JP2003143048A - 移動体間通信装置及び移動体間通信方法 - Google Patents

移動体間通信装置及び移動体間通信方法

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JP2003143048A
JP2003143048A JP2001334813A JP2001334813A JP2003143048A JP 2003143048 A JP2003143048 A JP 2003143048A JP 2001334813 A JP2001334813 A JP 2001334813A JP 2001334813 A JP2001334813 A JP 2001334813A JP 2003143048 A JP2003143048 A JP 2003143048A
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communication device
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JP2001334813A
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Fumihide Kojima
史秀 児島
Masayuki Fujise
雅行 藤瀬
Seiji Mori
政治 森
Kazumasa Sugawara
一誠 菅原
Teruo Niitsuma
照夫 新妻
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Communications Research Laboratory
Faurecia Clarion Electronics Co Ltd
Original Assignee
Clarion Co Ltd
Communications Research Laboratory
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動局のみによる最適な中継動作を実現する
ことで、基地局を用いずに、且つ、送信電力を増大させ
ずに、通信可能な範囲にない移動局間で情報の送受信を
可能とする移動体間通信装置及び通信方法を提供する。 【解決手段】 複数個の移動体間で無線通信により情報
交換を行うために、希望情報を送信すべき目標移動体と
の通信状態に応じて、該目標移動体への前記希望情報の
送信を中継し得る移動体を探索し、中継動作が可能な中
継移動体が探索された場合に、該中継移動体を介して前
記目標移動体へ前記希望情報を無線送信する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線通信により複
数個の移動体間で情報交換を行うための移動体間通信装
置及び移動体間通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ナビゲーション装置と通信装置と
を接続した移動体通信装置をそれぞれ搭載した複数の移
動体間において、通信装置を介して互いの位置情報及び
メッセージを交換し、表示する手法が提案されている。
【0003】一方、地震、風水害、火山噴火等の災害救
助活動の際に、災害現場で救助にあたる作業者は、他の
作業者と連携を図るために、無線による安定した音声連
絡が必須である。更に、自分及び他の作業者の位置確認
や本部等とのデータ通信も容易に行えることが望まし
い。特に、近年、政府や地方自治体の災害救助活動以外
に、NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)によ
るボランティア活動が重要視されつつあり、こうした災
害救助活動にも供し得る通信手段の構築が求められてい
る。このような環境下においては、各作業者(移動体)
と他の作業者(移動体)との間には無線通信システムが
必須なものとなる。このような無線通信システムとして
上述したナビゲーション装置と無線通信装置とを接続し
た移動体通信システムを適用することが考えられる。
【0004】このような移動体通信システムに利用され
る通信装置としては、通信インフラとして地上基地局を
利用した携帯電話、PHS(パーソナル・ハンディホン
・システム)、MCA(マルチ・チャンネル・アクセ
ス)等が考えられる。また、通信インフラ(基地局)を
利用しないものとして、アマチュア無線、パーソナル無
線等が考えられる。
【0005】また、災害現場等で救助活動を行う際に、
他の作業者(移動体)の位置を確認するためには、相互
に位置情報を通信により交換する必要がある。これに関
連する技術として、AVM(自動移動体監視システム)
による集中管理システムの適用が考えられる。このシス
テムは、効率的配車等を目的として、移動体に搭載され
たGPS受信機により測定された位置情報を、無線機に
よって本部(センター)へ送り、本部では各移動体の位
置を画面表示するなどして、タクシー会社等で広く用い
られている。また、アマチュア無線に利用される無線ト
ランシーバと車載用ナビゲーション装置とを組み合わ
せ、自車位置情報を通信相手先に提供するような手法も
提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】災害救助活動が行われ
る地域においては、通信トラフィックの増大や、基地局
そのものが故障したり破壊されたりして通信が困難にな
る場合がある。また、NGO(非政府組織)やNPO
(非営利組織)によるボランティア活動が行われる地域
においては、基地局そのものが存在しない場合もある。
このような状況下にあっては、基地局の機能を前提とし
た通信システムを利用することができなくなる。
【0007】一方、基地局を利用しない通信方式(以
下、「自立系通信方式」と称す)は、災害時の基地局の
故障やトラフィックの増大の危険性が少なく、ボランテ
ィア活動との親和性も高く、このような状況下では自立
系通信方式を適応することが好ましい。しかしながら、
自立系通信方式では、以下の問題点がある。
【0008】(1)通信距離が短い 基地局やバックボーンのネットワークを用いないことか
ら、通信距離は移動局の通信距離以内に制限される。通
信距離を延ばすには、アンテナの改善や送信電力増大な
どが必要になるが、他の無線局への干渉エリアを増大さ
せることになるため、好ましくない。また、通信距離の
