JP2003139220A - ウォームホイール及びその製造方法 - Google Patents

ウォームホイール及びその製造方法

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JP2003139220A
JP2003139220A JP2001338200A JP2001338200A JP2003139220A JP 2003139220 A JP2003139220 A JP 2003139220A JP 2001338200 A JP2001338200 A JP 2001338200A JP 2001338200 A JP2001338200 A JP 2001338200A JP 2003139220 A JP2003139220 A JP 2003139220A
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worm wheel
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worm
shape
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Fumio Ueki
史雄 植木
Toshimi Takagi
敏己 高城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯部の樹脂成形後の形状切削等を不要とし、
製造コストを低減するとともに、優れた潤滑性及び長期
耐久性を確保する。 【解決手段】 ウォームホイール20は、金属製円筒芯
金21の外周側に合成樹脂製の歯部22を射出成形によ
り形成する。歯部22の歯底22aは、ウォームの円弧
形状に対応して円弧形状に、射出成形時の金型形状によ
り形成される。また、歯部22の両側端、即ち金型から
の離型方向後端側及び前端側に、金属製円筒芯金21と
同心円上の歯底22a近傍に、凹部23が金型形状によ
り形成される。各凹部23は、歯部22の射出成形時に
変形して歯底22a部分の離型を容易にし、歯部22の
変形又は損傷等を回避する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車等に
搭載される電動パワーステアリング装置の減速部等に用
いられるウォームホイールに関し、詳しくは金属製円筒
芯金の外周側に合成樹脂製の歯部を備えるウォームホイ
ール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図8に示したように、従来の樹脂製歯車
60は、ギヤ61の歯部62を合成樹脂により形成する
とともに、合成樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の短繊維
63を含ませている(特公平6−60674号公報参
照)。ギヤ61の歯部62は、高精度な切削加工により
歯面62aが形成される。この時、歯部62に含まれる
短繊維63の歯面62a近傍での配向方向は、回転軸の
軸方向に両端を向けて歯面62aに略平行に配列されて
いる。
【0003】また、図9に示したように、ウォームホイ
ール70は、金属製円筒芯金71の外周に、切削加工代
を設けた形状の歯部72が合成樹脂の射出成形により形
成されるとともに、歯面の切削により最終的な歯部72
形状が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記樹
脂製歯車60では、ウォームホイールとして電動パワー
ステアリング装置に適用した場合、コスト増大を招くと
ともに、ウォームとの間の潤滑性が悪化するという問題
があった。
【0005】すなわち、ガラス繊維等の短繊維63で強
化した合成樹脂は、ギヤ61の歯部62の切削加工工程
で短繊維63の影響により切削工具の磨耗が著しい。ま
た、切削加工後の合成樹脂表面は、短繊維63の毛羽立
ちの発生が避けられず、ウォームを損傷してしまう心配
がある。このため、ウォーム表面を硬化処理する等の対
策が必要となり、電動パワーステアリング装置全体のコ
ストを増大させてしまう。
【0006】また、ギヤ61の歯部62の切削加工時に
