ク磁石、あるいは電磁石の磁場発生手段11が取り付け
られており、この磁場発生手段11の磁気力によって吸
引され、回転円筒体10の表面に沿って汚泥回収板12
によって掻き取られて汚泥タンク13に溜められる。汚
泥回収板12による掻き取りは水中でなく大気中で行わ
れるので、ある程度の水分は下に落下し、含水率の低い
油汚泥を得ることができる。
【0019】これにより、汚泥を処分する際のコストが
低減でき、場合によっては燃料を新たにほとんど加えな
くても燃焼させることができる。油を中心とするフロッ
クは比重が軽いため水に浮くものが多い。しかし、水中
の固形物の影響や凝集剤の量によっては比重が重くなり
水に沈むフロックも存在し、比重差による水からの高除
去率分離は難しい。この点、磁気力による分離は容易に
高除去率を得ることが可能である。磁性粒子のような比
重の大きな粒子や凝集剤を大量に添加して必ずフロック
の比重を水より大きくする手法も考えられるが、ランニ
ングコストや環境への負荷、発生汚泥量の増大等、実用
上の問題が多い。
【0020】図2に、本発明の他の実施例を示す。図2
の実施例と図1に示した実施例との違いは、原水タンク
2及びエマルジョン化形成のための循環経路4が無く、
スタティックミキサー15に置き換わっていることであ
る。原水1中の油濃度や処理水14の許容油濃度にもよ
るが、本実施例のようにスタティックミキサー15によ
る置き換えができれば、同様の効果を連続的にしかも、
小型で簡素なシステムで達成することが可能である。も
ちろん、原水タンク2をスタティックミキサー15の上
流側に設置して一旦原水タンク2に原水1を貯蔵しても
効果は同様である。この場合は大きなゴミ等をタンク2
内に沈降させるという効果が生じる。
【0021】図3に、本発明のさらに他の実施例を示
す。図3において、上記実施例でスタティックミキサー
15のエマルジョン化形成手段を用いた部分に、油相除
去手段である液体サイクロン16を設置している。液体
サイクロン16は密度差や遠心力を利用して油と水とを
分離するものである。液体サイクロン16内に流入した
原水1は、内筒18の周りを旋回しながら下降する。旋回
中の遠心力により水分が外側に、油分が内側に分離さ
れ、内側に集まった油分は遮蔽板19に衝突して油の蒸
気は気体のままガス放出口17より回収される。また、
下に落ちた油と水は、比重の小さな油が上側中央部、比
重の大きな水が下側側面部に比較的多く集まっており、
これらの位置に設けた油取り出し口20、水取り出し口
21からそれぞれ油、水を取り出す。
【0022】このように、本実施例では液体油だけでな
く、気体油を回収することも可能であり、これらの回収
した油は、まだ凝集剤や磁性粒子等を不純物を混ぜてい
ないため、油分の再利用が容易である。このため、原水
1中の油分をできるだけ再利用したい場合、あるいは、
採油時の産出水処理で分離した原油をできるだけ利用し
たい場合に有効である。
【0023】この液体サイクロン16によって、エマル
ジョン化している油や、砂等の固形物に吸着した油は水
とともに水取り出し口21から出てくるが、水側に残っ
たエマルジョン油と固形物に吸着した油は、下流の凝集
槽6で磁性粒子とともに凝集して、図1に示した実施例
同様、処理が行われる。本実施例を用いてできるだけ油
分の再利用を図ることにより、汚泥の発生量を低減する
効果も生じる。
【0024】図4(a)、図4(b)に、本発明の一実
施例の分離部構造を示す。図4(b)は図4(a)に示
した磁気分離部を横からみた図である。図1〜図3に示
した実施例では、形成したフロックの分離手段を、膜分
離と磁気分離の組み合わせによる構造で示したが、フロ
ック分離手段を図4(a)、図4(b)に示す磁気分離
部構造に変更しても効果は同様である。すなわち、分離
手段は磁気力によるもののみとし、回転円筒10内に磁
石11を有する分離部を流路22内に設置する。回転円
筒10の軸方向が流路の流体流れ方向が一致するように
設置し、一方から中間処理水23を流入させ、他方から
処理水14を取り出す。ここで、油のフロックは比重が
小さいため浮上しやすいので、中間処理水の流入口を処
理水14の取り出し口よりも高く設置すれば、より効率
よく除去することが可能である。磁石11の位置は、流
路22中の水面近傍であり、水面近傍に多数存在する油
のフロックを磁石11の磁力により吸引して回転円筒1
0の表面に吸着させ、回転円筒10を回転させながら、
汚泥回収板12で油汚泥を掻き取って、油汚泥を汚泥タ
ンク13に溜めることができる。磁石11の位置が必ず
水面位置近傍となるように、水面高さが一定となるよう
に流量を調整する、あるいは水面高さを検知して磁石1
1を含んだ回転円筒10の高さを調節する制御機構を設
けておく。流路22の下流側、すなわち処理水14取り
出し口近傍には、遮蔽板24を設置しておき、油フロッ
クが処理水14に流出することを防止する。遮蔽板は下
