JP2003140328A - 平版印刷原版および平版印刷原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷原版および平版印刷原版の製造方法

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JP2003140328A JP2001339649A JP2001339649A JP2003140328A JP 2003140328 A JP2003140328 A JP 2003140328A JP 2001339649 A JP2001339649 A JP 2001339649A JP 2001339649 A JP2001339649 A JP 2001339649A JP 2003140328 A JP2003140328 A JP 2003140328A
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JP2001339649A
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Yasushi Nishiyama
靖志 西山
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ露光が可能で、感度が高い平版印
刷原版を得る。 【解決手段】 親水性支持体上に、フェノール樹脂とビ
ニル樹脂とを含み、フェノール樹脂とビニル樹脂とが相
分離している画像形成層が500mg/m2 乃至5g/
2 の塗布量で設けられている平版印刷原版において、
相分離したフェノール樹脂からなる連続した表面層で画
像形成層の表面を覆い、表面層を構成するフェノール樹
脂の量が60乃至120mg/m2 となるように調節す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷原版に関
する。特に本発明は、ディジタル信号に基づいたレーザ
ー光の走査露光によって画像を記録できる平版印刷原版
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支
持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リス
フィルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液
によって溶解除去することにより製版することが普通で
あった。近年では、コンピュータを用いて画像情報をデ
ジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力す
る。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理
は、レーザ光の様な指向性の高い活性放射線を用いる走
査露光により、リスフィルムを介することなく、平版印
刷版用原版に対して直接画像形成を行うことが望まし
い。このようにデジタル画像情報からリスフィルムを介
さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・
プレート(CTP)と呼ばれている。
【0003】従来のPS版による印刷版の製版方法を、
コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術で実施し
ようとすると、レーザ光の波長領域と感光性樹脂の感光
波長領域とが一致しないとの問題がある。一般に、平版
印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部
と湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。従来
の平版印刷版は、親水性支持体上に親油性の画像形成層
を設けたPS版に、リスフィルムを介してマスク露光し
た後、非画像部を現像液によって溶解除去することによ
り製版することが普通であった。画像形成層は、一般に
光重合開始剤とモノマー(例、エチレン性不飽和二重結
合を有する化合物)とを含み、露光による重合反応で硬
化する。これをレーザ光で露光するためには、レーザ光
の波長領域と光重合開始剤の感光波長領域とが重複する
ように、レーザ光と光重合開始剤との組み合わせを選択
する必要がある。しかし、そのような組み合わせ例は、
非常に少ない。
【0004】特開平11−44956号公報に、光熱変
換剤、フェノール樹脂およびビニル樹脂を含む赤外線レ
ーザ用ポジ型感光性組成物が開示されている。この感光
性組成物を支持体上に塗布すると、フェノール樹脂とビ
ニル樹脂とが相分離する。感光性組成物の塗布物にレー
ザ光を照射すると、光熱変換剤により熱が発生し、加熱
した部分のフェノール樹脂の溶解性が低下する。そし
て、アルカリ水溶液で現像すると、未加熱部分の塗布物
が除去され、加熱部分の塗布物が残存することにより、
レプリカ画像が形成される。このレプリカ画像を平版印
刷版として利用できる。光熱変換剤は(光重合開始剤と
比較して)非常に多くの種類があり、レーザ光の波長領
域と重複する光熱変換剤を容易に選択して使用すること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、特開平1
1−44956号公報に記載の感光性組成物およびそれ
を用いて作製した平版印刷原版について、研究を進め
た。平版印刷原版では、相分離したフェノール樹脂が連
続した表面層として画像形成層の表面を覆っている。本
発明者の研究により、製造条件によって表面層を構成す
るフェノール樹脂の量が変化し、それにより平版印刷原
版の性能が著しく変動することが判明した。本発明の目
的は、レーザ露光が可能で、感度が高い平版印刷原版を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(3)の平版印刷原版および下記(4)の平版印刷原版
の製造方法を提供する。 (1)親水性支持体上に、フェノール樹脂とビニル樹脂
とを含み、フェノール樹脂とビニル樹脂とが相分離して
いる画像形成層が500mg/m2 乃至5g/m2 の塗
布量で設けられている平版印刷原版であって、相分離し
たフェノール樹脂が連続した表面層として画像形成層の
表面を覆っており、表面層を構成するフェノール樹脂の