増大には、移動局が中継機能を有することが望ましい
が、これまで基地局の無い自立系通信方式で、移動局に
中継機能を持たせる実施例は無かった。
【0009】(2)通信品位が不安定 陸上移動通信の場合、フェージングの影響が通信品位に
及ぼす影響が大のため、基地局を利用する場合は、アン
テナを出来るだけ高い場所に設置する。しかし、自立系
ではそのような対策ができないため、通信品位が不安定
になりがちである。
【0010】(3)他の通信網への接続が困難 基地局を利用する方式の場合、基地局にゲートウェイ等
を設置して、例えばインターネットなどの他の通信網に
接続することで、移動局が容易に他の通信網に接続する
ことが可能である。しかし、自立系の場合は移動局自ら
が他の通信網への接続機能を有する必要がある。
【0011】また、上述した位置情報交換技術において
は、AVMシステムが本部(センター)で移動局の位置を
集中管理するためのものであり、災害救援・救助活動へ
の参加者間で位置情報を相互に確認することができない
という問題がある。さらに、アマチュア無線で行われて
いる位置情報伝送は、本質的に参加者間での位置情報交
換に適しているが、災害時の活動に適したように工夫す
る必要がある。
【0012】そこで、本発明の目的は、基地局を利用せ
ずに、且つ、送信電力を増大させずに、移動体のみによ
る最適な中継動作を実現することで、実質的に無線通信
不可能状態にある移動体間での情報交換を可能とする移
動体間通信装置及び移動体間通信方法を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
複数個の移動体間で無線通信により情報交換を行うため
の移動体間通信装置において、情報を送信すべき他の移
動体(以下、目標移動体と称する)との通信状態に応じ
て、該目標移動体への前記送信情報の送信を中継し得る
周辺移動体を探索し、中継動作が可能な周辺移動体(以
下、中継移動体と称する)が探索された場合に、該中継
移動体を介して前記目標移動体へ前記送信情報を無線送
信することを特徴とする。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、移動体間の受信状態を監視する監視手段
と、該監視手段による受信状態の監視結果に基づいて、
中継動作が可能な中継移動体を選定し、該中継移動体を
介した送信のための中継経路を決定する中継経路決定手
段と、該中継経路決定手段により選定された前記中継移
動体の識別情報と、前記目標移動体の識別情報とを付加
して前記送信情報を送信する送信手段とを有したことを
特徴とする。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、自移動体の識別情報と、他移動体との受信
状態を表した受信品位情報とからなるステータス情報を
常時全ての他移動体へ送信する手段をさらに有し、前記
監視手段は、他移動体から送信された前記ステータス情
報に含まれる前記受信品位情報に基づいて受信品位テー
ブルを作成し、前記中継経路決定手段は、該受信品位テ
ーブルに基づいて前記中継移動体を選定することを特徴
とする。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記受信品位情報として、各移動体間の通
信における、受信信号強度、信号対雑音比、受信誤り
率、又はこれらを複合した値を用いることを特徴とす
る。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項3記載の発
明において、前記ステータス情報にはさらに位置情報が
含まれており、自移動体の位置情報と、他移動体から送
信されたステータス情報に含まれる該他移動体の位置情
報とに基づいて各移動体間の距離を算出し、該算出距離
に基づいて前記受信品位情報を作成することを特徴とす
る。
【0018】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記複数個の移動体間での無線通信はTD
MA(時間分割型多重接続)方式を用いて行われてお
り、各移動体にはあらかじめ決められた固有の通信スロ
ットが各移動体の識別情報と対応して割り当てられてお
り、所定の時間基準と前記識別情報とに基づいて、所定
時間間隔毎に、自移動体の識別情報と、他移動体との受
信状態を表した受信品位情報とからなるステータス情報
を他移動体へ送信することを特徴とする。
【0019】請求項7記載の発明は、請求項6記載の発
明において、前記所定の時間基準はGPS信号により得
られた絶対時間であることを特徴とする。
【0020】請求項8記載の発明は、請求項6記載の発
明において、前記所定の時間基準は、受信した他の移動
体からのステータス情報に含まれる識別情報に基づいて
決定され、該所定時間基準に基づいて自己の通信スロッ
トの割り当て時間間隔を推定し、ステータス情報を該推
定した時間間隔で送信することを特徴とする請求項9記
載の発明は、請求項1記載の発明において、前記移動体
間通信装置は、さらに、GPS受信信号に基づいて現在
位置を検出するナビゲーション装置を有し、該ナビゲー
ション装置により得られた位置情報を前記送信情報に含
ませて他移動体へ送信することを特徴とする。
【0021】請求項10記載の発明は、複数個の移動体
間で無線通信により情報交換を行うための移動体間通信
方法において、自移動体の識別情報と、他移動体との受
信状態を表した受信品位情報とからなるステータス情報
を常時全ての他移動体へ向けて送信するステップと、受
信した各移動体からのステータス情報に含まれる受信品
位情報に基づいて、各移動体の受信状態を示した受信品
位テーブルを作成するステップと、情報を送信すべき目
標移動体が生じた場合、該目標移動体との直接通信が可
能かどうかを該受信品位テーブルに基づいて判断し、直
接通信が不可能と判断される場合に、該受信品位テーブ
ルに基づいて該目標移動体との受信品位の高い少なくと
も一つの移動体を中継移動体として選定するステップ
と、前記送信情報を含むパケットに、該選定された中継
移動体の識別情報と前記目標移動体の識別情報とを含ま
せて送信するステップと、受信した他移動体からのパケ
ットに、前記中継移動体の識別情報および・または前記
目標移動体の識別情報があった場合、自己の識別情報と
前記目標移動体の識別情報とが一致した場合は前記送信
情報を格納・処理し、前記少なくとも一つの中継移動体
の識別情報と一致した場合は、他の中継移動体の識別情