成層スキン層64を切除してしまい、短繊維63が歯面
62aの表面から露出すると、ガラス繊維等の短繊維6
3には潤滑性がないため、歯部62を形成する合成樹脂
の摩擦係数が上昇する。
【0007】通常、電動パワーステアリング装置では、
ウォームからウォームホイールに作用する面圧は高いも
のになるため、ウォームホイールの歯部にグリースを塗
布して潤滑性を向上させ、合成樹脂の耐久性を維持させ
ている。しかし、例えば使用環境により高温条件とな
り、ウォームとウォームホイール間のグリースが貧しく
なった場合には、合成樹脂の摩擦係数が高いため、潤滑
不良を生じてウォーム及びウォームホイールの温度が上
昇してしまう。この場合、金属に比べて温度的に不利な
合成樹脂からなる歯部が、最初に影響を受けることとな
り、歯部の損傷・破損等を招く可能性がある。
【0008】また、上記ウォームホイール70では、例
えば歯部72の射出成形に用いる金型の歯底を、歯部の
最終形状である円弧状(図9中、実線で示す形状)とす
ることにより、成形後の切削加工が不要となり、上述し
たような成層スキン層の切除に伴う種々の弊害をなくす
ことができる。
【0009】しかしながら、金型の歯底を円弧状とする
と、歯部72成形後のウォームホイール70を突き出し
ピン73で金型から離型する際、ウォームホイール70
の歯底72aが金型に引っ掛かってしまい、そのまま離
型すると、歯部72が変形又は破損してしまう可能性が
ある。したがって、歯部72成形時には、直線状(図9
中、破線で示す形状)として、金型からの円滑な離型を
行えるようにするとともに、成形後の歯面の切削加工に
よって、歯底形状を最終的な円弧状としている。よっ
て、コスト増大を招くとともに、ウォームとの間の潤滑
性が悪化するという問題があった。
【0010】本発明は、例えば歯部の樹脂成形後の形状
切削等を不要とすることができ、これにより製造コスト
を低減することができるとともに、優れた潤滑性及び耐
久性を確保することができ、低コストで信頼性の高いウ
ォームホイールを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、金
属製円筒芯金の外周側に合成樹脂製の歯部を備えたウォ
ームホイールにおいて、前記金属製円筒芯金と同心円上
で前記歯部側面の少なくとも一側端に、前記歯部の変形
を抑制する凹部が設けられることを特徴とするウォーム
ホイールにより達成することができる。
【0012】また、前記ウォームホイールにおいて、前
記歯部表面が、前記合成樹脂中に含まれるガラス繊維の
表面への突出を抑制するスキン層に覆われている。
【0013】本発明に係るウォームホイールにおいて
は、歯部側面の少なくとも一側端に、歯部の変形を抑制
する凹部が設けられているので、合成樹脂を金型により
射出成形して歯部を形成させた後、離型する際、凹部が
変形することにより円滑な離型が可能となる。したがっ
て、歯面の切削加工を必要とせず、離型に伴う歯部形状
の変形又は破損等を確実に回避することができる。ま
た、歯部表面が、合成樹脂中に含まれるガラス繊維の表
面への突出を抑制するスキン層に覆われているので、合
成樹脂中に含まれるガラス繊維等が歯面に露出するのを
確実に防止することができる。
【0014】また、本発明の上記目的は、金属製円筒芯
金の外周側に合成樹脂製の歯部を射出成形により形成す
るウォームホイールの製造方法において、前記金属製円
筒芯金と同心円上で前記歯部側面の少なくとも一側端
に、前記歯部の変形を抑制する凹部が射出成形する際の
金型形状により形成されることを特徴とするウォームホ
イールの製造方法により達成することができる。
【0015】本発明に係るウォームホイールの製造方法
においては、歯部側面の少なくとも一側端に、歯部の変
形を抑制する凹部が射出成形する際の金型形状により形
成されるので、ウォームホイールは、離型する際、凹部
の変形により円滑に離型され、離型に伴う歯部形状の変
形又は破損等が確実に回避される。したがって、歯面の
切削加工を必要とせず、歯面は合成樹脂の成層スキン層
に覆われた状態に保たれ、合成樹脂中に含まれるガラス
繊維等が歯面に露出するのを確実に防止することができ
る。