量が60乃至120mg/m2 であることを特徴とする
平版印刷原版。
【0007】(2)画像形成層が、さらに光熱変換剤を
含む(1)に記載の平版印刷原版。 (3)親水性支持体が、アルミニウム板からなる(1)
に記載の平版印刷原版。 (4)親水性支持体上に、フェノール樹脂とビニル樹脂
とを含む溶液を塗布する工程、60乃至155℃の温度
で第1次乾燥する工程、第1次乾燥よりも高く、温度差
が10乃至80℃である温度で第2次乾燥する工程から
なる親水性支持体上に、フェノール樹脂とビニル樹脂と
を含み、フェノール樹脂とビニル樹脂とが相分離してい
る画像形成層が設けられている平版印刷原版の製造方
法。
【0008】
【発明の効果】本発明者は、研究を進めた結果、表面層
を構成するフェノール樹脂の量を最適な量(60乃至1
20mg/m2 に調整することをに成功した。ビニル樹
脂と相分離したフェノール樹脂は、ビニル樹脂からなる
連続相内に海島状に不連続相を形成する部分と、表面に
連続相を形成する部分とに分離する。そのため、表面層
を構成するフェノール樹脂の量の調整は、フェノール樹
脂の添加量のみでは調整できず、最適な量に制御するこ
とは非常に困難であった。本発明者の研究により、画像
形成層を塗布した後の乾燥工程を2段階で実施し、第2
次乾燥を、第1次乾燥よりも高く、温度差が10乃至8
0℃である温度で実施すると、最適な量でフェノール樹
脂の表面層を形成できることが判明した。最適な量でフ
ェノール樹脂の表面層が形成されている平版印刷原版
は、従来の平版印刷原版と比較して高感度であるとの特
徴がある。
【0009】
【発明の実施の形態】[フェノール樹脂]本明細書にお
いて、フェノール樹脂とは、繰り返し単位にフェノール
性水酸基を含むポリマーからなる樹脂を意味する。一般
に、フェノール樹脂は、フェノール類(例、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、t−ブチ
ルフェノール、オクチルフェノール)とアルデヒド(ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール)と
の縮合重合反応により得られる。フェノール類は、フェ
ノール、m−クレゾールまたはp−クレゾールが好まし
い。アルデヒドは、ホルムアルデヒドが好ましい。複数
のフェノール類または複数のアルデヒドから合成したコ
ポリマーを用いてもよい。フェノール樹脂の質量平均分
子量は、500乃至2万であることが好ましい。フェノ
ール樹脂の数平均分子量は、200乃至1万であること
が好ましい。二種類以上のフェノール樹脂を併用しても
よい。
【0010】[ビニル樹脂]本明細書において、ビニル樹
脂とは、ビニル基(>C=C<)を有するモノマーの付
加重合によって得られるポリマーからなる樹脂を意味す
る。ビニル樹脂のポリマーは、側鎖に親水性基を有する
繰り返し単位を含むことが好ましい。側鎖に親水性基を
有する繰り返し単位は、下記式(I)で表されることが
好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】式(I)において、R1 は、水素原子また
は炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R1 は、
水素原子またはメチルであることが好ましい。式(I)
において、Lは、単結合であるか、あるいは、アルキレ
ン基、アリーレン基、−CO−、−O−、−NH−およ
びそれら組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結
基である。式(I)において、Hyは、−SO2 −、−
NH−、−CO−、−O−およびそれらの組み合わせか
らなる群より選ばれる二価の連結基である。式(I)に
おいて、R2 は、水素原子または炭素原子数が1乃至6
のアルキル基である。R1 は、水素原子またはメチルで
あることが好ましい。
【0013】ビニル樹脂のポリマーは、側鎖に親水性基
を有する繰り返し単位を10乃至990モル%含むこと
が好ましく、20乃至80モル%含むことがさらに好ま
しい。ビニル樹脂のポリマーの他の繰り返し単位は、一
般的なビニルモノマー(ビニル基を有するモノマー)か
ら得られる。一般的なビニルモノマーの例には、(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、ビ
ニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、スチレン誘
導体、ビニルケトン、オレフィン、N−ビニル置換環状
アミン、(メタ)アクリロニトリル、不飽和イミドおよ
び不飽和カルボン酸が含まれる。
【0014】ビニル樹脂の質量平均分子量は、5000
乃至30万であることが好ましい。ビニル樹脂の数平均
分子量は、2000乃至25万であることが好ましい。
二種類以上のビニル樹脂を併用してもよい。フェノール
樹脂:ビニル樹脂の質量比は、50:50乃至5:95
であることが好ましく、40:60乃至10:90であ
ることがさらに好ましい。
【0015】[光熱変換剤]画像形成層は、光熱変換剤
を含むことが好ましい。光熱変換剤は、光を吸収し、光
エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を
有する物質である。光熱変換剤が吸収する光の波長(最
大吸収波長)は、700nm以上(赤外光)であること
が特に好ましい。赤外光を吸収できる顔料、染料または
金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることが
できる。
【0016】赤外吸収顔料については、カラーインデッ
クス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技
術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(C
MC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CM
C出版、1984年刊)に記載がある。特に好ましい赤
外吸収顔料は、カーボンブラックである。赤外吸収顔料
に疎水化(親油化)処理を行うことができる。疎水化処
理としては、親油性樹脂を顔料表面にコートする方法が