報と、前記目標移動体の識別情報と、前記送信情報を含
むパケットを送信するステップとからなることを特徴と
する。
【0022】請求11記載の発明は、請求項10記載の
発明において、前記中継移動体の選定ステップは、受信
品位のレベルを表す受信品位値をαnとし、中継回数を
r、αnの最大値をMとして、評価値Γを以下の式
(1)で表したとき、
【0023】
【数1】 最大の評価値Γを与える移動体を中継移動体として選定
する算出ステップを有することを特徴とする。
【0024】請求項12記載の発明は、複数個の移動体
間で無線通信により情報交換を行うための移動体間通信
装置において、前記複数個の移動体間での無線通信はT
DMA(時間分割型多重接続)通信方式を用いて行われ
ており、各移動体にはあらかじめ決められた固有の通信
スロットが各移動体の識別情報と対応して割り当てられ
ており、所定の時間基準と前記識別情報とに基づいて、
所定時間間隔毎に、自移動体の識別情報と、他移動体と
の受信状態を表した受信品位情報とからなるステータス
情報を他移動体へ送信することを特徴とする。
【0025】請求項13記載の発明は、請求項12記載
の発明において、前記所定の時間基準はGPS信号によ
り得られた絶対時間であることを特徴とする。
【0026】請求項14記載の発明は、請求項12記載
の発明において、前記所定の時間基準は、受信した他の
移動体からのステータス情報に含まれる識別情報に基づ
いて決定され、該所定時間基準に基づいて自己の通信ス
ロットの割り当て時間間隔を推定し、ステータス情報を
該推定した時間間隔で送信することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して説明する。
【0028】図1は本実施形態の移動体間通信装置を備
え、各移動体(二輪車、自動車等)に搭載された車載シ
ステム1と、各車載システム1と有線もしくは無線で通
信可能に接続された外部通信機器(携帯電話、公衆電話
網等のネットワーク、ヘッドセットシステム、他の移動
体に搭載された車載システム等)との接続関係を示した
ブロック図である。なお、以下では、本実施形態の移動
体間通信装置にナビゲーション装置が組み込まれた構成
を前提として説明しているが、ナビゲーション装置は必
ずしも組み込まれる必要はなく、複数個の移動体間で無
線通信を行う通信システムに適応されるものであれば、
どのような構成であってもかまわない。
【0029】図1において、車載システム1は、GPS
アンテナからの受信信号に基づいて通常のナビゲーショ
ン動作を行うナビゲーション装置2と、外部通信機器と
無線通信を行うための第一無線通信装置3,第二無線通
信装置4および外部通信機器と有線通信を行うための有
線通信装置5とを有している。また、図中、は各移動
体に搭載された車載システム1間の第二無線通信装置4
を介した無線通信による接続を示し、は車載システム
1と携帯電話との無線通信による接続を示し、は携帯
電話と車載システム1との有線通信による接続を示し、
は携帯電話と公衆電話網との基地局を介した無線通信
による接続を示し、は車載システム1に備えられた有
線通信装置5と公衆電話網等のネットワークとの有線通
信による接続を示し、は車載システムとヘッドセット
システムとの第一無線通信装置3、6を介した無線通信
による接続を示している。ヘッドセットシステムは、移
動体の利用者が、移動体から所定距離以内離れたとき
に、移動体に搭載された車載システム1との無線通信を
介して外部と通信するためのものである。
【0030】車載システムと公衆電話網等との接続によ
り、離れた本部との連絡や、現場の状況を文字・画像等
により遠隔地に伝送することが可能となる。その実現方
法は二つあり、一つは有線通信装置を利用する方法と、
もう一つは携帯電話を利用する方法である。
【0031】有線通信装置5を利用した接続()で
は、図1の有線通信装置は通信制御装置(後述)により
制御され、車載システムを公衆電話網に接続することを
可能とする。有線通信装置5と通信制御装置は、統合し
ていわゆるモデムと呼ばれるものであり、本発明の対象
ではないが、災害時通信システムの構成要素である。公
衆電話網との接続は、公衆電話の接続コネクタを介して
行われる。
【0032】図1の携帯電話を利用した接続()で
は、携帯電話と車載システムを有線もしくは無線により
接続(、)し、さらに、携帯電話から公衆電話網へ
の接続により実現される。
【0033】図2は、ヘッドセットシステムの詳細な構
成を示したものである。
【0034】図2で示されているように、ヘッドセット
システムは、それ自体GPSアンテナと、GPS受信機
を備えたものであり、特に、車載システム1の第一無線
通信装置3と同様な構成を有する無線通信装置6,I/
F部及びカメラ、マイク、ヘッドフォンを一体化した携
帯用の音声画像通信セット(ヘッドセット部)とからな
る。I/F部は、無線通信装置6で受信された信号のう
ち、オーディオ信号をヘッドフォンに出力し、利用者へ
の告知情報を表示装置へ出力し、カメラで撮影された映
像信号をデジタル信号に変換し、無線通信装置6に送
る。また、表示/入力装置は、簡易な表示及び制御情報
の入力を可能とする。ヘッドセット部は、利用者が頭部
等に装着して携帯し、音声情報の送受信及び画像情報の
送信のためのHMI(人・機械間操作インターフェー
ス)を形成する。
【0035】ヘッドセット部はGPS信号の受信を行う
GPSアンテナと、静止画像や動画像を捕捉するカメラ
と、音声信号を捕捉するマイクと、音声信号の出力を行
うヘッドフォンとからなる。また、I/F部は、ヘッドセ
ット部と無線通信装置6との間のインターフェースの役
割をする。ヘッドセット部のマイク及びカメラで捕捉さ
れた音声信号及び映像信号は、I/F部のA/D(アナ
ログ/デジタル変換部)でデジタル信号に変換され、無
線通信装置6に送られる。
【0036】GPSアンテナで受信されたGPS信号
は、GPS受信機で復調され、利用者の位置情報がデジ
タル信号として無線通信装置6に送られる。
【0037】無線通信装置6で受信された音声信号は、
I/F部のD/A(デジタル/アナログ変換部)でアナ
ログ信号に変換され、ヘッドセット部のヘッドフォンに
送られる。I/F部の表示/入力装置は、ヘッドセット部
だけでは困難な、通信相手先を設定するような利用者の
入力機能、他の作業者の状態(後述するステータス情
報)の表示機能、自局ステータス情報(通常/非常な