流側に設置するのが有効であるが、複数設置して、より
上流側にも設置しても効果は同様である。また、この遮
蔽板は完全な板でなくても、すなわち孔の空いた板、あ
るいはメッシュを有する網のようなものでも効果は同様
である。流路22の底25が平坦であれば構造がシンプ
ルであるが、沈降するフロックが比較的多い場合は、図
に示したように流路底25に傾斜をつけて遮蔽板24の
付根に沈降汚泥を堆積させ、これを汚泥引き抜き弁26
から連続的、あるいは断続的に取り出す。
【0025】上記実施例における磁石は、永久磁石や電
磁石でも効果はあるが、超電導のバルク体、特に高温超
電導のバルクを利用すれば小型で大きな磁気力を利用で
きるため、高除去率装置として適している。また、この
時、高温超電導のバルクを、GM冷凍機やパルスチュー
ブ冷凍機等の小型冷凍機で伝導的に冷却する方式をとれ
ば、液体ヘリウムや液体窒素等の冷媒を補充する必要が
無いため、操作性も優れる。
【0026】図5に、本発明の他の一実施例の分離部構
造を示す。図5において、ドラム式ではなく、ディスク
式の磁気分離装置を利用している。回転可能なディスク
27に永久磁石あるいは高温超電導磁石等の磁石11を
配置し、流路22の中を通過しながら回転する構造とす
る。回転軸は流路内流体の水面近傍とし、磁気力で吸引
したフロックを汚泥回収板12で掻き取って油汚泥を汚
泥タンク13に溜める。本ディスク27を流路22中に
多数、並列に配置すれば、処理量を容易に大きくするこ
とが可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、被処理水中に含まれる
油分を高除去率で除去することが可能な油水分離装置を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例の油水分離装置を説
明する図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例の油水分離装置を
説明する図である。
【図3】図3は、本発明のさらに他の実施例の油水分離
装置を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例の油水分離装置分離
部構造を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施例の油水分離装置分
離部構造を説明する図である。
【符号の説明】
1…原水、2…原水タンク、3…インラインミキサー、
6…凝集槽、8…回転濾過膜、 9…洗浄装置、10…
回転円筒体11…磁石、12…汚泥回収板、13…汚泥
タンク、15…スタティックミキサー、16…液体サイ
クロン。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 17/12 B01D 17/12 Z C02F 1/52 C02F 1/52 F

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油を含有する被処理水から油成分を除去す
    る油水分離装置において、油相を除去する手段あるいは
    油相を油エマルジョンに変換する手段と、油エマルジョ
    ンを除去する手段とを有し、前記油相除去手段あるいは
    油相エマルジョン変換手段の後段に前記油エマルジョン
    除去手段を有することを特徴とする油水分離装置。
  2. 【請求項2】前記油エマルジョン除去手段が凝集により
    油エマルジョンと磁性粒子を含んだフロックを形成さ
    せ、該フロックを磁気分離により除去することを特徴と
    する請求項1記載の油水分離装置。
  3. 【請求項3】前記油エマルジョン除去手段が除去したフ
    ロックを大気中で回収する手段を備えたことを特徴とす
    る請求項1乃至2のいずれかに記載の油水分離装置。
  4. 【請求項4】前記油相除去手段が液体サイクロンである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の油
    水分離装置。
  5. 【請求項5】前記油相エマルジョン変換手段がミキサー
    を組み込んだ循環系を形成していることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の油水分離装置。
  6. 【請求項6】前記油相エマルジョン変換手段がスタティ
    ックミキサーであることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の油水分離装置。
  7. 【請求項7】前記凝集課程により形成したフロックを多
    数含む中間処理水のpHが7以下であることを特徴とす
    る請求項乃至2のいずれかに記載の油水分離装置。
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