ある。顔料の粒径は、0.01乃至1μmであることが
好ましく、0.01乃至0.5μmであることがさらに
好ましい。
【0017】赤外吸収染料については、「染料便覧」有
機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」19
86年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、
「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3
項(1990)シーエムシーに記載がある。好ましい赤
外吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロ
ンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−1127
93号、同58−224793号、同59−48187
号、同59−73996号、同60−52940号、同
60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染
料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号
公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112
792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許388
1924号同4283475号の各明細書、特開昭57
−142645号、同58−181051号、同58−
220143号、同59−41363号、同59−84
248号、同59−84249号、同59−14606
3号、同59−146061号、特公平5−13514
号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム
染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58
−173696号、同58−181690号、同58−
194595号の各公報記載)である。
【0018】赤外吸収染料については、米国特許475
6993号、同5156938号の各明細書および特開
平10−268512号公報にも記載がある。市販の赤
外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポラ
イトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社
製)を用いてもよい。メチン染料がさらに好ましく、シ
アニン染料(英国特許434875号、米国特許497
3572号の各明細書、特開昭58−125246号、
同59−84356号、同59−216146号、同6
0−78787号の各公報記載)が最も好ましい。シア
ニン染料は、下記式で定義される。 Bo−Le=Bs 上記式において、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩
基性核のオニウム体であり;そして、Leは、奇数個の
メチンからなるメチン鎖である。赤外吸収染料の場合、
Leは、7個のメチンからなるメチン鎖であることが好
ましい。
【0019】金属は、一般に自己発熱性を有している。
従って、赤外、可視または紫外領域に吸収をもつ金属、
特に赤外領域に吸収をもつ金属は、光熱変換機能を有し
ている。金属微粒子を構成する金属は、光照射によって
熱融着することが好ましい。具体的には、融点が100
0℃以下であることが好ましい。金属微粒子を構成する
金属としては、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、
Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、P
b、Ge、Re、Sbおよびそれらの合金が好ましく、
Re、Sb、Te、Ag、Au、Cu、Ge、Pbおよ
びSnがより好ましく、Ag、Au、Cu、Sb、Ge
およびPbがさらに好ましく、Ag、AuおよびCuが
最も好ましい。
【0020】合金の場合、低融点金属(例、Re、S
b、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn)と、
自己発熱性が高い金属(例、Ti、Cr、Fe、Co、
Ni、W、Ge)とを組み合わせることもできる。ま
た、光吸収が大きい金属(例、Ag、Pt、Pd)の微
粒子と他の金属の微粒子とを組み合わせて用いることも
できる。金属微粒子に代えて、金属酸化物微粒子または
金属硫化物微粒子を用いることもできる。微粒子の粒径
は、10μm以下であることが好ましく、0.003乃
至5μmであることがさらに好ましく、0.01乃至3
μmであることが最も好ましい。
【0021】[画像形成層の他の任意成分]画像形成層
には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的と
して、着色剤を添加することができる。着色剤として
は、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用
いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイ
ルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグ
リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)
製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレッ
ト(CI42555)、メチルバイオレット(CI42
535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI1
45170B)、マラカイトグリーン(CI4200
0)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれ
る。着色剤として用いられる染料については、特開昭6
2−293247号公報に記載がある。酸化チタンのよ
うな無機顔料も着色剤として用いることができる。着色
剤の添加量は、画像形成層の0.01乃至10質量%で
