JP2003142720A - リサイクル対応型太陽電池モジュール - Google Patents

リサイクル対応型太陽電池モジュール

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の太陽電池モジュールの構成において
は、封止材であるEVAが太陽電池セルと強固に接着して
いるため、封止材に挟まれている太陽電池セルのみを取
り出そうとすると、薄い太陽電池セルは亀裂が入った
り、割れてしまったりしていた。 【解決手段】 本願発明の太陽電池モジュールにおいて
は、太陽電池セルと封止材との間に太陽電池セルには接
着しない非接着シートを介在させ、二段封止型太陽電池
モジュールとした。これにより、該モジュールを廃棄す
る際には、該セルの外周の該シートを切断することによ
り、簡易に該セルを回収することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本願発明は、太陽電池に関
するものであり、特に、太陽電池をリサイクルして使用
する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 現在市販されている太陽電池モジュ
ールのうち、最も一般的に用いられているスーパースト
レートタイプの構成は、図1のようになる。図は太陽電
池モジュールの断面を示しており、1は表面ガラス、2
は封止材、3は太陽電池セル、4は裏面材、5は電極材
である。このモジュールの構成部材は、太陽光線の入射
側から順に、表面ガラス/封止材/太陽電池セル/封止
材/裏面材となる。表面ガラスは透明基版として用いら
れており、光透過率や強度の点から白板強化ガラスが使
用される。封止材としては、耐候性・耐湿性に優れるEV
A(ethylene vinylacetate, エチレン酢酸ビニル)など
が用いられる。裏面材には、PET(polyethylene terepht
halate, ポリエステル)とPVF(polyvinyl fluoride, ポ
リフッ化ビニル)の複層構造のプラスティックフィルム
(DuPont社のTedlarなど)が用いられる。なお、図1には
3つの太陽電池セルが示されているが、実際の太陽電池
モジュールにおいては、所定の電力を得るために、直列
・並列の接続が組み合わせられる。
【0003】このような、現在市販されている太陽電池
モジュールにおいては、リサイクルを意識せずに製造さ
れているため、そこから太陽電池セルを回収するための
手法が各種検討されている[下記参考文献参照]。しか
しながら、これら手法においては、薬品処理や熱処理が
必要であり、経済性や環境負荷等を考えると決して望ま
しいプロセスとは言えない。また、これら手法はまだ検
討段階であり、実用化レベルには達していない。 [参考文献] (1) T M Bruton, et. al.: "Re-cycling of High Valu
e, High Energy ContentComponents of Silicon PV Mod
ules", Proc. of 12th EC-PVSEC (1994) 303-304. (2) J. R. Bohland, et. al.: "Possibility of Recycl
ing of Silicon PV Modules", 26th IEEE PV Specialis
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ycle, Energy Payback Time and Cost", WCPEC-2, (199
8) 2210-2213. (4) T. Doi, et.al.: “Experimental study on PV Mod
ule recycling with organic solvent method”, Solar
Energy Materials & Solar Cells, Vol. 67, (2001),
397-403.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 従来の太陽電池モジ
ュールの構成においては、封止材であるEVAが太陽電池
セルと強固に接着しているため、封止材に挟まれている
太陽電池セルのみを取り出そうとすると、薄い太陽電池
セルは亀裂が入ったり、割れてしまったりする。特に、
多結晶シリコンの太陽電池セルでは、その結晶粒界にお
ける機械的強度が弱いため、単結晶シリコンの太陽電池
セルに比べて、破損しやすい。これは、上述の薬品処理
や熱処理を行う場合にも、EVAの膨潤や膨張がセル周辺
で均一でない時にはセルの破損が起こることを意味して
いる。このように、太陽電池モジュールから太陽電池セ
ルを無傷で取り出すことが困難であり、その結果、太陽
電池セルのリサイクルも困難にしているという課題があ
った。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本願発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽電
池セルと封止材との間に太陽電池セルには接着しない非
接着シートを介在させ、二段封止型太陽電池モジュール
とした。これにより、該モジュールを廃棄する際には、
該セルの外周の該シートを切断することにより、簡易に
該セルを回収することが可能となった。
【0006】
【本願発明の原理】 図2には、本願発明の原理を理解
しやすいように、モジュール内に内包するセルを1枚と
する単セルモジュールでの立体構成図と平面図を示して
いる。このモジュールの構成部材は、太陽光線の入射側
から順に、表面ガラス/封止材/非接着シート/太陽電
池セル/非接着シート/封止材/裏面材となる。
【0007】これは、図1のような既存のスーパースト
レートタイプの構成において、EVAと太陽電池セルの間
に太陽電池セルに非接着なシートを一組2枚挿入したも
のであり、このシートは太陽電池セルより若干大きく
し、セルからはみ出した部分を切り代とする。リサイク
ル時には裏面側から切り代を切開(図2下の一点鎖線)
すれば、非接着シートに挟まれた太陽電池セルを取り出
すことができる。
【0008】
【実施例】 図3は、多セルモジュールへの適用例とし
て、6セルの場合について、平面図と断面図を示したも
のである。図2に示した単セルにおいては、電極材を示
さなかったが、実際のモジュールでは多数のセルを直列
・並列に接続するための電極材が存在し、図3には表か
ら出た電極が隣の裏へ直列に接続される場合を示してあ
る。多セルの場合もセル1枚毎に、表裏に一組の非接着
シートを配置していけば、原理的に図2と同様の手法で
セルの回収は可能である。しかしながら、組み立て時の
位置合わせ等の手間が煩雑になり、現実的ではない。そ
こで、図3には解決策として、6セル全てを覆う表裏一
組の非接着シートを配置し、このシートの一部、即ち、
セルとセルの間の切り代になるところに複数の穴をあ
け、ここにEVAが入り固定する構成を示してある。
【0009】さらに、リサイクル時におけるモジュール
裏面側からの切削方法としては、図4に示すように、モ
ジュール表面(ガラス)側からセルの位置を判定し、切
削ラインを決定し切削する。これらの作業を自動で行う
ことも容易である。
【0010】本願発明のモジュール構成により実際に太
陽電池セルを無傷で回収できることを確認するために、
1セルモジュールの試作及びセル回収実験を通して、非
接着シート材の探索を行った。実験に使用した各種シー
ト材の特性を表1に記す。
【表1】 1セルモジュールの作成は以下のようにした。白板強化
ガラス(山久特殊硝子工業(株)製,120mm×120mm×3.