ど)を設定するような利用者の入力機能等を有する。
【0038】第一無線通信装置3と第二無線通信装置4
とは異なるものが利用される。なぜならば、第一無線通
信装置の役割は、一つの車載システムと一つのヘッドセ
ットシステムとの間の通信を行うのみ(つまり、1:1
通信)であり、他の車載システムや他のヘッドセットシ
ステムとの通信は不要だからである。
【0039】ヘッドセットシステムに第二無線通信装置
4を利用した場合、第二無線通信装置4は第一無線通信
装置3に比べて到達距離を長くする必要があるため、必
然的に第二無線通信装置4の送信電力は第一無線通信装
置3に比べて大きくなり、大きなバッテリー容量が必要
となり、重量が増大し、携帯に不便となるデメリットが
ある。
【0040】ヘッドセットシステムは、車載システムか
ら近い距離で利用されるため、第一無線通信装置3の送
信電力を小さく抑えることが可能で、バッテリー重量を
軽減できるメリットを有する。
【0041】本実施形態においては、第一無線通信装置
3の具体的な構成は本実施形態の対象としないので説明
を省略する。以下では、車載システムにおける第二無線
通信装置4との連携について説明する。
【0042】図3は第一無線通信装置3と第二無線通信
装置4の層(レイヤ)構造を示す。二つの無線通信装置
はゲートウェイにより接続される。ゲートウェイ機能
は、ナビゲーション装置の通信制御装置が担うが、どの
部分が担うかは特に本実施形態では本質的ではない。ま
た、図3で示される以外に、ネットワーク層で両無線通
信装置を接続するルータ機能を用いても良い。図4は、
本実施態様の車載システム1に搭載されるナビゲーショ
ン装置2の構成を示したブロック図である。
【0043】ナビゲーション装置2は、GPSアンテナ
を介して衛星からのGPS信号を受信するGPS受信装
置7と、GPS受信装置7からの信号と、ジャイロ8か
らの信号と、さらに移動体の車速信号とに基づいて移動
体の位置、進行方位等を演算する位置演算装置9とを有
する位置標定装置10を備えている。また、ナビゲーシ
ョン装置2は、キーボード・スイッチ群11、オーディ
オ入力装置12等を介してナビゲーション動作および通
信動作に必要な情報を利用者が入力する入力装置13
と、位置標定装置10からの出力信号と、入力装置13
からの入力情報と、後述する第一および第二通信制御装
置14、15からの通信信号とを入力し、所定の処理を
施す中央制御装置16と、中央制御装置16からの処理
信号に基づいて画像表示装置17上に画像を表示させた
り、オーディオ出力装置18から音声等を出力させる出
力装置19とを備えている。
【0044】中央制御装置16は、位置標定装置10の
出力信号と、入力装置13を介して入力された入力情報
に所定の処理を施した後、第一通信制御装置14および
第二通信制御装置15を介して、第一無線通信装置3,
第二無線通信装置4および有線通信装置5へ出力する。
これらの通信装置に入力された処理信号は無線もしくは
有線により外部通信機器へ送信される。
【0045】さて、本発明の実施形態は、特に車載シス
テム間の通信方式()にその特徴がある。
【0046】本実施形態では、各移動体(車載システ
ム)間の通信は、図1で示される第二無線通信装置4に
より行われている。この第二無線通信装置4とナビゲー
ション装置とにより各移動体間での位置情報等の情報交
換が可能となる。以下、ナビゲーション装置2と第二無
線通信装置4とを組み合わせた構成を、移動体間通信装
置と称する。
【0047】以下、移動体間通信装置(第二無線通信装
置4)による移動体(車載システム)間の通信について
説明する。なお、以下の説明で「移動局」とは、第二無
線通信装置4を利用して無線通信を行う車載システムを
意味する。また、前述したように、移動体間通信により
各移動局間で送受信される情報とは、ナビゲーション装
置により得られた各移動局の位置情報等ばかりでなく、
利用者が入力装置等により入力した入力情報も含まれて
いる。入力情報は、メッセージ等のテキスト情報、画像
音声情報等任意の通信情報を含む。
【0048】本実施態様では、移動体間の通信は、通信
方式としてTDMA(時間分割型多重接続)を用いて行
われる。これは、最小数の通信装置(受信装置)を用い
て複数の他移動体(車載システム)からの信号を正確に
受信するにはTDMA方式が最適であるからである。ま
た、TDMA方式以外の通信方式、例えばCDMA(符
号分割型多重接続)方式等を用いるか、又はこれらの通
信方式とTDMA方式を組み合わせて利用してもよい。
【0049】さて、通信方式としてTDMA方式を用い
た場合、各第二無線通信装置4への通信スロットの割当
が重要となる。ここで、複数個の第二無線通信装置4が
互いに信号の送受信を行う場合、各第二無線通信装置4
が同時に信号を送信したのでは、信号同士の干渉が生じ
てしまい、受信側で正確な信号を受信できなくなる。従
って、所定の時間周期を適当な数に等分して、各等分さ
れた時間間隔を各第二無線通信装置4の信号送信に割り
当てることが必要になる。各第二無線通信装置4に割り
当てられたこの時間間隔を通信スロットという。各第二
無線通信装置4は、割り当てられた時間間隔毎に必要な
情報(パケット)を送信することになる。
【0050】基地局を利用した無線通信方式では、この
ような通信スロットは基地局により自動的に割り当てら
れるので、各第二無線通信装置4は何ら通信スロットを
気にせずに情報を送信することができるが、基地局を有
さない自立系の通信方式を採用した本実施形態では、以
下の方法で通信スロットの割り当てが行われる。
【0051】まず、各第二無線通信装置4には、通信ス
ロットを規定するための認識番号(ID)が予め割り当
てられている。このID値に応じて(例えば番号の小さ
な順に)、各第二無線通信装置4は予めスケジュールさ
れた通信スロットでステータス情報(後述)の送信を行
う。スケジュールの方法としては、GPS受信装置7で
生成された時間基準による正確な時計を用いることで行
われる。例えば車載システムの総台数が10台で、各第
二無線通信装置4が使用する最大のパケット長を80m
sとした場合は、1秒間を10分割し、毎秒の0.1秒
時にIDが0001番の第二無線通信装置4が通信スロ
ットを利用してパケットを送信し、毎秒の0.2秒時に
IDが0002番の第二無線通信装置4が通信スロット
を利用してパケットを送信する。以下同様に、0010
番の第二無線通信装置4のパケット送信が終了した後、