あることが好ましい。
【0022】画像形成層には、さらに、熱分解性化合物
(例、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族
スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル)、界面活
性剤や可塑剤を添加してもよい。熱分解性化合物につい
ては、特開平11−44956号公報に記載がある。
【0023】[画像形成層の形成]画像形成層は、各成
分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布
液を調製し、親水性支持体上に塗布し、および乾燥して
液状媒体を除去することにより形成することができる。
塗布液に使用する液状媒体の例には、エチレンジクロラ
イド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2
−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−
メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含まれ
る。二種類以上の液体を混合して用いてもよい。塗布液
の全固形分濃度は、1乃至50質量%であることが好ま
しい。塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤
を添加することができる。フッ素系界面活性剤(特開昭
62−170950号公報記載)が特に好ましい。界面
活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して0.01
乃至1質量%であることが好ましく、0.05乃至0.
5質量%であることがさらに好ましい。
【0024】画像形成層の塗布量(乾燥後)は、500
mg/m2 乃至5g/m2 である。画像形成層の乾燥
は、比較的高温の第1次乾燥と、比較的低温の第2次乾
燥の2段階で実施することが好ましい。第1次乾燥の温
度は、60乃至155℃であることが好ましい。第2次
乾燥の温度は、第1次乾燥よりも高く、温度差が10乃
至80℃である温度に設定することが好ましい。これに
より、表面層を構成するフェノール樹脂の量を60乃至
120mg/m2 に調節することができる。
【0025】[親水性支持体]親水性支持体としては、
金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることが
できる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、
親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理さ
れた紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理さ
れたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテ
レフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネート
された紙が好ましい。
【0026】陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に
好ましい。アルミニウム板は、純アルミニウム板または
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板
である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元
素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市
販の印刷版用のアルミニウム板を用いてもよい。アルミ
ニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであること
が好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに
好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好
ましい。
【0027】アルミニウム板表面には、粗面化処理を行
うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化
学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的
方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト
研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法
としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交
流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用
いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記
載)も利用することができる。化学的方法としては、ア
ルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸
漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適
している。粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心
線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるよう
に実施することが好ましい。粗面化されたアルミニウム
板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。ア
ルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナ
トリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチ
ング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好まし