【0016】なお、上記金属製円筒芯金の材料として
は、JIS規格機械構造用炭素鋼等の金属材料で、例え
ばJIS規格S45CやS10C等が好適に用いられ
る。また、上記歯部を構成する合成樹脂は、例えばポリ
アミド樹脂にガラス繊維を混入させたものが好適に用い
られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のウォームホイール
及びその製造方法の第1実施形態を図1乃至図3に基づ
いて詳細に説明する。図1は本発明のウォームホイール
を適用した電動パワーステアリング装置の減速部を示す
斜視図、図2は図1におけるウォームホイール及びウォ
ームの噛み合い部分を示す要部拡大斜視図、図3は、図
1におけるウォームホイールの要部拡大断面図である。
【0018】図1及び図2に示すように、電動パワース
テアリング装置10においては、電動モータ11の回転
力は、回転軸に一体的に設けられたウォーム12、及び
ウォーム12に噛合されたウォームホイール20を介し
て、回転駆動力をステアリングシャフト13に伝達され
る。
【0019】ウォームホイール20は、金属製円筒芯金
21の外周側に、合成樹脂を金型(図示しない)を用い
て射出成形することにより、合成樹脂製の歯部22を形
成する。歯部22の歯底22aは、ウォーム12の円弧
形状に対応した円弧形状であり、射出成形時の金型形状
により形成され、ウォーム12との噛み合いを効率的に
行い、電動モータ11からの回転駆動力を損失なく伝達
する。
【0020】図3に示すように、ウォームホイール20
の歯部22の両側端部、即ち金型からの離型方向後端側
(図中左側)及び前端側(図中右側)で、金属製円筒芯
金21と同心円上の歯底22a近傍に、凹部23が設け
られている。各凹部23は、合成樹脂を射出成形する際
の金型形状により、略断面半円状に形成されており、歯
部22の射出成形時、変形によって歯底22a部分の離
型を容易化して、歯部22の変形又は損傷等を回避す
る。
【0021】即ち、例えば、モジュール2.05、外径
寸法B=84.5mm、歯底外径寸法C=74.4mm
とした場合、各凹部23は、半円の直径が歯底22aと
略平行になる位置にあることが好ましい。また、歯部2
2の寸法Aが小さい方が、各凹部23の変形量が大きく
なり、離型に有利に働くが、一方で歯部22の強度低下
が懸念される。したがって、本実施形態の場合、寸法A
=1〜2mmであることが好ましく、各凹部23の直径
は、3mm程度であることが好ましい。
【0022】なお、凹部23は、歯部22の金型からの
離型方向後端側にのみ設け、前端側には設けない構成と
しても良い。しかし、この場合、合成樹脂の成形収縮に
より歯部22の離型方向後端側と前端側とで収縮差が生
じると、歯面がアンバランスになる可能性がある。した
がって、非常に高い成形精度が要求される電動パワース
テアリング装置10のウォームホイール20としては、
歯部22の両側端部に設ける方がより好ましい。
【0023】本実施形態の作用を説明する。ウォームホ
イール20は、金属製円筒芯金21の外周側に、合成樹
脂を金型を用いて射出成形することにより、合成樹脂製
の歯部22が最終形状としてウォーム12の形状に対応
する略円弧状の歯底22a形状となるように形成され
る。そして、成形された歯部22の離型に際しては、各
凹部23の変形に伴う歯部22の弾性変形により、円滑
な離型が可能となる。これにより、離型に伴う歯部22
形状の変形又は破損等が確実に回避される。
【0024】したがって、歯面の切削加工を必要とせ
ず、歯面は、合成樹脂の成層スキン層24に覆われた状
態に保たれ、合成樹脂中に含まれるガラス繊維等が歯面
に露出する等の不具合が抑制され、合成樹脂自体の摩擦
係数の上昇を抑制することができる。その結果、ウォー
ム12とウォームホイール20との間には、グリースの
潤滑成分である基油が多く滞留し、歯部22の磨耗等が
減少され、長期耐久性能の向上が図られる。これによ
り、電動パワーステアリング装置10に適用されるウォ
ームホイール20は、高い信頼性を得られるとともに、
低コスト化を図ることができる。
【0025】次に、本発明のウォームホイールの第2実
施形態を図4に基づいて説明する。図4に示すように、