次の0.1秒時に0001番のIDを持つ第二無線通信
装置4によるパケット送信が繰り返し行われる。
【0052】ここで、GPS信号が受信困難となり、自
局の通信スロットが分からなくなった場合は、通信状態
にある他の第二無線通信装置4の送信信号を受信してそ
のID値を読み取り、自局が送信すべき直前の通信スロ
ットによる送信が完了した時点を基準にして送信を行う
か、または、このID値に基づいて自局が送信すべき通
信スロットの位置(時間)を算出してパケット送信す
る。
【0053】複数の車載システム間の通信を成立させる
ためには、通信を行う車載システム間の無線通信そのも
のが可能でなければならない。災害救助活動やNGO,
NPO等のボランティア活動では、各移動局(車載シス
テム)は必ずしも無線通信可能な位置範囲にいるわけで
はなく、通信を希望する相手先の移動局(以下、目標移
動局と称する)との無線通信を行うことができない場合
が多々生じる。
【0054】このような場合に、本実施形態では、無線
通信可能な周辺移動局(車載システム)を中継して、通
信接続を希望とするが、実際上通信不可能な目標移動局
(車載システム)への通信を実現することができる。周
辺移動局には当該移動局との無線接続状態の良いものや
悪いものも存在する。このような周辺移動局の中で最適
で、最小数の中継移動局を探し出し、これらの中継移動
局を介して目標移動局へ情報を送信すれば、無線通信接
続が不可能な目標移動局へ必要な情報を正確に、且つ効
率的に送信することが可能となる。以下、このような目
的を果たすための通信方式について説明する。
【0055】本実施形態では、各移動局(車載システ
ム)の第二無線通信装置4からはステータス情報(後
述)が常時(例えば、割り当てられた固有の通信スロッ
トの周期で)で送信されている。この送信は、特定の第
二無線通信装置4宛にではなく一斉同報形式で行われて
いる。すなわち、各第二無線通信装置4からは、他の全
ての第二無線通信装置4宛へステータス情報が常時送信
されている。各第二無線通信装置4は、他の第二無線通
信装置4からのステータス情報を含む信号を受信し、中
央制御装置16で、ID毎にその受信品位を記録・比較
して、内部の受信品位テーブルを逐次更新する。この受
信品位テーブルは目標移動局との通信接続が可能かどう
かを判断したり、目標移動局との通信が不可能な場合に
は、最適な中継移動局を探索するのに利用される。
【0056】ここで音声情報や画像情報等の、ステータ
ス情報以外に送信すべきイベント(特定の移動局へ送信
すべき希望情報)が車載システムに発生した場合は、受
信品位テーブルを参照し、パケットのヘッダーに、宛先
ID(目標移動局ID)、中継移動局ID(必要な場
合)を書き込んで、希望情報とともにパケットとして送
信する。中継移動局IDの決定方法については後述す
る。また、ステータス情報以外の希望情報を含んだパケ
ットを受信した場合は、その車載システムは、前述の宛
先ID、中継移動局IDを読み取り、宛先IDが自分の
IDに一致する場合は情報を格納・処理し、中継移動局
IDが自分のIDに一致する場合は自ら中継動作を行
う。ここで、中継動作とは、最終の宛先ID又は次の中
継ID宛に希望情報(宛先ID,他中継IDを含む)を
ステータス情報と共に送信することを意味する。
【0057】ステータス情報とは、複数の移動局(車載
システム)の第二無線通信装置4間の通信を成立させる
ための必須情報であり、自局IDと、他局の受信品位情
報と、車載システムの動作に必要な、車載システム間で
交換すべき情報、すなわち、自局の位置情報、移動速
度、移動方向などの情報と、走行中/停車中、乗車中/降
車中、通常/非常などの情報とから成る。
【0058】次に中継移動局IDの決定方法について説
明する。
【0059】中継を行う場合、確実に中継可能な移動局
を選定することと、目標移動局への情報到達までに要す
る遅延時間を最小にするため、中継回数を最小限に抑え
ることが要求される。
【0060】本発明においては、他の移動局から常時送
信されるパケット(ステータス情報)を受信した際の受
信品位を用いて、中継移動局を探索する。今、移動局の
総台数(車載システムの総台数)がA,B,C,D,E
の5台であったとする。各移動局の相互位置関係(距離
関係)、ビルなどによる遮蔽状態等により、必ず全ての
直接通信が成立するわけではない。そこで中継が必要と
なる。
【0061】前述したように、ステータス情報には、他
の移動局からの信号がどの程度の品位で受信されたかの
情報が含まれている。したがって、孤立した移動局が無
い限りにおいては、有限回数のステータス情報の受信に
よって、全ての移動局が他の全ての移動局をどの程度の
品位で受信しているかが分かることになる。受信品位
は、受信品位のレベルを表した受信品位値として受信品
位テーブルに書き込まれ、全ての車載システムで保管・
更新される。受信品位としては、受信信号強度、信号対
雑音比、受信誤り率、又はこれらを複合した値が用い得
る。
【0062】図5は5台の移動局(A,B,C,D,
E)間の通信状態を示したものであり、通信状況に応じ
て、通信が「良好」、「可能」、「困難」、「不可能」
な状態で示されている。
【0063】いま、ある移動局が目標移動局へ希望情報
を送信する際に行う、希望情報の送信プロセスについて
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0064】図6は希望情報の送信を希望する移動局
は、まず、受信したステータス情報に基づいて作成した
受信品位テーブルを参照し(S1)、相手先(目標移動
局)と直接通信可能かどうかを判断する(S2)。直接
通信可能な場合は、中継移動局IDをヘッダーに書き込
まず(中継の指示を出さず)、宛先IDをパケットのヘ
ッダーに書き込み情報を送信する(S3)。一方、直接
通信不可能と判断される場合は、中継回数の上限を設定
し(S4)、中継移動局の決定プロセスに入る(S
5)。中継移動局の決定プロセスにて中継移動局が決定
されたならば(通信経路の決定)、宛先IDと中継移動
局IDとをヘッダーに書き込んで希望情報を送信する
(S6)。一方、中継移動局が決定されない場合は、ス
テップS1に戻り、新たに受信したステータス情報に基
づいて作成された受信品位テーブルを参照し、以後ステ
ップS2からステップS5を繰り返す。
【0065】いま、図5において、中継回数の上限を2
回と定めた上で、A局からB局への通信を行う場合を例