い。
【0028】アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体
の耐摩耗性を高めるために行う。陽極酸化処理に用いら
れる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の
電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられ
る。陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃
至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5
乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、
電解時間が10秒乃至5分の範囲である。陽極酸化処理
により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/
2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2
であることがさらに好ましい。
【0029】[任意に設けられる層]画像形成層表面の
汚染防止のため、画像形成層の上に、オーバーコート層
(保護層)を設けてもよい。親水性支持体と画像形成層
との密着性を改選するため、親水性支持体の上に中間層
(下塗り層)を設けてもよい。
【0030】[画像状加熱工程]平版印刷版原版は、画
像状に加熱して画像を形成する。直接的には、熱記録ヘ
ッドによって、平版印刷版原版を画像状に加熱できる。
その場合は、光熱変換剤は不要である。ただし、熱記録
ヘッドは画像の解像度が一般に低いため、光熱変換剤を
用いて画像露光による光エネルギーを熱エネルギーに変
換することが望ましい。一般に、画像露光に用いる露光
装置の方が、熱記録ヘッドよりも高解像度である。露光
方法には、アナログデータである原稿(オリジナル)を
介しての露光と、オリジナルのデータ(通常はデジタル
データ)に対応させた走査露光とがある。オリジナルを
介しての露光では、光源としてキセノン放電灯または赤
外線ランプが用いられる。キセノン放電灯のような高出
力の光源を使用すれば、短時間のフラッシュ露光も可能
である。走査露光は、レーザー、特に赤外線レーザーを
用いることが一般的である。赤外線の波長は、700乃
至1200nmであることが好ましい。赤外線は、固体
高出力赤外線レーザー(例えば、半導体レーザー、YA
Gレーザー)が好ましい。
【0031】光熱変換剤を含む画像形成層にレーザーを
走査露光すると、光熱変換剤によりレーザーの光エネル
ギーが熱エネルギーに変換される。そして、平版印刷原
版の加熱部分(画像部)において、フェノール樹脂がア
ルカリ水溶液に対して不溶性になる。これに対して、平
版印刷原版の非加熱部分(非画像部)には変化がない。
【0032】[現像工程]画像状に加熱した平版印刷原
版は、現像することにより、平版印刷版を製版できる。
具体的には、アルカリ水溶液により非加熱部分(非画像
部)の画像形成層を除去することができる。アルカリ水
溶液に用いる無機アルカリ剤の例には、ケイ酸ナトリウ
ム、ケイ酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン
酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸ナト
リウム、第二カリウム、第二アンモニウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホ
ウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カ
リウムおよび水酸化リチウムが含まれる。有機アルカリ
剤の例には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ト
リエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロ
ピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアン、ジイソ
プロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミ
ンおよびピリジンが含まれる。二種以上のアルカリ剤を
組み合わせて用いてもよい。
【0033】[後処理]現象処理により得られた平版印
刷版に対して、水洗処理、リンス処理(界面活性剤の水
溶液を使用)や不感脂化処理(アラビアガムや澱粉誘導
体を含む処理液を使用)を後処理として実施してもよ
い。後処理については、特開昭54−8002号、同5
5−115045号、同59−58431号の各公報に
記載がある。
【0034】
【実施例】[実施例1] (アルミニウム支持体の作製)厚さ0.30mmの材質
1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メ
ッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目
立てした後、よく水で洗浄した。アルミニウム板を、1
0質量%水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸
漬してエッチングした後、流水で水洗した。次に、20
質量硝酸水溶液で中和、洗浄し、水洗した。これをVA
=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて
1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2 の陽極
時電気量で電解粗面化処理を行った。次に、30質量%
の硫酸水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマット処
理した後、33℃にて、20質量%の硫酸水溶液中で、
砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm
2 において50秒間陽極酸化した。形成された陽極酸化
皮膜の厚さは、2.7g/m2 であった。
【0035】(第1下塗り層の形成)作製したアルミニ