2mm)のエンボス加工のある側を上にして置き、この上
にEVA(ハイシート工業(株)製ソーラーエバ,120mm×
120mm×0.6mm)、試験シート(110mm×110mm)、太陽電
池セル(多結晶100mm×100mm×0.4mm)、非接着シー
ト、EVA、バックシート(Tedlar ,120mm×120mm×0.2m
m)の順に重ね、真空袋法(50Torr程度)により、仮接
着(100℃−1分間)、本接着(155℃−15分間)を行っ
た。
【0011】このようにして作成した試料を1ヶ月以
上、常温で保管した後、モジュール解体・セル回収実験
を行った。モジュール解体は以下のように行った。ま
ず、モジュールの表側より、太陽電池セルからはみ出し
ている試験シートの切り代の位置を確認し、セルの外側
約2mmのところをモジュール裏面より、カッターナイフ
で切れ目を入れていった。初めのうちは、セルの周りの
1辺毎に切れ目を入れてはEVAを剥がし取っていた(試
験シート#1及び#2)が、セルが回収できる場合は、
裏面から4辺に切れ目を入れるだけで、バックシート/
EVA/試験シートが一体になったものとセルが残りの部
分から容易に分離できることが分かった。
【0012】セル回収実験の結果は、以下のとおりであ
る。試験シート#1のシリコーンゴムは、セルの裏面の
みはがれた。試験シート#2〜#4のポリエステル、フ
ロログラス、ナフロンは、いずれもセルの回収に成功し
た。試験シート#5,#6のポリエチレン及び塩化ビニ
ルは、セルの両面ともはがれなかった。
【0013】ここで、セルの回収に成功した3種のフィ
ルムのうち、ポリエステルのみが透明であるため、本モ
ジュール構成における最適な材料として、ポリエステル
を選定して、次の回収成功率の検討を行った。非接着シ
ートとして、ポリエステルを用い、上記手順と同様の手
順で1セルモジュールを多数作成し、モジュールの解体
・セル回収実験を行った。この実験の結果をまとめたも
のを表2に示す。なお、前述の実験では試作から解体ま
で1ヶ月ほど時間をあけたが、今回の実験においては、
1週間ほどあけることとした。
【表2】
【0014】表2には、作成日、作成に要した時間、解
体日、解体に要した時間、セル回収の成否が記してあ
る。セル回収試験に使用したモジュールは、34枚であ
り、このうち、無傷でセルを回収できたのは、33枚で
あった。残りの1枚もほぼ回収していたが、記録のため
の写真撮影時にセルを破損してしまった。従って、若干
厳しくはあるが、ここでは回収成功率は97.1%としてお
く。また、1枚のモジュールを作成するための平均所要
時間は約3時間半、セル回収の平均所要時間は約6分で
あった。このことにより、本提案のモジュール構成法は
リサイクル対応型太陽電池モジュールの構成法として有
用性が高いと考えられる。
【0015】
【発明の効果】本願発明によれば、既存の太陽電池モジ
ュール生産ラインを一部改造し、太陽電池セルの表裏両
側に透明非接着シートを挟む工程を追加するだけで、リ
サイクル対応型の太陽電池モジュールを作成することが
可能となる。さらに、リサイクル時には、太陽電池モジ
ュールの裏面側より、カッターのような切削工具で切れ
目を入れるのみで、太陽電池セルを無傷で回収すること
ができる。従って、製造時・回収時ともにわずかなコス
ト増加でリサイクルを容易にする画期的な方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の太陽電池モジュール断面図
【図2】 本願発明に係る二段階封止型太陽電池モジュ
ールの構成例(1セル)。
【図3】 本願発明に係る二段階封止型太陽電池モジュ
ールの構成例(6セル)。
【図4】 回収時における切削装置の概念図
【符号の説明】
1 表面ガラス 2 封止材 3 太陽電池セル 4 裏面材 5 電極材 6 非接着シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA03 BA11 JA02 JA03 JA04 JA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太陽電池セルの周囲を封止材で封止する
    太陽電池モジュールにおいて、該セルと該封止材の間に
    該セルには接着しない非接着フィルムを介在させたこと
    を特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 【請求項2】 上記セルが複数であることを特徴とする
    請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 一つの上記セルに対して、表裏一組の上
    記非接着フィルムを用いる場合には、該非接着フィルム
    の広さは、該セルより若干大きくし、該大きい部分を切
    断時における切り代としたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の太陽電池モジュール。
  4. 【請求項4】 複数の上記セルに対して表裏一組の上記
    非接着フィルムを用いる場合には、該非接着フィルム
    は、セルとセルの間の位置において、表裏の封止材が接
    着し得る開口を有することを特徴とする請求項2記載の
    太陽電池モジュール。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の太陽電池モジュールにお
    いて、該モジュールを上記切り代において切断すること
    により、上記セルを回収することを特徴とする太陽電池
    セル回収方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の太陽電池モジュールにお
    いて、該モジュールをセルとセルとの間において切断す
    ることにより、上記セルを回収することを特徴とする太
    陽電池セル回収方法。
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