本実施形態のウォームホイール30は、歯部31に形成
される凹部32が横向きの断面V字状に形成されてい
る。なお、その他の構成及び作用については、上記第1
実施形態と同様である。
【0026】次に、本発明のウォームホイールの第3実
施形態を図5に基づいて説明する。図5に示すように、
本実施形態のウォームホイール40は、歯部41に形成
される凹部42が横向きの断面台形状に形成されてい
る。なお、その他の構成及び作用については、上記第1
実施形態と同様である。
【0027】次に、本発明のウォームホイールの第4実
施形態を図6に基づいて説明する。図6に示すように、
本実施形態のウォームホイール50は、歯部51の歯底
51a端部が強度上差し支えない範囲(本実施形態で
は、A寸法=1〜2mmの範囲)で削除されており、凹
部52の変形可能量が大きくなるように構成されてい
る。また、本実施形態では、凹部52の幅の一部を軸方
向に延長した仮想線と歯底51aとがオーバーラップす
るか、又は近接していることが好ましい。なお、その他
の構成及び作用については、上記第1実施形態と同様で
ある。
【0028】上述したように上記各実施形態によれば、
ウォームホイール20,30,40,50の歯部22,
31,41,51の両側端、即ち金型からの離型方向後
端側(図3中左側)及び前端側(図3中右側)で、金属
製円筒芯金21と同心円上の位置にある歯底22a,5
1a近傍に、凹部23,32,42,52が設けられ
る。したがって、合成樹脂を金型により射出成形して歯
部22,31,41,51を形成させた後、離型する
際、凹部23,32,42,52の変形により円滑な離
型を行うことができ、離型に伴う歯部22,31,4
1,51形状の変形又は破損等を回避することができ
る。
【0029】また、ウォームホイール20,30,4
0,50の歯部22,31,41,51は、射出成形さ
れる際、最終形状としてウォーム12の形状に対応する
略円弧状の歯底22a,51a形状となるように形成さ
れるので、歯部22,31,41,51の樹脂成形後の
形状切削等を不要とすることができ、製造コストを低減
することができる。即ち、樹脂成形後の歯面の切削加工
を必要としないため、歯面を合成樹脂の成層スキン層に
覆われた状態に保つことができ、合成樹脂中に含まれる
ガラス繊維等が歯面に露出する等の不具合を抑制するこ
とができる。これにより、ウォーム12との間での優れ
た潤滑性及び長期耐久性を確保することができ、低コス
トで信頼性の高いウォームホイール20,30,40,
50を提供することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明のウォームホイール及びその製
造方法の実施例及び比較例との比較試験について説明す
る。
【0031】1.潤滑油の濡れ性の比較(基礎実験) 電動パワーステアリング装置の減速部に使用されるウォ
ームホイールには、歯部にグリースが塗布されている。
目的は、ウォームとの噛み合いで発生する摩擦抵抗に起
因する温度上昇を減少させることである。電動パワース
テアリング装置では、自動車使用時に定期的にウォーム
ホイールの歯部へグリースを給脂することは、維持管理
費の増大や構造上の理由から不可能に近い。したがっ
て、電動パワーステアリング装置の組立て時にウォーム
ホイールに塗布したグリースが、長期に渡ってウォーム
との間に残存し、潤滑性能を維持する必要がある。な
お、グリースの成分中、潤滑に寄与するのは基油と呼ば
れる潤滑油である。
【0032】歯部を形成する合成樹脂が、例えばテフロ
ン(登録商標)樹脂のように油を弾く樹脂であると、ウ
ォームホイールの回転に伴う遠心力によって、グリース
が弾き飛ばされ、ウォームとの間の潤滑ができなくなっ
てしまう。したがって、合成樹脂表面と潤滑油との関係
は、非常に重要な要素である。そこで、以下のような合
成樹脂の成形スキン層を有する実施例と、切削によりガ
ラス繊維が合成樹脂表面から露出した切削面を有する比
較例とを、合成樹脂の表面潤滑相性試験として、濡れ性
の基礎評価試験を行った。
【0033】1−1.試験片の製作 表1に示す合成樹脂を材料として、射出成形機を用いて