ウム支持体の上に、下記の組成の塗布液を塗布し、90
℃で1分間乾燥して、第1下塗り層を形成した。乾燥後
の塗布量は、10mg/m2であった。
【0036】 ──────────────────────────────────── 第1下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── β−アラニン 0.4質量部 メタノール 95質量部 水 5質量部 ────────────────────────────────────
【0037】(第2下塗り層の形成)第1下塗り層を設
けたアルミニウム支持体を、珪酸ナトリウムの2.5質
量%水溶液中に、30℃で10秒浸漬処理した。第1下
塗り層の上に、下記の組成の塗布液を塗布し、80℃で
15秒間乾燥して、第2下塗り層を形成した。乾燥後の
塗布量は、15mg/m2 であった。
【0038】 ──────────────────────────────────── 第2下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記のポリマー(質量平均分子量:2.8万) 0.3質量部 メタノール 100質量部 水 1質量部 ────────────────────────────────────
【0039】
【化2】
【0040】(画像形成層の形成)第2下塗り層の上
に、下記組成の塗布液を塗布し、最初に150℃で、次
に160℃で乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後
の塗布量は、1.8g/m2であった。なお、乾燥温度
は、乾燥風の温度である。
【0041】 ──────────────────────────────────── 画像形成層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記のビニル樹脂(質量平均分子量:53000) 0.75質量部 下記のフェノール樹脂(質量平均分子量:3500、未反応のクレゾールを0 .5質量%含有) 0.25質量部 p−トルエンスルホン酸 0.003質量部 下記のシアニン染料 0.017質量部 エチルバイオレット(オリエント化学工業(株)製)の対イオンを1−ナフタ レンスルホン酸に変更した染料 0.015質量部 フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.05質量部 γ−ブチルラクトン 10質量部 メチルエチルケトン 10質量部 1−メトキシ−2−プロパノール 3質量部 ────────────────────────────────────
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】(平版印刷原版の評価)作製した平版印刷
原版について、画像形成層の表面に分離したフェノール
樹脂からなる表面層の量を測定した。具体的には、メチ
ルアセテートで画像形成層の表面部分のフェノール樹脂
を溶出して、表層量(mg/m2 )を測定した。結果を
第1表に示す。次に、平版印刷原版を露光(光源:Luxc
el T−6000)し、鮮明な画像が得られる露光量
(%)を感度として求めた。結果を第1表に示す。値が
小さいほど高感度である。さらに、画像形成層の上に合
紙を載せ、合紙に荷重した状態で、合紙を引きずった
後、現像し、目視にて問題が認められないかどうかを調
べ、問題が生じない荷重(g/cm2 )を「膜べり」を
求めた。結果を第1表に示す。
【0046】[実施例2〜5]第1次乾燥温度と第2次
乾燥温度を第1表に示すように変更した以外は、実施例
1と同様に平版印刷原版を作製して評価した。結果を第
1表に示す。
【0047】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 平版印刷原版 第1次乾燥温度 第2次乾燥温度 表層量 感度 膜べり ──────────────────────────────────── 実施例1 150℃ 160℃ 66 70% 33 実施例2 120℃ 160℃ 76 70% 43 実施例3 120℃ 150℃ 76 63% 43 実施例4 100℃ 160℃ 79 70% 52 実施例5 80℃ 100℃ 83 48% 66 ────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA11 AB03 AC01 AC08 AD01 BH03 BJ03 CB08 CB14 CB28 CB41 CC11 DA18 DA36 FA17 2H096 AA06 BA06 CA03 CA20 EA02 EA04 EA23 GA08 2H114 AA04 AA23 BA02 BA10 DA04 DA48 DA59 DA64 DA71 EA05 EA08 FA06 GA01 GA34 GA38

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、フェノール樹脂とビ
    ニル樹脂とを含み、フェノール樹脂とビニル樹脂とが相
    分離している画像形成層が500mg/m2乃至5g/
    2 の塗布量で設けられている平版印刷原版であって、
    相分離したフェノール樹脂が連続した表面層として画像
    形成層の表面を覆っており、表面層を構成するフェノー
    ル樹脂の量が60乃至120mg/m2 であることを特
    徴とする平版印刷原版。
  2. 【請求項2】 画像形成層が、さらに光熱変換剤を含む
    請求項1に記載の平版印刷原版。
  3. 【請求項3】 親水性支持体が、アルミニウム板からな
    る請求項1に記載の平版印刷原版。
  4. 【請求項4】 親水性支持体上に、フェノール樹脂とビ
    ニル樹脂とを含む溶液を塗布する工程、60乃至155
    ℃の温度で第1次乾燥する工程、第1次乾燥よりも高
    く、温度差が10乃至80℃である温度で第2次乾燥す
    る工程からなる親水性支持体上に、フェノール樹脂とビ
    ニル樹脂とを含み、フェノール樹脂とビニル樹脂とが相
    分離している画像形成層が設けられている平版印刷原版
    の製造方法。
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