として、中継移動局決定プロセスについて説明する。
【0066】ここで、受信品位値をαn、中継回数をr、
αnの最大値をMとして、標価値Γを式(1)で表し、Γ
が最大のものを通信経路として選択する。
【0067】
【数1】 いま、ステータス情報に基づいて表1で示される受信品
位テーブルが得られたとする。
【0068】
【表1】 この場合、受信品位値は、通信不可能を示す「0」と、
通信状態を5段階に分けて評価した数字「1」、
「2」、「3」、「4」、「5」とが用いられている。
この時、Γはそれぞれ以下のような結果となる。
【0069】中継無し(r=0) A→B:0/5=0 (2) 中継1回(r=1) A→C→B:(5×3)/25=0.6 (3) A→D→B:(0×3)/25=0 (4) A→E→B:(3×2)/25=0.24 (5) 中継2回(r=2) A→C→D→B:(5×1×3)/125=0.12 (6) A→C→E→B:(5×1×2)/125=0.08 (7) A→D→C→B:(0×1×3)/125=0 (8) A→D→E→B:(0×4×2)/125=0 (9) A→E→C→B:(3×1×3)/125=0.072 (10) A→E→D→B:(3×4×3)/125=0.288 (11) この場合は式(3)のΓ=0.6が最大であり、A→C→
Bを通信経路として選択することとなる。
【0070】なお、特定の一つの相手先に対する通信経
路候補数Csは、移動局の局数をNとした場合、式(1
2)で表され、全ての相手先に対しての通信経路候補数
Caは、式(13)で表される。
【0071】
【数2】
【0072】
【数3】 前記の例ではN=5,r=2でCs=10,Ca=40
である。更に規模の大きな場合では、例えば、N=3
2,r=2ではCs=901,Ca=27,931とな
り、N=128,r=3ではCs=1,968,87
7,Ca=250,047,379となる。この経路候
補数は、通信制御装置にとって大きな計算の負荷になる
可能性がある。そこで、計算負荷を低減する方法とし
て、以下の手法が考えられる。 (1)Γの計算で、αnに一つでもある値以下(例え
ば、0,1)が含まれていたら、計算を中止する。
【0073】例えば式(2)から式(11)の計算におい
て、ゼロが一つでも含まれていたら計算を中止すること
にした場合、式(2)、式(8)、式(9)にゼロが含まれて
いるため、3つのΓの計算に対しては、少なくとも除算
を行う必要は無くなる。また、同様に1以下が一つでも
含まれていたら計算を中止することにした場合、更に式
(6)、式(7)、式(10)が該当するため、合計6つのΓ
の計算に対して負荷の軽減が図れる。 (2)中間計算値を保存して後の計算で再利用する。
【0074】例えば、図5において、中継回数を3回
(R=3)とすると、A→C→D→E→Bという通信経
路が候補の一つになるが、これは、式(6)の結果A→C
→DにD→E→Bの新しい計算を付加することで達成で
きる。
【0075】本実施態様において、他の通信経路の決定
方法としては、ステータス情報に含まれる移動局の位置
情報を利用する方法がある。
【0076】前述したように、ステータス情報として各
移動局は自局の位置情報を常時送信している。各移動局
は、受信した他の移動局からのステータス情報に含まれ
る位置情報もステータス情報に含めて送信するようにし
ておけば、有限回数の受信によって、全ての移動局の位
置情報を知ることができる。
【0077】全ての移動局の位置情報から、移動局間の
距離を計算することができる。一般的に、距離が遠けれ
ば通信は困難になり、近ければ通信は容易になるから、
距離に応じて表1のようなテーブルを作成することが可
能である。そのようにして生成された表(距離テーブ
ル)を同様に用いて通信経路を決定することが出来る。
この距離テーブルでは、各移動体間の距離が前述の受信
品位値に対応するものであり、移動体間の距離の値に応
じて所定のレベルが付されることになる。
【0078】本実施形態の、更に他の通信経路の決定方
法は、中継回数を1回に制限した上で、式(1)のよう
な乗算・除算を行わず、数値の比較によって行うもので
ある。
【0079】式(1)を用いる場合、各移動局は他局の
送信信号を受信して受信品位を記録し、更に他局の送信
するステータス情報を受信して、それに含まれる他局で
の受信品位情報を記録することで初めて表1が完成す
る。詳しく述べると、例えば、移動局Aが移動局B〜E
を受信して得られる受信品位情報は、表1のAの1列で
ある。次にB局が送信するステータス情報からBの1列
が得られ、同様にCからEの列が得られる。完成した表
1を、移動局Aは送信するステータス情報に含めて送信
する。即ち、移動局の総数がN台とすると、送信する受
信品位情報はN×Nのマトリックスとなる。これを全て
の移動局が送信するのであるから、全ての受信品位情報
の情報量は、N×N×N=N3個となる。
【0080】これは、中継回数に制限を設けず、あらゆ
る通信経路の可能性を探索する場合には必要な情報であ
るが、例えばN=128の場合は2,097,152個
の情報量となり、全情報に占めるステータス情報が莫大
となり、結果として音声やデータなど、利用者が送信し
たい情報量を圧迫することになる。更には、式(13)
のような計算を必要とし、前記(1)、(2)のような
工夫を施したとしても、計算量が膨大になることは避け
られない。
【0081】そこで、以下のようにして通信経路の決定
方法を簡略化し、計算量の圧縮とステータス情報の削減
が可能である。中継回数を1回に限定する。式(1)を
用いず、数値の大小比較で通信経路を決定する。
【0082】(イ)の方法について説明する。
【0083】まず、各移動局は、前記したと同じよう
に、他局の受信品位テーブルを作成する。例えば移動局
Aにとっては、表1のA列の受信品位情報を取得する。
また、同時にその情報をすべての他局宛に送信する。一
方、移動局Aは他局が同様に送信した受信品位情報を受
信する。つまり、表1のB列〜E列の情報を取得する。
【0084】次に、希望情報の通信経路の決定は以下の
ように行われる。
【0085】移動局Aが移動局B宛に送信する場合を例
に取ると、先ず移動局B宛に直接送信する可能性を探索
する。これには、表1のA列のB行の受信品位値を参照
する。この値が予め決めておいたスレッショルド値以上
であれば、「直接送信が可能」と判断して送信を行う。
例えばスレッショルド値が2以上であるとすると、表2