直径30mm、厚さ3mmの試験片を作製した。この
際、実施例1及び実施例2の試験片は、それぞれ成形ス
キン層が存在する射出成形面とし、比較例1及び比較例
2の試験片は、それぞれ一方の面を約1mm切削し、成
形スキン層を除去した面とした。
【0034】
【表1】
【0035】1−2.評価方法 上記4種の試験片の面について、「ジャスコインタナシ
ョナル株式会社製の動的接触角計」を用い、潤滑油の広
がり状態を求めた。すなわち、最初に、使用グリースの
基油である合成炭化水素油を、マイクロメータにより液
量を定量する。次に、合成樹脂の試験片の面を、試料台
の上昇により合成炭化水素油に接触させる。更に、試料
台を下降させて液滴を針より離し、滴弧形とする。そし
て、1秒後の滴弧形潤滑油左右の角度を測定し、その平
均値にて潤滑油の広がり状態を求めた。結果を表1に併
記する。
【0036】表1から理解されるように、実施例1及び
実施例2の試験片の成形スキン層の面の方が、比較例1
及び比較例2の試験片の成形スキン層を除去した面と比
較して、接触角が小さい。即ち、潤滑油が広がり易く、
かつ弾かれ難い傾向を示している。
【0037】2.耐久性能の比較 次に、本発明のウォームホイールと従来のウォームホイ
ールとの耐久性能の差を見るため、実際にウォームホイ
ールを製作し、評価を行った。評価のために用いた合成
樹脂は、上述した潤滑油の濡れ性の比較、評価に用いた
表1に示すものと同様のもの、即ち表2にも示すよう
に、ガラス繊維30重量%含有のポリアミド66(宇部
興産(株)製「UBEナイロン2020GC6」)と、ポリアミド
46(DSM・JSRエンジニアリングプラスチックス(株)
製 「スタニールTW241F6」)を用いた。結果を表2に示
す。
【0038】
【表2】
【0039】2−1.試験体の製作 本発明のウォームホイールとしては、図3に示す第1実
施形態のウォームホイールとし、対応する形状の金型を
射出成形機に取り付け、金属製円筒芯金を挿入後、上述
した合成樹脂材料を射出成形機のシリンダー内にて溶融
させるとともに、成形空間に充填させ、所定時間冷却
後、成形品を離型させて試験体を得た。一方、比較のた
めの従来のウォームホイールとしては、切削代を設けた
母材金型にて本発明のウォームホイールと同様に成形
し、成形後にボブカッターにて歯部を本発明と同一形状
に切削した。
【0040】2−2.耐久試験方法 試験体であるウォームホイールに、定量の合成炭化水素
油を基油とするグリースを塗布し、常温下で一定のトル
クをかけ、ウォームの正転・逆転を繰り返し、その繰り
返し数とウォームホイールの歯部の磨耗の関係を求め
た。即ち、ウォームを固定してウォームホイールを正転
・逆転させた時の隙間(=バックラッシ)を角度として
捉え、この角度の増大によって、ウォームホイールの歯
部の磨耗量の増大、及びウォームとの噛み合い隙間の増
大を捉えた。図7に示すように、ウォームの正転・逆転
の繰り返し回数と、ウォームホイールの歯部の磨耗量と
の関係を示す。また、表2には、ウォームの正転・逆転
の繰り返し回数3万回のときのバックラッシを示す。
【0041】結果として、ガラス繊維が歯面に露出しな
い実施例1のウォームホイール(ポリアミド66製)
や、実施例2のウォームホイール(ポリアミド46製)
は、ガラス繊維が歯面に露出する比較例1のウォームホ
イール(ポリアミド66製)や、比較例2のウォームホ
イール(ポリアミド46製)と比較して、歯部の磨耗量
が約半分に抑えられるという結果が得られた。
【0042】このような耐久試験の結果は、上述した潤
滑油の濡れ性の比較試験結果と合致している。つまり、
濡れ性の良い実施例1及び実施例2のウォームホイール
によれば、長期に渡って多くの潤滑油をウォームとの間
に滞留させることができ、歯部の磨耗を抑制することが
できる。これにより、長期的な耐久性能を向上させるこ
とができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明のウォームホ
イールによれば、金属製円筒芯金と同心円上で歯部側面
の少なくとも一側端に、歯部の変形を抑制する凹部が設
けられているので、合成樹脂を金型により射出成形して
歯部を形成させた後、離型する際、円滑な離型を行うこ