の例では、受信品位値がゼロであるため、「直接送信は
不可能」で、「中継を利用する」と判断する。次に、他
の移動局が送信するステータス情報に含まれる受信品位
情報を参照する。この場合、移動局Bと移動局Dは受信
不能であるため、ステータス情報も受信できないが、移
動局Cと移動局Eは受信可能であるため、最終的に表2
の受信品位テーブルが得られる。
【0086】
【表2】 次に中継局を決定するために、B行のスレッショルド値
を超えた受信品位値を有した列を選択する。表1ではC
列とE列が該当するが、この二つの値の大きい方を選択
する。つまり、移動局Cを中継局として選定する。した
がって、通信経路はA→C→Bとして決定される。
【0087】この例では、偶然に式(1)による決定と
結果が一致したが、実際には一致しないことの方が多
い。即ち、最適通信経路を選択することはできない。ま
た、中継回数は1回に限定されるため、経路が見つから
ない確率が増大する。しかし、決定のプロセスは極めて
簡略であり、掛算・除算も不要であるため、計算量が少
なくて済む。また、一つの局が送信する受信品位値情報
はN、全移動局が送信する情報量はN2であり、前記の
方法に比べると共に1/Nになり、利用者が送信したい情
報量を圧迫することも無いという利点を有する。
【0088】以上の中継経路決定プロセスにより中継移
動局が決定されたならば、移動局Aは、例えば、中継I
Dを移動局CのIDに設定し、宛先IDを移動局BのI
Dに設定し、それぞれパケットのヘッダーに書き込ん
で、希望情報とともに送信する。この情報を含んだパケ
ットを受信した移動局Cは、中継ID、宛先IDを読み
取る。この場合、宛先IDは自分のIDに一致しない
が、中継IDが自分のIDに一致するので中継動作を行
う。上述の場合、移動局Cは宛先IDを移動局BのID
に設定して、パケットのヘッダーに書き込み、受信した
希望情報と共に他の移動局宛送信する。また、移動局A
からの情報を受信した移動局Eは、宛先ID、中継ID
ともに自分のIDではないので中継動作は行わない。移
動局Cから送信された情報を受信した移動局Bは、宛先
IDが自らのIDと一致すると判断して、希望情報を格
納・処理する。
【0089】上述した例では、中継移動局となる移動局
Cは、宛先IDおよび他の中継IDを新たにパケットに
書き込むとしているが、移動局Aから送信された情報に
は既にこれらの情報が書き込まれているので、これらの
情報をそのまま希望情報と共に他の移動局(他の中継移
動局、目標移動局)へ送信しても良い。
【0090】以上の希望情報の送信プロセスにより、最
適で最小の中継移動局を探索することができ、これによ
り希望情報を正確に、且つ確実に目標移動局に送信する
ことが可能となる。
【0091】なお、本実施形態の移動体間通信装置及び
移動体間通信方法は、必ずしもナビゲーション機能を有
する必要はなく、他の任意の無線移動通信装置に適応で
きることはいうまでもない。この場合、各移動体間で送
信されるステータス情報にはナビゲーション機能に係わ
るGPS受信信号に基づく位情報が含まれる必要はな
い。
【0092】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、基地
局を用いずに、移動局のみによる最適な中継動作を実現
することで、送信電力を増大させずに、通信可能な範囲
にない移動局同士で必要な情報の送受信が可能となる。
また、本発明の移動体間通信装置及び通信方法を災害救
援・救助活動、NGO,NPO等によるボランティア活
動等に利用した場合、例えば、災害現場で救助にあたる
作業者が、他の作業者と無線による安定した音声連絡を
行うことができ、さらに、少なくとも中継可能な周辺作
業者(移動局)が存在すれば、自分及び目標移動局の位
置確認や本部等とのデータ通信も、目標移動局との通信
状況に関わらず容易に行うことができる。さらに、本発
明の無線通信は基地局を介さずに行われているので、災
害時の通信インフラの故障やトラフィックの増大による
影響を受けることなく通信が可能である。従って、従来
よりも効率の高い災害救援・救助活動が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による移動体間通信の全体の構成を示す
図である。
【図2】移動体間通信で利用されるヘッドセットシステ
ムの構成を示す図である。
【図3】本発明の車載システムに備えられている第一無
線通信装置と第二無線通信装置の層構造を示す図であ
る。
【図4】本発明の車載システムに備えられているナビゲ
ーション装置を示す図である。
【図5】移動体の相互位置関係による通信品位を示した
図である。
【図6】各移動体が行う情報送信プロセスを示したフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 車載システム 2 ナビゲーションシステム 3 第一無線通信装置 4 第二無線通信装置 5 有線通信装置 6 無線通信装置 10 位置標定装置 13 入力装置 14 第一通信制御装置 15 第二通信装置 16 中央制御装置 19 出力装置
フロントページの続き (72)発明者 藤瀬 雅行 東京都小金井市貫井北町4−2−1 独立 行政法人通信総合研究所内 (72)発明者 森 政治 東京都文京区白山5丁目35番2号 クラリ オン株式会社内 (72)発明者 菅原 一誠 東京都文京区白山5丁目35番2号 クラリ オン株式会社内 (72)発明者 新妻 照夫 東京都文京区白山5丁目35番2号 クラリ オン株式会社内 Fターム(参考) 5K067 AA21 AA35 BB04 EE02 EE12 FF02 FF03 GG01 HH11 JJ56 5K072 AA29 BB13 BB25 BB27 CC06 DD01 DD11 DD20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の移動体間で無線通信により情報
    交換を行うための移動体間通信装置において、情報を送
    信すべき相手先である目標移動体との通信状態に応じ
    て、該目標移動体への前記送信情報の送信を中継し得る
    周辺移動体を探索し、中継動作が可能な中継移動体が探
    索された場合に、該中継移動体を介して前記目標移動体
    へ前記送信情報を無線送信する手段を有したことを特徴
    とする移動体間通信装置。
  2. 【請求項2】 移動体間の受信状態を監視する監視手段
    と、該監視手段による受信状態の監視結果に基づいて、
    中継動作が可能な中継移動体を選定し、該中継移動体を
    介した送信のための中継経路を決定する中継経路決定手
    段と、該中継経路決定手段により選定された前記中継移
    動体の識別情報と、前記目標移動体の識別情報とを付加
    して前記送信情報を送信する送信手段とを有したことを
    特徴とする請求項1記載の移動体間通信装置。
  3. 【請求項3】 自移動体の識別情報と、他移動体との受
    信状態を表した受信品位情報とからなるステータス情報
    を常時全ての他移動体へ送信する手段をさらに有し、前
    記監視手段は、他移動体から送信された前記ステータス
    情報に含まれる前記受信品位情報に基づいて受信品位テ
    ーブルを作成し、前記中継経路決定手段は、該受信品位
    テーブルに基づいて前記中継移動体を選定することを特
    徴とする請求項2記載の移動体間通信装置。
  4. 【請求項4】 前記受信品位情報として、各移動体間の
    通信における、受信信号強度、信号対雑音比、受信誤り
    率、又はこれらを複合した値を用いることを特徴とする
    請求項3記載の移動体間通信装置。
  5. 【請求項5】 前記ステータス情報にはさらに位置情報
    が含まれており、自移動体の位置情報と、他移動体から
    送信されたステータス情報に含まれる該他移動体の位置
    情報とに基づいて各移動体間の距離を算出し、該算出距
    離に基づいて前記受信品位情報を作成することを特徴と
    する請求項3記載の移動体間通信装置。
  6. 【請求項6】 前記複数個の移動体間での無線通信はT
    DMA(時間分割型多重接続)方式を用いて行われてお
    り、各移動体にはあらかじめ決められた固有の通信スロ
    ットが各移動体の識別情報と対応して割り当てられてお
    り、所定の時間基準と前記識別情報とに基づいて、所定
    時間間隔毎に、自移動体の識別情報と、他移動体との受
    信状態を表した受信品位情報とからなるステータス情報
    を他移動体へ送信することを特徴とする請求項1記載の
    移動体間通信装置。
  7. 【請求項7】 前記所定の時間基準はGPS信号により
    得られた絶対時間であることを特徴とする請求項6記載
    の移動体間通信装置。
  8. 【請求項8】 前記所定の時間基準は、受信した他の移
    動体からのステータス情報に含まれる識別情報に基づい
    て決定され、該所定時間基準に基づいて自己の通信スロ
    ットの割り当て時間間隔を推定し、ステータス情報を該
    推定した時間間隔で送信することを特徴とする請求項6
    記載の移動体間通信装置
  9. 【請求項9】 前記移動体間通信装置は、さらに、GP
    S受信信号に基づいて現在位置を検出するナビゲーショ
    ン装置を有し、該ナビゲーション装置により得られた位
    置情報を前記送信情報に含ませて他移動体へ送信するこ
    とを特徴とする請求項1記載の移動体間通信装置。
  10. 【請求項10】 複数個の移動体間で無線通信により情
    報交換を行うための移動体間通信方法において、 自移動体の識別情報と、他移動体との受信状態を表した
    受信品位情報とからなるステータス情報を常時全ての他
    移動体へ向けて送信するステップと、 受信した各移動体からのステータス情報に含まれる受信
    品位情報に基づいて、各移動体の受信状態を示した受信
    品位テーブルを作成するステップと、 情報を送信すべき目標移動体が生じた場合、該目標移動
    体との直接通信が可能かどうかを該受信品位テーブルに
    基づいて判断し、直接通信が不可能と判断される場合
    に、該受信品位テーブルに基づいて該目標移動体との受
    信品位の高い少なくとも一つの移動体を中継移動体とし
    て選定するステップと、 前記送信情報を含むパケットに、該選定された中継移動
    体の識別情報と前記目標移動体の識別情報とを含ませて
    送信するステップと、 受信した他移動体からのパケットに、前記中継移動体の
    識別情報および・または前記目標移動体の識別情報があ
    った場合、自己の識別情報と前記目標移動体の識別情報
    とが一致した場合は前記送信情報を格納・処理し、前記
    少なくとも一つの中継移動体の識別情報と一致した場合
    は、他の中継移動体の識別情報と、前記目標移動体の識
    別情報と、前記送信情報を含むパケットを送信するステ
    ップとからなることを特徴とする移動体間通信方法。
  11. 【請求項11】 前記中継移動体の選定ステップは、受
    信品位のレベルを表す受信品位値をαnとし、中継回数
    をr、αnの最大値をMとして、評価値Γを以下の式
    (1)で表したとき、 【数1】 最大の評価値Γを与える移動体を中継移動体として選定
    する算出ステップを有することを特徴とする請求項10
    記載の移動体間通信方法。
  12. 【請求項12】 複数個の移動体間で無線通信により情
    報交換を行うための移動体間通信装置において、前記複
    数個の移動体間での無線通信はTDMA(時間分割型多
    重接続)通信方式を用いて行われており、各移動体には
    あらかじめ決められた固有の通信スロットが各移動体の
    識別情報と対応して割り当てられており、所定の時間基
    準と前記識別情報とに基づいて、所定時間間隔毎に、自
    移動体の識別情報と、他移動体との受信状態を表した受
    信品位情報とからなるステータス情報を他移動体へ送信
    することを特徴とする移動体間通信装置。
  13. 【請求項13】 前記所定の時間基準はGPS信号によ
    り得られた絶対時間であることを特徴とする請求項12
    記載の移動体間通信装置。
  14. 【請求項14】 前記所定の時間基準は、受信した他の
    移動体からのステータス情報に含まれる識別情報に基づ
    いて決定され、該所定時間基準に基づいて自己の通信ス
    ロットの割り当て時間間隔を推定し、ステータス情報を
    該推定した時間間隔で送信することを特徴とする請求項
    12記載の移動体間通信装置。
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