とができ、離型に伴う歯部形状の変形又は破損等を回避
することができる。したがって、例えば歯部の樹脂成形
後の形状切削等を不要とすることができ、製造コストを
低減することができる。また、優れた潤滑性及び長期耐
久性を確保することができ、低コストで信頼性の高いウ
ォームホイールを提供することができる。
【0044】また、歯部表面が、合成樹脂中に含まれる
ガラス繊維の表面への突出を抑制するスキン層に覆われ
ているので、合成樹脂中に含まれるガラス繊維等が歯面
に露出するのを確実に防止することができ、信頼性の一
層高いウォームホイールを提供することができる。
【0045】また、本発明のウォームホイールの製造方
法によれば、金属製円筒芯金と同心円上で歯部側面の少
なくとも一側端に、歯部の変形を抑制する凹部が射出成
形する際の金型形状により形成されるので、合成樹脂を
金型により射出成形して歯部を形成させた後、離型する
際、円滑な離型を行うことができ、離型に伴う歯部形状
の変形又は破損等を回避することができる。したがっ
て、例えば歯部の樹脂成形後の形状切削等を不要とする
ことができ、製造コストを低減することができる。ま
た、優れた潤滑性及び長期耐久性を確保することがで
き、低コストで信頼性の高いウォームホイールを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のウォームホイールを適
用した電動パワーステアリング装置の減速部を示す斜視
図である。
【図2】図1におけるウォームホイール及びウォームの
噛み合い部分を示す要部拡大斜視図である。
【図3】図1におけるウォームホイールの要部拡大断面
図である。
【図4】本発明の第2実施形態のウォームホイールを示
す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態のウォームホイールを示
す要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態のウォームホイールを示
す要部拡大断面図である。
【図7】ウォームの正転・逆転の繰り返し回数と、ウォ
ームホイールの歯部の磨耗量との関係を示すグラフであ
る。
【図8】従来のウォームホイールを示す要部拡大断面図
である。
【図9】従来のウォームホイールの他の例を示す要部拡
大断面図である。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置 11 電動モータ 12 ウォーム 13 ステアリングシャフト 20,30,40,50 ウォームホイール 21 金属製円筒芯金 22,31,41,51 歯部 22a,51a 歯底 23,32,42,52 凹部 24 成層スキン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J009 DA18 EA06 EA19 EA23 EA32 EB06 3J030 BA03 BC01 BC08 4F206 AD03 AD12 AH12 JA07 JB12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製円筒芯金の外周側に合成樹脂製の
    歯部を備えたウォームホイールにおいて、 前記金属製円筒芯金と同心円上で前記歯部側面の少なく
    とも一側端に、前記歯部の変形を抑制する凹部が設けら
    れることを特徴とするウォームホイール。
  2. 【請求項2】 前記歯部表面が、前記合成樹脂中に含ま
    れるガラス繊維の表面への突出を抑制するスキン層に覆
    われていることを特徴とする請求項1記載のウォームホ
    イール。
  3. 【請求項3】 金属製円筒芯金の外周側に合成樹脂製の
    歯部を射出成形により形成するウォームホイールの製造
    方法において、 前記金属製円筒芯金と同心円上で前記歯部側面の少なく
    とも一側端に、前記歯部の変形を抑制する凹部が射出成
    形する際の金型形状により形成されることを特徴とする
    ウォームホイールの製造方法。
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